開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器
【課題】ロック解除状態を機械的に保持する構造として、ロック解除状態の保持のための電力を不要とし、電力消費の低減を図った開閉器用インターロック装置を提供する。
【解決手段】閉器用インターロック装置は、検相器と、検相器の制御により開閉器の操作ハンドル(91)のロック及びロック解除を行うインターロック装置(U)とを備えている。インターロック装置は、ロックピン(2)と、ロックピンをロック解除状態にするハンドルロック解除部(3)と、ロック解除状態を保持するラッチアーム(4)及びロックアーム(33)と、ロックピン(2)をロック状態にするハンドルロック復帰部(5)と、操作ハンドルを入操作することでラッチ状態を解除するハンドル操作時ラッチ解除部(6)とを備えており、ロック解除後は、ハンドルロック解除部(3)を駆動する電源を遮断し、ロック解除状態を機械的に保持する。
【解決手段】閉器用インターロック装置は、検相器と、検相器の制御により開閉器の操作ハンドル(91)のロック及びロック解除を行うインターロック装置(U)とを備えている。インターロック装置は、ロックピン(2)と、ロックピンをロック解除状態にするハンドルロック解除部(3)と、ロック解除状態を保持するラッチアーム(4)及びロックアーム(33)と、ロックピン(2)をロック状態にするハンドルロック復帰部(5)と、操作ハンドルを入操作することでラッチ状態を解除するハンドル操作時ラッチ解除部(6)とを備えており、ロック解除後は、ハンドルロック解除部(3)を駆動する電源を遮断し、ロック解除状態を機械的に保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器に関するものである。更に詳しくは、例えば高圧配電線路のバイパス工事を行う場合に使用される工事用開閉器のインターロック装置であって、ロック解除の状態の保持を機械的に行うことで省電力化を図ると共に、インターロック装置を既存の開閉器にも軽微な改造で取付可能であり、検相器を備えることで工事内容に則した操作ハンドルのロック及びロック解除を自動的に行う開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線路において各種工事を行う場合、電力会社では需要家側が停電状態とならないように、工事区間の線路と並列にバイパス線路を設けて、電力の供給を維持した状態で工事を行う。この場合、バイパス線路には、工事用の開閉器が取り付けられている。
この開閉器は、接続されたバイパスケーブルの充電状態及び位相状態を開閉器に装備されている検相器で検出して投入の可否を判定し、判定結果を知らせるようになっている。工事者は、検相器の判定結果を基に開閉器の入操作を行っている。
【0003】
しかし、前記方法では、検相器の判定に対する判断が工事者に委ねられているため、検相器の判定結果にも関わらず、工事者が判断を誤って、開閉器を投入してはいけないときに入操作をするおそれがあった。この場合は、配電線への波及事故となり、電力の供給を停止させたり、工事関係者が感電する等、重大な事故を引き起こしてしまう。
このような、いわゆるヒューマンエラーを防止するため、開閉器に検相器の判定結果に連動したインターロック装置を付加することにより、検相器が正常接続と判断したときのみ検相器からの信号を受けロック解除となり、入操作を可能としたものが既に提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の「検電、検相機能付工事用開閉器」は、受電用及び需要家用ブッシングに接続された電源側及び需要家側ケーブルの検電装置と検相装置とを開閉器に設け、その表示部を外部から視認可能に設けると共に、手動開閉操作される連動部材には、常時連動部材の移動軌跡内に位置し投入動作を不能にするロック部材を設け、ロック部材には検電装置及び検相装置により、両ケーブル間の各相の一致及び充電状態を検知した時のみ励磁されるソレノイドを連結し、ソレノイドの励磁動作によりロック部材のロック状態を解除することにより開閉部の投入動作を可能にする、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平5−86612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の「検電、検相機能付工事用開閉器」は、検相器が正常接続と判断したときのみ検相器からの信号を受けロック解除となり、入操作を可能とする点については有用であるが、次のような課題があった。
【0007】
すなわち、ロック部材のロック状態の解除は、ソレノイドの励磁により行われ、ロック解除状態の保持は、ソレノイドの励磁状態を維持することにより行われる。このため、ロック解除状態の保持のための電力が必要になり、省エネルギーの観点からは好ましい状況とはいえない。
【0008】
また、ロック部材によるロック機構は、開閉器の製造時に組み込まれる構造であって、既存の開閉器に後で組み込むことができるようにはなっていない。このため、このロック機構を有する開閉器を採用しようとすれば、開閉器の全体を入れ替えるしか方法がなく、この場合の費用負担が大きかった。
【0009】
さらに、検相機能については、高圧配電線の工事において工事用の開閉器を用いてバイパス線路を設ける際に、正常な接続がなされず、例えば同じ相に2線を誤って接続した場合、従来の検相器では異常接続とは判定できなかったため、工事者の判断で投入してしまうことによる事故が発生しやすかった。
【0010】
また、単相回路のバイパス線路を設ける場合、従来の検相器では単相回路が異常接続と判定されてインターロックされるため、工事者が「単相での工事なので開閉器を入操作して良い」と判断し、インターロックを強制解除して開閉器の入操作をしていた。しかしこの場合も、入操作に工事者の判断が介在するため、三相回路の場合に単相回路と判断を誤って誤投入するおそれがあった。
【0011】
(本発明の目的)
本発明の目的は、開閉器の誤投入を防止するインターロック装置において、ロック解除状態を機械的に保持する構造として、ロック解除状態の保持のための電力を不要とし、電力消費の低減を図った開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器を提供することである。
【0012】
また、前記目的に加えて、インターロック装置を既存の開閉器にも軽微な改造で取付可能な構造とし、インターロック装置のみの交換もできるようにすることを目的とする。
【0013】
さらに、前記目的に加えて、検相器の判定回路に、相間の位相状態を判定する回路を備えることにより、同じ相に誤って2線を接続した場合も異常接続と判定できるようにすることを目的とする。
【0014】
また、前記目的に加えて、検相器での判定を三相回路での工事と単相回路での工事を区別して行い、単相回路工事で接続が正常なときは、開閉器のインターロックを自動解除して開閉器の入操作ができるようにし、工事者による判断を介在させないことで、誤投入を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0016】
(1)本発明は、
開閉器用インターロック装置であって、
開閉器の各相の充電状態と位相状態を判定する検相器と、
検相器からの信号を受けて開閉器の操作ハンドルのロック及びロック解除を選択的に行うインターロック装置と、
を備え、
前記インターロック装置は、
操作ハンドルをロックするロックピンと、
ロックピンをロック状態からロック解除状態にするハンドルロック解除部と、
ハンドルロック解除部によるロック解除状態を保持する掛止機構部と、
ロックピンをロック解除状態からロック状態にするハンドルロック復帰部と、
操作ハンドルを入操作することで前記掛止機構部によるロック解除状態を解除する入操作時掛止解除部と、
を備えており、
前記ハンドルロック解除部によるロック解除後は、ハンドルロック解除部を駆動する電源を遮断し、前記掛止機構部でロック解除状態を機械的に保持する、
開閉器用インターロック装置である。
【0017】
(2)本発明は、
インターロック装置が、開閉器に取り付け及び取り外しが自在なケースに収められたユニット構造である、
前記(1)の開閉器用インターロック装置である。
【0018】
(3)本発明は、
入操作時掛止解除部により、掛止機構部の掛止状態を解除したときに、ロックピンを操作ハンドルの回動操作ができる状態で非ロック位置に止めて、電源投入後の操作ハンドルの切操作ができるようにするロック制御部材を備えている、
前記(1)の開閉器用インターロック装置である。
【0019】
(4)本発明は、
検相器が、異なる相間の位相状態を判定する手段を備えており、三相又は単相回路工事で相間の位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)又は(3)の開閉器用インターロック装置である。
【0020】
(5)本発明は、
検相器が、単相回路を選択する手段を備えており、単相回路工事で位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)、(3)又は(4)の開閉器用インターロック装置である。
【0021】
(6)本発明は、
検相器が、開閉器の全端子の充電状態を検出する手段を備えており、開閉器の全端子が無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の開閉器用インターロック装置である。
【0022】
(7)本発明は、
検相器が、開閉器の三相又は単相回路での充電状態と位相状態を検出する手段を備えており、開閉器の片側の充電状態と位相状態が正常であり、他方側がすべて無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)の開閉器用インターロック装置である。
【0023】
(8)本発明は、
開閉器に、前記(1)乃至(7)の何れか一つの開閉器用インターロック装置を備えている、
工事用開閉器である。
【0024】
(作用)
本発明に係る開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器の作用を説明する。
【0025】
本発明は、開閉器の誤投入を防止するインターロック装置において、ロック解除状態を機械的に保持する構造であるので、従来のようなロック解除状態の保持のための電力が不要となり、電力消費を低減することができる。
【0026】
また、インターロック装置が、開閉器に取り付け及び取り外しが自在なケースに収められたユニット構造であるものは、インターロック装置を開閉器に軽微な改造を施すだけで既存の開閉器に取り付けることができる。また、その後、インターロック装置のみの交換も可能であり、メンテナンスもしやすい。
【0027】
入操作時掛止解除部により、掛止機構部によるロック解除状態を解除したときに、ロックピンを操作ハンドルの回動操作ができる状態で非ロック位置に止めるロック制御部材を備えているものは、電源投入後の操作ハンドルの切操作がそのままできる。
【0028】
本発明は、開閉器用インターロック装置を構成する検相器の判定回路に、相間の位相状態を判定する手段を備えているので、同じ相に誤って2線を接続した場合も異常接続と判定し、インターロックは解除されない。これにより、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【0029】
検相器が単相回路を選択する手段を備えているものは、三相回路での工事と単相回路での工事を区別することで、単相回路工事で接続が正常なときにのみ開閉器のインターロックを自動解除して開閉器の入操作ができるようにするので、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【0030】
検相器が開閉器の全端子の充電状態を検出する手段を備えているものは、開閉器の全端子が無電圧であるときにロック解除を行うので、例えば高圧配電線の工事用開閉器を用いたバイパス工事終了後にケーブルに充電している電荷を一括して接地放電する際、仮にケーブルを高圧配電線から外すことを忘れて接続したままの場合、インターロックは解除されない。これにより、地絡事故や短絡事故を防ぐことができる。
【0031】
検相器が、開閉器の三相又は単相回路での充電状態と位相状態を検出する手段を備えているものは、開閉器の片側の充電状態と位相状態が正常であり、他方側の状態がすべて無電圧であるときにロック解除の制御を行うので、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくしており、工事者の判断誤りでの不完全なバイパス線路での工事を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0032】
(a)本発明は、開閉器の誤投入を防止するインターロック装置において、ロック解除状態を機械的に保持する構造であるので、従来のようなロック解除状態の保持のための電力が不要となり、電力消費を低減することができる。
【0033】
(b)インターロック装置が、開閉器に取り付け及び取り外しが自在なケースに収められたユニット構造であるものは、インターロック装置を開閉器に軽微な改造を施すだけで既存の開閉器に取り付けることができる。また、その後、インターロック装置のみの交換も可能であり、メンテナンスもしやすい。
【0034】
(c)開閉器用インターロック装置を構成する検相器の判定回路に、相間の位相状態を判定する回路を備えているので、同じ相に誤って2線を接続した場合も異常接続と判定し、インターロックは解除されない。これにより、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【0035】
(d)検相器が単相回路を選択する手段を備えているものは、三相回路での工事と単相回路での工事を区別することで、単相回路工事で接続が正常なときにのみ開閉器のインターロックを自動解除して開閉器の入操作ができるようにするので、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る開閉器用インターロック装置を構成するインターロックユニットの内部構造を、裏蓋を一部切欠して示す背面側から視た斜視図。
【図2】インターロックユニットの構造を示す背面図。
【図3】インターロックユニットの構造を示す下面図。
【図4】ハンドルロック解除部のハンドルロック状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図5】ハンドルロック解除部のハンドルロック解除状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図6】ハンドルロック復帰部のハンドルロック解除状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図7】ハンドルロック復帰部のハンドルロック復帰状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図8】ハンドル入操作時ラッチ解除部のハンドルロック解除状態を示し、(a)は背面側下方からの斜視説明図、(b)は(a)における矢印a2方向からみた説明図。
【図9】ハンドル入操作時ラッチ解除部のハンドルロック停止状態を示し、(a)は背面側下方からの斜視説明図、(b)は(a)における矢印a3方向からみた説明図。
【図10】本発明に係る開閉器用インターロック装置を取り付けた工事用開閉器の斜視図。
【図11】操作ハンドルの操作に伴うインターロック装置の作用を示し、(a)は開放状態、(b)はハンドルロックが解除された状態、(c)は操作ハンドルの入操作によりラッチ状態が解除されロックピンがロック制御部材に当たって停止している状態、(d)は操作ハンドルの切操作によりロックピンがロック制御部材から外れてロック位置に移動し操作ハンドルをロックしている状態を示す説明図。
【図12】本発明に係る開閉器用インターロック装置を構成する検相器の判定回路を示すブロック図。
【図13】検相器の位相判定処理の流れを示すフロー図。
【図14】バイパス線路が三相である場合に工事用開閉器の2線を同相(S相)に誤って接続した状態を示す説明図。
【図15】図14に示す接続状態を判定した場合の検相器の表示を示す説明図。
【図16】図14に示す接続状態を判定した場合の従来の検相器の表示例を示す説明図。
【図17】検相器の単相回路処理の流れを示すフロー図。
【図18】バイパス線路が単相回路である場合の工事用開閉器の接続状態を示す説明図。
【図19】検相器の無電圧ロック解除処理の流れを示すフロー図。
【図20】工事後にバイパス線路のケーブルの接続を解除し充電電荷の接地放電を行う場合の説明図。
【図21】片側充電ロック解除処理の流れを示すフロー図。
【図22】バイパス線路が三相である場合に二台の工事用開閉器を直列に接続して使用する場合の接続状態を示す説明図。
【図23】検相器の操作スイッチを含む外観を示す説明図。
【図24】従来の一般的な検相器の判定回路を示すブロック図。
【図25】工事用開閉器を三相回路で正常にバイパス接続した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1乃至図11を参照する。
工事用開閉器Sは、図10に示すように、開閉器9と開閉器用インターロック装置Aで構成されている。開閉器用インターロック装置Aは、検相器7(図23、図12も併せて参照)とインターロックユニットUからなる。
検相器7については、図12乃至図25参照して後で詳細に説明する。
【0038】
開閉器用インターロック装置Aを構成するインターロックユニットUは、ケース1、ロックピン2、ハンドルロック解除部3、ラッチアーム4(後述するロックアーム33と共に掛止機構部を構成)、ハンドルロック復帰部5及びハンドル入操作時ラッチ解除部6(ハンドル入操作時掛止解除部を構成)で構成されている(図1乃至図3参照)。
【0039】
インターロックユニットUは、それ自体が独立したユニット構造であり、開閉器9の操作ハンドル91に、後述するようにロック制御部材93や押し具94を取り付ける軽微な改造を施して操作ハンドル91との位置関係等を整合させることで、開閉器用インターロック装置を備えていない既存の開閉器9に後付けして、インターロック装置付き工事用開閉器Sを構成することができる。なお、インターロックユニットUをユニット構造とせず、開閉器9に製造段階で組み込んで工事用開閉器を形成することもできる。
【0040】
(ケース1)
ケース1は、各構成板10、11、12、13、14、15によって構成される直方体状の筐体である。ケース1は、正面側(以下、方向については図10のように開閉器9の筐体90に取り付けた状態を基準とし、正面側は図1で奥側)が構成板15で塞がれ、背面側が構成板(裏蓋)10で塞がれている。ケース1は、構成板10側が開閉器9への取り付け側となる。なお、ケース1の側部の各構成板11、12、13、14、15には、付帯部品が固定されているが、これら各部品については、後述する各部の構成の説明で詳述する。
【0041】
(ロックピン2)
開閉器9の操作ハンドル91を入操作できないようにロックするロックピン2は、ケース1の構成板11の一方側(図1乃至図3で左側)に取付基具20により取り付けられている。取付基具20は、金属板をほぼコ字形状に曲げて形成されており、各構成板(図3で上下側の構成板)20a、20bには、ロックピン2を通す円形の挿通孔21a、21bが形成されている。また、取付基具20の底部の構成板20cには、ガイド長孔22がロックピン2の進退方向に設けられている。
【0042】
取付基具20の各構成板20a、20b間には、両端側を挿通孔21、21aに貫通させて、丸棒形状のロックピン2がスライド自在に挿通されている。ロックピン2の長さ方向のほぼ中間部には、直径方向に貫通し両端がロックピン2の周面から突出した掛合ピン23が固定されている。掛合ピン23の一端23a側(図2で下側)はガイド長孔22にスライド自在に通されており、他端23b側(図2で上側)は構成板11に接触しないように取付基具20内に収めてある。なお、掛合ピン23の他端23b側には、後述するロック解除アーム30が掛合できるようにしてある。
【0043】
また、ロックピン2の掛合ピン23と取付基具20の板20bとの間には、ロックピン2に嵌め入れて圧縮コイルバネ24(図1乃至図7で図示。図8、図9では省略)が装着されており、これによりロックピン2は、ロック方向(図3で下方向)へ付勢されている。ロックピン2は、掛合ピン23がガイド長孔22の板20aに近い側の端部に当たることにより、取付基具20の板20aの挿通孔21aからの突出長が決まるようになっており、このロックピン2の突出したときの位置が開閉器の操作ハンドル91を止めることができるロック位置となる。
【0044】
(ハンドルロック解除部3)
図4、図5を主に参照する。図4、図5では便宜上、後述するハンドルロック復帰部5等の図示は省略している。なお、図4、図5(後述する図6、図7も同様)は、図1における矢印a1方向からみた説明図である。
ハンドルロック解除部3は、ロック解除アーム30を備えている。ロック解除アーム30は、ケース1の構成板11の一方側の取付基具20近傍に設けられた軸受具31により軸支された軸32の先端320(構成板11の外側に位置)に固定されている。ロック解除アーム30の先部には、前記ロックピン2の掛合ピン23の他端23b側にロックピン2のロック方向側から掛合する掛合凹部300が形成されている。
【0045】
軸32の基端322(構成板11の内側に位置)には、先部側が扇状に拡がった板状のロックアーム33の基端部が固定されている。ロックアーム33の先端部には、軸32を中心とする円弧状の案内面330が形成されており、案内面330の一端(図1、図2で左端、図4で右端)には、ラッチ凹部331が形成されている。また、ロックアーム33のラッチ凹部331と反対側には、軸32を中心とする半径方向に長孔332が形成されている。ロック解除アーム30とロックアーム33の軸32を中心として形成される角度は、所要の角度で固定されている(図4(b)参照)。
【0046】
ロック解除用ソレノイド34のロッド340先端には、連結板35が掛止ピン341により取り付けられている。連結板35は、掛合ピン350を有している。掛合ピン350は、ロックアーム33の長孔332に対し移動できるように掛合されている。ロックアーム33は、ケース1の構成板15に固定されているロック解除用ソレノイド34の励磁により駆動される。
【0047】
なお、ロックアーム33は、前記ロックピン2を付勢している圧縮コイルバネ24の付勢力で、軸32を介しロック解除アーム30と同じ方向(図2で奥回転方向、図4で右回転方向)へ付勢されている。そして、ロック解除用ソレノイド34が励磁されてロッド340が吸引され連結板35が後退することにより、ロックアーム33は、後述するラッチアーム4とラッチする方向(ロックピン2によるロック状態を解除する方向:図4で左回転方向)へ回動する。
【0048】
(ラッチアーム4)
ロックアーム33の近傍(図4では上側)には、ラッチアーム4が軸40(図1参照)を中心として回動自在に取り付けられている。軸40は、ケース1の構成板15に固定されている支持具41(図1、図2参照)に固定されている。ラッチアーム4は、軸40に回動自在に取り付けられているアーム板42を有し、アーム板42は、弦巻コイルバネ45によってロックアーム33方向に回動(図4で右回転方向)するよう付勢されている。
【0049】
アーム板42の先端寄りの連結板35側の面には、軸40と平行かつ突出した状態で固定されているラッチピン43を有している。また、アーム板42のラッチピン43より基部寄りには、ラッチピン43とは反対側の面にラッチ解除ピン44が軸40と平行かつ突出した状態で固定されている。ラッチピン43は、弦巻コイルバネ45の付勢力で前記ロックアーム33の案内面330とラッチ凹部331に当接する。ラッチ解除ピン44には、後述するようにハンドル入操作時ラッチ解除部6のラッチ解除アーム63がラッチ解除時に接触して押すようになっている(図8、図9参照)。
【0050】
(ハンドルロック復帰部5)
図6、図7を主に参照する。なお、図6、図7は前記したように図4、図5と同じ方向からみた説明図で、説明の便宜上、前記ハンドルロック解除部3等の図示は一部省略している。
ハンドルロック復帰部5は、ロック復帰アーム50を有している。ロック復帰アーム50は、軸51を中心として回動自在に取り付けられている。軸51は、ケース1の構成板15の上部側の構成板12寄りに固定されている支持具53(図2に図示)に固定されている。ロック復帰アーム50の近傍には、ロック復帰アーム50との角度を維持したままロック復帰アーム50と一体に回動するロッド取付アーム52が設けられている。
【0051】
ロック復帰アーム50は、構成板15に固定されているロック復帰用ソレノイド54の励磁により駆動される。前記ロッド取付アーム52の先部は、ロック復帰用ソレノイド54のロッド540に掛止ピン541により回動自在に取り付けられている。支持具53と掛止ピン541の間には弦巻コイルバネ542が掛けられており、ロッド540は常時突出する方向(図6、図7で右方向)へ付勢されている。
【0052】
これにより、ロック復帰用ソレノイド54が励磁されていないときは、ロック復帰アーム50の先部はラッチピン43と離れた位置にあり、ロック復帰用ソレノイド54が励磁されてロッド540が吸引されると、ラッチピン43に当たり、ラッチピン43を押してラッチアーム4によるラッチ状態を解除し、ロックピン2はロック位置に復帰する。
【0053】
(ハンドル入操作時ラッチ解除部6)
図8、図9を主に参照する。
ハンドル入操作時ラッチ解除部6は、開閉器9の操作ハンドル91を入操作したときにラッチアーム4とロックアーム33によるラッチ状態を解除してロックピン2をロック位置方向(突出方向)へ移動させるものである。なお、このとき、ロックピン2は、後述するように、操作ハンドル91に設けられているロック制御部材93によって突出が妨げられ、この状態(ロック解除状態)は次に操作ハンドル91の切操作が行われるまで保持される。
【0054】
ハンドル入操作時ラッチ解除部6は、ハンドル受アーム60を備えている。ハンドル受アーム60は、ケース1の構成板11の軸受具31に隣接して設けられた軸受具61(図1乃至図3に図示)により軸支された軸62の先端(構成板11の外側に位置)に固定されている。軸62の基端には、ラッチ解除アーム63が固定されている。ハンドル受アーム60とラッチ解除アーム63の軸62を中心として形成する角度は、所要の角度で固定されている(図8(b)参照)。ハンドル受アーム60は操作ハンドル91を入操作したときにロック制御部材93に設けた押し具94と掛合してラッチ解除アーム63を作動させる。
【0055】
なお、ラッチ解除アーム63と構成板11の間には、弦巻コイルバネ64が介装され(図1、図2参照)、これにより、ラッチ解除アーム63は、先部630がラッチ解除ピン44から離れる方向(図8で左回転方向)に付勢されている。したがって、常態においては、ラッチ解除アーム63の先部630はラッチ解除ピン44から離れた位置にある。
そして、後述するように操作ハンドル91が入操作されることによってハンドル受アーム60に押し具94が掛合しハンドル受アーム60が押されて回動すると、ラッチ解除アーム63が回動してラッチ解除ピン44と掛合し、ラッチ解除ピン44を押してラッチアーム4によるラッチ状態を解除する。これにより、ロックピン2はロック位置方向へ移動する。
【0056】
また、ケース1内部には、検相器7からの信号を入力するためのケーブル16が構成板11の他方側(図1乃至図3で右側)を貫通して導入されている。検相器7からの信号は、前記ロック解除用ソレノイド34及びロック復帰用ソレノイド54の制御回路(図示省略)に送られて、ロッド340、540の吸引及び吸引解除が制御される。
【0057】
前記したように、開閉器用インターロック装置Aは、工事用の開閉器9に組み込んで使用するものであるので、ここで開閉器用インターロック装置Aを備えた工事用開閉器Sの構造の概略を説明する。
図10、図11及び図8、図9を参照する。
【0058】
開閉器9の筐体90の正面には、電源の投入・開放操作(入・切操作)を行う操作ハンドル91が設けられている。筐体90正面の操作ハンドル91の中心軸(図示省略)の近傍(上方)には、前記開閉器用インターロック装置Aを構成するインターロックユニットUが固定されている。また、検相器7は、筐体90の底部に内蔵されている。
なお、筐体90の正面側上部に表示されている「入」、「切」の文字は、その下方に設けられており操作ハンドル91の入切状態を示す指針96の向きに対応するものである。
【0059】
インターロックユニットUは、ケース1の構成板10側を筐体90正面へ向け、固定金具やボルト等の固定具(符号省略)により固定されており、取り外しも可能である。
なお、ロックピン2は、図10においてケース1の右下に位置し、操作ハンドル91側へ突出して操作ハンドル91を切位置でロック状態を維持して検相器7からの入信号を受けるまで入操作できないようにロックすることができる。
【0060】
操作ハンドル91の中心軸近傍には、板状のロック制御部材93が操作ハンドル91と一体となるよう平行に重なった状態で取り付けられている。
ロック制御部材93には、外側の縁部が中心軸を中心とする円弧状であるロックピン止部930が形成されている。ロックピン止部930は、操作ハンドル91の入位置から切位置手前までの可動範囲において、前記ロックピン2が当接することができる範囲で設けられている(図8(a)、図9(a)参照)。
【0061】
ロック制御部材93の背面側(開閉器9側:図8(a)、図9(a)では手前側)の一端部には、前記ハンドル受アーム60に掛合してハンドル受アーム60を押して回動させる押し具94が固定されている。押し具94は、操作ハンドル91の切位置では、ハンドル受アーム60と離れた位置にある(図8参照)。そして、前記したように操作ハンドル91が入操作されることによって、図9に示すようにハンドル受アーム60に押し具94が掛合しハンドル受アーム60は押し具94で押されて回動する。
【0062】
ハンドル受アーム60が押されると同時にラッチ解除アーム63が回動して先部630がラッチ解除ピン44と掛合し、ラッチ解除ピン44を押してラッチアーム4によるラッチ状態を解除し、ロックピン2はロック位置方向へ移動する。このとき、ロックピン2の先端は、ロックピン止部930に当たって止められ、ロック位置まで移動することができない。これにより、次に操作ハンドル91の切操作が行われるまでロック解除状態が保持される。
【0063】
(作用)
図1乃至図11を参照して、開閉器用インターロック装置Aを備えた工事用開閉器Sの作用を説明する。
【0064】
(A)操作ハンドル切位置(図10、図11(a)参照)
操作ハンドル91が切位置にある状態では、開閉器9の電源は開放されており、ロックピン2はロック位置にあり(図4参照)、操作ハンドル91を入操作することはできない。また、このロックピン2の状態は、目視で容易に確認できる。
【0065】
検相器7からハンドルロック解除の信号が送られると、ロック解除用ソレノイド34が励磁(1ショット励磁:瞬間的に励磁→励磁解除が行われる)され、ロッド340が吸引されて連結板35が後退することにより、図5に示すようにロックアーム33はロック解除用ソレノイド34側に回動する。ロックアーム33が回動端まで回ると、ラッチアーム4のラッチピン43がロックアーム33のラッチ凹部331と掛合し、ラッチ状態となる。ラッチ状態となった後は、前記のようにロック解除用ソレノイド34の励磁が直ちに解除され、ロックアーム33のラッチ凹部331との掛合によりロック解除状態は機械的に保持される。
【0066】
ロックアーム33が回動するのと同時にロック解除アーム30がロックピン2を後退させる方向へ回動する。ロックピン2は、ロック解除アーム30によって圧縮コイルバネ24の付勢力に抗して押し戻されて後退し、前記ラッチピン43とラッチ凹部331の掛合によってロック解除位置に停止する(図5参照)。これにより、操作ハンドル91の入操作が可能なスタンバイ状態になる。なお、このスタンバイ状態は、施工現場において1時間程度継続する場合もある。
【0067】
(B)操作ハンドルが切位置にあるときのハンドルロック復帰
前記スタンバイ状態において、検相器7が例えばケーブルが外れる等の異常を検出した場合は、ロックピン2がロック状態に戻る。すなわち、検相器7からロック施錠の信号が送られ、ロック復帰用ソレノイド54が励磁(1ショット励磁)され、ロッド540が吸引される。これにより、ロック復帰アーム50が回動し、ラッチアーム4のラッチピン43を押してラッチ状態を解除し、その後、ロック復帰用ソレノイド54の励磁が直ちに解除され、ロック復帰アーム50はラッチピン43から離れる。ロックピン2は、圧縮コイルバネ24の付勢力でロック位置方向へ移動してロック位置に復帰し(図7参照)、作業者は操作ハンドル91の入操作ができなくなる。
【0068】
(C)操作ハンドル切位置(ハンドルロック解除:図11(b)参照)からの入操作
前記スタンバイ状態において、検相器7が異常を検出しない場合、必要なときに作業者が操作ハンドル91を入方向へ回し、操作ハンドル91が入位置にくると、開閉器9が投入される。
また、操作ハンドル91が入位置にくると、ロック制御部材93の押し具94がインターロックユニットUのハンドル受アーム60に当たり、ハンドル受アーム60は押し具94で押されて回動する(図8、図9参照)。
【0069】
ハンドル受アーム60が回動すると同時に、ラッチ解除アーム63が回動してラッチアーム4のラッチ解除ピン44を押してラッチ状態を解除し、ロックピン2は、圧縮コイルバネ24の付勢力でロック位置方向へ移動する。
【0070】
このとき、ロック制御部材93のロックピン止部930が、操作ハンドル91の回動によってロックピン2と対応する位置に移動しており、ロックピン2の先端は、ロックピン止部930に当たって止められ、ロック位置まで移動することができず、非ロック位置に止まる(図9(b)参照)。なお、ロック解除用ソレノイド34は励磁されない状態のままである。
【0071】
これにより、操作ハンドル91は入位置から切操作が可能であり、次に操作ハンドル91の切操作が行われて切状態となるまで、このロック解除状態(ロックピン2が前記非ロック位置にある状態)が保持される(入操作完了状態:図11(c)参照)。
【0072】
(D)操作ハンドル入位置からの切操作
【0073】
作業者が操作ハンドル91の切操作を行うと、ロック制御部材93のロックピン止部930は、圧縮コイルバネ24の付勢力で押し付けられているロックピン2の先端と当接したままで回動する。
【0074】
そして、操作ハンドル91が切位置までくると、ロックピン2の先端がロックピン止部930から外れ、圧縮コイルバネ24の付勢力でロック位置まで移動し突出して停止する(切操作完了状態:図11(d)参照)。このように、切操作完了後は常にロック状態となる。
【0075】
このように、開閉器用インターロック装置Aは、開閉器9の入操作(投入操作)のときだけは、ロック解除しないと操作ができないようになっており、入操作位置から切操作(開放操作)を行うときは、ロック解除を行う必要をなくし、そのまま自由に操作できるようにしている。
【0076】
(検相器7)
図12乃至図25を参照し、検相器7について説明する。
前記インターロックユニットUは、検相器7によって操作ハンドル91のロック及びロック解除の制御が行われる。
検相器7は、バイパス線路(81、84)、(82、85)、(83、86)における工事用開閉器Sの接続状態を検出し、操作ハンドル91のロック中にロック解除と判定されればインターロックユニットUのロック解除用ソレノイド34の制御回路にロック解除を指示する信号を送り、ロック施錠と判定されれば同信号を送らない。
また、ロックピン2がロック解除中にロック施錠と判定されればロック復帰用ソレノイド54の制御回路にロック施錠を指示する信号を送る。
【0077】
図23を参照し、検相器7の操作スイッチを含む外観を説明する。
判定回路(図12参照)を内蔵するケース70の正面部には、操作スイッチ77と検出表示部78が設けられている。
操作スイッチ77には、図23で時計回り方向へ順に、「片側充電ロック解除」、「無電圧ロック解除」、「切」、「三相検相テスト」、「三相検相」、「単相検相テスト」、「単相検相」の各ポジションが設定されている。また、検出表示部78には、検相による判定結果がR、S、Tの各相ごとにランプ点灯によって表示されるようになっている。
【0078】
なお、バイパス工事の工事内容に対する操作スイッチ77のポジションの設定は次の通りである。
まず、「三相検相」のポジションは、三相バイパス工事で工事用開閉器Sを投入(操作ハンドル91を入操作)できるかどうかをみるとき(後述する〔0094〕〜〔0096〕参照)に設定される。このポジションでは、三相が正常であるときに「ロック解除」と判定される。
【0079】
「単相検相」のポジションは、単相バイパス工事で工事用開閉器Sを投入できるかどうかをみるとき(後述する〔0101〕参照)に設定される。このポジションでは、二相が正常であるときに「ロック解除」と判定される。
【0080】
「無電圧ロック解除」のポジションは、バイパス工事終了後にケーブルの接地放電のために工事用開閉器Sの操作ハンドル91を入操作できるかどうかをみるとき(後述する〔0105〕〜〔0106〕参照)に設定される。このポジションでは、全六端子が無電圧のときに「ロック解除」と判定される。
また、このポジションは、装置点検のため操作ハンドル91を入操作するときにも設定される。この場合も同様に、全六端子が無電圧のときに「ロック解除」と判定される。
【0081】
「片側充電ロック解除」のポジションは、工事用開閉器Sを複数直列接続して使用する場合に工事用開閉器S1、S2の電源を投入できるかどうかをみるとき(後述する〔0112〕〜〔0113〕参照)に設定される。このポジションでは、開閉器の片側が正常で他方側が無電圧のときに「ロック解除」と判定される。
【0082】
従来の検相器では、操作スイッチが、検相を行うスイッチと三相回路か単相回路かを選択するスイッチが別にあり、工事内容に応じて工事作業者が組み合わせて設定していた。このため、設定の組み合わせを誤って検相器を使用し、不完全なバイパス線路での工事をしてしまうことがあった。本実施の形態では、図23に示すように操作スイッチを一つにしたことで、前記工事内容別の操作位置に設定するだけで検相器を正しく使用できるようになり、工事者の判断誤りによる不完全なバイパス線路での作業事故を防ぐことができる。
【0083】
図12を参照し、検相器7の判定回路を説明する。
開閉器用インターロック装置Aを構成する検相器7は、工事区間の線路と並列に設けられたバイパス線路(81、84)、(82、85)、(83、86)中に接続された開閉器9に接続されている。開閉器9の高圧開閉器部99を挟む線路間には、R相、S相、T相のバイパス線路の各相毎に信号線71、72、73が接続されている。
【0084】
信号線71、72、73において、各相に対する両接続部寄り(図12で左側と右側)には、充電されているかどうかの判定をする充電判定部74(左側)、74a(右側)がそれぞれ設けられている。信号線71、72、73ごとの両充電判定部74、74a間には、両接続部の位相状態が正常かどうかの判定をする位相判定部75が設けられている。
【0085】
また、信号線71、72、73において、位相判定部75と充電判定部74、74aの間には、異なる相間の位相状態が正常かどうかの判定をする相間位相判定部76(左側)、76a(右側)が設けられている。
本実施の形態の検相器7の判定回路は、図24に示す従来の一般的な判定回路に相間位相判定部76、76aを追加した構成となっている。
【0086】
次に、図13を参照して前記判定回路による位相判定処理の流れを説明する。
まず、(ステップ100)でR相の左側と右側の位相状態が正常かどうかをみて、NOであれば(ステップ107)で前記検出表示部78においてR相異常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
【0087】
(ステップ100)でYESであれば(ステップ101)でR相とS相の相間位相状態が正常かどうかをみて、NOであれば(ステップ107)で検出表示部78においてR相異常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
【0088】
(ステップ101)でYESであれば(ステップ102)でR相とT相の相間位相状態が正常かどうかをみて、NOであれば(ステップ107)で検出表示部78においてR相異常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
(ステップ102)でYESであれば(ステップ103)で検出表示部78においてR相正常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
【0089】
(ステップ104)では、S相について、前記(ステップ100)〜(ステップ103)及び(ステップ107)のR相の処理と同様に処理される。
また、(ステップ104)が終了したら、(ステップ105)のT相の処理に移行する。
(ステップ105)では、T相について、前記(ステップ100)〜(ステップ103)及び(ステップ107)のR相の処理と同様に処理される。
【0090】
T相について判定が終了し、(ステップ106)で三相とも正常かどうかをみて、各相の何れか一つ又は複数で(ステップ107)の処理を通りNOであれば「ロック施錠」の判定をし、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0091】
バイパス線路が三相回路である場合の検相を工事内容の具体例をあげて説明する。
まず、三相回路の検相を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「三相検相」に設定する。
そして、図25に示すように、バイパス線路が三相回路で工事用開閉器Sが正常に接続されている場合は、前記判定回路による位相判定処理によって「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作することができる。
【0092】
しかし、図14に示すように、同じくバイパス線路が三相である場合に工事用開閉器Sの2線を同相(S相)に誤って接続した場合、(ステップ104)においてS相とT相の相間位相状態が正常かどうかでNOとなり、さらに(ステップ105)でもT相とS相の相間位相状態が正常かどうかでNOとなり、これにより(ステップ106)で「ロック施錠」の判定をする。
【0093】
なお、工事用開閉器の2線を同相(S相)に誤って接続した場合の検出結果は、図24に示した従来の一般的な判定回路においては、各相の相間位相状態が正常かどうかをみないために、図16に示すように各相が正常と表示されていた。
これに対し、本実施の形態の判定回路で検出した場合は、検出表示部78に図15に示すように表示される。すなわち、R相のみが正常と表示され、S相とT相は異常と表示されるので、S相とT相について接続異常があることが分かる。
【0094】
このように、高圧配電線の工事において、工事用開閉器を用いてバイパス線路を設ける際に正常な接続がなされず、前記のように同じ相に2線を誤って接続した場合、従来の検相器では異常接続と判定できなかったが、本実施の形態では各相の相間位相状態を判定する回路によって接続異常と判定できるようになり、不完全なバイパス線路による作業事故を防ぐことができる。
【0095】
図17を参照して前記判定回路による単相回路処理の流れを説明する。
まず、(ステップ200)で操作スイッチ77のポジションが「単相検相」かどうかをみて、NOであれば(ステップ204)で前記位相判定処理(ステップ100〜107)を行い、三相とも正常であるかどうかをみて、NOであれば「ロック施錠」の判定をし、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0096】
(ステップ200)でYESであれば(ステップ201)でR相とS相が共に正常かどうかをみて、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
また、(ステップ201)でNOであれば(ステップ202)でS相とT相が共に正常かどうかをみて、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0097】
(ステップ202)でNOであれば(ステップ203)でT相とR相が共に正常かどうかをみて、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
(ステップ203)でNOであれば、「ロック施錠」の判定をする。
【0098】
図18を参照してバイパス線路が単相回路である場合の検相を工事内容の具体例をあげて説明する。
まず、単相回路の検相を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「単相検相」に設定する。
そして、図18に示した場合では、工事用開閉器Sが正常に接続されているので、前記判定回路による単相回路処理によって「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作することができる。
【0099】
このように、高圧配電線の工事において工事用開閉器Sを用いて単相回路のバイパス線路を設ける際に、単相回路処理により三相回路での工事と単相回路での工事を区別して検相を行うことで、単相回路で接続が正常なときにインターロックを自動解除して、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくし、工事者の判断誤りでの不完全なバイパス線路による作業事故を防ぐことができる。
【0100】
図19を参照して前記判定回路による無電圧ロック解除処理の流れを説明する。
まず、(ステップ300)で三相の左側の端子が全て無電圧かどうかをみて、NOであれば「ロック施錠」の判定をする。
【0101】
(ステップ300)でYESであれば(ステップ301)で三相の右側の端子が全て無電圧かどうかをみて、NOであれば「ロック施錠」の判定をする。
そして、(ステップ301)でYESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0102】
図20を参照してバイパス工事が終了し工事用開閉器Sのケーブルに充電している電荷を一括して接地放電する場合を説明する。
まず、無電圧ロック解除処理を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「無電圧ロック解除」に設定する。
【0103】
そして、図20に示した場合では、三相の両側の全六端子が高圧配電線から外されており、無電圧となっているので、「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作して接地放電をすることができる。
【0104】
このように、高圧配電線の工事用開閉器を用いたバイパス工事終了後にケーブルに充電している電荷を一括して接地放電する際、仮にケーブルを高圧配電線から外すことを忘れて接続したままで開閉器を入操作すると地絡事故や短絡事故になるが、本実施の形態では前記のように全六端子が充電されていないときにインターロックを自動解除することで、地絡事故や短絡事故を防ぐことができる。
また、工事用開閉器の装置点検において開閉器を入状態にするときにも同様にインターロックを自動解除することで、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくしており、工事者の判断誤りによる作業事故を防ぐことができる。
【0105】
図21を参照して前記判定回路による片側充電ロック解除処理の流れを説明する。
まず、(ステップ400)で工事用開閉器Sの左側の三相が全て正常かどうかをみて、YESであれば(ステップ401)で右側の三相が全て無電圧かどうかをみる。
(ステップ401)でYESであれば、工事用開閉器Sの「ロック解除」の判定をする。また、(ステップ401)でNOであれば、工事用開閉器Sの「ロック施錠」の判定をする。
【0106】
(ステップ400)でNOであれば、(ステップ402)で工事用開閉器Sの左側の二相(単相回路)が正常かどうかをみて、YESであれば(ステップ401)へ移行する。また、(ステップ402)でNOであれば、(ステップ403)で工事用開閉器Sの右側の三相が全て正常かどうかをみる。
【0107】
(ステップ403)でYESであれば(ステップ404)で三相の左側の端子が全て無電圧かどうかをみて、YESであれば工事用開閉器Sの「ロック解除」の判定をする。また、(ステップ404)でNOであれば、工事用開閉器Sの「ロック施錠」の判定をする。
【0108】
(ステップ403)でNOであれば、(ステップ405)で工事用開閉器Sの右側の二相(単相回路)が正常かどうかをみて、YESであれば(ステップ404)に移行する。また、(ステップ405)でNOであれば、工事用開閉器Sの「ロック施錠」の判定をする。
【0109】
図22を参照して、バイパス線路が三相である場合に二台の工事用開閉器S1、S2を直列に接続して使用する場合の検相を工事内容の具体例をあげて説明する。
まず、先に操作する工事用開閉器S1の片側充電ロック解除処理を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「片側充電ロック解除」に設定する。
【0110】
図22に示す場合では、両工事用開閉器S1、S2が正常に接続されているので、前記判定回路の片側充電ロック解除処理により、工事用開閉器S1の片側が三相及び単相で正常な充電状態のときは「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作することができる。
【0111】
このように、高圧配電線の工事において、工事用開閉器を複数台直列に用いてバイパス線路を設ける際には、片側のみ充電されている状態で開閉器を入操作するが、従来の検相器では、異常接続と判断しインターロック施錠しているものを工事者が「開閉器を入操作してよい」と判断し、インターロックを強制解除して開閉器の入操作をしていた。
本実施の形態では、前記片側充電ロック解除処理により、片側が三相又は単相回路で正常な充電状態のときはインターロックを自動解除し、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくしており、工事者の判断誤りによる不完全なバイパス線路での作業事故を防ぐことができる。
【0112】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0113】
S 工事用開閉器
A 開閉器用インターロック装置
U インターロックユニット
1 ケース
10、11、12、13、14、15 構成板
16 ケーブル
2 ロックピン
20 取付基具
20a、20b、20c 構成板
21a、21b 挿通孔
22 ガイド長孔
23 掛合ピン
23a 一端
23b 他端
24 圧縮コイルバネ
3 ハンドルロック解除部
30 ロック解除アーム
300 掛合凹部
31 軸受具
32 軸
320 先端
322 基端
33 ロックアーム
330 案内面
331 ラッチ凹部
332 長孔
34 ロック解除用ソレノイド
340 ロッド
341 掛止ピン
35 連結板
350 掛合ピン
4 ラッチアーム
40 軸
41 支持具
42 アーム板
43 ラッチピン
44 ラッチ解除ピン
45 弦巻コイルバネ
5 ハンドルロック復帰部
50 ロック復帰アーム
51 軸
52 ロッド取付アーム
53 支持具
54 ロック復帰用ソレノイド
540 ロッド
541 掛止ピン
542 弦巻コイルバネ
6 ハンドル入操作時ラッチ解除部
60 ハンドル受アーム
61 軸受具
62 軸
63 ラッチ解除アーム
630 先部
64 弦巻コイルバネ
7 検相器
70 ケース
71〜73 信号線
74、74a 充電判定部
75 位相判定部
76、76a 相間位相判定部
77 操作スイッチ
78 検出表示部
81〜86 バイパス線路
9 開閉器
90 筐体
91 操作ハンドル
93 ロック制御部材
930 ロックピン止部
94 押し具
99 高圧開閉器部
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器に関するものである。更に詳しくは、例えば高圧配電線路のバイパス工事を行う場合に使用される工事用開閉器のインターロック装置であって、ロック解除の状態の保持を機械的に行うことで省電力化を図ると共に、インターロック装置を既存の開閉器にも軽微な改造で取付可能であり、検相器を備えることで工事内容に則した操作ハンドルのロック及びロック解除を自動的に行う開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線路において各種工事を行う場合、電力会社では需要家側が停電状態とならないように、工事区間の線路と並列にバイパス線路を設けて、電力の供給を維持した状態で工事を行う。この場合、バイパス線路には、工事用の開閉器が取り付けられている。
この開閉器は、接続されたバイパスケーブルの充電状態及び位相状態を開閉器に装備されている検相器で検出して投入の可否を判定し、判定結果を知らせるようになっている。工事者は、検相器の判定結果を基に開閉器の入操作を行っている。
【0003】
しかし、前記方法では、検相器の判定に対する判断が工事者に委ねられているため、検相器の判定結果にも関わらず、工事者が判断を誤って、開閉器を投入してはいけないときに入操作をするおそれがあった。この場合は、配電線への波及事故となり、電力の供給を停止させたり、工事関係者が感電する等、重大な事故を引き起こしてしまう。
このような、いわゆるヒューマンエラーを防止するため、開閉器に検相器の判定結果に連動したインターロック装置を付加することにより、検相器が正常接続と判断したときのみ検相器からの信号を受けロック解除となり、入操作を可能としたものが既に提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の「検電、検相機能付工事用開閉器」は、受電用及び需要家用ブッシングに接続された電源側及び需要家側ケーブルの検電装置と検相装置とを開閉器に設け、その表示部を外部から視認可能に設けると共に、手動開閉操作される連動部材には、常時連動部材の移動軌跡内に位置し投入動作を不能にするロック部材を設け、ロック部材には検電装置及び検相装置により、両ケーブル間の各相の一致及び充電状態を検知した時のみ励磁されるソレノイドを連結し、ソレノイドの励磁動作によりロック部材のロック状態を解除することにより開閉部の投入動作を可能にする、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平5−86612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の「検電、検相機能付工事用開閉器」は、検相器が正常接続と判断したときのみ検相器からの信号を受けロック解除となり、入操作を可能とする点については有用であるが、次のような課題があった。
【0007】
すなわち、ロック部材のロック状態の解除は、ソレノイドの励磁により行われ、ロック解除状態の保持は、ソレノイドの励磁状態を維持することにより行われる。このため、ロック解除状態の保持のための電力が必要になり、省エネルギーの観点からは好ましい状況とはいえない。
【0008】
また、ロック部材によるロック機構は、開閉器の製造時に組み込まれる構造であって、既存の開閉器に後で組み込むことができるようにはなっていない。このため、このロック機構を有する開閉器を採用しようとすれば、開閉器の全体を入れ替えるしか方法がなく、この場合の費用負担が大きかった。
【0009】
さらに、検相機能については、高圧配電線の工事において工事用の開閉器を用いてバイパス線路を設ける際に、正常な接続がなされず、例えば同じ相に2線を誤って接続した場合、従来の検相器では異常接続とは判定できなかったため、工事者の判断で投入してしまうことによる事故が発生しやすかった。
【0010】
また、単相回路のバイパス線路を設ける場合、従来の検相器では単相回路が異常接続と判定されてインターロックされるため、工事者が「単相での工事なので開閉器を入操作して良い」と判断し、インターロックを強制解除して開閉器の入操作をしていた。しかしこの場合も、入操作に工事者の判断が介在するため、三相回路の場合に単相回路と判断を誤って誤投入するおそれがあった。
【0011】
(本発明の目的)
本発明の目的は、開閉器の誤投入を防止するインターロック装置において、ロック解除状態を機械的に保持する構造として、ロック解除状態の保持のための電力を不要とし、電力消費の低減を図った開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器を提供することである。
【0012】
また、前記目的に加えて、インターロック装置を既存の開閉器にも軽微な改造で取付可能な構造とし、インターロック装置のみの交換もできるようにすることを目的とする。
【0013】
さらに、前記目的に加えて、検相器の判定回路に、相間の位相状態を判定する回路を備えることにより、同じ相に誤って2線を接続した場合も異常接続と判定できるようにすることを目的とする。
【0014】
また、前記目的に加えて、検相器での判定を三相回路での工事と単相回路での工事を区別して行い、単相回路工事で接続が正常なときは、開閉器のインターロックを自動解除して開閉器の入操作ができるようにし、工事者による判断を介在させないことで、誤投入を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0016】
(1)本発明は、
開閉器用インターロック装置であって、
開閉器の各相の充電状態と位相状態を判定する検相器と、
検相器からの信号を受けて開閉器の操作ハンドルのロック及びロック解除を選択的に行うインターロック装置と、
を備え、
前記インターロック装置は、
操作ハンドルをロックするロックピンと、
ロックピンをロック状態からロック解除状態にするハンドルロック解除部と、
ハンドルロック解除部によるロック解除状態を保持する掛止機構部と、
ロックピンをロック解除状態からロック状態にするハンドルロック復帰部と、
操作ハンドルを入操作することで前記掛止機構部によるロック解除状態を解除する入操作時掛止解除部と、
を備えており、
前記ハンドルロック解除部によるロック解除後は、ハンドルロック解除部を駆動する電源を遮断し、前記掛止機構部でロック解除状態を機械的に保持する、
開閉器用インターロック装置である。
【0017】
(2)本発明は、
インターロック装置が、開閉器に取り付け及び取り外しが自在なケースに収められたユニット構造である、
前記(1)の開閉器用インターロック装置である。
【0018】
(3)本発明は、
入操作時掛止解除部により、掛止機構部の掛止状態を解除したときに、ロックピンを操作ハンドルの回動操作ができる状態で非ロック位置に止めて、電源投入後の操作ハンドルの切操作ができるようにするロック制御部材を備えている、
前記(1)の開閉器用インターロック装置である。
【0019】
(4)本発明は、
検相器が、異なる相間の位相状態を判定する手段を備えており、三相又は単相回路工事で相間の位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)又は(3)の開閉器用インターロック装置である。
【0020】
(5)本発明は、
検相器が、単相回路を選択する手段を備えており、単相回路工事で位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)、(3)又は(4)の開閉器用インターロック装置である。
【0021】
(6)本発明は、
検相器が、開閉器の全端子の充電状態を検出する手段を備えており、開閉器の全端子が無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の開閉器用インターロック装置である。
【0022】
(7)本発明は、
検相器が、開閉器の三相又は単相回路での充電状態と位相状態を検出する手段を備えており、開閉器の片側の充電状態と位相状態が正常であり、他方側がすべて無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)の開閉器用インターロック装置である。
【0023】
(8)本発明は、
開閉器に、前記(1)乃至(7)の何れか一つの開閉器用インターロック装置を備えている、
工事用開閉器である。
【0024】
(作用)
本発明に係る開閉器用インターロック装置及びそれを備えた工事用開閉器の作用を説明する。
【0025】
本発明は、開閉器の誤投入を防止するインターロック装置において、ロック解除状態を機械的に保持する構造であるので、従来のようなロック解除状態の保持のための電力が不要となり、電力消費を低減することができる。
【0026】
また、インターロック装置が、開閉器に取り付け及び取り外しが自在なケースに収められたユニット構造であるものは、インターロック装置を開閉器に軽微な改造を施すだけで既存の開閉器に取り付けることができる。また、その後、インターロック装置のみの交換も可能であり、メンテナンスもしやすい。
【0027】
入操作時掛止解除部により、掛止機構部によるロック解除状態を解除したときに、ロックピンを操作ハンドルの回動操作ができる状態で非ロック位置に止めるロック制御部材を備えているものは、電源投入後の操作ハンドルの切操作がそのままできる。
【0028】
本発明は、開閉器用インターロック装置を構成する検相器の判定回路に、相間の位相状態を判定する手段を備えているので、同じ相に誤って2線を接続した場合も異常接続と判定し、インターロックは解除されない。これにより、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【0029】
検相器が単相回路を選択する手段を備えているものは、三相回路での工事と単相回路での工事を区別することで、単相回路工事で接続が正常なときにのみ開閉器のインターロックを自動解除して開閉器の入操作ができるようにするので、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【0030】
検相器が開閉器の全端子の充電状態を検出する手段を備えているものは、開閉器の全端子が無電圧であるときにロック解除を行うので、例えば高圧配電線の工事用開閉器を用いたバイパス工事終了後にケーブルに充電している電荷を一括して接地放電する際、仮にケーブルを高圧配電線から外すことを忘れて接続したままの場合、インターロックは解除されない。これにより、地絡事故や短絡事故を防ぐことができる。
【0031】
検相器が、開閉器の三相又は単相回路での充電状態と位相状態を検出する手段を備えているものは、開閉器の片側の充電状態と位相状態が正常であり、他方側の状態がすべて無電圧であるときにロック解除の制御を行うので、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくしており、工事者の判断誤りでの不完全なバイパス線路での工事を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0032】
(a)本発明は、開閉器の誤投入を防止するインターロック装置において、ロック解除状態を機械的に保持する構造であるので、従来のようなロック解除状態の保持のための電力が不要となり、電力消費を低減することができる。
【0033】
(b)インターロック装置が、開閉器に取り付け及び取り外しが自在なケースに収められたユニット構造であるものは、インターロック装置を開閉器に軽微な改造を施すだけで既存の開閉器に取り付けることができる。また、その後、インターロック装置のみの交換も可能であり、メンテナンスもしやすい。
【0034】
(c)開閉器用インターロック装置を構成する検相器の判定回路に、相間の位相状態を判定する回路を備えているので、同じ相に誤って2線を接続した場合も異常接続と判定し、インターロックは解除されない。これにより、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【0035】
(d)検相器が単相回路を選択する手段を備えているものは、三相回路での工事と単相回路での工事を区別することで、単相回路工事で接続が正常なときにのみ開閉器のインターロックを自動解除して開閉器の入操作ができるようにするので、前記場合において工事者による判断を介在させないことで、工事者が誤って開閉器の入操作をすることによる事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る開閉器用インターロック装置を構成するインターロックユニットの内部構造を、裏蓋を一部切欠して示す背面側から視た斜視図。
【図2】インターロックユニットの構造を示す背面図。
【図3】インターロックユニットの構造を示す下面図。
【図4】ハンドルロック解除部のハンドルロック状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図5】ハンドルロック解除部のハンドルロック解除状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図6】ハンドルロック復帰部のハンドルロック解除状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図7】ハンドルロック復帰部のハンドルロック復帰状態を示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面視説明図。
【図8】ハンドル入操作時ラッチ解除部のハンドルロック解除状態を示し、(a)は背面側下方からの斜視説明図、(b)は(a)における矢印a2方向からみた説明図。
【図9】ハンドル入操作時ラッチ解除部のハンドルロック停止状態を示し、(a)は背面側下方からの斜視説明図、(b)は(a)における矢印a3方向からみた説明図。
【図10】本発明に係る開閉器用インターロック装置を取り付けた工事用開閉器の斜視図。
【図11】操作ハンドルの操作に伴うインターロック装置の作用を示し、(a)は開放状態、(b)はハンドルロックが解除された状態、(c)は操作ハンドルの入操作によりラッチ状態が解除されロックピンがロック制御部材に当たって停止している状態、(d)は操作ハンドルの切操作によりロックピンがロック制御部材から外れてロック位置に移動し操作ハンドルをロックしている状態を示す説明図。
【図12】本発明に係る開閉器用インターロック装置を構成する検相器の判定回路を示すブロック図。
【図13】検相器の位相判定処理の流れを示すフロー図。
【図14】バイパス線路が三相である場合に工事用開閉器の2線を同相(S相)に誤って接続した状態を示す説明図。
【図15】図14に示す接続状態を判定した場合の検相器の表示を示す説明図。
【図16】図14に示す接続状態を判定した場合の従来の検相器の表示例を示す説明図。
【図17】検相器の単相回路処理の流れを示すフロー図。
【図18】バイパス線路が単相回路である場合の工事用開閉器の接続状態を示す説明図。
【図19】検相器の無電圧ロック解除処理の流れを示すフロー図。
【図20】工事後にバイパス線路のケーブルの接続を解除し充電電荷の接地放電を行う場合の説明図。
【図21】片側充電ロック解除処理の流れを示すフロー図。
【図22】バイパス線路が三相である場合に二台の工事用開閉器を直列に接続して使用する場合の接続状態を示す説明図。
【図23】検相器の操作スイッチを含む外観を示す説明図。
【図24】従来の一般的な検相器の判定回路を示すブロック図。
【図25】工事用開閉器を三相回路で正常にバイパス接続した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1乃至図11を参照する。
工事用開閉器Sは、図10に示すように、開閉器9と開閉器用インターロック装置Aで構成されている。開閉器用インターロック装置Aは、検相器7(図23、図12も併せて参照)とインターロックユニットUからなる。
検相器7については、図12乃至図25参照して後で詳細に説明する。
【0038】
開閉器用インターロック装置Aを構成するインターロックユニットUは、ケース1、ロックピン2、ハンドルロック解除部3、ラッチアーム4(後述するロックアーム33と共に掛止機構部を構成)、ハンドルロック復帰部5及びハンドル入操作時ラッチ解除部6(ハンドル入操作時掛止解除部を構成)で構成されている(図1乃至図3参照)。
【0039】
インターロックユニットUは、それ自体が独立したユニット構造であり、開閉器9の操作ハンドル91に、後述するようにロック制御部材93や押し具94を取り付ける軽微な改造を施して操作ハンドル91との位置関係等を整合させることで、開閉器用インターロック装置を備えていない既存の開閉器9に後付けして、インターロック装置付き工事用開閉器Sを構成することができる。なお、インターロックユニットUをユニット構造とせず、開閉器9に製造段階で組み込んで工事用開閉器を形成することもできる。
【0040】
(ケース1)
ケース1は、各構成板10、11、12、13、14、15によって構成される直方体状の筐体である。ケース1は、正面側(以下、方向については図10のように開閉器9の筐体90に取り付けた状態を基準とし、正面側は図1で奥側)が構成板15で塞がれ、背面側が構成板(裏蓋)10で塞がれている。ケース1は、構成板10側が開閉器9への取り付け側となる。なお、ケース1の側部の各構成板11、12、13、14、15には、付帯部品が固定されているが、これら各部品については、後述する各部の構成の説明で詳述する。
【0041】
(ロックピン2)
開閉器9の操作ハンドル91を入操作できないようにロックするロックピン2は、ケース1の構成板11の一方側(図1乃至図3で左側)に取付基具20により取り付けられている。取付基具20は、金属板をほぼコ字形状に曲げて形成されており、各構成板(図3で上下側の構成板)20a、20bには、ロックピン2を通す円形の挿通孔21a、21bが形成されている。また、取付基具20の底部の構成板20cには、ガイド長孔22がロックピン2の進退方向に設けられている。
【0042】
取付基具20の各構成板20a、20b間には、両端側を挿通孔21、21aに貫通させて、丸棒形状のロックピン2がスライド自在に挿通されている。ロックピン2の長さ方向のほぼ中間部には、直径方向に貫通し両端がロックピン2の周面から突出した掛合ピン23が固定されている。掛合ピン23の一端23a側(図2で下側)はガイド長孔22にスライド自在に通されており、他端23b側(図2で上側)は構成板11に接触しないように取付基具20内に収めてある。なお、掛合ピン23の他端23b側には、後述するロック解除アーム30が掛合できるようにしてある。
【0043】
また、ロックピン2の掛合ピン23と取付基具20の板20bとの間には、ロックピン2に嵌め入れて圧縮コイルバネ24(図1乃至図7で図示。図8、図9では省略)が装着されており、これによりロックピン2は、ロック方向(図3で下方向)へ付勢されている。ロックピン2は、掛合ピン23がガイド長孔22の板20aに近い側の端部に当たることにより、取付基具20の板20aの挿通孔21aからの突出長が決まるようになっており、このロックピン2の突出したときの位置が開閉器の操作ハンドル91を止めることができるロック位置となる。
【0044】
(ハンドルロック解除部3)
図4、図5を主に参照する。図4、図5では便宜上、後述するハンドルロック復帰部5等の図示は省略している。なお、図4、図5(後述する図6、図7も同様)は、図1における矢印a1方向からみた説明図である。
ハンドルロック解除部3は、ロック解除アーム30を備えている。ロック解除アーム30は、ケース1の構成板11の一方側の取付基具20近傍に設けられた軸受具31により軸支された軸32の先端320(構成板11の外側に位置)に固定されている。ロック解除アーム30の先部には、前記ロックピン2の掛合ピン23の他端23b側にロックピン2のロック方向側から掛合する掛合凹部300が形成されている。
【0045】
軸32の基端322(構成板11の内側に位置)には、先部側が扇状に拡がった板状のロックアーム33の基端部が固定されている。ロックアーム33の先端部には、軸32を中心とする円弧状の案内面330が形成されており、案内面330の一端(図1、図2で左端、図4で右端)には、ラッチ凹部331が形成されている。また、ロックアーム33のラッチ凹部331と反対側には、軸32を中心とする半径方向に長孔332が形成されている。ロック解除アーム30とロックアーム33の軸32を中心として形成される角度は、所要の角度で固定されている(図4(b)参照)。
【0046】
ロック解除用ソレノイド34のロッド340先端には、連結板35が掛止ピン341により取り付けられている。連結板35は、掛合ピン350を有している。掛合ピン350は、ロックアーム33の長孔332に対し移動できるように掛合されている。ロックアーム33は、ケース1の構成板15に固定されているロック解除用ソレノイド34の励磁により駆動される。
【0047】
なお、ロックアーム33は、前記ロックピン2を付勢している圧縮コイルバネ24の付勢力で、軸32を介しロック解除アーム30と同じ方向(図2で奥回転方向、図4で右回転方向)へ付勢されている。そして、ロック解除用ソレノイド34が励磁されてロッド340が吸引され連結板35が後退することにより、ロックアーム33は、後述するラッチアーム4とラッチする方向(ロックピン2によるロック状態を解除する方向:図4で左回転方向)へ回動する。
【0048】
(ラッチアーム4)
ロックアーム33の近傍(図4では上側)には、ラッチアーム4が軸40(図1参照)を中心として回動自在に取り付けられている。軸40は、ケース1の構成板15に固定されている支持具41(図1、図2参照)に固定されている。ラッチアーム4は、軸40に回動自在に取り付けられているアーム板42を有し、アーム板42は、弦巻コイルバネ45によってロックアーム33方向に回動(図4で右回転方向)するよう付勢されている。
【0049】
アーム板42の先端寄りの連結板35側の面には、軸40と平行かつ突出した状態で固定されているラッチピン43を有している。また、アーム板42のラッチピン43より基部寄りには、ラッチピン43とは反対側の面にラッチ解除ピン44が軸40と平行かつ突出した状態で固定されている。ラッチピン43は、弦巻コイルバネ45の付勢力で前記ロックアーム33の案内面330とラッチ凹部331に当接する。ラッチ解除ピン44には、後述するようにハンドル入操作時ラッチ解除部6のラッチ解除アーム63がラッチ解除時に接触して押すようになっている(図8、図9参照)。
【0050】
(ハンドルロック復帰部5)
図6、図7を主に参照する。なお、図6、図7は前記したように図4、図5と同じ方向からみた説明図で、説明の便宜上、前記ハンドルロック解除部3等の図示は一部省略している。
ハンドルロック復帰部5は、ロック復帰アーム50を有している。ロック復帰アーム50は、軸51を中心として回動自在に取り付けられている。軸51は、ケース1の構成板15の上部側の構成板12寄りに固定されている支持具53(図2に図示)に固定されている。ロック復帰アーム50の近傍には、ロック復帰アーム50との角度を維持したままロック復帰アーム50と一体に回動するロッド取付アーム52が設けられている。
【0051】
ロック復帰アーム50は、構成板15に固定されているロック復帰用ソレノイド54の励磁により駆動される。前記ロッド取付アーム52の先部は、ロック復帰用ソレノイド54のロッド540に掛止ピン541により回動自在に取り付けられている。支持具53と掛止ピン541の間には弦巻コイルバネ542が掛けられており、ロッド540は常時突出する方向(図6、図7で右方向)へ付勢されている。
【0052】
これにより、ロック復帰用ソレノイド54が励磁されていないときは、ロック復帰アーム50の先部はラッチピン43と離れた位置にあり、ロック復帰用ソレノイド54が励磁されてロッド540が吸引されると、ラッチピン43に当たり、ラッチピン43を押してラッチアーム4によるラッチ状態を解除し、ロックピン2はロック位置に復帰する。
【0053】
(ハンドル入操作時ラッチ解除部6)
図8、図9を主に参照する。
ハンドル入操作時ラッチ解除部6は、開閉器9の操作ハンドル91を入操作したときにラッチアーム4とロックアーム33によるラッチ状態を解除してロックピン2をロック位置方向(突出方向)へ移動させるものである。なお、このとき、ロックピン2は、後述するように、操作ハンドル91に設けられているロック制御部材93によって突出が妨げられ、この状態(ロック解除状態)は次に操作ハンドル91の切操作が行われるまで保持される。
【0054】
ハンドル入操作時ラッチ解除部6は、ハンドル受アーム60を備えている。ハンドル受アーム60は、ケース1の構成板11の軸受具31に隣接して設けられた軸受具61(図1乃至図3に図示)により軸支された軸62の先端(構成板11の外側に位置)に固定されている。軸62の基端には、ラッチ解除アーム63が固定されている。ハンドル受アーム60とラッチ解除アーム63の軸62を中心として形成する角度は、所要の角度で固定されている(図8(b)参照)。ハンドル受アーム60は操作ハンドル91を入操作したときにロック制御部材93に設けた押し具94と掛合してラッチ解除アーム63を作動させる。
【0055】
なお、ラッチ解除アーム63と構成板11の間には、弦巻コイルバネ64が介装され(図1、図2参照)、これにより、ラッチ解除アーム63は、先部630がラッチ解除ピン44から離れる方向(図8で左回転方向)に付勢されている。したがって、常態においては、ラッチ解除アーム63の先部630はラッチ解除ピン44から離れた位置にある。
そして、後述するように操作ハンドル91が入操作されることによってハンドル受アーム60に押し具94が掛合しハンドル受アーム60が押されて回動すると、ラッチ解除アーム63が回動してラッチ解除ピン44と掛合し、ラッチ解除ピン44を押してラッチアーム4によるラッチ状態を解除する。これにより、ロックピン2はロック位置方向へ移動する。
【0056】
また、ケース1内部には、検相器7からの信号を入力するためのケーブル16が構成板11の他方側(図1乃至図3で右側)を貫通して導入されている。検相器7からの信号は、前記ロック解除用ソレノイド34及びロック復帰用ソレノイド54の制御回路(図示省略)に送られて、ロッド340、540の吸引及び吸引解除が制御される。
【0057】
前記したように、開閉器用インターロック装置Aは、工事用の開閉器9に組み込んで使用するものであるので、ここで開閉器用インターロック装置Aを備えた工事用開閉器Sの構造の概略を説明する。
図10、図11及び図8、図9を参照する。
【0058】
開閉器9の筐体90の正面には、電源の投入・開放操作(入・切操作)を行う操作ハンドル91が設けられている。筐体90正面の操作ハンドル91の中心軸(図示省略)の近傍(上方)には、前記開閉器用インターロック装置Aを構成するインターロックユニットUが固定されている。また、検相器7は、筐体90の底部に内蔵されている。
なお、筐体90の正面側上部に表示されている「入」、「切」の文字は、その下方に設けられており操作ハンドル91の入切状態を示す指針96の向きに対応するものである。
【0059】
インターロックユニットUは、ケース1の構成板10側を筐体90正面へ向け、固定金具やボルト等の固定具(符号省略)により固定されており、取り外しも可能である。
なお、ロックピン2は、図10においてケース1の右下に位置し、操作ハンドル91側へ突出して操作ハンドル91を切位置でロック状態を維持して検相器7からの入信号を受けるまで入操作できないようにロックすることができる。
【0060】
操作ハンドル91の中心軸近傍には、板状のロック制御部材93が操作ハンドル91と一体となるよう平行に重なった状態で取り付けられている。
ロック制御部材93には、外側の縁部が中心軸を中心とする円弧状であるロックピン止部930が形成されている。ロックピン止部930は、操作ハンドル91の入位置から切位置手前までの可動範囲において、前記ロックピン2が当接することができる範囲で設けられている(図8(a)、図9(a)参照)。
【0061】
ロック制御部材93の背面側(開閉器9側:図8(a)、図9(a)では手前側)の一端部には、前記ハンドル受アーム60に掛合してハンドル受アーム60を押して回動させる押し具94が固定されている。押し具94は、操作ハンドル91の切位置では、ハンドル受アーム60と離れた位置にある(図8参照)。そして、前記したように操作ハンドル91が入操作されることによって、図9に示すようにハンドル受アーム60に押し具94が掛合しハンドル受アーム60は押し具94で押されて回動する。
【0062】
ハンドル受アーム60が押されると同時にラッチ解除アーム63が回動して先部630がラッチ解除ピン44と掛合し、ラッチ解除ピン44を押してラッチアーム4によるラッチ状態を解除し、ロックピン2はロック位置方向へ移動する。このとき、ロックピン2の先端は、ロックピン止部930に当たって止められ、ロック位置まで移動することができない。これにより、次に操作ハンドル91の切操作が行われるまでロック解除状態が保持される。
【0063】
(作用)
図1乃至図11を参照して、開閉器用インターロック装置Aを備えた工事用開閉器Sの作用を説明する。
【0064】
(A)操作ハンドル切位置(図10、図11(a)参照)
操作ハンドル91が切位置にある状態では、開閉器9の電源は開放されており、ロックピン2はロック位置にあり(図4参照)、操作ハンドル91を入操作することはできない。また、このロックピン2の状態は、目視で容易に確認できる。
【0065】
検相器7からハンドルロック解除の信号が送られると、ロック解除用ソレノイド34が励磁(1ショット励磁:瞬間的に励磁→励磁解除が行われる)され、ロッド340が吸引されて連結板35が後退することにより、図5に示すようにロックアーム33はロック解除用ソレノイド34側に回動する。ロックアーム33が回動端まで回ると、ラッチアーム4のラッチピン43がロックアーム33のラッチ凹部331と掛合し、ラッチ状態となる。ラッチ状態となった後は、前記のようにロック解除用ソレノイド34の励磁が直ちに解除され、ロックアーム33のラッチ凹部331との掛合によりロック解除状態は機械的に保持される。
【0066】
ロックアーム33が回動するのと同時にロック解除アーム30がロックピン2を後退させる方向へ回動する。ロックピン2は、ロック解除アーム30によって圧縮コイルバネ24の付勢力に抗して押し戻されて後退し、前記ラッチピン43とラッチ凹部331の掛合によってロック解除位置に停止する(図5参照)。これにより、操作ハンドル91の入操作が可能なスタンバイ状態になる。なお、このスタンバイ状態は、施工現場において1時間程度継続する場合もある。
【0067】
(B)操作ハンドルが切位置にあるときのハンドルロック復帰
前記スタンバイ状態において、検相器7が例えばケーブルが外れる等の異常を検出した場合は、ロックピン2がロック状態に戻る。すなわち、検相器7からロック施錠の信号が送られ、ロック復帰用ソレノイド54が励磁(1ショット励磁)され、ロッド540が吸引される。これにより、ロック復帰アーム50が回動し、ラッチアーム4のラッチピン43を押してラッチ状態を解除し、その後、ロック復帰用ソレノイド54の励磁が直ちに解除され、ロック復帰アーム50はラッチピン43から離れる。ロックピン2は、圧縮コイルバネ24の付勢力でロック位置方向へ移動してロック位置に復帰し(図7参照)、作業者は操作ハンドル91の入操作ができなくなる。
【0068】
(C)操作ハンドル切位置(ハンドルロック解除:図11(b)参照)からの入操作
前記スタンバイ状態において、検相器7が異常を検出しない場合、必要なときに作業者が操作ハンドル91を入方向へ回し、操作ハンドル91が入位置にくると、開閉器9が投入される。
また、操作ハンドル91が入位置にくると、ロック制御部材93の押し具94がインターロックユニットUのハンドル受アーム60に当たり、ハンドル受アーム60は押し具94で押されて回動する(図8、図9参照)。
【0069】
ハンドル受アーム60が回動すると同時に、ラッチ解除アーム63が回動してラッチアーム4のラッチ解除ピン44を押してラッチ状態を解除し、ロックピン2は、圧縮コイルバネ24の付勢力でロック位置方向へ移動する。
【0070】
このとき、ロック制御部材93のロックピン止部930が、操作ハンドル91の回動によってロックピン2と対応する位置に移動しており、ロックピン2の先端は、ロックピン止部930に当たって止められ、ロック位置まで移動することができず、非ロック位置に止まる(図9(b)参照)。なお、ロック解除用ソレノイド34は励磁されない状態のままである。
【0071】
これにより、操作ハンドル91は入位置から切操作が可能であり、次に操作ハンドル91の切操作が行われて切状態となるまで、このロック解除状態(ロックピン2が前記非ロック位置にある状態)が保持される(入操作完了状態:図11(c)参照)。
【0072】
(D)操作ハンドル入位置からの切操作
【0073】
作業者が操作ハンドル91の切操作を行うと、ロック制御部材93のロックピン止部930は、圧縮コイルバネ24の付勢力で押し付けられているロックピン2の先端と当接したままで回動する。
【0074】
そして、操作ハンドル91が切位置までくると、ロックピン2の先端がロックピン止部930から外れ、圧縮コイルバネ24の付勢力でロック位置まで移動し突出して停止する(切操作完了状態:図11(d)参照)。このように、切操作完了後は常にロック状態となる。
【0075】
このように、開閉器用インターロック装置Aは、開閉器9の入操作(投入操作)のときだけは、ロック解除しないと操作ができないようになっており、入操作位置から切操作(開放操作)を行うときは、ロック解除を行う必要をなくし、そのまま自由に操作できるようにしている。
【0076】
(検相器7)
図12乃至図25を参照し、検相器7について説明する。
前記インターロックユニットUは、検相器7によって操作ハンドル91のロック及びロック解除の制御が行われる。
検相器7は、バイパス線路(81、84)、(82、85)、(83、86)における工事用開閉器Sの接続状態を検出し、操作ハンドル91のロック中にロック解除と判定されればインターロックユニットUのロック解除用ソレノイド34の制御回路にロック解除を指示する信号を送り、ロック施錠と判定されれば同信号を送らない。
また、ロックピン2がロック解除中にロック施錠と判定されればロック復帰用ソレノイド54の制御回路にロック施錠を指示する信号を送る。
【0077】
図23を参照し、検相器7の操作スイッチを含む外観を説明する。
判定回路(図12参照)を内蔵するケース70の正面部には、操作スイッチ77と検出表示部78が設けられている。
操作スイッチ77には、図23で時計回り方向へ順に、「片側充電ロック解除」、「無電圧ロック解除」、「切」、「三相検相テスト」、「三相検相」、「単相検相テスト」、「単相検相」の各ポジションが設定されている。また、検出表示部78には、検相による判定結果がR、S、Tの各相ごとにランプ点灯によって表示されるようになっている。
【0078】
なお、バイパス工事の工事内容に対する操作スイッチ77のポジションの設定は次の通りである。
まず、「三相検相」のポジションは、三相バイパス工事で工事用開閉器Sを投入(操作ハンドル91を入操作)できるかどうかをみるとき(後述する〔0094〕〜〔0096〕参照)に設定される。このポジションでは、三相が正常であるときに「ロック解除」と判定される。
【0079】
「単相検相」のポジションは、単相バイパス工事で工事用開閉器Sを投入できるかどうかをみるとき(後述する〔0101〕参照)に設定される。このポジションでは、二相が正常であるときに「ロック解除」と判定される。
【0080】
「無電圧ロック解除」のポジションは、バイパス工事終了後にケーブルの接地放電のために工事用開閉器Sの操作ハンドル91を入操作できるかどうかをみるとき(後述する〔0105〕〜〔0106〕参照)に設定される。このポジションでは、全六端子が無電圧のときに「ロック解除」と判定される。
また、このポジションは、装置点検のため操作ハンドル91を入操作するときにも設定される。この場合も同様に、全六端子が無電圧のときに「ロック解除」と判定される。
【0081】
「片側充電ロック解除」のポジションは、工事用開閉器Sを複数直列接続して使用する場合に工事用開閉器S1、S2の電源を投入できるかどうかをみるとき(後述する〔0112〕〜〔0113〕参照)に設定される。このポジションでは、開閉器の片側が正常で他方側が無電圧のときに「ロック解除」と判定される。
【0082】
従来の検相器では、操作スイッチが、検相を行うスイッチと三相回路か単相回路かを選択するスイッチが別にあり、工事内容に応じて工事作業者が組み合わせて設定していた。このため、設定の組み合わせを誤って検相器を使用し、不完全なバイパス線路での工事をしてしまうことがあった。本実施の形態では、図23に示すように操作スイッチを一つにしたことで、前記工事内容別の操作位置に設定するだけで検相器を正しく使用できるようになり、工事者の判断誤りによる不完全なバイパス線路での作業事故を防ぐことができる。
【0083】
図12を参照し、検相器7の判定回路を説明する。
開閉器用インターロック装置Aを構成する検相器7は、工事区間の線路と並列に設けられたバイパス線路(81、84)、(82、85)、(83、86)中に接続された開閉器9に接続されている。開閉器9の高圧開閉器部99を挟む線路間には、R相、S相、T相のバイパス線路の各相毎に信号線71、72、73が接続されている。
【0084】
信号線71、72、73において、各相に対する両接続部寄り(図12で左側と右側)には、充電されているかどうかの判定をする充電判定部74(左側)、74a(右側)がそれぞれ設けられている。信号線71、72、73ごとの両充電判定部74、74a間には、両接続部の位相状態が正常かどうかの判定をする位相判定部75が設けられている。
【0085】
また、信号線71、72、73において、位相判定部75と充電判定部74、74aの間には、異なる相間の位相状態が正常かどうかの判定をする相間位相判定部76(左側)、76a(右側)が設けられている。
本実施の形態の検相器7の判定回路は、図24に示す従来の一般的な判定回路に相間位相判定部76、76aを追加した構成となっている。
【0086】
次に、図13を参照して前記判定回路による位相判定処理の流れを説明する。
まず、(ステップ100)でR相の左側と右側の位相状態が正常かどうかをみて、NOであれば(ステップ107)で前記検出表示部78においてR相異常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
【0087】
(ステップ100)でYESであれば(ステップ101)でR相とS相の相間位相状態が正常かどうかをみて、NOであれば(ステップ107)で検出表示部78においてR相異常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
【0088】
(ステップ101)でYESであれば(ステップ102)でR相とT相の相間位相状態が正常かどうかをみて、NOであれば(ステップ107)で検出表示部78においてR相異常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
(ステップ102)でYESであれば(ステップ103)で検出表示部78においてR相正常表示を行い、次の(ステップ104)のS相の処理に移行する。
【0089】
(ステップ104)では、S相について、前記(ステップ100)〜(ステップ103)及び(ステップ107)のR相の処理と同様に処理される。
また、(ステップ104)が終了したら、(ステップ105)のT相の処理に移行する。
(ステップ105)では、T相について、前記(ステップ100)〜(ステップ103)及び(ステップ107)のR相の処理と同様に処理される。
【0090】
T相について判定が終了し、(ステップ106)で三相とも正常かどうかをみて、各相の何れか一つ又は複数で(ステップ107)の処理を通りNOであれば「ロック施錠」の判定をし、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0091】
バイパス線路が三相回路である場合の検相を工事内容の具体例をあげて説明する。
まず、三相回路の検相を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「三相検相」に設定する。
そして、図25に示すように、バイパス線路が三相回路で工事用開閉器Sが正常に接続されている場合は、前記判定回路による位相判定処理によって「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作することができる。
【0092】
しかし、図14に示すように、同じくバイパス線路が三相である場合に工事用開閉器Sの2線を同相(S相)に誤って接続した場合、(ステップ104)においてS相とT相の相間位相状態が正常かどうかでNOとなり、さらに(ステップ105)でもT相とS相の相間位相状態が正常かどうかでNOとなり、これにより(ステップ106)で「ロック施錠」の判定をする。
【0093】
なお、工事用開閉器の2線を同相(S相)に誤って接続した場合の検出結果は、図24に示した従来の一般的な判定回路においては、各相の相間位相状態が正常かどうかをみないために、図16に示すように各相が正常と表示されていた。
これに対し、本実施の形態の判定回路で検出した場合は、検出表示部78に図15に示すように表示される。すなわち、R相のみが正常と表示され、S相とT相は異常と表示されるので、S相とT相について接続異常があることが分かる。
【0094】
このように、高圧配電線の工事において、工事用開閉器を用いてバイパス線路を設ける際に正常な接続がなされず、前記のように同じ相に2線を誤って接続した場合、従来の検相器では異常接続と判定できなかったが、本実施の形態では各相の相間位相状態を判定する回路によって接続異常と判定できるようになり、不完全なバイパス線路による作業事故を防ぐことができる。
【0095】
図17を参照して前記判定回路による単相回路処理の流れを説明する。
まず、(ステップ200)で操作スイッチ77のポジションが「単相検相」かどうかをみて、NOであれば(ステップ204)で前記位相判定処理(ステップ100〜107)を行い、三相とも正常であるかどうかをみて、NOであれば「ロック施錠」の判定をし、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0096】
(ステップ200)でYESであれば(ステップ201)でR相とS相が共に正常かどうかをみて、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
また、(ステップ201)でNOであれば(ステップ202)でS相とT相が共に正常かどうかをみて、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0097】
(ステップ202)でNOであれば(ステップ203)でT相とR相が共に正常かどうかをみて、YESであれば「ロック解除」の判定をする。
(ステップ203)でNOであれば、「ロック施錠」の判定をする。
【0098】
図18を参照してバイパス線路が単相回路である場合の検相を工事内容の具体例をあげて説明する。
まず、単相回路の検相を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「単相検相」に設定する。
そして、図18に示した場合では、工事用開閉器Sが正常に接続されているので、前記判定回路による単相回路処理によって「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作することができる。
【0099】
このように、高圧配電線の工事において工事用開閉器Sを用いて単相回路のバイパス線路を設ける際に、単相回路処理により三相回路での工事と単相回路での工事を区別して検相を行うことで、単相回路で接続が正常なときにインターロックを自動解除して、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくし、工事者の判断誤りでの不完全なバイパス線路による作業事故を防ぐことができる。
【0100】
図19を参照して前記判定回路による無電圧ロック解除処理の流れを説明する。
まず、(ステップ300)で三相の左側の端子が全て無電圧かどうかをみて、NOであれば「ロック施錠」の判定をする。
【0101】
(ステップ300)でYESであれば(ステップ301)で三相の右側の端子が全て無電圧かどうかをみて、NOであれば「ロック施錠」の判定をする。
そして、(ステップ301)でYESであれば「ロック解除」の判定をする。
【0102】
図20を参照してバイパス工事が終了し工事用開閉器Sのケーブルに充電している電荷を一括して接地放電する場合を説明する。
まず、無電圧ロック解除処理を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「無電圧ロック解除」に設定する。
【0103】
そして、図20に示した場合では、三相の両側の全六端子が高圧配電線から外されており、無電圧となっているので、「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作して接地放電をすることができる。
【0104】
このように、高圧配電線の工事用開閉器を用いたバイパス工事終了後にケーブルに充電している電荷を一括して接地放電する際、仮にケーブルを高圧配電線から外すことを忘れて接続したままで開閉器を入操作すると地絡事故や短絡事故になるが、本実施の形態では前記のように全六端子が充電されていないときにインターロックを自動解除することで、地絡事故や短絡事故を防ぐことができる。
また、工事用開閉器の装置点検において開閉器を入状態にするときにも同様にインターロックを自動解除することで、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくしており、工事者の判断誤りによる作業事故を防ぐことができる。
【0105】
図21を参照して前記判定回路による片側充電ロック解除処理の流れを説明する。
まず、(ステップ400)で工事用開閉器Sの左側の三相が全て正常かどうかをみて、YESであれば(ステップ401)で右側の三相が全て無電圧かどうかをみる。
(ステップ401)でYESであれば、工事用開閉器Sの「ロック解除」の判定をする。また、(ステップ401)でNOであれば、工事用開閉器Sの「ロック施錠」の判定をする。
【0106】
(ステップ400)でNOであれば、(ステップ402)で工事用開閉器Sの左側の二相(単相回路)が正常かどうかをみて、YESであれば(ステップ401)へ移行する。また、(ステップ402)でNOであれば、(ステップ403)で工事用開閉器Sの右側の三相が全て正常かどうかをみる。
【0107】
(ステップ403)でYESであれば(ステップ404)で三相の左側の端子が全て無電圧かどうかをみて、YESであれば工事用開閉器Sの「ロック解除」の判定をする。また、(ステップ404)でNOであれば、工事用開閉器Sの「ロック施錠」の判定をする。
【0108】
(ステップ403)でNOであれば、(ステップ405)で工事用開閉器Sの右側の二相(単相回路)が正常かどうかをみて、YESであれば(ステップ404)に移行する。また、(ステップ405)でNOであれば、工事用開閉器Sの「ロック施錠」の判定をする。
【0109】
図22を参照して、バイパス線路が三相である場合に二台の工事用開閉器S1、S2を直列に接続して使用する場合の検相を工事内容の具体例をあげて説明する。
まず、先に操作する工事用開閉器S1の片側充電ロック解除処理を行うために、前記操作スイッチ77のポジションを「片側充電ロック解除」に設定する。
【0110】
図22に示す場合では、両工事用開閉器S1、S2が正常に接続されているので、前記判定回路の片側充電ロック解除処理により、工事用開閉器S1の片側が三相及び単相で正常な充電状態のときは「ロック解除」と判定され、自動的にロックが解除された後、操作ハンドル91を入操作することができる。
【0111】
このように、高圧配電線の工事において、工事用開閉器を複数台直列に用いてバイパス線路を設ける際には、片側のみ充電されている状態で開閉器を入操作するが、従来の検相器では、異常接続と判断しインターロック施錠しているものを工事者が「開閉器を入操作してよい」と判断し、インターロックを強制解除して開閉器の入操作をしていた。
本実施の形態では、前記片側充電ロック解除処理により、片側が三相又は単相回路で正常な充電状態のときはインターロックを自動解除し、工事者の判断によるインターロックの強制解除をなくしており、工事者の判断誤りによる不完全なバイパス線路での作業事故を防ぐことができる。
【0112】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0113】
S 工事用開閉器
A 開閉器用インターロック装置
U インターロックユニット
1 ケース
10、11、12、13、14、15 構成板
16 ケーブル
2 ロックピン
20 取付基具
20a、20b、20c 構成板
21a、21b 挿通孔
22 ガイド長孔
23 掛合ピン
23a 一端
23b 他端
24 圧縮コイルバネ
3 ハンドルロック解除部
30 ロック解除アーム
300 掛合凹部
31 軸受具
32 軸
320 先端
322 基端
33 ロックアーム
330 案内面
331 ラッチ凹部
332 長孔
34 ロック解除用ソレノイド
340 ロッド
341 掛止ピン
35 連結板
350 掛合ピン
4 ラッチアーム
40 軸
41 支持具
42 アーム板
43 ラッチピン
44 ラッチ解除ピン
45 弦巻コイルバネ
5 ハンドルロック復帰部
50 ロック復帰アーム
51 軸
52 ロッド取付アーム
53 支持具
54 ロック復帰用ソレノイド
540 ロッド
541 掛止ピン
542 弦巻コイルバネ
6 ハンドル入操作時ラッチ解除部
60 ハンドル受アーム
61 軸受具
62 軸
63 ラッチ解除アーム
630 先部
64 弦巻コイルバネ
7 検相器
70 ケース
71〜73 信号線
74、74a 充電判定部
75 位相判定部
76、76a 相間位相判定部
77 操作スイッチ
78 検出表示部
81〜86 バイパス線路
9 開閉器
90 筐体
91 操作ハンドル
93 ロック制御部材
930 ロックピン止部
94 押し具
99 高圧開閉器部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器用インターロック装置であって、
開閉器の各相の充電状態と位相状態を判定する検相器(7)と、
検相器(7)からの信号を受けて開閉器の操作ハンドル(91)のロック及びロック解除を選択的に行うインターロック装置(U)と、
を備え、
前記インターロック装置(U)は、
操作ハンドル(91)をロックするロックピン(2)と、
ロックピン(2)をロック状態からロック解除状態にするハンドルロック解除部(3)と、
ハンドルロック解除部(3)によるロック解除状態を保持する掛止機構部(4,33)と、
ロックピン(2)をロック解除状態からロック状態にするハンドルロック復帰部(5)と、
操作ハンドル(91)を入操作することで前記掛止機構部(4,33)によるロック解除状態を解除する入操作時掛止解除部(6)と、
を備えており、
前記ハンドルロック解除部(3)によるロック解除後は、ハンドルロック解除部(3)を駆動する電源を遮断し、前記掛止機構部(4,33)でロック解除状態を機械的に保持する、
開閉器用インターロック装置。
【請求項2】
インターロック装置(U)が、開閉器(9)に取り付け及び取り外しが自在なケース(1)に収められたユニット構造である、
請求項1記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項3】
入操作時掛止解除部(6)により、掛止機構部(4,33)の掛止状態を解除したときに、ロックピン(2)を操作ハンドル(91)の回動操作ができる状態で非ロック位置に止めて、電源投入後の操作ハンドル(91)の切操作ができるようにするロック制御部材(93)を備えている、
請求項1記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項4】
検相器(7)が、異なる相間の位相状態を判定する手段(76,76a)を備えており、三相又は単相回路工事で相間の位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2又は3記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項5】
検相器(7)が、単相回路を選択する手段(77)を備えており、単相回路工事で位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2、3又は4記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項6】
検相器(7)が、開閉器(9)の全端子の充電状態を検出する手段(74,74a)を備えており、開閉器(9)の全端子が無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2、3、4又は5記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項7】
検相器(7)が、開閉器(9)の三相又は単相回路での充電状態と位相状態を検出する手段(74,74a),(76,76a)を備えており、開閉器(9)の片側の充電状態と位相状態が正常であり、他方側がすべて無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2、3、4、5又は6記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項8】
開閉器(9)と、
請求項1乃至7記載の何れか一つの開閉器用インターロック装置(U)と、
を備えている、
工事用開閉器。
【請求項1】
開閉器用インターロック装置であって、
開閉器の各相の充電状態と位相状態を判定する検相器(7)と、
検相器(7)からの信号を受けて開閉器の操作ハンドル(91)のロック及びロック解除を選択的に行うインターロック装置(U)と、
を備え、
前記インターロック装置(U)は、
操作ハンドル(91)をロックするロックピン(2)と、
ロックピン(2)をロック状態からロック解除状態にするハンドルロック解除部(3)と、
ハンドルロック解除部(3)によるロック解除状態を保持する掛止機構部(4,33)と、
ロックピン(2)をロック解除状態からロック状態にするハンドルロック復帰部(5)と、
操作ハンドル(91)を入操作することで前記掛止機構部(4,33)によるロック解除状態を解除する入操作時掛止解除部(6)と、
を備えており、
前記ハンドルロック解除部(3)によるロック解除後は、ハンドルロック解除部(3)を駆動する電源を遮断し、前記掛止機構部(4,33)でロック解除状態を機械的に保持する、
開閉器用インターロック装置。
【請求項2】
インターロック装置(U)が、開閉器(9)に取り付け及び取り外しが自在なケース(1)に収められたユニット構造である、
請求項1記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項3】
入操作時掛止解除部(6)により、掛止機構部(4,33)の掛止状態を解除したときに、ロックピン(2)を操作ハンドル(91)の回動操作ができる状態で非ロック位置に止めて、電源投入後の操作ハンドル(91)の切操作ができるようにするロック制御部材(93)を備えている、
請求項1記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項4】
検相器(7)が、異なる相間の位相状態を判定する手段(76,76a)を備えており、三相又は単相回路工事で相間の位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2又は3記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項5】
検相器(7)が、単相回路を選択する手段(77)を備えており、単相回路工事で位相状態が正常であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2、3又は4記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項6】
検相器(7)が、開閉器(9)の全端子の充電状態を検出する手段(74,74a)を備えており、開閉器(9)の全端子が無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2、3、4又は5記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項7】
検相器(7)が、開閉器(9)の三相又は単相回路での充電状態と位相状態を検出する手段(74,74a),(76,76a)を備えており、開閉器(9)の片側の充電状態と位相状態が正常であり、他方側がすべて無電圧であるときにロック解除の制御を行う、
請求項1、2、3、4、5又は6記載の開閉器用インターロック装置。
【請求項8】
開閉器(9)と、
請求項1乃至7記載の何れか一つの開閉器用インターロック装置(U)と、
を備えている、
工事用開閉器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−233418(P2011−233418A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103955(P2010−103955)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003171)株式会社戸上電機製作所 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003171)株式会社戸上電機製作所 (29)
【Fターム(参考)】
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