釣り用履き物
【課題】容易にかつ低コストで得られ、かつ足への苦痛が少ない釣り用ブーツ2の提供。
【解決手段】ブーツ2は、本体4、アウトソール6、裏当て8、縁飾り10、スペーサー12及びインソール14を備えている。本体4は、ポリ塩化ビニルを基材とする樹脂組成物からなる。裏当て8は、基布22とスポンジ層24とからなる。このスポンジ層24は、多数の気泡を含む。このブーツ2の製造では、靴下の類似の形状を有する裏当て8によって、ラストが覆われる。この裏当て8及びラストは、型に挿入される。この型に、溶融樹脂組成物が注入される。この溶融樹脂組成物が冷却されて、本体4が成形される。裏当て8は、溶融樹脂組成物と当接するので、この裏当て8は本体4に融着される。この型にさらに他の樹脂組成物が注入され、アウトソール6が成形される。
【解決手段】ブーツ2は、本体4、アウトソール6、裏当て8、縁飾り10、スペーサー12及びインソール14を備えている。本体4は、ポリ塩化ビニルを基材とする樹脂組成物からなる。裏当て8は、基布22とスポンジ層24とからなる。このスポンジ層24は、多数の気泡を含む。このブーツ2の製造では、靴下の類似の形状を有する裏当て8によって、ラストが覆われる。この裏当て8及びラストは、型に挿入される。この型に、溶融樹脂組成物が注入される。この溶融樹脂組成物が冷却されて、本体4が成形される。裏当て8は、溶融樹脂組成物と当接するので、この裏当て8は本体4に融着される。この型にさらに他の樹脂組成物が注入され、アウトソール6が成形される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーツのような、釣り人に着用される履き物に関する。詳細には、本発明は、本体と、スポンジの裏当てとを備えた履き物に関する。
【背景技術】
【0002】
釣りに、ブーツが利用されている。ブーツは、本体と裏当てとを備えている。本体には、天然ゴムのようなゴム又はポリ塩化ビニルのような合成樹脂が用いられている。裏当ては、本体の内面に接合されている。裏当ては、ブーツの着脱のときの足の滑りに寄与する。裏当てを備えたブーツの着脱は、容易である。
【0003】
釣りは、磯、岸壁のような斜面でなされることが多い。釣り人は、同じ足場に長時間立ち続ける。このとき、ブーツが釣り人の足を局所的に圧迫する。この圧迫により、釣り人は足に苦痛を感じる。釣り人が、ポイント移動の目的で長距離を歩行することがある。歩行のとき、足がブーツと擦れ合う。この擦れ合いによっても、釣り人は足に苦痛を感じる。
【0004】
裏当てとしてスポンジが用いられたブーツがある。スポンジはクッション性に富む。このスポンジよって足の苦痛が和らげられる。この裏当ては、ブーツ本体の内面に接着剤で接合される。本体は三次元形状であり裏当ても三次元形状なので、この接合作業は容易ではない。この作業には、手間がかかる。
【0005】
本体の架橋時に裏当てが発泡して得られたブーツがある。このブーツの製造では、本体用のゴム組成物と裏当て用のゴム組成物とが積層される。本体用のゴム組成物は、発泡剤を含まない。裏当て用のゴム組成物は、発泡剤を含む。架橋時の加熱によって発泡剤が発泡し、気泡を含んだ裏当てが得られる。このブーツでは、裏当てが足の苦痛を和らげる。このブーツの製造では、本体と裏当てとの、接着剤による接合は不要である。このブーツの製造には、熟練した技量は不要である。この製造方法は、「同時発泡法」と称されている。
【0006】
本体が射出成形法で成形されたブーツがある。射出成形法では、流動性のポリマー組成物(典型的には溶融樹脂組成物)が、型に注入される。射出成形法により、短時間で本体が成形されうる。射出成形法は、生産性に優れる。比較的低価格であるブーツには、射出成形法が好んで用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本体が射出成形法で得られるブーツでは、同時発泡法は採用され得ない。このブーツでは、本体の成形の後に、この本体の内面に接着剤で裏当てが接合される。前述の通り、この接合作業には手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、容易にかつ低コストで得られ、かつ足への苦痛が少ない釣り用履き物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る釣り用履き物は、本体と裏当てとを備える。この本体は、アッパーと、このアッパーと一体成形されたボトムとを有する。裏当ては、本体の内面に融着されている。この裏当ては、スポンジ層を含む。
【0010】
好ましくは、この履き物は、アウトソールをさらに有する。このアウトソールは、ボトムに接合されている。
【0011】
好ましくは、この履き物は、スペーサーとインソールとをさらに有する。このスペーサーは、裏当てに接合される。スペーサーは、踵側に位置する。インソールは、スペーサーの上に載置される。
【0012】
好ましくは、裏当ては、メリヤスからなる基布をさらに含む。この基布と本体とにより、スポンジ層が挟まれている。
【0013】
本発明に係る釣り用履き物の製造方法は、
スポンジ層を含む裏当てによってラストが覆われる工程、
この裏当て及びラストが型に挿入される工程、
この型に流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアッパーを有する本体が成形され、かつこの本体の内面に裏当てが融着される工程
を含む。
【0014】
好ましくは、この製造方法は、
型に他の流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアウトソールが成形され、かつこのアウトソールが上記本体に融着される工程
をさらに含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る釣り用履き物では、スポンジ層を含む裏当てにより、足への苦痛が和らげられる。このブーツでは、本体と裏当てとの積層が容易になされる。このブーツは、低コストで得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る釣り用履き物としてのブーツが示された斜視図である。
【図2】図2は、図1のブーツが示された鉛直方向に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2のブーツのスペーサーが示された拡大斜視図である。
【図5】図5は、図1のブーツの製造に用いられるラストが示された正面図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI線に沿った拡大断面図である。
【図7】図7は、図5のラストが裏当てに覆われた状態が示された正面図である。
【図8】図8は、図7のVIII−VIII線に沿った拡大断面図である。
【図9】図9は、図5のラストが裏当て及び型と共に示された拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1から3に示されたブーツ2は、本体4、アウトソール6、裏当て8、縁飾り10、スペーサー12及びインソール14を備えている。
【0019】
本体4は、ポリマー組成物からなる。この実施形態では、本体4の基材ポリマーは、熱可塑性樹脂である。典型的には、本体4にポリ塩化ビニル(PVC)が用いられる。ポリ塩化ビニルは、柔軟性及び強度に優れる。
【0020】
本体4は、アッパー16とボトム18とからなる。アッパー16は、着用者の脛及び甲に相当する。ボトム18は、着用者の足の裏に相当する。ボトム18は、アッパー16と一体成形されている。
【0021】
アウトソール6は、地面と当接する。アウトソール6の底面には、多数の溝20が形成されている。この溝20は、アウトソール6の地面とのスリップを抑制する。アウトソール6は、樹脂組成物又は架橋されたゴム組成物からなる。成形の容易の観点から、樹脂組成物が好ましい。典型的には、本体4と同様、アウトソール6にポリ塩化ビニル(PVC)が用いられる。アウトソール6は、ボトム18と接合されている。後述されるように、融着によって接合が達成される。
【0022】
裏当て8は、本体4の内面に接合されている。後述されるように、融着によって接合が達成される。図2に示されるように、裏当て8は、基布22とスポンジ層24とからなる。スポンジ層24は、基布22と積層されている。スポンジ層24は、接着剤によって基布22に接合されている。本体4にはスポンジ層24が当接している。換言すれば、スポンジ層24は、本体4と基布22とに挟まれている。
【0023】
スポンジ層24は、気泡を含むポリマー成形体である。スポンジ層24が独立気泡を含んでもよく、連続気泡を含んでもよい。このスポンジ層24は、クッション性に富む。スポンジ層24により、着用者の苦痛が和らげられる。クッション性の観点から、スポンジ層24の厚みは2mm以上が好ましく、3mm以上が特に好ましい。厚みは10mm以下が好ましく、5mm以下が特に好ましい。
【0024】
基布22は、スポンジ層24を保護する。基布22はさらに、着脱時の足の滑りにも寄与する。典型的には、基布22にはメリヤスが用いられる。メリヤスは、伸縮性に富む。メリヤスからなる基布22は、スポンジ層24によるクッション性を阻害しない。基布22に織布が用いられてもよい。
【0025】
縁飾り10は、合成皮革又は人口皮革からなる。縁飾り10は、本体4の上端を覆っている。縁飾り10はさらに、裏当て8の上端を覆っている。縁飾り10は、裏当て8を保護する。縁飾り10は、糸によって本体4及び裏当て8に縫い付けられている。
【0026】
スペーサー12は、本体4に収容されている。スペーサー12は、踵側に位置している。爪先側には、スペーサー12は存在しない。スペーサー12は、接着剤により、又は融着により、裏当て8に接合されている。図4には、このスペーサー12が示されている。このスペーサー12は、複数の縦リブ26と複数の横リブ28とからなる。これらのリブ26、28は、格子状に配置されてる。スペーサー12は、樹脂組成物からなる。典型的には、スペーサー12にポリ塩化ビニルが用いられる。好ましくは、スペーサー12は、射出成形法によって得られる。
【0027】
インソール14は、概して板状である。インソール14は、本体4に収容されている。インソール14の踵側はスペーサー12に載置されており、インソール14の爪先側は本体4のボトム18に載置されている。スペーサー12により、インソール14は概して前下がりに配置されている。この前下がりにより、釣り人は快適な姿勢を保つことが出来る。
【0028】
このブーツ2の製造では、ラスト30が準備される。図5は、このラスト30が示された正面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。このラスト30が、図7及び8に示されるように、裏当て8に覆われる。裏当て8は、靴下に類似の形状である。図9に示されるように、裏当て8に覆われたラスト30が、型32に挿入される。換言すれば、ラスト30は中子として用いられる。図9から明らかなように、型32のキャビティ面34と裏当て8の間には、スペースが形成される。
【0029】
一方、熱可塑性樹脂(典型的にはポリ塩化ビニル)、着色剤等が混練され、樹脂組成物が得られる。この樹脂組成物が射出成形機に投入され、溶融される。この溶融樹脂組成物は、キャビティに注入される。樹脂組成物は、型30のキャビティ面34と裏当て8との間のスペースに充填される。溶融樹脂組成物は、裏当て8と当接する。この樹脂組成物が冷却・固化され、アッパー16及びボトム18からなる本体4が得られる。裏当て8は、この本体4に融着される。さらに、他の溶融樹脂組成物が型に注入され、冷却・固化されてアウトソール6が形成される。このアウトソール6は、本体4のボトム18と融着される。他の流動性ポリマー組成物(例えば未架橋ゴム組成物)が、型30に注入されてもよい。
【0030】
この本体4に、スペーサー12が収容される。このスペーサー12は、裏当て8と接合される。この本体4に、縁飾り10が縫い付けられる。この本体4にさらにインソール14が収容され、ブーツ2が完成する。
【0031】
この製造方法では、裏当て8が本体4と融着される。従って、接着剤による接合のような、熟練した技量は不要である。この製造方法では、射出成形法が採用されているので、高い生産性が達成される。この製造方法により、着用者に苦痛を与えないブーツ2が、容易にかつ低コストで得られうる。
【0032】
このブーツ2にトラウザーが取り付けられ、ウェーダーが構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る釣り用履き物は、種々の釣り場において利用されうる。
【符号の説明】
【0034】
2・・・ブーツ
4・・・本体
6・・・アウトソール
8・・・裏当て
10・・・縁飾り
12・・・スペーサー
14・・・インソール
16・・・アッパー
18・・・ボトム
20・・・溝
22・・・基布
24・・・スポンジ層
26・・・縦リブ
28・・・横リブ
30・・・ラスト
32・・・型
34・・・キャビティ面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーツのような、釣り人に着用される履き物に関する。詳細には、本発明は、本体と、スポンジの裏当てとを備えた履き物に関する。
【背景技術】
【0002】
釣りに、ブーツが利用されている。ブーツは、本体と裏当てとを備えている。本体には、天然ゴムのようなゴム又はポリ塩化ビニルのような合成樹脂が用いられている。裏当ては、本体の内面に接合されている。裏当ては、ブーツの着脱のときの足の滑りに寄与する。裏当てを備えたブーツの着脱は、容易である。
【0003】
釣りは、磯、岸壁のような斜面でなされることが多い。釣り人は、同じ足場に長時間立ち続ける。このとき、ブーツが釣り人の足を局所的に圧迫する。この圧迫により、釣り人は足に苦痛を感じる。釣り人が、ポイント移動の目的で長距離を歩行することがある。歩行のとき、足がブーツと擦れ合う。この擦れ合いによっても、釣り人は足に苦痛を感じる。
【0004】
裏当てとしてスポンジが用いられたブーツがある。スポンジはクッション性に富む。このスポンジよって足の苦痛が和らげられる。この裏当ては、ブーツ本体の内面に接着剤で接合される。本体は三次元形状であり裏当ても三次元形状なので、この接合作業は容易ではない。この作業には、手間がかかる。
【0005】
本体の架橋時に裏当てが発泡して得られたブーツがある。このブーツの製造では、本体用のゴム組成物と裏当て用のゴム組成物とが積層される。本体用のゴム組成物は、発泡剤を含まない。裏当て用のゴム組成物は、発泡剤を含む。架橋時の加熱によって発泡剤が発泡し、気泡を含んだ裏当てが得られる。このブーツでは、裏当てが足の苦痛を和らげる。このブーツの製造では、本体と裏当てとの、接着剤による接合は不要である。このブーツの製造には、熟練した技量は不要である。この製造方法は、「同時発泡法」と称されている。
【0006】
本体が射出成形法で成形されたブーツがある。射出成形法では、流動性のポリマー組成物(典型的には溶融樹脂組成物)が、型に注入される。射出成形法により、短時間で本体が成形されうる。射出成形法は、生産性に優れる。比較的低価格であるブーツには、射出成形法が好んで用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本体が射出成形法で得られるブーツでは、同時発泡法は採用され得ない。このブーツでは、本体の成形の後に、この本体の内面に接着剤で裏当てが接合される。前述の通り、この接合作業には手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、容易にかつ低コストで得られ、かつ足への苦痛が少ない釣り用履き物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る釣り用履き物は、本体と裏当てとを備える。この本体は、アッパーと、このアッパーと一体成形されたボトムとを有する。裏当ては、本体の内面に融着されている。この裏当ては、スポンジ層を含む。
【0010】
好ましくは、この履き物は、アウトソールをさらに有する。このアウトソールは、ボトムに接合されている。
【0011】
好ましくは、この履き物は、スペーサーとインソールとをさらに有する。このスペーサーは、裏当てに接合される。スペーサーは、踵側に位置する。インソールは、スペーサーの上に載置される。
【0012】
好ましくは、裏当ては、メリヤスからなる基布をさらに含む。この基布と本体とにより、スポンジ層が挟まれている。
【0013】
本発明に係る釣り用履き物の製造方法は、
スポンジ層を含む裏当てによってラストが覆われる工程、
この裏当て及びラストが型に挿入される工程、
この型に流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアッパーを有する本体が成形され、かつこの本体の内面に裏当てが融着される工程
を含む。
【0014】
好ましくは、この製造方法は、
型に他の流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアウトソールが成形され、かつこのアウトソールが上記本体に融着される工程
をさらに含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る釣り用履き物では、スポンジ層を含む裏当てにより、足への苦痛が和らげられる。このブーツでは、本体と裏当てとの積層が容易になされる。このブーツは、低コストで得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る釣り用履き物としてのブーツが示された斜視図である。
【図2】図2は、図1のブーツが示された鉛直方向に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2のブーツのスペーサーが示された拡大斜視図である。
【図5】図5は、図1のブーツの製造に用いられるラストが示された正面図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI線に沿った拡大断面図である。
【図7】図7は、図5のラストが裏当てに覆われた状態が示された正面図である。
【図8】図8は、図7のVIII−VIII線に沿った拡大断面図である。
【図9】図9は、図5のラストが裏当て及び型と共に示された拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1から3に示されたブーツ2は、本体4、アウトソール6、裏当て8、縁飾り10、スペーサー12及びインソール14を備えている。
【0019】
本体4は、ポリマー組成物からなる。この実施形態では、本体4の基材ポリマーは、熱可塑性樹脂である。典型的には、本体4にポリ塩化ビニル(PVC)が用いられる。ポリ塩化ビニルは、柔軟性及び強度に優れる。
【0020】
本体4は、アッパー16とボトム18とからなる。アッパー16は、着用者の脛及び甲に相当する。ボトム18は、着用者の足の裏に相当する。ボトム18は、アッパー16と一体成形されている。
【0021】
アウトソール6は、地面と当接する。アウトソール6の底面には、多数の溝20が形成されている。この溝20は、アウトソール6の地面とのスリップを抑制する。アウトソール6は、樹脂組成物又は架橋されたゴム組成物からなる。成形の容易の観点から、樹脂組成物が好ましい。典型的には、本体4と同様、アウトソール6にポリ塩化ビニル(PVC)が用いられる。アウトソール6は、ボトム18と接合されている。後述されるように、融着によって接合が達成される。
【0022】
裏当て8は、本体4の内面に接合されている。後述されるように、融着によって接合が達成される。図2に示されるように、裏当て8は、基布22とスポンジ層24とからなる。スポンジ層24は、基布22と積層されている。スポンジ層24は、接着剤によって基布22に接合されている。本体4にはスポンジ層24が当接している。換言すれば、スポンジ層24は、本体4と基布22とに挟まれている。
【0023】
スポンジ層24は、気泡を含むポリマー成形体である。スポンジ層24が独立気泡を含んでもよく、連続気泡を含んでもよい。このスポンジ層24は、クッション性に富む。スポンジ層24により、着用者の苦痛が和らげられる。クッション性の観点から、スポンジ層24の厚みは2mm以上が好ましく、3mm以上が特に好ましい。厚みは10mm以下が好ましく、5mm以下が特に好ましい。
【0024】
基布22は、スポンジ層24を保護する。基布22はさらに、着脱時の足の滑りにも寄与する。典型的には、基布22にはメリヤスが用いられる。メリヤスは、伸縮性に富む。メリヤスからなる基布22は、スポンジ層24によるクッション性を阻害しない。基布22に織布が用いられてもよい。
【0025】
縁飾り10は、合成皮革又は人口皮革からなる。縁飾り10は、本体4の上端を覆っている。縁飾り10はさらに、裏当て8の上端を覆っている。縁飾り10は、裏当て8を保護する。縁飾り10は、糸によって本体4及び裏当て8に縫い付けられている。
【0026】
スペーサー12は、本体4に収容されている。スペーサー12は、踵側に位置している。爪先側には、スペーサー12は存在しない。スペーサー12は、接着剤により、又は融着により、裏当て8に接合されている。図4には、このスペーサー12が示されている。このスペーサー12は、複数の縦リブ26と複数の横リブ28とからなる。これらのリブ26、28は、格子状に配置されてる。スペーサー12は、樹脂組成物からなる。典型的には、スペーサー12にポリ塩化ビニルが用いられる。好ましくは、スペーサー12は、射出成形法によって得られる。
【0027】
インソール14は、概して板状である。インソール14は、本体4に収容されている。インソール14の踵側はスペーサー12に載置されており、インソール14の爪先側は本体4のボトム18に載置されている。スペーサー12により、インソール14は概して前下がりに配置されている。この前下がりにより、釣り人は快適な姿勢を保つことが出来る。
【0028】
このブーツ2の製造では、ラスト30が準備される。図5は、このラスト30が示された正面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。このラスト30が、図7及び8に示されるように、裏当て8に覆われる。裏当て8は、靴下に類似の形状である。図9に示されるように、裏当て8に覆われたラスト30が、型32に挿入される。換言すれば、ラスト30は中子として用いられる。図9から明らかなように、型32のキャビティ面34と裏当て8の間には、スペースが形成される。
【0029】
一方、熱可塑性樹脂(典型的にはポリ塩化ビニル)、着色剤等が混練され、樹脂組成物が得られる。この樹脂組成物が射出成形機に投入され、溶融される。この溶融樹脂組成物は、キャビティに注入される。樹脂組成物は、型30のキャビティ面34と裏当て8との間のスペースに充填される。溶融樹脂組成物は、裏当て8と当接する。この樹脂組成物が冷却・固化され、アッパー16及びボトム18からなる本体4が得られる。裏当て8は、この本体4に融着される。さらに、他の溶融樹脂組成物が型に注入され、冷却・固化されてアウトソール6が形成される。このアウトソール6は、本体4のボトム18と融着される。他の流動性ポリマー組成物(例えば未架橋ゴム組成物)が、型30に注入されてもよい。
【0030】
この本体4に、スペーサー12が収容される。このスペーサー12は、裏当て8と接合される。この本体4に、縁飾り10が縫い付けられる。この本体4にさらにインソール14が収容され、ブーツ2が完成する。
【0031】
この製造方法では、裏当て8が本体4と融着される。従って、接着剤による接合のような、熟練した技量は不要である。この製造方法では、射出成形法が採用されているので、高い生産性が達成される。この製造方法により、着用者に苦痛を与えないブーツ2が、容易にかつ低コストで得られうる。
【0032】
このブーツ2にトラウザーが取り付けられ、ウェーダーが構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る釣り用履き物は、種々の釣り場において利用されうる。
【符号の説明】
【0034】
2・・・ブーツ
4・・・本体
6・・・アウトソール
8・・・裏当て
10・・・縁飾り
12・・・スペーサー
14・・・インソール
16・・・アッパー
18・・・ボトム
20・・・溝
22・・・基布
24・・・スポンジ層
26・・・縦リブ
28・・・横リブ
30・・・ラスト
32・・・型
34・・・キャビティ面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、裏当てとを備えており、
上記本体が、アッパーと、このアッパーと一体成形されたボトムとを有しており、
上記裏当てが、上記本体の内面に融着されており、かつスポンジ層を含んでいる釣り用履き物。
【請求項2】
アウトソールをさらに有しており、このアウトソールが上記ボトムに接合されている請求項1に記載の履き物。
【請求項3】
スペーサーとインソールとをさらに有しており、
上記スペーサーが、裏当てに接合され、かつ踵側に位置しており、
上記インソールが、上記スペーサーの上に載置されている請求項1又は2に記載の履き物。
【請求項4】
上記裏当てがメリヤスからなる基布をさらに含んでおり、この基布と本体とによってスポンジ層が挟まれている請求項1から3のいずれかに記載の履き物。
【請求項5】
スポンジ層を含む裏当てによってラストが覆われる工程、
この裏当て及びラストが型に挿入される工程、
この型に流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアッパーを有する本体が成形され、かつこの本体の内面に裏当てが融着される工程
を含む釣り用履き物の製造方法。
【請求項6】
上記型に他の流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアウトソールが成形され、かつこのアウトソールが上記本体に融着される工程
をさらに含む請求項5に記載の製造方法。
【請求項1】
本体と、裏当てとを備えており、
上記本体が、アッパーと、このアッパーと一体成形されたボトムとを有しており、
上記裏当てが、上記本体の内面に融着されており、かつスポンジ層を含んでいる釣り用履き物。
【請求項2】
アウトソールをさらに有しており、このアウトソールが上記ボトムに接合されている請求項1に記載の履き物。
【請求項3】
スペーサーとインソールとをさらに有しており、
上記スペーサーが、裏当てに接合され、かつ踵側に位置しており、
上記インソールが、上記スペーサーの上に載置されている請求項1又は2に記載の履き物。
【請求項4】
上記裏当てがメリヤスからなる基布をさらに含んでおり、この基布と本体とによってスポンジ層が挟まれている請求項1から3のいずれかに記載の履き物。
【請求項5】
スポンジ層を含む裏当てによってラストが覆われる工程、
この裏当て及びラストが型に挿入される工程、
この型に流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアッパーを有する本体が成形され、かつこの本体の内面に裏当てが融着される工程
を含む釣り用履き物の製造方法。
【請求項6】
上記型に他の流動性ポリマー組成物が注入される工程、
及び
このポリマー組成物が固化してアウトソールが成形され、かつこのアウトソールが上記本体に融着される工程
をさらに含む請求項5に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−162259(P2010−162259A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8533(P2009−8533)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
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