説明

車両用前照灯

【課題】半導体型光源の熱をヒートシンク部材から外部に十分に放射させること。
【解決手段】この発明は、ヒートシンク部材9と、半導体型光源2U、2Dと、反射面10U、10Dを有する固定リフレクタ3と、反射面12U、12Dを有する可動リフレクタ4U、4Dと、ソレノイド5と、駆動力伝達機構6と、断熱部材18と、を備える。断熱部材18は、ソレノイド5とヒートシンク部材9との間に介在されている。この結果、この発明は、半導体型光源2U、2Dの熱をヒートシンク部材9から外部に十分に放射させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも、第1配光パターン、たとえば、ロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)と、第2配光パターン、たとえば、ハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)と、を切り替えて車両の前方に照射する車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、ヒートシンク部材と、半導体型光源と、固定リフレクタと、可動リフレクタと、駆動源と、駆動力伝達機構と、を備えるものである。以下、従来の車両用前照灯の作用について説明する。可動リフレクタが第1位置に位置するときに、半導体型光源を点灯すると、ロービーム用配光パターンが得られる。その可動リフレクタを駆動源および駆動力伝達機構を介して第2位置に位置させると、ハイビーム用配光パターンが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−108777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の車両用前照灯は、ヒートシンク部材に半導体型光源と駆動源とがそれぞれ固定されていて、半導体型光源において発生する熱および駆動源において発生する熱がそれぞれヒートシンク部材に伝達されてそのヒートシンク部材から外部に放射されるものである。このために、従来の車両用前照灯は、駆動源の熱がヒートシンク部材に伝達されて、半導体型光源の熱をヒートシンク部材から外部に十分に放射させることにおいて課題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、半導体型光源の熱をヒートシンク部材から外部に十分に放射させることができる車両用前照灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、ヒートシンク部材と、ヒートシンク部材に取り付けられている半導体型光源と、半導体型光源からの光を反射させる反射面を有する固定リフレクタと、少なくとも第1位置と第2位置との間を移動可能に配置されていて、半導体型光源からの光を少なくとも第1配光パターンと第2配光パターンとに切り替える配光切替部材と、ヒートシンク部材に固定されている駆動源と、駆動源と配光切替部材との間に設けられていて、配光切替部材を第1位置と少なくとも第2位置との間を移動させる駆動力伝達機構と、ヒートシンク部材に固定されていて、かつ、ヒートシンク部材と駆動源との間に介在されている断熱部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、断熱部材が、ヒートシンク部材と駆動源との間に介在されている介在部と、ヒートシンク部材に固定部材により固定されている固定部と、を備え、駆動源が、固定部をヒートシンク部材との間に挟み込んでいる状態で、固定部材により固定部と共にヒートシンク部材に固定されている固定部を備える、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、断熱部材が、ヒートシンク部材と駆動源との間に介在されている介在部と、ヒートシンク部材に固定部材により固定されている第1固定部と、駆動源を仮固定する第2固定部と、を備え、駆動源が、第1固定部をヒートシンク部材との間に挟み込んでいる状態で、固定部材により第1固定部と共にヒートシンク部材に固定されている固定部を備える、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項4にかかる発明)は、断熱部材が、ヒートシンク部材と駆動源との間に介在されている介在部と、ヒートシンク部材に固定部材により固定されている第1固定部と、駆動源を固定する第2固定部と、を備え、駆動源が、第2固定部に固定されていて、断熱部材を介してヒートシンク部材に固定されている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項5にかかる発明)は、断熱部材が、熱伝導率と弾性率とが金属部材と比較して小さい部材から構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、ヒートシンク部材と駆動源との間に介在されている断熱部材により、駆動源において発生する熱(以下、駆動源の熱と称する)がヒートシンク部材に伝達されるのを抑制することができ、その分、半導体型光源において発生する熱(以下、半導体型光源の熱と称する)を、ヒートシンク部材に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材から外部に十分に放射させることができる。これにより、半導体型光源の発光性能を維持させることができ、しかも、ヒートシンク部材を小型化することが可能であり、その分、製造コストや質量を軽減させることが可能となる。
【0012】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、駆動源の固定部とヒートシンク部材との間には断熱部材の固定部が介在されているので、駆動源の熱が駆動源の固定部を介してヒートシンク部材に伝達されるのを抑制することができる。その結果、半導体型光源の熱を、ヒートシンク部材に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材から外部に十分に放射させることができる。
【0013】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、駆動源の固定部とヒートシンク部材との間には断熱部材の第1固定部が介在されているので、駆動源の熱が駆動源の固定部を介してヒートシンク部材に伝達されるのを抑制することができる。その結果、半導体型光源の熱を、ヒートシンク部材に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材から外部に十分に放射させることができる。
【0014】
しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、断熱部材の第2固定部により駆動源を断熱部材に仮固定した状態で、この駆動源と断熱部材とを固定部材によりヒートシンク部材に同時に固定することができるので、部品の組付作業性が向上する。
【0015】
この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯は、駆動源が断熱部材の第2固定部に固定されていて、断熱部材の第1固定部が固定部材によりヒートシンク部材に固定されているので、駆動源と固定部材とが非接触状態にある。このために、駆動源の熱が固定部材を介してヒートシンク部材に伝達されるのを防ぐことができ、その分、半導体型光源の熱を、ヒートシンク部材に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材から外部に十分に放射させることができる。
【0016】
この発明(請求項5にかかる発明)の車両用前照灯は、断熱部材が、熱伝導率と弾性率とが金属部材と比較して小さい部材から構成されているので、半導体型光源の熱を、ヒートシンク部材に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材から外部に十分に放射させることができる。しかも、駆動源の作動時の衝撃により発生する振動がヒートシンク部材に伝達される際に断熱部材で減衰されるので、作動音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示した駆動源と断熱部材とその他の部品との分解斜視図である。
【図2】図2は、組み付けた状態のランプユニットを示す斜視図である。
【図3】図3は、図2におけるIII矢視図(ランプユニットの側面図)である。
【図4】図4は、第1位置に位置する上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタを示す側面図(固定リフレクタを除いた状態の側面図)である。
【図5】図5は、第2位置に位置する上側可動リフレクタおよび下側可動リフレクタを示す側面図(固定リフレクタを除いた状態の側面図)である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI線一部断面図である。
【図7】図7は、断熱部材を示す説明図である。
【図8】図8は、斜めカットオフラインと水平カットオフラインとを有するロービーム用配光パターンを示す説明図である。
【図9】図9は、ハイビーム用配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示した一部断面図(図6と対応する一部断面図)である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示したランプユニットの側面図(第1位置に位置する上側可動リフレクタを示す側面図であって、固定リフレクタを除いた状態の側面図)である。
【図12】図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示し、プロジェクタタイプのランプユニットの分解斜視図である。
【図13】図13は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態5を示し、デイタイムランニングライト用配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用前照灯を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。
【0019】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態1における車両用前照灯(自動車用前照灯)である。前記車両用前照灯1は、リフレクタタイプの車両用前照灯である。前記車両用前照灯1は、図8に示すロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)LPと、図9に示すハイビーム用配光パターン(走行用配光パターン)、を切り替えて車両の前方に照射するものである。前記ロービーム用配光パターンLPは、エルボー点Eを境に、走行車線側(左側)に斜めカットオフラインCL1を有し、かつ、対向車線側(右側)に水平カットオフラインCL2を有する。前記斜めカットオフラインCL1とスクリーンの水平線HL−HRとのなす角度は、約15°である。前記ハイビーム用配光パターンは、第1ハイビーム用配光パターンHP1および第2ハイビーム用配光パターンHP2および第3ハイビーム用配光パターンHP3および減光ロービーム用配光パターンLP1を有する。
【0020】
図1〜図5に示すように、前記車両用前照灯1は、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dと、固定リフレクタ3と、配光切替部材としての上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dと、駆動源としてのソレノイド5と、駆動力伝達機構6と、光源取付部材(LEDベース)7と、取付ブラケット8と、ヒートシンク部材9と、断熱部材18と、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0021】
前記上側半導体型光源2Uおよび前記下側半導体型光源2Dおよび前記固定リフレクタ3および前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dおよび前記ソレノイド5および前記駆動力伝達機構6および前記光源取付部材7および前記取付ブラケット8および前記ヒートシンク部材9および前記断熱部材18は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニット2U、2D、3、4U、4D、5、6、7、8、9、18は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構(図示せず)を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット2U、2D、3、4U、4D、5、6、7、8、9、18以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。
【0022】
前記光源取付部材7は、熱伝導性が高い部材から構成されている。前記光源取付部材7および前記取付ブラケット8は、前記ヒートシンク部材9にそれぞれ相互に位置決めされた状態で固定されている。
【0023】
前記ヒートシンク部材9は、熱伝導性が高い部材から構成されている。前記ヒートシンク部材9は、一端部(前端部)の取付部90と、中間部から他端部(後端部)にかけてのフィン部91と、から構成されている。前記ヒートシンク部材9は、前記半導体型光源2U、2Dにおいて発生した熱を前記光源取付部材7および前記取付部90を介して前記フィン部91から外部に放射させるものである。前記ヒートシンク部材9は、前記光軸調整機構を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0024】
前記半導体型光源2U、2Dは、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、すなわち、半導体型光源である。この実施形態では、LEDを使用する。前記上側半導体型光源2Uおよび前記下側半導体型光源2Dは、前記光源取付部材7の上下の取付面にそれぞれ取り付けられている。この結果、前記半導体型光源2Uおよび前記下側半導体型光源2Dは、前記光源取付部材7を介して前記ヒートシンク部材9にそれぞれ取り付けられている。
【0025】
前記固定リフレクタ3は、前記ヒートシンク部材9に固定されている。前記固定リフレクタ3は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる上側反射面10Uおよび下側反射面10Dを有する。前記上側反射面10Uは、前記上側半導体型光源2Uからの光を反射させる。前記下側反射面10Dは、前記下側半導体型光源2Dからの光を反射させる。
【0026】
前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dの左右両側には、上側回転軸11U、下側回転軸11Dがそれぞれ左右水平に一体に設けられている。前記回転軸11U、11Dは、前記取付ブラケット8に回転可能に取り付けられている。この結果、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dは、前記取付ブラケット8に第1位置(図1、図2、図4に示す位置)と第2位置(図5に示す位置)との間を回転可能に取り付けられている。なお、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dには、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dを第2位置から第1位置に自動復帰させるスプリング(図示せず)を設ける場合がある。
【0027】
前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dは、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる上側反射面12U、下側反射面12Dを有する。前記上側反射面12Uは、前記上側半導体型光源2Uからの光を反射させる。前記下側反射面12Dは、前記下側半導体型光源2Dからの光を反射させる。前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dは、図8に示すロービーム用配光パターンLPを車両の前方に照射する際に、前記上側半導体型光源2Uおよび前記下側半導体型光源2Dからの光の一部を遮蔽する機能を有する。
【0028】
前記ソレノイド5は、前記断熱部材18を介して前記ヒートシンク部材9に固定されている。前記ソレノイド5は、プランジャ(進退ロッド)13を有する。前記プランジャ13は、前記ソレノイド5が無通電状態のときには、第1位置(図1〜図4に示す後退位置)に位置し、前記ソレノイド5が通電状態のときには、第2位置(図5に示す前進位置)に位置する。前記ソレノイド5には、前記プランジャ13を第2位置から第1位置に自動復帰させるスプリング(図示せず)が設けられている。
【0029】
前記ソレノイド5の一端(前記ヒートシンク部材9と対向する端)の両側には、半円形の2個の固定部50がそれぞれ一体に設けられている。前記固定部50には、円形の透孔が設けられている。
【0030】
前記駆動力伝達機構6は、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dの前記回転軸11U、11Dと、前記ソレノイド5の前記プランジャ13との間に設けられている。前記駆動力伝達機構6は、前記ソレノイド5の駆動力を前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dに伝達して、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dを第1位置と第2位置との間を移動させるものである。
【0031】
前記駆動力伝達機構6は、ラック14と、前記ラック14に上下から噛み合う上側ピニオン15Uおよび下側ピニオン15Dと、から構成されている。前記ラック14は、前記プランジャ13の一端(先端)に固定されている。前記上側ピニオン15Uおよび前記下側ピニオン15Dは、前記上側反射面10U、前記下側反射面10Dの一端にそれぞれ固定されている。前記駆動力伝達機構6は、前記ラック14の直線運動を、前記上側ピニオン15Uおよび前記下側ピニオン15Dの回転運動に、変換する機構である。
【0032】
前記ラック14は、この例では、金属部材から構成されている。前記ラック14は、上下に上側歯部17Uおよび下側歯部17Dがそれぞれ設けられていて、左右両側に平面の面取が設けられている。前記上側歯部17Uおよび前記下側歯部17Dは、前記プランジャ13の中心軸(図示せず)を中心とする円形の一部の円弧形状をなす。なお、前記上側歯部17Uおよび前記下側歯部17Dは、平形状であってもよい。前記ラック14の前記上側歯部17Uと前記下側歯部17Dとには、前記上側ピニオン15Uと前記下側ピニオン15Dとがそれぞれ噛み合っている。前記ラック14の前記上側歯部17Uと前記下側歯部17Dとの間の中間部には、ピッチ線(上下の円形歯部のピッチ線)と平行(ほぼ平行も含む)なスリット16が設けられている。なお、前記スリット16は、必ずしも設ける必要はない。
【0033】
前記駆動力伝達機構6には、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dを第1位置に位置させるストッパと、前記上側可動リフレクタ4Uおよび前記下側可動リフレクタ4Dを第2位置に位置させるストッパとがそれぞれ設けられている。
【0034】
前記断熱部材18は、前記ヒートシンク部材9に固定されていて、かつ、前記ヒートシンク部材9と前記ソレノイド5との間に介在されている。前記断熱部材18は、熱伝導率と弾性率とが金属部材と比較して小さい部材、たとえば、樹脂(熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱硬化性樹脂など)、ゴム、コルク、木材、皮革、布地、不織布、フェルト、グラスウール、石膏など、から構成されている。前記断熱部材18の熱伝導率は、この例では、約1W/mk以下であり、前記断熱部材18のヤング率(弾性率)は、この例では、約20GPa以下である。
【0035】
以下、前記断熱部材18について図7を参照して説明する。図7において、(A)は断熱部材18の斜視図、(B)は(A)におけるB矢視図、(C)は(B)におけるC矢視図、(D)は(B)におけるD矢視図、(E)は(B)におけるE−E線断面図である。
【0036】
前記断熱部材18は、介在部180と、2個の第1固定部181と、2本の第2固定部182と、縁部183と、から構成されている。前記介在部180は、板形状をなしていて、前記ヒートシンク部材9と前記ソレノイド5との間に、前記ソレノイド5の前記ヒートシンク部材9に対向する面全面に亘って介在されている。
【0037】
前記第1固定部181は、前記介在部180の一端(前記ヒートシンク部材9と対向する端)の両側に、前記ソレノイド5の前記固定部50に対応して、半円形状に一体に設けられている。前記第1固定部181には、円形の透孔が前記ソレノイド5の円形透孔に対応して設けられている。
【0038】
前記第2固定部182は、前記介在部180のほぼ中間部の両側に前記縁部183から一体に設けられている。前記第2固定部182の先端には、ランス形状の係合爪が設けられている。前記第2固定部182は、可撓性を有する。
【0039】
前記縁部183は、前記介在部180および前記第1固定部181の全周縁に一体に設けられている。
【0040】
前記断熱部材18には、前記ソレノイド5が前記第2固定部182により仮固定されている。すなわち、前記ソレノイド5および前記固定部50を前記断熱部材18の縁部183に嵌合させる。すると、2本の前記第2固定部182が前記ソレノイド5を弾性挟持する。前記第2固定部182の係合爪と前記介在部180とが前記ソレノイド5を挟持する。この結果、前記ソレノイド5は、前記断熱部材18に前記第2固定部182により仮固定されている。
【0041】
前記ソレノイド5の固定部50と前記断熱部材18の第1固定部181とは、前記ヒートシンク部材9に、固定部材この例ではスクリュー19により共締め固定されている。
【0042】
前記ソレノイド5と前記ヒートシンク部材9との間には、前記断熱部材18の前記介在部180が介在されている。また、前記ソレノイド5の前記固定部50と前記ヒートシンク部材9との間には、前記断熱部材18の前記第1固定部181が介在されている。
【0043】
(実施形態1の作用の説明)
以下、この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0044】
まず、上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dを第1位置(図1、図2、図4に示す状態の位置)に位置させる。すなわち、ソレノイド5への通電を遮断すると、スプリングの作用および図示しないストッパの作用により、上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dが第1位置に位置する。また、上側ピニオン15Uおよび下側ピニオン15Dがラック14の一端部(右端部)の上側歯部17U下側歯部17Dにそれぞれ噛み合っている。このときに、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dを点灯発光させる。すると、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dから光が放射される。
【0045】
この光の一部は、上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dにより遮蔽される。残りの光は、固定リフレクタ3の上側反射面10Uおよび下側反射面10Dのロービーム用反射面で反射される。この反射光は、図8に示すロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0046】
つぎに、上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dを第2位置(図5に示す状態の位置)に位置させる。すなわち、ソレノイド5に通電してソレノイド5を駆動させると、プランジャ13を介してラック14が第1位置から第2位置に前進移動し、それに伴って、上側ピニオン15U、下側ピニオン15Dが回転する。このように、駆動力伝達機構6のラック14および上側ピニオン15U、下側ピニオン15Dを介して、ソレノイド5の駆動力が直線運動から回転運動に変換されて上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dに伝達される。この結果、上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dが第1位置から第2位置に同期して回転し図示しないストッパの作用により第2位置に位置する。また、上側ピニオン15Uおよび下側ピニオン15Dがラック14の他端部(左端部)の上側歯部17U下側歯部17Dにそれぞれ噛み合っている。このときに、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dを点灯発光させる。すると、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dから光が放射される。
【0047】
この光は、上側可動リフレクタ4Uの上側反射面12Uおよび下側可動リフレクタ4Dの下側反射面12Dで反射される。また、上側可動リフレクタ4Uの上側反射面12Uおよび下側可動リフレクタ4Dの下側反射面12Dに入射しなかった残りの光は、固定リフレクタ3の上側反射面10Uおよび下側反射面10Dで反射される。この反射光は、図9に示すハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1が車両の前方に照射される。
【0048】
ここで、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dの点灯時において発生する熱は、光源取付部材7を介してヒートシンク部材9の取付部90に伝達され、かつ、前記ヒートシンク部材9の取付部90からフィン部91に伝達され、さらに、フィン部91から外部に放射される。一方、ソレノイド5の作動時において発生する熱は、断熱部材18によりソレノイド5に伝達されるのを抑制される。
【0049】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0050】
この実施形態1における車両用前照灯1は、ヒートシンク部材9とソレノイド5との間に介在されている断熱部材18により、ソレノイド5の熱がヒートシンク部材9に伝達されるのを抑制することができ、その分、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dの熱を、光源取付部材7を介してヒートシンク部材9の取付部90に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材9の取付部90を介してフィン部91から外部に十分に放射させることができる。これにより、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dの発光性能を維持させることができ、しかも、ヒートシンク部材9を小型化することが可能であり、その分、製造コストや質量を軽減させることが可能となる。
【0051】
この実施形態1における車両用前照灯1は、ソレノイド5の固定部50とヒートシンク部材9との間には断熱部材18の第1固定部181が介在されているので、ソレノイド5の熱がソレノイド5の固定部50を介してヒートシンク部材9に伝達されるのを抑制することができる。その結果、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dの熱を、光源取付部材7を介してヒートシンク部材9の取付部90に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材9の取付部90を介してフィン部91から外部に十分に放射させることができる。
【0052】
しかも、この実施形態1における車両用前照灯1は、断熱部材18の第2固定部182によりソレノイド5を断熱部材18に仮固定した状態で、このソレノイド5の固定部50と断熱部材18の第1固定部181とを固定部材としてのスクリュー19によりヒートシンク部材9に同時に固定することができるので、部品の組付作業性が向上する。
【0053】
この実施形態1における車両用前照灯1は、断熱部材18が、熱伝導率と弾性率とが金属部材と比較して小さい部材から構成されているので、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dの熱を、光源取付部材7を介してヒートシンク部材9の取付部90に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材9の取付部90を介してフィン部91から外部に十分に放射させることができる。しかも、ソレノイド5の作動時の衝撃により発生する振動がヒートシンク部材9に伝達される際に断熱部材18の介在部180で減衰されるので、作動音を低減することができる。
【0054】
(実施形態2の説明)
図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
【0055】
この実施形態2における車両用前照灯の断熱部材18Aは、介在部180の中央部に開口部184を設ける。前記断熱部材18Aの第2固定部185には、ソレノイド5が固定部材この例ではスクリュー186により固定されている。すなわち、前記ソレノイド5は、前記断熱部材18の前記第2固定部185と前記介在部180の前記開口部184の縁との間に挟持されている。また、前記ソレノイド5は、前記断熱部材18の縁部183に嵌合されている。
【0056】
前記断熱部材18の第1固定部181は、ヒートシンク部材9にスクリュー19により固定されている。この結果、前記ソレノイド5は、前記断熱部材18を介して前記ヒートシンク部材9に固定されている。
【0057】
この実施形態2における車両用前照灯は、前記の実施形態1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態2における車両用前照灯は、ソレノイド5が断熱部材18の第2固定部185にスクリュー186により固定されていて、断熱部材18の第1固定部181がスクリュー19によりヒートシンク部材9に固定されているので、ソレノイド5とスクリュー19とが非接触状態にある。このために、ソレノイド5の熱がスクリュー19を介してヒートシンク部材9に伝達されるのを防ぐことができ、その分、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dの熱を、光源取付部材7を介してヒートシンク部材9の取付部90に十分に伝達させることができ、かつ、ヒートシンク部材9の取付部90を介してフィン部91から外部に十分に放射させることができる。
【0058】
(実施形態3の説明)
図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す。以下、この実施形態3における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0059】
前記の実施形態1における車両用前照灯1は、上側半導体型光源2Uおよび下側半導体型光源2Dと、上側可動リフレクタ4Uおよび下側可動リフレクタ4Dと、固定リフレクタ3の上側反射面10Uおよび下側反射面10Dと、上側回転軸11Uおよび下側回転軸11Dと、上側可動リフレクタ4Uの上側反射面12Uおよび下側可動リフレクタ4Dの下側反射面12Dと、上側ピニオン15Uおよび下側ピニオン15Dと、ラック14の上側歯部17Uおよび下側歯部17Dと、を備えるものである。すなわち、上側ユニットおよび下側ユニットを備えるものである。これに対して、この実施形態3における車両用前照灯1Aは、上側半導体型光源(図示せず)と、上側可動リフレクタ4Uと、固定リフレクタ(図示せず)の上側反射面(図示せず)と、上側回転軸11Uと、上側可動リフレクタ4Uの上側反射面12Uと、上側ピニオン15Uと、ラック14の上側歯部17Uと、を備えるものである。すなわち、上側ユニットのみを備えるものである。なお、この実施形態3における車両用前照灯1Aのラック14には、スリットが設けられていない。
【0060】
この実施形態3における車両用前照灯1Aは、前記の実施形態1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態3における車両用前照灯1Aは、一部の構成部品を半分にすることができるので、部品点数が軽減でき、かつ、組付工程が軽減でき、その分、製造コストを安価にすることができる。このように、この実施形態3における車両用前照灯1Aは、半導体型光源の光量(光出力)が大きい場合には最適である。
【0061】
(実施形態4の説明)
図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す。以下、この実施形態4における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図11と同符号は、同一のものを示す。
【0062】
前記の実施形態1、2、3における車両用前照灯1、1Aは、配光切替部材として、上側可動リフレクタ4U、下側可動リフレクタ4D、を使用するリフレクタタイプの車両用前照灯である。これに対して、この実施形態4における車両用前照灯1Bは、配光切替部材として可動シェード4Bを使用するプロジェクタタイプの車両用前照灯である。
【0063】
前記車両用前照灯1Bは、ヒートシンク部材9Bと、半導体型光源2Bと、固定リフレクタ3Bと、配光切替部材として可動シェード4Bと、駆動源としてのソレノイド5Bと、駆動力伝達機構6Bと、断熱部材18Bと、投影レンズ20と、を備えるものである。
【0064】
前記半導体型光源2Bおよび前記固定リフレクタ3Bは、前記ヒートシンク部材9Bに固定されている。前記固定リフレクタ3Bは、回転楕円面の反射面を有する。前記半導体型光源2Bは、前記固定リフレクタ3Bの第1焦点もしくはその近傍に位置する。前記固定リフレクタ3Bは、前記半導体型光源2Bからの光を前記可動シェード4Bおよび前記投影レンズ20側に反射させる。
【0065】
前記可動シェード4Bは、前記ヒートシンク部材9Bに回転軸21を介して、第1配光パターンたとえばロービーム用配光パターンが得られる第1位置と、第2配光パターンたとえばハイビーム用配光パターンが得られる第2位置(図12に示す状態の位置)と、の間を回転可能に支持されている。
【0066】
前記ソレノイド5Bは、前記ヒートシンク部材9Bに前記介在部材18Bを介在させた状態でスクリュー22により固定されている。前記ソレノイド5Bは、本体部と、プランジャと、固定部と、を備える。固定部には、前記スクリュー22が通る円形の透孔が設けられている。
【0067】
前記介在部材18Bは、前記ソレノイド5Bの本体部の一部および固定部と前記ヒートシンク部材9Bとの間に介在されている。前記介在部材18Bは、両端部が半円形の長方形(長円形)をなす。前記介在部材18Bの両端部には、前記スクリュー22が通る円形の透孔が前記ソレノイド5Bの固定部の円形の透孔と対応して設けられている。
【0068】
前記投影レンズ20は、ホルダ23を介して前記ヒートシンク部材9Bに支持されている。前記投影レンズ20は、前記半導体型光源2Bからの光であって、前記可動シェード4Bを通過した前記固定リフレクタ3Bからの反射光を、第1配光パターンたとえばロービーム用配光パターン、あるいは、第2配光パターンたとえばハイビーム用配光パターンとして車両の前方に照射する。
【0069】
前記駆動力伝達機構6Bは、前記ソレノイド5Bのプランジャに固定したリンク24と、前記可動シェード4Bに固定したピン25と、から構成されている。前記駆動力伝達機構6Bは、前記ソレノイド5Bのプランジャの直線運動を前記可動シェード4Bの回転運動に変換させるものである。前記駆動力伝達機構6Bは、前記可動シェード4Bを、第1配光パターンたとえばロービーム用配光パターンが得られる第1位置と、第2配光パターンたとえばハイビーム用配光パターンが得られる第2位置(図12に示す状態の位置)と、の間を移動させる。
【0070】
この実施形態4における車両用前照灯1Bは、前記の実施形態1、2、3における車両用前照灯1、1Aとほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0071】
(実施形態5の説明)
図13は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態5を示す。以下、この実施形態5における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図12と同符号は、同一のものを示す。
【0072】
前記の実施形態1、2、3における車両用前照灯1、1Aは、可動リフレクタ4U、4Dが第2位置に位置するときにはハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1が得られるものである。これに対して、この実施形態4における車両用前照灯は、可動リフレクタ4U、4Dが少なくとも第2位置、すなわち、可動リフレクタ4U、4Dが第2位置に位置するときには前記のようにハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3、LP1が得られ、かつ、可動リフレクタ4U、4Dが第3位置に位置するときには図12に示すようにデイタイムランニングライト用配光パターンDP1、DP2、DP3、DP4、DP5が得られるものである。
【0073】
(実施形態1、2、3、4、5以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、第1配光パターンとしてロービーム用配光パターンLPについて説明するものである。ところが、この発明においては、第1配光パターンとしてロービーム用配光パターンLP以外の配光パターン、たとえば、高速道路用配光パターン、フォグランプ用配光パターンなど、エルボー点を境に、走行車線側に斜めカットオフラインを有し、かつ、対向車線側に水平カットオフラインを有する配光パターンであっても良い。
【0074】
また、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、左側走行車線用の車両用前照灯1について説明する。ところが、この発明においては、右側走行車線用の車両用前照灯についても適用することができる。
【0075】
さらに、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、上側ユニットおよび下側ユニットを備えるもの、あるいは、上側ユニットのみを備えるものである。ところが、この発明においては、下側ユニットのみを備える車両用前照灯、左側ユニットおよび右側ユニットを備える車両用前照灯、左側ユニットのみを備える車両用前照灯、右側ユニットのみを備える車両用前照灯、などであっても良い。
【0076】
さらにまた、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、駆動源としてソレノイド5を使用するものである。ところが、この発明においては、駆動源としてソレノイド5以外の駆動源、たとえば、モータを使用しても良い。この場合、モータの回転運動をラック14の直線運動に変換する機構が必要である。
【0077】
さらにまた、前記の実施形態1、2、3、4においては、2個の配光パターンが得られるものであり、前記の実施形態3においては、3個の配光パターンが得られるものである。ところが、この発明においては、4個以上の配光パターンが得られるものであっても良い。
【0078】
さらにまた、前記の実施形態1においては、ソレノイド5の本体部とヒートシンク部材9との間に断熱部材18の介在部180を、ソレノイド5の本体部のヒートシンク部材9に対向する面全面に亘って介在している。また、ソレノイド5の固定部50とヒートシンク部材9との間に断熱部材18の第1固定部181を介在している。ところが、この発明においては、ソレノイド5の固定部50とヒートシンク部材9との間に断熱部材18の第1固定部181のみを介在させて、ソレノイド5の本体部とヒートシンク部材9との間に断熱部材18の介在部180を介在させなくても良い。この場合においては、図10中の開口部184で示すように、ソレノイド5の本体部がヒートシンク部材9に直接接触していないので、前記作用効果を十分に達成することができる。このように、この発明においては、ソレノイド5などの駆動源とヒートシンク部材9とが直接接触する箇所にのみ断熱部材18を介在させるものであれば良い。たとえば、断熱部材18、18Aの介在部180と第1固定部181とが兼用されたワッシャ部材であって、ソレノイド5などの駆動源の固定部とヒートシンク部材9との間に介在させる部材である。
【0079】
さらにまた、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、リフレクタタイプの車両用前照灯1、1A、あるいは、プロジェクタタイプの車両用前照灯1Bに適用するものである。ところが、この発明においては、リフレクタタイプの車両用前照灯1、1A、あるいは、プロジェクタタイプの車両用前照灯1B、以外のタイプの車両用前照灯、たとえば、直射タイプの車両用前照灯、その他の車両用前照灯にも適用することができる。
【0080】
さらにまた、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、配光切替部材として、上側可動リフレクタ4U、下側可動リフレクタ4D、可動シェード4Bを使用するものである。ところが、この発明においては、配光切替部材として、上側可動リフレクタ4U、下側可動リフレクタ4D、可動シェード4B以外の部材、たとえば、可動レンズなどを使用する場合もある。
【0081】
さらにまた、前記の実施形態1、2、3、4、5においては、配光切替部材としての上側可動リフレクタ4U、下側可動リフレクタ4D、可動シェード4Bを回転移動させるものである。ところが、この発明においては、配光切替部材を回転移動以外に、たとえば、配光切替部材を上下スライドや前後スライドなどで移動させる場合もある。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B 車両用前照灯
2U 上側半導体型光源
2D 下側半導体型光源
2B 半導体型光源
3、3B 固定リフレクタ
4U 上側可動リフレクタ(配光切替部材)
4D 下側可動リフレクタ(配光切替部材)
4B 可動シェード(配光切替部材)
5、5B ソレノイド(駆動源)
50 固定部
6、6B 駆動力伝達機構
7 光源取付部材
8 取付ブラケット
9、9B ヒートシンク部材
90 取付部
91 フィン部
10U 上側反射面
10D 下側反射面
11U 上側回転軸
11D 下側回転軸
12U 上側反射面
12D 下側反射面
13 プランジャ
14 ラック
15U 上側ピニオン
15D 下側ピニオン
16 スリット
17U 上側歯部
17D 下側歯部
18、18A、18B 断熱部材
180 介在部
181 第1固定部
182 第2固定部
183 縁部
184 開口部
185 第2固定部
186 スクリュー(固定部材)
19 スクリュー(固定部材)
20 投影レンズ
21 回転軸
22 スクリュー
23 ホルダ
24 リンク
25 ピン
E エルボー点
CL1 斜めカットオフライン
CL2 水平カットオフライン
LP ロービーム用配光パターン
LP1 減光ロービーム用配光パターン(ハイビーム用配光パターン)
HP1 第1ハイビーム用配光パターン
HP2 第2ハイビーム用配光パターン
HP3 第3ハイビーム用配光パターン
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
DP1 第1デイタイムランニングライト用配光パターン
DP2 第2デイタイムランニングライト用配光パターン
DP3 第3デイタイムランニングライト用配光パターン
DP4 第4デイタイムランニングライト用配光パターン
DP5 第5デイタイムランニングライト用配光パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1配光パターンと第2配光パターンとを切り替えて車両の前方に照射する車両用前照灯において、
ヒートシンク部材と、
前記ヒートシンク部材に取り付けられている半導体型光源と、
前記半導体型光源からの光を反射させる反射面を有する固定リフレクタと、
少なくとも第1位置と第2位置との間を移動可能に配置されていて、前記半導体型光源からの光を少なくとも第1配光パターンと第2配光パターンとに切り替える配光切替部材と、
前記ヒートシンク部材に固定されている駆動源と、
前記駆動源と前記配光切替部材との間に設けられていて、前記配光切替部材を少なくとも第1位置と第2位置との間を移動させる駆動力伝達機構と、
前記ヒートシンク部材に固定されていて、かつ、前記ヒートシンク部材と前記駆動源との間に介在されている断熱部材と、
を備える、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記断熱部材は、前記ヒートシンク部材と前記駆動源との間に介在されている介在部と、前記ヒートシンク部材に固定部材により固定されている固定部と、を備え、
前記駆動源は、前記固定部を前記ヒートシンク部材との間に挟み込んでいる状態で、前記固定部材により前記固定部と共に前記ヒートシンク部材に固定されている固定部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記断熱部材は、前記ヒートシンク部材と前記駆動源との間に介在されている介在部と、前記ヒートシンク部材に固定部材により固定されている第1固定部と、前記駆動源を仮固定する第2固定部と、を備え、
前記駆動源は、前記第1固定部を前記ヒートシンク部材との間に挟み込んでいる状態で、前記固定部材により前記第1固定部と共に前記ヒートシンク部材に固定されている固定部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記断熱部材は、前記ヒートシンク部材と前記駆動源との間に介在されている介在部と、前記ヒートシンク部材に固定部材により固定されている第1固定部と、前記駆動源を固定する第2固定部と、を備え、
前記駆動源は、前記第2固定部に固定されていて、前記断熱部材を介して前記ヒートシンク部材に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記断熱部材は、熱伝導率と弾性率とが金属部材と比較して小さい部材から構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−45720(P2013−45720A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183952(P2011−183952)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】