放送波受信システム
【課題】チューナからの音声信号をスイッチングアンプで増幅する放送波受信システムにおいて、スイッチングアンプの動作周波数をチューナの受信を妨害しないように設定する。
【解決手段】制御部4はチューナ2の受信する搬送波周波数とアンプ3におけるスイッチング動作の動作周波数を制御する。制御部4のROM42にはアンプ3の基準クロックのクロック周波数として、AM放送波帯に含まれる多数の搬送波周波数の一部に対して受信妨害の条件を満たす2つのクロック周波数が、両クロック周波数が同一の搬送波周波数に対して受信妨害の条件を満たさないように予め設定され、各クロック周波数と受信妨害となる搬送波周波数との関係を示すテーブルが記憶されている。制御部4はチューナ2に受信周波数を設定するとき、ROM42のテーブルを参照して受信障害とならないクロック周波数を決定し、スイッチングアンプ3に設定する。
【解決手段】制御部4はチューナ2の受信する搬送波周波数とアンプ3におけるスイッチング動作の動作周波数を制御する。制御部4のROM42にはアンプ3の基準クロックのクロック周波数として、AM放送波帯に含まれる多数の搬送波周波数の一部に対して受信妨害の条件を満たす2つのクロック周波数が、両クロック周波数が同一の搬送波周波数に対して受信妨害の条件を満たさないように予め設定され、各クロック周波数と受信妨害となる搬送波周波数との関係を示すテーブルが記憶されている。制御部4はチューナ2に受信周波数を設定するとき、ROM42のテーブルを参照して受信障害とならないクロック周波数を決定し、スイッチングアンプ3に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波を受信し、音声信号を復調するチューナと、そのチューナから出力される音声信号をパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号を増幅するスイッチングアンプとを含む放送波受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高効率の音響システムを実現することができる音声信号の増幅機器としてスイッチングアンプが知られている。スイッチングアンプは、音声信号をパルス幅変調信号(以下、「PWM信号」という。)に変換した後、そのPWM信号をスピーカの出力レベルに増幅する機器である。
【0003】
図12に示すように、一般に、スイッチングアンプ100は、オーディオ機器から入力されるオーディオ信号(アナログ信号)esをPWM信号に変換するパルス幅変調部101と、PWM信号のレベルを増幅する出力部102と、増幅されたPWM信号をローパスフィルタに通すことによってアナログ信号(増幅されたオーディオ信号)に戻すフィルタ部103とを含む構成を有している。
【0004】
パルス幅変調部101から出力されるPWM信号Sout,/Soutは、オーディオ信号のレベルの変化に応じてパルス信号の各パルスのデューティ比を変化させるように変調した信号である。また、PWM信号/Soutは、PWM信号Soutの位相を反転したものである。PWM信号を生成する回路としては、オーディオ信号を三角波信号と比較し、オーディオ信号の三角波信号に対するレベルの大小に応じてパルス信号のオン期間もしくはオフ期間(デューティ比)を変化させる方法(いわゆる三角波比較法)が代表的である。
【0005】
また、例えば、特開2009−65613号公報には、基準クロックを生成し、その基準クロックの各周期のオン期間とオフ期間でオーディオ信号のレベルを時間に変換し、その時間をオン期間とするパルスを生成することによって基準クロックの2倍の周波数を有するPWM信号を生成する方法が示されている。
【0006】
このPWM信号生成方法は、三角波比較方式に比べて、音声信号に重畳されたスパイク状のノイズや電源電圧の変動の影響を受け難く、特に音響用のスイッチングアンプのパルス幅変調回路に適しているという特徴を有している。
【0007】
出力部102は、等価的に、電源PSから極性の異なる一対の+Vd,−Vd(|Vd|は十数ボルト程度)の電圧が入力される端子間に2つの半導体スイッチSW1,SW2の直列回路が接続された構成を有する。±Vdの電圧を供給する電源PSも、高効率の音響システムを実現するためにスイッチング電源が用いられる。半導体スイッチSW1のオン・オフ動作はPWM信号Soutによって制御され、半導体スイッチSW2のオン・オフ動作はPWM信号/Soutによって制御されるので、出力部102からはPWM信号Soutの振幅を+Vdから−Vdの振幅に増幅したPWM信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−65613号公報
【特許文献2】特開平05−315980号公報
【特許文献3】特表2004−507967号公報
【特許文献4】特開2009−141408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スイッチングアンプ100に入力されるオーディオ信号esのソースにはCDやDVDなどのプレーヤやテレビやラジオのチューナなどがあるが、チューナを内蔵した音響機器にスイッチングアップ100を搭載し、チューナで復調したテレビやラジオのオーディオ信号もスイッチングアップ100の入力信号とする場合は、スイッチングアンプ100の出力部102の半導体スイッチSW1,SW2をオン・オフ動作させる周波数やスイッチング電源PS内の半導体スイッチをオン・オフ動作させる周波数がチューナの受信動作に障害を与える場合があるので、その周波数(以下、この周波数を「動作周波数」という。)をチューナの受信周波数と干渉しないように選択する必要がある。
【0010】
その一方、スイッチングアンプ100では、パルス幅変調部101の基準クロックの周波数を高くし、周期を短くすると、パルス幅変調を行うオーディオ信号esのサンプリング周期が短くなり、サンプリング数の点では再生品質を向上させることになるが、正しく変調されず、変調ひずみの点で再生品質を低下させることになる。すなわち、スイッチング周期に対するPWM信号の立上り及び立下りの時間の比が大になり、正常にパルス幅変調ができる音声信号esのダイナミックレンジが狭くなるので、基準クロックの周波数選定には上記の再生品質の観点から一定の制約がある。
【0011】
また、出力部102の半導体スイッチSW1,SW2をPWM信号Sout,/Soutで確実にオン・オフ動作させる必要があることから、半導体スイッチSW1,SW2の応答速度の観点からも基準クロックの周波数選定には一定の制約がある。
【0012】
スイッチングアンプ100の動作周波数は、パルス幅変調部101から出力されるPWM信号Sout,/Soutの周波数に相当し、この周波数は基準クロックの周波数の2倍の周波数となっている。基準クロックの周波数は、上記の再生品質と出力部102の応答性の観点から選定されるので、この結果、スイッチングアンプ100の動作周波数fcは、一般に300kHz〜500kHzの範囲となっている。
【0013】
一方、国内のAMラジオ放送では、搬送波の帯域はおよそ500kHz〜1700kHzに割り当てられ、例えば、522kHz〜1629kHzの範囲で9kHzピッチ、124チャネルの搬送波が使用可能になっている。
【0014】
特に、AMチューナはスーパーヘテロダイン方式の受信回路が採用されているので、スイッチングアンプ100の動作周波数fc及びその高調波周波数n×fc(n=2,3,…の整数)が妨害波とならないように回避すべき周波数は、522kHz〜1629kHzの搬送波周波数f0(上記の124チャネルの搬送波)だけでなく、中間周波数fIF(=455kHz)や中間周波fIFを中心に搬送波周波数f0と鏡像の関係にあるイメージ周波数fimg(=f0+2×fIF)も存在し、これら全ての周波数に干渉しないように動作周波数fcを1個選択し、固定的にその周波数を使用することは極めて困難である。
【0015】
例えば、全ての地域で124チャネルの全てが搬送波として使用されているわけではないので、地域毎にその地域で使用されている搬送波周波数f0や中間周波数fIFやイメージ周波数fimgに対して干渉しない条件とすれば、選択条件が緩和されるので、動作周波数fcの選択が容易にはなるが、その方法は、製品の販売地域によって動作周波数fcを変える必要があり、製造上の管理や製造工程の標準化を阻害することになるので、現実的でない。
【0016】
また、スイッチングアンプ100の基準クロックを周波数可変のクロックで構成し、チューナの受信周波数がセットされる毎に当該受信周波数の受信を妨害しない基準クロックのクロック周波数を自動的に設定する方法が考えられるが、この方法では、基準クロックの構成が複雑になるとともに、上述したスイッチングアンプ100に課される再生品質の確保や出力部102の応答速度の確保に基づく周波数選定の条件を元に基準クロックのクロック周波数を選択する必要があり、その選択処理をするための回路も複雑になるという問題がある。
【0017】
なお、スイッチング電源PSの場合は、その動作周波数(スイッチング周波数)がスイッチングアンプ100の動作周波数fcよりも低く、一般に数十kHzになることが多いが、この場合も動作周波数及びその高調波周波数が上記の搬送波f0や中間周波数fIFやイメージ周波数fimgに対して干渉しないように、動作周波数を選定しなければならず、上記の問題は、スイッチング電源PSの動作周波数の選定についても同様である。
【0018】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で複数の動作周波数の中からチューナの受信周波数に対して受信動作に障害とならない動作周波数を自動的に設定し、確実に受信障害を防止することのできる放送波受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0020】
本発明によれば、放送局から放射される音声信号で変調された搬送波信号を受信し、その音声信号を復調して出力する放送波受信手段と、基準クロックを生成し、その基準クロックに基づくスイッチング動作により所定の信号変換処理を行う信号変換処理手段と、前記放送波受信手段によって受信される搬送波周波数と前記信号変換処理手段の基準クロックのクロック周波数とを制御する制御手段と、を含む放送波受信システムであって、前記信号変換処理手段は、予め設定された複数のクロック周波数のいずれかのクロック周波数を有する基準クロックを生成することが可能な基準クロック生成手段を備え、前記制御手段は、前記放送波の帯域に含まれる複数の搬送波周波数の一部に対して所定の受信妨害の条件を満たす前記複数のクロック周波数が、全てのクロック周波数が同一の搬送波周波数に対して前記受信妨害の条件を満たさないように予め設定され、各クロック周波数と受信妨害を生じる前記搬送波周波数との関係を示す情報が記憶された記憶手段と、前記放送波受信手段に受信すべき前記搬送波周波数を設定する受信周波数設定手段と、前記記憶手段に記憶された情報を参照して前記複数のクロック周波数のうち、前記受信周波数設定手段により設定される前記搬送波周波数に対して受信妨害を生じないクロック周波数を決定するクロック周波数決定手段と、前記クロック周波数決定手段で決定されたクロック周波数の基準クロックを生成させるべく、当該クロック周波数を前記基準クロック生成手段に設定するクロック周波数設定手段と、を備えたことを特徴とする放送波受信システムが提供される(請求項1)。
【0021】
好ましい実施の形態によれば、前記信号変換処理手段は、前記基準クロックのハイレベルとローレベルの各期間で前記音声信号のレベルをパルス幅に変換することにより前記音声信号を前記基準クロックのクロック周波数の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号によって所定の直流電圧をスイッチングすることにより前記音声信号を増幅する増幅手段である(請求項2)。
【0022】
また、他の好ましい実施の形態によれば、前記放送波受信手段は、スーパーヘテロダイン方式により前記搬送波周波数を受信するものであり、前記搬送波周波数をf0、前記搬送波周波数に対す帯域幅をΔF、ΔF'(<ΔF)、前記クロック周波数をfmc、中間周波数をfIF、中間周波数に対す帯域幅をΔfIF、イメージ周波数をfimg、イメージ周波数に対す帯域幅をΔfimgとすると、前記受信妨害の条件は、
2×n×fmc=f0±ΔF:搬送波妨害
2×n×fmc=fIF±ΔfIF:中間周波妨害
2×n×fmc=fimg±Δfimg:イメージ周波妨害
m×fmc=f0±ΔF':搬送波妨害
m×fmc=f0+2×fIF:イメージ妨害
但し、n,mは1以上の整数
である(請求項3)。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、信号変換手段の基準クロックのクロック周波数として、放送波帯の一部の搬送波周波数に対しては受信障害の虞がある複数のクロック周波数を、全てのクロック周波数が同一の搬送波周波数に対して受信障害とならないように予め設定し、各クロック周波数と受信妨害を生じる搬送波周波数との関係を示す情報が記憶手段に記憶されている。
【0024】
そして、ユーザの選局操作に応じて制御手段が放送波受信手段に選局された搬送周波数を受信させるとき、当該搬送波周波数に対して受信障害の虞のないクロック周波数を、例えば、スイッチングアンプやスイッチング電源などの信号変換処理手段に設定してそのクロック周波数を有する基準クロックを生成させる。
【0025】
例えば、基準クロックのクロック周波数fmcとしてfmc1とfmc2(>fmc1)の2種類のクロック周波数が設定されており、放送波受信手段に受信させる搬送波周波数f0に対してクロック周波数fmc1は受信障害を生じないが、クロック周波数fmc2は受信障害を生じる場合、信号変換処理手段にはクロック周波数fmc1が設定され、信号変換処理手段は当該クロック周波数fmc1を有する基準クロックに基づくスイッチング動作により所定の信号変換処理を行う。
【0026】
例えば、信号変換処理手段が基準クロックのハイレベルとローレベルの各期間で音声信号のレベルをパルス幅に変換することにより音声信号を基準クロックのクロック周波数の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号によって所定の直流電圧をスイッチングすることにより音声信号を増幅する増幅手段の場合、放送波受信手段から出力される音声信号は、クロック周波数fmc1の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換され、そのパルス幅変調信号によって直流電圧をスイッチングすることにより音声信号の増幅が行われる。
【0027】
従って、増幅手段の増幅動作が放送波受信手段の受信動作を妨害することを確実に防止することができる。
【0028】
また、予め設定する2つのクロック周波数fmc1,fmc2の範囲を可及的に小さくするように選択すると、増幅手段で生成されるパルス幅変調信号の周期の変動幅を小さくすることができるので、正常にパルス幅変調ができる音声信号のダイナミックレンジを狭くするという不都合を抑制することができる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る本発明に係る放送波受信システムのブロック構成図である。
【図2】放送波受信システム内のチューナのブロック構成図である。
【図3】放送波受信システム内のスイッチングアンプにおけるパルス幅変調回路の回路構成の一例を示す図である。
【図4】図3のパルス幅変調回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】クロック生成回路の一例を示すブロック図である。
【図6】AM放送波帯の搬送波周波数と基準クロックの2つの周波数の関係を示すテーブルである。
【図7】搬送波妨害、中間周波妨害及びイメージ妨害を説明するための図である。
【図8】中間周波妨害とイメージ妨害における妨害の帯域幅を示す図である。
【図9】スイッチングアンプの基準クロックの周波数切換の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】基準クロックを4つにした場合のAM放送波帯の搬送波周波数とその4つの基準クロックの周波数との関係を示すテーブルである。
【図11】受信局のプリセットにおけるクロック周波数の自動設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】従来のスイッチングアンプのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明に係る放送波受信システムのブロック構成図である。
【0032】
放送波受信システム1は、放送波を受信し、音声信号を検波して出力するチューナ2と、チューナ2から出力される音声信号esを増幅するアンプ3と、チューナの受信動作とアンプ3の増幅動作を制御する制御部4と、ユーザがチューナの受信周波数を入力するための操作部5と、アンプ3から出力される増幅された音声信号Esを機械振動に変換するスピーカ6と、チューナ3やアンプ3や制御部4に直流電源を供給する電源PSを含んでいる。電源PSは周知の他励式のスイッチング電源で構成され、チューナ3やアンプ3や制御部4に対して必要な複数の駆動用の直流電圧を生成し、それぞれチューナ3やアンプ3や制御部4に供給する。
【0033】
放送波受信システム1は、チューナ2、アンプ3、制御部4及び操作部5を一体に組み込んだ放送波受信装置として構成してもよく、制御部4及び操作部5をアンプ3に組み込み、チューナ2とアンプ3を専用ケーブルで結合したシステムとしてもよい。
【0034】
チューナ2は、AM(Amplitude Modulation)放送を受信する受信装置である。本実施形態ではAM放送の受信装置を例に説明するが、FM放送などの他のラジオ放送やテレビ放送や衛星放送などの他の放送波の受信装置であってもよい。
【0035】
チューナ2は、周知のスーパーへテロダイン方式の受信装置である。チューナ2は、図2に示すように、高周波増幅器21、周波数変換器22、中間周波増幅器23及び検波器24の各器を含み、この順にアンテナ7が接続される入力端2aから音声信号esが出力される出力端2bとの間に接続されている。
【0036】
高周波増幅器21は、AM放送波帯(国内では522kHz〜1629kHz)に対してゲインを有する高周波増幅回路であり、アンテナ7から入力される放送波信号の中からAM放送波帯の高周波信号SRFのレベルを増幅する。高周波増幅器21には、初段に522kHz〜1269kHzの範囲で中心周波数が可変のRFフィルタが設けられ、アンテナ7から入力される高周波信号SRFに対してRFフィルタにより帯域制限を掛けることにより制御回路4から受信が指示された高周波信号SRFを受信する機能を有する。RFフィルタの中心周波数は、制御回路4から入力される受信局の指令信号Smによって変更される。
【0037】
周波数変換器22は、高周波増幅器21から出力される高周波信号SRFを中間周波数信号SIF(中間周波数fIFは一般的には455kHzであるが、説明を簡略化するため450kHzの信号として説明する。)に変換する回路である。周波数変換器22は、混合器(乗算器)221と局部発振器222を含み、混合器221で高周波増幅器21から入力される高周波信号SRF(周波数はfRF)と局部発振器222から入力される局部発振周波数信号SLOC(周波数はfLOC)とに基づいて、周波数(fLOC+fRF)、(fLOC−fRF)=fIFの中間周波数信号fIFに変換する。
【0038】
AM放送波帯の放送波(搬送波)は522kHzから1629kHzまで9kHzステップで124局分の使用が可能になっており、中間周波数fIFは450kHzに固定されているので、局部発振器222の局部発振周波数fLOCを変化させることによって受信する放送波(以下、放送波の周波数を「搬送波周波数f0」という。)が決定される。すなわち、局部発振周波数fLOCを変化させることによってAM放送波帯の放送波の選局が行われる。
【0039】
局部発振器222は、可変周波数発振回路で構成され、制御回路4から入力される受信局の指令信号Smに基づいて972kHz〜2079kHzの正弦波信号を生成する。具体的には、局部発振器222は、指令信号Smによって指示される受信すべき搬送波周波数f0よりも450kHz高い正弦波信号を生成する。例えば、f0=1000kHzの場合、局部発振器222は、1450kHzの正弦波信号を生成する。
【0040】
中間周波増幅器23は、周波数変換器22から出力される中間周波数信号SIFに対して、fIFを通過させる(上記の(fLOC+fRF)を通過させない)IFフィルタ(バンドパスフィルタ)としての機能と、増幅する機能とを有する。検波器24は、中間周波数信号SIFを復調し、音声信号esを検波する。この音声信号esは、出力端2bからアンプ3に出力される。
【0041】
アンプ3は、パルス幅変調回路を用いたスイッチングアンプであり、その基本構成は、図12に示したスイッチングアンプ100と同じである。
【0042】
図3は、スイッチングアンプ3内のパルス変調回路31の回路構成の一例を示し、図4は、図3に示すパルス幅変調回路31のパルス幅変調動作を示すタイムチャートである。図3、図4は、特開2009−65613号公報に示された内容と同じであり、本願発明は、図3に示すクロック成回路の基準クロックMCLKの周波数設定の仕方に特徴があるので、以下では、パルス変調回路31のパルス幅変調動作に関する要点を説明する。
【0043】
パルス幅変調回路31は、電圧−電流変換回路313によって音声信号esをその電圧値に応じた電流値を有する電流Isに変換し、その電流Isで第1コンデンサC1をクロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの前半の半周期(TON期間)で充電し、後半の半周期(TOFF期間)で第1コンデンサC1の蓄積電荷を定電流回路314によって一定の電流Idで放電する一方、電流Isで第2コンデンサC2を基準クロックMCLKの後半の半周期(TOFF期間)で充電し、次の周期の前半の半周期(TON期間)で第2コンデンサC2の蓄積電荷を定電流回路314によって一定の電流Idで放電する構成を備えている(図4のMCLK、φ1,φ2、C1,C2の波形参照)。
【0044】
なお、基準クロックMCLKの立上りタイミングで第1コンデンサC1の充電開始と第2コンデンサの放電停止とが同時に行われ、立下りタイミングで第1コンデンサC1の放電開始と第2コンデンサの充電開始とが同時に行われると、電圧−電流変換回路313および定電流回路314が同時に第1コンデンサC1と第2コンデンサC2に接続されることになり、回路的に不都合が生じるので、正確には第1コンデンサC1の充放放電タイミングと第2コンデンサC2の充放放電タイミングに微小のデッドタイムを設けた第1充電制御信号φ1と第2充電制御信号φ2をデッドタイム生成回路312で生成し、第1コンデンサC1の充電を第1充電制御信号φ1で制御し、第2コンデンサC2の充電を第2充電制御信号φ2で制御するようにしている。また、第1コンデンサC1の放電は後述する第1放電制御信号ψ1で制御し、第2コンデンサC2の放電は第2放電制御信号ψ2で制御するようにしている。
【0045】
また、電圧−電流変換回路313では、音声信号esは、es=0のとき、Is=Ic(>0)、es>0のとき、+Δi=k・|es|、es<0のとき、−Δi=k・|es|とすると、Ic±Δi(Δi<Ic)で示される電流Isに変換され、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に対して電荷を引き込む方向に流れる。すなわち、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の電圧レベルがグランドレベルに対して負になる方向に充電する(図4のC1,C2の波形の基準レベルVthから右下方向に減少する部分参照)。従って、音声信号esは「0v」を中心に正負両方にレベルが変動するが、電圧−電流変換回路313で変換された電流IsはIcを中心に±Δi(Δi<Ic)の範囲で電流値が変動するので、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は必ず電流Isにより負方向に充電されることになる。
【0046】
一方、定電流回路314の電流Idは、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に対して電荷を注入する方向に流れるので、電流Isによって負方向に充電された第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の蓄積電荷を一定の電流値で放電する(図4のC1,C2の波形の右上方向に基準レベルVthまで上昇する部分参照)。
【0047】
第1コンデンサC1の電流Isによる充電と電流Idによる放電は、デッドタイム生成回路312から出力される第1充電制御信号φ1のオン期間TONとオフ期間TOFFにそれぞれ行われる。第1コンデンサC1の充電は第1充電制御信号φ1により制御され、第1コンデンサC1の放電は第1NOR回路315から出力される信号により制御される。
【0048】
第1NOR回路315は、第1放電制御信号φ1のレベルと第1コンデンサC1の電圧レベルの排他的論理和を出力することにより、第1コンデンサC1の放電時間にハイレベルとなるパルスを生成する回路である。第1NOR回路315から出力されるパルスは、PWM信号の1パルスに相当するものである。第1NOR回路315の出力がハイレベルに反転するタイミングは、第1充電制御信号φ1のレベルがローレベルに反転するタイミング(すなわち、放電開始タイミング)と同じであり、しかも、第1充電制御信号φ1のレベルがローレベルの期間に第1コンデンサC1の放電(第1コンデンサC1の電圧レベルが基準レベルVthに上昇すること)が必ず完了するように定電流回路314の電流Idが設定されているので、第1NOR回路315から出力されるパルス信号を放電回路314と第1コンデンサC1との間に設けられた放電制御用の第2スイッチSW2の開閉を制御する第1放電制御信号ψ1としている。
【0049】
第1充電制御信号φ1がハイレベルになると、電圧−電流変換回路313と第1コンデンサC1との間に設けられた充電制御用の第1スイッチSW1が「閉」になり、電流Isによる第1コンデンサC1の充電が開始される。その後、第1充電制御信号φ1がローレベルになると、第1スイッチSW1が「開」になるので、第1コンデンサC1の充電は停止する(図4のφ1のTON期間におけるC1の波形参照)。
【0050】
一方、第1放電制御信号φ1がローレベルになると同時に第1放電制御信号ψ1がハイレベルになり、第3スイッチSW3が「閉」になるので、定電流Idによる第1コンデンサC1の放電が開始する。この放電により第1コンデンサC1の電圧レベルが上昇し、基準レベルVthに達すると、第1NOR回路315の出力レベルがローレベルに反転し、これにより第3スイッチSW3が「開」になるので、第1コンデンサC1の放電が停止する。第1コンデンサC1の放電が開始されてから当該第1コンデンサC1の電圧が基準レベルVthに達するまでの時間τは第1放電制御信号φ1のオフ期間TOFFよりも短いので、第1コンデンサC1の電圧レベルが基準レベルVthになると、その電圧レベルが次の充電開始タイミングまで保持され(図4のφ1のTOFF期間におけるC1の波形参照)、以下、同様の充放電動作が繰り返される。
【0051】
第2コンデンサC2の電流Isによる充電と電流Idによる放電は、デッドタイム生成回路312から出力される第2充電制御信号φ2のオン期間TONとオフ期間TOFFにそれぞれ行われる。第2コンデンサC2の充電は第2充電制御信号φ2により制御され、第2コンデンサC2の放電は第2NOR回路316から出力される信号により制御される。
【0052】
第2NOR回路316は、第2放電制御信号φ2のレベルと第2コンデンサC2の電圧レベルの排他的論理和を出力することにより、第2コンデンサC2の放電時間にハイレベルとなるパルスを生成する回路である。このパルスもPWM信号の1パルスに相当するものである。第2NOR回路316から出力される信号は、第1NOR回路315から出力される信号を第1放電制御信号ψ1として利用したのと同様の理由により、放電回路314と第2コンデンサC2との間に設けられた放電制御用の第2スイッチSW2の開閉を制御する第2放電制御信号ψ2としている。
【0053】
従って、第2コンデンサC2についても、第1充電制御信号φ1と第1放電制御信号ψ1による第1コンデンサC1の充放電動作と同様に、第2充電制御信号φ2と第2放電制御信号ψ2により充放電動作が制御され、その波形は、第1コンデンサC1の充放電動作の波形に対して基準クロックMCLKの周期Tの略1/2だけ遅れた波形となる(図4のφ2のTON期間及びTOFF期間におけるC2の波形参照)。
【0054】
第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の充電時間は略T/2で固定であるから、充電動作が終了したときの第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の電圧レベルVj(以下、「充電レベルVj」という。)は、充電電流Isに比例して変化する。また、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の放電時の電流は定電流Idであり、充電レベルVjから基準レベルVthまで上昇する時間τ(以下、この時間を「放電時間τ」という。)は、τ=(Vth−Vj)/Idで表されるから、放電時間τは充電レベルVjに比例する。そして、充電レベルVjは音声信号esの「0v」を中心とした振幅に比例するから、放電時間τは音声信号esの「0v」を中心とした振幅に比例する。
【0055】
従って、第1NOR回路315からは第1コンデンサC1の放電時間τにハイレベルになるパルスが出力され、第2NOR回路316からは第2コンデンサC2の放電時間τにハイレベルになるパルスが出力されるが、これらのパルスは、音声信号esの「0v」を中心とした振幅を時間に変換した信号(パルス幅変調信号)となっている。
【0056】
そして、第1NOR回路315から出力されるパルスは、基準クロックMCLKのオン期間に音声信号esの振幅をパルス幅変調し、第2NOR回路316から出力されるパルスは、基準クロックMCLKのオフ期間に音声信号esの振幅をパルス幅変調した信号であるから、第3NOR回路317によって第1NOR回路315から出力される信号と第2NOR回路316から出力される信号の排他的論理和の信号を生成することより、基準クロックMCLKの周期Tの1/2を周期T’とするパルス信号のデューティ(TON/T’)を音声信号esの振幅に応じて変化させたPWM信号Soutが生成される。このPWM信号Soutは、パルス幅変調回路31の一方の出力端OUT1からそのまま出力されるとともに、インバータ318によって位相が反転されて(PWM信号/Soutが生成されて)他方の出力端OUT2から出力される。
【0057】
上記のように、パルス幅変調回路31で生成されるPWM信号Sout,/Soutの周波数fcは、クロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの周波数fmcの2倍波となる。そして、本実施形態では、本発明が解決しようとする課題の欄で説明したように、PWM信号Sout,/Soutの周波数fcを300kHz〜500kHzの範囲内で固定すると、チューナ2の高周波増幅回路21でのAM放送波の受信動作や中間周波増幅器23での中間周波数信号SIFの増幅動作に障害を与える可能性があるので、受信周波数に応じて予め設定された2つのクロック周波数fmc1,fmc2のいずれかを設定し、上記の障害を回避するようにしている。
【0058】
図5は、クロック生成回路311の一例を示すブロック構成図である。
【0059】
クロック生成回路311は、周知の水晶発振子とC−MOSゲートを用いてパルス信号を発生するパルス発振回路3111と、このパルス発振回路3111から出力されるパルス信号をラッチし、1/2に分周したクロックパルスを生成するD−フリップフロップ回路3112と、D−フリップフロップ回路3112から出力されるクロックパルスを1/Nに分周するプログラマブル1/Nカウンタ3113と、プログラマブル1/Nカウンタ3113から出力される1/N分周のクロックパルスをラッチし、さらに1/2に分周するD−フリップフロップ回路3114と、プログラマブル1/Nカウンタ3113の分周比を切り換えるスイッチ制御回路3115と、を含む。
【0060】
プログラマブル1/Nカウンタ3113には、2進数の分周比Nを入力するための4個の入力端子A,B,C,Dが設けられている。本実施形態では、2種類の分周比を切り換えて上述したクロック周波数fmc1,fmc2の基準クロックのいずれかを生成するため、A端子がスイッチSWaによってVcc電源とグランドとに切換接続が可能になされ、B端子とC端子とがVcc電源に接続され、D端子はグランドに接続されている。
【0061】
詳細は後述するが、ここで、クロック周波数fmc1,fmc2の基準クロックMCLKについて簡単に説明する。本実施形態では、例えば、7.56MHzの水晶発振子を用いてパルス発振回路3111により7.56MHzのパルス信号を発生させ、このパルス信号をD−フリップフロップ回路3112でラッチして3.78MHzのクロックパルスを生成し、さらにこのクロックパルスをプログラマブル1/Nカウンタ3113で1/Nに分周するとともに、D−フリップフロップ回路3114でラッチして当該D−フリップフロップ回路3114から189kHz又は210kHzのクロックパルスをクロック周波数fmc1とfmc2の基準クロックを出力するようにしている。
【0062】
189kHzの7.56MHzに対する分周比は1/40であるが、プログラマブル1/Nカウンタ3113の前段でD−フリップフロップ回路3112により1/2の分周があり、後段のD−フリップフロップ回路3114でも1/2の分周があるので、プログラマブル1/Nカウンタ3113での分周比は1/10となる。また、210kHzの7.56MHzに対する分周比は1/36であるが、189kHzの場合と同様の考え方により、プログラマブル1/Nカウンタ3113での分周比は1/9となる。
【0063】
従って、プログラマブル1/Nカウンタ3113では、スイッチSWaの接続を切り換えることにより「9」と「10」のいずれかのN値が2進数によって入力される。
【0064】
なお、「9」と「10」のいずれのN値を用いるか、すなわち、基準クロックMCLKの周波数fmcを189kHzと210kHzのいずれを用いるかは制御部4によって決定され、制御部4から基準クロックMCLKの周波数fmcを制御するクロック制御信号Sccがパルス幅変調回路31のクロック生成回路311に入力される。本実施形態では、基準クロックMCLKの周波数fmcが2種類であるので、制御信号Sccは、例えば、ハイレベルを「210kHz」に割り当て、ローレベルを「189kHz」に割り当てた信号を用い、クロック生成回路311に制御信号SccのレベルをスイッチSWaのオン・オフを制御する信号に変換するスイッチ制御回路3115を設けている。
【0065】
図1に戻り、制御部4は、チューナ2の受信周波数の制御とスイッチングアンプ3の動作周波数の制御を行う。スイッチングアンプ3の動作周波数とは、出力部102の半導体スイッチSW1,SW2をオン・オフ動作させる周波数であり、パルス幅変調回路31から出力されるPWM信号Sout,/Soutの周波数fcである。上述したように、PWM信号Sout,/Soutの周波数fcは基準クロックMCLKの周波数fmcの2倍であるから、スイッチングアンプ3の動作周波数の制御とはパルス幅変調回路31内のクロック生成回路311の周波数の制御であり、具体的にはクロック生成回路311内のプログラマブル1/Nカウンタ3113の分周値Nを切り換える制御である。
【0066】
制御部4はCPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、EEPROM(Electrically erasable programmable ROM)44などを含むマイクロコンピュータからなる。制御部4にはユーザが受信周波数の入力などの操作を行うための操作部5が接続されている。操作部5には受信周波数を9kHzステップで上側又は下側に変えるための操作ボタン5a,5bが設けられている。
【0067】
制御部4は、チューナ3の音声信号をスピーカ6から出力している状態(AM放送波を聴取している状態)で、操作部5から操作ボタン5aの操作信号が入力されると、操作信号が入力される毎にチューナ3に受信周波数を現在の受信周波数よりも9kHz上昇させる指令信号Smを出力して受信局を現在の受信局から9kHz上昇させる。一方、操作部5から操作ボタン5bの操作信号が入力されると、操作信号が入力される毎にチューナ3に受信周波数を現在の受信周波数よりも9kHz低下させる指令信号Smを出力して受信局を現在の受信局から9kHz低下させる。
【0068】
制御部4は、操作ボタン5a,5bによる受信局の変更制御と同時にスイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数の切換制御を行うが、この切換制御については後述する。
【0069】
本実施形態に係る放送波受信システム1は選局した搬送波周波数f0を特定の操作ボタンに割り当てて記憶するプリセット機能を有しており、このプリセット機能に対応して操作部5には複数の操作ボタン5c(例えば、5局分の操作ボタン)やそれらの操作ボタン5cに自動的に受信局を登録するプリセットボタン5dが設けられている。複数の操作ボタン4cのそれぞれにプリセットされた搬送波周波数の情報はEEPROM43に記憶される。この情報は、例えば、複数の操作ボタン5cのそれぞれに予め番号が付されており、操作ボタン5cの番号に受信局の搬送波周波数f0を対応付けたテーブルである。
【0070】
制御部4は、操作部5からプリセットボタン5dの操作信号が入力されると、チューナ3にAM放送波帯の下限周波数(522kHz)から上限周波数(1629kHz)に向かって受信局を走査する指令信号Smを出力する。チューナ3は、局部発信器222の発振周波数を972kHzから2079kHzまで9kHzステップで上昇させ、各受信周波数(搬送波周波数f0)における中間周波増幅器23の出力レベルを予め設定されたレベル(閾値)と比較し、当該閾値以上の場合、その受信周波数f0の情報を制御部4に送信する。
【0071】
制御部4は、チューナ3から搬送波周波数f0の情報を受信すると、その情報を操作ボタン5Cの番号に対応付けてEEROM43に記憶する。プリセットが終了した後、ユーザが操作ボタン5Cを押圧操作すると、EEROM43からその操作ボタン5Cの番号に対応付けて記憶された搬送波周波数f0を読み出し、その搬送波周波数f0を受信局とする指令信号Smをチューナ3に出力して受信局を操作ボタン5Cにプリセットされた受信局に変更させる。
【0072】
スイッチングアンプ3の動作周波数の制御を行うための情報はROM42に記憶されている。この情報は、各搬送波周波数f0に対応する基準クロックMCLKの周波数fmcのテーブルである。
【0073】
図6は、AM放送波帯(522kHz〜1629kHz)の搬送波周波数f0と基準クロックMCLKの2つのクロック周波数fmc1,fmc2の関係を示すテーブルである。
【0074】
同図のクロック周波数fmc1,fmc2は、それぞれ189kHzと210kHzである。fmc1,fmc2の欄の「×」印は、受信妨害を回避するためにその周波数が選択されないことを示している。
【0075】
図6によれば、クロック周波数fmc1,fmc2のいずれかに「×」印が付いている搬送波周波数f0では、「×」印の付いていない周波数が基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用され、クロック周波数fmc1,fmc2のいずれにも「×」印が付いていない搬送波周波数f0では、いずれかの周波数が基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。
【0076】
例えば、f0=828kHz(近畿地区におけるNHK第2放送)では、クロック周波数fmc2に「×」印が付いているので、周波数fmc1=189kHzが基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。また、f0=1143kHz(近畿地区におけるKBS京都放送)では、周波数fmc1に「×」印が付いているので、クロック周波数fmc2=210kHzが基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。また、f0=1179kHz(近畿地区における毎日放送)では、クロック周波数fmc1,fmc2のいずれにも「×」印が付いていないので、189kHz,210kHzのいずれかが基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。各搬送波周波数f0に対するクロック周波数fmc1又はfmc2の選択方法については後述する。
【0077】
図6のテーブルは、スイッチングアンプ3の動作周波数fcが300kHz〜500kHzの範囲内でチューナ2の高周波増幅回路21でのAM放送波の受信動作や中間周波増幅器23での中間周波数信号SIFの増幅動作に障害を与えない条件を満たすように、基準クロックMCLKの周波数fmcを2つ選択したものである。
【0078】
動作周波数fcがチューナ2の高周波増幅回路21でのAM放送波の受信動作や中間周波増幅器23での中間周波数信号SIFの増幅動作に障害を与えない基本的な条件は、図7に示すように、動作周波数fc及びそのn次高調波周波数が、(a)搬送波妨害、(b)中間周波妨害(IF妨害)、(c)イメージ周波数妨害(イメージ妨害)をしないことである。
【0079】
搬送波妨害について検討すると、AM放送波は搬送波周波数f0を中心に上下に側帯波の帯域Δfを有しているので、動作周波数fcとそのn次高調波周波数をn×fc(n=1,2,3,…でn=1のときは動作周波数fcとなる)で表すと、n×fcがf0±Δfの領域に入らないことが必要である。
【0080】
また、n×fcがf0±Δfの領域から外れていても両者の差信号がビートとして検知され、音声信号として出力されることがあるので、ビート信号が可聴域(例えば、20Hz〜20kHz)の周波数とならないようにする必要がある。従って、ビート信号の周波数の範囲をΔfbeatとすると、n×fcは、f0±(Δf+Δfbeat)の範囲に入らないことが必要である。
【0081】
ところで、側帯波の帯域Δfは搬送波ピッチ(9kHz)の1/2を最大と考えると、AM放送波帯では4.5kHzとなるが、中間周波増幅器23には帯域幅Δfbwがおよそ9kHzの帯域制限フィルタ(IFフィルタ)が用いられており、この帯域制限フィルタでレベルが十分に抑制されれば、受信妨害を確実に回避することができるから、本実施形態では、Δfを帯域制限フィルタの帯域幅Δfbwとし、n×fcがf0±(Δfbw+Δfbeat)の範囲に入らないことを搬送波妨害の回避条件としている。
【0082】
具体的には、ΔF=Δfbw+Δfbeatとすると、Δfbw>9kHzおよびΔfbeat>15kHzを満たすΔFを30kHzに設定し、n×fcがf0±ΔFの範囲に入らないこと、すなわち、
n×fc≠f0±ΔF=f0±30[kHz] …(1)
を搬送波妨害を回避する条件としている。
【0083】
中間周波妨害(IF妨害)は、中間周波数信号が搬送波信号の周波数f0を中間周波数fIFに変換したものであり、受信妨害となる周波数領域がf0±ΔFからfIF±ΔFにシフトすることにより搬送波妨害と同様の妨害が生じる場合である。従って、中間周波妨害(IF妨害)を回避する条件式は、基本的に(1)式で「f0」を「fIF」に置き換えれば得ることができる。
【0084】
また、イメージ妨害は、局部発信周波数fLOCを中心に搬送波周波数f0と鏡像の関係にあるイメージ周波数fimgの存在によって搬送波妨害と同様の妨害が生じる場合である。従って、イメージ妨害を回避する条件式も、基本的に(1)式で「f0」を「fimg」に置き換えれば得ることができる。
【0085】
しかしながら、チューナ3の高周波増幅器21では中心周波数可変のRFフィルタによって、図8(a)に示すように、受信すべき搬送波周波数f0に帯域制限が掛けられ、これにより中間周波数fIF及びイメージ周波数fimgの感度が搬送波周波数f0に対して数十db以下に抑制されるので、妨害の影響を与える帯域幅ΔFは、搬送波妨害の場合よりも狭く考えることができる。
【0086】
すなわち、図8(b)に示すように、中間周波妨害では、搬送波周波数f0のピークレベルを中間周波数fIFのピークレベルに低下させたときのレベルの存在する帯域幅ΔfIFを妨害の影響を与える帯域幅ΔFとすればよく、イメージ妨害では、搬送波周波数f0のピークレベルをイメージ周波数fimgのピークレベルに低下させたときのレベルの存在する帯域Δfimgを妨害の影響を与える帯域幅ΔFとすればよい。
【0087】
従って、中間周波妨害とイメージ妨害を回避する条件式はそれぞれ、
n×fc≠fIF±ΔfIF
n×fc≠fimg±Δfimg
となる。
【0088】
搬送波妨害では妨害の影響を与える帯域幅ΔFを30kHzに設定したが、中間周波妨害ではその帯域幅ΔfIFは数kHz程度になり、イメージ妨害ではその帯域幅Δfimgは殆ど無視することができる程度となる。従って、本実施形態では、IF妨害比が20〜30dBでイメージ妨害比が50dB程度となるので、ΔfIFを20kHzとし、Δfimgを6kHzとして、
n×fc≠f0±ΔF=f0±30[kHz] …(2)
n×fc≠fIF±ΔfIF=fIF±20[kHz] …(3)
n×fc≠fimg±Δfimg=f0+2×fIF±Δfimg
=f0+900±6[kHz] …(4)
但し、nは1以上の整数 fc=2×fmc fIF=450kHz
を受信妨害を回避する条件式としている。
【0089】
ところで、上記の条件式(2)〜(4)はスイッチングアンプ3の動作周波数fcと搬送波周波数f0との関係についてのものであるが、スイッチングアンプ3では動作周波数fcの元になる基準クロックMCLKを生成しているから、基準クロックMCLKの周波数fmcについても動作周波数fcと同様に搬送波妨害およびイメージ妨害を考慮する必要がある。
【0090】
基準クロックMCLKの周波数fmcに対しても搬送波妨害やイメージ妨害について動作周波数fcの条件式と同様の条件式が考えられるが、基準クロックMCLKの周波数fmcのレベルは動作周波数fc及びその高調波のレベルよりもかなり小さい(例えば、−50dB程度)ので、搬送波妨害における帯域幅ΔFやイメージ妨害における帯域幅Δfimgは動作周波数fcの場合よりも狭くすることができる。
【0091】
本実施形態では、搬送波妨害における帯域幅ΔFを6kHz、イメージ妨害における帯域幅Δfimgを無視し、基準クロックMCLKの周波数fmcについての搬送波妨害とイメージ妨害を回避する条件式を、
m×fmc≠f0±6[kHz] …(5)
m×fmc≠=f0+900[kHz] …(6)
但し、mは1以上の整数
としている。
【0092】
なお、基準クロックMCLKの輻射は動作周波数fcの輻射に対して-50dBであり、イメージ妨害比>100dBとなるので、ノイズに埋もれて影響なしとみなす。
【0093】
そして、図6に示すテーブルの基準クロックMCLKのクロック周波数fmc1,fmc2を、水晶発振子の発振周波数7.56MHzの分周周波数で、かつ、300kHz≦2×fmc1,2×fmc2≦500kHzを満たすことを条件に設定し、両クロック周波数fmc1,fmc2に対して、上記(2)〜(6)を適用して各搬送波周波数f0に対し使用可能なクロック周波数fmc1,fmc2を設定している。
【0094】
すなわち、fmc=7560/Nであるから、300≦2×7560/N≦500を満たす分周値Nを求めると、N=31〜50の整数となる。PWM信号Sout,/Soutの周波数の変動幅は可及的に小さい方が好ましいから、本実施形態ではN=31〜50の中から比較的近接(つまり、簡単な分周比、9:10から得られる)した「36」と「40」の2つのN値を選択し(但し、上式(3)の条件を満たすように、n=1,2のときにfIF±ΔfIF(430〜470)の範囲をよける)、N=40の分周周波数189kHzを基準クロックMCLKの一方のクロック周波数fmc1とし、N=36の分周周波数210kHzを基準クロックMCLKの他方のクロック周波数fmc2としている。
【0095】
クロック周波数fmc1について、上記(2)〜(6)の条件式を適用すると、
f0=(2×189×n−30)〜(2×189×n+30)[kHz] …(7)
f0=2×189×n±6−900[kHz] …(8)
f0=189×n±6[kHz] …(9)
f0=189×n−900[kHz] …(10)
を満たす搬送波周波数f0に周波数fmc1が受信障害を起こす虞がある。
【0096】
522kHz〜1629kHzの範囲で(7)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=726〜786,1104〜1164,1482〜1542[kHz]となり、(8)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=606〜618,984〜996,1362〜1374[kHz]となり、(9)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=561〜573,751〜763,939〜961,1128〜1140,1317〜1329,1506〜1518[kHz]となり、(10)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=612,801,990,1179,1338,1557[kHz]となる。
【0097】
周波数fmc2について上記(2)〜(6)の条件式を適用した式は、上記(7)〜(10)で「189」を「210」に置換することによって得られ、
f0=(2×210×n−30)〜(2×210×n+30)[kHz]…(11)
f0=2×210×n±6−900[kHz] …(12)
f0=210×n±6[kHz] …(13)
f0=210×n−900[kHz] …(14)
を満たす搬送波周波数f0に周波数fmc2が受信障害を起こす虞がある。
【0098】
522kHz〜1629kHzの範囲で(11)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=810〜870,1230〜1290[kHz]となり、(12)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=774〜786,1194〜1206,1614〜1626[kHz]となり、(13)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=624〜636,834〜846,1044〜1056,1254〜1266,1464〜1476[kHz]となり、(14)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=570,780,990,1200,1410,1620[kHz]となる。
【0099】
図6のテーブルの「fmc1」,「fmc2」の欄で「×」印を付しているのは上記の搬送波周波数f0である。なお、同図のテーブルでは、上記の搬送波周波数f0に対して±6kHzの範囲で近接しているものに「×」を付している。
【0100】
次に、図6のテーブルを用いたスイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数切換の制御について説明する。
【0101】
図9は、スイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数切換の処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
スイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数切換制御は、2つのクロック周波数fmc1,fmc2のうち、チューナ2の受信局の周波数(搬送波周波数f0)に応じて受信障害の生じないクロック周波数を選択する制御である。
【0103】
本実施形態に係る放送波受信システム1は、操作部5によってメイン電源をオフにする操作が行われると、そのときのチューナ2の受信局の搬送波周波数f0とスイッチングアンプ3の基準クロックMCLKのクロック周波数fmcを保持しておき、次にメイン電源をオンにする操作があると、保持している搬送波周波数f0とクロック周波数fmcをそれぞチューナ2とスイッチングアンプ3とに初期設定する機能を備えている。
【0104】
従って、ユーザによって操作部5から放送波受信システム1のメイン電源をオンにする操作があると、CPU41は、EEPROM43から搬送波周波数f0と基準クロックMCLKのクロック周波数fmcの情報を読み出し、チューナ2にその搬送波周波数f0に受信局を合わせる指令信号Smを送信するとともに、スイッチングアンプ3のクロック生成回路311にそのクロック周波数fmcの情報を送信し、チューナ2とスイッチングアンプ3の状態を前回メイン電源がオフにされた直前の状態に設定する(S1,S2)。
【0105】
従って、ユーザによって操作部5から放送波受信システム1のメイン電源をオンにする操作があると、CPU41は、EEPROM43から搬送波周波数f0と基準クロックMCLKのクロック周波数fmcの情報を読み出し、チューナ2にその搬送波周波数f0に受信局を合わせる指令信号Smを送信するとともに、スイッチングアンプ3のクロック生成回路311にそのクロック周波数fmcの情報を送信し、チューナ2とスイッチングアンプ3の状態を前回メイン電源がオフにされた直前の状態に設定する(S1,S2)。
【0106】
その後、CPU41は、操作部5から受信局を指定する操作信号が入力されると(S3:YES)、その操作信号に対応する受信局の受信を指令する指令信号Smをチューナ3に出力するとともに(S4)、EEPROM43に記憶されている受信局の搬送波周波数f0の内容を指令された搬送波周波数f0に変更する(S5)。
【0107】
操作部5から入力される受信局を指定する操作信号には、主として操作ボタン5a,5bの操作に基づく9kHzステップの受信周波数の変更指令と複数の操作ボタン5cの操作に基づくプリセットされた受信局への変更指令とがあるが、いずれの場合もCPU41は変更すべき受信局の周波数f0(搬送波周波数f0)を知ることができるので、次に、CPU41は、図6のテーブルを参照してその搬送波周波数f0に対して現在スイッチングアンプ3のクロック生成回路311に設定しているクロック周波数fmcが使用可能であるか否かを判別する(S6)。
【0108】
例えば、現在のクロック周波数fmcがfmc1(189kHz)である場合、図6のテーブルの指定された搬送波周波数f0に対してfmc1が「×」であるか否かを判別する。なお、図6のテーブルに代えて、ROM42にクロック周波数fmc1,fmc2に対してそれぞれ使用不可の搬送周波数f0のみを登録しておき、クロック周波数fmc1の登録内容に指定された搬送波周波数f0が含まれているか否かを判別するようにしてもよい。
【0109】
CPU41は、ステップS5で使用不可と判別すると(S6:NO)、クロック生成回路311に分周値N=18を設定するように指令信号Scを出力し、クロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの周波数をクロック周波数fmc2(210kHz)に切り換えるとともに(S7)、EEPROM43に記憶しているクロック周波数fmcの内容をクロック周波数fmc1からクロック周波数fmc2に変更し(S8)、ステップS9に移行する。一方、CPU41は、ステップS5で使用可と判別すると(S6:YES)、ステップS6,S8をスキップし、クロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの周波数をクロック周波数fmc1に保持してステップS9に移行する。
【0110】
ステップ9では、CPU41は、操作部4からメイン電源をオフにする操作信号が入力されたか否かを判別し、入力されなければ(S9:NO)、ステップS3に戻り、操作部4からメイン電源をオフにする操作信号が入力されると(S9:YES)、電源オフの処理をして(S10)、終了する。
【0111】
本実施形態に係る放送波受信システム1によれば、スイッチングアンプ3の基準クロックMCLKのクロック周波数fmcとして、AM放送波帯の一部の搬送波周波数f0に対しては受信障害の虞がある複数のクロック周波数fmcj(j=1,2,…n、nは周波数の数)を、全てのクロック周波数fmcjが同一の搬送波周波数f0に対して受信障害とならないように予め設定しておき、ユーザの選局操作に応じてチューナ3に選局された搬送周波数f0を受信させるときに、当該搬送波周波数f0に対して受信障害の虞のないクロック周波数fmcjをスイッチングアンプ3のクロック生成回路311に設定して基準クロックMCLKを生成させるようにしているので、スイッチングアンプ3の増幅動作がチューナ3の受信動作を妨害することを確実に防止することができる。
【0112】
また、予め設定するクロック周波数fmcの数を少なくし(最小で2つ)、設定される複数のクロック周波数の範囲を可及的に小さくしているので、スイッチングアンプ3で生成されるPWM信号Sout,/Soutの周期の変動幅が小さく、正常にパルス幅変調ができる音声信号esのダイナミックレンジを狭くするという不都合を抑制することができる。
【0113】
上記実施形態では、基準クロックMCLKのクロック周波数fmcを2個としていたが、3個以上にしてもよい。例えば、fmc1=168kHz、fmc2=179kHz、fmc3=192kHz、fmc4=207kHzの4種類のクロック周波数fmcを設定した場合、各クロック周波数fmc1〜fmc4に上記(2)〜(6)の条件式を適用して受信障害を起こす可能性がある搬送波周波数f0を算出すると、図10に示すテーブルのようになる。
【0114】
クロック周波数fmcを4種類にした場合のクロック周波数の切換制御は、クロック周波数fmcを2種類とした場合のように、現在設定されているクロック周波数fmcが指定された受信局の搬送波周波数f0に対して使用可能か否かを判別し、使用不可の場合に他のクロック周波数fmcに切り換えるという図9のフローチャートの制御を適用することはできない。
【0115】
この場合は、現在設定されているクロック周波数fmcが指定された受信局の搬送波周波数f0に対して使用可能か否かを判別し、使用不可の場合は、図10のテーブルを用いて他の3種類のクロック周波数fmcのうち、使用可能なクロック周波数fmcを決定し、そのクロック周波数fmcを設定するようにクロック生成回路311に指令信号Scを出力すればよい。
【0116】
ところで、チューナ2で受信した放送波の音声信号をスイッチングアンプ3で増幅してスピーカ6から出力している状態で、受信局の搬送波周波数f0を変更した場合、それに連動してスイッチングアンプ3の基本クロックMCLKのクロック周波数fmcが変更されると、クロック周波数fmcの切換時にPWM信号Sout,/Soutの周波数が急変することによりスイッチングアンプ3の動作が不安定になる虞がある。
【0117】
従って、好ましくはクロック周波数fmcを切り換える時にはスイッチングアンプ3のパルス幅変調動作を一旦停止し、クロック生成回路311のクロック周波数fmcを切り換えた後に再度パルス幅変調動作を開始するのが良い。しかしながら、このような処理を行うと、ユーザが受信局を変更したとき、クロック周波数fmcの変更の有無によってスイッチングアンプ3のパルス幅変調動作を停止したり、停止しなかったりするのでは、ユーザに違和感を与えるとともに、放送波受信システム1の利便性を低下させるので好ましくない。
【0118】
その一方、AM放送波は、全ての地域でAM放送波帯の全ての搬送波周波数f0が使用されるわけではなく、地域によって主要な放送局は数局程度である。例えば、近畿の大阪地区の主なAM放送局はラジオ関西(f0=558kHz)、NHK第1(f0=666kHz)、NHK第2(f0=828kHz)、ABC(f0=1008kHz)、KBS京都(f0=1143kHz)、毎日放送(f0=1179kHz)、ラジオ大阪(f0=1314kHz)、和歌山放送(f0=1431kHz)などである。
【0119】
このため、一般に、チューナには受信局を予め登録しておくプリセット機能が設けられており、本実施形態に係る放送波受信システム1でもそのプリセット機能を備え、例えば、大阪地区のユーザは上記の放送局の中から所望の放送局を操作ボタン5cにプリセットすることができる。
【0120】
プリセット機能を用いて居住地区の特定の放送局を聴取する場合は、図6の全ての搬送波周波数f0と受信妨害となるクロック周波数fmcとの関係を示すテーブルを用いる必要はなく、プリセットされる受信局の搬送波周波数f0に対してだけ受信妨害となるクロック周波数fmcを考慮すれば十分である。この場合は、プリセットされる受信局の数が数局であるので、それらの受信局の搬送波周波数f0の全てに対して受信妨害とならないクロック周波数fmcを設定することができる可能性が高い。
【0121】
そこで、本実施形態に係る放送波受信システム1では、ユーザが所望の受信局を操作ボタン5cにプリセットしたとき、図6のテーブルを参照してそれらの搬送波周波数f0の受信障害とならないクロック周波数fmcを決定してスイッチングアンプ3のクロック生成回路311に設定し、ユーザによってプリセットの内容が変更されない限り、そのクロック生成回路311のクロック周波数fmcを保持する構成を設けている。
【0122】
例えば、上記の大阪地区の受信局の例で、ユーザがラジオ関西(f0=558kHz)、NHK第1(f0=666kHz)、ABC(f0=1008kHz)、KBS京都(f0=1143kHz)、毎日放送(f0=1179kHz)の5局をプリセットした場合、図6のテーブルを参照すると、これら放送局の搬送波周波数f0の受信障害とならないクロック周波数fmcはfmc2=210kHzであるから、スイッチングアンプ3のクロック生成回路311にはクロック周波数fmc2=210kHzが設定される。
【0123】
図11は、受信局のプリセットにおけるクロック周波数fmcの自動設定の処理手順を示すフローチャートである。
【0124】
図11のフローチャートによれば、制御部4(より正確にはCPU41)は、チューナ3が受信動作をしている状態で操作部5からプリセットボタン5dの操作信号が入力されると(S21:YES)、スイッチングアンプ3に動作停止の指令信号を出力してパルス幅変調動作を停止させる(S22)。スイッチングアンプ3では、例えば、クロック生成回路311の基準クロックの出力を停止したり、パルス幅変調回路31のPWM信号Sout,/Soutの出力を停止したりすることによって増幅動作を停止する。
【0125】
また、制御部4は、搬送波信号のレベルが所定の閾値レベル以上である5つの搬送波周波数f0を5個の操作ボタン5cにそれぞれ割り当てて登録するプリセット処理を行う(S23)。このプリセット処理では、制御部4は、チューナ3にAM放送波帯の522kHzから1629kHzに向かって受信局を走査する指令信号Smを出力し、当該チューナ3に搬送波信号のレベルが所定の閾値レベル以上である搬送波周波数f0を検出させる。そして、制御部4は、チューナ3から閾値レベル以上の搬送波周波数f0の検出情報を受信する毎に、その搬送波周波数f0を5個の操作ボタン5cの番号の若い順に対応付けてEEPROM43に記憶(登録)する。なお、チューナ3からは閾値レベル以上の搬送波周波数f0の検出情報が6個以上返送される場合もあるが、この場合は6番目以降の搬送波周波数f0のプリセット処理は行われない。
【0126】
プリセット処理が終了すると、制御部4は、EEPROM43からプリセットされた5個の搬送波周波f0を読み出し、図6のテーブルを参照してこれらの搬送波周波数f0に受信障害とならないクロック周波数fmcを決定し(S24)、そのクロック周波数f0がスイッチングアンプ3にクロック生成回路311に現在設定されているクロック周波数f0と異なるか否かを判別する(S25)。
【0127】
そして、制御部4は、クロック周波数fmcが異なると判別すると(S25:YES)、新たに決定したクロック周波数fmcの情報をスイッチングアンプ3に出力してクロック生成回路311のクロック周波数fmcを変更する(S26)。その後、制御部4は、スイッチングアンプ3に動作開始の指令信号を出力してパルス幅変調動作を再開させて(S27)、クロック周波数fmcの自動設定処理を終了する。一方、制御部4は、クロック周波数fmcが同一であると判別すると(S25:YES)、ステップS26の処理をすることなく、直ちにスイッチングアンプ3に動作開始の指令信号を出力してパルス幅変調動作を再開させて(S27)、クロック周波数fmcの自動設定処理を終了する。
【0128】
このプリセット処理におけるクロック周波数fmcの自動設定機能によれば、ユーザが所望の受信局をプリセットしたときにその受信局の搬送周波数f0の受信を妨害しないクロック周波数fmcが自動的に設定されるので、ユーザがプリセットされた受信局を聴取する場合は受信局を変更してもスイッチングアンプ3の増幅動作を停止させることがないので、放送波受信システム1の利便性を低下させることがなく、受信障害も確実に防止することができる。
【0129】
上記実施形態では、スイッチングアンプ3の動作周波数fcを決定するパルス幅変調回路31のクロック生成回路311のクロック周波数fmcの例について説明したが、スイッチング電源PSのスイッチング周波数についてもチューナ3の受信する搬送波周波数f0に対して受信障害を起こす可能性があるので、クロック周波数fmcの場合と同様に周波数切換えを行うとよい。
【0130】
スイッチング電源PSとしては、一般にトランスの一次巻き線に接続されるスイッチング素子の数によってフライバックタイプやフォーワードタイプの一石式と、プッシュプルタイプ、ハーフブリッジタイプ、フルブリッジタイプなどの多石式とに分類され、各方式は各種の回路方式が知られているが、スイッチング素子のオン・オフ動作の制御としてはPWM信号を用いたPWM制御が主流である。
【0131】
従って、スイッチング電源PSには、スイッチングアンプ3と同様にスイッチング素子を駆動するためのPWM信号を生成するクロック生成回路が設けられるが、そのクロック生成回路のスイッチング周波数として、AM放送波帯の一部の搬送波周波数f0に対しては受信障害の虞がある複数のスイッチング周波数を、全てのスイッチング周波数が同一の搬送波周波数f0に対して受信障害とならないように予め設定しておき、ユーザの選局操作に応じてチューナ3に選局された搬送周波数f0を受信させるときに、当該搬送波周波数f0に対して受信障害の虞のないスイッチング周波数をスイッチング電源のスイッチング周波数に設定するとよい。
【符号の説明】
【0132】
1 放送波受信システム
2 チューナ
21 高周波増幅器
22 周波数変換器
221 混合器
222 局部発振器
23 中間周波増幅器
24 検波器
3 スイッチングアンプ
31 パルス幅変調回路
311 クロック生成回路
312 デッドタイム生成回路
313 電圧−電流変換回路
314 定電流回路
315〜317 NOR回路
318 インバータ
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
32 出力回路
33 フィルタ回路
4 制御部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 EEPROM
5 操作部
5a,5b,5c 操作ボタン
5d プリセットボタン
6 スピーカ
7 アンテナ
PS スイッチング電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波を受信し、音声信号を復調するチューナと、そのチューナから出力される音声信号をパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号を増幅するスイッチングアンプとを含む放送波受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高効率の音響システムを実現することができる音声信号の増幅機器としてスイッチングアンプが知られている。スイッチングアンプは、音声信号をパルス幅変調信号(以下、「PWM信号」という。)に変換した後、そのPWM信号をスピーカの出力レベルに増幅する機器である。
【0003】
図12に示すように、一般に、スイッチングアンプ100は、オーディオ機器から入力されるオーディオ信号(アナログ信号)esをPWM信号に変換するパルス幅変調部101と、PWM信号のレベルを増幅する出力部102と、増幅されたPWM信号をローパスフィルタに通すことによってアナログ信号(増幅されたオーディオ信号)に戻すフィルタ部103とを含む構成を有している。
【0004】
パルス幅変調部101から出力されるPWM信号Sout,/Soutは、オーディオ信号のレベルの変化に応じてパルス信号の各パルスのデューティ比を変化させるように変調した信号である。また、PWM信号/Soutは、PWM信号Soutの位相を反転したものである。PWM信号を生成する回路としては、オーディオ信号を三角波信号と比較し、オーディオ信号の三角波信号に対するレベルの大小に応じてパルス信号のオン期間もしくはオフ期間(デューティ比)を変化させる方法(いわゆる三角波比較法)が代表的である。
【0005】
また、例えば、特開2009−65613号公報には、基準クロックを生成し、その基準クロックの各周期のオン期間とオフ期間でオーディオ信号のレベルを時間に変換し、その時間をオン期間とするパルスを生成することによって基準クロックの2倍の周波数を有するPWM信号を生成する方法が示されている。
【0006】
このPWM信号生成方法は、三角波比較方式に比べて、音声信号に重畳されたスパイク状のノイズや電源電圧の変動の影響を受け難く、特に音響用のスイッチングアンプのパルス幅変調回路に適しているという特徴を有している。
【0007】
出力部102は、等価的に、電源PSから極性の異なる一対の+Vd,−Vd(|Vd|は十数ボルト程度)の電圧が入力される端子間に2つの半導体スイッチSW1,SW2の直列回路が接続された構成を有する。±Vdの電圧を供給する電源PSも、高効率の音響システムを実現するためにスイッチング電源が用いられる。半導体スイッチSW1のオン・オフ動作はPWM信号Soutによって制御され、半導体スイッチSW2のオン・オフ動作はPWM信号/Soutによって制御されるので、出力部102からはPWM信号Soutの振幅を+Vdから−Vdの振幅に増幅したPWM信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−65613号公報
【特許文献2】特開平05−315980号公報
【特許文献3】特表2004−507967号公報
【特許文献4】特開2009−141408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スイッチングアンプ100に入力されるオーディオ信号esのソースにはCDやDVDなどのプレーヤやテレビやラジオのチューナなどがあるが、チューナを内蔵した音響機器にスイッチングアップ100を搭載し、チューナで復調したテレビやラジオのオーディオ信号もスイッチングアップ100の入力信号とする場合は、スイッチングアンプ100の出力部102の半導体スイッチSW1,SW2をオン・オフ動作させる周波数やスイッチング電源PS内の半導体スイッチをオン・オフ動作させる周波数がチューナの受信動作に障害を与える場合があるので、その周波数(以下、この周波数を「動作周波数」という。)をチューナの受信周波数と干渉しないように選択する必要がある。
【0010】
その一方、スイッチングアンプ100では、パルス幅変調部101の基準クロックの周波数を高くし、周期を短くすると、パルス幅変調を行うオーディオ信号esのサンプリング周期が短くなり、サンプリング数の点では再生品質を向上させることになるが、正しく変調されず、変調ひずみの点で再生品質を低下させることになる。すなわち、スイッチング周期に対するPWM信号の立上り及び立下りの時間の比が大になり、正常にパルス幅変調ができる音声信号esのダイナミックレンジが狭くなるので、基準クロックの周波数選定には上記の再生品質の観点から一定の制約がある。
【0011】
また、出力部102の半導体スイッチSW1,SW2をPWM信号Sout,/Soutで確実にオン・オフ動作させる必要があることから、半導体スイッチSW1,SW2の応答速度の観点からも基準クロックの周波数選定には一定の制約がある。
【0012】
スイッチングアンプ100の動作周波数は、パルス幅変調部101から出力されるPWM信号Sout,/Soutの周波数に相当し、この周波数は基準クロックの周波数の2倍の周波数となっている。基準クロックの周波数は、上記の再生品質と出力部102の応答性の観点から選定されるので、この結果、スイッチングアンプ100の動作周波数fcは、一般に300kHz〜500kHzの範囲となっている。
【0013】
一方、国内のAMラジオ放送では、搬送波の帯域はおよそ500kHz〜1700kHzに割り当てられ、例えば、522kHz〜1629kHzの範囲で9kHzピッチ、124チャネルの搬送波が使用可能になっている。
【0014】
特に、AMチューナはスーパーヘテロダイン方式の受信回路が採用されているので、スイッチングアンプ100の動作周波数fc及びその高調波周波数n×fc(n=2,3,…の整数)が妨害波とならないように回避すべき周波数は、522kHz〜1629kHzの搬送波周波数f0(上記の124チャネルの搬送波)だけでなく、中間周波数fIF(=455kHz)や中間周波fIFを中心に搬送波周波数f0と鏡像の関係にあるイメージ周波数fimg(=f0+2×fIF)も存在し、これら全ての周波数に干渉しないように動作周波数fcを1個選択し、固定的にその周波数を使用することは極めて困難である。
【0015】
例えば、全ての地域で124チャネルの全てが搬送波として使用されているわけではないので、地域毎にその地域で使用されている搬送波周波数f0や中間周波数fIFやイメージ周波数fimgに対して干渉しない条件とすれば、選択条件が緩和されるので、動作周波数fcの選択が容易にはなるが、その方法は、製品の販売地域によって動作周波数fcを変える必要があり、製造上の管理や製造工程の標準化を阻害することになるので、現実的でない。
【0016】
また、スイッチングアンプ100の基準クロックを周波数可変のクロックで構成し、チューナの受信周波数がセットされる毎に当該受信周波数の受信を妨害しない基準クロックのクロック周波数を自動的に設定する方法が考えられるが、この方法では、基準クロックの構成が複雑になるとともに、上述したスイッチングアンプ100に課される再生品質の確保や出力部102の応答速度の確保に基づく周波数選定の条件を元に基準クロックのクロック周波数を選択する必要があり、その選択処理をするための回路も複雑になるという問題がある。
【0017】
なお、スイッチング電源PSの場合は、その動作周波数(スイッチング周波数)がスイッチングアンプ100の動作周波数fcよりも低く、一般に数十kHzになることが多いが、この場合も動作周波数及びその高調波周波数が上記の搬送波f0や中間周波数fIFやイメージ周波数fimgに対して干渉しないように、動作周波数を選定しなければならず、上記の問題は、スイッチング電源PSの動作周波数の選定についても同様である。
【0018】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で複数の動作周波数の中からチューナの受信周波数に対して受信動作に障害とならない動作周波数を自動的に設定し、確実に受信障害を防止することのできる放送波受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0020】
本発明によれば、放送局から放射される音声信号で変調された搬送波信号を受信し、その音声信号を復調して出力する放送波受信手段と、基準クロックを生成し、その基準クロックに基づくスイッチング動作により所定の信号変換処理を行う信号変換処理手段と、前記放送波受信手段によって受信される搬送波周波数と前記信号変換処理手段の基準クロックのクロック周波数とを制御する制御手段と、を含む放送波受信システムであって、前記信号変換処理手段は、予め設定された複数のクロック周波数のいずれかのクロック周波数を有する基準クロックを生成することが可能な基準クロック生成手段を備え、前記制御手段は、前記放送波の帯域に含まれる複数の搬送波周波数の一部に対して所定の受信妨害の条件を満たす前記複数のクロック周波数が、全てのクロック周波数が同一の搬送波周波数に対して前記受信妨害の条件を満たさないように予め設定され、各クロック周波数と受信妨害を生じる前記搬送波周波数との関係を示す情報が記憶された記憶手段と、前記放送波受信手段に受信すべき前記搬送波周波数を設定する受信周波数設定手段と、前記記憶手段に記憶された情報を参照して前記複数のクロック周波数のうち、前記受信周波数設定手段により設定される前記搬送波周波数に対して受信妨害を生じないクロック周波数を決定するクロック周波数決定手段と、前記クロック周波数決定手段で決定されたクロック周波数の基準クロックを生成させるべく、当該クロック周波数を前記基準クロック生成手段に設定するクロック周波数設定手段と、を備えたことを特徴とする放送波受信システムが提供される(請求項1)。
【0021】
好ましい実施の形態によれば、前記信号変換処理手段は、前記基準クロックのハイレベルとローレベルの各期間で前記音声信号のレベルをパルス幅に変換することにより前記音声信号を前記基準クロックのクロック周波数の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号によって所定の直流電圧をスイッチングすることにより前記音声信号を増幅する増幅手段である(請求項2)。
【0022】
また、他の好ましい実施の形態によれば、前記放送波受信手段は、スーパーヘテロダイン方式により前記搬送波周波数を受信するものであり、前記搬送波周波数をf0、前記搬送波周波数に対す帯域幅をΔF、ΔF'(<ΔF)、前記クロック周波数をfmc、中間周波数をfIF、中間周波数に対す帯域幅をΔfIF、イメージ周波数をfimg、イメージ周波数に対す帯域幅をΔfimgとすると、前記受信妨害の条件は、
2×n×fmc=f0±ΔF:搬送波妨害
2×n×fmc=fIF±ΔfIF:中間周波妨害
2×n×fmc=fimg±Δfimg:イメージ周波妨害
m×fmc=f0±ΔF':搬送波妨害
m×fmc=f0+2×fIF:イメージ妨害
但し、n,mは1以上の整数
である(請求項3)。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、信号変換手段の基準クロックのクロック周波数として、放送波帯の一部の搬送波周波数に対しては受信障害の虞がある複数のクロック周波数を、全てのクロック周波数が同一の搬送波周波数に対して受信障害とならないように予め設定し、各クロック周波数と受信妨害を生じる搬送波周波数との関係を示す情報が記憶手段に記憶されている。
【0024】
そして、ユーザの選局操作に応じて制御手段が放送波受信手段に選局された搬送周波数を受信させるとき、当該搬送波周波数に対して受信障害の虞のないクロック周波数を、例えば、スイッチングアンプやスイッチング電源などの信号変換処理手段に設定してそのクロック周波数を有する基準クロックを生成させる。
【0025】
例えば、基準クロックのクロック周波数fmcとしてfmc1とfmc2(>fmc1)の2種類のクロック周波数が設定されており、放送波受信手段に受信させる搬送波周波数f0に対してクロック周波数fmc1は受信障害を生じないが、クロック周波数fmc2は受信障害を生じる場合、信号変換処理手段にはクロック周波数fmc1が設定され、信号変換処理手段は当該クロック周波数fmc1を有する基準クロックに基づくスイッチング動作により所定の信号変換処理を行う。
【0026】
例えば、信号変換処理手段が基準クロックのハイレベルとローレベルの各期間で音声信号のレベルをパルス幅に変換することにより音声信号を基準クロックのクロック周波数の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号によって所定の直流電圧をスイッチングすることにより音声信号を増幅する増幅手段の場合、放送波受信手段から出力される音声信号は、クロック周波数fmc1の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換され、そのパルス幅変調信号によって直流電圧をスイッチングすることにより音声信号の増幅が行われる。
【0027】
従って、増幅手段の増幅動作が放送波受信手段の受信動作を妨害することを確実に防止することができる。
【0028】
また、予め設定する2つのクロック周波数fmc1,fmc2の範囲を可及的に小さくするように選択すると、増幅手段で生成されるパルス幅変調信号の周期の変動幅を小さくすることができるので、正常にパルス幅変調ができる音声信号のダイナミックレンジを狭くするという不都合を抑制することができる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る本発明に係る放送波受信システムのブロック構成図である。
【図2】放送波受信システム内のチューナのブロック構成図である。
【図3】放送波受信システム内のスイッチングアンプにおけるパルス幅変調回路の回路構成の一例を示す図である。
【図4】図3のパルス幅変調回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】クロック生成回路の一例を示すブロック図である。
【図6】AM放送波帯の搬送波周波数と基準クロックの2つの周波数の関係を示すテーブルである。
【図7】搬送波妨害、中間周波妨害及びイメージ妨害を説明するための図である。
【図8】中間周波妨害とイメージ妨害における妨害の帯域幅を示す図である。
【図9】スイッチングアンプの基準クロックの周波数切換の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】基準クロックを4つにした場合のAM放送波帯の搬送波周波数とその4つの基準クロックの周波数との関係を示すテーブルである。
【図11】受信局のプリセットにおけるクロック周波数の自動設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】従来のスイッチングアンプのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明に係る放送波受信システムのブロック構成図である。
【0032】
放送波受信システム1は、放送波を受信し、音声信号を検波して出力するチューナ2と、チューナ2から出力される音声信号esを増幅するアンプ3と、チューナの受信動作とアンプ3の増幅動作を制御する制御部4と、ユーザがチューナの受信周波数を入力するための操作部5と、アンプ3から出力される増幅された音声信号Esを機械振動に変換するスピーカ6と、チューナ3やアンプ3や制御部4に直流電源を供給する電源PSを含んでいる。電源PSは周知の他励式のスイッチング電源で構成され、チューナ3やアンプ3や制御部4に対して必要な複数の駆動用の直流電圧を生成し、それぞれチューナ3やアンプ3や制御部4に供給する。
【0033】
放送波受信システム1は、チューナ2、アンプ3、制御部4及び操作部5を一体に組み込んだ放送波受信装置として構成してもよく、制御部4及び操作部5をアンプ3に組み込み、チューナ2とアンプ3を専用ケーブルで結合したシステムとしてもよい。
【0034】
チューナ2は、AM(Amplitude Modulation)放送を受信する受信装置である。本実施形態ではAM放送の受信装置を例に説明するが、FM放送などの他のラジオ放送やテレビ放送や衛星放送などの他の放送波の受信装置であってもよい。
【0035】
チューナ2は、周知のスーパーへテロダイン方式の受信装置である。チューナ2は、図2に示すように、高周波増幅器21、周波数変換器22、中間周波増幅器23及び検波器24の各器を含み、この順にアンテナ7が接続される入力端2aから音声信号esが出力される出力端2bとの間に接続されている。
【0036】
高周波増幅器21は、AM放送波帯(国内では522kHz〜1629kHz)に対してゲインを有する高周波増幅回路であり、アンテナ7から入力される放送波信号の中からAM放送波帯の高周波信号SRFのレベルを増幅する。高周波増幅器21には、初段に522kHz〜1269kHzの範囲で中心周波数が可変のRFフィルタが設けられ、アンテナ7から入力される高周波信号SRFに対してRFフィルタにより帯域制限を掛けることにより制御回路4から受信が指示された高周波信号SRFを受信する機能を有する。RFフィルタの中心周波数は、制御回路4から入力される受信局の指令信号Smによって変更される。
【0037】
周波数変換器22は、高周波増幅器21から出力される高周波信号SRFを中間周波数信号SIF(中間周波数fIFは一般的には455kHzであるが、説明を簡略化するため450kHzの信号として説明する。)に変換する回路である。周波数変換器22は、混合器(乗算器)221と局部発振器222を含み、混合器221で高周波増幅器21から入力される高周波信号SRF(周波数はfRF)と局部発振器222から入力される局部発振周波数信号SLOC(周波数はfLOC)とに基づいて、周波数(fLOC+fRF)、(fLOC−fRF)=fIFの中間周波数信号fIFに変換する。
【0038】
AM放送波帯の放送波(搬送波)は522kHzから1629kHzまで9kHzステップで124局分の使用が可能になっており、中間周波数fIFは450kHzに固定されているので、局部発振器222の局部発振周波数fLOCを変化させることによって受信する放送波(以下、放送波の周波数を「搬送波周波数f0」という。)が決定される。すなわち、局部発振周波数fLOCを変化させることによってAM放送波帯の放送波の選局が行われる。
【0039】
局部発振器222は、可変周波数発振回路で構成され、制御回路4から入力される受信局の指令信号Smに基づいて972kHz〜2079kHzの正弦波信号を生成する。具体的には、局部発振器222は、指令信号Smによって指示される受信すべき搬送波周波数f0よりも450kHz高い正弦波信号を生成する。例えば、f0=1000kHzの場合、局部発振器222は、1450kHzの正弦波信号を生成する。
【0040】
中間周波増幅器23は、周波数変換器22から出力される中間周波数信号SIFに対して、fIFを通過させる(上記の(fLOC+fRF)を通過させない)IFフィルタ(バンドパスフィルタ)としての機能と、増幅する機能とを有する。検波器24は、中間周波数信号SIFを復調し、音声信号esを検波する。この音声信号esは、出力端2bからアンプ3に出力される。
【0041】
アンプ3は、パルス幅変調回路を用いたスイッチングアンプであり、その基本構成は、図12に示したスイッチングアンプ100と同じである。
【0042】
図3は、スイッチングアンプ3内のパルス変調回路31の回路構成の一例を示し、図4は、図3に示すパルス幅変調回路31のパルス幅変調動作を示すタイムチャートである。図3、図4は、特開2009−65613号公報に示された内容と同じであり、本願発明は、図3に示すクロック成回路の基準クロックMCLKの周波数設定の仕方に特徴があるので、以下では、パルス変調回路31のパルス幅変調動作に関する要点を説明する。
【0043】
パルス幅変調回路31は、電圧−電流変換回路313によって音声信号esをその電圧値に応じた電流値を有する電流Isに変換し、その電流Isで第1コンデンサC1をクロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの前半の半周期(TON期間)で充電し、後半の半周期(TOFF期間)で第1コンデンサC1の蓄積電荷を定電流回路314によって一定の電流Idで放電する一方、電流Isで第2コンデンサC2を基準クロックMCLKの後半の半周期(TOFF期間)で充電し、次の周期の前半の半周期(TON期間)で第2コンデンサC2の蓄積電荷を定電流回路314によって一定の電流Idで放電する構成を備えている(図4のMCLK、φ1,φ2、C1,C2の波形参照)。
【0044】
なお、基準クロックMCLKの立上りタイミングで第1コンデンサC1の充電開始と第2コンデンサの放電停止とが同時に行われ、立下りタイミングで第1コンデンサC1の放電開始と第2コンデンサの充電開始とが同時に行われると、電圧−電流変換回路313および定電流回路314が同時に第1コンデンサC1と第2コンデンサC2に接続されることになり、回路的に不都合が生じるので、正確には第1コンデンサC1の充放放電タイミングと第2コンデンサC2の充放放電タイミングに微小のデッドタイムを設けた第1充電制御信号φ1と第2充電制御信号φ2をデッドタイム生成回路312で生成し、第1コンデンサC1の充電を第1充電制御信号φ1で制御し、第2コンデンサC2の充電を第2充電制御信号φ2で制御するようにしている。また、第1コンデンサC1の放電は後述する第1放電制御信号ψ1で制御し、第2コンデンサC2の放電は第2放電制御信号ψ2で制御するようにしている。
【0045】
また、電圧−電流変換回路313では、音声信号esは、es=0のとき、Is=Ic(>0)、es>0のとき、+Δi=k・|es|、es<0のとき、−Δi=k・|es|とすると、Ic±Δi(Δi<Ic)で示される電流Isに変換され、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に対して電荷を引き込む方向に流れる。すなわち、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の電圧レベルがグランドレベルに対して負になる方向に充電する(図4のC1,C2の波形の基準レベルVthから右下方向に減少する部分参照)。従って、音声信号esは「0v」を中心に正負両方にレベルが変動するが、電圧−電流変換回路313で変換された電流IsはIcを中心に±Δi(Δi<Ic)の範囲で電流値が変動するので、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は必ず電流Isにより負方向に充電されることになる。
【0046】
一方、定電流回路314の電流Idは、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2に対して電荷を注入する方向に流れるので、電流Isによって負方向に充電された第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の蓄積電荷を一定の電流値で放電する(図4のC1,C2の波形の右上方向に基準レベルVthまで上昇する部分参照)。
【0047】
第1コンデンサC1の電流Isによる充電と電流Idによる放電は、デッドタイム生成回路312から出力される第1充電制御信号φ1のオン期間TONとオフ期間TOFFにそれぞれ行われる。第1コンデンサC1の充電は第1充電制御信号φ1により制御され、第1コンデンサC1の放電は第1NOR回路315から出力される信号により制御される。
【0048】
第1NOR回路315は、第1放電制御信号φ1のレベルと第1コンデンサC1の電圧レベルの排他的論理和を出力することにより、第1コンデンサC1の放電時間にハイレベルとなるパルスを生成する回路である。第1NOR回路315から出力されるパルスは、PWM信号の1パルスに相当するものである。第1NOR回路315の出力がハイレベルに反転するタイミングは、第1充電制御信号φ1のレベルがローレベルに反転するタイミング(すなわち、放電開始タイミング)と同じであり、しかも、第1充電制御信号φ1のレベルがローレベルの期間に第1コンデンサC1の放電(第1コンデンサC1の電圧レベルが基準レベルVthに上昇すること)が必ず完了するように定電流回路314の電流Idが設定されているので、第1NOR回路315から出力されるパルス信号を放電回路314と第1コンデンサC1との間に設けられた放電制御用の第2スイッチSW2の開閉を制御する第1放電制御信号ψ1としている。
【0049】
第1充電制御信号φ1がハイレベルになると、電圧−電流変換回路313と第1コンデンサC1との間に設けられた充電制御用の第1スイッチSW1が「閉」になり、電流Isによる第1コンデンサC1の充電が開始される。その後、第1充電制御信号φ1がローレベルになると、第1スイッチSW1が「開」になるので、第1コンデンサC1の充電は停止する(図4のφ1のTON期間におけるC1の波形参照)。
【0050】
一方、第1放電制御信号φ1がローレベルになると同時に第1放電制御信号ψ1がハイレベルになり、第3スイッチSW3が「閉」になるので、定電流Idによる第1コンデンサC1の放電が開始する。この放電により第1コンデンサC1の電圧レベルが上昇し、基準レベルVthに達すると、第1NOR回路315の出力レベルがローレベルに反転し、これにより第3スイッチSW3が「開」になるので、第1コンデンサC1の放電が停止する。第1コンデンサC1の放電が開始されてから当該第1コンデンサC1の電圧が基準レベルVthに達するまでの時間τは第1放電制御信号φ1のオフ期間TOFFよりも短いので、第1コンデンサC1の電圧レベルが基準レベルVthになると、その電圧レベルが次の充電開始タイミングまで保持され(図4のφ1のTOFF期間におけるC1の波形参照)、以下、同様の充放電動作が繰り返される。
【0051】
第2コンデンサC2の電流Isによる充電と電流Idによる放電は、デッドタイム生成回路312から出力される第2充電制御信号φ2のオン期間TONとオフ期間TOFFにそれぞれ行われる。第2コンデンサC2の充電は第2充電制御信号φ2により制御され、第2コンデンサC2の放電は第2NOR回路316から出力される信号により制御される。
【0052】
第2NOR回路316は、第2放電制御信号φ2のレベルと第2コンデンサC2の電圧レベルの排他的論理和を出力することにより、第2コンデンサC2の放電時間にハイレベルとなるパルスを生成する回路である。このパルスもPWM信号の1パルスに相当するものである。第2NOR回路316から出力される信号は、第1NOR回路315から出力される信号を第1放電制御信号ψ1として利用したのと同様の理由により、放電回路314と第2コンデンサC2との間に設けられた放電制御用の第2スイッチSW2の開閉を制御する第2放電制御信号ψ2としている。
【0053】
従って、第2コンデンサC2についても、第1充電制御信号φ1と第1放電制御信号ψ1による第1コンデンサC1の充放電動作と同様に、第2充電制御信号φ2と第2放電制御信号ψ2により充放電動作が制御され、その波形は、第1コンデンサC1の充放電動作の波形に対して基準クロックMCLKの周期Tの略1/2だけ遅れた波形となる(図4のφ2のTON期間及びTOFF期間におけるC2の波形参照)。
【0054】
第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の充電時間は略T/2で固定であるから、充電動作が終了したときの第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の電圧レベルVj(以下、「充電レベルVj」という。)は、充電電流Isに比例して変化する。また、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2の放電時の電流は定電流Idであり、充電レベルVjから基準レベルVthまで上昇する時間τ(以下、この時間を「放電時間τ」という。)は、τ=(Vth−Vj)/Idで表されるから、放電時間τは充電レベルVjに比例する。そして、充電レベルVjは音声信号esの「0v」を中心とした振幅に比例するから、放電時間τは音声信号esの「0v」を中心とした振幅に比例する。
【0055】
従って、第1NOR回路315からは第1コンデンサC1の放電時間τにハイレベルになるパルスが出力され、第2NOR回路316からは第2コンデンサC2の放電時間τにハイレベルになるパルスが出力されるが、これらのパルスは、音声信号esの「0v」を中心とした振幅を時間に変換した信号(パルス幅変調信号)となっている。
【0056】
そして、第1NOR回路315から出力されるパルスは、基準クロックMCLKのオン期間に音声信号esの振幅をパルス幅変調し、第2NOR回路316から出力されるパルスは、基準クロックMCLKのオフ期間に音声信号esの振幅をパルス幅変調した信号であるから、第3NOR回路317によって第1NOR回路315から出力される信号と第2NOR回路316から出力される信号の排他的論理和の信号を生成することより、基準クロックMCLKの周期Tの1/2を周期T’とするパルス信号のデューティ(TON/T’)を音声信号esの振幅に応じて変化させたPWM信号Soutが生成される。このPWM信号Soutは、パルス幅変調回路31の一方の出力端OUT1からそのまま出力されるとともに、インバータ318によって位相が反転されて(PWM信号/Soutが生成されて)他方の出力端OUT2から出力される。
【0057】
上記のように、パルス幅変調回路31で生成されるPWM信号Sout,/Soutの周波数fcは、クロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの周波数fmcの2倍波となる。そして、本実施形態では、本発明が解決しようとする課題の欄で説明したように、PWM信号Sout,/Soutの周波数fcを300kHz〜500kHzの範囲内で固定すると、チューナ2の高周波増幅回路21でのAM放送波の受信動作や中間周波増幅器23での中間周波数信号SIFの増幅動作に障害を与える可能性があるので、受信周波数に応じて予め設定された2つのクロック周波数fmc1,fmc2のいずれかを設定し、上記の障害を回避するようにしている。
【0058】
図5は、クロック生成回路311の一例を示すブロック構成図である。
【0059】
クロック生成回路311は、周知の水晶発振子とC−MOSゲートを用いてパルス信号を発生するパルス発振回路3111と、このパルス発振回路3111から出力されるパルス信号をラッチし、1/2に分周したクロックパルスを生成するD−フリップフロップ回路3112と、D−フリップフロップ回路3112から出力されるクロックパルスを1/Nに分周するプログラマブル1/Nカウンタ3113と、プログラマブル1/Nカウンタ3113から出力される1/N分周のクロックパルスをラッチし、さらに1/2に分周するD−フリップフロップ回路3114と、プログラマブル1/Nカウンタ3113の分周比を切り換えるスイッチ制御回路3115と、を含む。
【0060】
プログラマブル1/Nカウンタ3113には、2進数の分周比Nを入力するための4個の入力端子A,B,C,Dが設けられている。本実施形態では、2種類の分周比を切り換えて上述したクロック周波数fmc1,fmc2の基準クロックのいずれかを生成するため、A端子がスイッチSWaによってVcc電源とグランドとに切換接続が可能になされ、B端子とC端子とがVcc電源に接続され、D端子はグランドに接続されている。
【0061】
詳細は後述するが、ここで、クロック周波数fmc1,fmc2の基準クロックMCLKについて簡単に説明する。本実施形態では、例えば、7.56MHzの水晶発振子を用いてパルス発振回路3111により7.56MHzのパルス信号を発生させ、このパルス信号をD−フリップフロップ回路3112でラッチして3.78MHzのクロックパルスを生成し、さらにこのクロックパルスをプログラマブル1/Nカウンタ3113で1/Nに分周するとともに、D−フリップフロップ回路3114でラッチして当該D−フリップフロップ回路3114から189kHz又は210kHzのクロックパルスをクロック周波数fmc1とfmc2の基準クロックを出力するようにしている。
【0062】
189kHzの7.56MHzに対する分周比は1/40であるが、プログラマブル1/Nカウンタ3113の前段でD−フリップフロップ回路3112により1/2の分周があり、後段のD−フリップフロップ回路3114でも1/2の分周があるので、プログラマブル1/Nカウンタ3113での分周比は1/10となる。また、210kHzの7.56MHzに対する分周比は1/36であるが、189kHzの場合と同様の考え方により、プログラマブル1/Nカウンタ3113での分周比は1/9となる。
【0063】
従って、プログラマブル1/Nカウンタ3113では、スイッチSWaの接続を切り換えることにより「9」と「10」のいずれかのN値が2進数によって入力される。
【0064】
なお、「9」と「10」のいずれのN値を用いるか、すなわち、基準クロックMCLKの周波数fmcを189kHzと210kHzのいずれを用いるかは制御部4によって決定され、制御部4から基準クロックMCLKの周波数fmcを制御するクロック制御信号Sccがパルス幅変調回路31のクロック生成回路311に入力される。本実施形態では、基準クロックMCLKの周波数fmcが2種類であるので、制御信号Sccは、例えば、ハイレベルを「210kHz」に割り当て、ローレベルを「189kHz」に割り当てた信号を用い、クロック生成回路311に制御信号SccのレベルをスイッチSWaのオン・オフを制御する信号に変換するスイッチ制御回路3115を設けている。
【0065】
図1に戻り、制御部4は、チューナ2の受信周波数の制御とスイッチングアンプ3の動作周波数の制御を行う。スイッチングアンプ3の動作周波数とは、出力部102の半導体スイッチSW1,SW2をオン・オフ動作させる周波数であり、パルス幅変調回路31から出力されるPWM信号Sout,/Soutの周波数fcである。上述したように、PWM信号Sout,/Soutの周波数fcは基準クロックMCLKの周波数fmcの2倍であるから、スイッチングアンプ3の動作周波数の制御とはパルス幅変調回路31内のクロック生成回路311の周波数の制御であり、具体的にはクロック生成回路311内のプログラマブル1/Nカウンタ3113の分周値Nを切り換える制御である。
【0066】
制御部4はCPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、EEPROM(Electrically erasable programmable ROM)44などを含むマイクロコンピュータからなる。制御部4にはユーザが受信周波数の入力などの操作を行うための操作部5が接続されている。操作部5には受信周波数を9kHzステップで上側又は下側に変えるための操作ボタン5a,5bが設けられている。
【0067】
制御部4は、チューナ3の音声信号をスピーカ6から出力している状態(AM放送波を聴取している状態)で、操作部5から操作ボタン5aの操作信号が入力されると、操作信号が入力される毎にチューナ3に受信周波数を現在の受信周波数よりも9kHz上昇させる指令信号Smを出力して受信局を現在の受信局から9kHz上昇させる。一方、操作部5から操作ボタン5bの操作信号が入力されると、操作信号が入力される毎にチューナ3に受信周波数を現在の受信周波数よりも9kHz低下させる指令信号Smを出力して受信局を現在の受信局から9kHz低下させる。
【0068】
制御部4は、操作ボタン5a,5bによる受信局の変更制御と同時にスイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数の切換制御を行うが、この切換制御については後述する。
【0069】
本実施形態に係る放送波受信システム1は選局した搬送波周波数f0を特定の操作ボタンに割り当てて記憶するプリセット機能を有しており、このプリセット機能に対応して操作部5には複数の操作ボタン5c(例えば、5局分の操作ボタン)やそれらの操作ボタン5cに自動的に受信局を登録するプリセットボタン5dが設けられている。複数の操作ボタン4cのそれぞれにプリセットされた搬送波周波数の情報はEEPROM43に記憶される。この情報は、例えば、複数の操作ボタン5cのそれぞれに予め番号が付されており、操作ボタン5cの番号に受信局の搬送波周波数f0を対応付けたテーブルである。
【0070】
制御部4は、操作部5からプリセットボタン5dの操作信号が入力されると、チューナ3にAM放送波帯の下限周波数(522kHz)から上限周波数(1629kHz)に向かって受信局を走査する指令信号Smを出力する。チューナ3は、局部発信器222の発振周波数を972kHzから2079kHzまで9kHzステップで上昇させ、各受信周波数(搬送波周波数f0)における中間周波増幅器23の出力レベルを予め設定されたレベル(閾値)と比較し、当該閾値以上の場合、その受信周波数f0の情報を制御部4に送信する。
【0071】
制御部4は、チューナ3から搬送波周波数f0の情報を受信すると、その情報を操作ボタン5Cの番号に対応付けてEEROM43に記憶する。プリセットが終了した後、ユーザが操作ボタン5Cを押圧操作すると、EEROM43からその操作ボタン5Cの番号に対応付けて記憶された搬送波周波数f0を読み出し、その搬送波周波数f0を受信局とする指令信号Smをチューナ3に出力して受信局を操作ボタン5Cにプリセットされた受信局に変更させる。
【0072】
スイッチングアンプ3の動作周波数の制御を行うための情報はROM42に記憶されている。この情報は、各搬送波周波数f0に対応する基準クロックMCLKの周波数fmcのテーブルである。
【0073】
図6は、AM放送波帯(522kHz〜1629kHz)の搬送波周波数f0と基準クロックMCLKの2つのクロック周波数fmc1,fmc2の関係を示すテーブルである。
【0074】
同図のクロック周波数fmc1,fmc2は、それぞれ189kHzと210kHzである。fmc1,fmc2の欄の「×」印は、受信妨害を回避するためにその周波数が選択されないことを示している。
【0075】
図6によれば、クロック周波数fmc1,fmc2のいずれかに「×」印が付いている搬送波周波数f0では、「×」印の付いていない周波数が基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用され、クロック周波数fmc1,fmc2のいずれにも「×」印が付いていない搬送波周波数f0では、いずれかの周波数が基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。
【0076】
例えば、f0=828kHz(近畿地区におけるNHK第2放送)では、クロック周波数fmc2に「×」印が付いているので、周波数fmc1=189kHzが基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。また、f0=1143kHz(近畿地区におけるKBS京都放送)では、周波数fmc1に「×」印が付いているので、クロック周波数fmc2=210kHzが基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。また、f0=1179kHz(近畿地区における毎日放送)では、クロック周波数fmc1,fmc2のいずれにも「×」印が付いていないので、189kHz,210kHzのいずれかが基準クロックMCLKの周波数fmcとして使用される。各搬送波周波数f0に対するクロック周波数fmc1又はfmc2の選択方法については後述する。
【0077】
図6のテーブルは、スイッチングアンプ3の動作周波数fcが300kHz〜500kHzの範囲内でチューナ2の高周波増幅回路21でのAM放送波の受信動作や中間周波増幅器23での中間周波数信号SIFの増幅動作に障害を与えない条件を満たすように、基準クロックMCLKの周波数fmcを2つ選択したものである。
【0078】
動作周波数fcがチューナ2の高周波増幅回路21でのAM放送波の受信動作や中間周波増幅器23での中間周波数信号SIFの増幅動作に障害を与えない基本的な条件は、図7に示すように、動作周波数fc及びそのn次高調波周波数が、(a)搬送波妨害、(b)中間周波妨害(IF妨害)、(c)イメージ周波数妨害(イメージ妨害)をしないことである。
【0079】
搬送波妨害について検討すると、AM放送波は搬送波周波数f0を中心に上下に側帯波の帯域Δfを有しているので、動作周波数fcとそのn次高調波周波数をn×fc(n=1,2,3,…でn=1のときは動作周波数fcとなる)で表すと、n×fcがf0±Δfの領域に入らないことが必要である。
【0080】
また、n×fcがf0±Δfの領域から外れていても両者の差信号がビートとして検知され、音声信号として出力されることがあるので、ビート信号が可聴域(例えば、20Hz〜20kHz)の周波数とならないようにする必要がある。従って、ビート信号の周波数の範囲をΔfbeatとすると、n×fcは、f0±(Δf+Δfbeat)の範囲に入らないことが必要である。
【0081】
ところで、側帯波の帯域Δfは搬送波ピッチ(9kHz)の1/2を最大と考えると、AM放送波帯では4.5kHzとなるが、中間周波増幅器23には帯域幅Δfbwがおよそ9kHzの帯域制限フィルタ(IFフィルタ)が用いられており、この帯域制限フィルタでレベルが十分に抑制されれば、受信妨害を確実に回避することができるから、本実施形態では、Δfを帯域制限フィルタの帯域幅Δfbwとし、n×fcがf0±(Δfbw+Δfbeat)の範囲に入らないことを搬送波妨害の回避条件としている。
【0082】
具体的には、ΔF=Δfbw+Δfbeatとすると、Δfbw>9kHzおよびΔfbeat>15kHzを満たすΔFを30kHzに設定し、n×fcがf0±ΔFの範囲に入らないこと、すなわち、
n×fc≠f0±ΔF=f0±30[kHz] …(1)
を搬送波妨害を回避する条件としている。
【0083】
中間周波妨害(IF妨害)は、中間周波数信号が搬送波信号の周波数f0を中間周波数fIFに変換したものであり、受信妨害となる周波数領域がf0±ΔFからfIF±ΔFにシフトすることにより搬送波妨害と同様の妨害が生じる場合である。従って、中間周波妨害(IF妨害)を回避する条件式は、基本的に(1)式で「f0」を「fIF」に置き換えれば得ることができる。
【0084】
また、イメージ妨害は、局部発信周波数fLOCを中心に搬送波周波数f0と鏡像の関係にあるイメージ周波数fimgの存在によって搬送波妨害と同様の妨害が生じる場合である。従って、イメージ妨害を回避する条件式も、基本的に(1)式で「f0」を「fimg」に置き換えれば得ることができる。
【0085】
しかしながら、チューナ3の高周波増幅器21では中心周波数可変のRFフィルタによって、図8(a)に示すように、受信すべき搬送波周波数f0に帯域制限が掛けられ、これにより中間周波数fIF及びイメージ周波数fimgの感度が搬送波周波数f0に対して数十db以下に抑制されるので、妨害の影響を与える帯域幅ΔFは、搬送波妨害の場合よりも狭く考えることができる。
【0086】
すなわち、図8(b)に示すように、中間周波妨害では、搬送波周波数f0のピークレベルを中間周波数fIFのピークレベルに低下させたときのレベルの存在する帯域幅ΔfIFを妨害の影響を与える帯域幅ΔFとすればよく、イメージ妨害では、搬送波周波数f0のピークレベルをイメージ周波数fimgのピークレベルに低下させたときのレベルの存在する帯域Δfimgを妨害の影響を与える帯域幅ΔFとすればよい。
【0087】
従って、中間周波妨害とイメージ妨害を回避する条件式はそれぞれ、
n×fc≠fIF±ΔfIF
n×fc≠fimg±Δfimg
となる。
【0088】
搬送波妨害では妨害の影響を与える帯域幅ΔFを30kHzに設定したが、中間周波妨害ではその帯域幅ΔfIFは数kHz程度になり、イメージ妨害ではその帯域幅Δfimgは殆ど無視することができる程度となる。従って、本実施形態では、IF妨害比が20〜30dBでイメージ妨害比が50dB程度となるので、ΔfIFを20kHzとし、Δfimgを6kHzとして、
n×fc≠f0±ΔF=f0±30[kHz] …(2)
n×fc≠fIF±ΔfIF=fIF±20[kHz] …(3)
n×fc≠fimg±Δfimg=f0+2×fIF±Δfimg
=f0+900±6[kHz] …(4)
但し、nは1以上の整数 fc=2×fmc fIF=450kHz
を受信妨害を回避する条件式としている。
【0089】
ところで、上記の条件式(2)〜(4)はスイッチングアンプ3の動作周波数fcと搬送波周波数f0との関係についてのものであるが、スイッチングアンプ3では動作周波数fcの元になる基準クロックMCLKを生成しているから、基準クロックMCLKの周波数fmcについても動作周波数fcと同様に搬送波妨害およびイメージ妨害を考慮する必要がある。
【0090】
基準クロックMCLKの周波数fmcに対しても搬送波妨害やイメージ妨害について動作周波数fcの条件式と同様の条件式が考えられるが、基準クロックMCLKの周波数fmcのレベルは動作周波数fc及びその高調波のレベルよりもかなり小さい(例えば、−50dB程度)ので、搬送波妨害における帯域幅ΔFやイメージ妨害における帯域幅Δfimgは動作周波数fcの場合よりも狭くすることができる。
【0091】
本実施形態では、搬送波妨害における帯域幅ΔFを6kHz、イメージ妨害における帯域幅Δfimgを無視し、基準クロックMCLKの周波数fmcについての搬送波妨害とイメージ妨害を回避する条件式を、
m×fmc≠f0±6[kHz] …(5)
m×fmc≠=f0+900[kHz] …(6)
但し、mは1以上の整数
としている。
【0092】
なお、基準クロックMCLKの輻射は動作周波数fcの輻射に対して-50dBであり、イメージ妨害比>100dBとなるので、ノイズに埋もれて影響なしとみなす。
【0093】
そして、図6に示すテーブルの基準クロックMCLKのクロック周波数fmc1,fmc2を、水晶発振子の発振周波数7.56MHzの分周周波数で、かつ、300kHz≦2×fmc1,2×fmc2≦500kHzを満たすことを条件に設定し、両クロック周波数fmc1,fmc2に対して、上記(2)〜(6)を適用して各搬送波周波数f0に対し使用可能なクロック周波数fmc1,fmc2を設定している。
【0094】
すなわち、fmc=7560/Nであるから、300≦2×7560/N≦500を満たす分周値Nを求めると、N=31〜50の整数となる。PWM信号Sout,/Soutの周波数の変動幅は可及的に小さい方が好ましいから、本実施形態ではN=31〜50の中から比較的近接(つまり、簡単な分周比、9:10から得られる)した「36」と「40」の2つのN値を選択し(但し、上式(3)の条件を満たすように、n=1,2のときにfIF±ΔfIF(430〜470)の範囲をよける)、N=40の分周周波数189kHzを基準クロックMCLKの一方のクロック周波数fmc1とし、N=36の分周周波数210kHzを基準クロックMCLKの他方のクロック周波数fmc2としている。
【0095】
クロック周波数fmc1について、上記(2)〜(6)の条件式を適用すると、
f0=(2×189×n−30)〜(2×189×n+30)[kHz] …(7)
f0=2×189×n±6−900[kHz] …(8)
f0=189×n±6[kHz] …(9)
f0=189×n−900[kHz] …(10)
を満たす搬送波周波数f0に周波数fmc1が受信障害を起こす虞がある。
【0096】
522kHz〜1629kHzの範囲で(7)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=726〜786,1104〜1164,1482〜1542[kHz]となり、(8)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=606〜618,984〜996,1362〜1374[kHz]となり、(9)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=561〜573,751〜763,939〜961,1128〜1140,1317〜1329,1506〜1518[kHz]となり、(10)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=612,801,990,1179,1338,1557[kHz]となる。
【0097】
周波数fmc2について上記(2)〜(6)の条件式を適用した式は、上記(7)〜(10)で「189」を「210」に置換することによって得られ、
f0=(2×210×n−30)〜(2×210×n+30)[kHz]…(11)
f0=2×210×n±6−900[kHz] …(12)
f0=210×n±6[kHz] …(13)
f0=210×n−900[kHz] …(14)
を満たす搬送波周波数f0に周波数fmc2が受信障害を起こす虞がある。
【0098】
522kHz〜1629kHzの範囲で(11)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=810〜870,1230〜1290[kHz]となり、(12)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=774〜786,1194〜1206,1614〜1626[kHz]となり、(13)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=624〜636,834〜846,1044〜1056,1254〜1266,1464〜1476[kHz]となり、(14)式を満たす搬送波周波数f0を求めると、f0=570,780,990,1200,1410,1620[kHz]となる。
【0099】
図6のテーブルの「fmc1」,「fmc2」の欄で「×」印を付しているのは上記の搬送波周波数f0である。なお、同図のテーブルでは、上記の搬送波周波数f0に対して±6kHzの範囲で近接しているものに「×」を付している。
【0100】
次に、図6のテーブルを用いたスイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数切換の制御について説明する。
【0101】
図9は、スイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数切換の処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
スイッチングアンプ3の基準クロックMCLKの周波数切換制御は、2つのクロック周波数fmc1,fmc2のうち、チューナ2の受信局の周波数(搬送波周波数f0)に応じて受信障害の生じないクロック周波数を選択する制御である。
【0103】
本実施形態に係る放送波受信システム1は、操作部5によってメイン電源をオフにする操作が行われると、そのときのチューナ2の受信局の搬送波周波数f0とスイッチングアンプ3の基準クロックMCLKのクロック周波数fmcを保持しておき、次にメイン電源をオンにする操作があると、保持している搬送波周波数f0とクロック周波数fmcをそれぞチューナ2とスイッチングアンプ3とに初期設定する機能を備えている。
【0104】
従って、ユーザによって操作部5から放送波受信システム1のメイン電源をオンにする操作があると、CPU41は、EEPROM43から搬送波周波数f0と基準クロックMCLKのクロック周波数fmcの情報を読み出し、チューナ2にその搬送波周波数f0に受信局を合わせる指令信号Smを送信するとともに、スイッチングアンプ3のクロック生成回路311にそのクロック周波数fmcの情報を送信し、チューナ2とスイッチングアンプ3の状態を前回メイン電源がオフにされた直前の状態に設定する(S1,S2)。
【0105】
従って、ユーザによって操作部5から放送波受信システム1のメイン電源をオンにする操作があると、CPU41は、EEPROM43から搬送波周波数f0と基準クロックMCLKのクロック周波数fmcの情報を読み出し、チューナ2にその搬送波周波数f0に受信局を合わせる指令信号Smを送信するとともに、スイッチングアンプ3のクロック生成回路311にそのクロック周波数fmcの情報を送信し、チューナ2とスイッチングアンプ3の状態を前回メイン電源がオフにされた直前の状態に設定する(S1,S2)。
【0106】
その後、CPU41は、操作部5から受信局を指定する操作信号が入力されると(S3:YES)、その操作信号に対応する受信局の受信を指令する指令信号Smをチューナ3に出力するとともに(S4)、EEPROM43に記憶されている受信局の搬送波周波数f0の内容を指令された搬送波周波数f0に変更する(S5)。
【0107】
操作部5から入力される受信局を指定する操作信号には、主として操作ボタン5a,5bの操作に基づく9kHzステップの受信周波数の変更指令と複数の操作ボタン5cの操作に基づくプリセットされた受信局への変更指令とがあるが、いずれの場合もCPU41は変更すべき受信局の周波数f0(搬送波周波数f0)を知ることができるので、次に、CPU41は、図6のテーブルを参照してその搬送波周波数f0に対して現在スイッチングアンプ3のクロック生成回路311に設定しているクロック周波数fmcが使用可能であるか否かを判別する(S6)。
【0108】
例えば、現在のクロック周波数fmcがfmc1(189kHz)である場合、図6のテーブルの指定された搬送波周波数f0に対してfmc1が「×」であるか否かを判別する。なお、図6のテーブルに代えて、ROM42にクロック周波数fmc1,fmc2に対してそれぞれ使用不可の搬送周波数f0のみを登録しておき、クロック周波数fmc1の登録内容に指定された搬送波周波数f0が含まれているか否かを判別するようにしてもよい。
【0109】
CPU41は、ステップS5で使用不可と判別すると(S6:NO)、クロック生成回路311に分周値N=18を設定するように指令信号Scを出力し、クロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの周波数をクロック周波数fmc2(210kHz)に切り換えるとともに(S7)、EEPROM43に記憶しているクロック周波数fmcの内容をクロック周波数fmc1からクロック周波数fmc2に変更し(S8)、ステップS9に移行する。一方、CPU41は、ステップS5で使用可と判別すると(S6:YES)、ステップS6,S8をスキップし、クロック生成回路311で生成される基準クロックMCLKの周波数をクロック周波数fmc1に保持してステップS9に移行する。
【0110】
ステップ9では、CPU41は、操作部4からメイン電源をオフにする操作信号が入力されたか否かを判別し、入力されなければ(S9:NO)、ステップS3に戻り、操作部4からメイン電源をオフにする操作信号が入力されると(S9:YES)、電源オフの処理をして(S10)、終了する。
【0111】
本実施形態に係る放送波受信システム1によれば、スイッチングアンプ3の基準クロックMCLKのクロック周波数fmcとして、AM放送波帯の一部の搬送波周波数f0に対しては受信障害の虞がある複数のクロック周波数fmcj(j=1,2,…n、nは周波数の数)を、全てのクロック周波数fmcjが同一の搬送波周波数f0に対して受信障害とならないように予め設定しておき、ユーザの選局操作に応じてチューナ3に選局された搬送周波数f0を受信させるときに、当該搬送波周波数f0に対して受信障害の虞のないクロック周波数fmcjをスイッチングアンプ3のクロック生成回路311に設定して基準クロックMCLKを生成させるようにしているので、スイッチングアンプ3の増幅動作がチューナ3の受信動作を妨害することを確実に防止することができる。
【0112】
また、予め設定するクロック周波数fmcの数を少なくし(最小で2つ)、設定される複数のクロック周波数の範囲を可及的に小さくしているので、スイッチングアンプ3で生成されるPWM信号Sout,/Soutの周期の変動幅が小さく、正常にパルス幅変調ができる音声信号esのダイナミックレンジを狭くするという不都合を抑制することができる。
【0113】
上記実施形態では、基準クロックMCLKのクロック周波数fmcを2個としていたが、3個以上にしてもよい。例えば、fmc1=168kHz、fmc2=179kHz、fmc3=192kHz、fmc4=207kHzの4種類のクロック周波数fmcを設定した場合、各クロック周波数fmc1〜fmc4に上記(2)〜(6)の条件式を適用して受信障害を起こす可能性がある搬送波周波数f0を算出すると、図10に示すテーブルのようになる。
【0114】
クロック周波数fmcを4種類にした場合のクロック周波数の切換制御は、クロック周波数fmcを2種類とした場合のように、現在設定されているクロック周波数fmcが指定された受信局の搬送波周波数f0に対して使用可能か否かを判別し、使用不可の場合に他のクロック周波数fmcに切り換えるという図9のフローチャートの制御を適用することはできない。
【0115】
この場合は、現在設定されているクロック周波数fmcが指定された受信局の搬送波周波数f0に対して使用可能か否かを判別し、使用不可の場合は、図10のテーブルを用いて他の3種類のクロック周波数fmcのうち、使用可能なクロック周波数fmcを決定し、そのクロック周波数fmcを設定するようにクロック生成回路311に指令信号Scを出力すればよい。
【0116】
ところで、チューナ2で受信した放送波の音声信号をスイッチングアンプ3で増幅してスピーカ6から出力している状態で、受信局の搬送波周波数f0を変更した場合、それに連動してスイッチングアンプ3の基本クロックMCLKのクロック周波数fmcが変更されると、クロック周波数fmcの切換時にPWM信号Sout,/Soutの周波数が急変することによりスイッチングアンプ3の動作が不安定になる虞がある。
【0117】
従って、好ましくはクロック周波数fmcを切り換える時にはスイッチングアンプ3のパルス幅変調動作を一旦停止し、クロック生成回路311のクロック周波数fmcを切り換えた後に再度パルス幅変調動作を開始するのが良い。しかしながら、このような処理を行うと、ユーザが受信局を変更したとき、クロック周波数fmcの変更の有無によってスイッチングアンプ3のパルス幅変調動作を停止したり、停止しなかったりするのでは、ユーザに違和感を与えるとともに、放送波受信システム1の利便性を低下させるので好ましくない。
【0118】
その一方、AM放送波は、全ての地域でAM放送波帯の全ての搬送波周波数f0が使用されるわけではなく、地域によって主要な放送局は数局程度である。例えば、近畿の大阪地区の主なAM放送局はラジオ関西(f0=558kHz)、NHK第1(f0=666kHz)、NHK第2(f0=828kHz)、ABC(f0=1008kHz)、KBS京都(f0=1143kHz)、毎日放送(f0=1179kHz)、ラジオ大阪(f0=1314kHz)、和歌山放送(f0=1431kHz)などである。
【0119】
このため、一般に、チューナには受信局を予め登録しておくプリセット機能が設けられており、本実施形態に係る放送波受信システム1でもそのプリセット機能を備え、例えば、大阪地区のユーザは上記の放送局の中から所望の放送局を操作ボタン5cにプリセットすることができる。
【0120】
プリセット機能を用いて居住地区の特定の放送局を聴取する場合は、図6の全ての搬送波周波数f0と受信妨害となるクロック周波数fmcとの関係を示すテーブルを用いる必要はなく、プリセットされる受信局の搬送波周波数f0に対してだけ受信妨害となるクロック周波数fmcを考慮すれば十分である。この場合は、プリセットされる受信局の数が数局であるので、それらの受信局の搬送波周波数f0の全てに対して受信妨害とならないクロック周波数fmcを設定することができる可能性が高い。
【0121】
そこで、本実施形態に係る放送波受信システム1では、ユーザが所望の受信局を操作ボタン5cにプリセットしたとき、図6のテーブルを参照してそれらの搬送波周波数f0の受信障害とならないクロック周波数fmcを決定してスイッチングアンプ3のクロック生成回路311に設定し、ユーザによってプリセットの内容が変更されない限り、そのクロック生成回路311のクロック周波数fmcを保持する構成を設けている。
【0122】
例えば、上記の大阪地区の受信局の例で、ユーザがラジオ関西(f0=558kHz)、NHK第1(f0=666kHz)、ABC(f0=1008kHz)、KBS京都(f0=1143kHz)、毎日放送(f0=1179kHz)の5局をプリセットした場合、図6のテーブルを参照すると、これら放送局の搬送波周波数f0の受信障害とならないクロック周波数fmcはfmc2=210kHzであるから、スイッチングアンプ3のクロック生成回路311にはクロック周波数fmc2=210kHzが設定される。
【0123】
図11は、受信局のプリセットにおけるクロック周波数fmcの自動設定の処理手順を示すフローチャートである。
【0124】
図11のフローチャートによれば、制御部4(より正確にはCPU41)は、チューナ3が受信動作をしている状態で操作部5からプリセットボタン5dの操作信号が入力されると(S21:YES)、スイッチングアンプ3に動作停止の指令信号を出力してパルス幅変調動作を停止させる(S22)。スイッチングアンプ3では、例えば、クロック生成回路311の基準クロックの出力を停止したり、パルス幅変調回路31のPWM信号Sout,/Soutの出力を停止したりすることによって増幅動作を停止する。
【0125】
また、制御部4は、搬送波信号のレベルが所定の閾値レベル以上である5つの搬送波周波数f0を5個の操作ボタン5cにそれぞれ割り当てて登録するプリセット処理を行う(S23)。このプリセット処理では、制御部4は、チューナ3にAM放送波帯の522kHzから1629kHzに向かって受信局を走査する指令信号Smを出力し、当該チューナ3に搬送波信号のレベルが所定の閾値レベル以上である搬送波周波数f0を検出させる。そして、制御部4は、チューナ3から閾値レベル以上の搬送波周波数f0の検出情報を受信する毎に、その搬送波周波数f0を5個の操作ボタン5cの番号の若い順に対応付けてEEPROM43に記憶(登録)する。なお、チューナ3からは閾値レベル以上の搬送波周波数f0の検出情報が6個以上返送される場合もあるが、この場合は6番目以降の搬送波周波数f0のプリセット処理は行われない。
【0126】
プリセット処理が終了すると、制御部4は、EEPROM43からプリセットされた5個の搬送波周波f0を読み出し、図6のテーブルを参照してこれらの搬送波周波数f0に受信障害とならないクロック周波数fmcを決定し(S24)、そのクロック周波数f0がスイッチングアンプ3にクロック生成回路311に現在設定されているクロック周波数f0と異なるか否かを判別する(S25)。
【0127】
そして、制御部4は、クロック周波数fmcが異なると判別すると(S25:YES)、新たに決定したクロック周波数fmcの情報をスイッチングアンプ3に出力してクロック生成回路311のクロック周波数fmcを変更する(S26)。その後、制御部4は、スイッチングアンプ3に動作開始の指令信号を出力してパルス幅変調動作を再開させて(S27)、クロック周波数fmcの自動設定処理を終了する。一方、制御部4は、クロック周波数fmcが同一であると判別すると(S25:YES)、ステップS26の処理をすることなく、直ちにスイッチングアンプ3に動作開始の指令信号を出力してパルス幅変調動作を再開させて(S27)、クロック周波数fmcの自動設定処理を終了する。
【0128】
このプリセット処理におけるクロック周波数fmcの自動設定機能によれば、ユーザが所望の受信局をプリセットしたときにその受信局の搬送周波数f0の受信を妨害しないクロック周波数fmcが自動的に設定されるので、ユーザがプリセットされた受信局を聴取する場合は受信局を変更してもスイッチングアンプ3の増幅動作を停止させることがないので、放送波受信システム1の利便性を低下させることがなく、受信障害も確実に防止することができる。
【0129】
上記実施形態では、スイッチングアンプ3の動作周波数fcを決定するパルス幅変調回路31のクロック生成回路311のクロック周波数fmcの例について説明したが、スイッチング電源PSのスイッチング周波数についてもチューナ3の受信する搬送波周波数f0に対して受信障害を起こす可能性があるので、クロック周波数fmcの場合と同様に周波数切換えを行うとよい。
【0130】
スイッチング電源PSとしては、一般にトランスの一次巻き線に接続されるスイッチング素子の数によってフライバックタイプやフォーワードタイプの一石式と、プッシュプルタイプ、ハーフブリッジタイプ、フルブリッジタイプなどの多石式とに分類され、各方式は各種の回路方式が知られているが、スイッチング素子のオン・オフ動作の制御としてはPWM信号を用いたPWM制御が主流である。
【0131】
従って、スイッチング電源PSには、スイッチングアンプ3と同様にスイッチング素子を駆動するためのPWM信号を生成するクロック生成回路が設けられるが、そのクロック生成回路のスイッチング周波数として、AM放送波帯の一部の搬送波周波数f0に対しては受信障害の虞がある複数のスイッチング周波数を、全てのスイッチング周波数が同一の搬送波周波数f0に対して受信障害とならないように予め設定しておき、ユーザの選局操作に応じてチューナ3に選局された搬送周波数f0を受信させるときに、当該搬送波周波数f0に対して受信障害の虞のないスイッチング周波数をスイッチング電源のスイッチング周波数に設定するとよい。
【符号の説明】
【0132】
1 放送波受信システム
2 チューナ
21 高周波増幅器
22 周波数変換器
221 混合器
222 局部発振器
23 中間周波増幅器
24 検波器
3 スイッチングアンプ
31 パルス幅変調回路
311 クロック生成回路
312 デッドタイム生成回路
313 電圧−電流変換回路
314 定電流回路
315〜317 NOR回路
318 インバータ
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
32 出力回路
33 フィルタ回路
4 制御部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 EEPROM
5 操作部
5a,5b,5c 操作ボタン
5d プリセットボタン
6 スピーカ
7 アンテナ
PS スイッチング電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から放射される音声信号で変調された搬送波信号を受信し、その音声信号を復調して出力する放送波受信手段と、
基準クロックを生成し、その基準クロックに基づくスイッチング動作により所定の信号変換処理を行う信号変換処理手段と、
前記放送波受信手段によって受信される搬送波周波数と前記信号変換処理手段の基準クロックのクロック周波数とを制御する制御手段と、
を含む放送波受信システムであって、
前記信号変換処理手段は、
予め設定された複数のクロック周波数のいずれかのクロック周波数を有する基準クロックを生成することが可能な基準クロック生成手段を備え、
前記制御手段は、
前記放送波の帯域に含まれる複数の搬送波周波数の一部に対して所定の受信妨害の条件を満たす前記複数のクロック周波数が、全てのクロック周波数が同一の搬送波周波数に対して前記受信妨害の条件を満たさないように予め設定され、各クロック周波数と受信妨害を生じる前記搬送波周波数との関係を示す情報が記憶された記憶手段と、
前記放送波受信手段に受信すべき前記搬送波周波数を設定する受信周波数設定手段と、
前記記憶手段に記憶された情報を参照して前記複数のクロック周波数のうち、前記受信周波数設定手段により設定される前記搬送波周波数に対して受信妨害を生じないクロック周波数を決定するクロック周波数決定手段と、
前記クロック周波数決定手段で決定されたクロック周波数の基準クロックを生成させるべく、当該クロック周波数を前記基準クロック生成手段に設定するクロック周波数設定手段と、
を備えたことを特徴とする放送波受信システム。
【請求項2】
前記信号変換処理手段は、前記基準クロックのハイレベルとローレベルの各期間で前記音声信号のレベルをパルス幅に変換することにより前記音声信号を前記基準クロックのクロック周波数の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号によって所定の直流電圧をスイッチングすることにより前記音声信号を増幅する増幅手段である、請求項1に記載の放送波受信システム。
【請求項3】
前記放送波受信手段は、スーパーヘテロダイン方式により前記搬送波周波数を受信するものであり、
前記搬送波周波数をf0、前記搬送波周波数に対す帯域幅をΔF、ΔF'(<ΔF)、前記クロック周波数をfmc、中間周波数をfIF、中間周波数に対す帯域幅をΔfIF、イメージ周波数をfimg、イメージ周波数に対す帯域幅をΔfimgとすると、前記受信妨害の条件は、
2×n×fmc=f0±ΔF:搬送波妨害
2×n×fmc=fIF±ΔfIF:中間周波妨害
2×n×fmc=fimg±Δfimg:イメージ周波妨害
m×fmc=f0±ΔF':搬送波妨害
m×fmc=f0+2×fIF:イメージ妨害
但し、n,mは1以上の整数
である、請求項2に記載の放送波受信システム。
【請求項1】
放送局から放射される音声信号で変調された搬送波信号を受信し、その音声信号を復調して出力する放送波受信手段と、
基準クロックを生成し、その基準クロックに基づくスイッチング動作により所定の信号変換処理を行う信号変換処理手段と、
前記放送波受信手段によって受信される搬送波周波数と前記信号変換処理手段の基準クロックのクロック周波数とを制御する制御手段と、
を含む放送波受信システムであって、
前記信号変換処理手段は、
予め設定された複数のクロック周波数のいずれかのクロック周波数を有する基準クロックを生成することが可能な基準クロック生成手段を備え、
前記制御手段は、
前記放送波の帯域に含まれる複数の搬送波周波数の一部に対して所定の受信妨害の条件を満たす前記複数のクロック周波数が、全てのクロック周波数が同一の搬送波周波数に対して前記受信妨害の条件を満たさないように予め設定され、各クロック周波数と受信妨害を生じる前記搬送波周波数との関係を示す情報が記憶された記憶手段と、
前記放送波受信手段に受信すべき前記搬送波周波数を設定する受信周波数設定手段と、
前記記憶手段に記憶された情報を参照して前記複数のクロック周波数のうち、前記受信周波数設定手段により設定される前記搬送波周波数に対して受信妨害を生じないクロック周波数を決定するクロック周波数決定手段と、
前記クロック周波数決定手段で決定されたクロック周波数の基準クロックを生成させるべく、当該クロック周波数を前記基準クロック生成手段に設定するクロック周波数設定手段と、
を備えたことを特徴とする放送波受信システム。
【請求項2】
前記信号変換処理手段は、前記基準クロックのハイレベルとローレベルの各期間で前記音声信号のレベルをパルス幅に変換することにより前記音声信号を前記基準クロックのクロック周波数の2倍の周波数を有するパルス幅変調信号に変換し、そのパルス幅変調信号によって所定の直流電圧をスイッチングすることにより前記音声信号を増幅する増幅手段である、請求項1に記載の放送波受信システム。
【請求項3】
前記放送波受信手段は、スーパーヘテロダイン方式により前記搬送波周波数を受信するものであり、
前記搬送波周波数をf0、前記搬送波周波数に対す帯域幅をΔF、ΔF'(<ΔF)、前記クロック周波数をfmc、中間周波数をfIF、中間周波数に対す帯域幅をΔfIF、イメージ周波数をfimg、イメージ周波数に対す帯域幅をΔfimgとすると、前記受信妨害の条件は、
2×n×fmc=f0±ΔF:搬送波妨害
2×n×fmc=fIF±ΔfIF:中間周波妨害
2×n×fmc=fimg±Δfimg:イメージ周波妨害
m×fmc=f0±ΔF':搬送波妨害
m×fmc=f0+2×fIF:イメージ妨害
但し、n,mは1以上の整数
である、請求項2に記載の放送波受信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−71720(P2011−71720A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220667(P2009−220667)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【特許番号】特許第4618386号(P4618386)
【特許公報発行日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000000273)オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【特許番号】特許第4618386号(P4618386)
【特許公報発行日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000000273)オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
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