管継手
【課題】 環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができる管継手を提供する。
【解決手段】 多数の環状リブを有する本管に対して、本管と同径又は本管よりも大径の枝管を接続する場合に用いる管継手10に係り、複数のリブ溝13と開口部14とが設けられたサドル部11を備え、開口部14の周縁から管接続部12が差し出されており、開口部14の周縁形状が径を等しくする一対の円が互いの中心を本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなるトラック状とされ、開口部14の長手幅が、上記一対の円の各中心をそれぞれ本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させる幅長に設定され、管接続部12が開口部14の形状に応じた筒状の首部16と、真円筒状をなす管受口部17とを有している。
【解決手段】 多数の環状リブを有する本管に対して、本管と同径又は本管よりも大径の枝管を接続する場合に用いる管継手10に係り、複数のリブ溝13と開口部14とが設けられたサドル部11を備え、開口部14の周縁から管接続部12が差し出されており、開口部14の周縁形状が径を等しくする一対の円が互いの中心を本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなるトラック状とされ、開口部14の長手幅が、上記一対の円の各中心をそれぞれ本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させる幅長に設定され、管接続部12が開口部14の形状に応じた筒状の首部16と、真円筒状をなす管受口部17とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下水管等の配管において本管と枝管とを接続する管継手に関するものであり、特に該本管として外周面に多数の環状リブが並設されているものに使用する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、下水管においては、本管の内径を枝管の内径より大きく設定し、本管の流量を枝管の流量より多くすることで、円滑な水流を確保することが一般的である。しかし、用地確保や他の埋設配管との位置関係といった様々な事情から小径の本管を使用せざるを得ず、また一方で枝管の内径については規格で決められていることから、本管の内径と等しいかそれよりも大きな内径の枝管を使用する場合がある。
上記のような本管と、該本管の内径と等しいかそれよりも大きな内径の枝管とを接続するものとして、特許文献1に記載の管継手が提供されている。この管継手は、サドル部と該サドル部から差し出されている管接続部とからなり、該管接続部の根端短手方向巾d2は該本管の直径d1よりも小さく、長手方向巾d4は該枝管の直径d3よりも大きく設定されている。すなわち、該管継手は、本管に接続するべく管接続部の根端に長円形状の開口部を設けており、該管接続部の短手方向巾d2を本管の直径d1よりも小さくすることで、該開口部と対応して該本管に設けられる開口部分の強度低下を防ぎつつ、長手方向巾d4を枝管の直径d3よりも大きくし、該開口部の開口面積を該枝管の開口面積と等しいかそれよりも大きくすることで、水流を円滑に保っている。
なお、上記管継手の開口部と対応して上記本管に設けられる開口部分は、まず本管の周壁に一対の円を該本管の軸線に沿って並ぶようにホールソーで穿孔し、その後、一対の円の間に残る周壁を、一対の円を結ぶ本管の軸線に平行な一対の接線に沿って切除することで、形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−187991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の管継手は、環状リブ付きの本管の使用を想定しておらず、該環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合に作業が難しくなるという問題があった。
すなわち、上記本管には、土圧の影響等に対する強度、剛性等の確保のため、その外周面に環状リブが多数並設されたものがある。このような環状リブ付きの本管に対し、上記従来の管継手の開口部と対応するような開口部分を形成する場合、ホールソーを用いた穿孔時に該環状リブが邪魔となり、一対の円の中心を定めることが難しい。特に管継手の開口部と対応させた結果、環状リブ上、あるいは環状リブの直近に円の中心が配されてしまうと、ホールソーによる穿孔時に孔が高い確率で位置ずれしてしまうので、取り付け箇所の選定からやり直さなければならなくなる。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができる管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の問題点を解決する手段として、請求項1に記載の管継手の発明は、外周面に多数の環状リブが並設されている本管に対して、該本管と径が等しい又は該本管よりも径が大きな枝管を接続する場合に用いる管継手であって、上記本管の外周面上に被着されるサドル部を備え、該サドル部には上記環状リブが収容される複数のリブ溝と、開口部と、が設けられており、該開口部の周縁から上記枝管を接続するための管接続部が差し出された構成となっており、上記開口部の周縁形状は、径を等しくする一対の円が互いの中心を上記本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなる両端半円形長円型のトラック状とされており、上記開口部は、上記本管の内径よりも短い幅長となるように短手幅が設定されているとともに、上記リブ溝に上記環状リブを収容しつつ上記本管の外周面上に上記サドル部を載せた状態で上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心をそれぞれ上記本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させ、かつ上記枝管の内径よりも長い幅長となるように長手幅が設定されており、上記管接続部は、上記開口部の形状に応じた筒状をなす首部と、上記枝管の形状に応じた真円筒状をなす管受口部と、を有していることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の管継手の発明において、上記首部において、上記サドル部側の端部近傍には、内周縁の長手幅が上記開口部の長手幅よりも短い幅長となるように設定された縮径部が設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の管継手の発明において、上記サドル部には、上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心の位置を示す指示手段が設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管継手の発明において、上記サドル部の外周面上には凹条が、本管の周方向へ沿うように伸び、かつ該サドル部の周縁に到達した端部で外側へ開放されるように、設けられており、上記凹条には、上記本管への固定に際して使用される線材が巻き付けられることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の管継手の発明において、上記凹条は、上記管接続部の上記首部の直近位置に配置されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の管継手の発明において、上記管受口部は、上記首部に対し、互いの軸線が交差して伸びるように屈曲して設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
請求項1に記載の管継手によれば、管継手のサドル部には複数のリブ溝が設けられており、環状リブ付きの本管の外周面上にサドル部を被着する際には、該環状リブが該リブ溝に収容される。このため管継手は、該環状リブが邪魔になって本管の外周面からサドル部が浮き上がってしまうことを防止されているとともに、本管上に設定された取り付け位置から該本管の軸線方向へ位置ずれしてしまうことを抑制されている。
上記枝管からの水流を上記本管へ送るべく、本発明の管継手でサドル部に設けられた開口部は、その周縁形状が両端半円形長円型のトラック状とされており、短手幅が本管の内径よりも短く、長手幅が枝管の内径よりも長くなるように設定されている。従って該開口部と対応して該本管に設けられる開口部分は、短手幅が本管の内径よりも短いので、該本管の強度低下が抑制され、長手幅が枝管の内径よりも長いので、開口面積が該枝管の開口面積と等しいかそれよりも大きくなり、円滑な水流が保たれる。
上記開口部のトラック状は、径を等しくする一対の円が互いの中心を上記本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなるものである。このようなトラック状の開口部にあって、長手幅は、上記リブ溝に上記環状リブを収容しつつ上記本管の外周面上に上記サドル部を載せた状態で該トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心をそれぞれ上記本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させるように設定されている。すなわち、該開口部と対応する形状となるように上記本管にはトラック状の開口部分が設けられるのであるが、このトラック状の開口部分の形成時には、まず両端の一対の円がホールソーでそれぞれ穿孔される。そして該開口部分の形状は、該開口部と対応しているので、上記ホールソーによる穿孔時に該ホールソーの中心は、環状リブ同士の間で略中央に定められるようになっている。従って上記ホールソーによる穿孔時に環状リブが邪魔となることがなく、該ホールソーを用いた穿孔作業を簡易なものとすることができる。
また上記管継手に設けられた管接続部は、上記トラック状の開口部に応じた筒状をなす首部と、上記枝管の形状に応じた真円筒状をなす管受口部と、を有しているので、一般的に使用されている真円筒状の枝管を接続するべく、口部形状を変換するためのアダプター等を用意する必要がなく、枝管を簡易に接続することができるようになっている。
請求項2に記載の管継手によれば、上記首部の上記サドル部側の端部に、内周縁の長手幅が上記開口部の長手幅よりも短い幅長の縮径部を設けることで、該首部の端部で外周縁の長手幅を小さくすることができるので、線材を該首部の首元近くに巻き付けることができるようになり、上記サドル部の開口部の周縁と、本管の開口部分の周縁との圧着が強固なものとなるため、片側が上記本管に対して浮き上がる、いわゆる「片浮き」等の不具合の発生を抑制することができる。
請求項3に記載の管継手によれば、上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心の位置を示す指示手段を設けることで、上記ホールソーによる穿孔時に該ホールソーの中心を定めるためのマーキング等が容易になる。さらに管継手を本管に載せる際には、本管の表面に為されたマーキング等に該指示手段を合致させることで、管継手の開口部を本管の開口部分に簡易かつ迅速に位置合わせすることができる。
請求項4に記載の管継手によれば、上記本管への固定に際して使用される線材が巻き付けられる凹条が設けられ、該凹条は端部が外側へ開放されているので、該線材が凹凸で浮き上がる等の不具合の発生を抑制することができ、さらに施工者に線材の好適な巻き付け位置を容易に把握させることができるようになる。
さらに請求項5に記載の管継手のように、上記凹条を上記管接続部の上記首部の直近位置に配置することで、該首部の首元をしっかりと固定することができるので、いわゆる「片浮き」と呼ばれる不具合の発生を好適に抑制することができる。
請求項6に記載の管継手によれば、上記管受口部を上記首部に対して屈曲させることで、本管に対して横方向から伸びる枝管を接続する際、管の接続方向を変更するためのエルボ等を用意する必要がなく、枝管の接続作業に係る手間を軽減することができ、特に本管が地面から浅い位置に埋設されている場合に有用である。
【0007】
〔効果〕
本発明の管継手によれば、環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の管継手を示す一部を破断した正面図。
【図2】実施形態の管継手を示す側面図。
【図3】実施形態の管継手を示す平面図。
【図4】実施形態の管継手を示す底面図。
【図5】(a)は管継手の開口部を示す説明図、(b)は本管の開口部分を示す説明図。
【図6】(a)は管継手の使用状態を示す側断面図、(b)は図5(a)のB−B線における断面図。
【図7】実施形態の管継手を管受口部の軸線方向から見た状態を示す説明図。
【図8】本管に管継手を仮置きした状態を示す説明図。
【図9】本管にマーキングを施した状態を示す説明図。
【図10】本管に一対の円を穿孔した状態を示す説明図。
【図11】本管に開口部分を形成した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の管継手を具体化した実施形態について説明する。
本実施形態の管継手10は、本管1に対して、枝管2を接続するためのものである(図6参照)。また該管継手10を介して該枝管2との間で水流を確保するべく、該本管1の周壁には、該該管継手10を取り付ける位置に開口部分4が形成される。
ここで、本発明の管継手10の取り付け対象となる上記本管1は、その外周面に複数の環状リブ3が並設されているものである。この本管については、社団法人日本下水道協会の規格(JSWAS K−13―2003)により、呼び径に応じてリブ間隔Pや、リブ高さHRや、リブ幅ES等が規定されている。例えば、上記規格によれば、呼び径が150mmの本管であれば、リブ間隔Pは基準寸法で19.1mmである。
また本発明の管継手10を取り付け対象とする上記枝管2は、上記本管と径が等しい又は上記本管よりも径が大きいこと、一般的な管材と同じく略真円筒状であること、の他は特にそのサイズや材質等は限定されない。ここでいう上記径とは呼び径を示し、また本明細書中では特に記載の無い限り、呼び径≒近似内径とする。
そして上記本管1の内径をφMとし、上記枝管2の内径をφSとすれば、φMとφSとは、φM≦φSの関係となる。
【0010】
図1〜図4に示すように、上記管継手10は、サドル部11を備え、該サドル部11から上記枝管2を接続するための管接続部12が差し出された構成とされている。
上記サドル部11は、上記本管1の外周面上に被着するべく、該本管1の外周面に適合する曲率とされた側面視円弧状のアーチ形状に形成されている。該サドル部11の内面には、上記本管1に設けられた上記環状リブ3を収容することで、該サドル部11を該本管1に安定して被着するべく、複数のリブ溝13が凹設されている。
上記サドル部11の略中央部には、開口部14が設けられている。上記管接続部12は、該サドル部11の外面で該開口部14の周縁から、該開口部14をその内側に囲い込むように立ち上がっている。
上記サドル部11の内面で該開口部14の周縁からは、環状突出部15が、該開口部14をその内側に囲い込むように差し出されている。この環状突出部15は、上記管接続部12の周壁を延長するようにして形成されている。該環状突出部15は、上記本管1への上記管継手10の取り付けに際して上記開口部分4に挿入される。そして該開口部分4に挿入された該環状突出部15は、該本管1に対する該管継手10の位置ずれを抑制するとともに、該本管1に対する上記管接続部12の接続を確実なものとすることで漏水を抑制する。
【0011】
上記管接続部12は、基端側(サドル部11側)に設けられた筒状の首部16と、先端側に設けられた管受口部17と、を有している。
上記管受口部17は、その内部に上記枝管2が挿入されることによって該枝管2を接続するためのものであり、該枝管2の形状に応じた真円筒状に形成されている。該管受口部17において、上記首部16へと繋がる奥端部には、その内周面を該首部16側へ向かうに従い縮径するテーパー形状とすることで、該管受口部17に挿入された上記枝管2の端面を受け止める係止段部18が設けられている。また該管受口部17において、先端開口の内周面上には、ゴム輪19が嵌着されており、該ゴム輪19で該管受口部17の内周面と上記枝管2の外周面との間に形成される隙間を埋め、漏水を抑制するように構成されている。
【0012】
上記管受口部17は、その軸線AX1が上記首部16の軸線AX2と交差するように、該首部16に対して屈曲して設けられている(図2参照)。
社団法人日本下水道協会の規格(JSWAS K−1)によれば、上記枝管2から上記本管1への流れを阻害しないように、また記本管1から上記枝管2への逆流を防止するため、上記管受口部17の内面の下端を上記本管1の中心よりも上方に位置させるべく、上記本管1に対する上記管継手10の取付範囲が定められている。しかし上記本管1が地中の浅い位置に埋設されていると、上記枝管2が上記本管1に対して、取付範囲外である略横方向から近づく場合がある。このような場合、上記枝管2は、通常はエルボ等を介して管受口部17に接続することになるなど、施工作業が煩雑なものになってしまう。なお、開口部分4を取付範囲から逸脱して横方向へ開口するように形成することも不可能ではないが、上記本管1が地中に埋設されているものであるうえに移動が困難なものであるため、開口部分4の形成に困難を極め、また上記のように流れの阻害や逆流が生じる可能性が極めて高くなる。
本実施形態の管継手10は、上述のように管受口部17を首部16に対して屈曲させることで、上記本管1に形成される開口部分4の開口方向は上方向や斜め上方向としたまま、該管受口部17が横向きになるので、横方向あるいは斜め上方向から近づく枝管2を好適に接続することが可能となり、浅い位置に埋設されている本管1への施工作業であっても、作業性の向上を図ることができる。また枝管2の位置に応じた管受口部17の向きとなるように、上記本管1に対する上記管継手10の取り付け位置を変更することが可能であり、配管の自由度を大きくすることができる。さらに上記管継手10においてサドル部11の側面には、本管1に対する管受口部17の取り付け角度を示す角度表示部20が設けられており、作業性のさらなる向上が図られている。
【0013】
上記管継手10は、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を材料に用いて成形される。また上記サドル部11と、上記管接続部12とは、射出成形法等の既存の成形方法を用い、一体的に成形してもよく、あるいはサドル部11と、管接続部12とを別個に成形して接合してもよい。
上記本管1に対して上記管継手10は、金属製の番線や、クランプ、バンド等といった線材を使用して、あるいは該線材と接着剤とを併用して固定される。上記管継手10において、上記サドル部11の外周面上には凹条21が、本管の周方向へ沿うように伸び、かつ該サドル部11の周縁に到達した端部で外側へ開放されるように、設けられている。該凹条21には、上記管継手10の上記本管1への固定に際して使用される線材が巻き付けられるようになっており、該凹条21の端部が外側へ開放されていることから、該線材をサドル部11の外周面から浮き上がらせることなく隙間なしに巻き付けることが可能となり、サドル部11の開口部14の周縁と、本管1の開口部分4の周縁との圧着が強固なものとなるため、固定の安定化を図ることができる。
また該凹条21は、上記管接続部12の上記首部16の直近位置に配置されることが望ましく、該凹条21を該首部16の直近位置に配置することで、該管接続部12の首元をより安定的にしっかりと固定することが可能となる。
さらに、上記サドル部11の外面には上記凹条21の他に複数の凹条が存在しているが、該凹条21は、上記サドル部11の周縁に到達した端部で外側へ開放されており、他の凹条と容易かつ迅速に区別できるので、作業の施工者が線材の好適な巻き付け位置を容易に把握できるという利点も有している。
【0014】
上記管継手10の開口部14と、上記本管1の開口部分4とについて説明する。
図5(a)に示すように、上記管継手10の開口部14は、その周縁形状が、径を等しくする一対の円C1,C2が互いの中心O1,O2を上記本管の軸線AXMに沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線AXMと平行に伸びる一対の接線TL1,TL2で結ばれてなる両端半円形長円型のトラック状とされている。
上記開口部14の短手幅d1は、上記本管1の内径φMよりも短い幅長となるように設定されており、d1<φMの関係となる。
上記開口部14の長手幅d2は、上記枝管2の内径φSよりも長い幅長となるように設定されており、d2>φSの関係となる。
上記短手幅d1は、上記円C1,C2の直径に等しいことから、一対の円C1,C2の中心O1,O2の間の距離をLとすれば、長手幅d2は、d2=d1+Lの関係となる。
上記開口部14の開口面積は、円滑な水流を確保するという観点から、上記枝管2の開口面積と等しい、あるいは大きく設定されることが望ましい。該開口部14の開口面積が枝管2の開口面積よりも小さいと、枝管2から流入する水量に比べ、管継手10の開口部14から流出する水量が少なくなり、管継手10の内部で逆流が生じるおそれがある。
【0015】
図5(b)に示すように、上記本管1の開口部分4は、上記開口部14を囲む上記環状突出部15が挿入されることから、その周縁形状が上記開口部14と同じくトラック状とされている。また該開口部分4と上記開口部14とで、該トラック状の両端を担う一対の円の中心は、略同じ位置となる。
上記開口部分4の短手幅d3は、上記開口部14の短手幅d1に上記環状突出部15の厚みTを加えた幅長にほぼ等しく、d3≒d1+(2×T)の関係となる。
上記開口部分4の長手幅d4は、上記開口部14の長手幅d2に上記環状突出部15の厚みTを加えた幅長にほぼ等しく、d4≒d2+(2×T)の関係となる。また長手幅d4は、短手幅d3及び上記の中心間距離Lと、d4=d3+Lの関係となる。
【0016】
上記中心間距離Lは、上記本管1のリブ間隔Pのn倍(nは0を含まない正の整数)に設定されており、L=P×nの関係となる。
上記管継手10においては、上述したように、上記本管1の外周面上に上記サドル部11を載せた状態とすれば、上記リブ溝13に上記環状リブ3が収容されるようになっており、すなわちリブ溝13と環状リブ3とは対応する位置関係にある。
そして、上記一対の円C1,C2の中心O1,O2のうち、何れか一方をリブ溝13の同士の間で中央に配置すれば、中心間距離Lがリブ間隔Pのn倍に設定されていることから、他方もまたリブ溝13の同士の間に配置される、つまりは上記一対の円C1,C2の各中心O1,O2が上記本管1の環状リブ3同士の間で中央にそれぞれ配置される。
従って、上記開口部14の長手幅d2は、上記リブ溝13に上記環状リブ3を収容しつつ上記本管1の外周面上に上記サドル部11を載せた状態とした場合に、上記トラック状の両端を担う上記一対の円C1,C2の各中心O1,O2をそれぞれ上記本管1の環状リブ3同士の間で略中央に位置させるように設定されている。
【0017】
上記中心間距離Lは、上記開口部分4の短手幅d3に対し、d3/2より大きく設定することが望ましい((d3/2)<L)。Lがd3/2以下の場合、後述するようにホールソーを使用して開口部分4を形成する際、一対の円のうちの一方の中心が他方の円内に位置してしまうので、ホールソーの先端が固定できず窄孔が難しくなる。
上記中心間距離Lは、上記開口部分4の短手幅d3に対し、d3と等しいか、あるいはd3より小さく設定することが望ましい(L≦d3)。Lがd3より大きいと、後述するようにホールソーを使用して開口部分4を形成する際、ホールソーによって形成された一対の円孔の間が離れすぎて、これら円孔の間を切除する作業が繁雑となる。
上記開口部分4の短手幅d3は、円滑な水流を確保するという観点から、上記本管1の内径φMに対し、0.5φM<d3<0.78φMに設定することが望ましく、0.65φM<d3<0.78φMに設定することがより望ましい。d3が0.5φM以下の場合は、管継手10から本管1への水流が滞りやすくなり、d3が0.78φM以上の場合は、本管の強度が低下してしまうおそれがある。
そしてd3≒d1+(2×T)であるから、d1<d3であるので、短手幅d1は中心間距離Lと(d1/2)<L<d1の関係を満たし、記本管1の内径φMと(0.5φM−(2×T))<d1<(0.78φM−(2×T))の関係を満たす。
【0018】
上記管継手10において、上記サドル部11には、上記開口部14において上記トラック状の両端を担う上記一対の円C1,C2の各中心O1,O2の位置を示す指示手段が設けられている。図1〜図4に示すように、該指示手段は、サドル部11の各長側縁にそれぞれ一対ずつ切欠き形成された凹部22と、各短側縁にそれぞれ切欠き形成された凹部22と、の合計6つの凹部22によって構成されている。これら凹部22は、中心O1,O2と対応する位置に設けられている。
【0019】
上記首部について説明する。
上記管継手10の上記管接続部12においては、上述したように、上記開口部14の内周縁形状がトラック状であることに対し、上記管受口部17の内周縁形状が真円状であることから、該開口部14の内周面と該管受口部17の内周面とを繋ぐべく、上記首部16の内周面はそれぞれに対応するような形状とされている。すなわち上記首部16は、上記サドル部11側から上記管受口部17側へ向かうに従い、内周縁形状が、長手幅が徐々に短くなり(図1参照)、短手幅が若干ではあるが徐々に長くなる(図6参照)形状となるように形成されている。また図7に示すように、上記首部16の内周面上には、枝管2から本管1への水流を乱す、例えば逆勾配等のような障害が無く、円滑な水流を確保している。
上記首部16において、上記サドル部11側の端部近傍には、所定範囲にわたって内周縁の長手幅を他箇所よりもさらに減じることで、上記開口部14の長手幅よりも短い幅長の縮径部23が設けられている。該縮径部23が設けられた範囲において上記首部16は、外周縁の長手幅もまた小さくなっており、サドル部11を平面視した場合に該首部16の外周縁における長手端と、上記開口部14の内縁における長手端とが略同じ位置となる。そして、該縮径部23を設けて上記首部16の外周縁の長手幅を小さくした結果、上記凹条21を上記首部16の直近位置に配置することが可能となる。
すなわち、上記管継手10は上記本管1に対して、上記首部16を挟んだ両側に位置する凹条21に番線等の線材を巻き付けて固定されるが、上述のように該凹条21は、上記管接続部12の上記首部16の直近位置に配置されることが望ましい。言い換えると、線材を巻き付けるための該凹条21等のような固定箇所は、可能な限り該首部16の首元近くに定めることが望ましい。これは一方の固定箇所が他方の固定箇所に比べて首元より離れていたりすると、サドル部11の開口部14の周縁と、本管1の開口部分4の周縁との圧着が弱くなってしまうので、本管1に対して首部16の首元を安定的に固定できなくなってしまうおそれがあるためである。また、これら固定箇所の間で力の釣り合いがとれなくなり、該一方の固定箇所で上記サドル部11が上記本管1に対して浮き上がる、いわゆる「片浮き」という不具合が生じてしまうおそれもあるためである。
上記管継手10のように環状リブ3を有する本管1に対応させたものにおいて、該環状リブ3を収容するべく上記サドル部11の内面に上記リブ溝13が設けられたものは、該サドル部11の外面に該リブ溝13と対応する凹凸部分を一般的に有しており、該凹凸部分のうち、通常は凹部分に線材が巻き付けられる。本実施形態の管継手10では、上述した寸法の設定により、開口部14の内縁における長手端が該凹部分のうち上記凹条21と略同じ位置となる。従って、上記縮径部23を設け、首部16の外周縁における長手端の位置を、開口部14の内縁における長手端の位置に略一致させることで、上記凹条21の直近位置に上記首部16の首元を配している。
なお、上記縮径部23が設けられていないものと仮定した場合、首部16の外周縁が開口部14の内縁よりも、該首部16の周壁の厚み分だけ外側に位置してしまうので、線材を巻き付ける凹部分として上記凹条21よりも外側のものを選択せざるを得ず、結果として該首部16の首元から離れてしまう。
また上記縮径部23の流路の開口面積が、上記管受口部17の流路の開口面積よりも小さいと、流下性能が低下し、場合によっては逆流が生じてしまうおそれがあるので、該縮径部23を設ける所定範囲としては、上記サドル部11の厚み分、具体的には環状突出部15の先端縁(下端縁)から首部16の端部近傍で上記サドル部11の厚み分、とすることが望ましい。
【0020】
上記管継手10の上記本管1への取り付けについて説明する。
上記管継手10の上記本管1への取り付け時には、図8に示すように、まず該本管1上の所望する位置に該管継手10を仮置きし、上記凹部22に基づき、該本管1の外周面上にマーキングMを施す。
次いで、上記管継手10を上記本管1から取り去り、図9に示すように、施した各マーキングM同士を、本管1の軸線と平行な線A1と、該軸線と直交する線A2と、で結び、線A1と線A2との交点にマーキング中心O1,O2を施す。このときマーキング中心O1,O2は、必ず環状リブ3同士の間で中間に位置する。
続いて、上記マーキング中心O1,O2に、ホールソーの先端を合わせ、図10に示すように、上記本管1の周壁に一対の円孔C1,C2を穿孔する。
その後、上記一対の円孔C1,C2の間を、本管1の軸線と平行に伸びる一対の接線TL1,TL2に沿って切除し、図11に示すように、上記本管1の周壁に開口部分4を形成する。
そして、上記凹部22が上記マーキングMに合わさるように、上記サドル部11を上記本管1の外周面上に被せ、上記開口部分4に上記環状突出部15を挿入した後、線材を上記凹条21に収容されるようにして巻き付け、該線材で上記管継手10を上記本管1へ結束することにより、上記管継手10が上記本管1に固定される。
【0021】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
例えば上記管受口部を自在受口、可撓受口、接着受口等としてもよく、あるいは挿口部としてもよい。また使用する材料は、合成樹脂に限らず、金属やセラミックス等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の管継手によれば、環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができるから、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0023】
1 本管
2 枝管
3 環状リブ
4 開口部分
10 管継手
11 サドル部
12 管接続部
13 リブ溝
14 開口部
16 首部
17 管受口部
20 角度表示部
21 凹条
22 凹部
23 不連続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下水管等の配管において本管と枝管とを接続する管継手に関するものであり、特に該本管として外周面に多数の環状リブが並設されているものに使用する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、下水管においては、本管の内径を枝管の内径より大きく設定し、本管の流量を枝管の流量より多くすることで、円滑な水流を確保することが一般的である。しかし、用地確保や他の埋設配管との位置関係といった様々な事情から小径の本管を使用せざるを得ず、また一方で枝管の内径については規格で決められていることから、本管の内径と等しいかそれよりも大きな内径の枝管を使用する場合がある。
上記のような本管と、該本管の内径と等しいかそれよりも大きな内径の枝管とを接続するものとして、特許文献1に記載の管継手が提供されている。この管継手は、サドル部と該サドル部から差し出されている管接続部とからなり、該管接続部の根端短手方向巾d2は該本管の直径d1よりも小さく、長手方向巾d4は該枝管の直径d3よりも大きく設定されている。すなわち、該管継手は、本管に接続するべく管接続部の根端に長円形状の開口部を設けており、該管接続部の短手方向巾d2を本管の直径d1よりも小さくすることで、該開口部と対応して該本管に設けられる開口部分の強度低下を防ぎつつ、長手方向巾d4を枝管の直径d3よりも大きくし、該開口部の開口面積を該枝管の開口面積と等しいかそれよりも大きくすることで、水流を円滑に保っている。
なお、上記管継手の開口部と対応して上記本管に設けられる開口部分は、まず本管の周壁に一対の円を該本管の軸線に沿って並ぶようにホールソーで穿孔し、その後、一対の円の間に残る周壁を、一対の円を結ぶ本管の軸線に平行な一対の接線に沿って切除することで、形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−187991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の管継手は、環状リブ付きの本管の使用を想定しておらず、該環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合に作業が難しくなるという問題があった。
すなわち、上記本管には、土圧の影響等に対する強度、剛性等の確保のため、その外周面に環状リブが多数並設されたものがある。このような環状リブ付きの本管に対し、上記従来の管継手の開口部と対応するような開口部分を形成する場合、ホールソーを用いた穿孔時に該環状リブが邪魔となり、一対の円の中心を定めることが難しい。特に管継手の開口部と対応させた結果、環状リブ上、あるいは環状リブの直近に円の中心が配されてしまうと、ホールソーによる穿孔時に孔が高い確率で位置ずれしてしまうので、取り付け箇所の選定からやり直さなければならなくなる。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができる管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の問題点を解決する手段として、請求項1に記載の管継手の発明は、外周面に多数の環状リブが並設されている本管に対して、該本管と径が等しい又は該本管よりも径が大きな枝管を接続する場合に用いる管継手であって、上記本管の外周面上に被着されるサドル部を備え、該サドル部には上記環状リブが収容される複数のリブ溝と、開口部と、が設けられており、該開口部の周縁から上記枝管を接続するための管接続部が差し出された構成となっており、上記開口部の周縁形状は、径を等しくする一対の円が互いの中心を上記本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなる両端半円形長円型のトラック状とされており、上記開口部は、上記本管の内径よりも短い幅長となるように短手幅が設定されているとともに、上記リブ溝に上記環状リブを収容しつつ上記本管の外周面上に上記サドル部を載せた状態で上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心をそれぞれ上記本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させ、かつ上記枝管の内径よりも長い幅長となるように長手幅が設定されており、上記管接続部は、上記開口部の形状に応じた筒状をなす首部と、上記枝管の形状に応じた真円筒状をなす管受口部と、を有していることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の管継手の発明において、上記首部において、上記サドル部側の端部近傍には、内周縁の長手幅が上記開口部の長手幅よりも短い幅長となるように設定された縮径部が設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の管継手の発明において、上記サドル部には、上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心の位置を示す指示手段が設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管継手の発明において、上記サドル部の外周面上には凹条が、本管の周方向へ沿うように伸び、かつ該サドル部の周縁に到達した端部で外側へ開放されるように、設けられており、上記凹条には、上記本管への固定に際して使用される線材が巻き付けられることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の管継手の発明において、上記凹条は、上記管接続部の上記首部の直近位置に配置されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の管継手の発明において、上記管受口部は、上記首部に対し、互いの軸線が交差して伸びるように屈曲して設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
請求項1に記載の管継手によれば、管継手のサドル部には複数のリブ溝が設けられており、環状リブ付きの本管の外周面上にサドル部を被着する際には、該環状リブが該リブ溝に収容される。このため管継手は、該環状リブが邪魔になって本管の外周面からサドル部が浮き上がってしまうことを防止されているとともに、本管上に設定された取り付け位置から該本管の軸線方向へ位置ずれしてしまうことを抑制されている。
上記枝管からの水流を上記本管へ送るべく、本発明の管継手でサドル部に設けられた開口部は、その周縁形状が両端半円形長円型のトラック状とされており、短手幅が本管の内径よりも短く、長手幅が枝管の内径よりも長くなるように設定されている。従って該開口部と対応して該本管に設けられる開口部分は、短手幅が本管の内径よりも短いので、該本管の強度低下が抑制され、長手幅が枝管の内径よりも長いので、開口面積が該枝管の開口面積と等しいかそれよりも大きくなり、円滑な水流が保たれる。
上記開口部のトラック状は、径を等しくする一対の円が互いの中心を上記本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなるものである。このようなトラック状の開口部にあって、長手幅は、上記リブ溝に上記環状リブを収容しつつ上記本管の外周面上に上記サドル部を載せた状態で該トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心をそれぞれ上記本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させるように設定されている。すなわち、該開口部と対応する形状となるように上記本管にはトラック状の開口部分が設けられるのであるが、このトラック状の開口部分の形成時には、まず両端の一対の円がホールソーでそれぞれ穿孔される。そして該開口部分の形状は、該開口部と対応しているので、上記ホールソーによる穿孔時に該ホールソーの中心は、環状リブ同士の間で略中央に定められるようになっている。従って上記ホールソーによる穿孔時に環状リブが邪魔となることがなく、該ホールソーを用いた穿孔作業を簡易なものとすることができる。
また上記管継手に設けられた管接続部は、上記トラック状の開口部に応じた筒状をなす首部と、上記枝管の形状に応じた真円筒状をなす管受口部と、を有しているので、一般的に使用されている真円筒状の枝管を接続するべく、口部形状を変換するためのアダプター等を用意する必要がなく、枝管を簡易に接続することができるようになっている。
請求項2に記載の管継手によれば、上記首部の上記サドル部側の端部に、内周縁の長手幅が上記開口部の長手幅よりも短い幅長の縮径部を設けることで、該首部の端部で外周縁の長手幅を小さくすることができるので、線材を該首部の首元近くに巻き付けることができるようになり、上記サドル部の開口部の周縁と、本管の開口部分の周縁との圧着が強固なものとなるため、片側が上記本管に対して浮き上がる、いわゆる「片浮き」等の不具合の発生を抑制することができる。
請求項3に記載の管継手によれば、上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心の位置を示す指示手段を設けることで、上記ホールソーによる穿孔時に該ホールソーの中心を定めるためのマーキング等が容易になる。さらに管継手を本管に載せる際には、本管の表面に為されたマーキング等に該指示手段を合致させることで、管継手の開口部を本管の開口部分に簡易かつ迅速に位置合わせすることができる。
請求項4に記載の管継手によれば、上記本管への固定に際して使用される線材が巻き付けられる凹条が設けられ、該凹条は端部が外側へ開放されているので、該線材が凹凸で浮き上がる等の不具合の発生を抑制することができ、さらに施工者に線材の好適な巻き付け位置を容易に把握させることができるようになる。
さらに請求項5に記載の管継手のように、上記凹条を上記管接続部の上記首部の直近位置に配置することで、該首部の首元をしっかりと固定することができるので、いわゆる「片浮き」と呼ばれる不具合の発生を好適に抑制することができる。
請求項6に記載の管継手によれば、上記管受口部を上記首部に対して屈曲させることで、本管に対して横方向から伸びる枝管を接続する際、管の接続方向を変更するためのエルボ等を用意する必要がなく、枝管の接続作業に係る手間を軽減することができ、特に本管が地面から浅い位置に埋設されている場合に有用である。
【0007】
〔効果〕
本発明の管継手によれば、環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の管継手を示す一部を破断した正面図。
【図2】実施形態の管継手を示す側面図。
【図3】実施形態の管継手を示す平面図。
【図4】実施形態の管継手を示す底面図。
【図5】(a)は管継手の開口部を示す説明図、(b)は本管の開口部分を示す説明図。
【図6】(a)は管継手の使用状態を示す側断面図、(b)は図5(a)のB−B線における断面図。
【図7】実施形態の管継手を管受口部の軸線方向から見た状態を示す説明図。
【図8】本管に管継手を仮置きした状態を示す説明図。
【図9】本管にマーキングを施した状態を示す説明図。
【図10】本管に一対の円を穿孔した状態を示す説明図。
【図11】本管に開口部分を形成した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の管継手を具体化した実施形態について説明する。
本実施形態の管継手10は、本管1に対して、枝管2を接続するためのものである(図6参照)。また該管継手10を介して該枝管2との間で水流を確保するべく、該本管1の周壁には、該該管継手10を取り付ける位置に開口部分4が形成される。
ここで、本発明の管継手10の取り付け対象となる上記本管1は、その外周面に複数の環状リブ3が並設されているものである。この本管については、社団法人日本下水道協会の規格(JSWAS K−13―2003)により、呼び径に応じてリブ間隔Pや、リブ高さHRや、リブ幅ES等が規定されている。例えば、上記規格によれば、呼び径が150mmの本管であれば、リブ間隔Pは基準寸法で19.1mmである。
また本発明の管継手10を取り付け対象とする上記枝管2は、上記本管と径が等しい又は上記本管よりも径が大きいこと、一般的な管材と同じく略真円筒状であること、の他は特にそのサイズや材質等は限定されない。ここでいう上記径とは呼び径を示し、また本明細書中では特に記載の無い限り、呼び径≒近似内径とする。
そして上記本管1の内径をφMとし、上記枝管2の内径をφSとすれば、φMとφSとは、φM≦φSの関係となる。
【0010】
図1〜図4に示すように、上記管継手10は、サドル部11を備え、該サドル部11から上記枝管2を接続するための管接続部12が差し出された構成とされている。
上記サドル部11は、上記本管1の外周面上に被着するべく、該本管1の外周面に適合する曲率とされた側面視円弧状のアーチ形状に形成されている。該サドル部11の内面には、上記本管1に設けられた上記環状リブ3を収容することで、該サドル部11を該本管1に安定して被着するべく、複数のリブ溝13が凹設されている。
上記サドル部11の略中央部には、開口部14が設けられている。上記管接続部12は、該サドル部11の外面で該開口部14の周縁から、該開口部14をその内側に囲い込むように立ち上がっている。
上記サドル部11の内面で該開口部14の周縁からは、環状突出部15が、該開口部14をその内側に囲い込むように差し出されている。この環状突出部15は、上記管接続部12の周壁を延長するようにして形成されている。該環状突出部15は、上記本管1への上記管継手10の取り付けに際して上記開口部分4に挿入される。そして該開口部分4に挿入された該環状突出部15は、該本管1に対する該管継手10の位置ずれを抑制するとともに、該本管1に対する上記管接続部12の接続を確実なものとすることで漏水を抑制する。
【0011】
上記管接続部12は、基端側(サドル部11側)に設けられた筒状の首部16と、先端側に設けられた管受口部17と、を有している。
上記管受口部17は、その内部に上記枝管2が挿入されることによって該枝管2を接続するためのものであり、該枝管2の形状に応じた真円筒状に形成されている。該管受口部17において、上記首部16へと繋がる奥端部には、その内周面を該首部16側へ向かうに従い縮径するテーパー形状とすることで、該管受口部17に挿入された上記枝管2の端面を受け止める係止段部18が設けられている。また該管受口部17において、先端開口の内周面上には、ゴム輪19が嵌着されており、該ゴム輪19で該管受口部17の内周面と上記枝管2の外周面との間に形成される隙間を埋め、漏水を抑制するように構成されている。
【0012】
上記管受口部17は、その軸線AX1が上記首部16の軸線AX2と交差するように、該首部16に対して屈曲して設けられている(図2参照)。
社団法人日本下水道協会の規格(JSWAS K−1)によれば、上記枝管2から上記本管1への流れを阻害しないように、また記本管1から上記枝管2への逆流を防止するため、上記管受口部17の内面の下端を上記本管1の中心よりも上方に位置させるべく、上記本管1に対する上記管継手10の取付範囲が定められている。しかし上記本管1が地中の浅い位置に埋設されていると、上記枝管2が上記本管1に対して、取付範囲外である略横方向から近づく場合がある。このような場合、上記枝管2は、通常はエルボ等を介して管受口部17に接続することになるなど、施工作業が煩雑なものになってしまう。なお、開口部分4を取付範囲から逸脱して横方向へ開口するように形成することも不可能ではないが、上記本管1が地中に埋設されているものであるうえに移動が困難なものであるため、開口部分4の形成に困難を極め、また上記のように流れの阻害や逆流が生じる可能性が極めて高くなる。
本実施形態の管継手10は、上述のように管受口部17を首部16に対して屈曲させることで、上記本管1に形成される開口部分4の開口方向は上方向や斜め上方向としたまま、該管受口部17が横向きになるので、横方向あるいは斜め上方向から近づく枝管2を好適に接続することが可能となり、浅い位置に埋設されている本管1への施工作業であっても、作業性の向上を図ることができる。また枝管2の位置に応じた管受口部17の向きとなるように、上記本管1に対する上記管継手10の取り付け位置を変更することが可能であり、配管の自由度を大きくすることができる。さらに上記管継手10においてサドル部11の側面には、本管1に対する管受口部17の取り付け角度を示す角度表示部20が設けられており、作業性のさらなる向上が図られている。
【0013】
上記管継手10は、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を材料に用いて成形される。また上記サドル部11と、上記管接続部12とは、射出成形法等の既存の成形方法を用い、一体的に成形してもよく、あるいはサドル部11と、管接続部12とを別個に成形して接合してもよい。
上記本管1に対して上記管継手10は、金属製の番線や、クランプ、バンド等といった線材を使用して、あるいは該線材と接着剤とを併用して固定される。上記管継手10において、上記サドル部11の外周面上には凹条21が、本管の周方向へ沿うように伸び、かつ該サドル部11の周縁に到達した端部で外側へ開放されるように、設けられている。該凹条21には、上記管継手10の上記本管1への固定に際して使用される線材が巻き付けられるようになっており、該凹条21の端部が外側へ開放されていることから、該線材をサドル部11の外周面から浮き上がらせることなく隙間なしに巻き付けることが可能となり、サドル部11の開口部14の周縁と、本管1の開口部分4の周縁との圧着が強固なものとなるため、固定の安定化を図ることができる。
また該凹条21は、上記管接続部12の上記首部16の直近位置に配置されることが望ましく、該凹条21を該首部16の直近位置に配置することで、該管接続部12の首元をより安定的にしっかりと固定することが可能となる。
さらに、上記サドル部11の外面には上記凹条21の他に複数の凹条が存在しているが、該凹条21は、上記サドル部11の周縁に到達した端部で外側へ開放されており、他の凹条と容易かつ迅速に区別できるので、作業の施工者が線材の好適な巻き付け位置を容易に把握できるという利点も有している。
【0014】
上記管継手10の開口部14と、上記本管1の開口部分4とについて説明する。
図5(a)に示すように、上記管継手10の開口部14は、その周縁形状が、径を等しくする一対の円C1,C2が互いの中心O1,O2を上記本管の軸線AXMに沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線AXMと平行に伸びる一対の接線TL1,TL2で結ばれてなる両端半円形長円型のトラック状とされている。
上記開口部14の短手幅d1は、上記本管1の内径φMよりも短い幅長となるように設定されており、d1<φMの関係となる。
上記開口部14の長手幅d2は、上記枝管2の内径φSよりも長い幅長となるように設定されており、d2>φSの関係となる。
上記短手幅d1は、上記円C1,C2の直径に等しいことから、一対の円C1,C2の中心O1,O2の間の距離をLとすれば、長手幅d2は、d2=d1+Lの関係となる。
上記開口部14の開口面積は、円滑な水流を確保するという観点から、上記枝管2の開口面積と等しい、あるいは大きく設定されることが望ましい。該開口部14の開口面積が枝管2の開口面積よりも小さいと、枝管2から流入する水量に比べ、管継手10の開口部14から流出する水量が少なくなり、管継手10の内部で逆流が生じるおそれがある。
【0015】
図5(b)に示すように、上記本管1の開口部分4は、上記開口部14を囲む上記環状突出部15が挿入されることから、その周縁形状が上記開口部14と同じくトラック状とされている。また該開口部分4と上記開口部14とで、該トラック状の両端を担う一対の円の中心は、略同じ位置となる。
上記開口部分4の短手幅d3は、上記開口部14の短手幅d1に上記環状突出部15の厚みTを加えた幅長にほぼ等しく、d3≒d1+(2×T)の関係となる。
上記開口部分4の長手幅d4は、上記開口部14の長手幅d2に上記環状突出部15の厚みTを加えた幅長にほぼ等しく、d4≒d2+(2×T)の関係となる。また長手幅d4は、短手幅d3及び上記の中心間距離Lと、d4=d3+Lの関係となる。
【0016】
上記中心間距離Lは、上記本管1のリブ間隔Pのn倍(nは0を含まない正の整数)に設定されており、L=P×nの関係となる。
上記管継手10においては、上述したように、上記本管1の外周面上に上記サドル部11を載せた状態とすれば、上記リブ溝13に上記環状リブ3が収容されるようになっており、すなわちリブ溝13と環状リブ3とは対応する位置関係にある。
そして、上記一対の円C1,C2の中心O1,O2のうち、何れか一方をリブ溝13の同士の間で中央に配置すれば、中心間距離Lがリブ間隔Pのn倍に設定されていることから、他方もまたリブ溝13の同士の間に配置される、つまりは上記一対の円C1,C2の各中心O1,O2が上記本管1の環状リブ3同士の間で中央にそれぞれ配置される。
従って、上記開口部14の長手幅d2は、上記リブ溝13に上記環状リブ3を収容しつつ上記本管1の外周面上に上記サドル部11を載せた状態とした場合に、上記トラック状の両端を担う上記一対の円C1,C2の各中心O1,O2をそれぞれ上記本管1の環状リブ3同士の間で略中央に位置させるように設定されている。
【0017】
上記中心間距離Lは、上記開口部分4の短手幅d3に対し、d3/2より大きく設定することが望ましい((d3/2)<L)。Lがd3/2以下の場合、後述するようにホールソーを使用して開口部分4を形成する際、一対の円のうちの一方の中心が他方の円内に位置してしまうので、ホールソーの先端が固定できず窄孔が難しくなる。
上記中心間距離Lは、上記開口部分4の短手幅d3に対し、d3と等しいか、あるいはd3より小さく設定することが望ましい(L≦d3)。Lがd3より大きいと、後述するようにホールソーを使用して開口部分4を形成する際、ホールソーによって形成された一対の円孔の間が離れすぎて、これら円孔の間を切除する作業が繁雑となる。
上記開口部分4の短手幅d3は、円滑な水流を確保するという観点から、上記本管1の内径φMに対し、0.5φM<d3<0.78φMに設定することが望ましく、0.65φM<d3<0.78φMに設定することがより望ましい。d3が0.5φM以下の場合は、管継手10から本管1への水流が滞りやすくなり、d3が0.78φM以上の場合は、本管の強度が低下してしまうおそれがある。
そしてd3≒d1+(2×T)であるから、d1<d3であるので、短手幅d1は中心間距離Lと(d1/2)<L<d1の関係を満たし、記本管1の内径φMと(0.5φM−(2×T))<d1<(0.78φM−(2×T))の関係を満たす。
【0018】
上記管継手10において、上記サドル部11には、上記開口部14において上記トラック状の両端を担う上記一対の円C1,C2の各中心O1,O2の位置を示す指示手段が設けられている。図1〜図4に示すように、該指示手段は、サドル部11の各長側縁にそれぞれ一対ずつ切欠き形成された凹部22と、各短側縁にそれぞれ切欠き形成された凹部22と、の合計6つの凹部22によって構成されている。これら凹部22は、中心O1,O2と対応する位置に設けられている。
【0019】
上記首部について説明する。
上記管継手10の上記管接続部12においては、上述したように、上記開口部14の内周縁形状がトラック状であることに対し、上記管受口部17の内周縁形状が真円状であることから、該開口部14の内周面と該管受口部17の内周面とを繋ぐべく、上記首部16の内周面はそれぞれに対応するような形状とされている。すなわち上記首部16は、上記サドル部11側から上記管受口部17側へ向かうに従い、内周縁形状が、長手幅が徐々に短くなり(図1参照)、短手幅が若干ではあるが徐々に長くなる(図6参照)形状となるように形成されている。また図7に示すように、上記首部16の内周面上には、枝管2から本管1への水流を乱す、例えば逆勾配等のような障害が無く、円滑な水流を確保している。
上記首部16において、上記サドル部11側の端部近傍には、所定範囲にわたって内周縁の長手幅を他箇所よりもさらに減じることで、上記開口部14の長手幅よりも短い幅長の縮径部23が設けられている。該縮径部23が設けられた範囲において上記首部16は、外周縁の長手幅もまた小さくなっており、サドル部11を平面視した場合に該首部16の外周縁における長手端と、上記開口部14の内縁における長手端とが略同じ位置となる。そして、該縮径部23を設けて上記首部16の外周縁の長手幅を小さくした結果、上記凹条21を上記首部16の直近位置に配置することが可能となる。
すなわち、上記管継手10は上記本管1に対して、上記首部16を挟んだ両側に位置する凹条21に番線等の線材を巻き付けて固定されるが、上述のように該凹条21は、上記管接続部12の上記首部16の直近位置に配置されることが望ましい。言い換えると、線材を巻き付けるための該凹条21等のような固定箇所は、可能な限り該首部16の首元近くに定めることが望ましい。これは一方の固定箇所が他方の固定箇所に比べて首元より離れていたりすると、サドル部11の開口部14の周縁と、本管1の開口部分4の周縁との圧着が弱くなってしまうので、本管1に対して首部16の首元を安定的に固定できなくなってしまうおそれがあるためである。また、これら固定箇所の間で力の釣り合いがとれなくなり、該一方の固定箇所で上記サドル部11が上記本管1に対して浮き上がる、いわゆる「片浮き」という不具合が生じてしまうおそれもあるためである。
上記管継手10のように環状リブ3を有する本管1に対応させたものにおいて、該環状リブ3を収容するべく上記サドル部11の内面に上記リブ溝13が設けられたものは、該サドル部11の外面に該リブ溝13と対応する凹凸部分を一般的に有しており、該凹凸部分のうち、通常は凹部分に線材が巻き付けられる。本実施形態の管継手10では、上述した寸法の設定により、開口部14の内縁における長手端が該凹部分のうち上記凹条21と略同じ位置となる。従って、上記縮径部23を設け、首部16の外周縁における長手端の位置を、開口部14の内縁における長手端の位置に略一致させることで、上記凹条21の直近位置に上記首部16の首元を配している。
なお、上記縮径部23が設けられていないものと仮定した場合、首部16の外周縁が開口部14の内縁よりも、該首部16の周壁の厚み分だけ外側に位置してしまうので、線材を巻き付ける凹部分として上記凹条21よりも外側のものを選択せざるを得ず、結果として該首部16の首元から離れてしまう。
また上記縮径部23の流路の開口面積が、上記管受口部17の流路の開口面積よりも小さいと、流下性能が低下し、場合によっては逆流が生じてしまうおそれがあるので、該縮径部23を設ける所定範囲としては、上記サドル部11の厚み分、具体的には環状突出部15の先端縁(下端縁)から首部16の端部近傍で上記サドル部11の厚み分、とすることが望ましい。
【0020】
上記管継手10の上記本管1への取り付けについて説明する。
上記管継手10の上記本管1への取り付け時には、図8に示すように、まず該本管1上の所望する位置に該管継手10を仮置きし、上記凹部22に基づき、該本管1の外周面上にマーキングMを施す。
次いで、上記管継手10を上記本管1から取り去り、図9に示すように、施した各マーキングM同士を、本管1の軸線と平行な線A1と、該軸線と直交する線A2と、で結び、線A1と線A2との交点にマーキング中心O1,O2を施す。このときマーキング中心O1,O2は、必ず環状リブ3同士の間で中間に位置する。
続いて、上記マーキング中心O1,O2に、ホールソーの先端を合わせ、図10に示すように、上記本管1の周壁に一対の円孔C1,C2を穿孔する。
その後、上記一対の円孔C1,C2の間を、本管1の軸線と平行に伸びる一対の接線TL1,TL2に沿って切除し、図11に示すように、上記本管1の周壁に開口部分4を形成する。
そして、上記凹部22が上記マーキングMに合わさるように、上記サドル部11を上記本管1の外周面上に被せ、上記開口部分4に上記環状突出部15を挿入した後、線材を上記凹条21に収容されるようにして巻き付け、該線材で上記管継手10を上記本管1へ結束することにより、上記管継手10が上記本管1に固定される。
【0021】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
例えば上記管受口部を自在受口、可撓受口、接着受口等としてもよく、あるいは挿口部としてもよい。また使用する材料は、合成樹脂に限らず、金属やセラミックス等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の管継手によれば、環状リブ付きの本管を取り付け対象とした場合の作業を簡易化することができるから、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0023】
1 本管
2 枝管
3 環状リブ
4 開口部分
10 管継手
11 サドル部
12 管接続部
13 リブ溝
14 開口部
16 首部
17 管受口部
20 角度表示部
21 凹条
22 凹部
23 不連続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に多数の環状リブが並設されている本管に対して、該本管と径が等しい又は該本管よりも径が大きな枝管を接続する場合に用いる管継手であって、
上記本管の外周面上に被着されるサドル部を備え、該サドル部には上記環状リブが収容される複数のリブ溝と、開口部と、が設けられており、該開口部の周縁から上記枝管を接続するための管接続部が差し出された構成となっており、
上記開口部の周縁形状は、径を等しくする一対の円が互いの中心を上記本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなる両端半円形長円型のトラック状とされており、
上記開口部は、
上記本管の内径よりも短い幅長となるように短手幅が設定されているとともに、
上記リブ溝に上記環状リブを収容しつつ上記本管の外周面上に上記サドル部を載せた状態で上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心をそれぞれ上記本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させ、かつ上記枝管の内径よりも長い幅長となるように長手幅が設定されており、
上記管接続部は、上記開口部の形状に応じた筒状をなす首部と、上記枝管の形状に応じた真円筒状をなす管受口部と、を有している
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
上記首部において、上記サドル部側の端部近傍には、内周縁の長手幅が上記開口部の長手幅よりも短い幅長となるように設定された縮径部が設けられている
請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
上記サドル部には、上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心の位置を示す指示手段が設けられている
請求項1又は請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
上記サドル部の外周面上には凹条が、本管の周方向へ沿うように伸び、かつ該サドル部の周縁に到達した端部で外側へ開放されるように、設けられており、
上記凹条には、上記本管への固定に際して使用される線材が巻き付けられる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
上記凹条は、上記管接続部の上記首部の直近位置に配置されている
請求項4に記載の管継手。
【請求項6】
上記管受口部は、上記首部に対し、互いの軸線が交差して伸びるように屈曲して設けられている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項1】
外周面に多数の環状リブが並設されている本管に対して、該本管と径が等しい又は該本管よりも径が大きな枝管を接続する場合に用いる管継手であって、
上記本管の外周面上に被着されるサドル部を備え、該サドル部には上記環状リブが収容される複数のリブ溝と、開口部と、が設けられており、該開口部の周縁から上記枝管を接続するための管接続部が差し出された構成となっており、
上記開口部の周縁形状は、径を等しくする一対の円が互いの中心を上記本管の軸線に沿って所定距離だけ離されたうえで該軸線と平行に伸びる一対の接線で結ばれてなる両端半円形長円型のトラック状とされており、
上記開口部は、
上記本管の内径よりも短い幅長となるように短手幅が設定されているとともに、
上記リブ溝に上記環状リブを収容しつつ上記本管の外周面上に上記サドル部を載せた状態で上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心をそれぞれ上記本管の環状リブ同士の間で略中央に位置させ、かつ上記枝管の内径よりも長い幅長となるように長手幅が設定されており、
上記管接続部は、上記開口部の形状に応じた筒状をなす首部と、上記枝管の形状に応じた真円筒状をなす管受口部と、を有している
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
上記首部において、上記サドル部側の端部近傍には、内周縁の長手幅が上記開口部の長手幅よりも短い幅長となるように設定された縮径部が設けられている
請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
上記サドル部には、上記トラック状の両端を担う上記一対の円の各中心の位置を示す指示手段が設けられている
請求項1又は請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
上記サドル部の外周面上には凹条が、本管の周方向へ沿うように伸び、かつ該サドル部の周縁に到達した端部で外側へ開放されるように、設けられており、
上記凹条には、上記本管への固定に際して使用される線材が巻き付けられる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
上記凹条は、上記管接続部の上記首部の直近位置に配置されている
請求項4に記載の管継手。
【請求項6】
上記管受口部は、上記首部に対し、互いの軸線が交差して伸びるように屈曲して設けられている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の管継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−193790(P2012−193790A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57717(P2011−57717)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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