説明

音声情報処理装置及び方法

【課題】 音声情報の記録が、音声情報の通常の再生よりも速い速度で行われる場合にも、音声情報の記録中に聴取可能なモニタ音を出力することが可能な音声情報処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】 HDD114の既に音声情報が記録されている領域202の曲の中から一曲がランダムに選択され(ステップ522)、音声情報の記録及び再生が行われる(ステップ524乃至530)。曲の再生が終了したと判定されると(ステップ530)、CD−ROMから読み出される音声情報206の記録が全て終了したかどうかが判定される(ステップ532)。記録が全て終了したことが判定されるまで、再生する曲をHDD114の領域202の中からランダムに選択し、記録及び再生を行う処理を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声情報を記録する音声情報処理装置及び方法に係り、詳細には、音声情報を記録する際にモニタ音を出力する音声情報記録装置及び音声情報記録再生装置を含む音声情報処理装置及び音声情報処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の音声情報記録再生装置においては、CD−DA(Compact Disc − Digital Audio)等の音声情報記録媒体からカセット・テープ等の異なる記録媒体に音声情報を記録する際には、記録する音声情報を通常の再生速度で再生しながら記録する方法が一般的であった。このような方法によれば、ユーザは音声情報が記録されている間、モニタ音として再生される音声情報を聴取することができる。
【0003】しかしながら、音声情報のデジタル化、及び、音声情報記録再生装置の高性能化によって、音声情報の記録は、音声情報の通常の再生速度(標準再生速度)よりも速い速度(通常、数倍から数十倍)で行われるようになってきた。これに伴い、音声情報の記録中に音声情報の再生は行われなくなった。このため、ユーザは音声情報が記録されている間、記録されている音声情報をモニタ音として聴取することができない、という問題点がある。
【0004】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、音声情報の記録が、音声情報の通常の再生よりも速い速度で行われる場合にも、音声情報の記録中に聴取可能なモニタ音を出力することが可能な音声情報処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1の記録媒体に記録された複数の曲からなる音声情報を読み出す読み出し手段と、第2の記録媒体への音声情報の記録及び再生を行う記録再生手段と、前記第1の記録媒体に記録された音声情報が所定の再生速度より速い速度で読み出され、読み出された音声情報が所定の再生速度より速い速度で第2の記録媒体に記録されるように前記読み出し手段及び前記記録再生手段を制御すると共に、少なくとも読み出し開始から記録終了までの間、前回までに該第2の記録媒体に記録された音声情報の曲が所定の再生速度で再生されるように前記記録再生手段を制御する制御手段と、を有する音声情報処理装置を提供する。
【0006】本発明の別の態様では、第1の記録媒体に記録された音声情報を所定の再生速度より速い速度で読み出し、読み出した音声情報を所定の再生速度より速い速度で第2の記録媒体に記録すると共に、少なくとも読み出し開始から記録終了までの間、前回までに該第2の記録媒体に記録された音声情報の曲を所定の再生速度で再生する、音声情報処理方法を提供する。再生される前記音声情報は、音声情報の再生時間と前記第2の記録媒体に音声情報を記録する記録時間とがほぼ等しくなるようにランダムに選択されてもよい。
【0007】このように、前記第1の記録媒体に記録された音声情報を所定の再生速度より速い速度で読み出し、読み出した音声情報を所定の再生速度より速い速度で第2の記録媒体に記録すると共に、読み出し開始から記録終了までの間、該第2の記録媒体に記録された音声情報の曲を所定の再生速度で再生するため、ユーザは再生される音を聴取することにより音声情報の記録動作が行われていることを確認することができる。また、再生する曲を選択するために、予め記録に要する時間を予測する必要もない。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に、本発明を音声情報記録再生装置に適用した実施の形態を示す。音声情報記録再生装置100は、複数の音声情報記録媒体を用いて音声情報の記録再生を行うことができる。音声情報記録再生装置100では、バス170を介して、第1の記録媒体であるCD−ROMを装着する読み出し手段であるCD−ROMドライブ110、CD−R/RW(CD−Recordable/Rewritable)ドライブ112、第2の記録媒体であるハードディスクを有する記録再生手段であるハードディスク・ドライブ114、メモリカード・ドライブ116等の複数の音声情報記録媒体の駆動装置間で、音声情報の送受信が行われる。
【0009】バス170には、デジタル信号を出力するCD−ROMドライブ・インターフェース130、及びデジタル信号を入出力するCD−R/RWインターフェース132、ハードディスク・ドライブ・インターフェース134、メモリカード・ドライブ・インターフェース136が接続されている。各々のインターフェースには、CD−ROMドライブ110、CD−R/RWドライブ112、ハードディスク・ドライブ114、メモリカード・ドライブ116が接続されている。CD−ROMドライブ110から出力されるデジタル信号はCD−ROMドライブ・インターフェース130を介してバス170に送信され、他のドライブから入出力されるデジタル信号は各々のインターフェースを介してバス170と送受信される。
【0010】アナログ信号を入出力するために、A/Dコンバータ(Analog to Digital Converter)138及びD/Aコンバータ(Digital to AnalogConverter)140がバス170に接続されている。A/Dコンバータ138に接続されているアナログ入力端子118からアナログ信号が入力されると、A/Dコンバータ138によって入力されたアナログ信号はデジタル信号に変換され、バス170に送信される。バス170からデジタル信号が送信されると、D/Aコンバータ140によって送信されたデジタル信号はアナログ信号に変換され、D/Aコンバータ140に接続されたアナログ出力端子120に出力される。
【0011】エンコーダ156及びデコーダ158は、音声情報を圧縮、解凍するためにバス170に接続されている。例えば、エンコーダ156はバス170から受信したWAVデータ(パーソナルコンピュータで扱われる最も基本的な音声ファイルの形式)をMP3データ(MPEG Audio Layer−3規格で圧縮された音声ファイルの形式)に変換してバス170に送信する。同様に、デコーダ158は、MP3データをWAVデータに変換する。
【0012】ROM150及びRAM152がバス170に接続されている。ROM150は音声情報記録再生装置100を制御するプログラムを記録している。RAM152は、エンコーダ156、デコーダ158における音声情報信号の変換の際の一時的なバッファとして使用される。
【0013】ユーザとのインターフェースとして、操作パネル160及び表示パネル162がバス170に接続されている。ユーザは表示パネル162に表示されるメニューにしたがって、操作パネル160を操作することによって、音声情報記録再生装置100に複数の作業を指示することができる。
【0014】制御手段であるコントローラ154は、上記全ての機器を制御するためにバス170に接続されている。バス170に送信された音声情報がどの装置によって受信され、どのような操作を受けるかというような制御は、操作パネル160を介して行われるユーザの指示に基づくROM150内のプログラムの実行によって、コントローラ154が制御する。
【0015】次に第1の実施の形態の作用を図2のデータ・フロー、および図5のフローチャートを参照して説明する。本実施の形態は第1の記録媒体であるCD−ROMから音声情報を読み出して、第2の記録媒体であるハードディスクに該音声情報を記録する。図2における音声情報206は、読み出し手段であるCD−ROMドライブ110に装着される第1の記録媒体であるCD−ROMに記録されている音声情報を概念的に示したものである。
【0016】図5におけるステップ502で、CD−ROMのTOC(Table Of Contents)領域から記録対象となる音声情報206の量を読み取り、ステップ504で、音声情報206を第2の記録媒体であるハードディスクを有する記録再生手段であるハードディスク・ドライブ114に記録するために要する時間mを計算する。この時間mは、TOC領域に記録されている音声情報量、音声情報記録再生装置100におけるCD−ROMドライブ110の読み込み速度、及びハードディスク・ドライブ114の記録速度を用いて計算することができる。 ステップ506で、ハードディスク・ドライブ114の既に音声情報が記録されている領域202の曲の中から、ステップ504で求められた時間mで再生するために最適な曲の組合せが選択される。最適な曲の組合せとは、全ての曲の再生時間の合計が、少なくとも時間mと等しいか、もしくは時間mを越えかつ時間mに最も近い、曲の組合せである。
【0017】ステップ508乃至ステップ512で、コントローラ154は、CD−ROMドライブ110に装着されたCD−ROMから音声情報を読み出し、ハードディスク・ドライブ114の記録領域204に記録すると共に、ハードディスクドライブ114の領域202からステップ506で選択された曲を順次読み出し再生する。この記録処理と再生処理とを行うために、コントローラ154は、ステップ508で周期的に生じる再生タイミングであると判定されるとステップ510に進み再生処理が行われ、再生タイミングではないと判定されるとステップ512に進み記録処理が行われるように、CD−ROMドライブ110及びハードディスク・ドライブ114を制御する。
【0018】ステップ514で、音声情報206の記録が終了したと判定されるまで、処理はステップ508乃至ステップ514を繰り返す。ステップ514で再生が終了したと判定されれば、処理は終了する。ステップ506で最適な曲の組合せが選択されているので、記録終了と同時、もしくは記録終了後、短い時間の間に再生も終了する。
【0019】このように、CD−ROMに記録された音声情報を通常の再生速度より速い速度で読み出しハードディスクに記録する際に要する時間に相当する時間を予測して、予め記録された曲の中から最適な曲の組合せを選択し、選択された曲を再生することによって、通常の再生速度より速い速度で音声情報の読み込み、及び記録が行われる場合でも、ユーザはモニタ音として再生される音声情報を聴取することでき、聴取することにより記録動作が行われていることを確認することができる。
【0020】第2の実施の形態を図3のデータ・フロー及び図6のフローチャートを参照して説明する。
【0021】図6におけるステップ522で、ハードディスク・ドライブ114の既に音声情報が記録されている領域202の曲の中から一曲がランダムに選択される。ステップ524乃至ステップ528では、第1の実施の形態におけるステップ508乃至ステップ512と同様に、音声情報の記録及び再生が行われる。ステップ530で、ランダムに選択された曲の再生が終了したと判定されるまで、ステップ524乃至ステップ528の処理が繰り返される。
【0022】ステップ530で、ランダムに選択された曲の再生が終了したと判定されると処理はステップ532に進み、CD−ROMから読み出される音声情報206の記録が全て終了したかどうかが判定される。記録が全て終了していないと判定された場合には、処理はステップ522に戻り、次に再生する曲をハードディスク・ドライブ114の領域202の中からランダムに選択し、ステップ524乃至ステップ532を繰り返す。ステップ532で音声情報206の全ての曲の記録が終了したと判定された場合、処理は終了する。
【0023】なお、図3及び図6では、記録される音声情報206の最後の曲210の記録が終了し、その後、再生するために最後に選択された曲212の再生が終了した際に全ての処理が終了するが、曲210の記録が終了した時点で、曲212の再生を中止し、全ての処理を終了してもよい。
【0024】また、ステップ522でランダムに選択される曲は、今回、ステップ528においてハードディスク114の領域204に記録された曲の中から選択されてもよい。
【0025】このように、CD−ROMに記録された音声情報を通常の再生速度より速い速度で読み出し、ハードディスクに記録する際に、予め記録された曲の中からランダムに曲を選択し、選択された曲を再生することによって、通常の再生速度より速い速度で音声情報の読み込み、及び記録が行われる場合でも、ユーザはモニタ音として再生される音声情報を聴取することで、記録動作が行われていることを確認することができる。また、予め記録に要する時間を予測する必要もない。
【0026】第3の実施の形態を図4のデータ・フロー、及び図7のフローチャートを参照して説明する。
【0027】第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態と異なり、今回、CD−ROMから読み出され、ハードディスク・ドライブ114に記録される音声情報206がモニタ音として再生される。ステップ542で、最初にCD−ROMから読み出され、ハードディスク・ドライブ114に記録される曲214がモニタ音として再生されるために選択される。ステップ544乃至ステップ548で、第1の実施の形態におけるステップ508乃至ステップ512及び第2の実施の形態におけるステップ524乃至ステップ528と同様に記録及び再生が行われる。
【0028】ステップ550で曲214の再生が終了したことが判定されるまで、ステップ544乃至ステップ548の処理が繰り返される。ステップ550で曲214の再生が終了したことが判定されると、処理はステップ552に進む。ステップ552で音声情報206の全ての曲の記録が終了したかどうかが判定される。全ての曲が終了していないと判定された場合、処理はステップ554に進み、曲214の次の曲216が再生されるために選択される。その後、処理はステップ544に戻り、音声情報206の全ての曲の記録が終了するまで、ステップ544乃至554が繰り返される。ステップ552で音声情報206の全ての曲の記録が終了したことが判定されると処理は終了する。
【0029】なお、図4及び図7では、再生するために最後に選択された曲212の再生が終了した際に全ての処理が終了するが、曲210の記録が終了した時点で、曲212の再生を中止し、全ての処理を終了してもよい。
【0030】また、本実施の形態ではステップ554で、次に再生する曲を選択する際に、音声情報206における曲順にしたがって選択したが、ハードディスク114に今回、記録された曲が複数ある場合には、次に再生する曲を記録された複数の曲の中からランダムに選択するようにしてもよい。
【0031】このように、CD−ROMに記録された音声情報を通常の再生速度より速い速度で読み出し、ハードディスクに記録する際に、今回、記録した曲を再生することによって、通常の再生速度より速い速度で音声情報の読み込み、及び記録が行われる場合、ハードディスクに既に曲が記録されていなくても、ユーザはモニタ音として再生される音声情報を聴取することで、記録動作が行われていることを確認することができる。また、予め記録に要する時間を予測する必要もない。
【0032】なお、第1乃至第3の実施の形態では、第1の記録媒体としてCD−ROM、第2の記録媒体としてハードディスクを用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の記録媒体及び第2の記録媒体としてCD−R/RW、メモリカード等を使用してもよい。ハードディスクは第1の記録媒体としてしようされてもよい。また、第1乃至第3の実施の形態では、音声情報の形式を特に限定しない。音声情報はMP3形式、WAV形式、又は他の何れの形式であってもよい。第1乃至第3の実施の形態は、必要に応じて組み合わせて実施することが可能である。
【0033】
【発明の効果】本発明は、音声情報の読み出し及び記録が、音声情報の通常の再生よりも速い速度で行われ、音声情報の記録中にモニタ音を出力する音声情報処理装置及び方法を提供する。前回までに記録された音声情報を音声情報の記録中にモニタ音として聴取することにより、音声情報の記録動作が行われていることを確認することができる。また、再生する曲を選択するために、予め記録に要する時間を予測する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の音声情報記録再生装置のブロック図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態のデータ・フローである。
【図3】 本発明の第2の実施の形態のデータ・フローである。
【図4】 本発明の第3の実施の形態のデータ・フローである。
【図5】 本発明の第1の実施の形態のフロー・チャートである。
【図6】 本発明の第2の実施の形態のフロー・チャートである。
【図7】 本発明の第3の実施の形態のフロー・チャートである。
【符号の説明】
110 CD−ROMドライブ
114 ハードディスク・ドライブ
152 RAM
156 エンコーダ
158 デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の記録媒体に記録された複数の曲からなる音声情報を読み出す読み出し手段と、第2の記録媒体への音声情報の記録及び再生を行う記録再生手段と、前記第1の記録媒体に記録された音声情報が所定の再生速度より速い速度で読み出され、読み出された音声情報が所定の再生速度より速い速度で第2の記録媒体に記録されるように前記読み出し手段及び前記記録再生手段を制御すると共に、少なくとも読み出し開始から記録終了までの間、前回までに該第2の記録媒体に記録された音声情報の曲が所定の再生速度で再生されるように前記記録再生手段を制御する制御手段と、を有する音声情報処理装置。
【請求項2】 再生される前記音声情報は、音声情報の再生時間と前記第2の記録媒体に音声情報を記録する記録時間とがほぼ等しくなるようにランダムに選択される請求項1に記載の音声情報処理装置。
【請求項3】 第1の記録媒体に記録された音声情報を所定の再生速度より速い速度で読み出し、読み出した音声情報を所定の再生速度より速い速度で第2の記録媒体に記録すると共に、少なくとも読み出し開始から記録終了までの間、前回までに該第2の記録媒体に記録された音声情報の曲を所定の再生速度で再生する、音声情報処理方法。
【請求項4】 再生される前記音声情報は、音声情報の再生時間と前記第2の記録媒体に音声情報を記録する記録時間とがほぼ等しくなるようにランダムに選択される請求項3に記載の音声情報処理方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−63781(P2002−63781A)
【公開日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−248335(P2000−248335)
【出願日】平成12年8月18日(2000.8.18)
【出願人】(000000491)アイワ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】