熱システム
【課題】原動機をその効率の高い定格で運転しながら、最大負荷よりも低い負荷となることが多い空調電力負荷に適切に対応でき、原動機で発生できる駆動力を高い効率で使用することができる熱システムを得る。
【解決手段】発電電力受電系統101に於ける同期発電機52と直流電動機11との間に、発電側交直変換手段M1を設けるとともに、商用電力受電系統102で受電される交流電力を直流電力に変換する商用側交直変換手段M2を設け、商用側交直変換手段M2により変換された直流電力を直流電力系統104に供給可能に構成し、直流電力系統104を流れる直流電力を交流電力に変換して商用電力受電系統102に送る直交変換手段M3を設ける。
【解決手段】発電電力受電系統101に於ける同期発電機52と直流電動機11との間に、発電側交直変換手段M1を設けるとともに、商用電力受電系統102で受電される交流電力を直流電力に変換する商用側交直変換手段M2を設け、商用側交直変換手段M2により変換された直流電力を直流電力系統104に供給可能に構成し、直流電力系統104を流れる直流電力を交流電力に変換して商用電力受電系統102に送る直交変換手段M3を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発電用原動機により駆動される同期発電機で発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統と、一般電力負荷に交流電力を供給する商用電力系統から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統との何れか一方又は両方より交流電力を受電して圧縮機を駆動して冷熱又は温熱を発生する圧縮式ヒートポンプ回路を備え、前記圧縮式ヒートポンプ回路により発生される冷熱又は温熱で熱負荷を賄う熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らは、この種の熱システムとして、特許文献1に、発電用原動機を一定回転速度で駆動して同期発電機で定電圧定周波数の発電電力を得、その電力を一般電力負荷に供給し、余剰分の電力の全量を、逆阻止型コンバータ部を通じて供給される商用電源からの電力に優先して、空調電力負荷である熱搬送機器負荷に供給することを提案している。この熱システムでは、発電用原動機で発生される電力は、主に、一般電力負荷に対応できるものとされ、空調電力負荷に対しても余剰分を供給することができる。ここで、空調電力負荷は、本願において熱負荷(空調熱負荷)に見合う熱発生のための電力負荷の一例に相当する。
【0003】
一方、特許文献2、3、4には、空調負荷に対応する空調システムに採用する冷凍機として、圧縮式冷凍回路に備えられる圧縮機を原動機の軸に直結するとともに、当該圧縮式冷凍回路に吸収冷凍機の吸収器と再生器を付加し、かつ圧縮式冷凍回路の蒸発器と吸収器、凝縮器と再生器を連結した吸収式冷凍回路を備え、所謂、ハイブリッド冷凍機を構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−187698号公報
【特許文献2】特願昭51−010521号公報
【特許文献3】特願平02−330234号公報
【特許文献4】特願平06−285313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、圧縮冷凍回路を構成する熱搬送機器への供給電力が交流とされているため、同期発電機で発電又は商用電力から供給される交流電力を、一旦、直流電力に変換し、さらに交流電力に変換する必要があり、二度の変換を経るため、変換に伴う損失が発生する。
また、一般電力負荷と空調電力負荷との両方が存在する場合、同期発電機の動力源としての発電用原動機の定格の選択が問題となる。ここで、一般電力負荷は、ある程度予測可能な所定量となる場合が多く、当該所定量に合わせて発電用原動機の定格を定めることが可能であるが、空調電力負荷は通年で負荷が大きく変動するため、その最大負荷の例えば70%程度に合わせるように発電用原動機の定格を設定する必要がある。これら両者を賄う場合は、両者の合算値に発電用原動機の定格を設定する場合が多い。
しかしながら、需要先によって、一般電力負荷、空調電力負荷は様々である。即ち、一般電力負荷が電力負荷の過半を占めている需要先もあれば、空調電力負荷が電力負荷の過半を占めている需要先もある。さらに、空調負荷の一種である冷房負荷を考えた場合、夏場が大きく、春、秋が中間的な負荷状態となり、冬には殆どなくなる。暖房負荷を考えた場合、逆に、冬場が大きく、春、秋が中間的な負荷状態となり、夏には殆どなくなる。また、昼間と夜間でも、同様に、冷房負荷、暖房負荷が変動する。
従って、発電用原動機の動力で得られる発電電力を使用するシステムを考えた場合、発電用原動機をできるだけ効率の高い定格で運転するのが好ましいが、このような定格運転を目標とした場合、どのように、一般電力負荷、空調電力負荷の両方、あるいは、それらの一方を賄うか、さらには、発電により生じる余剰分をどのように消費するか、或は、発電のみでは不足する不足分を、どのように充足するかによって、システムの効率・安定性が決まる。
【0006】
一方、特許文献2、3、4に開示の圧縮式冷凍回路と吸収式冷凍回路との両方を備えた冷凍システムを採用する場合でも、発電電力を当該冷凍システムに提供しようとして場合、上記同様の問題が発生する。
【0007】
本発明の目的は、一般電力負荷、空調電力負荷の様々な状況に対応できながら、さらに発電用原動機の動力を使用して発電された発電電力を効率よく利用できる熱システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、
発電用原動機により駆動される同期発電機で発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統を備えるとともに、
一般電力負荷に交流電力を供給する商用電力系統から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統を備え、
前記発電電力受電系統と前記商用電力受電系統との何れか一方または両方より交流電力を受電して圧縮機を駆動して冷熱又は温熱を発生する圧縮式ヒートポンプ回路を備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路により発生される冷熱又は温熱で熱負荷を賄う熱システムの特徴構成は、前記圧縮機が直流電動機に直結される直流駆動型圧縮機であり、
前記直流電動機に直流電力を供給するに直流電力系統を設け、
前記同期発電機により発電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする発電側交直変換手段を設け、
前記商用電力受電系統で受電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする商用側交直変換手段を設け、
前記直流電力系統を流れる直流電力を交流電力に変換して前記商用電力受電系統に供給可能にする直交変換手段を設けたことにある。
【0009】
この熱システムでは、圧縮機を直流電動機の駆動により運転する構造とする。
従って、圧縮機の駆動のためには、直流電動機に直流電力を供給すればよく、従来行われていたように、交流を直流にさらに、その直流を交流に変換するという二度の変換は必要なく、直交変換に伴う損失を低減することができる。
結果、熱負荷を賄うための電力供給に関しては、同期発電機の発電電力を直流の状態で供給して使用することができるので、発電電力を効率良く利用できる。
【0010】
また、この熱システムでは、直流電動機に直流電力系統を介して、同期発電機で発電された電力、商用電力の両方又はそれらの一方を供給できるため、例えば、同期発電機を駆動する発電用原動機を定格で運転した場合に得ることができる発電量が空調電力負荷の最大値未満のものであっても、不足分を商用電力側から補うことで良好な運転状態を維持できる。一方、発電用原動機を定格で運転した場合に得ることができる発電量が空調電力負荷の最大値より大きい場合でも、一旦、直流電力として得られる余剰分を、交流に変換して、一般電力負荷に供給することができる。
結果、発電用原動機の定格をどのように設定したとしても、実質的に発電用原動機を定格で、或は適宜部分負荷運転とすることで、発電用原動機を効率の高い状態で運転できるとともに、発電用原動機から発生する排熱を給湯等の熱需要に充当できる。
【0011】
前記同期発電機としては、永久磁石を使った永久磁石同期発電機が損失が少なく好ましい。
【0012】
前記圧縮機としては、軸受部以外にはオイルを使用しないターボ圧縮機を採用することが好ましい。このようにターボ圧縮機を採用することで、冷媒回路への圧縮機オイルの流出を抑制することができる。
また、ターボ圧縮機に直流電動機を直結し、同期発電機の出力部分と発電側交直変換手段を通じて連係することが好ましい。
すなわちターボ圧縮機を直流駆動とすることによって直交変換の損失を避けつつ高速回転を得ることができる。さらに、圧縮機自体を小型化できる。また、高効率と信頼性を確保するために、直流電動機を、ブラシレスタイプとすることが好ましい。
【0013】
さらに、ターボ圧縮機を備えた構成において、前記ターボ圧縮機と前記直流電動機とは一体に密閉構成されるとともに、前記ターボ圧縮機と前記直流電動機の軸受を、オイルを使用しない磁気軸受やガス軸受とすることが好ましい。
直流電動機とターボ圧縮機の組み合わせ部分には、ターボ圧縮機に軸受のオイルが漏れ込まない構造を取る必要がある。(従来の電動機と圧縮機との連結形態(図9)によると、破線矢印で示すように、軸受部分にオイル漏れが生じる)そこで、ターボ圧縮機および直流電動機の全体を密閉容器に封じ込め、軸受を冷媒ガスによるガス軸受あるいは磁気軸受とすれば、潤滑油のメンテナンスや漏洩ガスの処理が不要になる。このような構成を採用すると、軸受に起因するメカニカルロスも大幅に低減できる。
【0014】
これまで説明してきた構成において、前記圧縮式ヒートポンプ回路としての圧縮式冷凍回路を構成する凝縮器および蒸発器を共有する吸収式冷凍回路を備え、当該吸収式冷凍回路が前記発電用原動機で発生する温熱で冷凍運転可能に構成され、当該吸収式冷凍回路で発生される冷熱を前記熱負荷に供給可能に構成されるようにすることが好ましい。
熱システムに吸収式冷媒回路を備えることで、この回路を使用して例えば冷熱を発生でき、圧縮式冷凍回路での冷熱と合わせて冷凍能力が大きくできる。同じ冷房能力で比較した場合は、冷房時の成績係数(COP)が向上する。
ただし、吸収式冷凍回路を併設する場合は、圧縮機オイルの冷媒への流出により、吸収器側の熱交換器の伝熱性能が低下する欠点がある。こういった問題を回避するのに、圧縮機を原動機に直結するのではなく、先に示したように、同期発電機で発電し、その発電電力でターボ圧縮機が接続された直流電動機を駆動すれば、上記欠点を低減できる。さらに、磁気軸受やガス軸受を採用することもできる。また、圧縮機部分の大きさも従来方式の数分の一になる。
【0015】
以上説明してきた熱システムの運転方法としては、
熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量を越える場合には、発電用原動機を定格で運転するとともに、
熱発生のための電力負荷を、発電用原動機の運転により発電できる電力、および、商用電力系統、商用電力受電系統を介する商用電力で賄い、
一般電力負荷を、商用電力系統から賄う。
この熱システムの運転方法を採用することで、発電用原動機の定格を熱発生のための電力負荷を賄うのに必要となる動力に対して低く抑えた設定を採用しても、商用電力系統からの電力を使用して、熱発生のための電力負荷及び一般電力負荷に十分対応できる。
さらに、熱システムに対して述べた作用・効果を得ることができる。
【0016】
一方、熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が前記発電用原動機を定格で運転した場合の発電量か、当該発電量未満であって、熱発生のための電力負荷と一般電力負荷の和が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量以上である場合に、
発電用原動機を前記定格で運転するとともに、
熱発生のための電力負荷を、発電用原動機から賄い、
一般電力負荷を、直交変換手段を経て発電用原動機の定格運転により得られ、熱発生のための電力負荷を超える電力、および、商用電力系統から賄う。
発電用原動機を定格で運転した場合の発電量が熱発生のための電力負荷相当とする構成を採用した場合に、商用電力系統からの電力も使用して、熱発生のための電力負荷及び一般電力負荷に十分対応できる。
熱システムに対して述べた作用・効果を得ることができる点も同様である。
【0017】
さらに、熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と一般電力負荷の和が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量未満である場合には、
発電用原動機を部分負荷運転するとともに、
発発生のための電力負荷を、発電用原動機から賄い、
一般電力負荷を、直交変換手段を経て発電用原動機から供給される熱発生のための電力負荷を超える電力により賄う。
この場合は、発電用原動機単独で、熱発生のための電力負荷及び一般電力負荷に十分対応できる。
【0018】
一方、熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と一般電力負荷の和が少なく、発電用原動機運転のメリットがない場合に、発電用原動機の運転を停止し、
熱発生のための電力負荷を、商用電力系統、商用電力受電系統を介して受電する商用電力で賄い、
一般電力負荷を、商用電力系統から賄う。
この場合、商用電力系統を併設するメリットを生かすことができる。
【0019】
以上説明した熱システムを採用し、運転方法を取ることにより、単に発電用原動機の利用率が向上するだけでなく、次のような付加的効果も発生する。
1.大半の熱発生のための電力負荷(例えば空調電力負荷)に対して、発電用原動機を一定負荷である定格負荷、一定回転速度で運転できるので、発電用原動機の平均効率を高く維持できる。さらに天然ガス圧縮自着火エンジンのように非常に高効率であるけれども、現状では回転速度の変更が困難なエンジンを発電用原動機として利用できる。
【0020】
2.空調分野では各部屋に小型ヒートポンプを設置する所謂分散型空調が主流となりつつあるが、それらの駆動電力も系統連係線を通じて発電用原動機から供給できる。
【0021】
3.幅広い負荷範囲で、発電用原動機の効率の良い運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】熱システムを構成するハイブリッド冷凍機のシステム構成の説明図
【図2】熱システムを構成するハイブリッド冷凍機に於ける発電・電力供給系統の構成を示す図
【図3】直流電動機と圧縮機とを一体とする設備構成の説明図
【図4】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図5】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図6】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図7】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図8】発電電力と商用電力とで冷凍最大負荷を賄う場合のシステム構成を示す図
【図9】従来型の電動機と圧縮機との連結形態の問題点を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願に係る熱システムの一例である空調システム1を、以下図面に基づいて説明する。
この空調システム1が、熱負荷である空調負荷を対象とし、冷房運転する場合について以下説明する。図1に、圧縮式冷凍回路2(圧縮式ヒートポンプ回路の一例)と吸収式冷凍回路3との両方を備えた本願に係るハイブリッド冷凍機4の構成を示した。さらに、図2は、当該ハイブリッド冷凍機4の圧縮式冷凍回路2に備えられる圧縮機5(具体的にはターボ圧縮機)を駆動するための発電・電力系統100を示す図である。
【0024】
前記圧縮式冷凍回路2は、圧縮機5、凝縮器6、膨張弁7及び蒸発器8を順に冷媒が循環することにより、蒸発器8で冷水(冷熱を有する)を発生し、その冷水を空調対象の部屋9に設けられた室内機10に送ることにより、室内を冷却することができる。圧縮式冷凍回路2においては、回路内を循環する冷媒は、圧縮機5において圧縮され、凝縮器6により冷却されて凝縮される。凝縮後の冷媒は、膨張弁7で膨張されるとともに温度が低下し、蒸発器8において冷熱を冷水に与えて、圧縮機5に戻る冷凍サイクルを成す。
【0025】
この圧縮式冷凍回路2を構成する圧縮機5として、本例では、直流電動機11に直結されたターボ圧縮機を採用している。
【0026】
前記吸収式冷凍回路3は、再生器12、凝縮器6、膨張弁7及び蒸発器8、吸収器13を順に冷媒が循環することにより、蒸発器8で冷水(冷熱を有する)を発生し、その冷水を空調対象の部屋9に設けられた室内機10に送ることにより、室内を冷却することができる。
【0027】
図1からも判明するように、圧縮式冷凍回路2と吸収式冷凍回路3との間で、前記凝縮器6、膨張弁7及び蒸発器8が兼用されている。
【0028】
吸収式冷凍回路3においては、回路内を循環する冷媒は、再生器12において再生されて、冷媒蒸気として凝縮器6により冷却されて凝縮される。凝縮後の冷媒は、膨張弁7で膨張されるとともに温度が低下し、蒸発器8において冷熱を冷水に与える。前記蒸発器8から吸収器13に戻される冷媒は、再生器12から直接、吸収器13に戻される溶液に吸収され、溶液ポンプ14により再生器12に送られる。再生器12から直接、吸収器13に戻される溶液は、膨張弁15により圧力調整が行われる。また、吸収器13から溶液ポンプ14を経て再生器12に戻る冷媒を吸収した溶液は、再生器12から膨張弁15を経て吸収器13に戻る溶液と、溶液熱交換器16で熱交換するように構成されている。
【0029】
冷媒はアンモニアであり、吸収器13では吸収剤として水を使用している。
蒸発器8で蒸発したアンモニア冷媒は、冷媒分配分岐点17で圧縮機(ターボ圧縮機)5行きと吸収器13行きに分配される。圧縮機5に行った冷媒は圧縮機5で圧縮された後に凝縮器6で凝縮し、膨張弁7で膨張した後、蒸発器8に導かれて冷凍動作を繰り返す。吸収器13に行った冷媒は吸収器13内のアンモニア濃度の低い溶液に吸収される。アンモニアを吸収して濃くなった溶液は再生器12に送られ、発電用原動機51であるエンジンの排熱を利用してアンモニアを分離する。分離したアンモニアは圧縮機5から凝縮器6に送られる蒸気に合流する。再生器12でアンモニアを分離して濃度の低下した溶液は吸収器13に送り返され、再びサイクルを繰り返す。このハイブリッド冷凍機4は通常の圧縮式冷凍機に比較して再生器12から送り込まれる冷媒量の分だけ冷凍能力が大きくなる。同じ冷凍能力で比較した場合は、冷房時の成績係数(COP)が向上する。
【0030】
以下、図2に基づいて、本願にいう直流駆動型圧縮機である圧縮機5を駆動するための発電・電力系統100を説明する。
先にも説明したように、圧縮機5は直流電動機11に直結されており、前記発電・電力系統100から供給される直流電力により直流電動機11が作動することが、圧縮動作を行うように構成されている。
【0031】
この発電・電力系統100は、図2に示すように、発電用原動機51により駆動される永久磁石同期発電機(同期発電機の一例)52により発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統101と、一般電力負荷50に交流電力を供給する商用電力受電系統102から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統103との何れか一方または両方より交流電力を受電する構成が採用されている。
ここで、本例の場合は発電用原動機51としては、都市ガス等の燃料ガスで働くガスエンジンを採用している。さらに、一般電力負荷50は、例えば、各家庭、工場等における空調電力負荷以外の電力負荷が該当し、例えば、照明、テレビ等の娯楽機器の電力負荷、さらにはエレベータ、エスカレータ等の搬送機器に対する電力負荷がこれに該当する。
【0032】
発電電力受電系統101に於ける同期発電機52と直流電動機11との間に、当該同期発電機52により発電される交流電力を直流電力に変換する発電側交直変換手段M1である整流器53を設け、発電側交直変換手段M1と直流電動機11との間に直流電力系統104の一部を構成するDCコントローラを設けている。
【0033】
また、商用電力受電系統103で受電される交流電力を直流電力に変換する商用側交直変換手段M2を設け、商用側交直変換手段M2により変換された直流電力を前記直流電力系統104に供給可能に構成し、さらに、直流電力系統104を流れる直流電力を交流電力に変換して商用電力受電系統103に送る直交変換手段M3を設けている。図2に示す例では、商用電力受電系統103と直流電力系統104との間に、双方向インバータ54を設けて、商用側交直変換手段M2及び直交変換手段M3として働くように構成している。
【0034】
商用電力は、分電盤55により一般電力負荷50と上記双方向インバータ54に分配するように構成されている。一方、直流電力系統104に対して、平滑コンデンサ56を設けて、この直流電力系統104を流れる電流の平滑化を図っている。
【0035】
図1に示すように、前記発電用原動機51と再生器12との間にジャケット水の循環系統51aを設けるとともに、発電用原動機51から発生する排ガスを再生器12の熱源とする排気系統51bを設け、発電用原動機51より発生する排熱を、再生器12における冷媒の再生に利用するように構成されている。図示はしないが、排ガス排熱でジャケット水を加熱し、昇温されたジャケット水を再生器の熱源とすることもできる。
【0036】
以上が、本願に係る空調システム1の概略構成の説明であるが、本願に係る空調システ
ム1では、冷媒にアンモニアを採用し、直流電動機11に直結される圧縮機5を採用する
ことから、その点に関しても独特の構成が採用されている。
【0037】
図3に示すように、圧縮機5と直流電動機11とは一体のケーシング30内に両者が収納される一体密閉構成が採用され、圧縮機5と直流電動機11の軸受として磁気軸受を採用している。図3には、直流電動機11のロータ11aをそのラジアル方向及びスラスト方向で受ける一対の磁気軸受け30aが設けられている。この軸受構造としては、冷媒の凝縮による軸受への影響がない場合は、ガス軸受としてもよい。
【0038】
前記直流電力系統104の一部を構成するDCコントローラには、図示はしないが、燃料電池発電装置や太陽電池発電装置のような直流発電装置を別途接続することができる。これにより、発電用原動機51による発電を直流発電と連携させ、例えば、太陽光発電が作動している期間は太陽光発電を優先利用するなど、電力使用を効率化できる。この構成で、太陽光発電で空調負荷を賄える場合は、発電用原動機51を当該負荷を賄うために部分負荷で運転する必要がなくなり、結果的に発電用原動機が定格で運転される期間の、全運転時間に対する割合を増加させ、発電用原動機51の熱効率の低下を抑制することができる。
【0039】
また、圧縮式冷凍回路としては、複数の圧縮機を備えたものを採用することができ、この場合、広範囲な冷媒回路での負荷に渡って、効率的な運転が可能になる。また、直流モータを含めて密閉化された圧縮機を用いており電力線での接続で済むため、複数圧縮機を設けても装置の複雑化を抑制できる。
【0040】
以下、図4、図5、図6、図7に基づいて、この空調システム1の運転について説明する。
先にも説明したように、本例の空調システム1では、発電用原動機51を定格で運転した場合に発電できる発電量が、一般電力負荷と空調電力負荷の最大値との合算値未満に設定されている。例えば、年間の空調に関して、その冷熱負荷の最大値(夏季に於ける外気温度が最高温度になる状態において、冷房に要する最大冷熱負荷)の50〜75%程度と一般電力負荷との合算値が、発電用原動機51を定格で運転した場合に発電できるように設定されている。
【0041】
一方、発電用原動機51は、できるだけ効率の高い定格で運転するように構成されており、それ以外の状態では、基本的に発電用原動機51は原則停止される構成が採用されている。
従って、本願に係る空調システム1では、空調用の空調電力負荷(熱負荷である空調負荷を賄うために圧縮機を運転するのに要する電力負荷で、本願において「熱発生のための電力負荷」と呼ぶ電力負荷)と一般電力負荷とに関して、空調システム1を構成する機器を適切に選択して運転する。このような選択された運転状態を図4、図5、図6、図7に基づいて説明する。これらの図では、電力の負荷への供給方向を矢印で示している。
【0042】
1 空調電力負荷が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量を越える場合
この状態は、例えば、夏季の外気温が年間の最大値に近い場合に発生する。この状態の空調システム1の運転状態を図4に示した。
具体的には、空調電力負荷が発電用原動機51を定格で運転した場合の発電量を越える場合に、発電用原動機51を定格で運転するとともに、発電用原動機51を定格で運転した状態で不足する空調電力負荷部分を、商用電力受電系統102、商用電力受電系統103を介する商用電力で賄う。一般電力負荷50に関しては、商用電力受電系統102を介する商用電力で賄う。
【0043】
2 空調電力負荷が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量以下である場合(ただし空調電力負荷と一般電力負荷の和が当該発電量以上)
この状態は、定常的に比較的多くの一般電力負荷があり、空調電力負荷が中程度もしくは小さい場合に発生しやすく、年中を通じてよく発生する運転形態で、この運転形態での運転時間が最も多い。このときの空調システムの運転状態を図5に示した。
具体的には、空調電力負荷が発電用原動機51を定格で運転した場合の発電量か、当該発電量未満である場合に、発電用原動機51を定格で運転し、空調電力負荷を超える定格残分を、商用電力受電系統103、商用電力受電系統102を介して一般電力負荷50に供給する。基本的に、この空調電力負荷を超える定格残分は、一般電力負荷50で消費できる範囲とする。結果、高効率状態で運転される発電用原動機51の定格出力で、空調電力負荷及び一般電力負荷50の全部またはその一部を賄える。
【0044】
3 空調電力負荷と一般電力負荷の和が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量未満である場合
この状態は、一般電力負荷が少なく、空調電力負荷が中程度もしくは小さい場合であり、実際にはあまり起きない。このときの空調システムの運転状態を図6に示した。
具体的には、一般電力負荷が少なく、空調電力負荷が中程度もしくは小さい場合発電用原動機51を定格で運転すると、空調電力負荷と一般電力負荷をともに賄いきれることになるため、発電用原動機51の運転を負荷の和にあわせて部分負荷運転として追従させることとなる。
【0045】
4 一般電力負荷が小さく、空調電力負荷も小さい場合
この状態は、発電用原動機が定格で働く場合に発生できる電力量の例えば、30%程度しか一般電力負荷及び空調電力負荷がない場合である。このような状態で発電用原動機を運転すると、発電用原動機の効率が極度に低下する(発電用原動機運転のメリットがない)。このときの空調システム1の運転状態を図7に示した。
具体的には、空調電力負荷が無負荷に近い状態である場合に、発電用原動機51の運転を停止し、空調電力負荷を商用電力受電系統102、商用電力受電系統103を介して受電する商用電力のみで賄う。一般電力負荷50も商用電力で賄う。
【0046】
上記運転方法をまとめると表1のようになる。
以上の運転形態を採用することにより、ほとんどのケース(上記1,2)で発電用原動機を定格運転して、エネルギー効率のよい状態で空調システム1を運転できるとともに、定格運転を行えない状況でも(上記3)可能な限り発電用原動機51の運転を継続でき、発電用原動機51の運転効率が低下してさらに少なくなるようであれば、商用電力のみによる運用を行うこととできる。
【0047】
【表1】
【0048】
〔別実施形態〕
(1) 上記の実施形態では、熱システムが冷熱発生用に構成され、冷房空調用に使用される例を主に説明したが、圧縮式冷凍回路は、その運用形態として、温熱発生に使用することも可能である。したがって、暖房空調用に本願構成の熱システムを使用することも可能である。
さらに、本願に係る熱システムにおいて、冷熱又は温熱の利用先は、空調のみならず、冷水供給、温水給湯、追焚等、一般の熱利用用途であってもよい。
(2) これまで説明してきた構成では、商用側交直変換手段M2および直交変換手段M3との両方の機能を備えた双方向インバータ54を備えるものとしたが、順方向で交流を直流に変換する単方向インバータを商用側交直変換手段M2として、並列逆方向に整流器を直交変換手段M3として備える構成としてもよい。
さらに、発電電力の商用側への供給を考えない場合は、図8の構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
原動機をその効率の高い定格で運転しながら、最大負荷よりも低い負荷となることが多い空調電力負荷に適切に対応でき、原動機で発生できる駆動力を高い効率で使用することができる空調システムを得ることができた。
【技術分野】
【0001】
発電用原動機により駆動される同期発電機で発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統と、一般電力負荷に交流電力を供給する商用電力系統から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統との何れか一方又は両方より交流電力を受電して圧縮機を駆動して冷熱又は温熱を発生する圧縮式ヒートポンプ回路を備え、前記圧縮式ヒートポンプ回路により発生される冷熱又は温熱で熱負荷を賄う熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らは、この種の熱システムとして、特許文献1に、発電用原動機を一定回転速度で駆動して同期発電機で定電圧定周波数の発電電力を得、その電力を一般電力負荷に供給し、余剰分の電力の全量を、逆阻止型コンバータ部を通じて供給される商用電源からの電力に優先して、空調電力負荷である熱搬送機器負荷に供給することを提案している。この熱システムでは、発電用原動機で発生される電力は、主に、一般電力負荷に対応できるものとされ、空調電力負荷に対しても余剰分を供給することができる。ここで、空調電力負荷は、本願において熱負荷(空調熱負荷)に見合う熱発生のための電力負荷の一例に相当する。
【0003】
一方、特許文献2、3、4には、空調負荷に対応する空調システムに採用する冷凍機として、圧縮式冷凍回路に備えられる圧縮機を原動機の軸に直結するとともに、当該圧縮式冷凍回路に吸収冷凍機の吸収器と再生器を付加し、かつ圧縮式冷凍回路の蒸発器と吸収器、凝縮器と再生器を連結した吸収式冷凍回路を備え、所謂、ハイブリッド冷凍機を構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−187698号公報
【特許文献2】特願昭51−010521号公報
【特許文献3】特願平02−330234号公報
【特許文献4】特願平06−285313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、圧縮冷凍回路を構成する熱搬送機器への供給電力が交流とされているため、同期発電機で発電又は商用電力から供給される交流電力を、一旦、直流電力に変換し、さらに交流電力に変換する必要があり、二度の変換を経るため、変換に伴う損失が発生する。
また、一般電力負荷と空調電力負荷との両方が存在する場合、同期発電機の動力源としての発電用原動機の定格の選択が問題となる。ここで、一般電力負荷は、ある程度予測可能な所定量となる場合が多く、当該所定量に合わせて発電用原動機の定格を定めることが可能であるが、空調電力負荷は通年で負荷が大きく変動するため、その最大負荷の例えば70%程度に合わせるように発電用原動機の定格を設定する必要がある。これら両者を賄う場合は、両者の合算値に発電用原動機の定格を設定する場合が多い。
しかしながら、需要先によって、一般電力負荷、空調電力負荷は様々である。即ち、一般電力負荷が電力負荷の過半を占めている需要先もあれば、空調電力負荷が電力負荷の過半を占めている需要先もある。さらに、空調負荷の一種である冷房負荷を考えた場合、夏場が大きく、春、秋が中間的な負荷状態となり、冬には殆どなくなる。暖房負荷を考えた場合、逆に、冬場が大きく、春、秋が中間的な負荷状態となり、夏には殆どなくなる。また、昼間と夜間でも、同様に、冷房負荷、暖房負荷が変動する。
従って、発電用原動機の動力で得られる発電電力を使用するシステムを考えた場合、発電用原動機をできるだけ効率の高い定格で運転するのが好ましいが、このような定格運転を目標とした場合、どのように、一般電力負荷、空調電力負荷の両方、あるいは、それらの一方を賄うか、さらには、発電により生じる余剰分をどのように消費するか、或は、発電のみでは不足する不足分を、どのように充足するかによって、システムの効率・安定性が決まる。
【0006】
一方、特許文献2、3、4に開示の圧縮式冷凍回路と吸収式冷凍回路との両方を備えた冷凍システムを採用する場合でも、発電電力を当該冷凍システムに提供しようとして場合、上記同様の問題が発生する。
【0007】
本発明の目的は、一般電力負荷、空調電力負荷の様々な状況に対応できながら、さらに発電用原動機の動力を使用して発電された発電電力を効率よく利用できる熱システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、
発電用原動機により駆動される同期発電機で発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統を備えるとともに、
一般電力負荷に交流電力を供給する商用電力系統から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統を備え、
前記発電電力受電系統と前記商用電力受電系統との何れか一方または両方より交流電力を受電して圧縮機を駆動して冷熱又は温熱を発生する圧縮式ヒートポンプ回路を備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路により発生される冷熱又は温熱で熱負荷を賄う熱システムの特徴構成は、前記圧縮機が直流電動機に直結される直流駆動型圧縮機であり、
前記直流電動機に直流電力を供給するに直流電力系統を設け、
前記同期発電機により発電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする発電側交直変換手段を設け、
前記商用電力受電系統で受電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする商用側交直変換手段を設け、
前記直流電力系統を流れる直流電力を交流電力に変換して前記商用電力受電系統に供給可能にする直交変換手段を設けたことにある。
【0009】
この熱システムでは、圧縮機を直流電動機の駆動により運転する構造とする。
従って、圧縮機の駆動のためには、直流電動機に直流電力を供給すればよく、従来行われていたように、交流を直流にさらに、その直流を交流に変換するという二度の変換は必要なく、直交変換に伴う損失を低減することができる。
結果、熱負荷を賄うための電力供給に関しては、同期発電機の発電電力を直流の状態で供給して使用することができるので、発電電力を効率良く利用できる。
【0010】
また、この熱システムでは、直流電動機に直流電力系統を介して、同期発電機で発電された電力、商用電力の両方又はそれらの一方を供給できるため、例えば、同期発電機を駆動する発電用原動機を定格で運転した場合に得ることができる発電量が空調電力負荷の最大値未満のものであっても、不足分を商用電力側から補うことで良好な運転状態を維持できる。一方、発電用原動機を定格で運転した場合に得ることができる発電量が空調電力負荷の最大値より大きい場合でも、一旦、直流電力として得られる余剰分を、交流に変換して、一般電力負荷に供給することができる。
結果、発電用原動機の定格をどのように設定したとしても、実質的に発電用原動機を定格で、或は適宜部分負荷運転とすることで、発電用原動機を効率の高い状態で運転できるとともに、発電用原動機から発生する排熱を給湯等の熱需要に充当できる。
【0011】
前記同期発電機としては、永久磁石を使った永久磁石同期発電機が損失が少なく好ましい。
【0012】
前記圧縮機としては、軸受部以外にはオイルを使用しないターボ圧縮機を採用することが好ましい。このようにターボ圧縮機を採用することで、冷媒回路への圧縮機オイルの流出を抑制することができる。
また、ターボ圧縮機に直流電動機を直結し、同期発電機の出力部分と発電側交直変換手段を通じて連係することが好ましい。
すなわちターボ圧縮機を直流駆動とすることによって直交変換の損失を避けつつ高速回転を得ることができる。さらに、圧縮機自体を小型化できる。また、高効率と信頼性を確保するために、直流電動機を、ブラシレスタイプとすることが好ましい。
【0013】
さらに、ターボ圧縮機を備えた構成において、前記ターボ圧縮機と前記直流電動機とは一体に密閉構成されるとともに、前記ターボ圧縮機と前記直流電動機の軸受を、オイルを使用しない磁気軸受やガス軸受とすることが好ましい。
直流電動機とターボ圧縮機の組み合わせ部分には、ターボ圧縮機に軸受のオイルが漏れ込まない構造を取る必要がある。(従来の電動機と圧縮機との連結形態(図9)によると、破線矢印で示すように、軸受部分にオイル漏れが生じる)そこで、ターボ圧縮機および直流電動機の全体を密閉容器に封じ込め、軸受を冷媒ガスによるガス軸受あるいは磁気軸受とすれば、潤滑油のメンテナンスや漏洩ガスの処理が不要になる。このような構成を採用すると、軸受に起因するメカニカルロスも大幅に低減できる。
【0014】
これまで説明してきた構成において、前記圧縮式ヒートポンプ回路としての圧縮式冷凍回路を構成する凝縮器および蒸発器を共有する吸収式冷凍回路を備え、当該吸収式冷凍回路が前記発電用原動機で発生する温熱で冷凍運転可能に構成され、当該吸収式冷凍回路で発生される冷熱を前記熱負荷に供給可能に構成されるようにすることが好ましい。
熱システムに吸収式冷媒回路を備えることで、この回路を使用して例えば冷熱を発生でき、圧縮式冷凍回路での冷熱と合わせて冷凍能力が大きくできる。同じ冷房能力で比較した場合は、冷房時の成績係数(COP)が向上する。
ただし、吸収式冷凍回路を併設する場合は、圧縮機オイルの冷媒への流出により、吸収器側の熱交換器の伝熱性能が低下する欠点がある。こういった問題を回避するのに、圧縮機を原動機に直結するのではなく、先に示したように、同期発電機で発電し、その発電電力でターボ圧縮機が接続された直流電動機を駆動すれば、上記欠点を低減できる。さらに、磁気軸受やガス軸受を採用することもできる。また、圧縮機部分の大きさも従来方式の数分の一になる。
【0015】
以上説明してきた熱システムの運転方法としては、
熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量を越える場合には、発電用原動機を定格で運転するとともに、
熱発生のための電力負荷を、発電用原動機の運転により発電できる電力、および、商用電力系統、商用電力受電系統を介する商用電力で賄い、
一般電力負荷を、商用電力系統から賄う。
この熱システムの運転方法を採用することで、発電用原動機の定格を熱発生のための電力負荷を賄うのに必要となる動力に対して低く抑えた設定を採用しても、商用電力系統からの電力を使用して、熱発生のための電力負荷及び一般電力負荷に十分対応できる。
さらに、熱システムに対して述べた作用・効果を得ることができる。
【0016】
一方、熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が前記発電用原動機を定格で運転した場合の発電量か、当該発電量未満であって、熱発生のための電力負荷と一般電力負荷の和が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量以上である場合に、
発電用原動機を前記定格で運転するとともに、
熱発生のための電力負荷を、発電用原動機から賄い、
一般電力負荷を、直交変換手段を経て発電用原動機の定格運転により得られ、熱発生のための電力負荷を超える電力、および、商用電力系統から賄う。
発電用原動機を定格で運転した場合の発電量が熱発生のための電力負荷相当とする構成を採用した場合に、商用電力系統からの電力も使用して、熱発生のための電力負荷及び一般電力負荷に十分対応できる。
熱システムに対して述べた作用・効果を得ることができる点も同様である。
【0017】
さらに、熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と一般電力負荷の和が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量未満である場合には、
発電用原動機を部分負荷運転するとともに、
発発生のための電力負荷を、発電用原動機から賄い、
一般電力負荷を、直交変換手段を経て発電用原動機から供給される熱発生のための電力負荷を超える電力により賄う。
この場合は、発電用原動機単独で、熱発生のための電力負荷及び一般電力負荷に十分対応できる。
【0018】
一方、熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と一般電力負荷の和が少なく、発電用原動機運転のメリットがない場合に、発電用原動機の運転を停止し、
熱発生のための電力負荷を、商用電力系統、商用電力受電系統を介して受電する商用電力で賄い、
一般電力負荷を、商用電力系統から賄う。
この場合、商用電力系統を併設するメリットを生かすことができる。
【0019】
以上説明した熱システムを採用し、運転方法を取ることにより、単に発電用原動機の利用率が向上するだけでなく、次のような付加的効果も発生する。
1.大半の熱発生のための電力負荷(例えば空調電力負荷)に対して、発電用原動機を一定負荷である定格負荷、一定回転速度で運転できるので、発電用原動機の平均効率を高く維持できる。さらに天然ガス圧縮自着火エンジンのように非常に高効率であるけれども、現状では回転速度の変更が困難なエンジンを発電用原動機として利用できる。
【0020】
2.空調分野では各部屋に小型ヒートポンプを設置する所謂分散型空調が主流となりつつあるが、それらの駆動電力も系統連係線を通じて発電用原動機から供給できる。
【0021】
3.幅広い負荷範囲で、発電用原動機の効率の良い運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】熱システムを構成するハイブリッド冷凍機のシステム構成の説明図
【図2】熱システムを構成するハイブリッド冷凍機に於ける発電・電力供給系統の構成を示す図
【図3】直流電動機と圧縮機とを一体とする設備構成の説明図
【図4】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図5】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図6】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図7】負荷状態と発電駆動および直流電動機への電力供給状態との関係の説明図
【図8】発電電力と商用電力とで冷凍最大負荷を賄う場合のシステム構成を示す図
【図9】従来型の電動機と圧縮機との連結形態の問題点を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願に係る熱システムの一例である空調システム1を、以下図面に基づいて説明する。
この空調システム1が、熱負荷である空調負荷を対象とし、冷房運転する場合について以下説明する。図1に、圧縮式冷凍回路2(圧縮式ヒートポンプ回路の一例)と吸収式冷凍回路3との両方を備えた本願に係るハイブリッド冷凍機4の構成を示した。さらに、図2は、当該ハイブリッド冷凍機4の圧縮式冷凍回路2に備えられる圧縮機5(具体的にはターボ圧縮機)を駆動するための発電・電力系統100を示す図である。
【0024】
前記圧縮式冷凍回路2は、圧縮機5、凝縮器6、膨張弁7及び蒸発器8を順に冷媒が循環することにより、蒸発器8で冷水(冷熱を有する)を発生し、その冷水を空調対象の部屋9に設けられた室内機10に送ることにより、室内を冷却することができる。圧縮式冷凍回路2においては、回路内を循環する冷媒は、圧縮機5において圧縮され、凝縮器6により冷却されて凝縮される。凝縮後の冷媒は、膨張弁7で膨張されるとともに温度が低下し、蒸発器8において冷熱を冷水に与えて、圧縮機5に戻る冷凍サイクルを成す。
【0025】
この圧縮式冷凍回路2を構成する圧縮機5として、本例では、直流電動機11に直結されたターボ圧縮機を採用している。
【0026】
前記吸収式冷凍回路3は、再生器12、凝縮器6、膨張弁7及び蒸発器8、吸収器13を順に冷媒が循環することにより、蒸発器8で冷水(冷熱を有する)を発生し、その冷水を空調対象の部屋9に設けられた室内機10に送ることにより、室内を冷却することができる。
【0027】
図1からも判明するように、圧縮式冷凍回路2と吸収式冷凍回路3との間で、前記凝縮器6、膨張弁7及び蒸発器8が兼用されている。
【0028】
吸収式冷凍回路3においては、回路内を循環する冷媒は、再生器12において再生されて、冷媒蒸気として凝縮器6により冷却されて凝縮される。凝縮後の冷媒は、膨張弁7で膨張されるとともに温度が低下し、蒸発器8において冷熱を冷水に与える。前記蒸発器8から吸収器13に戻される冷媒は、再生器12から直接、吸収器13に戻される溶液に吸収され、溶液ポンプ14により再生器12に送られる。再生器12から直接、吸収器13に戻される溶液は、膨張弁15により圧力調整が行われる。また、吸収器13から溶液ポンプ14を経て再生器12に戻る冷媒を吸収した溶液は、再生器12から膨張弁15を経て吸収器13に戻る溶液と、溶液熱交換器16で熱交換するように構成されている。
【0029】
冷媒はアンモニアであり、吸収器13では吸収剤として水を使用している。
蒸発器8で蒸発したアンモニア冷媒は、冷媒分配分岐点17で圧縮機(ターボ圧縮機)5行きと吸収器13行きに分配される。圧縮機5に行った冷媒は圧縮機5で圧縮された後に凝縮器6で凝縮し、膨張弁7で膨張した後、蒸発器8に導かれて冷凍動作を繰り返す。吸収器13に行った冷媒は吸収器13内のアンモニア濃度の低い溶液に吸収される。アンモニアを吸収して濃くなった溶液は再生器12に送られ、発電用原動機51であるエンジンの排熱を利用してアンモニアを分離する。分離したアンモニアは圧縮機5から凝縮器6に送られる蒸気に合流する。再生器12でアンモニアを分離して濃度の低下した溶液は吸収器13に送り返され、再びサイクルを繰り返す。このハイブリッド冷凍機4は通常の圧縮式冷凍機に比較して再生器12から送り込まれる冷媒量の分だけ冷凍能力が大きくなる。同じ冷凍能力で比較した場合は、冷房時の成績係数(COP)が向上する。
【0030】
以下、図2に基づいて、本願にいう直流駆動型圧縮機である圧縮機5を駆動するための発電・電力系統100を説明する。
先にも説明したように、圧縮機5は直流電動機11に直結されており、前記発電・電力系統100から供給される直流電力により直流電動機11が作動することが、圧縮動作を行うように構成されている。
【0031】
この発電・電力系統100は、図2に示すように、発電用原動機51により駆動される永久磁石同期発電機(同期発電機の一例)52により発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統101と、一般電力負荷50に交流電力を供給する商用電力受電系統102から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統103との何れか一方または両方より交流電力を受電する構成が採用されている。
ここで、本例の場合は発電用原動機51としては、都市ガス等の燃料ガスで働くガスエンジンを採用している。さらに、一般電力負荷50は、例えば、各家庭、工場等における空調電力負荷以外の電力負荷が該当し、例えば、照明、テレビ等の娯楽機器の電力負荷、さらにはエレベータ、エスカレータ等の搬送機器に対する電力負荷がこれに該当する。
【0032】
発電電力受電系統101に於ける同期発電機52と直流電動機11との間に、当該同期発電機52により発電される交流電力を直流電力に変換する発電側交直変換手段M1である整流器53を設け、発電側交直変換手段M1と直流電動機11との間に直流電力系統104の一部を構成するDCコントローラを設けている。
【0033】
また、商用電力受電系統103で受電される交流電力を直流電力に変換する商用側交直変換手段M2を設け、商用側交直変換手段M2により変換された直流電力を前記直流電力系統104に供給可能に構成し、さらに、直流電力系統104を流れる直流電力を交流電力に変換して商用電力受電系統103に送る直交変換手段M3を設けている。図2に示す例では、商用電力受電系統103と直流電力系統104との間に、双方向インバータ54を設けて、商用側交直変換手段M2及び直交変換手段M3として働くように構成している。
【0034】
商用電力は、分電盤55により一般電力負荷50と上記双方向インバータ54に分配するように構成されている。一方、直流電力系統104に対して、平滑コンデンサ56を設けて、この直流電力系統104を流れる電流の平滑化を図っている。
【0035】
図1に示すように、前記発電用原動機51と再生器12との間にジャケット水の循環系統51aを設けるとともに、発電用原動機51から発生する排ガスを再生器12の熱源とする排気系統51bを設け、発電用原動機51より発生する排熱を、再生器12における冷媒の再生に利用するように構成されている。図示はしないが、排ガス排熱でジャケット水を加熱し、昇温されたジャケット水を再生器の熱源とすることもできる。
【0036】
以上が、本願に係る空調システム1の概略構成の説明であるが、本願に係る空調システ
ム1では、冷媒にアンモニアを採用し、直流電動機11に直結される圧縮機5を採用する
ことから、その点に関しても独特の構成が採用されている。
【0037】
図3に示すように、圧縮機5と直流電動機11とは一体のケーシング30内に両者が収納される一体密閉構成が採用され、圧縮機5と直流電動機11の軸受として磁気軸受を採用している。図3には、直流電動機11のロータ11aをそのラジアル方向及びスラスト方向で受ける一対の磁気軸受け30aが設けられている。この軸受構造としては、冷媒の凝縮による軸受への影響がない場合は、ガス軸受としてもよい。
【0038】
前記直流電力系統104の一部を構成するDCコントローラには、図示はしないが、燃料電池発電装置や太陽電池発電装置のような直流発電装置を別途接続することができる。これにより、発電用原動機51による発電を直流発電と連携させ、例えば、太陽光発電が作動している期間は太陽光発電を優先利用するなど、電力使用を効率化できる。この構成で、太陽光発電で空調負荷を賄える場合は、発電用原動機51を当該負荷を賄うために部分負荷で運転する必要がなくなり、結果的に発電用原動機が定格で運転される期間の、全運転時間に対する割合を増加させ、発電用原動機51の熱効率の低下を抑制することができる。
【0039】
また、圧縮式冷凍回路としては、複数の圧縮機を備えたものを採用することができ、この場合、広範囲な冷媒回路での負荷に渡って、効率的な運転が可能になる。また、直流モータを含めて密閉化された圧縮機を用いており電力線での接続で済むため、複数圧縮機を設けても装置の複雑化を抑制できる。
【0040】
以下、図4、図5、図6、図7に基づいて、この空調システム1の運転について説明する。
先にも説明したように、本例の空調システム1では、発電用原動機51を定格で運転した場合に発電できる発電量が、一般電力負荷と空調電力負荷の最大値との合算値未満に設定されている。例えば、年間の空調に関して、その冷熱負荷の最大値(夏季に於ける外気温度が最高温度になる状態において、冷房に要する最大冷熱負荷)の50〜75%程度と一般電力負荷との合算値が、発電用原動機51を定格で運転した場合に発電できるように設定されている。
【0041】
一方、発電用原動機51は、できるだけ効率の高い定格で運転するように構成されており、それ以外の状態では、基本的に発電用原動機51は原則停止される構成が採用されている。
従って、本願に係る空調システム1では、空調用の空調電力負荷(熱負荷である空調負荷を賄うために圧縮機を運転するのに要する電力負荷で、本願において「熱発生のための電力負荷」と呼ぶ電力負荷)と一般電力負荷とに関して、空調システム1を構成する機器を適切に選択して運転する。このような選択された運転状態を図4、図5、図6、図7に基づいて説明する。これらの図では、電力の負荷への供給方向を矢印で示している。
【0042】
1 空調電力負荷が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量を越える場合
この状態は、例えば、夏季の外気温が年間の最大値に近い場合に発生する。この状態の空調システム1の運転状態を図4に示した。
具体的には、空調電力負荷が発電用原動機51を定格で運転した場合の発電量を越える場合に、発電用原動機51を定格で運転するとともに、発電用原動機51を定格で運転した状態で不足する空調電力負荷部分を、商用電力受電系統102、商用電力受電系統103を介する商用電力で賄う。一般電力負荷50に関しては、商用電力受電系統102を介する商用電力で賄う。
【0043】
2 空調電力負荷が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量以下である場合(ただし空調電力負荷と一般電力負荷の和が当該発電量以上)
この状態は、定常的に比較的多くの一般電力負荷があり、空調電力負荷が中程度もしくは小さい場合に発生しやすく、年中を通じてよく発生する運転形態で、この運転形態での運転時間が最も多い。このときの空調システムの運転状態を図5に示した。
具体的には、空調電力負荷が発電用原動機51を定格で運転した場合の発電量か、当該発電量未満である場合に、発電用原動機51を定格で運転し、空調電力負荷を超える定格残分を、商用電力受電系統103、商用電力受電系統102を介して一般電力負荷50に供給する。基本的に、この空調電力負荷を超える定格残分は、一般電力負荷50で消費できる範囲とする。結果、高効率状態で運転される発電用原動機51の定格出力で、空調電力負荷及び一般電力負荷50の全部またはその一部を賄える。
【0044】
3 空調電力負荷と一般電力負荷の和が発電用原動機を定格で運転した場合の発電量未満である場合
この状態は、一般電力負荷が少なく、空調電力負荷が中程度もしくは小さい場合であり、実際にはあまり起きない。このときの空調システムの運転状態を図6に示した。
具体的には、一般電力負荷が少なく、空調電力負荷が中程度もしくは小さい場合発電用原動機51を定格で運転すると、空調電力負荷と一般電力負荷をともに賄いきれることになるため、発電用原動機51の運転を負荷の和にあわせて部分負荷運転として追従させることとなる。
【0045】
4 一般電力負荷が小さく、空調電力負荷も小さい場合
この状態は、発電用原動機が定格で働く場合に発生できる電力量の例えば、30%程度しか一般電力負荷及び空調電力負荷がない場合である。このような状態で発電用原動機を運転すると、発電用原動機の効率が極度に低下する(発電用原動機運転のメリットがない)。このときの空調システム1の運転状態を図7に示した。
具体的には、空調電力負荷が無負荷に近い状態である場合に、発電用原動機51の運転を停止し、空調電力負荷を商用電力受電系統102、商用電力受電系統103を介して受電する商用電力のみで賄う。一般電力負荷50も商用電力で賄う。
【0046】
上記運転方法をまとめると表1のようになる。
以上の運転形態を採用することにより、ほとんどのケース(上記1,2)で発電用原動機を定格運転して、エネルギー効率のよい状態で空調システム1を運転できるとともに、定格運転を行えない状況でも(上記3)可能な限り発電用原動機51の運転を継続でき、発電用原動機51の運転効率が低下してさらに少なくなるようであれば、商用電力のみによる運用を行うこととできる。
【0047】
【表1】
【0048】
〔別実施形態〕
(1) 上記の実施形態では、熱システムが冷熱発生用に構成され、冷房空調用に使用される例を主に説明したが、圧縮式冷凍回路は、その運用形態として、温熱発生に使用することも可能である。したがって、暖房空調用に本願構成の熱システムを使用することも可能である。
さらに、本願に係る熱システムにおいて、冷熱又は温熱の利用先は、空調のみならず、冷水供給、温水給湯、追焚等、一般の熱利用用途であってもよい。
(2) これまで説明してきた構成では、商用側交直変換手段M2および直交変換手段M3との両方の機能を備えた双方向インバータ54を備えるものとしたが、順方向で交流を直流に変換する単方向インバータを商用側交直変換手段M2として、並列逆方向に整流器を直交変換手段M3として備える構成としてもよい。
さらに、発電電力の商用側への供給を考えない場合は、図8の構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
原動機をその効率の高い定格で運転しながら、最大負荷よりも低い負荷となることが多い空調電力負荷に適切に対応でき、原動機で発生できる駆動力を高い効率で使用することができる空調システムを得ることができた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電用原動機により駆動される同期発電機で発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統を備えるとともに、
一般電力負荷に交流電力を供給する商用電力系統から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統を備え、
前記発電電力受電系統と前記商用電力受電系統との何れか一方または両方より交流電力を受電して圧縮機を駆動して冷熱又は温熱を発生する圧縮式ヒートポンプ回路を備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路により発生される冷熱又は温熱で熱負荷を賄う熱システムであって、
前記圧縮機が直流電動機に直結される直流駆動型圧縮機であり、
前記直流電動機に直流電力を供給するに直流電力系統を設け、
前記同期発電機により発電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする発電側交直変換手段を設け、
前記商用電力受電系統で受電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする商用側交直変換手段を設け、
前記直流電力系統を流れる直流電力を交流電力に変換して前記商用電力受電系統に供給可能に直交変換手段を設けた熱システム。
【請求項2】
前記圧縮機がターボ圧縮機である請求項1記載の熱システム。
【請求項3】
前記ターボ圧縮機と前記直流電動機とは一体に密閉構成されるとともに、前記ターボ圧縮機と前記直流電動機の軸受を磁気軸受とした請求項2記載の熱システム。
【請求項4】
前記圧縮式ヒートポンプ回路としての圧縮式冷凍回路を構成する凝縮器及び蒸発器を共有する吸収式冷凍回路を備え、当該吸収式冷凍回路が前記発電用原動機で発生する温熱で冷凍運転可能に構成され、当該吸収式冷凍回路で発生される冷熱を前記熱負荷に供給可能に構成される請求項1〜3の何れか一項記載の熱システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項記載の熱システムの運転方法であって、
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が前記発電用原動機を定格で運転した場合に発電する発電量を越える場合に、
前記発電用原動機を前記定格で運転するとともに、
前記熱発生のための電力負荷を、前記発電用原動機からの電力、および、前記商用電力系統、前記商用電力受電系統を介する商用電力で賄い、
前記一般電力負荷を、商用電力系統から賄う
熱システムの運転方法。
【請求項6】
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が前記発電用原動機を定格で運転した場合に発電する発電量か、当該発電量未満であって、
前記熱発生のための電力負荷と前記一般電力負荷の和が前記発電量以上である場合に、
前記発電用原動機を前記定格で運転するとともに、
前記熱発生のための電力負荷を、前記発電用原動機の運転により発電される電力で賄い、
前記一般電力負荷を、前記直交変換手段を経て前記発電用原動機の運転により得られる前記熱発生のための電力負荷を超える電力、および、前記商用電力系統から賄う
請求項5記載の熱システムの運転方法。
【請求項7】
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と前記一般電力負荷の和が前記発電用原動機を定格で運転した場合に発電する発電量未満である場合に、
前記発電用原動機を部分負荷運転するとともに、
前記熱発生のための電力負荷を、前記発電用原動機から賄い、
前記一般電力負荷を、前記直交変換手段を経て前記発電用原動機の運転により得られる前記空調電力負荷を超える電力から賄う
請求項5または6に記載の熱システムの運転方法。
【請求項8】
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と前記一般電力負荷の和が少ない場合に、
前記発電用原動機の運転を停止し、
前記熱発生のための電力負荷を、前記商用電力系統、前記商用電力受電系統を介して受電する商用電力で賄い、
前記一般電力負荷を、商用電力系統から賄う
請求項5、6または7の何れか一項記載の熱システムの運転方法。
【請求項1】
発電用原動機により駆動される同期発電機で発電される交流電力を受電可能な発電電力受電系統を備えるとともに、
一般電力負荷に交流電力を供給する商用電力系統から、交流電力を受電可能な商用電力受電系統を備え、
前記発電電力受電系統と前記商用電力受電系統との何れか一方または両方より交流電力を受電して圧縮機を駆動して冷熱又は温熱を発生する圧縮式ヒートポンプ回路を備え、
前記圧縮式ヒートポンプ回路により発生される冷熱又は温熱で熱負荷を賄う熱システムであって、
前記圧縮機が直流電動機に直結される直流駆動型圧縮機であり、
前記直流電動機に直流電力を供給するに直流電力系統を設け、
前記同期発電機により発電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする発電側交直変換手段を設け、
前記商用電力受電系統で受電される交流電力を直流電力に変換して変換された直流電力を前記直流電力系統に供給可能にする商用側交直変換手段を設け、
前記直流電力系統を流れる直流電力を交流電力に変換して前記商用電力受電系統に供給可能に直交変換手段を設けた熱システム。
【請求項2】
前記圧縮機がターボ圧縮機である請求項1記載の熱システム。
【請求項3】
前記ターボ圧縮機と前記直流電動機とは一体に密閉構成されるとともに、前記ターボ圧縮機と前記直流電動機の軸受を磁気軸受とした請求項2記載の熱システム。
【請求項4】
前記圧縮式ヒートポンプ回路としての圧縮式冷凍回路を構成する凝縮器及び蒸発器を共有する吸収式冷凍回路を備え、当該吸収式冷凍回路が前記発電用原動機で発生する温熱で冷凍運転可能に構成され、当該吸収式冷凍回路で発生される冷熱を前記熱負荷に供給可能に構成される請求項1〜3の何れか一項記載の熱システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項記載の熱システムの運転方法であって、
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が前記発電用原動機を定格で運転した場合に発電する発電量を越える場合に、
前記発電用原動機を前記定格で運転するとともに、
前記熱発生のための電力負荷を、前記発電用原動機からの電力、および、前記商用電力系統、前記商用電力受電系統を介する商用電力で賄い、
前記一般電力負荷を、商用電力系統から賄う
熱システムの運転方法。
【請求項6】
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷が前記発電用原動機を定格で運転した場合に発電する発電量か、当該発電量未満であって、
前記熱発生のための電力負荷と前記一般電力負荷の和が前記発電量以上である場合に、
前記発電用原動機を前記定格で運転するとともに、
前記熱発生のための電力負荷を、前記発電用原動機の運転により発電される電力で賄い、
前記一般電力負荷を、前記直交変換手段を経て前記発電用原動機の運転により得られる前記熱発生のための電力負荷を超える電力、および、前記商用電力系統から賄う
請求項5記載の熱システムの運転方法。
【請求項7】
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と前記一般電力負荷の和が前記発電用原動機を定格で運転した場合に発電する発電量未満である場合に、
前記発電用原動機を部分負荷運転するとともに、
前記熱発生のための電力負荷を、前記発電用原動機から賄い、
前記一般電力負荷を、前記直交変換手段を経て前記発電用原動機の運転により得られる前記空調電力負荷を超える電力から賄う
請求項5または6に記載の熱システムの運転方法。
【請求項8】
前記熱負荷に見合う熱発生のための電力負荷と前記一般電力負荷の和が少ない場合に、
前記発電用原動機の運転を停止し、
前記熱発生のための電力負荷を、前記商用電力系統、前記商用電力受電系統を介して受電する商用電力で賄い、
前記一般電力負荷を、商用電力系統から賄う
請求項5、6または7の何れか一項記載の熱システムの運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−2660(P2013−2660A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131320(P2011−131320)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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