画像表示装置、画像表示装置の製造方法、及び、電気・電子機器
【課題】 画像表示装置用部材同士を貼り合せるための接着剤(貼り合せ用樹脂)の塗工時間が短く、貼り合せ後の端部に未硬化樹脂のはみ出しのない画像表示装置を提供する。
【解決手段】 その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、上記硬化樹脂層は、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されている画像表示装置。
【解決手段】 その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、上記硬化樹脂層は、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されている画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、その製造方法、及び、該画像表示装置を搭載した電気・電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン、タッチパネル等の画像表示部分において、液晶モジュール、有機ELモジュール又は有機TFTモジュールと、最上部の透明カバーボード(PETフィルム、強化ガラス、アクリル板等)との間は、従来エアギャップを設けることで、外からの衝撃で、カバーが割れた場合でも、上記モジュールに影響が出ないような構造(エアギャップ構造)としていた。
また、近年、一部ではフラットパネルディスプレイの視認性向上と耐衝撃性の実現を目的に、光重合性官能基を有するウレタンアクリレート、エポキシアクリレートをバインダーポリマーとする光(UV)で硬化可能な光学弾性樹脂硬化性組成物が用いられはじめている。
【0003】
また、上記視認性向上、耐衝撃性向上を目的とした電気機器としては、上述した従来のものに加え、カーナビ、新型のマルチタブレットマシン、電子ペーパー、マルチタッチ式のPCディスプレイ等の需要が高まってきており、これらの電子機器も画面サイズがアップする傾向にある。
【0004】
画面のサイズアップにより、携帯電話やスマートフォンのサイズの画像表示装置で使用していた画像表示装置用部材の貼り合せ方法では、以下の課題が指摘される様になってきた。
<表示上および画面サイズアップに伴う課題>
【0005】
(1)通常、画像表示装置用部材である透明カバーボード、タッチセンサー及び表示モジュールを貼り合わせる場合、透明カバーボードとタッチセンサーとの間は、工学用粘着テープ(OCAテープ:Optical Clear Adhesive Tape)又はUV硬化性樹脂で充填しており、これとともに、視認性アップのために、タッチセンサーと液晶モジュールとの間にも樹脂層を充填することが求められている。ここで、タッチパネル/液晶モジュール間にはUVが透過しない部分が存在するため、UV硬化性樹脂が使用できず、そのためOCAテープを使用する。しかし、OCAテープは、貼り合わせ時に泡やズレ等が発生した場合に、修復が難しく、不良率がアップすることが問題になっている。そのため、画像表示装置用部材(特に、タッチセンサーと液晶モジュール)の貼り合わせには、貼り合わせ後、仮固定の際に接着剤層を剥がして補修可能なUV硬化性樹脂を使用することが望まれていた。
【0006】
(2)画面サイズのアップにより、最表面カバーのデザインによる硬化のためのトリガーであるUV光が透過しない領域(例えば、ブラックプリンティング等)が増加し、未反応となる部分ができるという不具合が発生する。
【0007】
(3)透明カバーボード、表示モジュール、タッチセンサー等の画像表示装置用部材に液状接着剤を塗布する際、従来のディスペンサーによる線状の塗布パターンでは、タクトタイム(工程に要する時間)が長くなる。
【0008】
(4)画面サイズのアップに伴い、画像表示装置用部材の重量もアップしているため、貼り合せ時に接着剤が画像表示装置用部材の端部からはみ出し、その結果、周辺の回路を汚染する。
【0009】
UV未透過の部分の硬化性を改善できる可能性のある候補技術として、柔軟性(耐衝撃性)のある主鎖の末端に官能基を有する有機重合体を用いた硬化物、特にリビング重合を利用して合成された重合体を用いた硬化物の例があるが、速硬化性および接着性の点で課題がある上、本発明の用途を意図したものではなかった(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2005/073333号公報
【特許文献2】特開平11−130931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、画像表示装置用部材同士を貼り合せるための接着剤(貼り合せ用樹脂)の塗工時間が短く、貼り合せ後の端部に未硬化樹脂のはみ出しのない画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の現状に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、いずれかの間隙に特定の2種類の硬化性組成物を用いて硬化樹脂層を形成して、画像表示装置用部材同士を貼り合せた画像表示装置では、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の画像表示装置は、その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、
上記硬化樹脂層は、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されている
ことを特徴とする。
【0014】
上記硬化樹脂層は、上記硬化性組成物(B)を用いて形成された少なくその外縁部を構成するダム部と、上記ダム部の内側に上記硬化性組成物(A)を用いて形成された充填樹脂部とを備えることが好ましい。
【0015】
本発明の画像表示装置において、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)は、活性エネルギー線によって硬化することが好ましく、また、活性エネルギー線および湿分によって硬化することも好ましい。
上記活性エネルギー線は、UV光であることが好ましい。
また、上記硬化性組成物(B)のTI値(チキソトロピーインデックス;2rpmと20rpmの粘度比率)は、2以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の画像表示装置においては、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)を含むことや、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことが好ましい。
また、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)、及び、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことも好ましい。
【0017】
本発明の画像表示装置においては、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が重合開始剤(c)を含むことが好ましい。
上記重合開始剤(c)は、光重合開始剤、熱重合開始剤及びレドックス系開始剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、光重合開始剤であることがより好ましい。
【0018】
また、本発明の画像表示装置においては、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、硬化触媒(d)を含むことが好ましい。
上記硬化触媒(d)は、有機金属、酸触媒、酸・塩基触媒から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、上記硬化触媒(d)は、有機錫触媒、リン酸、リン酸・アミン系から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
【0019】
本発明の画像表示装置においては、(a)成分および(b)成分が、それぞれポリシロキサン、ポリエーテル、及び、ビニル系重合体から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、(a)成分および(b)成分は、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体から選択される少なくとも一種であることも好ましい。
また、(a)成分および(b)成分は、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、及び、(メタ)アクリル系重合体から選択される構造を少なくとも一種含むことも好ましい。
【0020】
さらに、(a)成分および(b)成分は、(メタ)アクリル系重合体であることも好ましく、アクリル系重合体であることも好ましく、アクリル酸エステル系重合体であることも好ましい。
【0021】
本発明の画像表示装置において、上記(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、一般式(1)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される基であることが好ましい。
また、上記(b)成分の加水分解性シリル基は、一般式(101)で表されることが好ましい。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a (101)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
【0022】
本発明の画像表示装置において、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)は、更に(メタ)アクリロイル基を有し、数平均分子量が5000以下である、モノマー及び/又はオリゴマー(e)を含有することが好ましい。
【0023】
本発明の画像表示装置において、(a)成分及び/又は(b)成分の分子量分布は、1.8未満であることが好ましい。
また、(a)成分及び/又は(b)成分の主鎖は、リビング重合法により製造されたものであることが好ましい。
【0024】
本発明の画像表示装置において、(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合及び/又は(b)成分の加水分解性シリル基は、分子鎖末端にあることが好ましい。
【0025】
本発明の画像表示装置の製造方法は、
上述した本発明の画像表示装置を製造する方法であって、
その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちのいずれか一方の部材の少なくとも外縁部近傍に、上記硬化性組成物(B)を塗布した後、その内側に上記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせる工程を有することを特徴とする。
【0026】
本発明の電気・電子機器は、上述した本発明の画像表示装置が搭載されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像表示装置は、その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、上記硬化樹脂層により、視認性、耐衝撃性、耐熱性、耐候性に優れることとなる。
また、上記硬化樹脂層が特定の硬化性組成物を用いて形成されているため、上記画像表示装置は、生産効率が良く、かつ、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード等の画像表示装置用部材の端部から貼り合せ樹脂(硬化樹脂層)のはみ出し等不具合なく生産される。
【0028】
また、本発明の画像表示装置の製造方法では、本発明の画像表示装置を好適に製造することができ、本発明の電気・電子機器は、本発明の画像表示装置を備えるため、画像表示性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】(a)は、実施例1等におけるダム部の形成位置を模式的に示す平面図であり、(b)は、実施例1等における硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図であり、(c)は、実施例1〜3で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図5】(a)は、実施例2における硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図であり、(b)は、別の硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図である。
【図6】実施例3等における硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図である。
【図7】実施例4で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図8】実施例5で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図9】実施例6で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図10】実施例7で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図11】比較例1、2で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、
上記硬化樹脂層は、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されていることを特徴とする画像表示装置である。
なお、本発明において、粘度とは、B型粘度計を用いた23℃での測定値をいう。
【0031】
以下、本発明の画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図1〜3は、それぞれ本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す、本発明の画像表示装置100は、その一部にブラックプリンティング104がついた透明カバーボード103、フラットパネルディスプレイ表示モジュール108、バックライトユニット109及びベゼル112を備えている。
さらに、透明カバーボード103とフラットパネルディスプレイ表示モジュール108との間隙には、硬化樹脂層101が介在しており、硬化樹脂層101は、その外縁部を構成するダム部105とダム部105の内側に形成された充填樹脂部106とから構成されている。
ここで、ダム部105は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を用いて形成されており、充填樹脂部106は、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、を用いて形成されている。
なお、画像表示装置100において、フラットパネルディスプレイ表示モジュール108とバックライトユニット109、及び、バックライトユニット109とベゼル112は、それぞれ平面視矩形状の各画像表示装置用部材の4辺に貼付された一定幅の両面テープ(図示せず)を介して固定されている。
【0032】
図2に示す、本発明の画像表示装置200は、その一部にブラックプリンティング204がついた透明カバーボード203、タッチセンサー207、フラットパネルディスプレイ表示モジュール208、バックライトユニット209及びベゼル212を備えている。
さらに、透明カバーボード203とタッチセンサー207との間隙には、硬化樹脂層201が介在しており、硬化樹脂層201は、その外縁部を構成するダム部205とダム部205の内側に形成された充填樹脂部206とから構成されている。
ここで、ダム部205は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を用いて形成されており、充填樹脂部206は、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、を用いて形成されている。
なお、画像表示装置200において、タッチセンサー207とフラットパネルディスプレイ表示モジュール208、フラットパネルディスプレイ表示モジュール208とバックライトユニット209、及び、バックライトユニット209とベゼル212は、それぞれ平面視矩形状の各画像表示装置用部材の4辺に貼付された一定幅の両面テープ(図示せず)を介して固定されている。
【0033】
図3に示す、本発明の画像表示装置300は、その一部にブラックプリンティング304がついた透明カバーボード303、タッチセンサー307、フラットパネルディスプレイ表示モジュール308、バックライトユニット309及びベゼル312を備えている。
さらに、透明カバーボード303とタッチセンサー307との間隙、及び、タッチセンサー207とフラットパネルディスプレイ表示モジュール308との間隙のそれぞれには、硬化樹脂層301、301′が介在しており、硬化樹脂層301は、その外縁部を構成するダム部305とダム部305の内側に形成された充填樹脂部306とから構成され、硬化樹脂層301′は、その外縁部を構成するダム部305′とダム部305′の内側に形成された充填樹脂部306′とから構成されている。
ここで、ダム部305、305′は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を用いて形成されており、充填樹脂部306、306′は、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、を用いて形成されている。
なお、画像表示装置300において、フラットパネルディスプレイ表示モジュール308とバックライトユニット309、及び、バックライトユニット309とベゼル312は、それぞれ平面視矩形状の各画像表示装置用部材の4辺に貼付された一定幅の両面テープ(図示せず)を介して固定されている。
【0034】
本発明の画像表示装置の構成は、図1〜3に示した構成に限定されるわけではなく、透明カバーボードとフラットパネルディスプレイ表示モジュールとの間隙、透明カバーボードとタッチセンサーとの間隙、タッチセンサーとのフラットパネルディスプレイ表示モジュールとの間隙、フラットパネルディスプレイ表示モジュールとバックライトユニットとの間隙、及び、バックライトユニット及びベゼルとの間隙、の少なくとも1つに硬化樹脂層が介在されていればよい。
また、上記硬化樹脂層をその間隙に介在させていない部材同士は、上述したように、OCAテープ等を介して固定されていてもよいし、または、1種類の硬化性組成物(例えば、上記硬化性組成物(A)等)を用いて形成された硬化樹脂層を介して固定されていてもよい。
【0035】
ここで、透明カバーボード、タッチセンサー、フラットパネルディスプレイ表示モジュールとバックライトユニット及びベゼルの各種画像表示装置用部材としては、それぞれ既に公知のものを使用することができる。
【0036】
また、上述した通り、本発明の画像表示装置は、所定の箇所に硬化樹脂層を備えており、上記硬化樹脂層は、硬化性組成物(A)及び硬化性組成物(B)を用いて形成されている。
次に、上記硬化樹脂層を形成するための硬化性組成物(A)及び硬化性組成物(B)について説明する。
【0037】
<<硬化性組成物(A)および硬化性組成物(B)>>
硬化性組成物(A)は、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物であれば良いが、300mPa・s以上 9000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上 8000mPa・s以下であることがより好ましい。10000mPa・sを超えると塗工性の点で好ましくない。
【0038】
硬化性組成物(B)は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物であれば良いが、17000mPa・s以上100000 mPa・s以下であることが好ましく、18000mPa・s以上80000mPa・s以下であることがより好ましい。15000mPa・s未満であるとダム部の形状保持不足の点で好ましくない。
【0039】
硬化性組成物(B)は、特に限定はないが、チキソ性が付与されていることが好ましく、有機系或いは無機系のチキソ性付与剤を含有することが好ましい。
チキソ性付与剤としては、例えば、結晶性シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、アミドワックス、ポリオレフィンワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。
これらのなかでは、少量添加でのチキソ性付与効果およびディスプレイ表示部への貼り合わせを目的とする樹脂の透明性確保の点で結晶性シリカ、溶融シリカが好ましい。
チキソ性の尺度としては、TI値(チキソトロピックインデックス;B型粘度計の回転数20rpmでの粘度/回転数2rpmでの粘度)で2以上が好ましく、3以上であることが、塗工性と塗工後の形状保持性の点で好ましい。
【0040】
硬化性組成物(A)、硬化性組成物(B)は、速硬化の点で活性エネルギー線によって硬化することが好ましく、光の当たらない部分についても未硬化にならない点で活性エネルギー線および湿分によって硬化することがより好ましい。ここで、活性エネルギー線はUV光であることが好ましい。
【0041】
硬化性組成物(A)、硬化性組成物(B)は、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)(単に(a)成分ともいう)、及び/又は、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)(単に(b)成分ともいう)、を含むことが好ましい。
上記(a)成分を含有することにより、活性エネルギー線、熱等による硬化が可能となり、また、上記(b)成分を含有することにより、硬化性組成物は湿分によっても硬化することとなる。
【0042】
(a)成分と(b)成分の骨格は同じであっても異なっていても構わないが、相溶性の観点から同型の骨格である方が好ましい。また、(a)成分および(b)成分は、低分子量化合物、オリゴマー、重合体の何れであっても構わないが、柔軟性、耐久性、硬化性のバランスの点で、オリゴマー、又は、有機重合体であることが好ましく、有機重合体であることが特に好ましい。
【0043】
有機重合体とは、有機化合物の繰り返し単位を伴う構造で、100以上の繰り返し単位からなる化合物を指す。オリゴマーとは、有機化合物の繰り返し単位を伴う構造で、2〜100の繰り返し単位からなる化合物を指す。低分子量化合物とは、オリゴマー、有機重合体以外の構造で基本的に繰り返し単位を伴わない構造の化合物である。
【0044】
上記(a)成分、(b)成分としては、それぞれ独立してポリシロキサン、ポリエーテル、ビニル系重合体が好ましい。
上記ポリシロキサンとしては、アルキルポリシロキサンが好ましい。
上記ポリエーテルとしては、オキシアルキレン系重合体が好ましく、その中でもポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンがより好ましい。
【0045】
上記ビニル系重合体としては、炭化水素系重合体である、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体が好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。さらに、ビニル系重合体としては、ポリイソブチレン、(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造された(メタ)アクリル系重合体が好ましく、(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、アクリル系重合体が好ましく、アクリル酸エステル重合体がより好ましい。
【0046】
(a)成分及び(b)成分のそれぞれは、有機重合体又はオリゴマーの場合、分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が1.8以上であると粘度が増大し、取り扱いが困難になる傾向にある。
なお、本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0047】
(a)成分、(b)成分を構成する、何れのオリゴマー、有機重合体も主鎖、製造法等については、共通して説明できるので以下にまとめて説明する。
<ポリシロキサン>
公知であるオルガノクロロシランを加水分解してオルガノポリシロキサンを製造する方法、特許第2599517号公報、特開昭56−151731号公報、特開昭59−66422号公報、特開昭59−68377号公報に記載のアルコキシシランを塩基性触媒あいは酸触媒の存在下で加水分解する方法等公知の方法で得られる。ポリマーの末端官能基としては、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基等が挙げられる。
【0048】
本発明におけるポリシロキサンの数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000であり、3,000〜100,000がより好ましい。分子量が低くなりすぎると、伸び、柔軟性が不十分な傾向があり、高くなりすぎると、粘度が高くなり、塗布等の作業性が低下する傾向がある。
【0049】
<ポリエーテル>
ポリエーテル(オキシアルキレン系重合体)の合成方法は、特に限定されないが、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。
開始剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
【0050】
モノエポキシドの具体例としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0051】
触媒及び重合法としては、例えばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば特開昭61−215623号公報に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、例えば特公昭46−27250号公報および特公昭59−15336号公報などに示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、セシウム触媒による重合法、ホスファゼン触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。
中でも、高分子量でかつ着色の少ない重合体が容易に得られる点からは、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法が好ましい。
【0052】
この他、オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端オキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。
さらに、上記オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。
【0053】
上記ポリエーテルの数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000であり、1,000〜100,000がより好ましい。分子量が低くなりすぎると、伸び、柔軟性が不十分な傾向があり、高くなりすぎると、粘度が高くなり、塗布等の作業性が低下する傾向がある。
【0054】
<ビニル系重合体>
(炭化水素系重合体)
上記炭化水素系重合体は、芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、例えば、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
【0055】
上記炭化水素系重合体の主鎖骨格をなす重合体は、例えば、(1)エチレン、プロピレン、1,2−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主成分として単独重合もしくは共重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合もしくは共重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物を共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができる。
【0056】
中でも、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンは、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。さらに、ポリイソブチレンは液状または流動性を有するので取り扱いやすく、主鎖に芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を全く含まないため水添の必要が無く、耐候性に極めて優れているので特に好ましい。ポリイソブチレンは、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合可能な単量体単位をポリイソブチレン中に、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、とくに好ましくは10重量%以下の範囲で含有してもよい。
【0057】
このような炭化水素系重合の単量体成分としては、例えば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。たとえば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0058】
水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンや他の炭化水素系重合体においても、上記ポリイソブチレンの場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0059】
炭化水素系重合体、好ましくはポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンの数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から、好ましい。
【0060】
(炭化水素系重合体以外のビニル系重合体)
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体は、その主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には特開2005−232419号公報段落[0018]記載の各種モノマーのような、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0061】
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。なかでも、生成物の物性等から、芳香族ビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
【0062】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
【0063】
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000の範囲である、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000がさらに好ましく、8,000〜50,000がなおさら好ましい。分子量が低くなりすぎると、炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の本来の特性が発現されにくい傾向があり、一方、高くなりすぎると、取り扱いが困難になる傾向がある。
【0064】
上記ビニル系重合体は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」とリビング重合の一種である「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるビニル系重合体の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合法がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419号公報や、特開2006−291073号公報などの記載を参照できる。
【0065】
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419号公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
【0066】
ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を1分子内に2つ以上有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、例えば、
【0067】
【化1】
【0068】
【化2】
【0069】
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、上述したビニル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
【0070】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体であり、特に好ましくは銅の錯体である。
銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
【0071】
上記重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。このとき、溶媒の種類としては特に限定されず、例えば、特開2005−232419号公報段落[0067]記載の溶媒が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系において重合を行うこともできる。
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
【0072】
<<重合性の炭素−炭素二重結合導入法((a)成分の合成方法)>>
(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、特に限定されないが、一般式(1)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、分子鎖末端にあることが好ましい。
【0073】
<ポリシロキサンへの導入方法>
ポリシロキサンへの重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に限定はないが、例えば、特許第3193866号公報に記載の末端シラノール停止ポリシロキサンに有機金属等を触媒として、加水分解性シリル基含有ビニル化合物、加水分解性シリル基含有(メタ)アクリロイル化合物を加水分解縮合反応させる方法等が挙げられる。
【0074】
<ポリエーテルへの導入方法>
オキシアルキレン重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に限定がないが、<1>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに一般式(1)の酸クロライド化合物を反応させる方法、<2>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンにイソシアナート基を含む一般式(1)の化合物を反応させる方法、<3>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに多官能性のイソシアナートおよび水酸基を含有するビニルモノマーを反応させる方法、<4>ヒドロシリル化可能な二重結合末端(例えばアリル基末端)ポリオキシアルキレンに多官能タイプのヒドロシリル化合物を反応させ、更にアリル(メタ)アクリレート等のヒドロシリル化可能な化合物を反応させる方法等が挙げられる。
反応の簡便性の点で<2>、<3>および<4>の方法が好ましく、反応の安定性の点で、<2>および<3>の方法がより好ましい。
【0075】
<ビニル系重合体への導入方法>
ビニル系重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932号公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられるが、以下の導入方法1〜3が好ましい。
【0076】
(導入方法1)
一般式(2)のビニル系重合体の末端ハロゲン基を、一般式(3)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換する方法。
−CR1R2X (2)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
【0077】
M+−OC(O)C(R)=CH2 (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
【0078】
一般式(2)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
【0079】
一般式(3)で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
【0080】
M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としては、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオンや、4級アンモニウムイオン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。これらのなかでは、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
【0081】
一般式(3)のオキシアニオンの使用量は、一般式(2)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が用いられる。
反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃である。
【0082】
(導入方法2)
末端に水酸基を有するビニル重合体に一般式(4)で示される化合物を反応させる方法。
XC(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
【0083】
(導入方法3)
末端に水酸基を有するビニル重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と下記一般式(5)で示される化合物とを反応させる方法。
HO−R’− OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
これらの方法の中では、制御が容易である点から、(導入方法1)が最も好ましい。
【0084】
<<架橋性シリル基の導入方法((b)成分の合成方法)>>
本発明でいう加水分解性シリル基とは、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有官能基のことであり、一般式(101)で表される基が好ましい。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a (101)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
(b)成分の加水分解性シリル基は、分子鎖末端にあることが好ましい。
【0085】
<ポリシロキサンへの導入方法>
ポリシロキサンへの加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されないが、例えば、加水分解性シリル基を含むシラン化合物を酸、塩基を触媒成分として、ポリシロキサンを合成する際に、加水分解、縮合条件を調整して、末端に加水分解性のシリルを残す方法、末端クロロ基含有ポリシロキサンに、加水分解性シリルを含むクロロシランを反応させる方法等がある。
【0086】
<ポリエーテルへの導入方法>
ポリエーテルへの加水分解性シリル基の導入方法としては、例えば、下記(α)〜(δ)等の方法がある。
(α)水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入した後に、一般式(102)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiXaR23−a (102)
(式中R2、X、aは上記に同じ)
【0087】
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基及び水酸基と反応しうる官能基を併有する化合物をオキシアルキレン系重合体の水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法、あるいはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることによりオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
【0088】
(β)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するオキシアルキレン系重合体に一般式(103)で表される化合物を反応させる方法。
(R2−)3−aSiXa−R3NCO (103)
(式中R2、X、aは上記に同じ。R3は炭素数1〜17の2価の炭化水素基。)
【0089】
(γ)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するオキシアルキレン系重合体にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基を導入した後、該イソシアネート基に一般式(104)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
(R2−)3−aSiXa−R3W (104)
(式中R2、R3、X、aは上記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基。)
【0090】
(δ)オレフィン基が導入可能な官能基を有するオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である一般式(104)で表されるケイ素化合物を反応させる方法。
【0091】
これらのうち、導入収率と導入方法の簡便さから、(α)および(β)の方法が好ましく、粘度等の樹脂物性の点で(α)の方法がより好ましい。
【0092】
<ビニル系重合体への導入方法>
(1)炭化水素系重合体
特に限定はないが、上記(α)の方法で導入することが、導入収率、反応の簡便さで好ましい。
(2)炭化水素系以外のビニル系重合体
特開2004−210858号公報段落[0102]〜[0112]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、架橋性シリル基を持つヒドロシラン化合物によるヒドロシリル化反応により、末端アルケニル基を有する重合体のアルケニル基を架橋性シリル基に変換する方法により製造されたものであることが好ましい。
【0093】
以下、上記硬化性組成物(A)及び上記硬化性組成物(B)のそれぞれに配合される他の成分について説明する。勿論、後述する他の成分を含有するか否かは、硬化性組成物(A)及び上記硬化性組成物(B)のそれぞれで任意である。また、以下の説明では、硬化性組成物(A)及び硬化性組成物(B)を合せて硬化性組成物(A/B)とも表記する。
【0094】
<<重合開始剤(c)>>
上記硬化性組成物(A/B)に、(a)成分が含まれている場合には、特に限定されないが、速く硬化させたり、充分な性状の硬化物を得たりするために重合開始剤(c)を使用するのが好ましい。
重合開始剤(c)としては、特に限定はないが、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス系開始剤が好ましく、光重合開始剤であることがより好ましい。本発明の画像表示装置を構成する硬化樹脂層を形成する際に、UV光等の活性エネルギー線の照射により、硬化樹脂層を介在させる透明カバーボード及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール等の画像表示装置用部材を仮固定するのに好適だからである。
なお、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス系開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として使用してもよいが、混合物として使用する場合には、各種開始剤の使用量は、後述のそれぞれの範囲内にあることが好ましい。
【0095】
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤、近赤外光重合開始剤等が挙げられ、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤が好ましく、光ラジカル開始剤が特に好ましい。
光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾイル等が挙げられる。
【0096】
これらのなかでは、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等)が好ましい。
【0097】
光アニオン開始剤としては、例えば、1,10−ジアミノデカン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト−アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等が挙げられる。
【0098】
近赤外光重合開始剤としては、近赤外光吸収性陽イオン染料等を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体等を用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
【0099】
これらの光重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、例えば、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、上記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
【0100】
光重合開始剤を使用する場合、その添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、(a)成分100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
【0101】
熱重合開始剤としては、特に制限はないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤等が挙げられる。
アゾ系開始剤としては、限定されるわけではなく、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)(V−601)(和光純薬社より入手可能)等が挙げられる。
【0102】
過酸化物開始剤としては、限定されるわけではなく、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
【0103】
過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0104】
好ましい熱重合開始剤は、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤であり、更に好ましいものは、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、及び、これらの混合物である。
熱重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0105】
熱重合開始剤を使用する場合、熱重合開始剤が触媒的に有効な量で存在すれば、その添加量は特に限定されないが、本発明の(a)成分を100重量部とした場合に、好ましくは約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。
【0106】
レドックス(酸化還元)系開始剤は、幅広い温度領域で使用できる。特に、下記開始剤種は常温で使用できることが有利である。
適切なレドックス系開始剤としては、限定されるわけではないが、例えば、上記過硫酸塩開始剤と還元剤(メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)の組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンの組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ;有機過酸化物と遷移金属の組み合わせ、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートの組み合わせ等が挙げられる。
【0107】
好ましいレドックス系開始剤としては、有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、有機過酸化物と遷移金属の組み合わせであり、より好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとコバルトナフテートの組み合わせである。
レドックス系開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0108】
レドックス系開始剤を使用する場合、レドックス系開始剤が触媒的に有効な量で存在すれば、その添加量は特に限定されないが、本発明の(a)成分を100重量部とした場合に、好ましくは約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。
【0109】
<<硬化触媒(d)>>
上記硬化性組成物(A/B)に、(b)成分が含まれている場合には、特に限定されないが、硬化触媒(d)が配合されるのが好ましい。
上記硬化性組成物(A/B)で使用され得る加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)は、従来公知の各種縮合触媒(硬化触媒又は硬化剤ということもある)の存在下、又は、非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。
硬化物(硬化樹脂層)の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作製することができる。
【0110】
硬化触媒(d)としては、架橋性シリル基を有する重合体に用いる従来公知の各種縮合触媒を用いて構わないが、有機金属、酸触媒、酸・塩基触媒が好ましく、有機錫触媒、リン酸、リン酸・アミン系触媒がより好ましい。
【0111】
<有機金属触媒>
有機金属触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、例えば、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテートなどのジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、例えば、ジブチル錫オキサイドやジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドと例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸およびアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、例えば、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、およびこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類;例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;例えば、モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ−イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、ラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらにはフェルザチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0112】
<酸触媒>
酸触媒としては、例えば、スルホン酸系、カルボン酸系、リン酸系、硝酸系、フッ酸系触媒等が挙げられる。硬化活性と貯蔵安定性のバランスの点でスルホン酸系、リン酸系、カルボン酸系が好ましい。具体的な例示としては、例えば、スルホン酸系としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0113】
カルボン酸系の具体例としては、例えば、アクリル酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バーサチック酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、琥珀酸、これらの無水物等が挙げられる。
【0114】
リン酸系としては、例えば、リン酸、有機リン酸エステル等が挙げられる。より具体的には 酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物として、(CH3O)2−P(=O)(−OH)、(CH3O)−P(=O)(−OH)2、(C2H5O)2−P(=O)(−OH)、(C2H5O)−P(=O)(−OH)2、(C3H7O)2−P(=O)(−OH)、(C3H7O)−P(=O)(−OH)2、(C4H9O)2−P(=O)(−OH)、(C4H9O)−P(=O)(−OH)2、(C8H17O)2−P(=O)(−OH)、(C8H17O)−P(=O)(−OH)2、(C10H21O)2−P(=O)(−OH)、(C10H21O)−P(=O)(−OH)2、(C13H27O)2−P(=O)(−OH)、(C13H27O)−P(=O)(−OH)2、(C16H33O)2−P(=O)(−OH)、(C16H33O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C6H12O)2−P(=O)(−OH)、(HO−C6H12O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C8H16O)−P(=O)(−OH)、(HO−C8H16O)−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)O]−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)C2H4O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)C2H4O]−P(=O)(−OH)2等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
【0115】
<酸・塩基触媒>
酸・塩基触媒としては、前述の酸系触媒と、後述のアミン化合物との組み合わせからなるものが挙げられる。
(アミン化合物)
アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、ポリアミン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤等のアミノ基を有するアミノシラン系化合物;等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
これらのアミン化合物は、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0116】
上記酸・塩基触媒は、添加する場合、事前に硬化触媒と混合、反応させても構わないし、後から混合しても構わない。事前に混合、反応させておくと、触媒活性がより高くなり、速硬化性を実現できる場合がある。
また、酸とアミンの当量比(モル比)としては、酸/アミンで0.1〜50である。硬化性、ポットライフ、貯蔵安定性の点で、0.3〜40が好ましく、0.5〜30がより好ましい。
【0117】
これらの硬化触媒(d)を添加する場合の配合量は、加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)100重量部に対して0.01〜50重量部程度が好ましく、更に0.1〜20重量部がより好ましい。硬化触媒の配合量が0.01重量部未満であると硬化速度が遅くなる場合があり、また硬化反応が充分に進行し難くなる場合がある。一方、硬化触媒の配合量が50重量部を越えると、ポットライフが短くなり過ぎる場合があり、作業性の点から好ましくない。
【0118】
更に、アミノ基やシラノール基をもたないケイ素化合物を助触媒として添加しても構わない。これらのケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等が好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
【0119】
このケイ素化合物の配合量は、加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
【0120】
なお、硬化触媒(硬化剤)の種類や添加量により、目的や用途に応じて、上記硬化性組成物(A/B)の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。
また、架橋性シリル基を有する重合体のシリル基の反応性によっても硬化触媒(硬化剤)の種類や添加量を変えることが可能であり、反応性が高い場合は0.01〜1部の少量の範囲で充分硬化させることが可能である。
硬化触媒(硬化剤)の種類や添加量は、例えば、加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)の加水分解性シリル基、一般式(101)中のYの種類とaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて上記硬化性組成物(A/B)の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。Yがアルコキシ基である場合、炭素数の少ない方が反応性が高く、またaが大きい方が反応性が高いため少量で充分硬化させることが可能である。
【0121】
<<配合剤>>
上記硬化性組成物(A/B)には、目的とする物性に応じて、さらに各種の配合剤を添加しても構わない。
【0122】
<重合性のモノマー及び/又はオリゴマー(e)>
上記硬化性組成物(A/B)には、本発明の効果を損なわない範囲でモノマー及び/又はオリゴマー(e)を添加することができる。この場合、ラジカル重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマー、あるいは、アニオン重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが、硬化性の点から好ましい。
【0123】
上記ラジカル重合性の基としては、例えば、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。
なかでも、本発明で使用し得るビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
上記アニオン重合性の基としては、例えば、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基等が挙げられる。なかでも、本発明で使用し得るビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
【0124】
上記モノマーの具体例としては、例えば、特開2006−265488号公報段落[0123]〜[0131]記載のものが挙げられる。
上記オリゴマーとしては、例えば、特開2006−265488号公報段落[0132]記載のものが挙げられる。
【0125】
上記のうち、(メタ)アクリロイル系基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。また、(メタ)アクリロイル系基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。さらに、表面硬化性の向上や、作業性向上のための粘度低減のために、モノマーを用いる場合には、分子量が1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
【0126】
モノマー及び/又はオリゴマーの使用量としては、表面硬化性の向上、タフネスの付与、粘度低減による作業性の観点から、(a)成分および(b)成分合計100重量部(以下、単に部ともいう)に対して、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。
【0127】
<充填材>
充填材としては、特に限定されないが、例えば、特開2005−232419号公報段落[0158]記載の充填材が挙げられる。これら充填材のうちでは、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が好ましい。
特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主に結晶性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー及び活性亜鉛華等から選ばれる充填材が好ましい。
なかでも、比表面積(BET吸着法による)が50m2/g以上、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
【0128】
また、低強度で伸びが大である硬化物(硬化樹脂層)を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛及びシラスバルーン等から選ばれる充填材が好ましい。
なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸びの改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸びの改善効果はより大きくなる。
【0129】
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、硬化性組成物(A/B)の作業性を改善し、該硬化性組成物の貯蔵安定性効果がより向上すると考えられる。
【0130】
上記表面処理剤としては、公知のものを使用でき、例えば、特開2005−232419号公報段落[0161]記載の表面処理剤が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合おいて、硬化性組成物のチクソ性や硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸び等の改善効果を特に期待する場合には、膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。一方、配合物の増量、コストダウン等を目的として添加することがある特開2005−232419号公報段落[0163]記載の重質炭酸カルシウムをを使用することもできる。
【0131】
上記充填材は、目的や必要に応じて単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。充填材を用いる場合の添加量は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、充填材を5〜1000重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸び、接着性と耐候性の改善効果が充分でないことがあり、1000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。
【0132】
<微小中空粒子>
上記硬化性組成物(A/B)には、物性の大きな低下を引き起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子を上述した補強性充填材に併用して添加することができる。このような微小中空粒子(以下において、「バルーン」と称することがある。)としては、特に限定はされないが、例えば、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているような、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体(無機系バルーンや有機系バルーン)が挙げられる。
特に、真比重が1.0g/cm3以下である微小中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm3以下である微小中空体を用いることが好ましい。
【0133】
上記無機系バルーン及び有機系バルーンとしては、例えば、特開2005−232419号公報段落[0168]〜[0170]に記載されているバルーンが挙げられる。上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で、分散性及び配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらのバルーンは、配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性及び伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
【0134】
上記バルーンの添加量は、特に限定されないが、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.1〜30重量部の範囲で使用できる。この量が0.1重量部未満では軽量化の効果が小さく、50重量部より多いと硬化性組成物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。また、バルーンの比重が0.1以上の場合は、その添加量は好ましくは3〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
【0135】
<酸化防止剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、各種酸化防止剤を必要に応じて添加してもよい。これらの酸化防止剤としては、例えば、p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、二次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0136】
<可塑剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、必要に応じて可塑剤を配合することができる。
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、特開2005−232419号公報段落[0173]記載の可塑剤が挙げられる。これらの中では、粘度の低減効果が顕著であり、耐熱性試験時における揮散率が低いという点から、ポリエステル系可塑剤、ビニル系重合体が好ましい。また、数平均分子量500〜15000の重合体である高分子可塑剤が、添加することにより硬化性組成物の粘度及び該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸び等の機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持できるため好適である。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
【0137】
上記高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000と記載したが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱にさらされたり液体に接した場合に可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
【0138】
これらの高分子可塑剤のうちでは、ビニル系重合体と相溶するものが好ましい。中でも相溶性及び耐候性、耐熱老化性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。
【0139】
このアクリル系重合体としては、例えば、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。
後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、USP5010166)にて作製されるため、本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが、例えば、東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0140】
上記高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
【0141】
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なお、これら可塑剤は、有機重合体からなる(a)成分又は(b)成分の製造時に配合することも可能である。
【0142】
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。1重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくい傾向があり、100重量部を越えると硬化物(硬化樹脂層)の機械強度が不足する傾向がある。
【0143】
<反応性希釈剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、上記可塑剤以外に、次に述べる反応性希釈剤を用いても構わない。反応性希釈剤として、硬化養生中に揮発し得るような低沸点の化合物を用いた場合は、硬化前後で形状変化を起こしたり、揮発物により環境にも悪影響を及ぼしたりすることから、常温での沸点が100℃以上である有機化合物が特に好ましい。
【0144】
上記反応性希釈剤の具体例としては、例えば、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、酢酸アリル、1,1−ジアセトキシ−2−プロペン、1−ウンデセン酸メチル、8−アセトキシ−1,6−オクタジエン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記反応性希釈剤の添加量は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜70重量部、さらに好ましくは1〜50重量部である。
【0145】
<光安定剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、必要に応じて光安定剤を添加しても良い。光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
特に限定はされないが、光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、例えば、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー社製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー社製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
【0146】
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物は具体的には特開2006−274084号公報記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。
【0147】
光安定剤は上述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー社製)などを使用しても良い。
【0148】
光安定剤の使用量は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
【0149】
<接着性付与剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、基材接着性を向上させる目的で接着性付与剤を添加することができる、接着性付与剤としては、架橋性シリル基含有化合物、極性基を有するビニル系単量体が好ましく、更にはシランカップリング剤、酸性基含有ビニル系単量体が好ましい。これらを具体的に例示すると、例えば、特開2005−232419号公報段落[0184]記載の接着性付与剤が挙げられる。
【0150】
上記シランカップリング剤としては、例えば、分子中にエポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、ハロゲン基、(メタ)アクリル基等の、炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤を用いることができる。
【0151】
これらを具体的に例示すると、例えば、特開2005−232419号公報段落[0185]記載の炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン類がより好ましい。
【0152】
上記極性基含有ビニル系単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体として、(メタ)アクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのエステル類、無水マレイン酸およびその誘導体等が挙げられる。
上記ガルボキシル基含有単量体のエステル類としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。また、スルホン酸基含有単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン類又はその塩類等が挙げられる。更に、リン酸基含有単量体としては、例えば、2−((メタ)アクリロイルシエチルホスフェート)、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルフォスフェート等が挙げられる。中でもリン酸基含有単量体が好ましい。また、これらの単量体は2個以上の重合性基を有してしても構わない。
【0153】
シランカップリング剤、極性基含有ビニル系単量体以外の接着性付与剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0154】
上記接着性付与剤は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、0.01〜20重量部配合するのが好ましい。0.01重量部未満では接着性の改善効果が小さく、20重量部を越えると硬化物性が低下し易い傾向がある。好ましくは0.1〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0155】
<溶剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、必要に応じて溶剤を配合することができる。配合できる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、有機重合体からなる(a)成分又は(b)成分の製造時に用いてもよい。
【0156】
<その他の添加剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、硬化性組成物又はその硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。
このような添加物の例としては、例えば、難燃剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号公報、特公平7−108928号公報、特開昭63−254149号公報、特開昭64−22904号公報の各明細書などに記載されている。
【0157】
上記硬化性組成物(A/B)は、全ての配合成分を予め配合密封した1液型として調製でき、また、開始剤だけを抜いたA液と、開始剤を充填材、可塑剤、溶剤等と混合したB液を成形直前に混合する2液型としても調製できる。
【0158】
本発明の画像表示装置を構成する、透明カバーボード、フラットパネルディスプレイ表示モジュール、タッチセンサー、バックライトユニット、ベゼル等の画像表示装置用部材としては、従来公知のものを用いることができる。
【0159】
このような構成からなる本発明の画像表示装置は、例えば、後述する本発明の画像表示装置の製造方法により製造することができる。
また、上記画像表示装置は、タッチパネルや携帯電話の液晶、有機EL又は有機TFT画面;コンピューターの液晶、有機EL又は有機TFT画面;カーナビの液晶、有機EL又は有機TFT画面;液晶、有機EL又は有機TFTテレビディスプレイ等として各種電気・電子機器に搭載することができる。
本発明の画像表示装置が搭載された電気・電子機器もまた本発明の1つである。
【0160】
次に、本発明の画像表示装置の製造方法について説明する。
本発明の画像表示装置の製造方法は、上記画像表示装置を製造する方法であって、
その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちのいずれか一方の部材の少なくとも外縁部近傍、上記硬化性組成物に(B)を塗布した後、その内側に上記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせる工程を有することを特徴とする。
【0161】
即ち、本発明の製造方法では、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つに硬化樹脂層を形成する工程(以下、硬化樹脂層形成工程ともいう)を有する。
そして、この硬化樹脂層形成工程では、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材(例えば、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボードの間に硬化樹脂層を形成する場合には、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボードのいずれか一方)の外縁部近傍に、上記硬化性組成物(B)を塗布した後、その内側に上記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせることにより行う。
ここで、外縁部近傍とは、画像表示装置用部材の外縁から10mmの領域をいう。また、上記硬化性組成物(B)を塗布する領域は、画像表示装置用部材の外縁から5mm以内の領域であることが好ましく、3mm以内の領域であることがより好ましい。
【0162】
上記硬化樹脂層形成工程についてもう少し詳しく説明する。
本工程では、まず、上記一方の部材の外縁部近傍に上記硬化性組成物(B)を塗布する。
ここで、硬化性組成物(B)を塗布する方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の塗布方法を用いることができ、例えば、ディスペンサーを用いる方法、コーターを用いる方法等が挙げられる。これらのなかでは、ディスペサーを用いる方法が好ましい。
【0163】
次に、塗布した硬化性組成物(B)を硬化させ、ダム部とする。ここで、硬化性組成物(B)の硬化条件は、硬化性組成物(B)の組成に応じて適宜選択すれば良いが、具体的には、例えば、以下の条件で行うことができる。
なお、硬化性組成物(B)の硬化は、後述する硬化性組成物(A)の塗布を行った後、に行ってもよい。
【0164】
即ち、(c)成分として光重合開始剤を用いる場合には、活性エネルギー線源により光又は電子線を照射して、硬化させることができる。活性エネルギー線源としては特に限定はないが、用いる光重合開始剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等が挙げられる。ここで、活性エネルギー線はUV光が好ましい。
また、(c)成分として光重合開始剤を用いる場合、その硬化温度は、0℃〜150℃が好ましく、5℃〜120℃がより好ましい。
【0165】
また、(c)成分として熱重合開始剤を用いる場合には、その硬化温度は、使用する熱重合開始剤、(a)成分、(b)成分、添加される他の化合物等の種類により異なるが、通常50℃〜250℃が好ましく、70℃〜250℃がより好ましい。
また、(c)成分としてレドックス系開始剤を用いる場合は、その硬化温度は、−50℃〜250℃が好ましく、0℃〜180℃がより好ましい。
【0166】
また、硬化性組成物(B)が上記(b)成分を含有する場合には、湿分硬化により硬化させることができる。湿分硬化の際の相対湿度は、5〜95%が好ましく、10〜80%がより好ましい。
【0167】
また、硬化性組成物(B)の硬化では、湿分硬化とともに、重合開始剤(c)の種類に応じて、光硬化、加熱硬化、又は、室温硬化により硬化させることができる。
また、(c)成分として2種以上の混合物を使用する場合には、重合開始剤(c)の種類に応じて硬化条件を適宜組み合わせる。
本発明の硬化性組成物は、2種以上の開始剤として、光重合開始剤と他の開始剤とを併用することにより、光硬化と加熱硬化や常温のレドックス硬化等とを併用することが可能となり、そのため、光によって速硬化するとともに、光の当らない部分についても未硬化にならない。
【0168】
次に、硬化性組成物(B)を用いて形成したダム部の内側に硬化性組成物(A)を塗布する。
ここで、硬化性組成物(A)を塗布する方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の塗布方法を用いることができ、例えば、ディスペンサーを用いる方法、コーターを用いる方法、スプレーを用いる方法等が挙げられる。これらのなかでは、塗布後時のタレ防止性、他方の部材との貼り合せ時の未硬化の硬化性組成物(B)の混入防止の点でディスペンサーを用いる方法が好ましい。
【0169】
ここで、硬化性組成物(A)の塗布パターンは特に限定されず、例えば、後述する実施例で採用する塗布パターン(図4(b)、図5(a)、又は、図6に示した塗布パターン)や、図5(b)に2402で示した櫛状(櫛型)の塗布パターン等が挙げられる。これらの塗布パターンは、画像表示装置用部材同士を常圧下で貼り合わせる場合には、図4(b)、図6に示した塗布パターンが塗工時間の短縮が可能である点で好ましく、画像表示装置用部材同士を真空条件下で貼り合わせる場合には、図5(a)、(b)に示した塗工パターンが泡残りを防ぐことが可能となる点で好ましい。
なお、画像表示装置用部材同士を真空条件下で貼り合わせる場合には、ダム部のパターンをダム部の頂点部分の一カ所を空けたパターンとすることが更に泡抜けを良くする点でより好ましい。
【0170】
その後、硬化性組成物(A)を塗布した上記一方の部材に、他方の部材を貼り合せ、続いて、硬化性組成物(A)を硬化させ、硬化樹脂層とする。
ここで、硬化性組成物(A)の硬化は、上述した硬化性組成物(B)の硬化と同様の方法で行うことができる。また、硬化性組成物(A)の硬化は、仮硬化と本硬化との工程に分けて行ってもよい。
さらに、上記硬化樹脂層形成工程では、硬化性組成物(B)を一方の部材に塗布した後、仮硬化を行い、その後、硬化性組成物(A)の塗布、及び、他方の部材の貼り合わせを行ったあと、硬化性組成物(A)の硬化とともに硬化性組成物(B)の本硬化を行ってもよい。
【0171】
このような硬化樹脂層形成工程を行うことで、その間隙に硬化樹脂層を介在させた画像表示装置用部材を作製することができる。
そして、本発明の画像表示装置の製造方法では、画像表示装置の設計に応じて、必要な画像表示装置用部材を貼り合わせればよく、画像表示装置用部材を貼り合わせるに際して、その間隙に硬化樹脂層を介在しない画像表示装置用部材を貼り合わせる場合には、従来公知の
OCAテープや、上記樹脂組成物(A)を用いて貼り合わせればよい。
【0172】
上記硬化樹脂層形成工程を有する本発明の画像表示装置の製造方法では、上述した工程を経るため、画像表示装置用部材の端部からはみ出すことなく、効率良く、硬化樹脂層を形成することができ、本発明の画像表示装置を製造する方法として好適である。
【実施例】
【0173】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
また、下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。このとき、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804およびK−802.5;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
1H−NMRは、Bruker社製ASX−400(400MHz)を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
下記実施例中、「平均末端架橋性シリル基または(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりに導入された架橋性シリル基数、(メタ)アクリロイル基数」であり、1H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。
なお、下記実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0174】
下記実施例に記載の評価方法は以下の通りである。
(粘度)
B型粘度計(BSタイプ)を使用して、ローターの回転数20rpm時の目盛りを読み取り、特定の係数を掛けて粘度を算出した。
【0175】
(粘比)
上記粘度測定時、ローターの回転数2rpm時の粘度を測定し、20rpmの粘度値で割った値を粘比として算出した。
【0176】
(塗工、貼り合わせの際の工程時間)
実施例に記載する塗工パターンで、その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材(実施例1では、透明カバーボード)に硬化性組成物を塗布し、他方の部材(実施例では、タッチセンサー)に貼り合わせ、硬化性組成物が平面全体に広がるまでの時間を測定し、工程時間(タクトタイム)とした。
【0177】
(表示効率)
表示がくっきり見えるものを「○」、表示が少し見にくいものを「△」と評価した。
【0178】
<末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造>
(製造例1、2、3)
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(予め混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル−2,5−ジブロモアジペート(DBAE)または2−ブロモブチル酸エチルを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表1では追加モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
【0179】
(2)酸素処理工程
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素−窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
【0180】
(3)第一粗精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。重合体100kgに対して100〜150kg程度の酢酸ブチルで(2)の濃縮物を希釈し、ろ過助剤(ラジオライトR900、昭和化学工業(株)製)および/または吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。反応容器気相部に酸素−窒素混合ガスを導入した後、約80℃で数時間加熱攪拌した。不溶な触媒成分をろ過除去した。ろ液は重合触媒残渣によって着色および若干の濁りを有していた。
【0181】
(4)第二粗精製工程
ろ液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。気相部に酸素−窒素混合ガスを導入して約100℃で数時間加熱攪拌した後、吸着剤等の不溶成分をろ過除去した。ろ液はほとんど無色透明な清澄液であった。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
【0182】
(5)(メタ)アクリロイル基導入工程
重合体100kgをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)約100kgに溶解し、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体100kgに対して約100kgのトルエンで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体[P1]、[P2]、[P3]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、数平均分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
【0183】
【表1】
【0184】
<加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル系重合体の製造>
(製造例4、5)
各原料の使用量を表2に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表2では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。
アセトニトリル(表2では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル−2,5−ジブロモアジペートを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表2では追加モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表2に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で揮発分を減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
【0185】
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン又はオクタジエンと略す)、アセトニトリル(表2ではジエン反応用アセトニトリルと記載)を添加し、トリアミン(表2ではジエン反応用トリアミンと記載)を追加した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、末端にアルケニル基を有する重合体を含有する濃縮物を得た。
【0186】
(3)粗精製工程
上記濃縮物をトルエンで希釈し、ろ過助剤、吸着剤(キョーワード700SEN:協和化学工業(株)製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学工業(株)
製)を添加し、80〜100℃程度に加熱攪拌した後、固形成分をろ別した。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
【0187】
(4)高温加熱処理・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行った。吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)、を追加し、重合体に対して約10重量部のトルエンを添加し、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌した。
処理液を更にトルエンで希釈し、吸着剤をろ別した。ろ液を濃縮し、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。
【0188】
(5)シリル化工程
上記方法により得られた重合体、メチルジメトキシシラン(DMS)、オルト蟻酸メチル(MOF)、白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のイソプロパノール溶液:以下白金触媒という]を所定量混合し、約100℃に加熱攪拌した。1時間程度加熱攪拌後、未反応のDMS等の揮発分を減圧留去し、両末端にメトキシシリル基を有する重合体[P4][P5]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたシリル基数、分子量、分子量分布を併せて表2に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
<末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオキシアルキレン重合体の製造>
(製造例6)
アクトコールP−23を開始剤として、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより、GPC測定(ポリスチレン換算)数平均分子量10800、Mw/Mnが1.2のポリオキシプロピレングリコールを製造し、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナートを水酸基に対して1.1当量反応させ、末端にラジカル反応性の二重結合を有する重合体[P6]を得た。[P6]の粘度(23℃:B型粘度計)は10Pa・sであった。
【0191】
<加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体の製造>
(製造例7)
アクトコールP−23(三井武田株式会社製、ポリオキシプロピレングリコール)を開始剤として、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより、GPC測定(ポリスチレン換算)数平均分子量10800、Mw/Mnが1.2のポリオキシプロピレングリコールを製造し、次いで末端水酸基をメタルオキシ化した。さらに塩化アリルを反応させ、全末端に不飽和基を導入した後、メチルジメトキシシランを不飽和基に対して0.75当量反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有する重合体[P7]を得た。[P7]の粘度(23℃:B型粘度計)は5.9Pa・sであった。
【0192】
(実施例1)
下記の方法により図4(c)に示した構成の画像表示装置400を製造した。
(a)成分として製造例1で得られた重合体[P1]60部、(b)成分として製造例4で得られた重合体[P4]40部、ライトアクリレートIBXA30部、V-192(フェノキシエチルアクリレート;大阪有機化学工業製)10部、4−HBA(4−ヒドロキシブチルアクリレート、共栄社化学製)10部、(c)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.4部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.2部、SILQUESTA171 2部、KBM−5103(トリメトキシシリルプロピルオキシアクリレート、信越化学工業製)2部、(d)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)1部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)0.06部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−1)を調製した。硬化性組成物(A−1)の粘度は500mPa・sであった。
さらに、硬化性組成物(A−1)に、AEROSIL#200(日本アエロジル製、シリカ)を6部添加して、ミキサーで混練して硬化性組成物(B−1)を得た。硬化性組成物(B−1)の粘度は、20000mPa、粘比は2.4であった。
【0193】
8インチサイズのブラックプリンティング404のついた透明カバーボード403に、先ず、上記硬化性組成物(B−1)を高さ150μm/幅1mmで透明カバーボード403の端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8(浜松ホトニクス製)、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部405を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。次に、ダム部405が形成された透明カバーボード403のダム部405の内側に充填樹脂部406の膜厚が150μmになる様に、所定量の上記硬化性組成物(A−1)を、図4(b)に402で示した塗工パターンで塗布し、同じく8インチのタッチセンサーに常圧で泡なく貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、ダム部405と充填樹脂部406とからなる硬化樹脂層を401を形成した。
【0194】
その後、間隙に硬化樹脂層401を備えた透明カバーボード403及びタッチセンサー407と、フラットパネルディスプレイ表示モジュールであるLCDM(液晶モジュール)408と、バックライトユニット409とを貼り合わせ、画像表示装置400を得た。なお、タッチセンサー407とLCDM408、及び、LCDM408とバックライトユニット409は、それぞれ各画像表示装置用部材の端辺(外縁)に沿って貼付された幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を介して貼り合わせた。その後、23℃×55%条件下で3日間養生した。
【0195】
本実施例で製造した画像表示装置は、比較例と比べ、タッチセンサーからの樹脂成分のはみ出しもなく良好な仕上がりであった。
バックライトからの光もタッチセンサー/LCDM(液晶モジュール)を樹脂充填しない場合の比較例1より効率良く透過させることが出来、明るさで優れる結果となった。
【0196】
(実施例2)
下記の方法により、図4(c)に示した構成の画像表示装置を製造した。
(a)成分として製造例2で得られた重合体[P2]60部、(b)成分として製造例5で得られた重合体[P5]40部、IBXA50部、V-192(フェノキシエチルアクリレート;大阪有機化学工業製)10部、ライトエステルHO-250(2−ヒドロシエチルルアクリレート、共栄社化学製)15部、(c)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.12部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.06部、SILQUESTA171 2部、(d)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)1部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン0.3部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−2)を調製した(粘度3800mPa・s)。
(a)成分として製造例1で得られた重合体[P1]20部と製造例3で得られた重合体[P3]80部、IBXA15部、FA-513M(ジシクロペンタニルメタクリレート;日立化成工業製)15部、(c)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.8部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.1部、チキソ性付与成分として、レオロシールPM−20L(疎水性シリカ;トクヤマ製)6部、を十分混練して硬化性組成物(B−2)を得た。硬化性組成物(B−2)の粘度は、25000mPa、粘比は3.2であった。
【0197】
22インチサイズのブラックプリンティングのついた透明カバーボードに、先ず、上記硬化性組成物(B−2)を用いて高さ200μm/幅1mmで透明カバーボードの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。
次に、ダム部が形成された透明カバーボード403のダム部405の内側に充填樹脂部406の膜厚が200μmになる様に、所定量の上記硬化性組成物(A−2)を印刷方式により図5(a)に1402で示した塗工パターンで塗布し、同じく22インチのタッチセンサーに常圧で泡なく貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、ダム部405と充填樹脂部406とからなる硬化樹脂層を401を形成した。
【0198】
その後、間隙に硬化樹脂層401を備えた透明カバーボード403及びタッチセンサー407と、LCDM(液晶モジュール)408と、バックライトユニット409とを貼り合わせ、画像表示装置400を得た。なお、タッチセンサー407とLCDM(液晶モジュール)408、及び、LCDM(液晶モジュール)408とバックライトユニット409は、それぞれ各画像表示装置用部材の端辺(外縁)に沿って貼付された幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を介して貼り合わせた。さらに23℃×55%条件下で3日間養生した。
【0199】
本実施例で製造した画像表示装置は、比較例と比べ、画像表示装置製造時のタクトタイムが短縮されており、タッチセンサーからの樹脂成分のはみ出しもなく良好な仕上がりであった。
また、バックライトからの光もタッチセンサー/LCDM(液晶モジュール)を樹脂充填しない場合の比較例1より効率良く透過させることが出来、明るさで優れる結果となった。
【0200】
(実施例3)
下記の方法により、図4(c)に示した構成の画像表示装置を製造した。
(a)成分として[P1]20部と[P3]40部、(b)成分として[P5]40部、IBXA 10部、FA−513M 14部、(c)成分としてDAROCUR1173 0.6部とIRAGCURE819 0.3部、SILQUESTA171 6部、(d)成分としてAP−8 0.33部とDBU0.02部、を良く混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−3)(粘度4200Pa・s)を得た。
【0201】
ダム部を形成するための硬化性組成物(B)として硬化性組成物(B−1)を、充填樹脂部を形成するための硬化性組成物(A)として硬化性組成物(A−3)を用い、ダム部の高さ、形成後の充填樹脂部の膜厚を500μmとし、タッチセンサー及び透明カバーボードのサイズを15インチとし、硬化性組成物(A−3)の塗工パターンを図6に3402で示した塗工パターンとした以外は、実施例1と同様にして画像表示装置を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は、比較例と比べ、タッチセンサーからの樹脂成分のはみ出しもなく良好な仕上がりであった。
また、バックライトからの光もタッチセンサー/LCDM(液晶モジュール)を樹脂充填しない場合の比較例1より効率良く透過させることが出来、明るさで優れる結果となった。
【0202】
(実施例4)
下記の方法により図7に示した画像表示装置500を製造した。
(A)成分として製造例2で得られた重合体[P2]60部、(B)成分として製造例5で得られた重合体[P5]40部、IBXA50部、V-192(フェノキシエチルアクリレート;大阪有機化学工業製)10部、ライトエステルHO-250(2−ヒドロシエチルルアクリレート、共栄社化学製)15部、(C)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.12部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.06部、SILQUESTA171 2部、(D)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)1部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)0.3部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−4)を調製した。
【0203】
8インチサイズのブラックプリンティング504のついた透明カバーボード503に、膜厚200μmになる様に、所定量の上記硬化性組成物(A−1)を図4(b)に示した塗工パターンで塗布し、同じく8インチのタッチセンサー507に常圧で泡なく貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層506を形成した。
【0204】
続いて、タッチセンサー507の樹脂層506側と反対側に、先ず、上記硬化性組成物(B−1)を高さ200μm/幅1mmでタッチセンサーの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部505′を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。その後、ダム部505′の内部に低粘度の硬化性組成物(A−4)を充填樹脂部506′の膜厚が200μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上、8インチのLCDM(液晶モジュール)508に貼り合せ、実施例1と同様の方法で硬化させて、ダム部505′と充填樹脂部506′とからなる硬化樹脂層501′を形成した。
その後、LCDM(液晶モジュール)508の硬化樹脂層501′と反対側の端辺(外縁)に沿って、幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を貼付し、これを介してバックライトユニット509を貼り合わせ、さらに23℃×55%条件下で3日間養生し、画像表示装置500を完成した。
本実施例で製造した画像表示装置は、優れた表示効率を示した。
【0205】
(実施例5)
下記の方法により図8に示した構成の画像表示装置600を製造した。
(A)成分として製造例6で得られた重合体[P6]60部、(B)成分として製造例7で得られた重合体[P7]40部、IBXA(イソボルニルアクリレート、共栄社化学製)20部、(C)成分として、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.1部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.05部、SILQUESTA171(ビニルトリメトキシシラン;モメンティブ製)2部、(D)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)0.33部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)0.02部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−5)を調製した。
【0206】
上記硬化性組成物(B−2)を22インチサイズのブラックプリンティング604のついた透明カバーボード603に、高さ500μm/幅1mmで端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部605を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。ダム部605の内部に低粘度の硬化性組成物(A−5)を充填樹脂部606の膜厚が500μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上、22インチのタッチセンサー607に貼り合せ実施例1と同様の方法で硬化させ、硬化樹脂層601を形成した。
【0207】
その後、硬化性組成物(A−4)に代えて硬化性組成物(A−5)を使用し、硬化性組成物(B−1)に代えて硬化性組成物(B−2)を用いた以外は、実施例4と同様の方法で、22インチのLCDM608をタッチセンサー607に、ダム部605′と充填樹脂部606′からなる硬化樹脂層601′を介在させて貼り合わせた。
さらに、バックライトユニット609に硬化性組成物(A−5)を図6に3402で示した塗工パターンで、硬化後の膜厚が200μmとなる様に、所定量塗布し、透明カバーボード603、タッチセンサー607及びLCDM608を硬化樹脂層601、601′を介してアセンブリーしたものに貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層606′′を形成した。さらに、23℃×55%条件下で3日間養生して硬化させ、画像表示装置600を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は優れた表示効率を示した。
【0208】
(実施例6)
下記の方法により図9に示した構成の画像表示装置700を製造した。
(A)成分として[P1]20部と[P3]40部、(B)成分として[P5]40部、IBXA 10部、FA−513M 14部、(c)成分としてDAROCUR1173 0.6部とIRAGCURE819 0.3部、SILQUESTA171 2部、KBM−5103 1部、(d)成分としてAP−8 0.33とDBU0.02部、を良く混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−6)を得た。
また、(B)成分として[P7]100部、SILQUESTA1120(2−アミノ(アミノエチル)−トリメトキシシラン、モメンティブ製)2部、A171 2部、(d)成分としてMSCAT−02(ジブチル錫オキサイドとフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)の反応物)1部、を良く混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−7)を得た。
【0209】
次に、透明カバーボード703、タッチセンサー707、LCDM708の各サイズを10インチとし、硬化性組成物(A−5)に代えて硬化性組成物(A−6)を用いた以外は、実施例5と同様にして、硬化樹脂層701、701′を介して透明カバーボード703、タッチセンサー707、LCDM708を貼り合わせた。なお、図9中、705、705′はダム部、706、706′は充填樹脂部である。
その後、LCDM708の硬化樹脂層701′と反対側の端辺(外縁)に沿って、幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を貼付し、これを介してバックライトユニット709を貼り合わせた。
さらに、べセル712に硬化性組成物(A−7)を図6に3402で示した塗工パターンで、硬化後の膜厚が200μmとなる様に、所定量塗布し、透明カバーボード703、タッチセンサー707、LCDM708及びバックライトユニット709をアセンブリーしたものに貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層706′′を形成した。
その後、23℃×55%条件下で3日間養生させ、画像表示装置700を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は優れた表示効率を示した。
【0210】
(実施例7)
下記の方法により図10に示した構成の画像表示装置800を製造した。
15インチサイズのブラックプリンティング804のついた透明カバーボード803に、高さ500μm/幅1mmでタッチセンサーの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に硬化性組成物(B−2)を塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部805を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。ダム部805の内部に低粘度の硬化性組成物(A−5)を充填樹脂部806の膜厚が500μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上、15インチのタッチセンサー807に貼り合せ実施例1と同様の方法で硬化させ、硬化樹脂層801を形成した。
【0211】
次に、タッチセンサー807に、上記硬化性組成物(B−2)を用いて高さ200μm/幅1mmでタッチセンサーの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部805′を形成した(ダム形成パターン;図4(a)参照)。ダム部805′の内部に低粘度の硬化性組成物(A−5)を充填樹脂部806′の膜厚が200μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上で、15インチLCDM808に貼り合せ実施例5と同様の方法で硬化させ、硬化樹脂層801′た。
その後、LCDM808の硬化樹脂層801′と反対側の端辺(外縁)に沿って、幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を貼付し、これを介してバックライトユニット809を貼り合わせた。
【0212】
その後、15.5インチのべセル812に硬化性組成物(B−1)を高さ200μm/幅1mmで、後で貼り合わせるバックライトユニット809の端部から3mm以内に位置するように、ロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部805′′を形成し、その内側に硬化性組成物(A−6)を塗布、平滑化後、透明カバーボード803、タッチセンサー807、LCDM808及びバックライトユニット809をアセンブリーしたもののバックライトユニット809側に貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層806′′を形成した。
その後、23℃×55%条件下で3日間養生させ、画像表示装置800を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は優れた表示効率を示した。
【0213】
(比較例1)
硬化性組成物(B−1)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、図11に示した構成の画像表示装置900を得た。なお、図11中、903は透明カバーボード、904はブラックプリンティング、906は硬化樹脂層、907はタッチセンサー、908はLCDM、909はバックライトユニットである。
本比較例で製造した画像表示装置900では、タッチセンサー907の端部からの樹脂漏れ906aが観察された。
【0214】
(比較例2)
硬化性組成物(A−1)を硬化性組成物(A−5)に変更した以外は、比較例1と同様の方法で画像表示装置を得た。
【0215】
実施例1〜7、比較例1〜2の画像表示装置製造時のタクトタイム、タッチパネル端部からの樹脂漏れ等の不具合、表示効率等の状態を表3に示す。
【0216】
【表3】
【0217】
実施例1〜7では、硬化性組成物(B)のダム材を用いることで、比較例との比較で樹脂成分のはみ出しがない画像表示装置が得られる。
また、実施例2では画像表示装置製造時、貼り合わせ工程時間が短縮されている。
また、実施例に(b)成分の加水分解性シリル基含有機重合体を使用していることで、ダム材より内側のUVが照射されない印刷部分が存在した場合でもゲル化がし進行し、膜全体として優れた、接着耐久性を示すことが期待される。
さらに、実施例4では、画像表示に画像を点灯させた際優れた表示効果を示すことが分かった。
【符号の説明】
【0218】
100、200、300、400、500、600、700、800 画像表示装置
101、201、301、301′、401、501′、601、601′、701、701′、801、801′、801′′ 硬化樹脂層
103、203、303、403、503、603、703、803 透明カバーボード
104、204、304、404、504、604、704、804 ブラックプリンティング
105、205、305、305′、405、505′、605、605′、705、705′、805、805′、805′′ ダム部
106、206、306、306′、406、506′、606、606′、706、706′、806、806′、806′′ 充填樹脂部
207、307、407、507、607、707、807 タッチセンサー
108、208、308、408、508、608、708、808 フラットパネルディスプレイ表示モジュール(又は、LCDM)
109、209、309、409、509、609、709、809 バックライトユニット
112、212、312、712、812 ベゼル
402、1402、2402、3402 塗布パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、その製造方法、及び、該画像表示装置を搭載した電気・電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン、タッチパネル等の画像表示部分において、液晶モジュール、有機ELモジュール又は有機TFTモジュールと、最上部の透明カバーボード(PETフィルム、強化ガラス、アクリル板等)との間は、従来エアギャップを設けることで、外からの衝撃で、カバーが割れた場合でも、上記モジュールに影響が出ないような構造(エアギャップ構造)としていた。
また、近年、一部ではフラットパネルディスプレイの視認性向上と耐衝撃性の実現を目的に、光重合性官能基を有するウレタンアクリレート、エポキシアクリレートをバインダーポリマーとする光(UV)で硬化可能な光学弾性樹脂硬化性組成物が用いられはじめている。
【0003】
また、上記視認性向上、耐衝撃性向上を目的とした電気機器としては、上述した従来のものに加え、カーナビ、新型のマルチタブレットマシン、電子ペーパー、マルチタッチ式のPCディスプレイ等の需要が高まってきており、これらの電子機器も画面サイズがアップする傾向にある。
【0004】
画面のサイズアップにより、携帯電話やスマートフォンのサイズの画像表示装置で使用していた画像表示装置用部材の貼り合せ方法では、以下の課題が指摘される様になってきた。
<表示上および画面サイズアップに伴う課題>
【0005】
(1)通常、画像表示装置用部材である透明カバーボード、タッチセンサー及び表示モジュールを貼り合わせる場合、透明カバーボードとタッチセンサーとの間は、工学用粘着テープ(OCAテープ:Optical Clear Adhesive Tape)又はUV硬化性樹脂で充填しており、これとともに、視認性アップのために、タッチセンサーと液晶モジュールとの間にも樹脂層を充填することが求められている。ここで、タッチパネル/液晶モジュール間にはUVが透過しない部分が存在するため、UV硬化性樹脂が使用できず、そのためOCAテープを使用する。しかし、OCAテープは、貼り合わせ時に泡やズレ等が発生した場合に、修復が難しく、不良率がアップすることが問題になっている。そのため、画像表示装置用部材(特に、タッチセンサーと液晶モジュール)の貼り合わせには、貼り合わせ後、仮固定の際に接着剤層を剥がして補修可能なUV硬化性樹脂を使用することが望まれていた。
【0006】
(2)画面サイズのアップにより、最表面カバーのデザインによる硬化のためのトリガーであるUV光が透過しない領域(例えば、ブラックプリンティング等)が増加し、未反応となる部分ができるという不具合が発生する。
【0007】
(3)透明カバーボード、表示モジュール、タッチセンサー等の画像表示装置用部材に液状接着剤を塗布する際、従来のディスペンサーによる線状の塗布パターンでは、タクトタイム(工程に要する時間)が長くなる。
【0008】
(4)画面サイズのアップに伴い、画像表示装置用部材の重量もアップしているため、貼り合せ時に接着剤が画像表示装置用部材の端部からはみ出し、その結果、周辺の回路を汚染する。
【0009】
UV未透過の部分の硬化性を改善できる可能性のある候補技術として、柔軟性(耐衝撃性)のある主鎖の末端に官能基を有する有機重合体を用いた硬化物、特にリビング重合を利用して合成された重合体を用いた硬化物の例があるが、速硬化性および接着性の点で課題がある上、本発明の用途を意図したものではなかった(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2005/073333号公報
【特許文献2】特開平11−130931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、画像表示装置用部材同士を貼り合せるための接着剤(貼り合せ用樹脂)の塗工時間が短く、貼り合せ後の端部に未硬化樹脂のはみ出しのない画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の現状に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、いずれかの間隙に特定の2種類の硬化性組成物を用いて硬化樹脂層を形成して、画像表示装置用部材同士を貼り合せた画像表示装置では、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の画像表示装置は、その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、
上記硬化樹脂層は、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されている
ことを特徴とする。
【0014】
上記硬化樹脂層は、上記硬化性組成物(B)を用いて形成された少なくその外縁部を構成するダム部と、上記ダム部の内側に上記硬化性組成物(A)を用いて形成された充填樹脂部とを備えることが好ましい。
【0015】
本発明の画像表示装置において、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)は、活性エネルギー線によって硬化することが好ましく、また、活性エネルギー線および湿分によって硬化することも好ましい。
上記活性エネルギー線は、UV光であることが好ましい。
また、上記硬化性組成物(B)のTI値(チキソトロピーインデックス;2rpmと20rpmの粘度比率)は、2以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の画像表示装置においては、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)を含むことや、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことが好ましい。
また、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)、及び、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことも好ましい。
【0017】
本発明の画像表示装置においては、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が重合開始剤(c)を含むことが好ましい。
上記重合開始剤(c)は、光重合開始剤、熱重合開始剤及びレドックス系開始剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、光重合開始剤であることがより好ましい。
【0018】
また、本発明の画像表示装置においては、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、硬化触媒(d)を含むことが好ましい。
上記硬化触媒(d)は、有機金属、酸触媒、酸・塩基触媒から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、上記硬化触媒(d)は、有機錫触媒、リン酸、リン酸・アミン系から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
【0019】
本発明の画像表示装置においては、(a)成分および(b)成分が、それぞれポリシロキサン、ポリエーテル、及び、ビニル系重合体から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、(a)成分および(b)成分は、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体から選択される少なくとも一種であることも好ましい。
また、(a)成分および(b)成分は、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、及び、(メタ)アクリル系重合体から選択される構造を少なくとも一種含むことも好ましい。
【0020】
さらに、(a)成分および(b)成分は、(メタ)アクリル系重合体であることも好ましく、アクリル系重合体であることも好ましく、アクリル酸エステル系重合体であることも好ましい。
【0021】
本発明の画像表示装置において、上記(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、一般式(1)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される基であることが好ましい。
また、上記(b)成分の加水分解性シリル基は、一般式(101)で表されることが好ましい。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a (101)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
【0022】
本発明の画像表示装置において、硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)は、更に(メタ)アクリロイル基を有し、数平均分子量が5000以下である、モノマー及び/又はオリゴマー(e)を含有することが好ましい。
【0023】
本発明の画像表示装置において、(a)成分及び/又は(b)成分の分子量分布は、1.8未満であることが好ましい。
また、(a)成分及び/又は(b)成分の主鎖は、リビング重合法により製造されたものであることが好ましい。
【0024】
本発明の画像表示装置において、(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合及び/又は(b)成分の加水分解性シリル基は、分子鎖末端にあることが好ましい。
【0025】
本発明の画像表示装置の製造方法は、
上述した本発明の画像表示装置を製造する方法であって、
その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちのいずれか一方の部材の少なくとも外縁部近傍に、上記硬化性組成物(B)を塗布した後、その内側に上記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせる工程を有することを特徴とする。
【0026】
本発明の電気・電子機器は、上述した本発明の画像表示装置が搭載されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像表示装置は、その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、上記硬化樹脂層により、視認性、耐衝撃性、耐熱性、耐候性に優れることとなる。
また、上記硬化樹脂層が特定の硬化性組成物を用いて形成されているため、上記画像表示装置は、生産効率が良く、かつ、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード等の画像表示装置用部材の端部から貼り合せ樹脂(硬化樹脂層)のはみ出し等不具合なく生産される。
【0028】
また、本発明の画像表示装置の製造方法では、本発明の画像表示装置を好適に製造することができ、本発明の電気・電子機器は、本発明の画像表示装置を備えるため、画像表示性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】(a)は、実施例1等におけるダム部の形成位置を模式的に示す平面図であり、(b)は、実施例1等における硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図であり、(c)は、実施例1〜3で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図5】(a)は、実施例2における硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図であり、(b)は、別の硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図である。
【図6】実施例3等における硬化性組成物(A)の塗布パターンを模式的に示す平面図である。
【図7】実施例4で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図8】実施例5で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図9】実施例6で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図10】実施例7で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【図11】比較例1、2で製造した画像表示装置の模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、
上記硬化樹脂層は、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されていることを特徴とする画像表示装置である。
なお、本発明において、粘度とは、B型粘度計を用いた23℃での測定値をいう。
【0031】
以下、本発明の画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図1〜3は、それぞれ本発明の画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す、本発明の画像表示装置100は、その一部にブラックプリンティング104がついた透明カバーボード103、フラットパネルディスプレイ表示モジュール108、バックライトユニット109及びベゼル112を備えている。
さらに、透明カバーボード103とフラットパネルディスプレイ表示モジュール108との間隙には、硬化樹脂層101が介在しており、硬化樹脂層101は、その外縁部を構成するダム部105とダム部105の内側に形成された充填樹脂部106とから構成されている。
ここで、ダム部105は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を用いて形成されており、充填樹脂部106は、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、を用いて形成されている。
なお、画像表示装置100において、フラットパネルディスプレイ表示モジュール108とバックライトユニット109、及び、バックライトユニット109とベゼル112は、それぞれ平面視矩形状の各画像表示装置用部材の4辺に貼付された一定幅の両面テープ(図示せず)を介して固定されている。
【0032】
図2に示す、本発明の画像表示装置200は、その一部にブラックプリンティング204がついた透明カバーボード203、タッチセンサー207、フラットパネルディスプレイ表示モジュール208、バックライトユニット209及びベゼル212を備えている。
さらに、透明カバーボード203とタッチセンサー207との間隙には、硬化樹脂層201が介在しており、硬化樹脂層201は、その外縁部を構成するダム部205とダム部205の内側に形成された充填樹脂部206とから構成されている。
ここで、ダム部205は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を用いて形成されており、充填樹脂部206は、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、を用いて形成されている。
なお、画像表示装置200において、タッチセンサー207とフラットパネルディスプレイ表示モジュール208、フラットパネルディスプレイ表示モジュール208とバックライトユニット209、及び、バックライトユニット209とベゼル212は、それぞれ平面視矩形状の各画像表示装置用部材の4辺に貼付された一定幅の両面テープ(図示せず)を介して固定されている。
【0033】
図3に示す、本発明の画像表示装置300は、その一部にブラックプリンティング304がついた透明カバーボード303、タッチセンサー307、フラットパネルディスプレイ表示モジュール308、バックライトユニット309及びベゼル312を備えている。
さらに、透明カバーボード303とタッチセンサー307との間隙、及び、タッチセンサー207とフラットパネルディスプレイ表示モジュール308との間隙のそれぞれには、硬化樹脂層301、301′が介在しており、硬化樹脂層301は、その外縁部を構成するダム部305とダム部305の内側に形成された充填樹脂部306とから構成され、硬化樹脂層301′は、その外縁部を構成するダム部305′とダム部305′の内側に形成された充填樹脂部306′とから構成されている。
ここで、ダム部305、305′は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を用いて形成されており、充填樹脂部306、306′は、粘度が10000mPa・s以下の硬化性組成物(A)、を用いて形成されている。
なお、画像表示装置300において、フラットパネルディスプレイ表示モジュール308とバックライトユニット309、及び、バックライトユニット309とベゼル312は、それぞれ平面視矩形状の各画像表示装置用部材の4辺に貼付された一定幅の両面テープ(図示せず)を介して固定されている。
【0034】
本発明の画像表示装置の構成は、図1〜3に示した構成に限定されるわけではなく、透明カバーボードとフラットパネルディスプレイ表示モジュールとの間隙、透明カバーボードとタッチセンサーとの間隙、タッチセンサーとのフラットパネルディスプレイ表示モジュールとの間隙、フラットパネルディスプレイ表示モジュールとバックライトユニットとの間隙、及び、バックライトユニット及びベゼルとの間隙、の少なくとも1つに硬化樹脂層が介在されていればよい。
また、上記硬化樹脂層をその間隙に介在させていない部材同士は、上述したように、OCAテープ等を介して固定されていてもよいし、または、1種類の硬化性組成物(例えば、上記硬化性組成物(A)等)を用いて形成された硬化樹脂層を介して固定されていてもよい。
【0035】
ここで、透明カバーボード、タッチセンサー、フラットパネルディスプレイ表示モジュールとバックライトユニット及びベゼルの各種画像表示装置用部材としては、それぞれ既に公知のものを使用することができる。
【0036】
また、上述した通り、本発明の画像表示装置は、所定の箇所に硬化樹脂層を備えており、上記硬化樹脂層は、硬化性組成物(A)及び硬化性組成物(B)を用いて形成されている。
次に、上記硬化樹脂層を形成するための硬化性組成物(A)及び硬化性組成物(B)について説明する。
【0037】
<<硬化性組成物(A)および硬化性組成物(B)>>
硬化性組成物(A)は、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物であれば良いが、300mPa・s以上 9000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上 8000mPa・s以下であることがより好ましい。10000mPa・sを超えると塗工性の点で好ましくない。
【0038】
硬化性組成物(B)は、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物であれば良いが、17000mPa・s以上100000 mPa・s以下であることが好ましく、18000mPa・s以上80000mPa・s以下であることがより好ましい。15000mPa・s未満であるとダム部の形状保持不足の点で好ましくない。
【0039】
硬化性組成物(B)は、特に限定はないが、チキソ性が付与されていることが好ましく、有機系或いは無機系のチキソ性付与剤を含有することが好ましい。
チキソ性付与剤としては、例えば、結晶性シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、アミドワックス、ポリオレフィンワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。
これらのなかでは、少量添加でのチキソ性付与効果およびディスプレイ表示部への貼り合わせを目的とする樹脂の透明性確保の点で結晶性シリカ、溶融シリカが好ましい。
チキソ性の尺度としては、TI値(チキソトロピックインデックス;B型粘度計の回転数20rpmでの粘度/回転数2rpmでの粘度)で2以上が好ましく、3以上であることが、塗工性と塗工後の形状保持性の点で好ましい。
【0040】
硬化性組成物(A)、硬化性組成物(B)は、速硬化の点で活性エネルギー線によって硬化することが好ましく、光の当たらない部分についても未硬化にならない点で活性エネルギー線および湿分によって硬化することがより好ましい。ここで、活性エネルギー線はUV光であることが好ましい。
【0041】
硬化性組成物(A)、硬化性組成物(B)は、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)(単に(a)成分ともいう)、及び/又は、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)(単に(b)成分ともいう)、を含むことが好ましい。
上記(a)成分を含有することにより、活性エネルギー線、熱等による硬化が可能となり、また、上記(b)成分を含有することにより、硬化性組成物は湿分によっても硬化することとなる。
【0042】
(a)成分と(b)成分の骨格は同じであっても異なっていても構わないが、相溶性の観点から同型の骨格である方が好ましい。また、(a)成分および(b)成分は、低分子量化合物、オリゴマー、重合体の何れであっても構わないが、柔軟性、耐久性、硬化性のバランスの点で、オリゴマー、又は、有機重合体であることが好ましく、有機重合体であることが特に好ましい。
【0043】
有機重合体とは、有機化合物の繰り返し単位を伴う構造で、100以上の繰り返し単位からなる化合物を指す。オリゴマーとは、有機化合物の繰り返し単位を伴う構造で、2〜100の繰り返し単位からなる化合物を指す。低分子量化合物とは、オリゴマー、有機重合体以外の構造で基本的に繰り返し単位を伴わない構造の化合物である。
【0044】
上記(a)成分、(b)成分としては、それぞれ独立してポリシロキサン、ポリエーテル、ビニル系重合体が好ましい。
上記ポリシロキサンとしては、アルキルポリシロキサンが好ましい。
上記ポリエーテルとしては、オキシアルキレン系重合体が好ましく、その中でもポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンがより好ましい。
【0045】
上記ビニル系重合体としては、炭化水素系重合体である、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体が好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。さらに、ビニル系重合体としては、ポリイソブチレン、(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造された(メタ)アクリル系重合体が好ましく、(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、アクリル系重合体が好ましく、アクリル酸エステル重合体がより好ましい。
【0046】
(a)成分及び(b)成分のそれぞれは、有機重合体又はオリゴマーの場合、分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が1.8以上であると粘度が増大し、取り扱いが困難になる傾向にある。
なお、本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0047】
(a)成分、(b)成分を構成する、何れのオリゴマー、有機重合体も主鎖、製造法等については、共通して説明できるので以下にまとめて説明する。
<ポリシロキサン>
公知であるオルガノクロロシランを加水分解してオルガノポリシロキサンを製造する方法、特許第2599517号公報、特開昭56−151731号公報、特開昭59−66422号公報、特開昭59−68377号公報に記載のアルコキシシランを塩基性触媒あいは酸触媒の存在下で加水分解する方法等公知の方法で得られる。ポリマーの末端官能基としては、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基等が挙げられる。
【0048】
本発明におけるポリシロキサンの数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000であり、3,000〜100,000がより好ましい。分子量が低くなりすぎると、伸び、柔軟性が不十分な傾向があり、高くなりすぎると、粘度が高くなり、塗布等の作業性が低下する傾向がある。
【0049】
<ポリエーテル>
ポリエーテル(オキシアルキレン系重合体)の合成方法は、特に限定されないが、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。
開始剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
【0050】
モノエポキシドの具体例としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0051】
触媒及び重合法としては、例えばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば特開昭61−215623号公報に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、例えば特公昭46−27250号公報および特公昭59−15336号公報などに示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、セシウム触媒による重合法、ホスファゼン触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。
中でも、高分子量でかつ着色の少ない重合体が容易に得られる点からは、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法が好ましい。
【0052】
この他、オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端オキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。
さらに、上記オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。
【0053】
上記ポリエーテルの数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000であり、1,000〜100,000がより好ましい。分子量が低くなりすぎると、伸び、柔軟性が不十分な傾向があり、高くなりすぎると、粘度が高くなり、塗布等の作業性が低下する傾向がある。
【0054】
<ビニル系重合体>
(炭化水素系重合体)
上記炭化水素系重合体は、芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、例えば、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
【0055】
上記炭化水素系重合体の主鎖骨格をなす重合体は、例えば、(1)エチレン、プロピレン、1,2−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主成分として単独重合もしくは共重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合もしくは共重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物を共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができる。
【0056】
中でも、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンは、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。さらに、ポリイソブチレンは液状または流動性を有するので取り扱いやすく、主鎖に芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を全く含まないため水添の必要が無く、耐候性に極めて優れているので特に好ましい。ポリイソブチレンは、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合可能な単量体単位をポリイソブチレン中に、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、とくに好ましくは10重量%以下の範囲で含有してもよい。
【0057】
このような炭化水素系重合の単量体成分としては、例えば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。たとえば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0058】
水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンや他の炭化水素系重合体においても、上記ポリイソブチレンの場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0059】
炭化水素系重合体、好ましくはポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンの数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から、好ましい。
【0060】
(炭化水素系重合体以外のビニル系重合体)
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体は、その主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には特開2005−232419号公報段落[0018]記載の各種モノマーのような、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0061】
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。なかでも、生成物の物性等から、芳香族ビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
【0062】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
【0063】
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000の範囲である、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000がさらに好ましく、8,000〜50,000がなおさら好ましい。分子量が低くなりすぎると、炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の本来の特性が発現されにくい傾向があり、一方、高くなりすぎると、取り扱いが困難になる傾向がある。
【0064】
上記ビニル系重合体は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」とリビング重合の一種である「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるビニル系重合体の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合法がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419号公報や、特開2006−291073号公報などの記載を参照できる。
【0065】
上記炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419号公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
【0066】
ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を1分子内に2つ以上有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、例えば、
【0067】
【化1】
【0068】
【化2】
【0069】
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、上述したビニル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
【0070】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体であり、特に好ましくは銅の錯体である。
銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
【0071】
上記重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。このとき、溶媒の種類としては特に限定されず、例えば、特開2005−232419号公報段落[0067]記載の溶媒が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系において重合を行うこともできる。
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
【0072】
<<重合性の炭素−炭素二重結合導入法((a)成分の合成方法)>>
(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、特に限定されないが、一般式(1)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、分子鎖末端にあることが好ましい。
【0073】
<ポリシロキサンへの導入方法>
ポリシロキサンへの重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に限定はないが、例えば、特許第3193866号公報に記載の末端シラノール停止ポリシロキサンに有機金属等を触媒として、加水分解性シリル基含有ビニル化合物、加水分解性シリル基含有(メタ)アクリロイル化合物を加水分解縮合反応させる方法等が挙げられる。
【0074】
<ポリエーテルへの導入方法>
オキシアルキレン重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に限定がないが、<1>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに一般式(1)の酸クロライド化合物を反応させる方法、<2>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンにイソシアナート基を含む一般式(1)の化合物を反応させる方法、<3>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに多官能性のイソシアナートおよび水酸基を含有するビニルモノマーを反応させる方法、<4>ヒドロシリル化可能な二重結合末端(例えばアリル基末端)ポリオキシアルキレンに多官能タイプのヒドロシリル化合物を反応させ、更にアリル(メタ)アクリレート等のヒドロシリル化可能な化合物を反応させる方法等が挙げられる。
反応の簡便性の点で<2>、<3>および<4>の方法が好ましく、反応の安定性の点で、<2>および<3>の方法がより好ましい。
【0075】
<ビニル系重合体への導入方法>
ビニル系重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932号公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられるが、以下の導入方法1〜3が好ましい。
【0076】
(導入方法1)
一般式(2)のビニル系重合体の末端ハロゲン基を、一般式(3)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換する方法。
−CR1R2X (2)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
【0077】
M+−OC(O)C(R)=CH2 (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
【0078】
一般式(2)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
【0079】
一般式(3)で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
【0080】
M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としては、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオンや、4級アンモニウムイオン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。これらのなかでは、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
【0081】
一般式(3)のオキシアニオンの使用量は、一般式(2)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が用いられる。
反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃である。
【0082】
(導入方法2)
末端に水酸基を有するビニル重合体に一般式(4)で示される化合物を反応させる方法。
XC(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
【0083】
(導入方法3)
末端に水酸基を有するビニル重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と下記一般式(5)で示される化合物とを反応させる方法。
HO−R’− OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
これらの方法の中では、制御が容易である点から、(導入方法1)が最も好ましい。
【0084】
<<架橋性シリル基の導入方法((b)成分の合成方法)>>
本発明でいう加水分解性シリル基とは、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有官能基のことであり、一般式(101)で表される基が好ましい。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a (101)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
(b)成分の加水分解性シリル基は、分子鎖末端にあることが好ましい。
【0085】
<ポリシロキサンへの導入方法>
ポリシロキサンへの加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されないが、例えば、加水分解性シリル基を含むシラン化合物を酸、塩基を触媒成分として、ポリシロキサンを合成する際に、加水分解、縮合条件を調整して、末端に加水分解性のシリルを残す方法、末端クロロ基含有ポリシロキサンに、加水分解性シリルを含むクロロシランを反応させる方法等がある。
【0086】
<ポリエーテルへの導入方法>
ポリエーテルへの加水分解性シリル基の導入方法としては、例えば、下記(α)〜(δ)等の方法がある。
(α)水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入した後に、一般式(102)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiXaR23−a (102)
(式中R2、X、aは上記に同じ)
【0087】
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基及び水酸基と反応しうる官能基を併有する化合物をオキシアルキレン系重合体の水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法、あるいはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることによりオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
【0088】
(β)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するオキシアルキレン系重合体に一般式(103)で表される化合物を反応させる方法。
(R2−)3−aSiXa−R3NCO (103)
(式中R2、X、aは上記に同じ。R3は炭素数1〜17の2価の炭化水素基。)
【0089】
(γ)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するオキシアルキレン系重合体にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基を導入した後、該イソシアネート基に一般式(104)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
(R2−)3−aSiXa−R3W (104)
(式中R2、R3、X、aは上記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基。)
【0090】
(δ)オレフィン基が導入可能な官能基を有するオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である一般式(104)で表されるケイ素化合物を反応させる方法。
【0091】
これらのうち、導入収率と導入方法の簡便さから、(α)および(β)の方法が好ましく、粘度等の樹脂物性の点で(α)の方法がより好ましい。
【0092】
<ビニル系重合体への導入方法>
(1)炭化水素系重合体
特に限定はないが、上記(α)の方法で導入することが、導入収率、反応の簡便さで好ましい。
(2)炭化水素系以外のビニル系重合体
特開2004−210858号公報段落[0102]〜[0112]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、架橋性シリル基を持つヒドロシラン化合物によるヒドロシリル化反応により、末端アルケニル基を有する重合体のアルケニル基を架橋性シリル基に変換する方法により製造されたものであることが好ましい。
【0093】
以下、上記硬化性組成物(A)及び上記硬化性組成物(B)のそれぞれに配合される他の成分について説明する。勿論、後述する他の成分を含有するか否かは、硬化性組成物(A)及び上記硬化性組成物(B)のそれぞれで任意である。また、以下の説明では、硬化性組成物(A)及び硬化性組成物(B)を合せて硬化性組成物(A/B)とも表記する。
【0094】
<<重合開始剤(c)>>
上記硬化性組成物(A/B)に、(a)成分が含まれている場合には、特に限定されないが、速く硬化させたり、充分な性状の硬化物を得たりするために重合開始剤(c)を使用するのが好ましい。
重合開始剤(c)としては、特に限定はないが、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス系開始剤が好ましく、光重合開始剤であることがより好ましい。本発明の画像表示装置を構成する硬化樹脂層を形成する際に、UV光等の活性エネルギー線の照射により、硬化樹脂層を介在させる透明カバーボード及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール等の画像表示装置用部材を仮固定するのに好適だからである。
なお、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス系開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として使用してもよいが、混合物として使用する場合には、各種開始剤の使用量は、後述のそれぞれの範囲内にあることが好ましい。
【0095】
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤、近赤外光重合開始剤等が挙げられ、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤が好ましく、光ラジカル開始剤が特に好ましい。
光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾイル等が挙げられる。
【0096】
これらのなかでは、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等)が好ましい。
【0097】
光アニオン開始剤としては、例えば、1,10−ジアミノデカン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト−アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等が挙げられる。
【0098】
近赤外光重合開始剤としては、近赤外光吸収性陽イオン染料等を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体等を用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
【0099】
これらの光重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、例えば、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、上記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
【0100】
光重合開始剤を使用する場合、その添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、(a)成分100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
【0101】
熱重合開始剤としては、特に制限はないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤等が挙げられる。
アゾ系開始剤としては、限定されるわけではなく、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)(V−601)(和光純薬社より入手可能)等が挙げられる。
【0102】
過酸化物開始剤としては、限定されるわけではなく、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
【0103】
過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0104】
好ましい熱重合開始剤は、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤であり、更に好ましいものは、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、及び、これらの混合物である。
熱重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0105】
熱重合開始剤を使用する場合、熱重合開始剤が触媒的に有効な量で存在すれば、その添加量は特に限定されないが、本発明の(a)成分を100重量部とした場合に、好ましくは約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。
【0106】
レドックス(酸化還元)系開始剤は、幅広い温度領域で使用できる。特に、下記開始剤種は常温で使用できることが有利である。
適切なレドックス系開始剤としては、限定されるわけではないが、例えば、上記過硫酸塩開始剤と還元剤(メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)の組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンの組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ;有機過酸化物と遷移金属の組み合わせ、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートの組み合わせ等が挙げられる。
【0107】
好ましいレドックス系開始剤としては、有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、有機過酸化物と遷移金属の組み合わせであり、より好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとコバルトナフテートの組み合わせである。
レドックス系開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0108】
レドックス系開始剤を使用する場合、レドックス系開始剤が触媒的に有効な量で存在すれば、その添加量は特に限定されないが、本発明の(a)成分を100重量部とした場合に、好ましくは約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。
【0109】
<<硬化触媒(d)>>
上記硬化性組成物(A/B)に、(b)成分が含まれている場合には、特に限定されないが、硬化触媒(d)が配合されるのが好ましい。
上記硬化性組成物(A/B)で使用され得る加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)は、従来公知の各種縮合触媒(硬化触媒又は硬化剤ということもある)の存在下、又は、非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。
硬化物(硬化樹脂層)の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作製することができる。
【0110】
硬化触媒(d)としては、架橋性シリル基を有する重合体に用いる従来公知の各種縮合触媒を用いて構わないが、有機金属、酸触媒、酸・塩基触媒が好ましく、有機錫触媒、リン酸、リン酸・アミン系触媒がより好ましい。
【0111】
<有機金属触媒>
有機金属触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、例えば、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテートなどのジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、例えば、ジブチル錫オキサイドやジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドと例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸およびアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、例えば、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、およびこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類;例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;例えば、モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ−イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、ラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらにはフェルザチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0112】
<酸触媒>
酸触媒としては、例えば、スルホン酸系、カルボン酸系、リン酸系、硝酸系、フッ酸系触媒等が挙げられる。硬化活性と貯蔵安定性のバランスの点でスルホン酸系、リン酸系、カルボン酸系が好ましい。具体的な例示としては、例えば、スルホン酸系としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0113】
カルボン酸系の具体例としては、例えば、アクリル酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バーサチック酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、琥珀酸、これらの無水物等が挙げられる。
【0114】
リン酸系としては、例えば、リン酸、有機リン酸エステル等が挙げられる。より具体的には 酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物として、(CH3O)2−P(=O)(−OH)、(CH3O)−P(=O)(−OH)2、(C2H5O)2−P(=O)(−OH)、(C2H5O)−P(=O)(−OH)2、(C3H7O)2−P(=O)(−OH)、(C3H7O)−P(=O)(−OH)2、(C4H9O)2−P(=O)(−OH)、(C4H9O)−P(=O)(−OH)2、(C8H17O)2−P(=O)(−OH)、(C8H17O)−P(=O)(−OH)2、(C10H21O)2−P(=O)(−OH)、(C10H21O)−P(=O)(−OH)2、(C13H27O)2−P(=O)(−OH)、(C13H27O)−P(=O)(−OH)2、(C16H33O)2−P(=O)(−OH)、(C16H33O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C6H12O)2−P(=O)(−OH)、(HO−C6H12O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C8H16O)−P(=O)(−OH)、(HO−C8H16O)−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)O]−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)C2H4O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)C2H4O]−P(=O)(−OH)2等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
【0115】
<酸・塩基触媒>
酸・塩基触媒としては、前述の酸系触媒と、後述のアミン化合物との組み合わせからなるものが挙げられる。
(アミン化合物)
アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、ポリアミン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤等のアミノ基を有するアミノシラン系化合物;等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
これらのアミン化合物は、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0116】
上記酸・塩基触媒は、添加する場合、事前に硬化触媒と混合、反応させても構わないし、後から混合しても構わない。事前に混合、反応させておくと、触媒活性がより高くなり、速硬化性を実現できる場合がある。
また、酸とアミンの当量比(モル比)としては、酸/アミンで0.1〜50である。硬化性、ポットライフ、貯蔵安定性の点で、0.3〜40が好ましく、0.5〜30がより好ましい。
【0117】
これらの硬化触媒(d)を添加する場合の配合量は、加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)100重量部に対して0.01〜50重量部程度が好ましく、更に0.1〜20重量部がより好ましい。硬化触媒の配合量が0.01重量部未満であると硬化速度が遅くなる場合があり、また硬化反応が充分に進行し難くなる場合がある。一方、硬化触媒の配合量が50重量部を越えると、ポットライフが短くなり過ぎる場合があり、作業性の点から好ましくない。
【0118】
更に、アミノ基やシラノール基をもたないケイ素化合物を助触媒として添加しても構わない。これらのケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等が好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
【0119】
このケイ素化合物の配合量は、加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
【0120】
なお、硬化触媒(硬化剤)の種類や添加量により、目的や用途に応じて、上記硬化性組成物(A/B)の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。
また、架橋性シリル基を有する重合体のシリル基の反応性によっても硬化触媒(硬化剤)の種類や添加量を変えることが可能であり、反応性が高い場合は0.01〜1部の少量の範囲で充分硬化させることが可能である。
硬化触媒(硬化剤)の種類や添加量は、例えば、加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)の加水分解性シリル基、一般式(101)中のYの種類とaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて上記硬化性組成物(A/B)の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。Yがアルコキシ基である場合、炭素数の少ない方が反応性が高く、またaが大きい方が反応性が高いため少量で充分硬化させることが可能である。
【0121】
<<配合剤>>
上記硬化性組成物(A/B)には、目的とする物性に応じて、さらに各種の配合剤を添加しても構わない。
【0122】
<重合性のモノマー及び/又はオリゴマー(e)>
上記硬化性組成物(A/B)には、本発明の効果を損なわない範囲でモノマー及び/又はオリゴマー(e)を添加することができる。この場合、ラジカル重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマー、あるいは、アニオン重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが、硬化性の点から好ましい。
【0123】
上記ラジカル重合性の基としては、例えば、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。
なかでも、本発明で使用し得るビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
上記アニオン重合性の基としては、例えば、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基等が挙げられる。なかでも、本発明で使用し得るビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
【0124】
上記モノマーの具体例としては、例えば、特開2006−265488号公報段落[0123]〜[0131]記載のものが挙げられる。
上記オリゴマーとしては、例えば、特開2006−265488号公報段落[0132]記載のものが挙げられる。
【0125】
上記のうち、(メタ)アクリロイル系基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。また、(メタ)アクリロイル系基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。さらに、表面硬化性の向上や、作業性向上のための粘度低減のために、モノマーを用いる場合には、分子量が1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
【0126】
モノマー及び/又はオリゴマーの使用量としては、表面硬化性の向上、タフネスの付与、粘度低減による作業性の観点から、(a)成分および(b)成分合計100重量部(以下、単に部ともいう)に対して、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。
【0127】
<充填材>
充填材としては、特に限定されないが、例えば、特開2005−232419号公報段落[0158]記載の充填材が挙げられる。これら充填材のうちでは、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が好ましい。
特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主に結晶性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー及び活性亜鉛華等から選ばれる充填材が好ましい。
なかでも、比表面積(BET吸着法による)が50m2/g以上、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
【0128】
また、低強度で伸びが大である硬化物(硬化樹脂層)を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛及びシラスバルーン等から選ばれる充填材が好ましい。
なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸びの改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸びの改善効果はより大きくなる。
【0129】
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、硬化性組成物(A/B)の作業性を改善し、該硬化性組成物の貯蔵安定性効果がより向上すると考えられる。
【0130】
上記表面処理剤としては、公知のものを使用でき、例えば、特開2005−232419号公報段落[0161]記載の表面処理剤が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合おいて、硬化性組成物のチクソ性や硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸び等の改善効果を特に期待する場合には、膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。一方、配合物の増量、コストダウン等を目的として添加することがある特開2005−232419号公報段落[0163]記載の重質炭酸カルシウムをを使用することもできる。
【0131】
上記充填材は、目的や必要に応じて単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。充填材を用いる場合の添加量は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、充填材を5〜1000重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物(硬化樹脂層)の破断強度、破断伸び、接着性と耐候性の改善効果が充分でないことがあり、1000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。
【0132】
<微小中空粒子>
上記硬化性組成物(A/B)には、物性の大きな低下を引き起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子を上述した補強性充填材に併用して添加することができる。このような微小中空粒子(以下において、「バルーン」と称することがある。)としては、特に限定はされないが、例えば、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているような、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体(無機系バルーンや有機系バルーン)が挙げられる。
特に、真比重が1.0g/cm3以下である微小中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm3以下である微小中空体を用いることが好ましい。
【0133】
上記無機系バルーン及び有機系バルーンとしては、例えば、特開2005−232419号公報段落[0168]〜[0170]に記載されているバルーンが挙げられる。上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で、分散性及び配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらのバルーンは、配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性及び伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
【0134】
上記バルーンの添加量は、特に限定されないが、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.1〜30重量部の範囲で使用できる。この量が0.1重量部未満では軽量化の効果が小さく、50重量部より多いと硬化性組成物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。また、バルーンの比重が0.1以上の場合は、その添加量は好ましくは3〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
【0135】
<酸化防止剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、各種酸化防止剤を必要に応じて添加してもよい。これらの酸化防止剤としては、例えば、p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、二次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0136】
<可塑剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、必要に応じて可塑剤を配合することができる。
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、特開2005−232419号公報段落[0173]記載の可塑剤が挙げられる。これらの中では、粘度の低減効果が顕著であり、耐熱性試験時における揮散率が低いという点から、ポリエステル系可塑剤、ビニル系重合体が好ましい。また、数平均分子量500〜15000の重合体である高分子可塑剤が、添加することにより硬化性組成物の粘度及び該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸び等の機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持できるため好適である。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
【0137】
上記高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000と記載したが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱にさらされたり液体に接した場合に可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
【0138】
これらの高分子可塑剤のうちでは、ビニル系重合体と相溶するものが好ましい。中でも相溶性及び耐候性、耐熱老化性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。
【0139】
このアクリル系重合体としては、例えば、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。
後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、USP5010166)にて作製されるため、本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが、例えば、東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0140】
上記高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
【0141】
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なお、これら可塑剤は、有機重合体からなる(a)成分又は(b)成分の製造時に配合することも可能である。
【0142】
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。1重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくい傾向があり、100重量部を越えると硬化物(硬化樹脂層)の機械強度が不足する傾向がある。
【0143】
<反応性希釈剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、上記可塑剤以外に、次に述べる反応性希釈剤を用いても構わない。反応性希釈剤として、硬化養生中に揮発し得るような低沸点の化合物を用いた場合は、硬化前後で形状変化を起こしたり、揮発物により環境にも悪影響を及ぼしたりすることから、常温での沸点が100℃以上である有機化合物が特に好ましい。
【0144】
上記反応性希釈剤の具体例としては、例えば、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、酢酸アリル、1,1−ジアセトキシ−2−プロペン、1−ウンデセン酸メチル、8−アセトキシ−1,6−オクタジエン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記反応性希釈剤の添加量は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜70重量部、さらに好ましくは1〜50重量部である。
【0145】
<光安定剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、必要に応じて光安定剤を添加しても良い。光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
特に限定はされないが、光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、例えば、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー社製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー社製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
【0146】
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物は具体的には特開2006−274084号公報記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。
【0147】
光安定剤は上述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー社製)などを使用しても良い。
【0148】
光安定剤の使用量は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
【0149】
<接着性付与剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、基材接着性を向上させる目的で接着性付与剤を添加することができる、接着性付与剤としては、架橋性シリル基含有化合物、極性基を有するビニル系単量体が好ましく、更にはシランカップリング剤、酸性基含有ビニル系単量体が好ましい。これらを具体的に例示すると、例えば、特開2005−232419号公報段落[0184]記載の接着性付与剤が挙げられる。
【0150】
上記シランカップリング剤としては、例えば、分子中にエポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、ハロゲン基、(メタ)アクリル基等の、炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤を用いることができる。
【0151】
これらを具体的に例示すると、例えば、特開2005−232419号公報段落[0185]記載の炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン類がより好ましい。
【0152】
上記極性基含有ビニル系単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体として、(メタ)アクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのエステル類、無水マレイン酸およびその誘導体等が挙げられる。
上記ガルボキシル基含有単量体のエステル類としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。また、スルホン酸基含有単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン類又はその塩類等が挙げられる。更に、リン酸基含有単量体としては、例えば、2−((メタ)アクリロイルシエチルホスフェート)、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルフォスフェート等が挙げられる。中でもリン酸基含有単量体が好ましい。また、これらの単量体は2個以上の重合性基を有してしても構わない。
【0153】
シランカップリング剤、極性基含有ビニル系単量体以外の接着性付与剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0154】
上記接着性付与剤は、(a)成分および(b)成分合計100重量部に対して、0.01〜20重量部配合するのが好ましい。0.01重量部未満では接着性の改善効果が小さく、20重量部を越えると硬化物性が低下し易い傾向がある。好ましくは0.1〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0155】
<溶剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、必要に応じて溶剤を配合することができる。配合できる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、有機重合体からなる(a)成分又は(b)成分の製造時に用いてもよい。
【0156】
<その他の添加剤>
上記硬化性組成物(A/B)には、硬化性組成物又はその硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。
このような添加物の例としては、例えば、難燃剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号公報、特公平7−108928号公報、特開昭63−254149号公報、特開昭64−22904号公報の各明細書などに記載されている。
【0157】
上記硬化性組成物(A/B)は、全ての配合成分を予め配合密封した1液型として調製でき、また、開始剤だけを抜いたA液と、開始剤を充填材、可塑剤、溶剤等と混合したB液を成形直前に混合する2液型としても調製できる。
【0158】
本発明の画像表示装置を構成する、透明カバーボード、フラットパネルディスプレイ表示モジュール、タッチセンサー、バックライトユニット、ベゼル等の画像表示装置用部材としては、従来公知のものを用いることができる。
【0159】
このような構成からなる本発明の画像表示装置は、例えば、後述する本発明の画像表示装置の製造方法により製造することができる。
また、上記画像表示装置は、タッチパネルや携帯電話の液晶、有機EL又は有機TFT画面;コンピューターの液晶、有機EL又は有機TFT画面;カーナビの液晶、有機EL又は有機TFT画面;液晶、有機EL又は有機TFTテレビディスプレイ等として各種電気・電子機器に搭載することができる。
本発明の画像表示装置が搭載された電気・電子機器もまた本発明の1つである。
【0160】
次に、本発明の画像表示装置の製造方法について説明する。
本発明の画像表示装置の製造方法は、上記画像表示装置を製造する方法であって、
その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちのいずれか一方の部材の少なくとも外縁部近傍、上記硬化性組成物に(B)を塗布した後、その内側に上記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせる工程を有することを特徴とする。
【0161】
即ち、本発明の製造方法では、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つに硬化樹脂層を形成する工程(以下、硬化樹脂層形成工程ともいう)を有する。
そして、この硬化樹脂層形成工程では、上記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材(例えば、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボードの間に硬化樹脂層を形成する場合には、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボードのいずれか一方)の外縁部近傍に、上記硬化性組成物(B)を塗布した後、その内側に上記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせることにより行う。
ここで、外縁部近傍とは、画像表示装置用部材の外縁から10mmの領域をいう。また、上記硬化性組成物(B)を塗布する領域は、画像表示装置用部材の外縁から5mm以内の領域であることが好ましく、3mm以内の領域であることがより好ましい。
【0162】
上記硬化樹脂層形成工程についてもう少し詳しく説明する。
本工程では、まず、上記一方の部材の外縁部近傍に上記硬化性組成物(B)を塗布する。
ここで、硬化性組成物(B)を塗布する方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の塗布方法を用いることができ、例えば、ディスペンサーを用いる方法、コーターを用いる方法等が挙げられる。これらのなかでは、ディスペサーを用いる方法が好ましい。
【0163】
次に、塗布した硬化性組成物(B)を硬化させ、ダム部とする。ここで、硬化性組成物(B)の硬化条件は、硬化性組成物(B)の組成に応じて適宜選択すれば良いが、具体的には、例えば、以下の条件で行うことができる。
なお、硬化性組成物(B)の硬化は、後述する硬化性組成物(A)の塗布を行った後、に行ってもよい。
【0164】
即ち、(c)成分として光重合開始剤を用いる場合には、活性エネルギー線源により光又は電子線を照射して、硬化させることができる。活性エネルギー線源としては特に限定はないが、用いる光重合開始剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等が挙げられる。ここで、活性エネルギー線はUV光が好ましい。
また、(c)成分として光重合開始剤を用いる場合、その硬化温度は、0℃〜150℃が好ましく、5℃〜120℃がより好ましい。
【0165】
また、(c)成分として熱重合開始剤を用いる場合には、その硬化温度は、使用する熱重合開始剤、(a)成分、(b)成分、添加される他の化合物等の種類により異なるが、通常50℃〜250℃が好ましく、70℃〜250℃がより好ましい。
また、(c)成分としてレドックス系開始剤を用いる場合は、その硬化温度は、−50℃〜250℃が好ましく、0℃〜180℃がより好ましい。
【0166】
また、硬化性組成物(B)が上記(b)成分を含有する場合には、湿分硬化により硬化させることができる。湿分硬化の際の相対湿度は、5〜95%が好ましく、10〜80%がより好ましい。
【0167】
また、硬化性組成物(B)の硬化では、湿分硬化とともに、重合開始剤(c)の種類に応じて、光硬化、加熱硬化、又は、室温硬化により硬化させることができる。
また、(c)成分として2種以上の混合物を使用する場合には、重合開始剤(c)の種類に応じて硬化条件を適宜組み合わせる。
本発明の硬化性組成物は、2種以上の開始剤として、光重合開始剤と他の開始剤とを併用することにより、光硬化と加熱硬化や常温のレドックス硬化等とを併用することが可能となり、そのため、光によって速硬化するとともに、光の当らない部分についても未硬化にならない。
【0168】
次に、硬化性組成物(B)を用いて形成したダム部の内側に硬化性組成物(A)を塗布する。
ここで、硬化性組成物(A)を塗布する方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の塗布方法を用いることができ、例えば、ディスペンサーを用いる方法、コーターを用いる方法、スプレーを用いる方法等が挙げられる。これらのなかでは、塗布後時のタレ防止性、他方の部材との貼り合せ時の未硬化の硬化性組成物(B)の混入防止の点でディスペンサーを用いる方法が好ましい。
【0169】
ここで、硬化性組成物(A)の塗布パターンは特に限定されず、例えば、後述する実施例で採用する塗布パターン(図4(b)、図5(a)、又は、図6に示した塗布パターン)や、図5(b)に2402で示した櫛状(櫛型)の塗布パターン等が挙げられる。これらの塗布パターンは、画像表示装置用部材同士を常圧下で貼り合わせる場合には、図4(b)、図6に示した塗布パターンが塗工時間の短縮が可能である点で好ましく、画像表示装置用部材同士を真空条件下で貼り合わせる場合には、図5(a)、(b)に示した塗工パターンが泡残りを防ぐことが可能となる点で好ましい。
なお、画像表示装置用部材同士を真空条件下で貼り合わせる場合には、ダム部のパターンをダム部の頂点部分の一カ所を空けたパターンとすることが更に泡抜けを良くする点でより好ましい。
【0170】
その後、硬化性組成物(A)を塗布した上記一方の部材に、他方の部材を貼り合せ、続いて、硬化性組成物(A)を硬化させ、硬化樹脂層とする。
ここで、硬化性組成物(A)の硬化は、上述した硬化性組成物(B)の硬化と同様の方法で行うことができる。また、硬化性組成物(A)の硬化は、仮硬化と本硬化との工程に分けて行ってもよい。
さらに、上記硬化樹脂層形成工程では、硬化性組成物(B)を一方の部材に塗布した後、仮硬化を行い、その後、硬化性組成物(A)の塗布、及び、他方の部材の貼り合わせを行ったあと、硬化性組成物(A)の硬化とともに硬化性組成物(B)の本硬化を行ってもよい。
【0171】
このような硬化樹脂層形成工程を行うことで、その間隙に硬化樹脂層を介在させた画像表示装置用部材を作製することができる。
そして、本発明の画像表示装置の製造方法では、画像表示装置の設計に応じて、必要な画像表示装置用部材を貼り合わせればよく、画像表示装置用部材を貼り合わせるに際して、その間隙に硬化樹脂層を介在しない画像表示装置用部材を貼り合わせる場合には、従来公知の
OCAテープや、上記樹脂組成物(A)を用いて貼り合わせればよい。
【0172】
上記硬化樹脂層形成工程を有する本発明の画像表示装置の製造方法では、上述した工程を経るため、画像表示装置用部材の端部からはみ出すことなく、効率良く、硬化樹脂層を形成することができ、本発明の画像表示装置を製造する方法として好適である。
【実施例】
【0173】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
また、下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。このとき、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804およびK−802.5;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
1H−NMRは、Bruker社製ASX−400(400MHz)を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
下記実施例中、「平均末端架橋性シリル基または(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりに導入された架橋性シリル基数、(メタ)アクリロイル基数」であり、1H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。
なお、下記実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0174】
下記実施例に記載の評価方法は以下の通りである。
(粘度)
B型粘度計(BSタイプ)を使用して、ローターの回転数20rpm時の目盛りを読み取り、特定の係数を掛けて粘度を算出した。
【0175】
(粘比)
上記粘度測定時、ローターの回転数2rpm時の粘度を測定し、20rpmの粘度値で割った値を粘比として算出した。
【0176】
(塗工、貼り合わせの際の工程時間)
実施例に記載する塗工パターンで、その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材(実施例1では、透明カバーボード)に硬化性組成物を塗布し、他方の部材(実施例では、タッチセンサー)に貼り合わせ、硬化性組成物が平面全体に広がるまでの時間を測定し、工程時間(タクトタイム)とした。
【0177】
(表示効率)
表示がくっきり見えるものを「○」、表示が少し見にくいものを「△」と評価した。
【0178】
<末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造>
(製造例1、2、3)
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(予め混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル−2,5−ジブロモアジペート(DBAE)または2−ブロモブチル酸エチルを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表1では追加モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
【0179】
(2)酸素処理工程
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素−窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
【0180】
(3)第一粗精製工程
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。重合体100kgに対して100〜150kg程度の酢酸ブチルで(2)の濃縮物を希釈し、ろ過助剤(ラジオライトR900、昭和化学工業(株)製)および/または吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。反応容器気相部に酸素−窒素混合ガスを導入した後、約80℃で数時間加熱攪拌した。不溶な触媒成分をろ過除去した。ろ液は重合触媒残渣によって着色および若干の濁りを有していた。
【0181】
(4)第二粗精製工程
ろ液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。気相部に酸素−窒素混合ガスを導入して約100℃で数時間加熱攪拌した後、吸着剤等の不溶成分をろ過除去した。ろ液はほとんど無色透明な清澄液であった。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
【0182】
(5)(メタ)アクリロイル基導入工程
重合体100kgをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)約100kgに溶解し、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体100kgに対して約100kgのトルエンで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体[P1]、[P2]、[P3]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、数平均分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
【0183】
【表1】
【0184】
<加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル系重合体の製造>
(製造例4、5)
各原料の使用量を表2に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表2では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。
アセトニトリル(表2では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル−2,5−ジブロモアジペートを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表2では追加モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表2に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で揮発分を減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
【0185】
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン又はオクタジエンと略す)、アセトニトリル(表2ではジエン反応用アセトニトリルと記載)を添加し、トリアミン(表2ではジエン反応用トリアミンと記載)を追加した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、末端にアルケニル基を有する重合体を含有する濃縮物を得た。
【0186】
(3)粗精製工程
上記濃縮物をトルエンで希釈し、ろ過助剤、吸着剤(キョーワード700SEN:協和化学工業(株)製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学工業(株)
製)を添加し、80〜100℃程度に加熱攪拌した後、固形成分をろ別した。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
【0187】
(4)高温加熱処理・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行った。吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)、を追加し、重合体に対して約10重量部のトルエンを添加し、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌した。
処理液を更にトルエンで希釈し、吸着剤をろ別した。ろ液を濃縮し、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。
【0188】
(5)シリル化工程
上記方法により得られた重合体、メチルジメトキシシラン(DMS)、オルト蟻酸メチル(MOF)、白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のイソプロパノール溶液:以下白金触媒という]を所定量混合し、約100℃に加熱攪拌した。1時間程度加熱攪拌後、未反応のDMS等の揮発分を減圧留去し、両末端にメトキシシリル基を有する重合体[P4][P5]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたシリル基数、分子量、分子量分布を併せて表2に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
<末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオキシアルキレン重合体の製造>
(製造例6)
アクトコールP−23を開始剤として、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより、GPC測定(ポリスチレン換算)数平均分子量10800、Mw/Mnが1.2のポリオキシプロピレングリコールを製造し、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナートを水酸基に対して1.1当量反応させ、末端にラジカル反応性の二重結合を有する重合体[P6]を得た。[P6]の粘度(23℃:B型粘度計)は10Pa・sであった。
【0191】
<加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体の製造>
(製造例7)
アクトコールP−23(三井武田株式会社製、ポリオキシプロピレングリコール)を開始剤として、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより、GPC測定(ポリスチレン換算)数平均分子量10800、Mw/Mnが1.2のポリオキシプロピレングリコールを製造し、次いで末端水酸基をメタルオキシ化した。さらに塩化アリルを反応させ、全末端に不飽和基を導入した後、メチルジメトキシシランを不飽和基に対して0.75当量反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有する重合体[P7]を得た。[P7]の粘度(23℃:B型粘度計)は5.9Pa・sであった。
【0192】
(実施例1)
下記の方法により図4(c)に示した構成の画像表示装置400を製造した。
(a)成分として製造例1で得られた重合体[P1]60部、(b)成分として製造例4で得られた重合体[P4]40部、ライトアクリレートIBXA30部、V-192(フェノキシエチルアクリレート;大阪有機化学工業製)10部、4−HBA(4−ヒドロキシブチルアクリレート、共栄社化学製)10部、(c)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.4部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.2部、SILQUESTA171 2部、KBM−5103(トリメトキシシリルプロピルオキシアクリレート、信越化学工業製)2部、(d)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)1部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)0.06部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−1)を調製した。硬化性組成物(A−1)の粘度は500mPa・sであった。
さらに、硬化性組成物(A−1)に、AEROSIL#200(日本アエロジル製、シリカ)を6部添加して、ミキサーで混練して硬化性組成物(B−1)を得た。硬化性組成物(B−1)の粘度は、20000mPa、粘比は2.4であった。
【0193】
8インチサイズのブラックプリンティング404のついた透明カバーボード403に、先ず、上記硬化性組成物(B−1)を高さ150μm/幅1mmで透明カバーボード403の端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8(浜松ホトニクス製)、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部405を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。次に、ダム部405が形成された透明カバーボード403のダム部405の内側に充填樹脂部406の膜厚が150μmになる様に、所定量の上記硬化性組成物(A−1)を、図4(b)に402で示した塗工パターンで塗布し、同じく8インチのタッチセンサーに常圧で泡なく貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、ダム部405と充填樹脂部406とからなる硬化樹脂層を401を形成した。
【0194】
その後、間隙に硬化樹脂層401を備えた透明カバーボード403及びタッチセンサー407と、フラットパネルディスプレイ表示モジュールであるLCDM(液晶モジュール)408と、バックライトユニット409とを貼り合わせ、画像表示装置400を得た。なお、タッチセンサー407とLCDM408、及び、LCDM408とバックライトユニット409は、それぞれ各画像表示装置用部材の端辺(外縁)に沿って貼付された幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を介して貼り合わせた。その後、23℃×55%条件下で3日間養生した。
【0195】
本実施例で製造した画像表示装置は、比較例と比べ、タッチセンサーからの樹脂成分のはみ出しもなく良好な仕上がりであった。
バックライトからの光もタッチセンサー/LCDM(液晶モジュール)を樹脂充填しない場合の比較例1より効率良く透過させることが出来、明るさで優れる結果となった。
【0196】
(実施例2)
下記の方法により、図4(c)に示した構成の画像表示装置を製造した。
(a)成分として製造例2で得られた重合体[P2]60部、(b)成分として製造例5で得られた重合体[P5]40部、IBXA50部、V-192(フェノキシエチルアクリレート;大阪有機化学工業製)10部、ライトエステルHO-250(2−ヒドロシエチルルアクリレート、共栄社化学製)15部、(c)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.12部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.06部、SILQUESTA171 2部、(d)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)1部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン0.3部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−2)を調製した(粘度3800mPa・s)。
(a)成分として製造例1で得られた重合体[P1]20部と製造例3で得られた重合体[P3]80部、IBXA15部、FA-513M(ジシクロペンタニルメタクリレート;日立化成工業製)15部、(c)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.8部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.1部、チキソ性付与成分として、レオロシールPM−20L(疎水性シリカ;トクヤマ製)6部、を十分混練して硬化性組成物(B−2)を得た。硬化性組成物(B−2)の粘度は、25000mPa、粘比は3.2であった。
【0197】
22インチサイズのブラックプリンティングのついた透明カバーボードに、先ず、上記硬化性組成物(B−2)を用いて高さ200μm/幅1mmで透明カバーボードの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。
次に、ダム部が形成された透明カバーボード403のダム部405の内側に充填樹脂部406の膜厚が200μmになる様に、所定量の上記硬化性組成物(A−2)を印刷方式により図5(a)に1402で示した塗工パターンで塗布し、同じく22インチのタッチセンサーに常圧で泡なく貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、ダム部405と充填樹脂部406とからなる硬化樹脂層を401を形成した。
【0198】
その後、間隙に硬化樹脂層401を備えた透明カバーボード403及びタッチセンサー407と、LCDM(液晶モジュール)408と、バックライトユニット409とを貼り合わせ、画像表示装置400を得た。なお、タッチセンサー407とLCDM(液晶モジュール)408、及び、LCDM(液晶モジュール)408とバックライトユニット409は、それぞれ各画像表示装置用部材の端辺(外縁)に沿って貼付された幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を介して貼り合わせた。さらに23℃×55%条件下で3日間養生した。
【0199】
本実施例で製造した画像表示装置は、比較例と比べ、画像表示装置製造時のタクトタイムが短縮されており、タッチセンサーからの樹脂成分のはみ出しもなく良好な仕上がりであった。
また、バックライトからの光もタッチセンサー/LCDM(液晶モジュール)を樹脂充填しない場合の比較例1より効率良く透過させることが出来、明るさで優れる結果となった。
【0200】
(実施例3)
下記の方法により、図4(c)に示した構成の画像表示装置を製造した。
(a)成分として[P1]20部と[P3]40部、(b)成分として[P5]40部、IBXA 10部、FA−513M 14部、(c)成分としてDAROCUR1173 0.6部とIRAGCURE819 0.3部、SILQUESTA171 6部、(d)成分としてAP−8 0.33部とDBU0.02部、を良く混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−3)(粘度4200Pa・s)を得た。
【0201】
ダム部を形成するための硬化性組成物(B)として硬化性組成物(B−1)を、充填樹脂部を形成するための硬化性組成物(A)として硬化性組成物(A−3)を用い、ダム部の高さ、形成後の充填樹脂部の膜厚を500μmとし、タッチセンサー及び透明カバーボードのサイズを15インチとし、硬化性組成物(A−3)の塗工パターンを図6に3402で示した塗工パターンとした以外は、実施例1と同様にして画像表示装置を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は、比較例と比べ、タッチセンサーからの樹脂成分のはみ出しもなく良好な仕上がりであった。
また、バックライトからの光もタッチセンサー/LCDM(液晶モジュール)を樹脂充填しない場合の比較例1より効率良く透過させることが出来、明るさで優れる結果となった。
【0202】
(実施例4)
下記の方法により図7に示した画像表示装置500を製造した。
(A)成分として製造例2で得られた重合体[P2]60部、(B)成分として製造例5で得られた重合体[P5]40部、IBXA50部、V-192(フェノキシエチルアクリレート;大阪有機化学工業製)10部、ライトエステルHO-250(2−ヒドロシエチルルアクリレート、共栄社化学製)15部、(C)成分としてDAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.12部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.06部、SILQUESTA171 2部、(D)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)1部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)0.3部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−4)を調製した。
【0203】
8インチサイズのブラックプリンティング504のついた透明カバーボード503に、膜厚200μmになる様に、所定量の上記硬化性組成物(A−1)を図4(b)に示した塗工パターンで塗布し、同じく8インチのタッチセンサー507に常圧で泡なく貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層506を形成した。
【0204】
続いて、タッチセンサー507の樹脂層506側と反対側に、先ず、上記硬化性組成物(B−1)を高さ200μm/幅1mmでタッチセンサーの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部505′を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。その後、ダム部505′の内部に低粘度の硬化性組成物(A−4)を充填樹脂部506′の膜厚が200μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上、8インチのLCDM(液晶モジュール)508に貼り合せ、実施例1と同様の方法で硬化させて、ダム部505′と充填樹脂部506′とからなる硬化樹脂層501′を形成した。
その後、LCDM(液晶モジュール)508の硬化樹脂層501′と反対側の端辺(外縁)に沿って、幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を貼付し、これを介してバックライトユニット509を貼り合わせ、さらに23℃×55%条件下で3日間養生し、画像表示装置500を完成した。
本実施例で製造した画像表示装置は、優れた表示効率を示した。
【0205】
(実施例5)
下記の方法により図8に示した構成の画像表示装置600を製造した。
(A)成分として製造例6で得られた重合体[P6]60部、(B)成分として製造例7で得られた重合体[P7]40部、IBXA(イソボルニルアクリレート、共栄社化学製)20部、(C)成分として、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.1部とIRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.05部、SILQUESTA171(ビニルトリメトキシシラン;モメンティブ製)2部、(D)成分として2−エチルへキシルアシッドフォスフェート(AP−8、第八化学工業(株)製)0.33部と1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)0.02部、を充分撹拌混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−5)を調製した。
【0206】
上記硬化性組成物(B−2)を22インチサイズのブラックプリンティング604のついた透明カバーボード603に、高さ500μm/幅1mmで端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部605を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。ダム部605の内部に低粘度の硬化性組成物(A−5)を充填樹脂部606の膜厚が500μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上、22インチのタッチセンサー607に貼り合せ実施例1と同様の方法で硬化させ、硬化樹脂層601を形成した。
【0207】
その後、硬化性組成物(A−4)に代えて硬化性組成物(A−5)を使用し、硬化性組成物(B−1)に代えて硬化性組成物(B−2)を用いた以外は、実施例4と同様の方法で、22インチのLCDM608をタッチセンサー607に、ダム部605′と充填樹脂部606′からなる硬化樹脂層601′を介在させて貼り合わせた。
さらに、バックライトユニット609に硬化性組成物(A−5)を図6に3402で示した塗工パターンで、硬化後の膜厚が200μmとなる様に、所定量塗布し、透明カバーボード603、タッチセンサー607及びLCDM608を硬化樹脂層601、601′を介してアセンブリーしたものに貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層606′′を形成した。さらに、23℃×55%条件下で3日間養生して硬化させ、画像表示装置600を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は優れた表示効率を示した。
【0208】
(実施例6)
下記の方法により図9に示した構成の画像表示装置700を製造した。
(A)成分として[P1]20部と[P3]40部、(B)成分として[P5]40部、IBXA 10部、FA−513M 14部、(c)成分としてDAROCUR1173 0.6部とIRAGCURE819 0.3部、SILQUESTA171 2部、KBM−5103 1部、(d)成分としてAP−8 0.33とDBU0.02部、を良く混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−6)を得た。
また、(B)成分として[P7]100部、SILQUESTA1120(2−アミノ(アミノエチル)−トリメトキシシラン、モメンティブ製)2部、A171 2部、(d)成分としてMSCAT−02(ジブチル錫オキサイドとフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)の反応物)1部、を良く混合して貼り合わせ用の硬化性組成物(A−7)を得た。
【0209】
次に、透明カバーボード703、タッチセンサー707、LCDM708の各サイズを10インチとし、硬化性組成物(A−5)に代えて硬化性組成物(A−6)を用いた以外は、実施例5と同様にして、硬化樹脂層701、701′を介して透明カバーボード703、タッチセンサー707、LCDM708を貼り合わせた。なお、図9中、705、705′はダム部、706、706′は充填樹脂部である。
その後、LCDM708の硬化樹脂層701′と反対側の端辺(外縁)に沿って、幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を貼付し、これを介してバックライトユニット709を貼り合わせた。
さらに、べセル712に硬化性組成物(A−7)を図6に3402で示した塗工パターンで、硬化後の膜厚が200μmとなる様に、所定量塗布し、透明カバーボード703、タッチセンサー707、LCDM708及びバックライトユニット709をアセンブリーしたものに貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層706′′を形成した。
その後、23℃×55%条件下で3日間養生させ、画像表示装置700を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は優れた表示効率を示した。
【0210】
(実施例7)
下記の方法により図10に示した構成の画像表示装置800を製造した。
15インチサイズのブラックプリンティング804のついた透明カバーボード803に、高さ500μm/幅1mmでタッチセンサーの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に硬化性組成物(B−2)を塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部805を形成した(ダム部形成パターン;図4(a)参照)。ダム部805の内部に低粘度の硬化性組成物(A−5)を充填樹脂部806の膜厚が500μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上、15インチのタッチセンサー807に貼り合せ実施例1と同様の方法で硬化させ、硬化樹脂層801を形成した。
【0211】
次に、タッチセンサー807に、上記硬化性組成物(B−2)を用いて高さ200μm/幅1mmでタッチセンサーの端部から3mm以内にロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部805′を形成した(ダム形成パターン;図4(a)参照)。ダム部805′の内部に低粘度の硬化性組成物(A−5)を充填樹脂部806′の膜厚が200μmになる様に、所定量流し込み、平滑にした上で、15インチLCDM808に貼り合せ実施例5と同様の方法で硬化させ、硬化樹脂層801′た。
その後、LCDM808の硬化樹脂層801′と反対側の端辺(外縁)に沿って、幅2mmの電気・電子用両面テープ(VHB両面テープY−4725、住友・3M社製)を貼付し、これを介してバックライトユニット809を貼り合わせた。
【0212】
その後、15.5インチのべセル812に硬化性組成物(B−1)を高さ200μm/幅1mmで、後で貼り合わせるバックライトユニット809の端部から3mm以内に位置するように、ロの字形、ビード状に塗布し、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で硬化させてダム部805′′を形成し、その内側に硬化性組成物(A−6)を塗布、平滑化後、透明カバーボード803、タッチセンサー807、LCDM808及びバックライトユニット809をアセンブリーしたもののバックライトユニット809側に貼り合わせ、スポット照射機(LC−8、照射条件;100mW/cm2で10秒照射)で仮固定後、コンベアー式の照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV syst、積算光量6000mJ/cm2)でフル硬化させ、樹脂層806′′を形成した。
その後、23℃×55%条件下で3日間養生させ、画像表示装置800を得た。
本実施例で製造した画像表示装置は優れた表示効率を示した。
【0213】
(比較例1)
硬化性組成物(B−1)を使用しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、図11に示した構成の画像表示装置900を得た。なお、図11中、903は透明カバーボード、904はブラックプリンティング、906は硬化樹脂層、907はタッチセンサー、908はLCDM、909はバックライトユニットである。
本比較例で製造した画像表示装置900では、タッチセンサー907の端部からの樹脂漏れ906aが観察された。
【0214】
(比較例2)
硬化性組成物(A−1)を硬化性組成物(A−5)に変更した以外は、比較例1と同様の方法で画像表示装置を得た。
【0215】
実施例1〜7、比較例1〜2の画像表示装置製造時のタクトタイム、タッチパネル端部からの樹脂漏れ等の不具合、表示効率等の状態を表3に示す。
【0216】
【表3】
【0217】
実施例1〜7では、硬化性組成物(B)のダム材を用いることで、比較例との比較で樹脂成分のはみ出しがない画像表示装置が得られる。
また、実施例2では画像表示装置製造時、貼り合わせ工程時間が短縮されている。
また、実施例に(b)成分の加水分解性シリル基含有機重合体を使用していることで、ダム材より内側のUVが照射されない印刷部分が存在した場合でもゲル化がし進行し、膜全体として優れた、接着耐久性を示すことが期待される。
さらに、実施例4では、画像表示に画像を点灯させた際優れた表示効果を示すことが分かった。
【符号の説明】
【0218】
100、200、300、400、500、600、700、800 画像表示装置
101、201、301、301′、401、501′、601、601′、701、701′、801、801′、801′′ 硬化樹脂層
103、203、303、403、503、603、703、803 透明カバーボード
104、204、304、404、504、604、704、804 ブラックプリンティング
105、205、305、305′、405、505′、605、605′、705、705′、805、805′、805′′ ダム部
106、206、306、306′、406、506′、606、606′、706、706′、806、806′、806′′ 充填樹脂部
207、307、407、507、607、707、807 タッチセンサー
108、208、308、408、508、608、708、808 フラットパネルディスプレイ表示モジュール(又は、LCDM)
109、209、309、409、509、609、709、809 バックライトユニット
112、212、312、712、812 ベゼル
402、1402、2402、3402 塗布パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、
前記硬化樹脂層は、前記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されている
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記硬化樹脂層は、前記硬化性組成物(B)を用いて形成された少なくその外縁部を構成するダム部と、前記ダム部の内側に前記硬化性組成物(A)を用いて形成された充填樹脂部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、活性エネルギー線によって硬化することを特徴とする請求項1及び2の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項4】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、活性エネルギー線および湿分によって硬化することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
活性エネルギー線がUV光であることを特徴する請求項3及び4の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
硬化性組成物(B)のTI値(チキソトロピーインデックス;2rpmと20rpmの粘度比率)が2以上であることを特徴する請求項1〜5の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項9】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)、及び、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項10】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、重合開始剤(c)を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項11】
重合開始剤(c)が、光重合開始剤、熱重合開始剤及びレドックス系開始剤から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
重合開始剤(c)が光重合開始剤であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項13】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、硬化触媒(d)を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項14】
硬化触媒(d)が、有機金属、酸触媒、酸・塩基触媒から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
硬化触媒(d)が、有機錫触媒、リン酸、リン酸・アミン系から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項16】
(a)成分および(b)成分が、それぞれポリシロキサン、ポリエーテル、及び、ビニル系重合体から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項17】
(a)成分および(b)成分が、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項18】
(a)成分および(b)成分が、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、及び、(メタ)アクリル系重合体から選択される構造を少なくとも一種含むことを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項19】
(a)成分および(b)成分が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項20】
(a)成分および(b)成分が、アクリル系重合体であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項21】
(a)成分および(b)成分が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項22】
(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合が、一般式(1)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される基であることを特徴とする請求項7及び9〜21の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項23】
(b)成分の加水分解性シリル基が、一般式(101)で表されることを特徴とする請求項8〜22の何れかに記載の画像表示装置。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a (101)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
【請求項24】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、更に(メタ)アクリロイル基を有し、数平均分子量が5000以下である、モノマー及び/又はオリゴマー(e)を含有することを特徴とする請求項1〜23の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項25】
(a)成分及び/又は(b)成分の分子量分布が1.8未満であることを特徴とする請求項16〜24の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項26】
(a)成分及び/又は(b)成分の主鎖が、リビング重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項16〜25の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項27】
(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合及び/又は(b)成分の加水分解性シリル基が、分子鎖末端にあることを特徴とする請求項16〜26の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項28】
請求項1〜27の何れかに記載の画像表示装置を製造する方法であって、
その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちのいずれか一方の部材の少なくとも外縁部近傍に、前記硬化性組成物(B)を塗布した後、その内側に前記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせる工程を有する
ことを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項29】
請求項1〜27の何れかに記載の画像表示装置が搭載されたことを特徴とする電気・電子機器。
【請求項1】
その間隙に硬化樹脂層が介在された、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及び透明カバーボード、タッチセンサー及び透明カバーボード、タッチセンサー及びフラットパネルディスプレイ表示モジュール、フラットパネルディスプレイ表示モジュール及びバックライトユニット、並びに、バックライトユニット及びベゼル、のうちの少なくとも1つを備え、
前記硬化樹脂層は、前記硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちの一方の部材に、粘度が10000mPa・s(B型粘度計での23℃での測定値)以下の硬化性組成物(A)、及び、粘度が15000mPa・s以上の硬化性組成物(B)を塗布した後、他方の部材を貼り合わせることにより形成されている
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記硬化樹脂層は、前記硬化性組成物(B)を用いて形成された少なくその外縁部を構成するダム部と、前記ダム部の内側に前記硬化性組成物(A)を用いて形成された充填樹脂部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、活性エネルギー線によって硬化することを特徴とする請求項1及び2の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項4】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、活性エネルギー線および湿分によって硬化することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
活性エネルギー線がUV光であることを特徴する請求項3及び4の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
硬化性組成物(B)のTI値(チキソトロピーインデックス;2rpmと20rpmの粘度比率)が2以上であることを特徴する請求項1〜5の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項9】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、1分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して少なくとも一個有する化合物(a)、及び、1分子中に加水分解性シリル基を平均して少なくとも一個有する化合物(b)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項10】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、重合開始剤(c)を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項11】
重合開始剤(c)が、光重合開始剤、熱重合開始剤及びレドックス系開始剤から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
重合開始剤(c)が光重合開始剤であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項13】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、硬化触媒(d)を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項14】
硬化触媒(d)が、有機金属、酸触媒、酸・塩基触媒から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
硬化触媒(d)が、有機錫触媒、リン酸、リン酸・アミン系から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項16】
(a)成分および(b)成分が、それぞれポリシロキサン、ポリエーテル、及び、ビニル系重合体から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項17】
(a)成分および(b)成分が、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項18】
(a)成分および(b)成分が、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリイソブチレン、及び、(メタ)アクリル系重合体から選択される構造を少なくとも一種含むことを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項19】
(a)成分および(b)成分が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項20】
(a)成分および(b)成分が、アクリル系重合体であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項21】
(a)成分および(b)成分が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項9〜15の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項22】
(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合が、一般式(1)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される基であることを特徴とする請求項7及び9〜21の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項23】
(b)成分の加水分解性シリル基が、一般式(101)で表されることを特徴とする請求項8〜22の何れかに記載の画像表示装置。
−[Si(R1)2−b(Y)bO]m−Si(R2)3−a(Y)a (101)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
【請求項24】
硬化性組成物(A)及び/又は硬化性組成物(B)が、更に(メタ)アクリロイル基を有し、数平均分子量が5000以下である、モノマー及び/又はオリゴマー(e)を含有することを特徴とする請求項1〜23の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項25】
(a)成分及び/又は(b)成分の分子量分布が1.8未満であることを特徴とする請求項16〜24の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項26】
(a)成分及び/又は(b)成分の主鎖が、リビング重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項16〜25の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項27】
(a)成分の重合性の炭素−炭素二重結合及び/又は(b)成分の加水分解性シリル基が、分子鎖末端にあることを特徴とする請求項16〜26の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項28】
請求項1〜27の何れかに記載の画像表示装置を製造する方法であって、
その間隙に硬化樹脂層を介在させる2つの部材のうちのいずれか一方の部材の少なくとも外縁部近傍に、前記硬化性組成物(B)を塗布した後、その内側に前記硬化性組成物(A)を塗布し、これに他方の部材を貼り合わせる工程を有する
ことを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項29】
請求項1〜27の何れかに記載の画像表示装置が搭載されたことを特徴とする電気・電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−88455(P2013−88455A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225731(P2011−225731)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(000105305)ケミテック株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(000105305)ケミテック株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]