説明

経皮吸収製剤

【課題】支持体、粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、粘着剤層中に含有される副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制して、長期間にわたり、薬剤の効果の発現に充分な量の薬剤を持続的に経皮吸収させることができるとともに、粘着剤の粘着特性が損なわれず、皮膚刺激も少ない経皮吸収製剤を提供すること。
【解決手段】支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、好ましくは0.1〜5.0質量%の酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする前記経皮吸収製剤、並びに、経皮吸収製剤の皮膚透過抑制剤としての酢酸ビニル樹脂の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副腎皮質ステロイド薬剤を含有するポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の経皮吸収製剤(以下、「パッチ」または「貼付剤」ということがある。)として、支持体の片面に、薬理作用を有する薬物を含有する粘着剤層を形成した層構成を備える経皮吸収製剤が知られている。経皮吸収製剤は、粘着剤層面を皮膚に貼付することにより、薬物を経皮的に投与することができる。
【0003】
粘着剤層に含有させる薬物として、ベタメタゾン吉草酸エステル等の副腎皮質ステロイド(以下、「副腎皮質ホルモン」ということもある。)薬剤を使用した経皮吸収製剤が知られている。例えば、特開平8−53354号公報(特許文献1)には、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を含有する基剤成分に、薬効成分として、吉草酸ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、吉草酸酢酸プレドニゾロン等から選択された副腎皮質ホルモン剤を含有する水性貼付剤が記載されている。また、国際公開第01/91757号(特許文献2)には、支持体上にベタメタゾン誘導体等のステロイド性抗炎症薬を含有する粘着剤層を設けた貼付剤が記載されており、粘着剤として、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられ、これらの中でも、ゴム系粘着剤が好ましいとされている。
【0004】
経皮吸収製剤の薬物を含有する粘着剤層に含有される粘着剤には、常温で皮膚面に粘着貼付することができ、かつ、粘着剤層中に含有される薬物を皮膚面から経皮的に投与できるものであるとともに、使用中に、皮膚に過度の刺激を与えず、使用後には、皮膚から容易に剥離できることが求められる。
【0005】
このような粘着剤の基剤成分としては、アクリル系粘着剤((メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体を主成分として含有する。)、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤(合成イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/スチレンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンゴム等の合成ゴム成分を主成分として含有する。)、シリコーン系粘着剤(ジメチルシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンを主成分として含有する。)、ビニルエステル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤などが、従来から使用されている。
【0006】
経皮吸収製剤の粘着剤層の基剤成分として、皮膚刺激等が少なく、薬物の含量安定性に優れたものとして、ポリイソブチレンを使用することが知られている。特開平4−99720号公報(特許文献3)には、500〜4,000の粘度平均分子量を有する第一ポリイソブチレンと、10,000〜200,000の粘度平均分子量を有する第二ポリイソブチレンと、900,000〜2,100,000の粘度平均分子量を有する第三ポリイソブチレンの群から選ばれる二種以上のポリイソブチレンの混合物中に、ツロブテロールを含有させてなる経皮投与用医薬製剤が記載されている。
【0007】
特開2004−292379号公報(特許文献4)には、支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び、極性のある薬剤等の薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤において、該基剤層が、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有する貼付剤が記載されており、エラストマーとして、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、ポリイソプレン、ポリイソブチレンまたはブチルゴム等が挙げられている。ただし、実施例としては、SISを使用する具体例が記載されている。また、薬物の放出を制御できる経皮吸収製剤として、特開平5−271056号公報(特許文献5)には、酸化チタン、シリカ、ケイ酸アルミニウム等の平均粒径が80μm以下の微粉体を、熱可塑性エラストマー、アクリル系、シリコーン系またはポリイソブチレン系の粘着剤ベースに配合する全身性薬物経皮投与製剤が開示されている。ただし、実施例としては、SISを使用する具体例が記載されている。
【0008】
一方、副腎皮質ステロイド薬剤は、過度に体内に経皮吸収されると、接触皮膚炎、皮膚萎縮、毛細血管拡張等の副作用を起こす危険性がある。しかし、従来、粘着剤層中に、薬物として副腎皮質ステロイド薬剤を含有する経皮吸収製剤において、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過性を十分に抑制することは難しかった。例えば、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制するために、経皮吸収製剤1枚当たりの副腎皮質ステロイド薬剤含量を小さくすると、薬剤の皮膚透過性の持続性を損なう可能性がある。また、皮膚透過性を抑制するために、粘着剤層に添加物を多量に含有させると、粘着剤の粘着特性等が大きく変化し、短期間で皮膚から剥離したり、皮膚刺激が強くなったりすることがあった。
【0009】
そこで、粘着剤層中に含有される副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制して、長期間に亘って、薬剤の効果の発現に充分な量の薬剤を持続的に経皮吸収させることができるとともに、粘着剤の粘着特性が損なわれず、皮膚刺激も少ない経皮吸収製剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−53354号公報
【特許文献2】国際公開第01/91757号
【特許文献3】特開平4−99720号公報
【特許文献4】特開2004−292379号公報
【特許文献5】特開平5−271056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、支持体、粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、粘着剤層中に含有される副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制して、長期間にわたり、薬剤の効果の発現に充分な量の薬剤を持続的に経皮吸収させることができるとともに、粘着剤の粘着特性が損なわれず、皮膚刺激も少ない経皮吸収製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、粘着剤層をポリイソブチレン粘着剤層とするとともに、ポリイソブチレン粘着剤層が酢酸ビニル樹脂を含有することによって、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明によれば、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、該ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする前記経皮吸収製剤が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(4)の経皮吸収製剤が提供される。
(1)ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、0.05〜2.0質量%の副腎皮質ステロイド薬剤、及び、0.1〜5.0質量%の酢酸ビニル樹脂を含有する前記の経皮吸収製剤。
(2)副腎皮質ステロイド薬剤が、ベタメタゾン吉草酸エステルである前記の経皮吸収製剤。
(3)ポリイソブチレン粘着剤層が、異なる分子量を有する2種以上のポリイソブチレンを含有する前記の経皮吸収製剤。
(4)ポリイソブチレン粘着剤層が、800,000〜1,500,000の粘度平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、10,000〜200,000の粘度平均分子量を有する第2のポリイソブチレンとを含有する前記の経皮吸収製剤。
【0015】
さらに、本発明によれば、経皮吸収製剤の皮膚透過抑制剤としての酢酸ビニル樹脂の使用が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする前記経皮吸収製剤であることによって、粘着剤層中に含有される副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制して、長期間にわたり、薬剤の効果の発現に充分な量の薬剤を持続的に経皮吸収させることができるとともに、粘着剤の粘着特性が損なわれず、皮膚刺激も少ない経皮吸収製剤を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1、参考例2、比較例1及び比較例2の経皮吸収製剤の副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過性を判定するために行ったAUEC(製剤除去後の蒼白化の強度−時間曲線下面積)の算出結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の経皮吸収製剤は、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤である。
【0019】
1.支持体
支持体としては、一般に、プラスチックフィルム、編布、不織布、紙、あるいはこれらを複合化した多層シートなどが用いられている。経皮吸収製剤(貼付材)は、人の皮膚面に貼付して使用されるものであるため、その支持体には、柔軟性があって、貼付中に違和感を感じさせないことが求められている。
【0020】
支持体が柔軟性に乏しいものであると、経皮吸収製剤を皮膚に貼付したとき、皮膚表面にストレスを与え、違和感が生じることに加えて、皮膚刺激性が大きくなる。他方、支持体の柔軟性が大きすぎると、経皮吸収製剤が柔らかくなりすぎて、皮膚に貼付する際の取り扱い性が悪くなる。
【0021】
また、支持体の材質によっては、粘着剤層中に含まれる薬物を吸着して、皮膚に浸透薬物の量を低下させる場合があるので、支持体としては、薬物の吸収性が低いものが好ましい。さらに、薬物の安定的な保持と良好な皮膚透過性を得るには、支持体として、透湿性の低いフィルムなどを用いて、密封効果を高めることが好ましい。
【0022】
本発明の経皮吸収製剤における支持体は、特に限定されず、例えば、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、和紙、グラシン紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、セロハンフィルムなどのプラスチックフィルム;発泡体;不織布、織布、編布等の布帛類;これら2種以上の積層体;などが挙げられる。不織布、織布、編布等の布帛類の材質としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。これらの支持体の中でも、副腎皮質ステロイド薬剤の吸着がなく、貼付下の皮膚面の動きに対する追随性に優れる点で、プラスチックフィルムが好ましく、特に、ポリエチレンフィルムが好ましい。支持体は、着色剤により肌色などの色調に着色することができる。例えば着色剤としては、顔料、有機顔料、天然色素などが挙げられる。支持体は、帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を本発明の効果を阻害しない程度含むことができる。帯電防止剤としては、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)等が挙げられる。帯電防止剤により、支持体の投錨性や工程上の不具合を解消することができる。
【0023】
支持体の厚みは、伸び、引張り強さ、作業性などの物理的性質や貼付時の感触や患部の密閉性、薬物の支持体への移行等を考慮して適宜選択可能であるが、通常5μmから1mmである。支持体が布帛類である場合、その厚みは、好ましくは50μm〜1mm、より好ましくは100〜800μm、更に好ましくは200〜700μmである。支持体がプラスチックフィルムである場合、その厚みは、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、更に好ましくは15〜150μmである。支持体の厚みが5〜30μm程度である場合は、該支持体の粘着剤層と反対側の面上に剥離可能なキャリアフィルム層を設けると、経皮吸収製剤としての取り扱い性が向上するので好ましい。支持体の厚みが5μm未満であると、経皮吸収製剤の強度や取り扱い性が低下して、皮膚への貼付が困難になり、他の部材等との接触によって破れたり、入浴等の水との接触によって、短時間で皮膚から剥離したりすることがある。支持体の厚みが1mmを超えると、経皮吸収製剤が、皮膚の動きに追随しにくくなり、経皮吸収製剤の辺縁部に剥がれるきっかけが形成されやすく、短期間で皮膚から剥離したり、貼付中の違和感が増えたりすることがある。また上記支持体は、所望によりはっ水処理や、粘着剤層との密着性を改善する目的にてプライマー処理を施すこともできる。
【0024】
2.ポリイソブチレン粘着剤層
本発明の経皮吸収製剤における粘着剤層は、ポリイソブチレンを基剤樹脂成分とし、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、酢酸ビニル樹脂を含有するポリイソブチレン粘着剤層である。
【0025】
(1)ポリイソブチレン
ポリイソブチレン粘着剤層は、該粘着剤層の全質量に対して、ポリイソブチレンを20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上含有する。ポリイソブチレンは、イソブチレンの重合体であり、副腎皮質ステロイド薬剤の保持及び皮膚への浸透を妨げない限り特に限定されない。ポリイソブチレンの含有量の上限は特にないが、粘着剤層の全質量に対して、通常90質量%、多くの場合80質量%である。ポリイソブチレンは、分子量によって、半固体状のものから、流動性の高いものまで、多様な性質を有するので、粘着剤層の、適度な凝集力と、適度な柔軟性及び皮膚刺激性、並びに、薬剤の皮膚吸収性とを実現できるものを選択することができる。ポリイソブチレンは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができるが、2種以上のポリイソブチレンを含有することが好ましく、3種以上のポリイソブチレンを含有することがより好ましい。
【0026】
粘着剤層の凝集力と、皮膚接着性(皮膚刺激性)、並びに、薬剤の皮膚吸収性とをバランスよく調整可能とするために、異なる分子量を有する2種以上のポリイソブチレンを含有することが好ましく、異なる分子量を有する3種以上のポリイソブチレンを含有することがより好ましい。例えば、相対的に分子量の高いポリイソブチレンは、粘着剤層に適度な凝集力を付与することができ、相対的に分子量の低いポリイソブチレンは、粘着剤層に適度な柔軟性及び皮膚接着性を付与することができる。なお、上記「分子量」は、粘度平均分子量(Mv)を意味する。ポリイソブチレンの粘度平均分子量(Mv)は、フローリー法によって求める。
【0027】
分子量の異なる2種以上のポリイソブチレンの配合割合を調整することによって、皮膚への接着性を調整することが容易となる。例えば、ポリイソブチレン粘着剤層が、800,000〜1,500,000の粘度平均分子量、好ましくは900,000〜1,400,000、より好ましくは1,000,000〜1,300,000の粘度平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、10,000〜200,000、好ましくは20,000〜150,000、より好ましくは30,000〜120,000の粘度平均分子量を有する第2のポリイソブチレンとを含有するものとすることができる。第1のポリイソブチレンと第2のポリイソブチレンとの含有比率(質量比)は、好ましくは99/1〜1/99、より好ましくは90/10〜10/90、更に好ましくは85/15〜15/85、特に好ましくは80/20〜20/80の範囲である。
【0028】
異なる分子量を有する3種以上のポリイソブチレンを含有すれば、これらの調整がより容易となる。例えば、前記ポリイソブチレン粘着剤層が、800,000〜1,500,000の粘度平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、10,000〜200,000の粘度平均分子量を有する第2のポリイソブチレンと、500〜5,000、好ましくは700〜4,000、より好ましくは1,000〜3,000の粘度平均分子量を有する第3のポリイソブチレンとを含有するものとすることができる。第3のポリイソブチレンの含有割合は、第1のポリイソブチレンと第2のポリイソブチレンとの合計100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは5〜90質量部、より好ましくは10〜80質量部の範囲である。
【0029】
ポリイソブチレンは、特に製造方法が限定されず、一般に採用される溶液重合法、懸濁重合法または乳化重合法により製造することができる。市販のポリイソブチレンとしては、例えば、BASFジャパン社製のオパノール(登録商標)シリーズ、JX日鋼日石エネルギー株式会社製のハイモール(登録商標)シリーズなどから、所望の分子量等のものを選択することができる。
【0030】
(2)副腎皮質ステロイド薬剤
本発明の経皮吸収製剤におけるポリイソブチレン粘着剤層は、副腎皮質ステロイド薬剤を、該粘着剤層の全質量に対して、通常、0.05〜2.0質量%、好ましくは0.08〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%の範囲の量で含有する。副腎皮質ステロイド薬剤の含有量が少なすぎると、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚への透過量が少なくなり、また、治療等の持続性が不十分となり、十分な薬効が得られない。副腎皮質ステロイド薬剤の含有量が多すぎると、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過量が多くなり、副作用の可能性や皮膚刺激が増大する一方、薬理効果の増大は期待できないことがある。
【0031】
本発明で使用する副腎皮質ステロイド薬剤としては、外用に使用される副腎皮質ステロイド薬剤であれば、特に限定はされない。例えば、コルチゾン、ハイドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、パラメタゾン、これらの誘導体及び/またはその塩類が挙げられる。誘導体としては、例えば、プロピオン酸エステル、吉草酸エステル、こはく酸エステル、しゅう酸エステル、マロン酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル等のエステル置換体;ファルネシル基置換体;これらの置換体の塩;などを挙げることができる。塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩などが挙げられる。これらの中でも、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸ジフルコルトロン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン吉草酸エステル、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、及び/またはその塩類が好ましい。特に好ましくは、ベタメタゾン吉草酸エステルである。副腎皮質ステロイド薬剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
(3)酢酸ビニル樹脂
本発明の経皮吸収製剤におけるポリイソブチレン粘着剤層は、副腎皮質ステロイド薬剤とともに酢酸ビニル樹脂を含有する点に特徴を有し、該酢酸ビニル樹脂は、経皮吸収製剤の皮膚透過抑制剤として使用される。酢酸ビニル樹脂の含有量は、該粘着剤層の全質量に対して、通常0.1〜5.0質量%、好ましくは0.15〜4.0質量%、より好ましくは0.18〜3.0質量%、更に好ましくは0.2〜2.0質量%の範囲内である。酢酸ビニル樹脂の配合割合が低すぎると、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過性を抑制することができない。酢酸ビニル樹脂の含有量が多すぎると、充分な薬効効果が得られず、また粘着剤層を構成するポリイソブチレンや、後述する粘着付与剤等他の配合成分の配合割合が低くなり、粘着剤層の粘着性が低下する。
【0033】
酢酸ビニル樹脂としては、種々のグレードのものが用いられるが、ポリイソブチレンや粘着付与剤等他の配合成分との混和性の観点から、重合度が100〜600の範囲内にある酢酸ビニル単独重合体が好ましい。このような酢酸ビニル樹脂は、工業的規模で大量生産されているため、比較的低コストで入手することができ、例えば、ゴーセニールNZ−3(日本合成化学工業株式会社製、数平均分子量:30,000)などがある。
【0034】
(4)その他の添加剤
本発明の経皮吸収製剤は、必要に応じて、ポリイソブチレン粘着剤層に、好ましくは0.05〜2.0質量%の副腎皮質ステロイド薬剤、及び、好ましくは0.1〜5.0質量%の酢酸ビニル樹脂とともに、粘着付与剤(粘着増強剤)を含有させて、ポリイソブチレン粘着剤層の粘性を増大させてもよい。粘着付与剤としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、クロマンインデン樹脂、石油樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。これら粘着付与剤(粘着増強剤)は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。テルペン樹脂や石油樹脂が好ましく使用され、例えば、YSレジン(ヤスハラケミカル株式会社製)、クイントン(登録商標、日本ゼオン株式会社製)、エスコレッツ(トーネックス株式会社製)、ハイレッツ(登録商標、三井化学株式会社製)等が挙げられる。粘着付与剤の含有量は、該粘着剤層の全質量に対して、通常2〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜35質量%の範囲である。
【0035】
また、本発明の経皮吸収製剤は、必要に応じて、ポリイソブチレン粘着剤層に、さらに、軟化剤(可塑剤)、酸化防止剤(抗酸化剤)、充填剤、顔料、経皮吸収促進剤、薬物安定化剤、薬物溶解性向上剤、薬物溶解性抑制剤など、通常、経皮吸収製剤の粘着剤層に配合される添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの添加剤の含有量は、添加剤等の配合目的により異なるが、該粘着剤層の全質量に対して、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.05〜40質量%、より好ましくは0.1〜35質量%の範囲である。
【0036】
例えば、軟化剤(可塑剤)としては、流動パラフィンなどの石油系軟化剤;液状ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状ゴム系軟化剤;フタル酸エステル、アジピン酸エステル等の二塩基酸エステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、クエン酸エステル等のその他の可塑剤;などが挙げられる。流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリイソプレンなど極性の低い軟化剤は、ポリイソブチレンとの相溶性に優れ、かつ、その凝集力を低下させる虞がないため、好ましく使用され、例えば、ハイコール(登録商標、カネダ株式会社製の流動パラフィン)Mシリーズや日石ポリブテン(JX日鉱日石エネルギー株式会社製のポリブテン)シリーズ等が挙げられる。
【0037】
また、酸化防止剤としては、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、天然ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル等が用いられる。充填剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、メタケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等が用いられる。
【0038】
(5)ポリイソブチレン粘着剤層の厚み
本発明の経皮吸収製剤におけるポリイソブチレン粘着剤層の厚みは、通常20〜500μm、好ましくは30〜400μm、より好ましくは35〜350μm、更に好ましくは40〜300μmの範囲である。ポリイソブチレン粘着剤層の厚みが小さすぎると、皮膚粘着性が不足したり、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚吸収の持続性が不十分となったりする。ポリイソブチレン粘着剤層の厚みが大きすぎると、剥離時に皮膚に粘着剤が多量に残留することや取り扱い性が低下することがあり、また、溶展法により塗工をする場合には、溶媒が残留することがある。
【0039】
ポリイソブチレン粘着剤層は、単一のポリイソブチレン粘着剤層として形成してもよいし、複数のポリイソブチレン粘着剤層を積層して形成してもよい。ポリイソブチレン粘着剤層が、複数のポリイソブチレン粘着剤層を積層して形成したものである場合、ポリイソブチレン粘着剤層の厚みは、複数のポリイソブチレン粘着剤層の厚みの合計を意味する。また、例えば、溶液重合した溶剤系ポリイソブチレン粘着剤層と乳化重合したエマルション系ポリイソブチレン粘着剤層とを組み合わせて積層して形成したり、架橋したポリイソブチレン粘着剤層と未架橋のポリイソブチレン粘着剤層とを組み合わせて積層して形成することもできる。
【0040】
3.ライナー
本発明の経皮吸収製剤におけるライナーは、経皮吸収製剤を皮膚に貼付するまで、ポリイソブチレン粘着剤層を保護し、変質を防止し、経皮吸収製剤を皮膚に貼付する際に、粘着剤層から剥離される層を意味し、経皮吸収製剤において慣用されるものである。ライナーは、粘着剤層の剥離性や柔軟性などを考慮して、適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルムや、合成樹脂、合成紙、合成繊維等にシリコーン加工したシリコーン加工紙、アルミ箔、クラフト紙にポリエチレン等をラミネートしたラミネート加工紙等の無色又は着色したシートを用いることができる。特に、シリコーン処理PETフィルム、シリコーン処理ポリプロピレンフィルム、シリコーン処理ポリエチレンフィルム、フッ素樹脂被覆PETフィルム、フッ素樹脂被覆ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂被覆ポリエチレンフィルム等の離型処理した樹脂フィルムが好ましく用いられ、これらの離型処理した樹脂フィルムと紙とのラミネート、アルミニウムを蒸着させた樹脂フィルム、シリコーンオイル等を塗布した紙なども挙げられる。なお、ライナーの離型処理は、粘着剤層面だけでなく、粘着剤層と反対側の面にも施すことができる。また、経皮吸収製剤を包材から取り出しやすくするために、ライナーの片面または両面に凹凸形状を設けてもよい。ライナーは、副腎皮質ステロイド薬剤を吸収または吸着しにくい材質から形成されたものであることが好ましい。ライナーの厚みは、特に限定されないが、通常10μm〜1mm、好ましくは20〜500μm、より好ましくは40〜200μmの範囲である。
【0041】
4.経皮吸収製剤
本発明の経皮吸収製剤は、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、好ましくは0.1〜5.0質量%の酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする。
【0042】
〔皮膚透過性(薬効)〕
本発明の経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過性は、以下の方法によって評価することができる。すなわち、厚生労働省が生物学的同等性試験として定める「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン」に記載の「2.薬理学的試験」に準ずる方法に従って、副腎皮質ステロイド薬剤の作用により経皮吸収製剤を貼付した部分の皮膚が白くなる蒼白化反応を測定した結果に基づいて、皮膚透過性(薬効)を評価することができる。
【0043】
具体的には、所定人数の健康で皮膚状態が良好な被験者の背部皮膚に設けた所定数の区画に、それぞれ25mmφの円形に切り出した、評価対象となる経皮吸収製剤と対照となる経皮吸収製剤とを、各被験者ごとに前記所定数の各区画に、間隔を空けて、1枚ずつ貼付する(したがって、各被験者ごとに、前記所定数の区画数と同じ枚数の評価対象となる経皮吸収製剤と対照となる経皮吸収製剤とを貼付する。)。それぞれの経皮吸収製剤のライナーを剥がし、粘着剤層を背部皮膚の各区画の皮膚に貼り付け、各区画ごとにあらかじめ定めた所定時間貼付した後、経皮吸収製剤を剥離し、経皮吸収製剤の貼付部位と非貼付部位の皮膚に生じる蒼白化反応の状態を、経皮吸収製剤を剥離してから所定時間経過時ごとに測定する。
【0044】
蒼白化反応の測定は、色彩色差計を使用して測定した値を用いてもよいし、または、肉眼評価により、以下の4段階で判定した値を用いてもよい。
0: 蒼白化なし
1: 軽度の蒼白化
2: 中程度の蒼白化
3: 強度の蒼白化
【0045】
次いで、ステロイド応答性がある被験者についての測定結果について統計解析を行い、評価対象となる経皮吸収製剤と対照となる経皮吸収製剤についてのAUEC(製剤除去後の蒼白化の強度−時間曲線下面積)を求めて、前記ガイドラインに定める本試験における経皮吸収製剤の適用時間を算出し、該適用時間に近い経皮吸収製剤の貼付時間(前記のあらかじめ定めた所定時間から選択する。)を経皮吸収製剤の適用時間として、評価対象となる経皮吸収製剤と対照となる経皮吸収製剤とのそれぞれに含有される副腎皮質ステロイド薬剤に関するAUECを算出して、皮膚透過性(薬効)の評価を行う。AUECが大きいほど、皮膚透過性(薬効)が大きいと評価され、AUECが小さいほど、皮膚透過性(薬効)が小さい(抑制されている)と評価される。
【0046】
〔経時安定性(薬物保存性)〕
本発明の経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の経時安定性(薬物保存性)は、以下の方法によって測定する。すなわち、経皮吸収製剤を、温度40℃、相対湿度75%の雰囲気下に、1か月、2か月、4か月及び6か月の期間保存した後の副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を測定し、保存前の副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を初期値(100%)として、保存後に残存する副腎皮質ステロイド薬剤の含有量の比率(以下、「薬物残存率」という。)(%)を算出する。なお、薬物残存率が90%を下回ったときは、それ以後の保存試験を行わないこととする。
【0047】
副腎皮質ステロイド薬剤の含有量の測定方法は、次のとおりとする。すなわち、皮膚から剥離した経皮吸収製剤を、テトラヒドロフランが入った密封可能なガラス容器中に浸漬して、粘着剤層を溶解させる。その後、水を加え、激しく振り混ぜて、ポリマー成分を凝集させ、メンブランフィルターでろ過した液を試料溶液として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を求める。
【0048】
〔薬物吸収率〕
本発明の経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の薬物吸収率は、以下の方法により測定する。すなわち、若干名の健康で皮膚状態が良好な被験者の上腕内側の皮膚に、25mmφの円形に切り出した経皮吸収製剤を、被験者ごとに各1枚ずつ貼付する。具体的には、それぞれの経皮吸収製剤のライナーを剥がして、粘着剤層を皮膚に貼付し、10時間経過後に、経皮吸収製剤を皮膚から剥離して、経皮吸収製剤の粘着剤層中の副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を測定し、貼付前の副腎皮質ステロイド薬剤の含有量に対する比率(質量%)を算出し、経皮吸収製剤の「薬物吸収率(質量%)」とする。なお、粘着剤層を皮膚に貼付した後、10時間経過前に、皮膚から脱落した経皮吸収製剤は、薬物吸収率(質量%)算出の計算基礎から除外する。
【0049】
副腎皮質ステロイド薬剤の含有量の測定方法は、次のとおりとする。すなわち、皮膚から剥離した経皮吸収製剤を、テトラヒドロフランが入った密封可能なガラス容器中に浸漬して、粘着剤層を溶解させる。その後、水を加え、激しく振り混ぜて、ポリマー成分を凝集させ、メンブランフィルターでろ過した液を試料溶液として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を求める。
【0050】
5.経皮吸収製剤の製造方法
本発明の経皮吸収製剤は、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、該ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、酢酸ビニル樹脂を含有するものである限り、その製造方法は特に限定されず、通常の支持体、粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤の製造方法を採用することができる。一般的な経皮吸収製剤の製造方法であるホットメルト法や、カレンダー法や溶展法などを採用することができ、中でも溶展法が好ましい。溶展法とは、必要な成分を溶剤に溶解してライナーまたは支持体に展開し、その後溶剤を蒸散してライナーまたは支持体と貼り合わせ、次いで適当な形状に裁断して経皮吸収製剤を得る方法である。
【0051】
本発明の経皮吸収製剤の一つの製造方法として、ベタメタゾン吉草酸エステル等の副腎皮質ステロイド薬剤を含有するポリイソブチレン粘着剤を、ライナーまたは支持体の一方に塗工してポリイソブチレン粘着剤層を形成した後に、該粘着剤層を支持体またはライナーの他方と一体化させる方法により製造することができる。塗工に用いる副腎皮質ステロイド薬剤を含有するポリイソブチレン粘着剤としては、ポリイソブチレン粘着剤の溶液またはエマルションのいずれも使用することができる。また、副腎皮質ステロイド薬剤を含有するポリイソブチレン粘着剤の塗工を複数回行うことにより、複数のポリイソブチレン粘着剤層を貼り合わせ、積層させることによって、ポリイソブチレン粘着剤層を形成してもよい。塗工方法は、特に限定されず、例えば、各成分を含有する上記ポリイソブチレン粘着剤の溶液またはエマルション等を、ナイフコーター、コンマコーターまたはリバースコーター等の汎用の塗工機を用いて塗工することができる。得られた経皮吸収製剤は、使用用途に応じて楕円形、円形、正方形、長方形などの所定の形状及び大きさに裁断する。経皮吸収製剤は、通常、厚み6〜50μm程度のアルミニウム等の金属箔の包装袋に収納し、空気をある程度抜いた状態、好ましくは窒素置換された状態で密封する。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例、比較例、参考例及び対照例を示して、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
I.ポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤の薬物の皮膚透過性
[参考例1:ポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤の製造]
ポリイソブチレン粘着剤層の基剤樹脂として、ポリイソブチレン(I)〔BASFジャパン製のオパノール(登録商標)B100、Mv;1,110,000〕100質量部及びポリイソブチレン(II)〔JX日鉱日石エネルギー株式会社製のハイモール(登録商標)5H、Mv;50,000〕50質量部、粘着付与剤として、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製のYSレジンPX1150N)75質量部、軟化剤として、ポリブテン(JX日鉱日石エネルギー株式会社製の日石ポリブテンHV−300F)50質量部及び流動パラフィン〔カネダ株式会社製のハイコール(登録商標)M−352〕50質量部、並びに、薬物として、副腎皮質ステロイドであるベタメタゾン吉草酸エステル0.39質量部を、それぞれ秤量後、全体の固形分が、トルエン/ヘキサン=6/4溶液中で30質量%となるように調製し、均一になるまで攪拌して、ポリイソブチレン粘着剤溶液を得た。
【0054】
該ポリイソブチレン粘着剤溶液を、乾燥後の粘着剤層の厚みが50μmとなるように、経皮吸収製剤のライナーとなる厚み75μmの片面シリコーン処理PETフィルム〔藤森工業株式会社製フィルムバイナ(登録商標)75E−0010BD)のシリコーン処理面上に塗布し、温度120℃で3分間乾燥させて、ポリイソブチレン粘着剤層を形成した。次いで、ポリイソブチレン粘着剤層のライナーの反対側の面に、経皮吸収製剤の支持体となる厚み63μmのポリエチレンフィルム(ジェイフィルム株式会社製YRN−63)を貼り合わせた後、所定形状に裁断し、参考例1の経皮吸収製剤を得た。
【0055】
参考例1の経皮吸収製剤が備えるポリイソブチレン粘着剤層の組成は、以下のとおりである。
ポリイソブチレン 46.10質量%
テルペン樹脂 23.05質量%
ポリブテン 15.37質量%
流動パラフィン 15.37質量%
ベタメタゾン吉草酸エステル 0.12質量%
【0056】
[対照例:ゴム粘着剤層を備える経皮吸収製剤の製造]
参考例1の経皮吸収製剤のポリイソブチレン粘着剤層に代えて、以下の組成の天然ゴム粘着剤層を形成したことを除いて、参考例1と同様にして、対照例のゴム粘着剤層を備える経皮吸収製剤を得た。対照例の経皮吸収製剤が備えるゴム粘着剤層の組成は、以下のとおりである。
天然ゴム 40.60質量%
石油樹脂(I)〔日本ゼオン株式会社製のクイントン(登録商標)B−170〕
24.36質量%
石油樹脂(II)〔東燃化学株式会社製の脂肪族系石油樹脂エスコレッツ(登録商標)1202U〕 24.36質量%
ポリブテン(JX日鉱日石エネルギー株式会社製の日石ポリブテンHV−300F)
8.12質量%
ポリエチレングリコール〔三洋化成工業株式会社製マクロゴール(登録商標)400〕
2.03質量%
ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤) 0.41質量%
ベタメタゾン吉草酸エステル 0.12質量%
【0057】
〔皮膚透過性(薬効)〕
参考例1及び対照例の経皮吸収製剤について、厚生労働省が生物学的同等性試験として定める「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン」に記載の「2.薬理学的試験」に準ずる方法に従って、蒼白化反応を測定した結果に基づいて、皮膚透過性(薬効)を評価した。
【0058】
具体的には、健康で皮膚状態が良好な成人男性12名の被験者の背部皮膚に設けた5区画に、参考例1及び対照例の経皮吸収製剤(25mmφの円形に切り出した)を、各被験者ごとにそれぞれ5枚ずつ用いて、試験を行った。それぞれの経皮吸収製剤のライナーを剥がし、粘着剤層を背部皮膚に設けた前記5区画の皮膚の各区画に、参考例1及び対照例の経皮吸収製剤を間隔を空けて1枚ずつ貼り付けた。各区画ごとに貼付時間として定めた0.5、1、2、4または6時間が経過するまで貼付した後に、経皮吸収製剤を剥離し、参考例1及び対照例の経皮吸収製剤の貼付部位と非貼付部位の皮膚に生じる蒼白化反応を、経皮吸収製剤を剥離してから2、4、6及び24時間経過するごとに、色彩色差計を使用して測定した。
【0059】
次いで、ステロイド応答性がある被験者の測定結果について統計解析を行って、参考例1の経皮吸収製剤と対照例の経皮吸収製剤についてのAUEC(製剤除去後の蒼白化の強度−時間曲線下面積)を求め、前記ガイドラインに定める本試験における経皮吸収製剤の適用時間を算出したところ、2.41時間であったので、該適用時間に近い経皮吸収製剤の貼付時間(0.5、1、2、4または6時間から選択した。)である貼付時間2時間を経皮吸収製剤の適用時間として、経皮吸収製剤に含有される副腎皮質ステロイド薬剤に関するAUECを算出した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1の結果から、参考例1のポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤は、対照例のゴム粘着剤層を備える経皮吸収製剤と比較して、AUEC(製剤除去後の蒼白化の強度−時間曲線下面積)が大きいことが分かり、したがって、ベタメタゾン吉草酸エステルの皮膚透過性(薬効)が大きいことが分かった。ベタメタゾン吉草酸エステル等の副腎皮質ステロイド薬剤は、過度に体内に経皮吸収されると、接触皮膚炎、皮膚萎縮、毛細血管拡張等の副作用を起こす危険性があるので、表1の結果から、ポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤においては、薬物(副腎皮質ステロイド薬剤)の皮膚透過性を抑制するよう制御をする必要があることが分かった。
【0062】
II.薬物の皮膚透過性を抑制するための配合成分の検討
[参考例2:ポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤]
ポリイソブチレン粘着剤層の基剤樹脂として、ポリイソブチレン(I)〔BASFジャパン製のオパノール(登録商標)B100〕100質量部及びポリイソブチレン(II)〔JX日鉱日石エネルギー株式会社製のハイモール(登録商標)5H〕300質量部、並びに、軟化剤として、ポリブテン(JX日鉱日石エネルギー株式会社製の日石ポリブテンHV−300F)100質量部、流動パラフィン〔カネダ株式会社製のハイコール(登録商標)M−352〕50質量部、及び、シリコーン粘着剤1.38質量部を配合し、さらに、薬物として、副腎皮質ステロイドであるベタメタゾン吉草酸エステルを、該粘着剤層の全質量に対して、0.12質量%となるように配合した後、全体の固形分が、トルエン/ヘキサン=6/4溶液中で30質量%となるように調製し、均一になるまで攪拌して、ポリイソブチレン粘着剤溶液を得た。
【0063】
該ポリイソブチレン粘着剤溶液を用いて、参考例1と同様にして、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える参考例2の経皮吸収製剤を得た。
【0064】
[実施例1]
薬物の皮膚透過性を抑制するための配合成分として、さらに、酢酸ビニル樹脂〔日本合成化学工業株式会社製のゴーセニール(登録商標)NZ−3〕を配合して、ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、1.0質量%の酢酸ビニル樹脂を含有するようにしたことを除いて、参考例2と同様にして、実施例1の経皮吸収製剤を得た。
【0065】
[比較例1]
薬物の皮膚透過性を抑制するための配合成分として、さらに、合成ケイ酸アルミニウム〔協和化学工業株式会社製〕を配合して、ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、2.0質量%の合成ケイ酸アルミニウムを含有するようにしたことを除いて、参考例2と同様にして、比較例1の経皮吸収製剤を得た。
【0066】
[比較例2]
薬物の皮膚透過性を抑制するための配合成分として、さらに、ポリビニルピロリドン〔ISP社製のプラスドン(登録商標)K−90〕を配合して、ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、3.0質量%のポリビニルピロリドンを含有するようにしたことを除いて、参考例2と同様にして、比較例2の経皮吸収製剤を得た。
【0067】
参考例2、実施例1、比較例1及び比較例2の経皮吸収製剤について、「I.ポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤の薬物の皮膚透過性」と同様にして、皮膚透過性の判定を行った。なお、被験者は5名とし、経皮吸収製剤の貼付時間は、0.5、1、2及び4時間として、蒼白化反応の測定は、肉眼評価で行い、以下の4段階で判定した。
0: 蒼白化なし
1: 軽度の蒼白化
2: 中程度の蒼白化
3: 強度の蒼白化
【0068】
経皮吸収製剤に含有される副腎皮質ステロイド薬剤に関するAUEC(製剤除去後の蒼白化の強度−時間曲線下面積)の算出結果を図1に示す。
【0069】
図1の結果から、実施例1(ポリイソブチレン粘着剤層が酢酸ビニル樹脂を含有する。)、比較例1(ポリイソブチレン粘着剤層が合成ケイ酸アルミニウムを含有する。)及び比較例2(ポリイソブチレン粘着剤層がポリビニルピロリドンを含有する。)の経皮吸収製剤については、参考例2(ポリイソブチレン粘着剤層が、薬物の皮膚透過性を抑制するための配合成分を含有しない。)の経皮吸収製剤より、AUECが小さいことが分かり、したがって、参考例2の経皮吸収製剤より、副腎皮質ステロイド薬剤であるベタメタゾン吉草酸エステルの皮膚透過が抑制されていることが分かった。また、図1において、実施例1及び比較例1の経皮吸収製剤の曲線が、比較例2の経皮吸収製剤の曲線より下方にあることから、実施例1及び比較例1の経皮吸収製剤における皮膚透過の抑制の度合いが、比較例2の経皮吸収製剤における皮膚透過の抑制の度合いより大きいといえることが分かった。
【0070】
III.副腎皮質ステロイド薬剤の経時安定性(薬物保存性)の評価
図1の結果から、経皮吸収製剤が備えるポリイソブチレン粘着剤層が、酢酸ビニル樹脂または合成ケイ酸アルミニウムを含有する、実施例1または比較例1の経皮吸収製剤においては、副腎皮質ステロイド薬剤であるベタメタゾン吉草酸エステルの皮膚吸収が抑制されていることが分かったので、さらに、ポリイソブチレン粘着剤層が、酢酸ビニル樹脂または合成ケイ酸アルミニウムを含有するポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤について、以下の方法により、副腎皮質ステロイド薬剤の経時安定性(薬物保存性)を調べた。
【0071】
〔経時安定性(薬物保存性)〕
経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の経時安定性(薬物保存性)は、以下の方法によって測定した。すなわち、経皮吸収製剤を、温度40℃、相対湿度75%の雰囲気下に、1か月、2か月、4か月及び6か月の期間保存した後の副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を測定し、保存前の副腎皮質ステロイド薬剤の含有量を初期値(100%)として、保存後に残存する副腎皮質ステロイド薬剤の含有量の比率である薬物残存率(%)を算出した。なお、薬物残存率が90%を下回ったときは、それ以後の保存試験を行わないこととした。
【0072】
経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の含有量の測定方法は、次のとおりとした。すなわち、ライナーを剥離した後、テトラヒドロフランが入った密封可能なガラス容器中に、経皮吸収製剤(ライナーは除いてある。)を浸漬して粘着剤層を溶解させた。その後、副腎皮質ステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)を抽出するための溶媒として水を添加して、振とうにより副腎皮質ステロイド薬剤の抽出を行い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により副腎皮質ステロイド薬剤の定量を行った。
【0073】
先のポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、1.0質量%の酢酸ビニル樹脂を含有する実施例1の経皮吸収製剤について、ベタメタゾン吉草酸エステルの薬物残存率を測定した結果を表2に示す。
【0074】
[比較例3]
ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、1.5質量%の合成ケイ酸アルミニウムを含有するように配合を行ったことを除くほかは、比較例1と同様にして得られた、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤について、ベタメタゾン吉草酸エステルの薬物残存率を測定した結果を表2に示す。なお、4か月保存した段階で、薬物残存率、すなわち、ベタメタゾン吉草酸エステルの初期値に対する残存量が90%を下回ったので、以後の試験は行わなかった。
【0075】
【表2】

【0076】
表2の結果から、酢酸ビニル樹脂を含有するポリイソブチレン粘着剤層を備える実施例1の経皮吸収製剤は、合成ケイ酸アルミニウムを含有するポリイソブチレン粘着剤層を備える比較例3の経皮吸収製剤よりも、副腎皮質ステロイド薬剤であるベタメタゾン吉草酸エステルの経時安定性(薬物保存性)が良好であることが分かった。
【0077】
IV.酢酸ビニル樹脂の含有量による皮膚透過性の制御
支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤において、ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤とともに、酢酸ビニル樹脂を含有することによって、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制することができ、かつ、副腎皮質ステロイド薬剤の薬物保存性が良好であることが分かったので、さらに、以下の実施例2〜4の経皮吸収製剤及び参考例1の経皮吸収製剤を用いて、酢酸ビニル樹脂の含有量と副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過の抑制との関係を調べた。
【0078】
[実施例2]
ポリイソブチレン粘着剤層に、更に酢酸ビニル樹脂〔日本合成化学工業株式会社製のゴーセニール(登録商標)NZ−3〕を配合して、ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、0.25質量%の酢酸ビニル樹脂を含有するようにしたことを除いて、参考例1の支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤と同様にして、実施例2の経皮吸収製剤を得た。
【0079】
[実施例3]
ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、0.50質量%の酢酸ビニル樹脂を含有するようにしたことを除いて、実施例2の支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤と同様にして、実施例3の経皮吸収製剤を得た。
【0080】
[実施例4]
ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、0.75質量%の酢酸ビニル樹脂を含有するようにしたことを除いて、実施例2の支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤と同様にして、実施例4の経皮吸収製剤を得た。
【0081】
〔薬物吸収率〕
実施例2〜4及び参考例1のポリイソブチレン粘着剤層を備える経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過性を、薬物吸収率(質量%)によって評価することとし、副腎皮質ステロイド薬剤であるベタメタゾン吉草酸エステルの薬物吸収率を、次の方法により測定した。すなわち、健康で皮膚状態が良好な成人男性10名の被験者の上腕内側の皮膚に、実施例2〜4及び参考例1の経皮吸収製剤(25mmφの円形)を、被験者ごとに各1枚ずつ貼付した。具体的には、それぞれの経皮吸収製剤のライナーを剥がして、粘着剤層を皮膚に貼付し、10時間経過後に、経皮吸収製剤を剥離して、経皮吸収製剤の粘着剤層中のベタメタゾン吉草酸エステルの含有量を測定し、貼付前のベタメタゾン吉草酸エステルの含有量に対する比率(質量%)を算出し、経皮吸収製剤の「薬物吸収率(質量%)」とした。なお、粘着剤層を皮膚に貼付した後、10時間経過前に、皮膚から脱落した経皮吸収製剤は、薬物吸収率(質量%)算出の計算基礎から除外した。ポリイソブチレン粘着剤層中の該粘着剤層の全質量に対する酢酸ビニル樹脂の含有率(質量%)と、薬物吸収率(質量%)との関係を表3に示す。
【0082】
経皮吸収製剤における副腎皮質ステロイド薬剤の含有量の測定方法は、次のとおりとした。すなわち、ライナーを剥離した後、テトラヒドロフランが入った密封可能なガラス容器中に、経皮吸収製剤(ライナーは除いてある。)を浸漬して粘着剤層を溶解させた。その後、副腎皮質ステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)を抽出するための溶媒として水を添加して、振とうにより副腎皮質ステロイド薬剤の抽出を行い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により副腎皮質ステロイド薬剤の定量を行った。
【0083】
【表3】

【0084】
表3から、ポリイソブチレン粘着剤層に含有される酢酸ビニル樹脂の含有率(質量%)が増大するのに伴い、ベタメタゾン吉草酸エステルの薬物吸収率が減少することが分かった。したがって、酢酸ビニル樹脂の含有量(質量%)に比例して、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過が抑制されることから、ポリイソブチレン粘着剤層に含有される酢酸ビニル樹脂は、経皮吸収製剤における薬物の皮膚透過抑制剤として使用できるものであることが分かった。特に、ポリイソブチレン粘着剤層中の酢酸ビニル樹脂の含有量が、該粘着剤層の全質量に対して、1質量%以下という少量の含有量においても、効果的に副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制できるので、ポリイソブチレン粘着剤の特性に影響を与えることなく、副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過性を制御できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする前記経皮吸収製剤であることにより、粘着剤層中に含有される副腎皮質ステロイド薬剤の皮膚透過を抑制して、長期間にわたり、薬剤の効果の発現に充分な量の薬剤を持続的に経皮吸収させることができるとともに、粘着剤の粘着特性が損なわれず、皮膚刺激も少ない経皮吸収製剤を提供することができ、産業上の利用可能性が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、ポリイソブチレン粘着剤層、及びライナーを備える経皮吸収製剤であって、
該ポリイソブチレン粘着剤層が、副腎皮質ステロイド薬剤、及び、酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする前記経皮吸収製剤。
【請求項2】
前記ポリイソブチレン粘着剤層が、該粘着剤層の全質量に対して、0.05〜2.0質量%の副腎皮質ステロイド薬剤、及び、0.1〜5.0質量%の酢酸ビニル樹脂を含有する請求項1記載の経皮吸収製剤。
【請求項3】
前記副腎皮質ステロイド薬剤が、ベタメタゾン吉草酸エステルである請求項1または2記載の経皮吸収製剤。
【請求項4】
前記ポリイソブチレン粘着剤層が、異なる分子量を有する2種以上のポリイソブチレンを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項5】
前記ポリイソブチレン粘着剤層が、800,000〜1,500,000の粘度平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、10,000〜200,000の粘度平均分子量を有する第2のポリイソブチレンとを含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項6】
経皮吸収製剤の皮膚透過抑制剤としての酢酸ビニル樹脂の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2013−112667(P2013−112667A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262035(P2011−262035)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】