爪切り
【課題】自分自身の爪を切るのはもとより、他人の爪を切る場合でも、深爪が起こらない爪切りを提供すること。
【解決手段】この発明は、弾性を有する長板からなる上側弾性板2及び下側弾性板3の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前記前端部に設けられた開口部を貫通した支軸4に連結された操作レバー1とを備えた爪切りであり、下側弾性板3の前端部に刃がなく、突き当て部3aを備えたことを特徴とする。
【解決手段】この発明は、弾性を有する長板からなる上側弾性板2及び下側弾性板3の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前記前端部に設けられた開口部を貫通した支軸4に連結された操作レバー1とを備えた爪切りであり、下側弾性板3の前端部に刃がなく、突き当て部3aを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手や足の指の爪を切る爪切りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪切りは日常生活において活用され、その構成も定まりつつある。
【0003】
典型的な爪切りの構成は、次の通りである。即ち、弾性を有した2枚の金属の長板からなる上側弾性板、下側弾性板を、向かい合わせ上下に重ね合わせて、それらの後端部を二又状に接合し前端部を折り曲げ、更に該前端部の先端を鋭利状にしてそれぞれ上刃と下刃を形成している。これら上刃と下刃の間には指の爪の先端部が挿入する間隙を設けている。
【0004】
さらに、各前端部の近傍位置には、開口部を設け、支軸を下側弾性板の開口部から上側弾性板の開口部に貫通させ、上側弾性板並びに下側弾性板に対して回転可能としている。支軸の下端は大径部とし、該大径部を下側弾性板の下面に当接させることで抜け止めを施している。支軸の上端部は上側弾性板の上面より突出している。更に、この支軸の上端部には、その直径方向に切り欠きを設け、該切り欠きにピンを掛けて、操作レバーの前端を連結している。
【0005】
この操作レバーは、前端部の片側に突出した支点用凸部を備え、該支点用凸部を上側弾性板の上面の前端部の一部に当接させ、上側弾性板に対して所定角度の範囲で支点を回転中心として円弧状に操作可能としている。
【0006】
このような構成において、手や足の爪を切る時には、上刃と下刃の隙間に指の爪の先端を挿入して、操作レバーの後端を上側弾性板側に押し下げれば、爪の先端が上刃と下刃に挟まれて切断される。このとき、爪の隙間への入り具合により爪の切断される位置は異なり、その結果、深爪となることがある。
【0007】
このような問題に鑑みて、従来から深爪に対し、種々工夫がなされている。
【0008】
例えば特許文献1では、爪切りの下刃の先端にスペーサを貼り付けて深爪を防止する方法が開示されている。また、特許文献2では、爪切りの下刃の下側から下刃の先端をカバーするスペーサを固定する方法が開示されている。更に、特許文献3では、爪切りのカバーの先端部にスペーサを設置する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】実用新案公開平5−68408号公報
【特許文献2】公報登録実用新案第3079764号公報
【特許文献3】特許公開2000−4931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自分の爪を切る時、爪切りの上刃と下刃の間には隙間があるので、爪切りを爪の方に押し込むと、たやすく爪の奥深いところまで入り込んでしまう。下刃の差し込み具合は爪の陰に隠れているので視認性が悪く、特に、老人や視力の弱い人にとっては爪切りを過剰に差し込んでも、その差し込み具合を認識できないこともある。この状態で操作レバーを押下すると、鋭利な上下の刃は爪に食い込み、そのまま切断される。差し込み具合が過剰に奥深い場合には、深爪になることもある。
【0011】
一方、爪切りは、老人や病人の介護者や幼少児の育児者が自分以外の人の爪を切る場合にも使用する。他人の爪を切る場合、爪切りの差し込み具合を自分の感覚で感じられないことに加え、幼少児においては気のままに勝手に動いたりするために、爪切りを過剰に差し込んでしまい、深爪になることもある。
【0012】
また、爪切りの上下の刃は刃が閉じたとき前端をぴったり真直に合っており、それぞれの刃の内側は傾斜して鋭利な刃を形成している。爪の切断端面は爪切りの前端面の真直な形状に沿って切れるので、爪の切断端面は横から見ると大略直角になる。この切断頂部は指先が物に触れる時引っかかったり、物を傷つけたりするので、通常ヤスリなどで角部を丸める等の仕上げをする必要がある。
【0013】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、自分自身の爪を切るのはもとより、他人の爪を切る場合でも、深爪が起こらない爪切りを提供することを目的とする。
【0014】
さらに、爪の切断角部を直角ではなく鈍角に切断することで、爪が物に引っかかったり、物を傷つけたりすることがなくなるので、ヤスリ等で爪の頂部を丸める必要がなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による爪切りにおいては、下刃の刃を取り除き、下側弾性板の前端を上刃の前端面より伸ばして突き当てとしている。この突き当ては下側弾性板の一部として利用する。または、別の部材で整形した突き当てピースを下側弾性板の前端部に装着して構成する。
【0016】
本発明の他の態様による爪切りにおいては、爪の切断頂部を鈍角にするために、爪切りの上刃の内側を直角にし、刃先の前端面側を後方に所定角度だけ傾斜させて刃を形成する。下側弾性板の先端は上記同様、下側弾性板の突き当てを上刃の刃先より伸ばして形成する。又は、別部材の突き当てピースを装着する。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明の爪切りによれば、爪と指肉の間に下側弾性板の突き当て部が挿入され、爪下の指肉の奥部に突き当たるが、この突き当て部は、上刃の前端面より伸びており、爪は指肉との境目より後方で上刃と突き当て部に挟まれて切断されるので、深爪が防止される。また、下側が突き当てになっているので、爪切りの差し込み具合が指先の触覚で感じやすい。
【0018】
更に、爪を過剰に奥深く挿入した場合であっても、下側に刃がないので爪が刃に引っかかってそのまま切断されて深爪になることがなくなる。深爪が防止されると、深爪によって生じた傷みや指肉への傷つき、更に深爪を原因とする巻き爪とその派生傷害が防止もしくは軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳述する。
【0020】
(第1の実施の形態)
【0021】
先ず、図1及び図2に沿って本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0022】
図1、図2に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板2,下側弾性板3を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板2と下側弾性板3の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板2の前端部を下方向に曲げ上刃2aを形成し、下側弾性板3の前端部は、爪と指肉の境に挿入する突き当て部3aを形成している。即ち、突き当て3aが、下側弾性板3の一部として形成されている。
【0023】
更に、支軸4の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板3の開口部から上側弾性板2の開口部を貫通して突出する。その支軸4の上部には切り欠き部があり、ピン5が引っ掛けられている。そのピン5の両端には、操作レバー1の前端部が連結している。操作レバー1は、前端部の片側に突出した支点用凸部1aが上側弾性板2の上面に当接されており、上側弾性板2の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0024】
この突き当て部3aの先端は、爪と指肉の境目に入りやすいように先端が薄く尖った形状とし、上側弾性板2の上刃2aより前方に突出している。図2に示す突き出し量xとしては、深爪や指肉の切断が防止される量を設定する。即ち、突き出し量xは予め設定された所定値であり、例えば平均的の使用に好適な量が設定されてよい。
【0025】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板2及び下側弾性板3の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸4と、この支軸4の切り欠き部に掛けられたピン5により連結された第2の部材としての操作レバー1とを備えており、上側弾性板2の先端部に上刃2aを形成し、下側弾性板3に上側弾性板2の上刃2aより前方に所定量だけ突出した突き当て部3aを形成したことを特徴とする爪切りが提供される。
【0026】
従って、この突き当て部3aにより、爪は指肉との境目より後方で上刃と突き当てに挟まれて切断されるので、深爪が防止される。また、下側が突き当て部3aになっているので、爪切りの差し込み具合が指先の触覚で感じやすい。
【0027】
(第2の実施の形態)
【0028】
次に図3,4,5を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形体の爪切りでは、突き出し量xが可変自在となっている。
【0029】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板12,下側弾性板13を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板12と下側弾性板13の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板12の前端部を下方向に曲げ上刃12aを形成し、下側弾性板13の前端部には、詳細は後述する突き当てピース16が配設されている。
【0030】
更に、支軸14の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板13の開口部から上側弾性板12の開口部を貫通して突出する。その支軸14の上部には切り欠き部があり、ピン15が引っ掛けられている。そのピン15の両端には、操作レバー11の前端部が連結している。操作レバー11は、前端部の片側に突出した支点用凸部11aが上側弾性板12の上面に当接されており、上側弾性板12の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0031】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板12の上刃12aに対し、下側弾性板13の先端部に装着された突き当てピース16が所定の突き出し量を形成する。この突き当てピース16は支柱14を通す支点通し穴16a、摺動部16bを有している。下側弾性板13を適度な隙間で摺動させれば適当な突き出し量の位置に止めることが出来る。更に、下側弾性板13の途中にはストッパの役割を担う段部13aが設けられていて、予め設定された突き出し量で止まるようになっている。
【0032】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板12及び下側弾性板13の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸14と、この支軸14の切り欠き部に掛けられたピン15により連結された第2の部材としての操作レバー11とを備えており、上側弾性板12の先端部に上刃12aを形成し、下側弾性板13に上側弾性板12の上刃12aより前方に所定量だけ突出する突き当てピース16が配設されたことを特徴とする爪切りが提供される。
【0033】
さらに、この突き当てピース16は、支軸14に対して前後方向(上側弾性板12、下側弾性板13の長手方向)に移動自在とし、突き出し量を調整可能とすることができる。
【0034】
したがって、突き当てピース16の突き出し量を使用者の指並びに爪のサイズに応じて好適に調整することができ、深爪となるのを防止することが可能となる。
【0035】
(第3の実施の形態)
【0036】
次に図6,7,8を参照して、本発明の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形体の爪切りは、突き出し量を爪切り本体の下側弾性板23の下面に取り付けられたダイヤル28を回すことで調整自在となっている。
【0037】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板22,下側弾性板23を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板22と下側弾性板23の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板22の前端部を下方向に曲げ上刃22aを形成し、下側弾性板23の前端部には、詳細は後述する突き当てピース26が配設されている。
【0038】
更に、支軸24の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板23の開口部から上側弾性板22の開口部を貫通して突出する。その支軸24の上部には切り欠き部があり、ピン25が引っ掛けられている。そのピン25の両端には、操作レバー21の前端部が連結している。操作レバー21は、前端部の片側に突出した支点用凸部21aが上側弾性板22の上面に当接されており、上側弾性板22の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0039】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板22の上刃22aに対し、下側弾性板23の先端部に装着された突き当てピース26が突き出し量を設定する。この突き当てピース26には支柱24を通す穴26aと偏心円板27の入る横長穴26bが設けられている。下側弾性板23に設けられたダイヤル軸穴23aにダイヤル28の軸部28aが通り、その上端に偏心円板27が固定ビス29で固定されている。爪切り本体下面に装着されたダイヤル28を回転させると偏心円板27の偏心量の所定倍(例えば2倍)だけ突き当てピースが前後に出入りする。使用時にはこのダイヤル28を回して適量の突き出し量を選んで爪切りをする。
【0040】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板22及び下側弾性板23の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸24とこの支軸24の切り欠き部に掛けられたピン25により連結された第2の部材としての操作レバー21とを備えており、上側弾性板22の先端部に上刃22aを形成し、下側弾性板23に上側弾性板22の上刃22aより前方に所定量だけ突出する突き当てピース26が配設され、この突き当てピース26がダイヤル28に接続された偏心円板27の偏心量に応じて前後方向(上側弾性板22、下側弾性板23の長手方向)に移動自在としたことを特徴とする爪切りが提供される。
【0041】
したがって、ダイヤル28の操作により突き当てピース26の突き出し量を使用者の指並びに爪のサイズに応じて好適に調整することが可能となる。
【0042】
(第4の実施の形態)
【0043】
次に図9,10,11を参照して、本発明の第4の実施の形態を説明する。この第4の実施の形体の爪切りは、深爪防止を3次元刃で実施するものである。
【0044】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板32,下側弾性板33を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板32と下側弾性板33の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板32の前端部を下方向に曲げ上刃32aを形成し、下側弾性板33の前端部には、詳細は後述する突き当て部33aが設けられている。そして、上刃32aが上側弾性板32の長手方向に対して水平な方向に円弧形状であるだけでなく、垂直な方向(上下方向)にも円弧形状になっている点に特徴を有している。
【0045】
更に、支軸34の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板33の開口部から上側弾性板32の開口部を貫通して突出する。その支軸34の上部には切り欠き部があり、ピン35が引っ掛けられている。そのピン35の両端には、操作レバー31の前端部が連結している。操作レバー31は、前端部の片側に突出した支点用凸部31aが上側弾性板32の上面に当接されており、上側弾性板32の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0046】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板32の前端の上刃32aが水平方向に円弧形状であるだけでなく、垂直方向にも円弧形状になっている。下側弾性板33の前端は上刃32aより突き出し量を有しているので、深爪防止効果がある。更に、上刃32aの垂直方向の円弧形状と合わせた筒形状をしている。これを図11の正面図に示す。この上刃32aと突き当て33aの3次元形状は爪先の丸い形状に合うので、爪が切断されるときの無理な圧迫がなく爪割れを防止できる。
【0047】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板32及び下側弾性板33の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸34とこの支軸34の切り欠き部に掛けられたピン35により連結された第2の部材としての操作レバー31とを備えており、上側弾性板32の先端部に上側弾性板32の長手方向に対して水平な方向、並びに垂直な方向(即ち、上下方向)に円弧形状となっている上刃を形成し、下側弾性板33に同様の円弧形状の下刃33aを形成し、さらに下刃33aが上側弾性板32の上刃32aより前方に所定量だけ突出することを特徴とする爪切りが提供される。
【0048】
従って、円弧形状の上刃32a及び下刃33aにより、爪が切断されるときの無理な圧迫がなく爪割れを防止することができる。
【0049】
(第5の実施の形態)
【0050】
次に図12,13,14を参照して、本発明の第5の実施の形態を説明する。この第5の実施の形体の爪切りは、深爪防止に加え、爪切断部の角度を鈍角に切断する構成を備えている。
【0051】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板42,下側弾性板43を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板42と下側弾性板43の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板42の前端部を下方向に曲げ上刃42aを形成し、下側弾性板43の前端部には、詳細は後述する突き当て部43aが設けられている。そして、詳細は後述するが、上側弾性板42の前端の上刃42aの前端面は垂直ではなく、刃先端部も後方(後端部方向)に所定の角度を有し、刃の背面(内面)は垂直になっている。
【0052】
更に、支軸44の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板43の開口部から上側弾性板42の開口部を貫通して突出する。その支軸44の上部には切り欠き部があり、ピン45が引っ掛けられている。そのピン45の両端には、操作レバー41の前端部が連結している。操作レバー41は、前端部の片側に突出した支点用凸部41aを上側弾性板42の上面に当接されており、上側弾性板42の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0053】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板42の前端の上刃42aの前端面が垂直ではなく、刃先端が後方に角度を有し、刃の背面は垂直になっている。より詳細には、図13に示すように上刃42aの刃先が真直ではなく後方に傾斜しているので、爪の切断頂部は鈍角に切断されるので、ヤスリ等で頂部を丸めたりする必要がなくなる。図14には本実施の形態に係る爪切りにより切断された爪の状態を示す。
【0054】
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板42及び下側弾性板43の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸44とこの支軸44の切り欠き部に掛けられたピン45により連結された第2の部材としての操作レバー41とを備えており、上側弾性板42の先端部の刃先端も後方に所定角度を有する上刃42aを形成したことを特徴とする爪切りが提供される。
【0055】
従って、爪は上刃42aと下側弾性板43に挟んで切断されるが、上刃42aの刃先が後方側に角度を持っているので、爪の切断角部は直角ではなく鈍角に切断される。爪の切断頂部が鈍角になると、爪が物に引っかかったり、物を傷つけたりすることがなくなるので、ヤスリ等で爪の頂部を丸める必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の突き当てピースを示す斜視図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図8】(a)は本発明の第3の実施の形態の突き当てピースを示す斜視図、(b)は本発明の第3の実施の形態のダイヤルを示す斜視図、(c)は本本発明の第3の実施の形態のダイヤルを示す断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る爪切りの正面から見た図の一部分。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図14】本発明の第5の実施の形態による切断した爪の状態図。
【符号の説明】
【0057】
1…操作レバー、1a…支点用凸部、2…上側弾性板、2a…上刃、3…下側弾性板、3a…突き当て、4…支軸、5…ピン、6…指、7…爪、11…操作レバー、11a…支点用凸部、12…上側弾性板、12a…上刃、13…下側弾性板、14…支軸、15…ピン、16…突き当てピース、16a…支点通し穴、16b…摺動部、21…操作レバー、21a…支点用凸部、22…上側弾性板、22a…上刃、23…下側弾性板、23a…ダイヤル軸穴、24…支軸、25…ピン、26…突き当てピース、26a…支柱通し穴、26b…偏心円板挿入穴、27…偏心円板、28…ダイヤル、28a…ダイヤル軸、29…固定ビス、31…操作レバー、31a…支点用凸部、32…上側弾性板、32a…上刃、33…下側弾性板、33a…突き当て、34…支軸、35…ピン、41…操作レバー、41a…支点用凸部、42…上側弾性板、42a…上刃、43…下側弾性板、43a…突き当て、44…支軸、45…ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、手や足の指の爪を切る爪切りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪切りは日常生活において活用され、その構成も定まりつつある。
【0003】
典型的な爪切りの構成は、次の通りである。即ち、弾性を有した2枚の金属の長板からなる上側弾性板、下側弾性板を、向かい合わせ上下に重ね合わせて、それらの後端部を二又状に接合し前端部を折り曲げ、更に該前端部の先端を鋭利状にしてそれぞれ上刃と下刃を形成している。これら上刃と下刃の間には指の爪の先端部が挿入する間隙を設けている。
【0004】
さらに、各前端部の近傍位置には、開口部を設け、支軸を下側弾性板の開口部から上側弾性板の開口部に貫通させ、上側弾性板並びに下側弾性板に対して回転可能としている。支軸の下端は大径部とし、該大径部を下側弾性板の下面に当接させることで抜け止めを施している。支軸の上端部は上側弾性板の上面より突出している。更に、この支軸の上端部には、その直径方向に切り欠きを設け、該切り欠きにピンを掛けて、操作レバーの前端を連結している。
【0005】
この操作レバーは、前端部の片側に突出した支点用凸部を備え、該支点用凸部を上側弾性板の上面の前端部の一部に当接させ、上側弾性板に対して所定角度の範囲で支点を回転中心として円弧状に操作可能としている。
【0006】
このような構成において、手や足の爪を切る時には、上刃と下刃の隙間に指の爪の先端を挿入して、操作レバーの後端を上側弾性板側に押し下げれば、爪の先端が上刃と下刃に挟まれて切断される。このとき、爪の隙間への入り具合により爪の切断される位置は異なり、その結果、深爪となることがある。
【0007】
このような問題に鑑みて、従来から深爪に対し、種々工夫がなされている。
【0008】
例えば特許文献1では、爪切りの下刃の先端にスペーサを貼り付けて深爪を防止する方法が開示されている。また、特許文献2では、爪切りの下刃の下側から下刃の先端をカバーするスペーサを固定する方法が開示されている。更に、特許文献3では、爪切りのカバーの先端部にスペーサを設置する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】実用新案公開平5−68408号公報
【特許文献2】公報登録実用新案第3079764号公報
【特許文献3】特許公開2000−4931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自分の爪を切る時、爪切りの上刃と下刃の間には隙間があるので、爪切りを爪の方に押し込むと、たやすく爪の奥深いところまで入り込んでしまう。下刃の差し込み具合は爪の陰に隠れているので視認性が悪く、特に、老人や視力の弱い人にとっては爪切りを過剰に差し込んでも、その差し込み具合を認識できないこともある。この状態で操作レバーを押下すると、鋭利な上下の刃は爪に食い込み、そのまま切断される。差し込み具合が過剰に奥深い場合には、深爪になることもある。
【0011】
一方、爪切りは、老人や病人の介護者や幼少児の育児者が自分以外の人の爪を切る場合にも使用する。他人の爪を切る場合、爪切りの差し込み具合を自分の感覚で感じられないことに加え、幼少児においては気のままに勝手に動いたりするために、爪切りを過剰に差し込んでしまい、深爪になることもある。
【0012】
また、爪切りの上下の刃は刃が閉じたとき前端をぴったり真直に合っており、それぞれの刃の内側は傾斜して鋭利な刃を形成している。爪の切断端面は爪切りの前端面の真直な形状に沿って切れるので、爪の切断端面は横から見ると大略直角になる。この切断頂部は指先が物に触れる時引っかかったり、物を傷つけたりするので、通常ヤスリなどで角部を丸める等の仕上げをする必要がある。
【0013】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、自分自身の爪を切るのはもとより、他人の爪を切る場合でも、深爪が起こらない爪切りを提供することを目的とする。
【0014】
さらに、爪の切断角部を直角ではなく鈍角に切断することで、爪が物に引っかかったり、物を傷つけたりすることがなくなるので、ヤスリ等で爪の頂部を丸める必要がなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による爪切りにおいては、下刃の刃を取り除き、下側弾性板の前端を上刃の前端面より伸ばして突き当てとしている。この突き当ては下側弾性板の一部として利用する。または、別の部材で整形した突き当てピースを下側弾性板の前端部に装着して構成する。
【0016】
本発明の他の態様による爪切りにおいては、爪の切断頂部を鈍角にするために、爪切りの上刃の内側を直角にし、刃先の前端面側を後方に所定角度だけ傾斜させて刃を形成する。下側弾性板の先端は上記同様、下側弾性板の突き当てを上刃の刃先より伸ばして形成する。又は、別部材の突き当てピースを装着する。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明の爪切りによれば、爪と指肉の間に下側弾性板の突き当て部が挿入され、爪下の指肉の奥部に突き当たるが、この突き当て部は、上刃の前端面より伸びており、爪は指肉との境目より後方で上刃と突き当て部に挟まれて切断されるので、深爪が防止される。また、下側が突き当てになっているので、爪切りの差し込み具合が指先の触覚で感じやすい。
【0018】
更に、爪を過剰に奥深く挿入した場合であっても、下側に刃がないので爪が刃に引っかかってそのまま切断されて深爪になることがなくなる。深爪が防止されると、深爪によって生じた傷みや指肉への傷つき、更に深爪を原因とする巻き爪とその派生傷害が防止もしくは軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳述する。
【0020】
(第1の実施の形態)
【0021】
先ず、図1及び図2に沿って本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0022】
図1、図2に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板2,下側弾性板3を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板2と下側弾性板3の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板2の前端部を下方向に曲げ上刃2aを形成し、下側弾性板3の前端部は、爪と指肉の境に挿入する突き当て部3aを形成している。即ち、突き当て3aが、下側弾性板3の一部として形成されている。
【0023】
更に、支軸4の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板3の開口部から上側弾性板2の開口部を貫通して突出する。その支軸4の上部には切り欠き部があり、ピン5が引っ掛けられている。そのピン5の両端には、操作レバー1の前端部が連結している。操作レバー1は、前端部の片側に突出した支点用凸部1aが上側弾性板2の上面に当接されており、上側弾性板2の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0024】
この突き当て部3aの先端は、爪と指肉の境目に入りやすいように先端が薄く尖った形状とし、上側弾性板2の上刃2aより前方に突出している。図2に示す突き出し量xとしては、深爪や指肉の切断が防止される量を設定する。即ち、突き出し量xは予め設定された所定値であり、例えば平均的の使用に好適な量が設定されてよい。
【0025】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板2及び下側弾性板3の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸4と、この支軸4の切り欠き部に掛けられたピン5により連結された第2の部材としての操作レバー1とを備えており、上側弾性板2の先端部に上刃2aを形成し、下側弾性板3に上側弾性板2の上刃2aより前方に所定量だけ突出した突き当て部3aを形成したことを特徴とする爪切りが提供される。
【0026】
従って、この突き当て部3aにより、爪は指肉との境目より後方で上刃と突き当てに挟まれて切断されるので、深爪が防止される。また、下側が突き当て部3aになっているので、爪切りの差し込み具合が指先の触覚で感じやすい。
【0027】
(第2の実施の形態)
【0028】
次に図3,4,5を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形体の爪切りでは、突き出し量xが可変自在となっている。
【0029】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板12,下側弾性板13を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板12と下側弾性板13の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板12の前端部を下方向に曲げ上刃12aを形成し、下側弾性板13の前端部には、詳細は後述する突き当てピース16が配設されている。
【0030】
更に、支軸14の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板13の開口部から上側弾性板12の開口部を貫通して突出する。その支軸14の上部には切り欠き部があり、ピン15が引っ掛けられている。そのピン15の両端には、操作レバー11の前端部が連結している。操作レバー11は、前端部の片側に突出した支点用凸部11aが上側弾性板12の上面に当接されており、上側弾性板12の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0031】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板12の上刃12aに対し、下側弾性板13の先端部に装着された突き当てピース16が所定の突き出し量を形成する。この突き当てピース16は支柱14を通す支点通し穴16a、摺動部16bを有している。下側弾性板13を適度な隙間で摺動させれば適当な突き出し量の位置に止めることが出来る。更に、下側弾性板13の途中にはストッパの役割を担う段部13aが設けられていて、予め設定された突き出し量で止まるようになっている。
【0032】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板12及び下側弾性板13の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸14と、この支軸14の切り欠き部に掛けられたピン15により連結された第2の部材としての操作レバー11とを備えており、上側弾性板12の先端部に上刃12aを形成し、下側弾性板13に上側弾性板12の上刃12aより前方に所定量だけ突出する突き当てピース16が配設されたことを特徴とする爪切りが提供される。
【0033】
さらに、この突き当てピース16は、支軸14に対して前後方向(上側弾性板12、下側弾性板13の長手方向)に移動自在とし、突き出し量を調整可能とすることができる。
【0034】
したがって、突き当てピース16の突き出し量を使用者の指並びに爪のサイズに応じて好適に調整することができ、深爪となるのを防止することが可能となる。
【0035】
(第3の実施の形態)
【0036】
次に図6,7,8を参照して、本発明の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形体の爪切りは、突き出し量を爪切り本体の下側弾性板23の下面に取り付けられたダイヤル28を回すことで調整自在となっている。
【0037】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板22,下側弾性板23を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板22と下側弾性板23の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板22の前端部を下方向に曲げ上刃22aを形成し、下側弾性板23の前端部には、詳細は後述する突き当てピース26が配設されている。
【0038】
更に、支軸24の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板23の開口部から上側弾性板22の開口部を貫通して突出する。その支軸24の上部には切り欠き部があり、ピン25が引っ掛けられている。そのピン25の両端には、操作レバー21の前端部が連結している。操作レバー21は、前端部の片側に突出した支点用凸部21aが上側弾性板22の上面に当接されており、上側弾性板22の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0039】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板22の上刃22aに対し、下側弾性板23の先端部に装着された突き当てピース26が突き出し量を設定する。この突き当てピース26には支柱24を通す穴26aと偏心円板27の入る横長穴26bが設けられている。下側弾性板23に設けられたダイヤル軸穴23aにダイヤル28の軸部28aが通り、その上端に偏心円板27が固定ビス29で固定されている。爪切り本体下面に装着されたダイヤル28を回転させると偏心円板27の偏心量の所定倍(例えば2倍)だけ突き当てピースが前後に出入りする。使用時にはこのダイヤル28を回して適量の突き出し量を選んで爪切りをする。
【0040】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板22及び下側弾性板23の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸24とこの支軸24の切り欠き部に掛けられたピン25により連結された第2の部材としての操作レバー21とを備えており、上側弾性板22の先端部に上刃22aを形成し、下側弾性板23に上側弾性板22の上刃22aより前方に所定量だけ突出する突き当てピース26が配設され、この突き当てピース26がダイヤル28に接続された偏心円板27の偏心量に応じて前後方向(上側弾性板22、下側弾性板23の長手方向)に移動自在としたことを特徴とする爪切りが提供される。
【0041】
したがって、ダイヤル28の操作により突き当てピース26の突き出し量を使用者の指並びに爪のサイズに応じて好適に調整することが可能となる。
【0042】
(第4の実施の形態)
【0043】
次に図9,10,11を参照して、本発明の第4の実施の形態を説明する。この第4の実施の形体の爪切りは、深爪防止を3次元刃で実施するものである。
【0044】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板32,下側弾性板33を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板32と下側弾性板33の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板32の前端部を下方向に曲げ上刃32aを形成し、下側弾性板33の前端部には、詳細は後述する突き当て部33aが設けられている。そして、上刃32aが上側弾性板32の長手方向に対して水平な方向に円弧形状であるだけでなく、垂直な方向(上下方向)にも円弧形状になっている点に特徴を有している。
【0045】
更に、支軸34の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板33の開口部から上側弾性板32の開口部を貫通して突出する。その支軸34の上部には切り欠き部があり、ピン35が引っ掛けられている。そのピン35の両端には、操作レバー31の前端部が連結している。操作レバー31は、前端部の片側に突出した支点用凸部31aが上側弾性板32の上面に当接されており、上側弾性板32の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0046】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板32の前端の上刃32aが水平方向に円弧形状であるだけでなく、垂直方向にも円弧形状になっている。下側弾性板33の前端は上刃32aより突き出し量を有しているので、深爪防止効果がある。更に、上刃32aの垂直方向の円弧形状と合わせた筒形状をしている。これを図11の正面図に示す。この上刃32aと突き当て33aの3次元形状は爪先の丸い形状に合うので、爪が切断されるときの無理な圧迫がなく爪割れを防止できる。
【0047】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板32及び下側弾性板33の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸34とこの支軸34の切り欠き部に掛けられたピン35により連結された第2の部材としての操作レバー31とを備えており、上側弾性板32の先端部に上側弾性板32の長手方向に対して水平な方向、並びに垂直な方向(即ち、上下方向)に円弧形状となっている上刃を形成し、下側弾性板33に同様の円弧形状の下刃33aを形成し、さらに下刃33aが上側弾性板32の上刃32aより前方に所定量だけ突出することを特徴とする爪切りが提供される。
【0048】
従って、円弧形状の上刃32a及び下刃33aにより、爪が切断されるときの無理な圧迫がなく爪割れを防止することができる。
【0049】
(第5の実施の形態)
【0050】
次に図12,13,14を参照して、本発明の第5の実施の形態を説明する。この第5の実施の形体の爪切りは、深爪防止に加え、爪切断部の角度を鈍角に切断する構成を備えている。
【0051】
これらの図に示されるように、この爪切りは、2枚の短冊状の金属の上側弾性板42,下側弾性板43を向かい合わせに上下に配置し、二又状にそれぞれの後端側を接合し、前端部が上側弾性板42と下側弾性板43の弾性で開閉自在となるように構成する。上側弾性板42の前端部を下方向に曲げ上刃42aを形成し、下側弾性板43の前端部には、詳細は後述する突き当て部43aが設けられている。そして、詳細は後述するが、上側弾性板42の前端の上刃42aの前端面は垂直ではなく、刃先端部も後方(後端部方向)に所定の角度を有し、刃の背面(内面)は垂直になっている。
【0052】
更に、支軸44の下部には大径の抜け止めを形成して、下側弾性板43の開口部から上側弾性板42の開口部を貫通して突出する。その支軸44の上部には切り欠き部があり、ピン45が引っ掛けられている。そのピン45の両端には、操作レバー41の前端部が連結している。操作レバー41は、前端部の片側に突出した支点用凸部41aを上側弾性板42の上面に当接されており、上側弾性板42の上面に対して所定角度の範囲で円弧上を回転自在となるように配置されている。
【0053】
そして、特に以下の点に特徴を有している。
即ち、上側弾性板42の前端の上刃42aの前端面が垂直ではなく、刃先端が後方に角度を有し、刃の背面は垂直になっている。より詳細には、図13に示すように上刃42aの刃先が真直ではなく後方に傾斜しているので、爪の切断頂部は鈍角に切断されるので、ヤスリ等で頂部を丸めたりする必要がなくなる。図14には本実施の形態に係る爪切りにより切断された爪の状態を示す。
【0054】
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態によれば、弾性を有する例えば金属の長板からなる上側弾性板42及び下側弾性板43の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸44とこの支軸44の切り欠き部に掛けられたピン45により連結された第2の部材としての操作レバー41とを備えており、上側弾性板42の先端部の刃先端も後方に所定角度を有する上刃42aを形成したことを特徴とする爪切りが提供される。
【0055】
従って、爪は上刃42aと下側弾性板43に挟んで切断されるが、上刃42aの刃先が後方側に角度を持っているので、爪の切断角部は直角ではなく鈍角に切断される。爪の切断頂部が鈍角になると、爪が物に引っかかったり、物を傷つけたりすることがなくなるので、ヤスリ等で爪の頂部を丸める必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の突き当てピースを示す斜視図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図8】(a)は本発明の第3の実施の形態の突き当てピースを示す斜視図、(b)は本発明の第3の実施の形態のダイヤルを示す斜視図、(c)は本本発明の第3の実施の形態のダイヤルを示す断面図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る爪切りの正面から見た図の一部分。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る爪切りを示す斜視図。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る爪切りの断面図。
【図14】本発明の第5の実施の形態による切断した爪の状態図。
【符号の説明】
【0057】
1…操作レバー、1a…支点用凸部、2…上側弾性板、2a…上刃、3…下側弾性板、3a…突き当て、4…支軸、5…ピン、6…指、7…爪、11…操作レバー、11a…支点用凸部、12…上側弾性板、12a…上刃、13…下側弾性板、14…支軸、15…ピン、16…突き当てピース、16a…支点通し穴、16b…摺動部、21…操作レバー、21a…支点用凸部、22…上側弾性板、22a…上刃、23…下側弾性板、23a…ダイヤル軸穴、24…支軸、25…ピン、26…突き当てピース、26a…支柱通し穴、26b…偏心円板挿入穴、27…偏心円板、28…ダイヤル、28a…ダイヤル軸、29…固定ビス、31…操作レバー、31a…支点用凸部、32…上側弾性板、32a…上刃、33…下側弾性板、33a…突き当て、34…支軸、35…ピン、41…操作レバー、41a…支点用凸部、42…上側弾性板、42a…上刃、43…下側弾性板、43a…突き当て、44…支軸、45…ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前記前端部に設けられた開口部を貫通した支軸に連結された第2の部材とを備えた爪切りにおいて、
前記下側弾性板の前端部に刃がなく、突き当て部を備えたことを特徴とする爪切り。
【請求項2】
前記突き当て部とは、前記下側弾性板の前記前端部に装着した突き当てピースであることを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項3】
前記突き当て部の突き当て量を変更できる第3の部材を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項4】
前記突き当て部は、円筒状であり、前記上側弾性板が前記突き当て部の形状にあった円弧状刃を備えることを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項5】
前記上側弾性板の上刃の前端面が、該上側弾性板の後方に向けて所定角度で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項6】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、
この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸と、
この支軸に連結された第2の部材と、を備え、
前記上側弾性板の先端部に上刃を形成し、前記下側弾性板に上側弾性板の上刃より前方に所定量だけ突出した突き当て部を形成したことを特徴とする爪切り。
【請求項7】
前記突き当て部として、前記下側弾性板に前記上側弾性板の前記上刃より前方に所定量だけ突出する突き当てピースが配設されたことを特徴とする請求項6に記載の爪切り。
【請求項8】
前記突き当てピースは、前記支軸に対して前後方向に移動自在であり、該突き当てピースの突き出し量が調整可能であることを特徴とする請求項7に記載の爪切り。
【請求項9】
前記突き当てピースをダイヤルに接続された偏心円板の偏心量に応じて前後方向に移動自在としたことを特徴とする請求項7に記載の爪切り。
【請求項10】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、
この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸と、
この支軸に連結された第2の部材と、を備え、
前記上側弾性板の先端部に上側弾性板の長手方向に対して水平な方向、並びに垂直な方向に円弧形状となっている上刃を形成し、前記下側弾性板に同様の円弧形状の下刃を形成し、該下刃が前記上側弾性板の上刃より前方に所定量だけ突出することを特徴とする爪切り。
【請求項11】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、
この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸と、
この支軸に連結された第2の部材と、を備え、
前記上側弾性板の先端部にその前端面が所定角度を有し且つ刃先端も後方に所定角度を有する上刃を形成したことを特徴とする爪切り。
【請求項1】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、この第1の部材の前記前端部に設けられた開口部を貫通した支軸に連結された第2の部材とを備えた爪切りにおいて、
前記下側弾性板の前端部に刃がなく、突き当て部を備えたことを特徴とする爪切り。
【請求項2】
前記突き当て部とは、前記下側弾性板の前記前端部に装着した突き当てピースであることを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項3】
前記突き当て部の突き当て量を変更できる第3の部材を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項4】
前記突き当て部は、円筒状であり、前記上側弾性板が前記突き当て部の形状にあった円弧状刃を備えることを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項5】
前記上側弾性板の上刃の前端面が、該上側弾性板の後方に向けて所定角度で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の爪切り。
【請求項6】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、
この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸と、
この支軸に連結された第2の部材と、を備え、
前記上側弾性板の先端部に上刃を形成し、前記下側弾性板に上側弾性板の上刃より前方に所定量だけ突出した突き当て部を形成したことを特徴とする爪切り。
【請求項7】
前記突き当て部として、前記下側弾性板に前記上側弾性板の前記上刃より前方に所定量だけ突出する突き当てピースが配設されたことを特徴とする請求項6に記載の爪切り。
【請求項8】
前記突き当てピースは、前記支軸に対して前後方向に移動自在であり、該突き当てピースの突き出し量が調整可能であることを特徴とする請求項7に記載の爪切り。
【請求項9】
前記突き当てピースをダイヤルに接続された偏心円板の偏心量に応じて前後方向に移動自在としたことを特徴とする請求項7に記載の爪切り。
【請求項10】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、
この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸と、
この支軸に連結された第2の部材と、を備え、
前記上側弾性板の先端部に上側弾性板の長手方向に対して水平な方向、並びに垂直な方向に円弧形状となっている上刃を形成し、前記下側弾性板に同様の円弧形状の下刃を形成し、該下刃が前記上側弾性板の上刃より前方に所定量だけ突出することを特徴とする爪切り。
【請求項11】
弾性を有する長板からなる上側弾性板及び下側弾性板の後端部を接合し前端部を開閉自在に構成した第1の部材と、
この第1の部材の前端部に設けられた開口部を貫通した支軸と、
この支軸に連結された第2の部材と、を備え、
前記上側弾性板の先端部にその前端面が所定角度を有し且つ刃先端も後方に所定角度を有する上刃を形成したことを特徴とする爪切り。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−69097(P2010−69097A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241406(P2008−241406)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(301003470)大業理研株式会社 (3)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(301003470)大業理研株式会社 (3)
[ Back to top ]