説明

食品

この食品は、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含んでいる。ここで用いられる炭素材は、例えば、カーボンブラック、活性炭およびグラファイトからなる群から選ばれた少なくとも一つであるか、或いはナノカーボンである。また、炭素材は、親水性を有するものが好ましい。この食品は、炭素材により、食品中に含まれる残留性有機汚染物質および生体内に蓄積している残留性有機汚染物質を吸着することができる。残留性有機汚染物質を吸着した炭素材は、排泄物と共に生体から排出される。したがって、この食品は、生体内に残留性有機汚染物質が蓄積するのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ヒト、家畜および魚介類等に有用な食品に関する。
【背景技術】
食用魚の市場においては、養殖技術の進歩を背景として、ハマチ、鯛および鰻などの種々の養殖魚が大量に供給されており、魚種によっては養殖魚の市場占有率が天然魚のそれを大きく上回るようになっている。
ところで、食用魚の養殖においては、稚魚の段階から飼料を積極的に給餌している。ここで用いられる飼料は、通常、鰯等の魚介類系材料から調製したミンチやフィッシュミール若しくはこれらに魚油や各種の添加物を混合したものであるが、魚介類系材料は、自然環境中に含まれる残留性有機汚染物質を微量に含む場合があるため、このような飼料中にも魚介類系材料に由来する残留性有機汚染物質が微量に存在する可能性がある。このため、このような飼料を摂取しながら成長した養殖魚は、飼料中に含まれる残留性有機汚染物質を生物濃縮により濃縮し、それらを体内に蓄積しているおそれがある。残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)は、人の健康の保護及び環境の保全を図ることを目的としたストックホルム条約(POPs条約)の対象となる有機物質、特に、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)等のダイオキシン類、コプラナ型ポリ塩化ビフェニル等のポリ塩化ビフェニル類(PCBs)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、アルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロル、マイレックス、トキサフェン、ヘキサクロロベンゼン等の有機塩素化合物のような環境中で自然分解されにくい各種の有機物質を意味し、所謂環境ホルモンとしての作用を示す可能性があることから、それらを蓄積した養殖魚を長期間継続的に食料として摂取すると、人体への悪影響が懸念される。
本発明の目的は、生体に残留性有機汚染物質を蓄積させにくい食品を実現することにある。
【発明の開示】
本発明の食品は、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含んでいる。炭素材は、通常、平均粒径が20nm〜500μmのものが好ましい。また、炭素材の比表面積は、通常、800〜1,500m/gが好ましい。ここで利用可能な炭素材は、例えば、カーボンブラック、活性炭およびグラファイトからなる群から選ばれた少なくとも一つである。また、ここで利用可能な炭素材は、例えば、細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積が少なくとも0.4ミリリットル/gの活性炭である。
本発明の食品において用いられる上述の炭素材として好ましいものは、親水性を有するものである。この場合、当該炭素材は、通常、1g当りのカルボキシル基量が0.25mmol以上のものが好ましい。
また、本発明の食品において利用可能な他の種類の炭素材は、例えばナノカーボンである。
本発明の食品において、炭素材の含有割合は、通常、0.1〜10.0重量%である。
本発明の食品は、通常、ヒト用の加工食品、養殖魚介類の飼料、家禽の飼料若しくは家畜の飼料として用いられる。
本発明に係る食品の製造方法は、食料と、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材とを混合する工程を含んでいる。ここでは、例えば、水中に分散させた状態の炭素材を食料と混合する。
本発明の食品および本発明の製造方法により得られる食品は、そこに含まれる炭素材により、食品中の残留性有機汚染物質を吸着することができる。また、生体内に残留性有機汚染物質が蓄積している場合、その残留性有機汚染物質の少なくとも一部は、摂取された食品中の炭素材により吸着され得る。これらの場合において、残留性有機汚染物質を吸着した炭素材は、排泄物と共に生体から排出される。したがって、この食品は、生体に残留性有機汚染物質を蓄積させにくいか、或いは、生体に蓄積した残留性有機汚染物質を体外へ排出させることができる。換言すると、この食品は、生体に残留性有機汚染物質が蓄積するのを抑制することができる。
本発明の食品は、魚介類の養殖、家禽の飼育若しくは家畜の飼育において用いることができる。魚介類の養殖方法は、魚介類に対して残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品を給餌する過程を含む。家禽の飼育方法は、家禽に対して残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品を給餌する過程を含む。家畜の飼育方法は、家畜に対して残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品を給餌する過程を含む。本発明に係るこれらの方法により養殖若しくは飼育された魚介類、家禽若しくは家畜は、残留性有機汚染物質が蓄積しにくいため、ヒト用の安全な食料として供給可能である。
本発明の他の目的および効果は、以下の詳細な説明において触れる。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の食品は、ヒトが摂取する食品を意味するのは勿論のこと、魚介類の養殖用飼料並びに鶏、アヒル、ハト、鶉および鴨などの家禽、犬、猫、豚、馬、兎、鹿および牛などの家畜およびその他の動物の飼育において用いる飼料も意味する概念である。
本発明の食品は、食料と炭素材とを主に含む、所謂加工食品である。ここで用いられる食料は、ヒトを含む動物若しくは生物が食用とするもの、例えば、動物若しくは生物が生存するために摂取して身体の栄養を保持等するためのものであり、植物性、動物性を問わない。また、天然食料および加工食料のいずれでもよい。食料は、炭素材と混合可能な形態のものが好ましく、粉状、裁断状若しくはミンチ状等の固形状、液体状および流動状のうちのいずれの形態のものであってもよい。
一方、本発明の食品に含まれる炭素材は、残留性有機汚染物質を吸着可能なものである。残留性有機汚染物質の意義は既述の通りである。ここで用いられる炭素材は、炭素元素により構成される材料であって、残留性有機汚染物質を吸着可能な機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、活性炭、グラファイトまたはこれらの任意の組み合わせによる混合物を挙げることができる。
このような炭素材は、通常、粉末状、顆粒状若しくは微小な繊維状のものを用いるのが好ましい。特に、平均粒径が20nm〜500μmのものが好ましく、500nm〜200μmのものがより好ましく、1〜50μmのものがさらに好ましい。平均粒径が20nm未満の場合は、炭素材が腸壁から体内に吸収されやすくなる場合があり、生体に悪影響を及ぼす可能性がある。逆に、500μmを超える場合は、食品の食感や風味を損ねる可能性があり、また、食料との接触面積が小さくなるため、残留性有機汚染化合物の吸着量が大幅に減少する可能性がある。
ここで、平均粒径は、粉末状若しくは顆粒状の炭素材の揚合、粒度分布測定装置を用いて測定された平均粒径を意味する。また、平均粒径は、繊維状の炭素材の場合、電子顕微鏡により観察された繊維の直径を平均した値を意味する。
また、上述の炭素材は、通常、残留性有機汚染物質の効果的な吸着性の観点から、比表面積が所定の範囲のものが好ましい。具体的には、炭素材の比表面積は、通常、少なくとも100m/gが好ましく、少なくとも800m/gがより好ましく、少なくとも1000m/gが特に好ましい。炭素材の比表面積が100m/g未満の場合は、食料中に含まれる可能性のある残留性有機汚染物質を少量の炭素材により効果的に吸着するのが困難になる可能性がある。因みに、本発明において用いられる炭素材の比表面積の理想的な範囲は、800〜1,500m/gである。
上述の比表面積は、BET法により測定された値を意味する。
また、炭素材として活性炭を用いる場合、その細孔容積は、通常、細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積が少なくとも0.4ミリリットル/gであることが好ましく、少なくとも0.5ミリリットル/gであることがより好ましい。当該合計容積が0.4ミリリットル/g未満の場合は、食料中に含まれる可能性のある残留性有機汚染物質を少量の活性炭により効果的に吸着するのが困難になる可能性がある。換言すると、細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積が上記範囲の活性炭を用いた場合は、その使用量を少量若しくは微量に設定しても、残留性有機汚染物質を効果的に吸着することができる。
上述の細孔径および細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積は、それぞれtプロット法により測定された値を意味する。
さらに、上述の炭素材は、親水性を有するものが好ましい。ここでの親水性は、通常、炭素材1g当りのカルボキシル基量が0.25mmol以上であるか否かに基づいて判定するのが好ましい。この場合、当該カルボキシル基量が0.25mmol以上であれば、炭素材は親水性を有するものと判定することができる。炭素材1g当りのカルボキシル基量が0.25mmol未満の揚合は、本発明の食品において、後述する効果が発揮されにくくなる可能性がある。因みに、炭素材1g当りのカルボキシル基量は、通常、2.0mmol以下が好ましい。当該カルボキシル基量が2.0mmolを超える場合は、残留性有機汚染物質に対する吸着能を著しく低下させる可能性がある。
炭素材1g当りのカルボキシル基量は、炭素材10mgを0.1mol/リットルの塩化カリウム溶液90ミリリットルに分散させ、これを攪拌しながら0.01mol/リットルの水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定し、それにより測定されるカルボキシル基量を炭素材1g当りの量に換算すると求めることができる。
親水性を有する炭素材としては、酸化処理により親水性官能基が付与されたものを用いるのが好ましい。具体的には、炭素材を硝酸や過酸化水素などを用いて酸化し、炭素材の表面にカルボキシル基、カルボニル基、水酸基などの親水性官能基を付与したものが好ましい。
本発明の食品に含まれる炭素材は、上述のものの他、ナノカーボンであってもよい。ここで、ナノカーボンは、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンおよびフラーレン等を含む概念である。ナノカーボンは、上述のカーボンブラック、活性炭、グラファイトまたはこれらの任意の組み合せによる混合物に対して混合して用いられてもよい。
本発明の食品において、炭素材の含有割合は、通常、0.1重量%以上に設定するのが好ましい。炭素材の含有割合が0.1重量%未満の場合、本発明の食品が後述する効果を発揮しにくくなる可能性がある。また、本発明の食品において、炭素材の含有割合は、通常、10.0重量%以下に制限するのが好ましい。炭素材の含有割合が10.0重量%を超える場合は、食品の食感や風味を損ねる可能性があり、また、それに比例した効果が得られにくくなる一方で食品が高価になるため不経済である。因みに、本発明の食品において、炭素材の含有割合の理想的な範囲は、0.1〜1.0重量%である。
本発明の食品は、上述の食料に対して炭素材を加えて混合すると製造することができる。この際、炭素材は、そのまま食料と混合されてもよいし、或いは、例えば、水中に分散させた状態(例えばスラリー状)で食料と混合されてもよい。ここで、炭素材として親水性を有するものを用いた場合、当該炭素材は、親水性を有していない炭素材に比べ、食料との混合が極めて容易であり、食料と均一に混ざりやすい。したがって、親水性を有する炭素材を用いた場合、本発明の食品は、上述のような手法により、極めて容易に製造することができる。
本発明の食品は、食料中に含まれる場合のある微量な残留性有機汚染物質を炭素材により吸着することができる。このため、この食品をヒトを含む動物若しくは生物が摂取した場合、食料に含まれる残留性有機汚染物質および体内、特に消化器系に蓄積している残留性有機汚染物質は、食品中の炭素材に吸着され得る。そして、残留性有機汚染物質を吸着した炭素材は、排泄物と共に、体外へ排出される。ここで、炭素材として親水性を有するものを用いた場合、特に、炭素材1g当りのカルボキシル基量が0.25mmol以上の炭素材を用いた場合、当該炭素材は、消化器官に吸収されにくいため、生体に対して便秘等の排泄障害およびその他の生理学的負荷を与えにくく、排泄物と共に生体外へ容易に排出される。
したがって、本発明の食品は、生体内に残留性有機汚染物質を蓄積させにくく、また、生体内に既に蓄積されている残留性有機汚染物質を体外へ排出する機能も発揮し得る。すなわち、本発明の食品は、生体内に残留性有機汚染物質が蓄積するのを抑制することができる。
本発明の食品は、このような機能を有する機能性食品であるため、ヒト用の加工食品または養殖魚介類、家禽若しくは家畜などの飼料として利用することができる。
養殖魚介類、家禽若しくは家畜などの飼料として本発明の食品を利用する場合、例えば、本発明の食品を給餌しながら養殖魚介類、家禽若しくは家畜などを養殖若しくは飼育することができる。この場合、養殖若しくは飼育された生物は、本発明の食品の機能のため、体内に残留性有機汚染物質が蓄積しにくい。すなわち、本発明の食品を飼料として用いて養殖若しくは飼育された養殖魚介類、家禽若しくは家畜などは、通常の飼料を用いて養殖若しくは飼育されたものに比べ、残留性有機汚染物質の含有量が大幅に減少することになる。したがって、本発明の食品を用いて養殖若しくは飼育された養殖魚介類、家禽および家畜などは、通常の飼料を用いて養殖若しくは飼育されたものに比べ、ヒト用のより安全な食用材料になり得る。
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
比較例
市販のラット用飼料に、残留性有機汚染物質の中でも最も毒性の高いダイオキシン類を添加し、ダイオキシン類含有飼料を調製した。ここで、ダイオキシン類の添加量は、ラット用飼料1g当りの濃度が10pgになるよう設定した。このダイオキシン類含有飼料を、3匹のラットのそれぞれに、3ヶ月間に渡って合計900g給餌した。これによれば、各ラットは、3ヶ月間で合計9,000pgのダイオキシン類を摂取したことになる。
【実施例1】
比較例で得られたダイオキシン類含有飼料に対し、カーボンナノチューブ(有限会社リオンの商品名“スーパーナノカーボン”)を添加して混合し、炭素材含有飼料を得た。
カーボンナノチューブの添加量は、炭素材含有飼料1g当りにおける含有量が10mg(1重量%)になるよう設定した。この炭素材含有飼料を、3匹のラットのそれぞれに、3ヶ月間に渡って合計950g給餌した。これによれば、各ラットは、3ヶ月間で合計9,500pgのダイオキシン類を摂取したことになる。
【実施例2】
カーボンナノチューブの添加量を炭素材含有飼料1g当りにおける含有量が100mg(10重量%)になるよう変更した点を除き、実施例1の場合と同様にして炭素材含有飼料を得た。この炭素材含有飼料を、3匹のラットのそれぞれに、3ヶ月間に渡って合計930g給餌した。これによれば、各ラットは、3ヶ月間で合計9,300pgのダイオキシン類を摂取したことになる。
【実施例3】
グラファイト(関東化学株式会社製)を濃硝酸を用いて酸化処理し、次の性状の親水性炭素材を得た。
平均粒径:45μm
比表面積:100m/g
細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積:0.1ミリリットル/g未満
1g当りのカルボキシル基量:0.53mmol
比較例で得られたダイオキシン類含有飼料に対して得られた親水性炭素材を添加して混合し、炭素材含有飼料を得た。親水性炭素材の添加量は、実施例1の場合と同様に設定した。この炭素材含有飼料を、3匹のラットのそれぞれに、3ヶ月間に渡って合計950g給餌した。これによれば、各ラットは、3ヶ月間で合計9,500pgのダイオキシン類を摂取したことになる。
【実施例4】
活性炭(関東化学株式会社製)を濃硝酸を用いて酸化処理し、次の性状の親水性炭素材を得た。
平均粒径:20μm
比表面積:1,000m/g
細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積:0.52ミリリットル/g
1g当りのカルボキシル基量:0.26mmol
比較例で得られたダイオキシン類含有飼料に対して得られた親水性炭素材を添加して混合し、炭素材含有飼料を得た。親水性炭素材の添加量は、炭素材含有飼料1g当りにおける含有量が1mg(0.1重量%)になるよう設定した。この炭素材含有飼料を、3匹のラットのそれぞれに、3ヶ月間に渡って合計980g給餌した。これによれば、各ラットは、3ヶ月間で合計9,800pgのダイオキシン類を摂取したことになる。
評価
給餌開始から3ヶ月経過後の各ラットにつぃて、体内におけるダイオキシン類の蓄積量を調べた。ここでは、ラットをと殺して丸ごとホモゲナイズし、「野生生物のダイオキシン類汚染状況調査マニュアル」(1998年7月、財団法人自然環境研究センター発行)に記載のダイオキシン類測定法に従ってダイオキシン類総量を求めた。また、各ラットについて、摂取したダイオキシン類の吸収率(蓄積量÷ダイオキシン類の合計摂取量×100)を計算した。結果を表1に示す。

表1によると、比較例のダイオキシン類含有飼料が与えられたラットは、体内に多量のダイオキシン類が蓄積しているのに対し、実施例1〜実施例4の炭素材含有飼料が与えられたラットは、ダイオキシン類が体内に殆ど蓄積していないことがわかる。また、実施例1〜実施例4のそれぞれの結果を比較すると、効果上の大きな違いが現れていないことがわかる。これより、0.1〜1.0重量%程度の炭素材を含む飼料は、ラットの体内にダイオキシン類が蓄積するのを効果的に抑制できることがわかる。
実施例3および実施例4の炭素材含有飼料を給餌したラットは、と殺後、ホモゲナイズする前に解剖し、内臓を観察した。それによると、小腸、大腸および盲腸などの消化器官において、炭素材の残留は認められなかった。この結果より、炭素材として親水性を有するものを用いた場合、当該炭素材は、消化器官に吸収されにくく、排泄物と共に体外へ排出されやすいことが確認できた。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態若しくは実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品。
【請求項2】
前記炭素材は、平均粒径が20nm〜500μmである、請求の範囲1に記載の食品。
【請求項3】
前記炭素材は、比表面積が800〜1,500m/gである、請求の範囲1または2に記載の食品。
【請求項4】
前記炭素材がカーボンブラック、活性炭およびグラファイトからなる群から選ばれた少なくとも一つである、請求の範囲1から3のいずれかに記載の食品。
【請求項5】
前記炭素材は、細孔径が50オングストローム以下の細孔の合計容積が少なくとも0.4ミリリットル/gの活性炭である、請求の範囲1から3のいずれかに記載の食品。
【請求項6】
前記炭素材が親水性を有している、請求の範囲1から5のいずれかに記載の食品。
【請求項7】
前記炭素材は、1g当りのカルボキシル基量が0.25mmol以上である、請求の範囲6に記載の食品。
【請求項8】
前記炭素材がナノカーボンである、請求の範囲1に記載の食品。
【請求項9】
前記炭素材の含有割合が0.1〜10.0重量%である、請求の範囲1から8のいずれかに記載の食品。
【請求項10】
ヒト用の加工食品である、請求の範囲1から9のいずれかに記載の食品。
【請求項11】
養殖魚介類の飼料である、請求の範囲1から9のいずれかに記載の食品。
【請求項12】
家禽の飼料である、請求の範囲1から9のいずれかに記載の食品。
【請求項13】
家畜の飼料である、請求の範囲1から9のいずれかに記載の食品。
【請求項14】
食料と、残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材とを混合する工程を含む、食品の製造方法。
【請求項15】
水中に分散させた状態の前記炭素材を前記食料と混合する、請求の範囲14に記載の食品の製造方法。
【請求項16】
魚介類に対して残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品を給餌する過程を含む、魚介類の養殖方法。
【請求項17】
家禽に対して残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品を給餌する過程を含む、家禽の飼育方法。
【請求項18】
家畜に対して残留性有機汚染物質を吸着可能な炭素材を含む食品を給餌する過程を含む、家畜の飼育方法。

【国際公開番号】WO2005/039312
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515046(P2005−515046)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016078
【国際出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】