説明

自動水栓

【課題】吐水管内の通水空間に光ファイバを通してその先端にて光センサの投光部,受光部を構成する場合において、光ファイバの先端部のシールを信頼性高く且つ作業性良く容易に行うことのできる自動水栓を提供する。
【解決手段】投光側の光ファイバ50と、受光側の光ファイバ52とを吐水管12の先端部に到るまで吐水管12の内部の通水空間58に通して、各光ファイバ50の先端にて投光部70と受光部72とを構成する自動水栓において、光ファイバ50,52の先端部に筒状をなす外装部材80を水密且つ外嵌状態に結合して外装し、外装部材80を吐水管12の内面に水密に取り付けられた吐水口部材56の挿入孔84に挿入して、それらの間をOリング96にて水密にシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光センサによる検知対象の検知に基づいて吐水口から自動的に吐水を行う自動水栓に関し、特に光ファイバを用いた自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐水管の先端部に投光部と受光部とを設け、投光部から投射した光の、使用者の手等の検知対象からの反射光を受光部で受光して検知対象を検知する光センサ(以下単にセンサとする)を備えた自動水栓が公共のトイレや洗面所等に広く用いられている。
この自動水栓では、センサによる検知対象の検知に基づいて吐水を自動的に行う。通常、そのセンサは受光量が設定したしきい値よりも多いことをもって検知対象有りと判定する。
【0003】
ところで、従来の自動水栓では光を発するLED等の発光素子を上記の投光部として、またフォトダイオード,フォトトランジスタ等の受光素子を上記の受光部として吐水管の先端部に配置するとともに、発光素子による発光を行わせるための発光駆動回路や、受光素子により受光した光を電気信号に変換し信号処理する光電変換回路を含むセンサ回路を、それら発光素子,受光素子に接続状態で吐水管の先端部に設けていた。
【0004】
例えば下記特許文献1,特許文献2に、これら発光素子や受光素子、センサ回路を含むセンサを吐水管の先端部に設けて成る自動水栓が開示されている。
しかしながらこれら特許文献1,特許文献2に開示のもののように、吐水管の先端部に発光素子,受光素子,センサ回路を含むセンサを設けた自動水栓の場合、吐水管の先端部の形状が必然的に大形状化してしまい、これに伴って吐水管全体が太く大型化し、デザイン性,意匠性を損なってしまうといった問題を生じる。
【0005】
従来、発光素子と受光素子及びセンサ回路を備えたセンサ本体を吐水管の外部に配置しておき、そしてセンサ本体の発光素子からの光を導く投光側の光ファイバと、検知対象からの反射光を受光素子に導く受光側の光ファイバとを吐水管の先端部に到るまで吐水管の内部の通水空間に通して、投光側の光ファイバの先端にて投光部を、受光側の光ファイバの先端にて受光部をそれぞれ構成するようになした自動水栓も知られている。
【0006】
例えば下記特許文献3に、この種の光ファイバを用いた自動水栓が開示されている。
図7はその具体例を示している。
図において200は吐水管で、本体管200Aとヘッド部200Bとから成っている。
206はセンサ本体、212は光ファイバでセンサ本体206から延び出し、更に吐水管200内の通水空間204を吐水管200の先端部に到るまで延びて、先端部がヘッド部200Bに固定され、そしてその先端にて投光部214と受光部216とが構成されている。
尚218はレンズで、220はヘッド部200Bに備えられた吐水口である。
このようにセンサ本体を吐水管の外部に配置して、光ファイバを吐水管の先端部に到るまで吐水管内部に通し、光ファイバの先端にて投光部と受光部とを構成した場合、センサ本体を吐水管の先端部に設けた場合に比べて吐水管を細く小型化することが可能である。
【0007】
ところで、このように光ファイバを吐水管内の通水空間に通した場合、光ファイバを先端部において吐水管に対し水密にシールした状態に取り付けなければならない。
この点、特許文献3では具体的な説明は特になされていないものの、図面上Oリング(と認められる)222が吐水管200側に取り付けられ、このOリング222が光ファイバ212の先端側の曲り部の近傍位置で光ファイバ212に嵌め合されている。
【0008】
しかしながらこのように光ファイバ212の先端側の曲り部近傍で直接Oリング222を光ファイバ212に外嵌状態に嵌め合せてシールする場合、光ファイバ212は細く且つ可撓性に富んでいるため、光ファイバ212に対するOリング222の嵌め合せの作業がしづらく、Oリング222によるシールを伴って光ファイバの先端部を吐水管200に取付作業する際の作業性が悪く、しかもシールの信頼性が十分に得られない問題がある。
而してシールが不十分であると光ファイバ212の先端部の個所で漏水を生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−133103号公報
【特許文献2】特開2002−70096号公報
【特許文献3】実開平3−125862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情を背景とし、吐水管内の通水空間に光ファイバを通して、その先端にて光センサの投光部,受光部を構成する場合において、光ファイバの先端部のシールを作業性良く容易に行うことができるとともに、シールの信頼性を高く確保することができ、光ファイバの先端部の個所から漏水を起す恐れのない自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、発光素子からの光を導く投光側の光ファイバと、検知対象からの反射光を受光素子に導く受光側の光ファイバとを吐水管の先端部に到るまで該吐水管の内部の通水空間に通して、該投光側の光ファイバの先端にて光センサの投光部を、該受光側の光ファイバの先端にて該光センサの受光部をそれぞれ構成し、該光センサによる検知対象の検知に基づいて吐水口から吐水する自動水栓において、前記光ファイバの先端部に筒状をなす外装部材を水密且つ外嵌状態に結合して外装し、該外装部材を前記吐水管の先端部の内部に且つ該吐水管の内面に対して水密に設けた先端部材の挿入孔に挿入した上、該外装部材の外面と該挿入孔の内面との間を弾性を有する環状のシール部材にて水密にシールしたことを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記先端部材が吐水口を備えた吐水口部材であって、前記通水空間から該吐水口に到る通水部以外の個所に前記挿入孔が設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記外装部材の外面に環状の凹部が設けてあって、該凹部に前記シール部材が保持させてあることを特徴とする。
【0014】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記外装部材が軸方向にストレート形状をなす直筒状をなしており、前記光ファイバを軸線方向に直線状に保持していることを特徴とする。
【0015】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記外装部材と前記先端部材との一方に前記光ファイバの軸線方法の位置決用の凸部が、また他方には対応する凹部が設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、吐水管内の通水空間に通した光ファイバの先端部に、筒状をなす外装部材を水密且つ外嵌状態に結合して外装し、そしてその外装部材を、吐水管の先端部の内部に且つ吐水管の内面に対し水密に設けた先端部材の挿入孔に挿入して、その外装部材の外面と挿入孔の内面との間を弾性を有する環状のシール部材にて水密にシールするようになしたものである。
【0017】
本発明によれば、光ファイバの先端部を吐水管の内部の上記先端部材に取り付けることで、光ファイバの先端部を容易に吐水管に取り付けることができる。
またその先端部材と光ファイバの先端部との間をOリング等の環状のシール部材にてシールする際、本発明では環状のシール部材を直接光ファイバの先端部に嵌め合せる必要はなく、光ファイバの先端部に水密結合された外装部材に対して環状のシール部材を嵌め合せれば良い。
その際、外装部材は光ファイバに対して外径の大きなものであるため嵌め合せ作業を容易に行うことができ、またそれらの間のシールの信頼性を高めることができる。
【0018】
このように光ファイバと先端部材との間を外装部材を介してシールするようになした場合、外装部材を光ファイバよりも可撓変形抵抗の大きな高剛性の部材として構成しておくことが可能であり、このことによって外装部材のシール近傍位置での変形を抑制し得るとともに、外装部材は光ファイバに対して太いものであることから、外装部材に環状のシール部材を嵌め合せる際にシール部材を十分に圧縮弾性変形させ得て密着性を高めることができ、そのことによってもシール性能を高めることができる。
【0019】
また本発明では、光ファイバの先端部を吐水管に対して直接シール状態に組み付けなくても良く、外装部材を介して先端部材に組み付ければ良いため組付作業を容易に行うことができる。
【0020】
この場合において吐水口を備えた吐水口部材を吐水管先端部に設けて上記の先端部材となし、そこに光ファイバを上記の環状のシール部材を介して挿入状態に取り付けるようになすことができる(請求項2)。
この場合、吐水口部材の通水部以外の個所に挿入孔を設けて、そこに光ファイバを上記の外装部材を介して挿入するようになしておくことができる。
【0021】
本発明では上記の外装部材の外面に環状の凹部を設けて、その凹部にシール部材を保持させておくことができる(請求項3)。
このようにしておけば、シール部材を所望の位置に組付けし易い利点が得られる。
【0022】
上記外装部材は、軸方向にストレート形状をなす直筒状となし、光ファイバの先端部を軸線方向に直線状に保持するようになしておくことができる(請求項4)。
このようにしておけば、光ファイバ及び外装部材の曲りによって、環状のシール部材と外装部材との間の密着性が損なわれて、そのことがシール性能の低下に繋がる問題を回避することができる。
【0023】
本発明では、上記外装部材と先端部材との一方に光ファイバの軸線方向の位置決用の凸部を、また他方に対応する凹部を設けておくことができる(請求項5)。
このようにしておけば、光ファイバの先端部を環状のシール部材を介して吐水管の先端部に組み付けるに際し、光ファイバの先端部を予め設定された適正位置に容易に位置決状態に取付固定することができる。
【0024】
尚本発明においては、吐水管への給水を行う給水管と通水空間と連通させる連通空間を備えた接続部材を、その一端側で吐水管の基端部に、他端側で給水管に水密に連結固定して、吐水管の基端部と給水管とを接続管にて接続するようになしておくことができる。
而してその接続部材には、連通空間とは異なった個所で、上記の通水空間から外部空間に到る貫通の挿通孔を設けて、そこに光ファイバを挿通し、以て光ファイバを通水空間から外部へと取り出すようになしておくことができる。
このようにすれば、光ファイバを吐水管内から外部への取出部において、吐水管の基端部に容易に位置決状態に取付固定することができる。
また光ファイバを吐水管から取り出してメンテナンスする際の作業性も良好となる。
【0025】
この場合、上記の挿通孔内にOリング等の弾性を有する環状のシール部材を保持し、そのシール部材を光ファイバに外嵌状態に嵌合させて、光ファイバと接続部材との間をシール部材にて水密にシールするようになしておくことができる。
このようにすれば、吐水管の基端部と光ファイバとの間を容易に水密シールすることができる。
【0026】
更にこの場合において、シール部材が挿通孔に沿って抜け出すのを防止する抜止部材を接続部材に組み付けておくことができる。
一方、接続部材は上記一端側を吐水管の基端部の内部に挿入して、その挿入部と吐水管の基端側の内面との間を、それらの間に介在させたOリング等の弾性を有する環状のシール部材にて水密にシールするようになしておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態の自動水栓の全体構成を示す図である。
【図2】図1における吐水管の内部構造を周辺部とともに示した縦断面図である。
【図3】図2の吐水管の先端部の内部構造を示した要部断面図である。
【図4】同先端部を構造を分解して示した要部分解斜視図である。
【図5】図2の吐水管の基端部の構造を示した要部断面図である。
【図6】図2,図5の接続部材を抜止部材及び光ファイバとともに示した斜視図である。
【図7】従来の自動水栓の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の自動水栓で、12は自動水栓10における吐水管である。ここで吐水管12は金属製且つ鋳物製とされている。
吐水管12は、カウンタ(取付基体)14から起立する形態で設置され、上部が逆U字状のグースネック形状をなしていて、その先端面が使用者に向って前方斜め下向きをなしている。
吐水管12には、図1及び図2に示しているように、その先端に吐水管12の横断面形状に対応した略矩形状の開口16が形成されている。
【0029】
図2に示しているように、吐水管12はカウンタ14上に露出した本体管12Aと、基端部をなす取付部12Bとを有している。ここで本体管12と取付部12Bとは別体をなしていて、それらが互いに組み付けられている。
詳しくは、取付部12Bには上向きに立ち上る筒状の起立部23が設けられ、この起立部23に対して本体管12Aの下端部が外嵌状態に結合されている。
【0030】
この吐水管12は、着座部18と、この着座部18から下向きに延びる挿通管20とを有している。
挿通管20は、カウンタ14の取付穴22を挿通してカウンタ14の下側まで突き出しており、その外周面に設けられた雄ねじ部24に固定ナット26がねじ込まれている。
吐水管12は、着座部18をカウンタ14の上面に着座させ、その着座部18と固定ナット26とでパッキン28,30を介し、カウンタ14を上下両側から挟み込む状態にカウンタ14に取り付けられている。
【0031】
図1において、32はカウンタ14の下方に配置された本体機能部で、34はその本体機能部32の機能部ボックスであり、その内部に電磁弁36が収容されている。
電磁弁36は、給水元管からの水を後述の吐水口63(図3)に供給する給水路を開閉する弁であって、この電磁弁36に対し、給水チューブ38の下端が継手40を介して接続されている。
【0032】
給水チューブ38は、給水路の一部を形成する部材であって、機能部ボックス34から上向きに延び出し、そして図2に示す接続部材54にて吐水管12の上記挿通管20に接続されている。
この例において、給水チューブ38は可撓性のもので、ここではポリウレタン樹脂にて形成されている。
尚図1において44は止水栓を表している。
【0033】
機能部ボックス34の内部にはまた、マイコンを主要素として含む制御部46、及び光センサ(以下単にセンサとする)の主要素をなすセンサ本体48が収容されている。
制御部46は電磁弁36を作動制御し、センサによる検知対象の検知に基づいて電磁弁36を開弁させ、またセンサが検知対象を非検知となったところで電磁弁36を閉弁させる。
【0034】
センサ本体48は、光(ここでは赤外光)を発するLED等の発光素子と、フォトダイオード,フォトトランジスタ等の受光素子、及び発光素子による発光を行わせる発光駆動回路,受光素子により受光した光を電気信号に変換し信号処理する光電変換回路を含むセンサ回路を有している。
このセンサ本体48の発光素子からは投光側の光ファイバ50(図4参照)が延び出しており、また受光素子からは受光側の光ファイバ52が延び出している。
【0035】
センサ本体48から延び出した投光側の光ファイバ50及び受光側の光ファイバ52は、図2に示すように吐水管12の基端の開口42から吐水管12内部に入り込んでいる。そして吐水管12内部の通水空間58を、その先端部に到るまで延びている。
【0036】
図3に示しているように、吐水管12の先端部の内部には吐水口部材56が設けられている。
本例において、この吐水口部材56は樹脂製(ここではPOM樹脂(ポリアセタール樹脂)製)のもので、全体として吐水管12の先端部の形状に対応した略矩形の筒状をなしている。
【0037】
吐水管12の内部にはまた、筒状の金属ブロックを本体管12Aの内面に全周に亘り水密に溶着して成る壁60が設けられている。
吐水口部材56は、その後端面(図中右端面)を、弾性を有する矩形状のシール部材61を介し壁60に押し付ける状態に、吐水管12の内部に固定されている。
【0038】
吐水口部材56は、シール部材61を弾性圧縮させる状態に壁60に押圧固定されることで、吐水管12における本体管12Aの内面に水密にシールされている。
【0039】
この吐水口部材56には、これを管軸方向に貫通して上記の通水空間58に連通した吐水路(通水部)62が形成されており、吐水口部材56は、通水空間58を通じて送られて来た水を、この吐水路62を通じて流通させ、先端の吐水口63から前方斜め下方に吐水する。
【0040】
この吐水口部材56は、その外面(外周面)と吐水管12の本体管12Aの内面との間がシール部材61にて全周に亘りシールされているため、通水空間58を流れて来た水は吐水口部材56の外周側に回り込むことなく吐水路62だけに流れ込んで、先端の吐水口63へと導かれる。
【0041】
ここで吐水口部材56の、吐水管12への固定は次のようにして行われている。
即ち、図4に示しているように吐水口部材56には、これを管軸方向に貫通する一対の固定孔74が設けられており、それら一対の固定孔74に一対の固定ボルト76が挿通されて、それらが上記の壁60に形成されたねじ孔78にねじ込まれることで、吐水口部材56が、シール部材61を管軸方向に圧縮する状態に壁60に即ち吐水管12に取付固定されている。
【0042】
図4において、70は投光部、72は受光部であって、これら投光部70,受光部72はそれぞれ投光側の光ファイバ50,受光側の光ファイバ52の各先端にて構成されている。
この実施形態では、図1に示すセンサ本体48,これから延び出した光ファイバ50,52及びそれらの各先端にて構成された投光部70,受光部72にてセンサが構成され、そしてそのセンサが検知対象、通常は使用者が差し出した手を検知すると、制御部46による制御の下に電磁弁36が開弁し、図3の吐水口63から自動的に吐水を行う。
また使用者が手を引き込めてセンサによる検知エリアから外れると、センサが手を非検知となり、ここにおいて制御部46の制御の下に電磁弁36が閉弁し、吐水口63からの吐水を停止する。
【0043】
図4に示しているように、光ファイバ50,52の先端部には外装部材80が外装してある。
外装部材80は円筒状をなしていて、光ファイバ50,52の外面(外周面)に外嵌状態に且つ全周に亘り水密に結合してある。具体的には、外装部材80は全周に亘り接着剤にて光ファイバ50,52の先端部に接着し、固着してある。
【0044】
ここで外装部材80は軸方向にストレート形状をなす直筒状をなしており、光ファイバ50,52の先端部を軸線方向に直線状に保持している。
尚、外装部材80を光ファイバ50,52の先端部に設けるための手段として、かかる外装部材80を熱収縮チューブにて構成し、そして熱収縮チューブに予め接着処理を施しておいて、これを加熱により収縮させ、光ファイバ50,52の外面に密着させるとともに、その接着剤にて全周に亘り水密シール状態に固着するようになすことができる。
【0045】
ここではかかる外装部材80として住友電気工業(株)製のスミチューブW3C(材質はポリオレフィン)が用いられている。
【0046】
この外装部材80には、軸方向の中間個所に環状凸部82が備えられている。
一方、図3(A)に示しているように吐水口部材56には、上記の吐水路62の上側の個所において、これを管軸方向に貫通する一対の挿入孔84が設けられている。
ここで挿入孔84は、図3(A)及び図4(B)に示しているように先端側の小径部86と、奥側の大径部88とを有しており、それらの境界部が段付部90とされている。
【0047】
上記光ファイバ50,52の先端部に外装された外装部材80は、それら光ファイバ50,52の先端部とともに、この吐水口部材56の挿入孔84に挿入され、そして環状凸部82が挿入孔84の段付部90に当接せしめられている。
このとき、光ファイバ50,52の各先端にて構成された投光部70,受光部72が、吐水口部材56における挿入孔84の先端の窓部92に位置した状態となる。
【0048】
外装部材80には、環状凸部82によってその後側(図3中右側)に環状の凹部94が形成され、そこに弾性を有する環状のシール部材としてのOリング96が保持されている。
そしてこのOリング96によって、外装部材80と吐水口部材56との間が水密にシールされている。
【0049】
外装部材80に形成された上記の環状の凹部94は、その後側(図中右側)の溝側面が開放された形状をなしており、その開放部が、外装部材80の奥側(後側)において挿入孔84の大径部88に挿入された抜止部材98によって閉鎖されている。換言すれば凹部94の一方の溝側面がこの抜止部材98の前端面(左端面)にて形成されている。
【0050】
抜止部材98は、Oリング96を外装部材80から抜止めし且つ、外装部材80の図中右方向の奥側への移動を阻止し、上記吐水口部材56の段付部90と協働して外装部材80、つまり光ファイバ50,52の先端部を軸線方向に位置決固定する働きを有するもので、図3(A)に示しているように図中右端が上記の金属製の壁60にシール部材61を介して当接せしめられている。
【0051】
抜止部材98は、図4に示しているように一対の半リング状をなす抜止部100と、それらを連結する連結部102とを有する形態をなしている。
この抜止部材98は、一対の抜止部100を光ファイバ50,52のそれぞれに対して、上記の外装部材80の奥側で嵌め合せて外装部材80に対し軸線方向に係合させ、外装部材80の図中右方向への後退移動を阻止するように働く。
【0052】
上記接続部材54は、図5に示しているように全体として管状をなしており、その下端部に上記の給水チューブ38が差込状態に接続されている。
ここで給水チューブ38は、接続部材54の下端部の爪104(図6参照)によって抜止めされている。
【0053】
接続部材54は、図6にも示しているように上端部に円環状の大径部106を一体に有しており、その大径部106が、図5に示しているように吐水管12の基端側の挿通管20に対し、開口42を通じて上向きに差し込まれ、挿通管20の嵌合凹部108に嵌合せしめられている。
【0054】
この大径部106には外面に環状の凹部110が設けれていて、そこに弾性を有する環状のシール部材としてのOリング112が保持され、このOリング112によって、大径部106と挿通管20との間が水密にシールされている。
給水チューブ38は、この接続部材54の内部の連通空間114を介して吐水管12内部の通水空間58に連通せしめられている。
【0055】
従って給水チューブ38を通じて図中上向きに送られた水は、接続部材54の連通空間114を図中上向きに流れた後、吐水管12内部の通水空間58へと流れ込み、更に吐水管12内の通水空間58を流通した後、先端部の吐水口部材56の吐水口63から吐水される。
尚、挿通管20に上向きに差し込まれた大径部106は、挿通管20の下端部に装着された金属製のCリング等の止め輪116によって、挿通管20から抜止めされている。
【0056】
また図6にも示しているように、接続部材54にはその上端に回転方向の位置決突起118が設けられており、その位置決突起118が、これに対応して挿通管20に形成された位置決凹部120に嵌合し、それらの凹凸嵌合によって接続部材54が吐水管12に対して、詳しくは挿通管20に対して回転方向に位置決めされている。
【0057】
接続部材54にはまた、連通空間114とは異なった個所において、通水空間58から下方の外部空間に到る貫通の一対の挿通孔122が設けてあり、そこに光ファイバ50,52が挿通されることで、光ファイバ50,52が通水空間58から下方の外部空間へと取り出されている。
この挿通孔122は、図中下側の小径部124と、上側の大径部126とを有していて、その境界部が段付部128とされている。
【0058】
130は、その大径部126を環状の凹部として、そこに収容保持された弾性を有する環状のシール部材としてのOリングで、このOリング130によって、挿通孔122に挿通された光ファイバ50,52と接続部材54との間が水密にシールされている。
即ち、光ファイバ50,52が吐水管12の基端部に対し、接続部材54を介して取り付けられ、且つOリング130,接続部材54の大径部106、更にOリング112によって水密シール状態とされている。
【0059】
挿通孔122の大径部126にはまた、上記と同様の構成の抜止部材98が差し込まれ、かかる抜止部材98によって、Oリング130が図中上側に抜け防止されている。
ここで抜止部材98は、一対の抜止部100が対応する一対の挿通孔122の大径部126に図中下向きに差し込まれてOリング130を抜け防止している。
【0060】
この実施形態では、図3に示す吐水口部材56に対して光ファイバ50,52の先端部を外装部材80,抜止部材98を介して位置決状態に取り付けておき、そして図5に示す接続部材54を吐水管12から外した状態の下で、光ファイバ50,52を吐水管12内に挿入しつつ、吐水口部材56を吐水管12の先端の開口16からその内部に押し込んで吐水管12の先端部に固定状態に取り付ける。
【0061】
一方、吐水管12の基端側においては光ファイバ50,52を、予め吐水管12から外してある接続部材54の挿通孔122に挿通し、更に接続部材54にOリング130,抜止部材98を装着して、接続部材54を光ファイバ50,52に対し相対移動させながら吐水管12の挿通管20に図中上向きに嵌め込み、止め輪116によりこれを抜止めする。
そしてこれにより光ファイバ50,52を、その先端部及び吐水管12からの取出部において、それぞれ吐水管12の先端部及び基端部に対し水密シール状態に取り付けることができる。
【0062】
以上のような本実施形態においては、光ファイバ50,52の先端部を吐水管12の内部の吐水口部材56に取り付けることで、光ファイバ50,52の先端部を容易に吐水管12に取り付けることができる。
またその吐水口部材56と光ファイバ50,52の先端部との間をOリング96にてシールする際、本実施形態ではOリング96を直接光ファイバ50,52の先端部に嵌め合せる必要はなく、光ファイバ50,52の先端部に水密結合された外装部材80に対してOリング96を嵌め合せれば良い。
その際、外装部材80は光ファイバ50,52に対して外径の大きなものであるため、嵌め合せ作業を容易に行うことができ、またそれらの間のシールの信頼性を高めることができる。
【0063】
また外装部材80は光ファイバ50,52よりも可撓変形抵抗の大きな高剛性の部材として構成しておくことができるため、外装部材80のシール近傍位置での変形を抑制し得るとともに、外装部材80は光ファイバ50,52に対して太いものであることから、外装部材80にOリング96を嵌め合せる際にOリング96を十分に圧縮弾性変形させ得て密着性を高めることができ、そのことによってもシール性能を高めることができる。
【0064】
また本実施形態では、光ファイバ50,52の先端部を吐水管12に対して直接シール状態に組み付けなくても良く、外装部材80を介して吐水口部材56に組み付ければ良いため組付作業を容易に行うことができる。
【0065】
更に本実施形態では外装部材80の外面に環状の凹部94を設けて、その凹部94にOリング96を保持させるようになしているため、Oリング96を所望の位置に組付けし易い。
【0066】
また上記外装部材80は軸方向にストレート形状をなす直筒状となして、光ファイバ50,52の先端部を軸線方向に直線状に保持するようになしてあるため、光ファイバ50,52及び外装部材80の曲りによって、Oリング96と外装部材80との間の密着性が損なわれて、そのことがシール性能の低下に繋がる問題を回避することができる。
【0067】
本実施形態では、外装部材80に光ファイバ50,52の軸線方向の位置決用の環状凸部82を、また吐水口部材56に対応する凹部(大径部88)を設けていることから、光ファイバ50,52の先端部をOリング96を介して吐水管12の先端部に組み付けるに際し、それら光ファイバ50,52の先端部を、予め設定された適正位置に容易に位置決状態に取付固定することができる。
【0068】
また本実施形態においては、吐水管12の基端部と給水チューブ38とを接続部材54にて接続するようになし、そしてその接続部材54に光ファイバ50,52を挿通して、それら光ファイバ50,52を通水空間58から外部へと取り出すようになしていることから、光ファイバ50,52を吐水管12内から外部への取出部において、吐水管12の基端部に容易に位置決状態に取付固定することができる。
また光ファイバ50,52を吐水管12から取り出してメンテナンスする際の作業性も良好となる。
【0069】
更に光ファイバ50,52と接続部材54との間をOリング130にて水密にシールすることで、更には接続部材54と吐水管12の基端側の内面との間を、それらの間に介在させたOリング112にて水密にシールすることで、光ファイバ50,52を吐水管12の基端部に対して容易に水密シール状態とすることができる。
【0070】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば外装部材80の外面の環状の凹部を、一対の溝側面を備えた形態の凹部として設けておくといったことも可能であるし、また上記実施形態では外装部材80の側に凸部を、また吐水口部材56の側に凹部を設けて、それらの凹凸係合により光ファイバの先端部を軸線方向に位置決めするようになしているが、これとは逆に外装部材の側に凹部を、また吐水口部材56若しくはこれとは異なった別の先端部材の側に凸部を設けて、それらの凹凸係合により光ファイバを軸線方向に位置決めするようになすことも可能である。また通水空間58に直接給水するものでなく、通水空間に通水チューブを通して吐水管の先端部へ給水するようにしてもよい等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 自動水栓
12 吐水管
50,52 光ファイバ
54 接続部材
56 吐水口部材
58 通水空間
61 シール部材
63 吐水口
70 投光部
72 受光部
80 外装部材
82 環状凸部
84 挿入孔
94 凹部
96,112,130 Oリング
114 連通空間
122 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子からの光を導く投光側の光ファイバと、検知対象からの反射光を受光素子に導く受光側の光ファイバとを吐水管の先端部に到るまで該吐水管の内部の通水空間に通して、該投光側の光ファイバの先端にて光センサの投光部を、該受光側の光ファイバの先端にて該光センサの受光部をそれぞれ構成し、該光センサによる検知対象の検知に基づいて吐水口から吐水する自動水栓において、
前記光ファイバの先端部に筒状をなす外装部材を水密且つ外嵌状態に結合して外装し、該外装部材を前記吐水管の先端部の内部に且つ該吐水管の内面に対して水密に設けた先端部材の挿入孔に挿入した上、該外装部材の外面と該挿入孔の内面との間を弾性を有する環状のシール部材にて水密にシールしたことを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記先端部材が吐水口を備えた吐水口部材であって、前記通水空間から該吐水口に到る通水部以外の個所に前記挿入孔が設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記外装部材の外面に環状の凹部が設けてあって、該凹部に前記シール部材が保持させてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記外装部材が軸方向にストレート形状をなす直筒状をなしており、前記光ファイバを軸線方向に直線状に保持していることを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記外装部材と前記先端部材との一方に前記光ファイバの軸線方法の位置決用の凸部が、また他方には対応する凹部が設けてあることを特徴とする自動水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−144588(P2011−144588A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7498(P2010−7498)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】