液晶表示装置
【課題】垂直配向型の液晶表示装置において柱状スペーサーに起因する光抜けを抑制して表示品位を向上させる。
【解決手段】液晶表示装置は、一対の基板、各基板に設けられた垂直配向膜、一対の基板間に配置された複数の柱状スペーサー、一対の基板間に設けられた液晶層、一対の偏光板を含む。垂直配向膜には一軸配向処理が施され、液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向43は第1方向41に略平行である。各偏光板の吸収軸48と49は互いに略直交し、かつ各々が第1方向及びこれに略直交する第2方向のいずれに対しても略45°の角度で配置される。各柱状スペーサーは、断面が台形状であって上底面、下底面及び当該上底面と下底面の間の2つの斜面を有し、当該2つの斜面の各々を画定する外縁部の平面視における延在方向が第1方向41又は第2方向に対して45°±10°の角度で配置される。
【解決手段】液晶表示装置は、一対の基板、各基板に設けられた垂直配向膜、一対の基板間に配置された複数の柱状スペーサー、一対の基板間に設けられた液晶層、一対の偏光板を含む。垂直配向膜には一軸配向処理が施され、液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向43は第1方向41に略平行である。各偏光板の吸収軸48と49は互いに略直交し、かつ各々が第1方向及びこれに略直交する第2方向のいずれに対しても略45°の角度で配置される。各柱状スペーサーは、断面が台形状であって上底面、下底面及び当該上底面と下底面の間の2つの斜面を有し、当該2つの斜面の各々を画定する外縁部の平面視における延在方向が第1方向41又は第2方向に対して45°±10°の角度で配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直配向型の液晶表示装置における表示品質の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上下基板間に配置された液晶層内の液晶分子が電圧無印加時において各基板に対してほぼ垂直に配向する垂直配向型の液晶表示装置(液晶表示素子)は、上下基板を挟んで配置される各偏光板をクロスニコル配置としたノーマリーブラックモードを採用することで暗状態の透過率を極めて低くすることができる。それにより、コントラスト比が大きく表示品位に優れた液晶表示装置を実現することができる。また、このような垂直配向型の液晶表示装置は、視角補償板を組み合わせることにより視角特性を改善し、表示品質をさらに向上させることができる。このような垂直配向型の液晶表示装置の先行例は、例えば特開2008−281752号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
上記のような垂直配向型の液晶表示装置は、下基板に設けられた下側電極と上基板に設けられた上側電極によって液晶層に電圧を印加することで液晶層の配向状態が制御される。電圧印加方法としては、例えばマルチプレックス駆動法(単純マトリクス駆動法)が用いられる。液晶表示装置の表示部としては主に、表示画像に対応させた形状の電極を用いるセグメント型表示部と、上基板、下基板のそれぞれに設けられたストライプ状の電極を各々の延在方向が交差するように配置し、電極同士の重なった部分のそれぞれを画素とするドットマトリクス型表示部がある。さらに、これらのセグメント側表示部とドットマトリクス表示部を混在させた液晶表示装置も存在する。この場合、低コスト化の要請からセグメント表示部とドットマトリクス表示部を1つの外部駆動回路によって動作させる場合が多い。
【0004】
上記のような液晶表示装置においては、上下基板間の間隔(セル厚)を一定にするために上下基板間に球状スペーサーがランダムに配置される。具体的には、例えば特開2001−21899号公報(特許文献2)に開示されるような乾式散布法によって上下基板のいずれかの基板面に球状スペーサーが散布され、その後、この球状スペーサーを挟んで上下基板が貼り合わされる。しかし、使用する球状スペーサーの種類によっては、球状スペーサーの周辺において液晶層に配向不均一な領域が発生しやすく、当該領域が電圧無印加時における光抜けや電圧印加時の暗領域を生じさせる誘因となる。さらに、散布状態がランダムであるため、外観的にはマット状に光抜けが観察される場合もある。また、球状スペーサーの散布時に、複数個の球状スペーサーが凝集してしまう場合もある。この場合には、光抜け箇所の面積がより大きくなるため、外観上は白点として観察される不具合となる。
【0005】
これに対して、上下基板間の意図した場所に感光性樹脂等からなる柱状スペーサーを設けることによって基板間隔を維持する構造の液晶表示装置が提案されている。このような液晶表示装置では、配向不良が発現しにくい位置を選んで柱状スペーサーを配置することができるため、液晶表示装置の表示品位の向上を図ることが可能となる。このような柱状スペーサーは、例えば、複数の画素がマトリクス状に配置されたドットマトリクス型の液晶表示装置に用いられる場合であれば、各画素の間に設けられた遮光膜(ブラックマトリクス)の下に配置し、画素内には配置されないようにすることができる。それにより、柱状スペーサーの周囲に発生する光抜けや配向不良による表示不均一を外観上視認されないようにすることができる。
【0006】
ところで、上記した垂直配向型の液晶表示装置をノーマリーブラック型に構成し、マルチプレックス駆動により動作させてモノクロ表示を実現する場合には、低コスト化などの観点からブラックマトリクスを用いない場合が多い。この場合、上記したように柱状スペーサーをブラックマトリクスの下に配置することができない。このため、柱状スペーサーに起因する光抜けや表示不均一が外観上視認されやすくなる。
【0007】
このような光抜け等は、柱状スペーサーの断面形状が傾斜のついたテーパー形状(台形状)となることにより生じるものと考えられる。一般に、柱状スペーサーは感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィー法により形成される。この場合、柱状スペーサーはその平面視における形状によらず断面形状はテーパー形状になるのがほとんどである。このような断面テーパー形状の柱状スペーサーの上面から垂直配向膜を形成すると、多くの場合、柱状スペーサーのテーパー状の斜面にも垂直配向膜が形成される。このため、柱状スペーサーの斜面付近では液晶層の液晶分子がこの斜面に対して垂直に配向することになり、基板面を基準としてみると液晶分子が基板面に対して90°またはそれに近い状態ではなくなり、プレティルト角が大きく発現した状態となる。したがって、偏光板がクロスニコル配置とされている場合には、液晶層のうち、柱状スペーサーの斜面付近でプレティルト角が大きく発現した部分では複屈折効果が発揮されてしまうことにより透過率が上昇し、これが光抜けとして視認されることになる。
【0008】
さらに、上記のようなマルチプレックス駆動により動作させるモノクロ表示型の液晶表示装置では、遮光膜を用いないことに加え、画素のサイズが任意であり、画素を比較的大きなサイズにする場合もあることから、セグメント表示部だけでなくドットマトリクス表示部にでも画素内に柱状スペーサーを配置する必要が生じる場合がある。これらの画素の領域ではマルチプレックス駆動時に閾値電圧よりも高いオフ電圧が印加される場合もある。この場合、特に上記したような柱状スペーサーの斜面によりプレティルト角が大きく発現した部分ではプレティルト角が90°またはそれに近い部分よりも同じ電圧下での透過率がより大きくなってしまい光抜けが顕著となり、表示品位が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−281752号公報
【特許文献2】特開2001−21899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明に係る具体的態様は、垂直配向型の液晶表示装置において柱状スペーサーに起因する光抜けを抑制して表示品位を向上させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、(a)対向配置された第1基板及び第2基板と、(b)第1基板の一面側に設けられた第1電極と、(c)第2基板の一面側に設けられた第2電極と、(d)第1基板の一面側に設けられた第1垂直配向膜と、(e)第2基板の一面側に設けられた第2垂直配向膜と、(f)第1基板と第2基板の間において少なくとも第1電極と第2電極の重畳する領域内に配置された複数の柱状スペーサーと、(g)第1基板と第2基板の相互間に設けられた液晶層と、(h)第1基板及び第2基板を挟んで対向配置された第1偏光板及び第2偏光板を含み、(i)第1垂直配向膜と第2垂直配向膜の少なくとも一方には一軸配向処理が施され、(j)液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が第1方向に対して略平行であり、(k)第1偏光板と第2偏光板の各吸収軸は、互いに略直交し、かつ各々が第1方向及びこれに略直交する第2方向のいずれに対しても略45°の角度で配置され、(l)複数の柱状スペーサーは、各々、断面が台形状であって上底面、下底面及び当該上底面と下底面の間の2つの斜面を有し、当該2つの斜面の各々を画定する外縁部の平面視における延在方向が第1方向又は第2方向に対して45°±10°の角度で配置された、ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0012】
上記の液晶表示装置によれば、各柱状スペーサーの斜面付近で液晶層の配向乱れが生じることによりこの領域でのプレティルト角が他の領域と異なった場合にも、複屈折効果が発揮されてしまうことによる透過率の上昇を生じないようにして光抜けを抑制し、表示品位を向上させることが可能となる。
【0013】
上記の液晶表示装置においては、第1垂直配向膜又は第2垂直配向膜の一方は、複数の柱状スペーサーの各々の2つの斜面にも設けられていてもよい。
【0014】
上記の液晶表示装置において、複数の柱状スペーサーの各々は、例えば平面視において一方向に延びた帯状を呈してもよい。またこの場合に、複数の柱状スペーサーは、隣り合う柱状スペーサー同士の長手方向が互い違いとなるように配置されていてもよい。また、複数の柱状スペーサーの各々は、平面視においてひし形状を呈してもよい。
【0015】
各柱状スペーサーが上記に例示したいずれの形状であっても、柱状スペーサーに起因する光抜けを好適に抑制し得る。
【0016】
上記の液晶表示装置において、複数の柱状スペーサーの各々は、例えば2つの斜面の各々と下底面のなす角度をそれぞれ10°〜20°とすることができる。
【0017】
これによれば、柱状スペーサーに起因する光抜けをより好適に抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
【図2】柱状スペーサーの拡大図である。
【図3】柱状スペーサー、偏光板、配向処理方向のそれぞれの配置状態について説明するための図である。
【図4】柱状スペーサーの具体的な配置例を示す平面図である。
【図5】液晶表示装置の画素形状例を示す図である。
【図6】柱状スペーサーの配置例を示す図である。
【図7】理論的検討に用いる液晶表示装置の構造モデルを示す模式的な断面図である。
【図8】下底長さに対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。
【図9】柱状スペーサーのテーパー角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。
【図10】柱状スペーサーの斜面の法線と偏光板の吸収軸間の角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。
【図11】変形例の柱状スペーサーの形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図1に示す本実施形態の液晶表示装置は、上下基板間に配置された液晶層内の液晶分子が電圧無印加時において各基板に対してほぼ垂直に配向する垂直配向型の液晶表示装置であり、上下基板を挟んで配置される各偏光板をクロスニコル配置としたノーマリーブラックモードを採用している。本実施形態の液晶表示装置は、例えば有効表示領域内にマトリクス型表示部とセグメント型表示部を備えている。図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置は、対向配置された上側基板(第1基板)11および下側基板(第2基板)12と、両基板の間に配置された液晶層17を基本構成として備える。液晶層17の周囲はシール材19によって封止されている。
【0021】
上側基板11は、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。下側基板12は、上側基板11と同様に、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。図示のように、上側基板11と下側基板12は、各々に設けられた上側電極13と下側電極14とが対向するようにして、所定の間隙(例えば数μm程度)を設けて貼り合わされている。
【0022】
上側電極13は、上側基板11の一面側に設けられている。同様に、下側電極14は、下側基板12の一面側に設けられている。上側電極13および下側電極14は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。これらの上側電極13と下側電極14の重なる領域において、上記したセグメント表示部およびマトリクス表示部が形成される。
【0023】
配向膜15は、上側基板11の一面側に、上側電極13を覆うようにして設けられている。同様に、配向膜16は、下側基板12の一面側に、下側電極14を覆うようにして設けられている。これらの配向膜15、16は、液晶層17の配向状態を規制するものである。本実施形態では、配向膜15、16として垂直配向膜を用いる。各配向膜15、16にはラビング処理等の一軸配向処理が施されている。
【0024】
液晶層17は、上側基板11の上側電極13と下側基板12の下側電極14との間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負の液晶材料を用いて液晶層17が構成される。液晶層17に図示された太線は、液晶層17における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が上側基板11および下側基板12の各基板面に対して略垂直となる垂直配向モードに設定されている。
【0025】
各柱状スペーサー18は、上側基板11と下側基板12の間に配置されており、上側基板11から下側基板12に向かって末萎みのテーパー断面形状(略台形状の断面形状)に形成されている。各柱状スペーサー18は、透明樹脂あるいは所望の着色がなされた樹脂(ブラック樹脂、カラー透明樹脂等)を用いて形成されている。
【0026】
上側偏光板21は、上側基板11の外側に配置されている。同様に、下側偏光板22は、下側基板12の外側に配置されている。上側偏光板21と下側偏光板22は、各々の吸収軸が互いに略直交するように配置されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22の各吸収軸は、配向処理の方向に対応して定義される液晶層17の層厚方向の略中央における液晶分子(以下「液晶層中央分子」と称する。)の配向方向に対して略45°の角度をなす位置に設定される。なお、各偏光板と各基板との間には適宜Cプレート等の光学補償板が配置されてもよい。例えば本実施形態では、上側基板11と上側偏光板21の間、下側基板12と下側偏光板22の間のそれぞれに光学補償板23、24が配置されている。
【0027】
図2は、柱状スペーサーの拡大斜視図である。柱状スペーサー18は、それぞれ一方向に延在するストライプ状の形状に設けられている。図2に示すように、各柱状スペーサー18は、2つの斜面31と、上底面32および下底面33を有しており、かつ直線状の外縁部34、35を有している。各外縁部34、35は、各斜面31を区画する輪郭の一部である。各斜面31の傾斜角度は、下底33を基準として10〜20°程度である。このような斜面31は柱状スペーサー18の形成時、フォトリソグラフィなどの影響によって生じてしまう。
【0028】
図3は、柱状スペーサー、偏光板、配向処理方向のそれぞれの配置状態について説明するための図である。詳細には、図3(A)および図3(B)はそれぞれ一実施形態の液晶表示装置における柱状スペーサー等の配置状態を示す図であり、図3(C)および図3(D)はそれぞれ比較例の液晶表示装置における柱状スペーサー等の配置状態を示す図である。図3においてはいずれも複数の柱状スペーサーが表示面内において等間隔にて一方向に延在するよう配置される。
【0029】
図3(A)に示す実施形態の液晶表示装置では、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)に対して45°±10°に設定されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22は、一方の吸収軸方向48が液晶表示装置の上下方向および左右方向のいずれに対しても略45°に設定され、他方の吸収軸方向49が一方の吸収軸方向48に対して略直交に設定されている。また、各配向膜15、16は、一方の配向処理方向43と他方の配向処理方向44が液晶表示装置の上下方向(紙面の上下方向)に設定されており、かつ互いに逆方向に設定されている。これにより、液晶層17の液晶層中央分子の方向41は、図示のような液晶表示装置の上方向(12時方向)、あるいは下方向(6時方向)に設定される。また、図3(B)に示す実施形態の液晶表示装置は、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)に対して135°±10°(−45°±10°)に設定されている点を除いて図3(A)の実施形態と同様である。これらの実施形態によれば、上側電極13と下側電極14の間に閾値以上の電圧を印加した明表示時やオフ電圧を印加した暗表示時のいずれにおいても、柱状スペーサー18の各斜面31の付近における光抜けを抑制し、かつ明表示時における左右方向の視角特性の左右対称性を実現して表示品位を改善することができる。
【0030】
図3(C)に示す比較例1の液晶表示装置では、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)と略平行に設定されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22は、一方の吸収軸方向48が液晶表示装置の上下方向および左右方向のいずれに対しても略45°に設定され、他方の吸収軸方向49が一方の吸収軸方向48に対して略直交に設定されている。また、各配向膜15、16の各配向処理方向43、44は上記した実施形態と同様に液晶表示装置の上下方向に設定され、かつ互いに逆方向に設定されており、液晶層中央分子の方向41は上方向(12時方向)に設定されている。このような比較例1の液晶表示装置では、柱状スペーサー18の斜面31の影響により局所的に傾斜配向する液晶分子の配向方向と各偏光板の吸収軸方向との関係が複屈折効果を最大限に発揮される状態であるため、柱状スペーサー18の斜面31に起因する光抜けが著しく観察される。
【0031】
図3(D)に示す比較例2の液晶表示装置では、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)と略平行に設定されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22は、一方の吸収軸方向48が各柱状スペーサー18の延在方向40と平行(すなわち液晶表示装置の左右方向と平行)またはその状態から±10°以内に設定され、他方の吸収軸方向49が一方の吸収軸方向48に対して略直交に設定されている。また、各配向膜15、16の各配向処理方向43、44は上記した実施形態と同様に液晶表示装置の上下方向に設定され、かつ互いに逆方向に設定されており、液晶層中央分子の方向41は上方向(12時方向)に設定されている。このような比較例2の液晶表示装置では、柱状スペーサー18の斜面31に起因する光抜けが抑制され、またはほぼ完全に観察されなくなる。しかし、この比較例2の液晶表示装置では、上側基板11および下側基板12の各基板面における液晶分子の配向方向が柱状スペーサー18の延在方向40に対して略直交であることから、液晶層中央分子の方向41は吸収軸方向48に対して略直交し、吸収軸方向49に対して略平行となるため、電圧印加による明表示を実現できないという問題がある。
【0032】
なお、比較例2の液晶表示装置においては、液晶層17の液晶材料に予めカイラル材を添加しておき、特に、液晶層厚dとして液晶材料のカイラルピッチをpとしたときにd/p>0.6の条件が満たされるようにした場合であれば、電圧印加時に液晶層17がねじれ配向状態に転移することから、明表示を実現可能である。ただし、これは液晶層のリタデーション(液晶層厚dと液晶材料のΔnの積)を450nm以上と大きく設定した場合に有効な方法である。しかしながら、この方法は、カイラル材を添加し、かつカイラルピッチを精密にコントロールしなければならない等により、手間がかかるためあまり好ましくない。さらに、この方法では明表示時の明るさがそれほど良好でないという問題も残る。
【0033】
図4は、柱状スペーサーの具体的な配置例を示す平面図である。なお、ここでは図示の都合上、各柱状スペーサーは単純な矩形により表し、斜面等の詳細な描写は省略している。例えば、図4(A)は、一方向に対して比較的に長い状態に形成した柱状スペーサー18を液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向(左右方向に対して135°±10°の方向)に延在させて配置した例を示す。また、図4(B)は、比較的に短い状態に形成した複数の柱状スペーサー18を一方向に間欠的に配列し、かつ各々を液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向(左右方向に対して135°±10°の方向)に向けて配置した例を示す。
【0034】
また、図4(C)は、比較的に短い状態に形成した複数の柱状スペーサー18を一方向に間欠的に配列し、かつ液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向と135°±10°の方向のそれぞれに互い違いに向けて配置した例を示す。別言すると、複数の柱状スペーサー18は、全体としては液晶層中央分子の方向41に沿って延在して配置され、かつ45°±10°の方向と135°±10°の方向のそれぞれに交互に屈曲させて配置されている。ここで、図中の上下方向で隣り合う柱状スペーサー18同士の間(屈曲点)には間欠部分(隙間)が設けられている。多くの場合、屈曲点においては光抜けが生じやすい傾向があるため、このように間欠部分を設けることは特に電圧無印加時およびオフ電圧印加時の暗表示における光抜けの抑制に効果を発揮する。
【0035】
図4(D)は、比較的に短い状態に形成した複数の柱状スペーサー18をそれぞれの延在方向が90°±10°異なるようにし、かつ各々が液晶層中央分子の方向41に対して略45°±10°の方向となるようにして配置した例を示す。ここでは4つの柱状スペーサー18の各々の一端が近接する箇所である交差点に間欠部分を設けているが、交差点以外の部分に間欠部分を設けてもよい。
【0036】
図4(E)は、相対的に長い柱状スペーサー18と短い柱状スペーサー18を液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向と135°±10°の方向のそれぞれに交互に向けて配置した例を示す。ここでも、図示のように上下方向で隣り合う柱状スペーサー18同士の間(屈曲点)に間欠部分(隙間)を設けたほうが電圧無印加時およびオフ電圧印加時の暗表示における光抜けの抑制に効果的である。図4に記した柱状スペーサーはいずれも液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°もしくは135°±10°の方向へ直線的に延在するテーパー面を有する形状となっている。テーパー面は20μm以上延在させることが好ましい。
【0037】
なお、上記に例示した柱状スペーサー18は液晶表示装置の表示部の形状に関わらずに適用可能であり、セグメント表示部とドットマトリクス表示部のいずれにも適用できる。次に、ドットマトリクス表示部におけるいくつかの画素形状例とそれに対する柱状スペーサー18の配置例について説明する。
【0038】
図5は、液晶表示装置の画素形状例を示す図である。また、図6は、柱状スペーサーの配置例を示す図である。図5(A)には、長方形状の複数の画素を各々の外縁部が液晶表示装置の上下方向および左右方向のいずれに対しても斜め方向に向くように配置した画素形状例が示されている。図5(A)に示す各画素の直線状の外縁部は、上側偏光板21および下側偏光板22の各吸収軸方向と平行あるいは直交して配置されている。この場合には、図6(A)および図6(B)にそれぞれ示すように、各柱状スペーサー18は、それぞれの延在方向(長手方向)を各画素の外縁部と略平行にして各画素の相互間に配置される。
【0039】
図5(B)には、液晶表示装置の左右方向に対して略平行な外縁部と液晶表示装置の上下方向および左右方向に対して「くの字状」に屈曲した外縁部によって画定される複数の画素を液晶表示装置の上下方向および左右方向に沿って規則的に配列して画素形状例が示されている。図5(B)に示す各画素の屈曲した外縁部は、上側偏光板21および下側偏光板22のいずれかの吸収軸方向と平行方向又はこれと±10°の方向に配置されている。この場合には、図6(C)に示すように、各柱状スペーサー18は、屈曲した外縁部に沿って平行に帯状に配置し、または間欠的に配置される。
【0040】
図5(C)には、液晶表示装置の左右方向に対してジグザクに屈曲した外縁部と液晶表示装置の上下方向および左右方向に対して「くの字状」に屈曲した外縁部によって画定される複数の画素を液晶表示装置の上下方向および左右方向に沿って規則的に配列して画素形状例が示されている。図示の例では、上下方向に屈曲した外縁部の屈曲点の周期に対して左右方向に屈曲した外縁部の屈曲点の周期が1/3となっている。この場合には、図6(D)に示すように、各柱状スペーサー18は、屈曲点の周期が短いほうの外縁部に沿って平行に帯状に配置し、または間欠的に配置される。なお、この図5(C)に示す形状例の画素においては、各外縁部の屈曲点が2つ以上で屈曲点の周期は50μm以上であることが好ましい。この条件を満たすことにより、画素の外縁部に沿って柱状スペーサー18を配置することにより、柱状スペーサー18に起因する光抜けの抑制に効果的である。図6のように画素の外縁に各柱状スペーサーを配置する場合も、図4同様に柱状スペーサーはいずれも液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°もしくは135°±10°の方向に直線的に延在するテーパー面を有する形状となっている。よって、各画素の形状も、各辺が液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°もしくは135°±10°の方向に直線的に延在する形状であることが好ましい。
【0041】
次に、柱状スペーサーの直線状の外縁部と各偏光板の吸収軸方向との位置関係について理論的な面から検討する。
【0042】
図7は、理論的検討に用いる液晶表示装置の構造モデルを示す模式的な断面図である。図7に示す構造モデルの液晶表示装置は、対向配置された基板111および基板112、基板111の一面に設けられた垂直配向膜115、基板112の一面に設けられた垂直配向膜116、基板111と基板112の各一面の間に配置された液晶層117、基板112の一面上に設けられた断面テーパー形状の柱状スペーサー118、基板111の外側に配置された偏光板121、基板112の外側に配置された偏光板122を備える。垂直配向膜116は、図示のように基板112の一面を覆い、かつ柱状スペーサー118の表面を覆って設けられている。
【0043】
理論的検討の前提として、液晶層117の液晶分子は各垂直配向膜115、116と液晶層117の界面で垂直に配向するものとした。また、柱状スペーサー118の斜面(テーパー面)では垂直配向膜116の作用によりこの斜面に対して液晶分子が垂直に配向するものとした。また、柱状スペーサー118の斜面近傍では液晶分子が基板112の基板面に対して傾斜して配向することになり、柱状スペーサー118の斜面と基板111の垂直配向膜との間では液晶分子の傾斜角が徐々に(線形的に)変化するハイブリッド配向状態になるものとした。また、偏光板121、122は、各々の吸収軸を直交配置とし、かつ各吸収軸方向を柱状スペーサー118のテーパー斜面の垂線に対して45°に配置されるものとした。各偏光板121、122の偏光特性は理想的なものであるとした。
【0044】
次に、柱状スペーサー118の部分における透過率の計算方法について説明する。基板111、112の法線方向から観察したときの液晶層117内の常光屈折率Noと異常光屈折率Neは液晶材料の常光屈折率をnx、異常光屈折率をnyとすると下記の式によって表される。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
ここで、θは液晶層117内の層厚方向における液晶分子の平均傾斜角である。ここでは基板面に対して液晶分子が垂直に配向するときをθ=0と定義した。また、柱状スペーサー118の斜面と基板111の間における液晶分子の平均傾斜角θは、テーパー角(θT)/2と定義した。なお、厳密には柱状スペーサー118の斜面から基板111にかけて液晶分子の平均傾斜角は徐々に変化するが、ここでは計算を簡素化するために上記のような仮定を導入した。
【0048】
このとき、液晶層117における透過光強度Tは、各偏光板121、122として理想的な特性のものを用いていることから、下記の式で表せる。
【0049】
【数3】
【0050】
ここで、ψは柱状スペーサー118の斜面の法線と一方の偏光板の吸収軸がなす角度(平面視における角度)であり、dは液晶層117の層厚であり、λは入射光の波長である。また、柱状スペーサー118の斜面に起因する光抜けは柱状スペーサー118の下底長さL2から上底長さL1を減算して得られるテーパー幅L3の領域で発生すると定義し、かつ柱状スペーサー118の斜面と基板111の間では液晶層117の層厚が線形的に変化しているものと仮定した。したがって、柱状スペーサー118の上底部分には液晶層117が存在しないことからこの領域では光抜けは生じない。
【0051】
また、透過率の計算にあたっては、柱状スペーサー118の高さL4を3μm、上底長さL1を7μm、液晶材料の常光屈折率nxを1.5、異常光屈折率nyを1.6、入射光の波長λを550nmと仮定し、柱状スペーサー118の単位長さ当たりの光抜け(透過率)を上記計算式に代入して計算した。
【0052】
図8は、下底長さに対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。また、図9は、柱状スペーサー118のテーパー角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。なお、図8、図9のいずれにおいても透過率を表す縦軸は対数表示としている。図8に示すように、下底長さに対する透過率は片対数グラフにおいてほぼ直線的な変化を示すことが分かる。一方、図9に示すように、テーパー角度に対する透過率は曲線的な変化を示しており、テーパー角度が低いほど光抜けが少なく(透過率が低く)、テーパー角度が大きくなると光抜けが大幅に上昇する傾向が観察される。
【0053】
しかし、柱状スペーサー118の斜面(テーパー斜面)の法線と偏光板吸収軸間の角度を調整すれば光抜けを大幅に抑制できる。図10は、柱状スペーサーの斜面の法線と偏光板の吸収軸間の角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。本計算は柱状スペーサー118の斜面の法線と偏光板の吸収軸間の角度を上記ψとして導入した結果である。なお、柱状スペーサー118の下底長さL2は25μmに固定し、その他は上記と同様の計算条件とした。図10に示すように、テーパー斜面の法線と偏光板吸収軸間の角度を小さくして平行にしたときには光抜けをゼロにできることが分かる。ただし、その角度が10°であっても透過率は0.0007と45°のときの透過率0.0062の約1/8以下に抑制できるため、ほぼ光抜けがない状態を実現できると考えられる。よって、柱状スペーサー118の直線状に伸びる外縁部と偏光板吸収軸との交差する角度は45°から±10°までは許容され得るといえる。
【0054】
次に、本発明に係る液晶表示装置の実施例を説明する。
【0055】
始めに、上側電極を有する上側基板、下側電極を有する下側基板をそれぞれ作製した。具体的には、片面が研磨処理され、その表面にSiO2アンダーコートが施された後、ITO(インジウム錫酸化物)からなる透明電極が成膜された一対のガラス基板を用意した。これらのガラス基板の透明電極に対してフォトリソグラフィー工程及びエッチング工程を行うことにより所望の形状にパターニングした。なお、本実施例では省略しているが、必要に応じて、パターニングされた透明電極の一部表面上にSiO2などによる絶縁層を0.1mm程度形成してもよい。
【0056】
次に、上側基板側、もしくは下側基板側に、感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィー工程を実行することにより柱状スペーサーを形成した。例えば、透明ネガ型の感光性樹脂材料をスピンナーにて基板上に滴下し、この基板を30秒間程度回転させることにより、感光性樹脂膜を所望の厚さに成膜し、これをホットプレート上にて100℃、120秒間で仮焼成した。なお、膜厚はスピンナーの回転数によって略0.5μm〜略5μmまで制御可能である。また、スピンナーに代えてスリットコート装置によって感光性樹脂材料を塗布することで略10μm程度まで膜厚を制御可能である。このようにして成膜した感光性樹脂膜に対して、高圧水銀ランプを光源とする密着露光機によって、所望の柱状スペーサーの形状に応じた露光パターンを有するフォトマスクを介して、感光性樹脂膜とフォトマスクを略密着させた状態で紫外線を照射した。その後、濃度1%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に浸漬することにより感光性樹脂膜の現像を行い、純水にてリンスし、基板乾燥後、クリーンオーブン内にて220℃、30分間の本焼成を行った。これにより、基板の電極面上に柱状スペーサーが形成された。
【0057】
次に、上側基板および下側基板のそれぞれに垂直配向膜を形成した。まず、上側基板および下側基板に対して、弱アルカリ溶液および純水によるブラシ洗浄を行い、各基板を乾燥し、低圧水銀ランプまたは酸素キャリアを用いた大気圧プラズマ等によるドライ洗浄を行った。その後、垂直配向膜材料を各基板上にフレキソ印刷法にて塗布し、クリーンオーブン内にて90℃で略5分間の仮焼成および180℃で30分間の本焼成を行った。
【0058】
垂直配向膜の形成後、綿製ラビング布を用いて、各基板共に基板面内の一方向に配向処理の1つであるラビング処理を施した。なお、いずれか一方の基板のみにラビング処理を施してもよく、その場合には柱状スペーサーが形成されていない基板をラビング処理することが好ましい。
【0059】
次に、一方の基板(例えば、下側基板)に熱硬化型シール材をディスペンサーにて所望のパターンに塗布した。このとき、シール材内に柱状スペーサーの高さよりも小さい径のガラススペーサーと、上側基板と下側基板の所定位置を導通させるための導電性粒子の一方または両方を混入してもよい。その後、上側基板と下側基板を、双方の電極面が対向し、かつラビング方向がアンチパラレルになるようにして貼り合わせ、120℃の熱圧着にてシール材を硬化させた。焼成時間は1時間以上である。
【0060】
次に、貼りあわされた上側基板と下側基板の間隙に液晶材料を真空注入法によって注入後、基板面をプレスすることにより、余分に注入された液晶材料を排出した。その後、紫外線硬化樹脂を液晶材料の注入口へ塗布し、プレス状態を開放することにより紫外線硬化樹脂をわずかに注入口から浸透させ、紫外線照射することによりこの樹脂を硬化させて注入口を封止した。これにより、基板間に液晶層が形成された。封止後、オーブンにて120℃、1時間の熱処理を行い、中性洗剤等で浸漬洗浄後、純水リンスを行い、乾燥させた。
【0061】
次に、上側基板および下側基板の各々の外側に偏光板を貼り合わせた。各偏光板は、互いの吸収軸がクロスニコル配置となるように配置された。最後に、フレキシブル基板またはリードフレームを取り付けて液晶表示装置を完成させた。なお、液晶層におけるプレティルト角は略89.8°〜89°に設定した。また、セル厚の実測値は約1.8μm程度であり、液晶層のリタデーションは略280nmであった。
【0062】
上記のようにして、柱状スペーサーの外縁部の延在方向と一方の偏光板の吸収軸方向とを平行とした場合、両者のなす角度を10°とした場合、両者のなす角度を15°とした場合のそれぞれについて実施例の液晶表示装置を作製し、光抜けについて評価した。その結果、理論的検討と同様な結果が得られた。すなわち、柱状スペーサーの外縁部の延在方向と一方の偏光板の吸収軸方向とを平行とした場合には柱状スペーサーに起因する光抜けが生じない状態となり、両者のなす角度を10°とした場合には多少の光抜けが生じるものの実用上問題とならないレベルに光抜けを抑制することができた。他方で、柱状スペーサーの外縁部の延在方向と一方の偏光板の吸収軸方向のなす角度を15°とした場合には、実用上問題となるレベルの顕著な光抜けが生じた。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態並びに実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態等では、平面視において一方向に延びた矩形状の柱状スペーサーについて例示していたが、柱状スペーサーの形状はこれに限定されない。
【0064】
図11は、変形例の柱状スペーサーの形状を示す図である。図11に示すように、柱状スペーサー18aの平面視における形状は菱形であってもよい。この場合には、柱状スペーサー18aの平面視形状を画定する4つの外縁部がそれぞれ各偏光板の吸収軸方向と平行または直交から±10°の範囲に収まるように両者を配置し、かつ液晶層中央分子の配向方向を各偏光板の吸収軸方向に対して略45°方向に設定すればよい。このような配置とすることで4つの外縁部すべてが図4における延在する辺に該当することになる。この場合、一辺は20μm以上であることが好ましい。特にこの菱形の柱状スペーサーは表示部内、すなわち画素内にスペーサーを配置しなければならないときは効果的に作用すると考えられる。さらに、この菱形の柱状スペーサーと上記した矩形状の柱状スペーサーを併用し、矩形状の柱状スペーサーについては画素エッジに配置するようにしてもよい。
【0065】
また、上記した実施形態等では各柱状スペーサーの斜面に垂直配向膜が形成されていたが、各柱状スペーサーの斜面には垂直配向膜が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0066】
11:上側基板
12:下側基板
13:上側電極
14:下側電極
15、16:配向膜
17:液晶層
18:柱状スペーサー
21:上側偏光板
22:下側偏光板
23、24:光学補償板
31:柱状スペーサーの斜面
32:柱状スペーサーの上底面
33:柱状スペーサーの下底面
34、35:柱状スペーサーの外縁部(輪郭)
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直配向型の液晶表示装置における表示品質の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上下基板間に配置された液晶層内の液晶分子が電圧無印加時において各基板に対してほぼ垂直に配向する垂直配向型の液晶表示装置(液晶表示素子)は、上下基板を挟んで配置される各偏光板をクロスニコル配置としたノーマリーブラックモードを採用することで暗状態の透過率を極めて低くすることができる。それにより、コントラスト比が大きく表示品位に優れた液晶表示装置を実現することができる。また、このような垂直配向型の液晶表示装置は、視角補償板を組み合わせることにより視角特性を改善し、表示品質をさらに向上させることができる。このような垂直配向型の液晶表示装置の先行例は、例えば特開2008−281752号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
上記のような垂直配向型の液晶表示装置は、下基板に設けられた下側電極と上基板に設けられた上側電極によって液晶層に電圧を印加することで液晶層の配向状態が制御される。電圧印加方法としては、例えばマルチプレックス駆動法(単純マトリクス駆動法)が用いられる。液晶表示装置の表示部としては主に、表示画像に対応させた形状の電極を用いるセグメント型表示部と、上基板、下基板のそれぞれに設けられたストライプ状の電極を各々の延在方向が交差するように配置し、電極同士の重なった部分のそれぞれを画素とするドットマトリクス型表示部がある。さらに、これらのセグメント側表示部とドットマトリクス表示部を混在させた液晶表示装置も存在する。この場合、低コスト化の要請からセグメント表示部とドットマトリクス表示部を1つの外部駆動回路によって動作させる場合が多い。
【0004】
上記のような液晶表示装置においては、上下基板間の間隔(セル厚)を一定にするために上下基板間に球状スペーサーがランダムに配置される。具体的には、例えば特開2001−21899号公報(特許文献2)に開示されるような乾式散布法によって上下基板のいずれかの基板面に球状スペーサーが散布され、その後、この球状スペーサーを挟んで上下基板が貼り合わされる。しかし、使用する球状スペーサーの種類によっては、球状スペーサーの周辺において液晶層に配向不均一な領域が発生しやすく、当該領域が電圧無印加時における光抜けや電圧印加時の暗領域を生じさせる誘因となる。さらに、散布状態がランダムであるため、外観的にはマット状に光抜けが観察される場合もある。また、球状スペーサーの散布時に、複数個の球状スペーサーが凝集してしまう場合もある。この場合には、光抜け箇所の面積がより大きくなるため、外観上は白点として観察される不具合となる。
【0005】
これに対して、上下基板間の意図した場所に感光性樹脂等からなる柱状スペーサーを設けることによって基板間隔を維持する構造の液晶表示装置が提案されている。このような液晶表示装置では、配向不良が発現しにくい位置を選んで柱状スペーサーを配置することができるため、液晶表示装置の表示品位の向上を図ることが可能となる。このような柱状スペーサーは、例えば、複数の画素がマトリクス状に配置されたドットマトリクス型の液晶表示装置に用いられる場合であれば、各画素の間に設けられた遮光膜(ブラックマトリクス)の下に配置し、画素内には配置されないようにすることができる。それにより、柱状スペーサーの周囲に発生する光抜けや配向不良による表示不均一を外観上視認されないようにすることができる。
【0006】
ところで、上記した垂直配向型の液晶表示装置をノーマリーブラック型に構成し、マルチプレックス駆動により動作させてモノクロ表示を実現する場合には、低コスト化などの観点からブラックマトリクスを用いない場合が多い。この場合、上記したように柱状スペーサーをブラックマトリクスの下に配置することができない。このため、柱状スペーサーに起因する光抜けや表示不均一が外観上視認されやすくなる。
【0007】
このような光抜け等は、柱状スペーサーの断面形状が傾斜のついたテーパー形状(台形状)となることにより生じるものと考えられる。一般に、柱状スペーサーは感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィー法により形成される。この場合、柱状スペーサーはその平面視における形状によらず断面形状はテーパー形状になるのがほとんどである。このような断面テーパー形状の柱状スペーサーの上面から垂直配向膜を形成すると、多くの場合、柱状スペーサーのテーパー状の斜面にも垂直配向膜が形成される。このため、柱状スペーサーの斜面付近では液晶層の液晶分子がこの斜面に対して垂直に配向することになり、基板面を基準としてみると液晶分子が基板面に対して90°またはそれに近い状態ではなくなり、プレティルト角が大きく発現した状態となる。したがって、偏光板がクロスニコル配置とされている場合には、液晶層のうち、柱状スペーサーの斜面付近でプレティルト角が大きく発現した部分では複屈折効果が発揮されてしまうことにより透過率が上昇し、これが光抜けとして視認されることになる。
【0008】
さらに、上記のようなマルチプレックス駆動により動作させるモノクロ表示型の液晶表示装置では、遮光膜を用いないことに加え、画素のサイズが任意であり、画素を比較的大きなサイズにする場合もあることから、セグメント表示部だけでなくドットマトリクス表示部にでも画素内に柱状スペーサーを配置する必要が生じる場合がある。これらの画素の領域ではマルチプレックス駆動時に閾値電圧よりも高いオフ電圧が印加される場合もある。この場合、特に上記したような柱状スペーサーの斜面によりプレティルト角が大きく発現した部分ではプレティルト角が90°またはそれに近い部分よりも同じ電圧下での透過率がより大きくなってしまい光抜けが顕著となり、表示品位が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−281752号公報
【特許文献2】特開2001−21899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明に係る具体的態様は、垂直配向型の液晶表示装置において柱状スペーサーに起因する光抜けを抑制して表示品位を向上させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、(a)対向配置された第1基板及び第2基板と、(b)第1基板の一面側に設けられた第1電極と、(c)第2基板の一面側に設けられた第2電極と、(d)第1基板の一面側に設けられた第1垂直配向膜と、(e)第2基板の一面側に設けられた第2垂直配向膜と、(f)第1基板と第2基板の間において少なくとも第1電極と第2電極の重畳する領域内に配置された複数の柱状スペーサーと、(g)第1基板と第2基板の相互間に設けられた液晶層と、(h)第1基板及び第2基板を挟んで対向配置された第1偏光板及び第2偏光板を含み、(i)第1垂直配向膜と第2垂直配向膜の少なくとも一方には一軸配向処理が施され、(j)液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が第1方向に対して略平行であり、(k)第1偏光板と第2偏光板の各吸収軸は、互いに略直交し、かつ各々が第1方向及びこれに略直交する第2方向のいずれに対しても略45°の角度で配置され、(l)複数の柱状スペーサーは、各々、断面が台形状であって上底面、下底面及び当該上底面と下底面の間の2つの斜面を有し、当該2つの斜面の各々を画定する外縁部の平面視における延在方向が第1方向又は第2方向に対して45°±10°の角度で配置された、ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0012】
上記の液晶表示装置によれば、各柱状スペーサーの斜面付近で液晶層の配向乱れが生じることによりこの領域でのプレティルト角が他の領域と異なった場合にも、複屈折効果が発揮されてしまうことによる透過率の上昇を生じないようにして光抜けを抑制し、表示品位を向上させることが可能となる。
【0013】
上記の液晶表示装置においては、第1垂直配向膜又は第2垂直配向膜の一方は、複数の柱状スペーサーの各々の2つの斜面にも設けられていてもよい。
【0014】
上記の液晶表示装置において、複数の柱状スペーサーの各々は、例えば平面視において一方向に延びた帯状を呈してもよい。またこの場合に、複数の柱状スペーサーは、隣り合う柱状スペーサー同士の長手方向が互い違いとなるように配置されていてもよい。また、複数の柱状スペーサーの各々は、平面視においてひし形状を呈してもよい。
【0015】
各柱状スペーサーが上記に例示したいずれの形状であっても、柱状スペーサーに起因する光抜けを好適に抑制し得る。
【0016】
上記の液晶表示装置において、複数の柱状スペーサーの各々は、例えば2つの斜面の各々と下底面のなす角度をそれぞれ10°〜20°とすることができる。
【0017】
これによれば、柱状スペーサーに起因する光抜けをより好適に抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
【図2】柱状スペーサーの拡大図である。
【図3】柱状スペーサー、偏光板、配向処理方向のそれぞれの配置状態について説明するための図である。
【図4】柱状スペーサーの具体的な配置例を示す平面図である。
【図5】液晶表示装置の画素形状例を示す図である。
【図6】柱状スペーサーの配置例を示す図である。
【図7】理論的検討に用いる液晶表示装置の構造モデルを示す模式的な断面図である。
【図8】下底長さに対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。
【図9】柱状スペーサーのテーパー角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。
【図10】柱状スペーサーの斜面の法線と偏光板の吸収軸間の角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。
【図11】変形例の柱状スペーサーの形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図1に示す本実施形態の液晶表示装置は、上下基板間に配置された液晶層内の液晶分子が電圧無印加時において各基板に対してほぼ垂直に配向する垂直配向型の液晶表示装置であり、上下基板を挟んで配置される各偏光板をクロスニコル配置としたノーマリーブラックモードを採用している。本実施形態の液晶表示装置は、例えば有効表示領域内にマトリクス型表示部とセグメント型表示部を備えている。図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置は、対向配置された上側基板(第1基板)11および下側基板(第2基板)12と、両基板の間に配置された液晶層17を基本構成として備える。液晶層17の周囲はシール材19によって封止されている。
【0021】
上側基板11は、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。下側基板12は、上側基板11と同様に、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。図示のように、上側基板11と下側基板12は、各々に設けられた上側電極13と下側電極14とが対向するようにして、所定の間隙(例えば数μm程度)を設けて貼り合わされている。
【0022】
上側電極13は、上側基板11の一面側に設けられている。同様に、下側電極14は、下側基板12の一面側に設けられている。上側電極13および下側電極14は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。これらの上側電極13と下側電極14の重なる領域において、上記したセグメント表示部およびマトリクス表示部が形成される。
【0023】
配向膜15は、上側基板11の一面側に、上側電極13を覆うようにして設けられている。同様に、配向膜16は、下側基板12の一面側に、下側電極14を覆うようにして設けられている。これらの配向膜15、16は、液晶層17の配向状態を規制するものである。本実施形態では、配向膜15、16として垂直配向膜を用いる。各配向膜15、16にはラビング処理等の一軸配向処理が施されている。
【0024】
液晶層17は、上側基板11の上側電極13と下側基板12の下側電極14との間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負の液晶材料を用いて液晶層17が構成される。液晶層17に図示された太線は、液晶層17における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が上側基板11および下側基板12の各基板面に対して略垂直となる垂直配向モードに設定されている。
【0025】
各柱状スペーサー18は、上側基板11と下側基板12の間に配置されており、上側基板11から下側基板12に向かって末萎みのテーパー断面形状(略台形状の断面形状)に形成されている。各柱状スペーサー18は、透明樹脂あるいは所望の着色がなされた樹脂(ブラック樹脂、カラー透明樹脂等)を用いて形成されている。
【0026】
上側偏光板21は、上側基板11の外側に配置されている。同様に、下側偏光板22は、下側基板12の外側に配置されている。上側偏光板21と下側偏光板22は、各々の吸収軸が互いに略直交するように配置されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22の各吸収軸は、配向処理の方向に対応して定義される液晶層17の層厚方向の略中央における液晶分子(以下「液晶層中央分子」と称する。)の配向方向に対して略45°の角度をなす位置に設定される。なお、各偏光板と各基板との間には適宜Cプレート等の光学補償板が配置されてもよい。例えば本実施形態では、上側基板11と上側偏光板21の間、下側基板12と下側偏光板22の間のそれぞれに光学補償板23、24が配置されている。
【0027】
図2は、柱状スペーサーの拡大斜視図である。柱状スペーサー18は、それぞれ一方向に延在するストライプ状の形状に設けられている。図2に示すように、各柱状スペーサー18は、2つの斜面31と、上底面32および下底面33を有しており、かつ直線状の外縁部34、35を有している。各外縁部34、35は、各斜面31を区画する輪郭の一部である。各斜面31の傾斜角度は、下底33を基準として10〜20°程度である。このような斜面31は柱状スペーサー18の形成時、フォトリソグラフィなどの影響によって生じてしまう。
【0028】
図3は、柱状スペーサー、偏光板、配向処理方向のそれぞれの配置状態について説明するための図である。詳細には、図3(A)および図3(B)はそれぞれ一実施形態の液晶表示装置における柱状スペーサー等の配置状態を示す図であり、図3(C)および図3(D)はそれぞれ比較例の液晶表示装置における柱状スペーサー等の配置状態を示す図である。図3においてはいずれも複数の柱状スペーサーが表示面内において等間隔にて一方向に延在するよう配置される。
【0029】
図3(A)に示す実施形態の液晶表示装置では、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)に対して45°±10°に設定されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22は、一方の吸収軸方向48が液晶表示装置の上下方向および左右方向のいずれに対しても略45°に設定され、他方の吸収軸方向49が一方の吸収軸方向48に対して略直交に設定されている。また、各配向膜15、16は、一方の配向処理方向43と他方の配向処理方向44が液晶表示装置の上下方向(紙面の上下方向)に設定されており、かつ互いに逆方向に設定されている。これにより、液晶層17の液晶層中央分子の方向41は、図示のような液晶表示装置の上方向(12時方向)、あるいは下方向(6時方向)に設定される。また、図3(B)に示す実施形態の液晶表示装置は、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)に対して135°±10°(−45°±10°)に設定されている点を除いて図3(A)の実施形態と同様である。これらの実施形態によれば、上側電極13と下側電極14の間に閾値以上の電圧を印加した明表示時やオフ電圧を印加した暗表示時のいずれにおいても、柱状スペーサー18の各斜面31の付近における光抜けを抑制し、かつ明表示時における左右方向の視角特性の左右対称性を実現して表示品位を改善することができる。
【0030】
図3(C)に示す比較例1の液晶表示装置では、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)と略平行に設定されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22は、一方の吸収軸方向48が液晶表示装置の上下方向および左右方向のいずれに対しても略45°に設定され、他方の吸収軸方向49が一方の吸収軸方向48に対して略直交に設定されている。また、各配向膜15、16の各配向処理方向43、44は上記した実施形態と同様に液晶表示装置の上下方向に設定され、かつ互いに逆方向に設定されており、液晶層中央分子の方向41は上方向(12時方向)に設定されている。このような比較例1の液晶表示装置では、柱状スペーサー18の斜面31の影響により局所的に傾斜配向する液晶分子の配向方向と各偏光板の吸収軸方向との関係が複屈折効果を最大限に発揮される状態であるため、柱状スペーサー18の斜面31に起因する光抜けが著しく観察される。
【0031】
図3(D)に示す比較例2の液晶表示装置では、各柱状スペーサー18の延在方向40が液晶表示装置の表示面の左右方向(紙面の左右方向)と略平行に設定されている。また、上側偏光板21と下側偏光板22は、一方の吸収軸方向48が各柱状スペーサー18の延在方向40と平行(すなわち液晶表示装置の左右方向と平行)またはその状態から±10°以内に設定され、他方の吸収軸方向49が一方の吸収軸方向48に対して略直交に設定されている。また、各配向膜15、16の各配向処理方向43、44は上記した実施形態と同様に液晶表示装置の上下方向に設定され、かつ互いに逆方向に設定されており、液晶層中央分子の方向41は上方向(12時方向)に設定されている。このような比較例2の液晶表示装置では、柱状スペーサー18の斜面31に起因する光抜けが抑制され、またはほぼ完全に観察されなくなる。しかし、この比較例2の液晶表示装置では、上側基板11および下側基板12の各基板面における液晶分子の配向方向が柱状スペーサー18の延在方向40に対して略直交であることから、液晶層中央分子の方向41は吸収軸方向48に対して略直交し、吸収軸方向49に対して略平行となるため、電圧印加による明表示を実現できないという問題がある。
【0032】
なお、比較例2の液晶表示装置においては、液晶層17の液晶材料に予めカイラル材を添加しておき、特に、液晶層厚dとして液晶材料のカイラルピッチをpとしたときにd/p>0.6の条件が満たされるようにした場合であれば、電圧印加時に液晶層17がねじれ配向状態に転移することから、明表示を実現可能である。ただし、これは液晶層のリタデーション(液晶層厚dと液晶材料のΔnの積)を450nm以上と大きく設定した場合に有効な方法である。しかしながら、この方法は、カイラル材を添加し、かつカイラルピッチを精密にコントロールしなければならない等により、手間がかかるためあまり好ましくない。さらに、この方法では明表示時の明るさがそれほど良好でないという問題も残る。
【0033】
図4は、柱状スペーサーの具体的な配置例を示す平面図である。なお、ここでは図示の都合上、各柱状スペーサーは単純な矩形により表し、斜面等の詳細な描写は省略している。例えば、図4(A)は、一方向に対して比較的に長い状態に形成した柱状スペーサー18を液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向(左右方向に対して135°±10°の方向)に延在させて配置した例を示す。また、図4(B)は、比較的に短い状態に形成した複数の柱状スペーサー18を一方向に間欠的に配列し、かつ各々を液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向(左右方向に対して135°±10°の方向)に向けて配置した例を示す。
【0034】
また、図4(C)は、比較的に短い状態に形成した複数の柱状スペーサー18を一方向に間欠的に配列し、かつ液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向と135°±10°の方向のそれぞれに互い違いに向けて配置した例を示す。別言すると、複数の柱状スペーサー18は、全体としては液晶層中央分子の方向41に沿って延在して配置され、かつ45°±10°の方向と135°±10°の方向のそれぞれに交互に屈曲させて配置されている。ここで、図中の上下方向で隣り合う柱状スペーサー18同士の間(屈曲点)には間欠部分(隙間)が設けられている。多くの場合、屈曲点においては光抜けが生じやすい傾向があるため、このように間欠部分を設けることは特に電圧無印加時およびオフ電圧印加時の暗表示における光抜けの抑制に効果を発揮する。
【0035】
図4(D)は、比較的に短い状態に形成した複数の柱状スペーサー18をそれぞれの延在方向が90°±10°異なるようにし、かつ各々が液晶層中央分子の方向41に対して略45°±10°の方向となるようにして配置した例を示す。ここでは4つの柱状スペーサー18の各々の一端が近接する箇所である交差点に間欠部分を設けているが、交差点以外の部分に間欠部分を設けてもよい。
【0036】
図4(E)は、相対的に長い柱状スペーサー18と短い柱状スペーサー18を液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°の方向と135°±10°の方向のそれぞれに交互に向けて配置した例を示す。ここでも、図示のように上下方向で隣り合う柱状スペーサー18同士の間(屈曲点)に間欠部分(隙間)を設けたほうが電圧無印加時およびオフ電圧印加時の暗表示における光抜けの抑制に効果的である。図4に記した柱状スペーサーはいずれも液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°もしくは135°±10°の方向へ直線的に延在するテーパー面を有する形状となっている。テーパー面は20μm以上延在させることが好ましい。
【0037】
なお、上記に例示した柱状スペーサー18は液晶表示装置の表示部の形状に関わらずに適用可能であり、セグメント表示部とドットマトリクス表示部のいずれにも適用できる。次に、ドットマトリクス表示部におけるいくつかの画素形状例とそれに対する柱状スペーサー18の配置例について説明する。
【0038】
図5は、液晶表示装置の画素形状例を示す図である。また、図6は、柱状スペーサーの配置例を示す図である。図5(A)には、長方形状の複数の画素を各々の外縁部が液晶表示装置の上下方向および左右方向のいずれに対しても斜め方向に向くように配置した画素形状例が示されている。図5(A)に示す各画素の直線状の外縁部は、上側偏光板21および下側偏光板22の各吸収軸方向と平行あるいは直交して配置されている。この場合には、図6(A)および図6(B)にそれぞれ示すように、各柱状スペーサー18は、それぞれの延在方向(長手方向)を各画素の外縁部と略平行にして各画素の相互間に配置される。
【0039】
図5(B)には、液晶表示装置の左右方向に対して略平行な外縁部と液晶表示装置の上下方向および左右方向に対して「くの字状」に屈曲した外縁部によって画定される複数の画素を液晶表示装置の上下方向および左右方向に沿って規則的に配列して画素形状例が示されている。図5(B)に示す各画素の屈曲した外縁部は、上側偏光板21および下側偏光板22のいずれかの吸収軸方向と平行方向又はこれと±10°の方向に配置されている。この場合には、図6(C)に示すように、各柱状スペーサー18は、屈曲した外縁部に沿って平行に帯状に配置し、または間欠的に配置される。
【0040】
図5(C)には、液晶表示装置の左右方向に対してジグザクに屈曲した外縁部と液晶表示装置の上下方向および左右方向に対して「くの字状」に屈曲した外縁部によって画定される複数の画素を液晶表示装置の上下方向および左右方向に沿って規則的に配列して画素形状例が示されている。図示の例では、上下方向に屈曲した外縁部の屈曲点の周期に対して左右方向に屈曲した外縁部の屈曲点の周期が1/3となっている。この場合には、図6(D)に示すように、各柱状スペーサー18は、屈曲点の周期が短いほうの外縁部に沿って平行に帯状に配置し、または間欠的に配置される。なお、この図5(C)に示す形状例の画素においては、各外縁部の屈曲点が2つ以上で屈曲点の周期は50μm以上であることが好ましい。この条件を満たすことにより、画素の外縁部に沿って柱状スペーサー18を配置することにより、柱状スペーサー18に起因する光抜けの抑制に効果的である。図6のように画素の外縁に各柱状スペーサーを配置する場合も、図4同様に柱状スペーサーはいずれも液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°もしくは135°±10°の方向に直線的に延在するテーパー面を有する形状となっている。よって、各画素の形状も、各辺が液晶層中央分子の方向41に対して45°±10°もしくは135°±10°の方向に直線的に延在する形状であることが好ましい。
【0041】
次に、柱状スペーサーの直線状の外縁部と各偏光板の吸収軸方向との位置関係について理論的な面から検討する。
【0042】
図7は、理論的検討に用いる液晶表示装置の構造モデルを示す模式的な断面図である。図7に示す構造モデルの液晶表示装置は、対向配置された基板111および基板112、基板111の一面に設けられた垂直配向膜115、基板112の一面に設けられた垂直配向膜116、基板111と基板112の各一面の間に配置された液晶層117、基板112の一面上に設けられた断面テーパー形状の柱状スペーサー118、基板111の外側に配置された偏光板121、基板112の外側に配置された偏光板122を備える。垂直配向膜116は、図示のように基板112の一面を覆い、かつ柱状スペーサー118の表面を覆って設けられている。
【0043】
理論的検討の前提として、液晶層117の液晶分子は各垂直配向膜115、116と液晶層117の界面で垂直に配向するものとした。また、柱状スペーサー118の斜面(テーパー面)では垂直配向膜116の作用によりこの斜面に対して液晶分子が垂直に配向するものとした。また、柱状スペーサー118の斜面近傍では液晶分子が基板112の基板面に対して傾斜して配向することになり、柱状スペーサー118の斜面と基板111の垂直配向膜との間では液晶分子の傾斜角が徐々に(線形的に)変化するハイブリッド配向状態になるものとした。また、偏光板121、122は、各々の吸収軸を直交配置とし、かつ各吸収軸方向を柱状スペーサー118のテーパー斜面の垂線に対して45°に配置されるものとした。各偏光板121、122の偏光特性は理想的なものであるとした。
【0044】
次に、柱状スペーサー118の部分における透過率の計算方法について説明する。基板111、112の法線方向から観察したときの液晶層117内の常光屈折率Noと異常光屈折率Neは液晶材料の常光屈折率をnx、異常光屈折率をnyとすると下記の式によって表される。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
ここで、θは液晶層117内の層厚方向における液晶分子の平均傾斜角である。ここでは基板面に対して液晶分子が垂直に配向するときをθ=0と定義した。また、柱状スペーサー118の斜面と基板111の間における液晶分子の平均傾斜角θは、テーパー角(θT)/2と定義した。なお、厳密には柱状スペーサー118の斜面から基板111にかけて液晶分子の平均傾斜角は徐々に変化するが、ここでは計算を簡素化するために上記のような仮定を導入した。
【0048】
このとき、液晶層117における透過光強度Tは、各偏光板121、122として理想的な特性のものを用いていることから、下記の式で表せる。
【0049】
【数3】
【0050】
ここで、ψは柱状スペーサー118の斜面の法線と一方の偏光板の吸収軸がなす角度(平面視における角度)であり、dは液晶層117の層厚であり、λは入射光の波長である。また、柱状スペーサー118の斜面に起因する光抜けは柱状スペーサー118の下底長さL2から上底長さL1を減算して得られるテーパー幅L3の領域で発生すると定義し、かつ柱状スペーサー118の斜面と基板111の間では液晶層117の層厚が線形的に変化しているものと仮定した。したがって、柱状スペーサー118の上底部分には液晶層117が存在しないことからこの領域では光抜けは生じない。
【0051】
また、透過率の計算にあたっては、柱状スペーサー118の高さL4を3μm、上底長さL1を7μm、液晶材料の常光屈折率nxを1.5、異常光屈折率nyを1.6、入射光の波長λを550nmと仮定し、柱状スペーサー118の単位長さ当たりの光抜け(透過率)を上記計算式に代入して計算した。
【0052】
図8は、下底長さに対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。また、図9は、柱状スペーサー118のテーパー角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。なお、図8、図9のいずれにおいても透過率を表す縦軸は対数表示としている。図8に示すように、下底長さに対する透過率は片対数グラフにおいてほぼ直線的な変化を示すことが分かる。一方、図9に示すように、テーパー角度に対する透過率は曲線的な変化を示しており、テーパー角度が低いほど光抜けが少なく(透過率が低く)、テーパー角度が大きくなると光抜けが大幅に上昇する傾向が観察される。
【0053】
しかし、柱状スペーサー118の斜面(テーパー斜面)の法線と偏光板吸収軸間の角度を調整すれば光抜けを大幅に抑制できる。図10は、柱状スペーサーの斜面の法線と偏光板の吸収軸間の角度に対する光抜け(透過率)の変化を示したグラフである。本計算は柱状スペーサー118の斜面の法線と偏光板の吸収軸間の角度を上記ψとして導入した結果である。なお、柱状スペーサー118の下底長さL2は25μmに固定し、その他は上記と同様の計算条件とした。図10に示すように、テーパー斜面の法線と偏光板吸収軸間の角度を小さくして平行にしたときには光抜けをゼロにできることが分かる。ただし、その角度が10°であっても透過率は0.0007と45°のときの透過率0.0062の約1/8以下に抑制できるため、ほぼ光抜けがない状態を実現できると考えられる。よって、柱状スペーサー118の直線状に伸びる外縁部と偏光板吸収軸との交差する角度は45°から±10°までは許容され得るといえる。
【0054】
次に、本発明に係る液晶表示装置の実施例を説明する。
【0055】
始めに、上側電極を有する上側基板、下側電極を有する下側基板をそれぞれ作製した。具体的には、片面が研磨処理され、その表面にSiO2アンダーコートが施された後、ITO(インジウム錫酸化物)からなる透明電極が成膜された一対のガラス基板を用意した。これらのガラス基板の透明電極に対してフォトリソグラフィー工程及びエッチング工程を行うことにより所望の形状にパターニングした。なお、本実施例では省略しているが、必要に応じて、パターニングされた透明電極の一部表面上にSiO2などによる絶縁層を0.1mm程度形成してもよい。
【0056】
次に、上側基板側、もしくは下側基板側に、感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィー工程を実行することにより柱状スペーサーを形成した。例えば、透明ネガ型の感光性樹脂材料をスピンナーにて基板上に滴下し、この基板を30秒間程度回転させることにより、感光性樹脂膜を所望の厚さに成膜し、これをホットプレート上にて100℃、120秒間で仮焼成した。なお、膜厚はスピンナーの回転数によって略0.5μm〜略5μmまで制御可能である。また、スピンナーに代えてスリットコート装置によって感光性樹脂材料を塗布することで略10μm程度まで膜厚を制御可能である。このようにして成膜した感光性樹脂膜に対して、高圧水銀ランプを光源とする密着露光機によって、所望の柱状スペーサーの形状に応じた露光パターンを有するフォトマスクを介して、感光性樹脂膜とフォトマスクを略密着させた状態で紫外線を照射した。その後、濃度1%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に浸漬することにより感光性樹脂膜の現像を行い、純水にてリンスし、基板乾燥後、クリーンオーブン内にて220℃、30分間の本焼成を行った。これにより、基板の電極面上に柱状スペーサーが形成された。
【0057】
次に、上側基板および下側基板のそれぞれに垂直配向膜を形成した。まず、上側基板および下側基板に対して、弱アルカリ溶液および純水によるブラシ洗浄を行い、各基板を乾燥し、低圧水銀ランプまたは酸素キャリアを用いた大気圧プラズマ等によるドライ洗浄を行った。その後、垂直配向膜材料を各基板上にフレキソ印刷法にて塗布し、クリーンオーブン内にて90℃で略5分間の仮焼成および180℃で30分間の本焼成を行った。
【0058】
垂直配向膜の形成後、綿製ラビング布を用いて、各基板共に基板面内の一方向に配向処理の1つであるラビング処理を施した。なお、いずれか一方の基板のみにラビング処理を施してもよく、その場合には柱状スペーサーが形成されていない基板をラビング処理することが好ましい。
【0059】
次に、一方の基板(例えば、下側基板)に熱硬化型シール材をディスペンサーにて所望のパターンに塗布した。このとき、シール材内に柱状スペーサーの高さよりも小さい径のガラススペーサーと、上側基板と下側基板の所定位置を導通させるための導電性粒子の一方または両方を混入してもよい。その後、上側基板と下側基板を、双方の電極面が対向し、かつラビング方向がアンチパラレルになるようにして貼り合わせ、120℃の熱圧着にてシール材を硬化させた。焼成時間は1時間以上である。
【0060】
次に、貼りあわされた上側基板と下側基板の間隙に液晶材料を真空注入法によって注入後、基板面をプレスすることにより、余分に注入された液晶材料を排出した。その後、紫外線硬化樹脂を液晶材料の注入口へ塗布し、プレス状態を開放することにより紫外線硬化樹脂をわずかに注入口から浸透させ、紫外線照射することによりこの樹脂を硬化させて注入口を封止した。これにより、基板間に液晶層が形成された。封止後、オーブンにて120℃、1時間の熱処理を行い、中性洗剤等で浸漬洗浄後、純水リンスを行い、乾燥させた。
【0061】
次に、上側基板および下側基板の各々の外側に偏光板を貼り合わせた。各偏光板は、互いの吸収軸がクロスニコル配置となるように配置された。最後に、フレキシブル基板またはリードフレームを取り付けて液晶表示装置を完成させた。なお、液晶層におけるプレティルト角は略89.8°〜89°に設定した。また、セル厚の実測値は約1.8μm程度であり、液晶層のリタデーションは略280nmであった。
【0062】
上記のようにして、柱状スペーサーの外縁部の延在方向と一方の偏光板の吸収軸方向とを平行とした場合、両者のなす角度を10°とした場合、両者のなす角度を15°とした場合のそれぞれについて実施例の液晶表示装置を作製し、光抜けについて評価した。その結果、理論的検討と同様な結果が得られた。すなわち、柱状スペーサーの外縁部の延在方向と一方の偏光板の吸収軸方向とを平行とした場合には柱状スペーサーに起因する光抜けが生じない状態となり、両者のなす角度を10°とした場合には多少の光抜けが生じるものの実用上問題とならないレベルに光抜けを抑制することができた。他方で、柱状スペーサーの外縁部の延在方向と一方の偏光板の吸収軸方向のなす角度を15°とした場合には、実用上問題となるレベルの顕著な光抜けが生じた。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態並びに実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態等では、平面視において一方向に延びた矩形状の柱状スペーサーについて例示していたが、柱状スペーサーの形状はこれに限定されない。
【0064】
図11は、変形例の柱状スペーサーの形状を示す図である。図11に示すように、柱状スペーサー18aの平面視における形状は菱形であってもよい。この場合には、柱状スペーサー18aの平面視形状を画定する4つの外縁部がそれぞれ各偏光板の吸収軸方向と平行または直交から±10°の範囲に収まるように両者を配置し、かつ液晶層中央分子の配向方向を各偏光板の吸収軸方向に対して略45°方向に設定すればよい。このような配置とすることで4つの外縁部すべてが図4における延在する辺に該当することになる。この場合、一辺は20μm以上であることが好ましい。特にこの菱形の柱状スペーサーは表示部内、すなわち画素内にスペーサーを配置しなければならないときは効果的に作用すると考えられる。さらに、この菱形の柱状スペーサーと上記した矩形状の柱状スペーサーを併用し、矩形状の柱状スペーサーについては画素エッジに配置するようにしてもよい。
【0065】
また、上記した実施形態等では各柱状スペーサーの斜面に垂直配向膜が形成されていたが、各柱状スペーサーの斜面には垂直配向膜が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0066】
11:上側基板
12:下側基板
13:上側電極
14:下側電極
15、16:配向膜
17:液晶層
18:柱状スペーサー
21:上側偏光板
22:下側偏光板
23、24:光学補償板
31:柱状スペーサーの斜面
32:柱状スペーサーの上底面
33:柱状スペーサーの下底面
34、35:柱状スペーサーの外縁部(輪郭)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の一面側に設けられた第1電極と、
前記第2基板の一面側に設けられた第2電極と、
前記第1基板の一面側に設けられた第1垂直配向膜と、
前記第2基板の一面側に設けられた第2垂直配向膜と、
前記第1基板と前記第2基板の間において少なくとも前記第1電極と前記第2電極の重畳する領域内に配置された複数の柱状スペーサーと、
前記第1基板と前記第2基板の相互間に設けられた液晶層と、
前記第1基板及び前記第2基板を挟んで対向配置された第1偏光板及び第2偏光板、
を含み、
前記第1垂直配向膜と前記第2垂直配向膜の少なくとも一方には一軸配向処理が施され、
前記液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が第1方向に対して略平行であり、
前記第1偏光板と前記第2偏光板の各吸収軸は、互いに略直交し、かつ各々が前記第1方向及びこれに略直交する第2方向のいずれに対しても略45°の角度で配置され、
前記複数の柱状スペーサーは、各々、断面が台形状であって上底面、下底面及び当該上底面と下底面の間の2つの斜面を有し、当該2つの斜面の各々を画定する外縁部の平面視における延在方向が前記第1方向又は前記第2方向に対して45°±10°の角度で配置された、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1垂直配向膜又は前記第2垂直配向膜の一方は、前記複数の柱状スペーサーの各々の前記2つの斜面にも設けられている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の柱状スペーサーの各々は、平面視において一方向に延びた帯状を呈する、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の柱状スペーサーは、隣り合う柱状スペーサー同士の長手方向が互い違いとなるように配置されている、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の柱状スペーサーの各々は、平面視においてひし形状を呈する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記複数の柱状スペーサーの各々は、前記2つの斜面の各々と前記下底面のなす角度がそれぞれ10°〜20°である、請求項1〜5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
対向配置された第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の一面側に設けられた第1電極と、
前記第2基板の一面側に設けられた第2電極と、
前記第1基板の一面側に設けられた第1垂直配向膜と、
前記第2基板の一面側に設けられた第2垂直配向膜と、
前記第1基板と前記第2基板の間において少なくとも前記第1電極と前記第2電極の重畳する領域内に配置された複数の柱状スペーサーと、
前記第1基板と前記第2基板の相互間に設けられた液晶層と、
前記第1基板及び前記第2基板を挟んで対向配置された第1偏光板及び第2偏光板、
を含み、
前記第1垂直配向膜と前記第2垂直配向膜の少なくとも一方には一軸配向処理が施され、
前記液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が第1方向に対して略平行であり、
前記第1偏光板と前記第2偏光板の各吸収軸は、互いに略直交し、かつ各々が前記第1方向及びこれに略直交する第2方向のいずれに対しても略45°の角度で配置され、
前記複数の柱状スペーサーは、各々、断面が台形状であって上底面、下底面及び当該上底面と下底面の間の2つの斜面を有し、当該2つの斜面の各々を画定する外縁部の平面視における延在方向が前記第1方向又は前記第2方向に対して45°±10°の角度で配置された、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1垂直配向膜又は前記第2垂直配向膜の一方は、前記複数の柱状スペーサーの各々の前記2つの斜面にも設けられている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の柱状スペーサーの各々は、平面視において一方向に延びた帯状を呈する、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の柱状スペーサーは、隣り合う柱状スペーサー同士の長手方向が互い違いとなるように配置されている、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の柱状スペーサーの各々は、平面視においてひし形状を呈する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記複数の柱状スペーサーの各々は、前記2つの斜面の各々と前記下底面のなす角度がそれぞれ10°〜20°である、請求項1〜5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−114182(P2013−114182A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262190(P2011−262190)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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