放射線分析装置及び放射線検出装置のリセット方法
【課題】大量の放射線が入射されてもリセットダイオードの破壊を防ぐことで、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がない放射線分析装置及び放射線検出装置のリセット方法を提供すること。
【解決手段】放射線検出装置30は、入射した放射線に応じて半導体検出器31が発生させた電荷をフィードバックコンデンサー32にチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する。リセット回路46は、コンデンサー32にチャージされた電荷を、リセットダイオード34を介してディスチャージするためのリセットパルスを出力する。入力計数率カウンター45は、放射線検出装置30の出力信号に基づいて、所定時間あたりに放射線検出装置30に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、リセット回路46にリセットパルスの出力を停止させる。
【解決手段】放射線検出装置30は、入射した放射線に応じて半導体検出器31が発生させた電荷をフィードバックコンデンサー32にチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する。リセット回路46は、コンデンサー32にチャージされた電荷を、リセットダイオード34を介してディスチャージするためのリセットパルスを出力する。入力計数率カウンター45は、放射線検出装置30の出力信号に基づいて、所定時間あたりに放射線検出装置30に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、リセット回路46にリセットパルスの出力を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線分析装置及び放射線検出装置のリセット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線分析装置は、試料にX線を照射して発生するX線のエネルギー(波長)や強度を分析する装置であり、例えば、試料を構成する元素の種類や含有量を調べるのに用いられる。特に、半導体検出器を用いてX線を検出するX線検出装置が搭載されたX線分析装置が広く利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
半導体検出器としては、シリコンドリフト型検出器(Silicon Drift Detector、SDD)が知られている(例えば特許文献2参照)。シリコンドリフト型検出器(SDD)は、入射したX線によってLiを拡散させたP型Siから発生した電子を、同心円状の電位勾配を持った電極構造により効率よくアノードに導くようにした検出器である。SDDでは、Siの不純物コントロールによって、熱ノイズの減少が図られている。SDDは、分解能がSSD(Solid−State Detector)と同程度で、計数率がSSDに比較して1桁以上高いという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−308632号公報
【特許文献2】特開2010−169659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、X線検出装置は入射するX線の量が増えると出力信号が飽和してしまうため、出力信号が飽和する前にX線検出装置をリセットする必要がある。図11を用いて、従来のX線検出装置のリセット方法について説明する。図11に示すように、高圧電源回路103により高圧の逆バイアスがかかった半導体検出器101にX線が入射すると、フィードバックコンデンサー102にチャージされた電流が、FET105とプリアンプ106により電気信号に変換される。フィードバックコンデンサー102にチャージされた電荷は、パルスハイトアナライザー110から出力されるリセットパルスによりリセットダイオード104を介してディスチャージされる。このリセット動作により、放射線検出装置100は出力信号を飽和させずに放射線の検出動作を継続することができる。このリセット方式は、パルスリセット方式と呼ばれ、リセットによるX線検出装置のゲイン変動が小さく、高い分解能の分析結果が得られるという利点がある。
【0006】
しかしながら、パルスリセット方式では、半導体検出器に一定量以上のX線が入射されるとリセットパルスの発生頻度が増加し、リセットダイオードを流れる電流が増加する。そのため、リセットダイオードが破壊されるおそれがあり、その結果として、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、大量の放射線が入射されてもリセットダイオードの破壊を防ぐことで、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がない放射線分析装置及び放射線検出装置のリセット方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる入力計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置である。
【0009】
本発明によれば、放射線の入力計数率によって放射線検出装置へのリセットパルスの出力を制御することで、放射線検出装置に含まれるリセット用のダイオード(リセットダイオード)を流れる電流を制御することができる。従って、本発明によれば、大量の放射線が入射されても、リセットパルスを停止させることでリセットダイオードの破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0010】
(2)この放射線分析装置において、
前記入力計数率カウンターは、
前記入力計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、通常は放射線検出装置をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができ、放射線検出装置に入射する放射線量が許容量を超えた場合は、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止することでリセットダイオードの保護を優先することができる。
【0012】
(3)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
所定時間あたりに前記放射線検出装置に出力される前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるリセット計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置である。
【0013】
本発明によれば、リセットパルスの計数率によって放射線検出装置へのリセットパルスの出力を制御することで、放射線検出装置に含まれるリセット用のダイオード(リセットダイオード)を流れる電流を制御することができる。従って、本発明によれば、大量の放射線が入射されてリセットパルスの発生頻度が高くなると、リセットパルスを停止させることでリセットダイオードの破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0014】
(4)この放射線分析装置において、
前記リセット計数率カウンターは、
前記リセット計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、通常は放射線検出装置をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができ、リセットパルスの発生頻度が許容量を超えた場合は、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止することでリセットダイオードの保護を優先することができる。
【0016】
(5)この放射線分析装置は、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させる入力計数率カウンターをさらに含むようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止した後、放射線の入力計数率に応じて再開することができる。
【0018】
(6)この放射線分析装置において、
前記入力計数率カウンターは、
前記リセット回路が前記リセットパルスの出力を停止する時の前記入力計数率のカウント値を基準値として、当該基準値に対する前記入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させるようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止した時点での放射線の入力計数率を基準として、その後の入力計数率の低下具合に応じてパルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを再開することができる。
【0020】
(7)この放射線分析装置において、
前記リセット回路は、
前記リセットパルスの出力を停止する時は、前記放射線検出装置に定電圧を出力し、
前記放射線検出装置は、
前記定電圧が入力された時は、コンティニュアスリセット方式により、前記コンデンサーにチャージされた電荷をディスチャージするようにしてもよい。
【0021】
(8)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法である。
【0022】
(9)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
所定時間あたりの前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の放射線分析装置の構成例を示す図。
【図2】第1実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置及びパルスハイトアナライザーの構成例を示す図。
【図3】第1実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図。
【図4】パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図5】コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図6】第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置及びパルスハイトアナライザーの構成例を示す図。
【図7】第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図。
【図8】パルスリセット方式が維持される場合の信号波形の概略図。
【図9】パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図10】コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図11】従来のX線検出装置のリセット方法について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0025】
以下では、本発明に係る放射線分析装置として、X線(放射線の一例)のエネルギーや強度を分析する装置(X線分析装置)を例に挙げて説明するが、本発明は、X線以外の放射線にも適用することができる。
【0026】
1.第1実施形態
(1)放射線分析装置
図1は、本実施形態の放射線分析装置の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の放射線分析装置1は、X線管用高圧電源10、X線管20、放射線検出装置30、パルスハイトアナライザー40、データメモリー50、コンピューター60を含んで構成されている。なお、本実施形態の放射線分析装置1は、これらの構成要素の一部を省略したり、新たな構成要素を付加した構成としてもよい。
【0027】
放射線分析装置1は、X線管用高圧電源10からX線管20を構成する金属ターゲットに電子を衝突させ、発生した1次X線を試料Sに照射する。このとき発生するX線のエネルギー分布は、ターゲットの材質に応じた特性X線が連続X線に重畳した分布となる。
【0028】
ここで、試料Sからは、様々なX線が発生し、これを放射線検出装置30で検出する。放射線検出装置30の出力信号は、階段波状になり、階段の各段の高さがX線のエネルギー(波長)に対応している。
【0029】
パルスハイトアナライザー40は、放射線検出装置30の出力に現れる階段波の各段の高さを表すデジタルデータを生成する。
【0030】
データメモリー50は、パルスハイトアナライザー40から階段波の各段の高さを表すデジタルデータを受け取る毎に、当該デジタルデータに対応付けられるメモリアドレスのデータに1を加算する。その結果、横軸にX線のエネルギー、縦軸に各エネルギーの有するX線の量を表すスペクトラム波形が生成され、コンピューター60でその内容を読み出すことにより定性分析、定量分析を行い表示する。
【0031】
図2は、放射線検出装置30及びパルスハイトアナライザー40の構成例を示す図である。
【0032】
放射線検出装置30は、半導体検出器31、フィードバックコンデンサー32、高圧電源回路33、リセットダイオード34、FET35、プリアンプ36を含んで構成されている。なお、本実施形態の放射線検出装置30は、これらの構成要素の一部を省略したり、新たな構成要素を付加した構成としてもよい。
【0033】
半導体検出器31は、X線を検出する検出器であり、例えば、試料に電子線やX線を照射することにより発生する特性X線(蛍光X線)等を検出する。
【0034】
半導体検出器31は、例えば、エネルギー分散型X線検出器であり、シリコンドリフト型検出器(Silicon Drift Detector、SDD)であってもよい。シリコンドリフト型検出器(SDD)は、例えば、入射したX線によってLiを拡散させたP型Siから発生した電子を、同心円状の電位勾配を持った電極構造により効率よくアノードに導くようにしたものである。SDDでは、Siの不純物コントロールによって、熱ノイズの減少が図られている。半導体検出器31は、例えば、真空容器(図示しない)に収容され、真空容器に設けられたX線入射窓から入射したX線を検出する。
【0035】
X線が半導体検出器31に入射すると、半導体検出器31にX線のエネルギーに応じた負の電荷が発生する。高圧電源回路33により高圧の逆バイアスをかけることで、半導体検出器31に発生した負の電荷が、FET35のゲート側とプリアンプ36の出力側との間に接続されたフィードバックコンデンサー32にチャージされる。
【0036】
フィードバックコンデンサー32にチャージされた電荷は、FET35とプリアンプ36により電気信号に変換される。これにより、プリアンプ36の出力には階段状の波形の信号が現れ、パルスハイトアナライザー40に供給される。このプリアンプ36の出力信号は、各段の高さが半導体検出器31により検出されたX線のエネルギー値と線形な関係にある。
【0037】
パルスハイトアナライザー40は、A/D変換回路41、デジタルフィルター42、波高値算出回路43、イベント検出回路44、入力計数率カウンター45、リセット回路46を含んで構成されている。なお、本実施形態のパルスハイトアナライザー40は、これらの構成要素の一部を省略したり、新たな構成要素を付加した構成としてもよい。
【0038】
放射線検出装置30の出力信号(プリアンプ36の出力信号)は、A/D変換回路41でディジタル信号に変換された後、デジタルフィルター42で帯域外のノイズを低減させることでS/Nが改善される。
【0039】
デジタルフィルター42の出力信号は、波高値算出回路43で、各段の高さに応じたディジタル値が順次算出される。この波高値算出回路43により算出される各ディジタル値は、半導体検出器31により順次検出されたX線のエネルギー値と線形な関係にあり、データメモリー50で各ディジタル値に応じたアドレスのデータに1が加算される。こうして、データメモリー50には、X線の種類毎に数のカウント値が保存される。
【0040】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生させる。すなわち、イベント検出回路44は、半導体検出器31によりX線が検出される毎に1つのパルスを出力する。このイベント検出回路44は、半導体検出器31により検出される複数の近接したX線の各々について1つずつのパルスを出力可能とするために、高い時間分解能を持っていることが望ましい。
【0041】
入力計数率カウンター45は、所定時間(以下、「判定時間」という)あたりのイベント検出回路44が出力するパルスの数をカウントする。すなわち、入力計数率カウンター45は、判定時間あたりに半導体検出器31により検出されるX線の入力頻度(以下、「入力計数率」という)をカウントする。そして、入力計数率カウンター45は、入力計数率のカウント値をあらかじめ設定した閾値と比較し、閾値以上の入力計数率を観測したときにリセット回路46にパルスリセット停止信号を出力する。なお、この閾値比較にヒステリシスを持たせてもよい。
【0042】
リセット回路46は、通常は、放射線検出装置30の出力信号(プリアンプ36の出力信号)の電圧が所定の閾値を超える毎に、放射線検出装置30のリセットダイオード34にリセットパルスを出力する。この閾値は、例えばA/D変換回路41の最大入力電圧よりも少し低い電圧に設定される。このリセットパルスにより、リセットダイオード34を介してフィードバックコンデンサー32に電流が注入され、フィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされることで、放射線検出装置30がリセットされる。
【0043】
また、リセット回路46は、パルスリセット停止信号を受け取ると、リセットダイオード34へのリセットパルスの出力を停止し、定電圧を出力する。これにより、半導体検出器31へのX線の入射によりFET35のゲート電位が上昇してもリセットダイオード34に電流が流れ、当該ゲート電位が一定となるように働く。この動作により、リセットパルス無しにフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされる。このリセット方式は、コンティニュアスリセット方式と呼ばれる。
【0044】
入力計数率カウンター45は、入力計数率のカウント値が閾値以下に低下するとパルスリセット停止信号の出力を止めるので、セット回路46は、パルスリセットの出力を再開する。
【0045】
このように、第1実施形態の放射線分析装置1は、半導体検出器31へのX線の入力計数率によってリセット回路46によるリセットパルスの出力を制御し、パルスリセット方式とコンティニュアスリセット方式の切り替えを行う。
【0046】
(2)放射線検出装置のリセット方法
図3は、第1実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図である。
【0047】
まず、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択する(S10)。
【0048】
次に、入力計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりに放射線検出装置1が検出する放射線の数、すなわち入力計数率のカウントを開始する(S20)。
【0049】
そして、判定時間が経過するまで(S30のN)入力計数率のカウントを継続し、判定時間が経過すると(S30のY)入力計数率のカウント値を閾値と比較する(S40)。
【0050】
入力計数率のカウント値が閾値以上であれば(S40のY)、放射線検出装置1のリセット方式としてコンティニュアスリセット方式を選択し(S50)、ステップS20以降の処理を再度行う。
【0051】
一方、入力計数率のカウント値が閾値未満であれば(S40のN)、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択し(S60)、ステップS20以降の処理を再度行う。
【0052】
図4は、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0053】
図4の例では、判定期間T1において、入力計数率カウンター45の出力信号はロー(L)レベルであり、パルスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0054】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生し、入力計数率カウンター45は、判定期間T1におけるイベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントする。
【0055】
図4の例では、判定期間T1における入力計数率のカウント値が所定の閾値以上になっており、判定期間T1の終了時に、入力計数率カウンター45の出力信号がロー(L)レベルからでハイ(H)レベルに変化している。この入力計数率カウンター45が出力するハイ(H)レベルの信号は、パルスリセット停止信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、リセット回路46によるリセットパルスの出力が停止され、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0056】
図5は、コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0057】
図5の例では、判定期間T1において、入力計数率カウンター45の出力信号はハイ(H)レベルであり、コンティニュアスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0058】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生し、入力計数率カウンター45は、判定期間T1におけるイベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントする。
【0059】
図5の例では、判定期間T1における入力計数率のカウント値が所定の閾値未満になっており、判定期間T1の終了時に、入力計数率カウンター45の出力信号がハイ(H)レベルからでロー(L)レベルに変化している。この入力計数率カウンター45が出力するロー(L)レベルの信号は、パルスリセット許可信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、最初にリセット回路46がリセットパルスを出力してコンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0060】
以上に説明した第1実施形態の放射線分析装置によれば、放射線検出装置30に入射する放射線の計数率によってリセットパルスの出力を制御することで、リセットダイオード34を流れる電流を制御することができる。通常は放射線検出装置30をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができる。一方、放射線検出装置30に入射する放射線量が許容量を超えた場合は、放射線検出装置30をコンティニュアスリセット方式でリセットすることでリセットダイオードの保護を優先することができる。従って、大量の放射線が入射されてもリセットダイオード34の破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオード34の保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0061】
2.第2実施形態
(1)放射線分析装置
第2実施形態の放射線分析装置の全体構成は、図1と同じであるため、その図示及び説明を省略する。
【0062】
図6は、第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置30及びパルスハイトアナライザー40の構成例を示す図である。
【0063】
第2実施形態における放射線検出装置30の構成は、図2と同じであるため、その説明を省略する。
【0064】
第2実施形態におけるパルスハイトアナライザー40は、A/D変換回路41、デジタルフィルター42、波高値算出回路43、イベント検出回路44、入力計数率カウンター45、リセット回路46に加えて、さらにリセット計数率カウンター47とメモリー48を含んで構成されている。A/D変換回路41、デジタルフィルター42、波高値算出回路43、イベント検出回路44の動作は、第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0065】
リセット計数率カウンター47は、判定時間あたりのリセット回路46が出力するリセットパルスの数(以下、「リセット計数率」という)をカウントする。そして、リセット計数率カウンター47は、リセット計数率のカウント値をあらかじめ設定した閾値と比較し、閾値以上のリセット計数率を観測したときにリセット回路46にパルスリセット停止信号を出力する。なお、この閾値比較にヒステリシスを持たせてもよい。
【0066】
入力計数率カウンター45は、判定時間毎に入力計数率をカウントし、リセット回路46がリセットパルスの出力を停止する時の入力計数率のカウント値を基準値としてメモリー48(記憶部)に記憶する。そして、入力計数率カウンター45は、リセット回路46がリセットパルスの出力を停止している期間において、メモリー48に記憶された基準値に対する入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、リセット回路46にリセットパルス再開信号を出力する。
【0067】
リセット回路46は、通常は、放射線検出装置30の出力信号(プリアンプ36の出力信号)の電圧が閾値を超える毎に、放射線検出装置30のリセットダイオード34にリセットパルスを出力する。すなわち、パルスリセット方式により、フィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされる。
【0068】
また、リセット回路46は、リセット計数率カウンター47からパルスリセット停止信号を受け取ると、リセットダイオード34へのリセットパルスの出力を停止し、定電圧を出力する。すなわち、コンティニュアスリセット方式により、リセットパルス無しにフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされる。
【0069】
さらに、リセット回路46は、コンティニュアスリセット方式によるリセット期間中に、入力計数率カウンター45からパルスリセット再開信号を受け取ると、コンティニュアスリセット方式によるリセット動作からパルスリセット方式によるリセット動作に切り替える。
【0070】
このように、第2実施形態の放射線分析装置1は、リセットパルスの計数率と半導体検出器31へのX線の入力計数率によってリセット回路46によるリセットパルスの出力を制御し、パルスリセット方式とコンティニュアスリセット方式の切り替えを行う。
【0071】
(2)放射線検出装置のリセット方法
図7は、第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図である。
【0072】
まず、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択する(S110)。
【0073】
次に、リセット計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりのリセットパルスの数、すなわちリセット計数率のカウントを開始する(S120)。
【0074】
次に、入力計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりに放射線検出装置1が検出する放射線の数、すなわち入力計数率のカウントを開始する(S130)。
【0075】
そして、判定時間が経過するまで(S140のN)リセット計数率と入力計数率のカウントを継続し、判定時間が経過すると(S140のY)リセット計数率のカウント値を閾値と比較する(S150)。
【0076】
リセット計数率のカウント値が閾値以上であれば(S150のY)、カウントした入力計数率を基準値(基準計数率)として記憶し(S160)、放射線検出装置1のリセット方式としてコンティニュアスリセット方式を選択する(S170)。
【0077】
一方、入力計数率のカウント値が閾値未満であれば(S150のN)、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を維持し、ステップS120以降の処理を再度行う。
【0078】
放射線検出装置1のリセット方式としてコンティニュアスリセット方式が選択された場合(S170)、入力計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりに放射線検出装置1が検出する放射線の数、すなわち入力計数率のカウントを開始する(S180)。
【0079】
そして、判定時間が経過するまで(S190のN)入力計数率のカウントを継続し、判定時間が経過すると(S190のY)入力計数率とステップS160で記憶された基準計数率との比(入力計数率/基準計数率)を閾値と比較する(S200)。
【0080】
入力計数率と基準計数率との比(入力計数率/基準計数率)が閾値以上であれば(S200のY)、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択し(S210)、ステップS120以降の処理を再度行う。
【0081】
一方、入力計数率と基準計数率との比(入力計数率/基準計数率)が閾値未満であれば(S200のN)、ステップS180以降の処理を再度行う。
【0082】
図8は、パルスリセット方式が維持される場合の信号波形の概略図である。
【0083】
図8の例では、判定期間T1において、パルスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。なお、判定期間T1におけるプリアンプ36の出力波形は、図4の例と同じである。
【0084】
リセット計数率カウンター47は、判定期間T1においてリセット回路46が出力するリセットパルスの数をリセット計数率としてカウントする。
【0085】
図8の例では、判定期間T1におけるリセット計数率のカウント値が所定の閾値未満であり、リセット計数率カウンター47の出力信号はロー(L)レベルのままである。このリセット計数率カウンター47が出力するロー(L)レベルの信号は、パルスリセット許可信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2でも、リセット回路46からリセットパルスが出力され、パルスリセット方式が維持されている。
【0086】
なお、入力計数率カウンター45は、判定期間T1において、イベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントしており、図8の例では、判定期間T1における入力計数率は図4の例と同じであるが、第1実施形態と異なり、判定期間T1の終了後の判定期間T2でもパルスリセット方式が維持されている。
【0087】
図9は、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0088】
図9の例では、判定期間T1において、パルスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0089】
リセット計数率カウンター47は、判定期間T1においてリセット回路46が出力するリセットパルスの数をリセット計数率としてカウントする。
【0090】
図9の例では、判定期間T1におけるリセット計数率のカウント値が所定の閾値以上になっており、判定期間T1の終了時に、リセット計数率カウンター47の出力信号がロー(L)レベルからでハイ(H)レベルに変化している。このリセット計数率カウンター47が出力するハイ(H)レベルの信号は、パルスリセット停止信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、リセット回路46によるリセットパルスの出力が停止され、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0091】
なお、入力計数率カウンター45は、判定期間T1において、イベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントしており、この入力計数率のカウント値は基準値として記憶される。
【0092】
図10は、コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0093】
図10の例では、判定期間T1において、コンティニュアスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0094】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生し、入力計数率カウンター45は、判定期間T1におけるイベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントする。
【0095】
図10の例では、判定期間T1における入力計数率のカウント値と基準値との比が所定の閾値未満になっており、判定期間T1の終了時に、入力計数率カウンター45の出力信号がロー(L)レベルからでハイ(H)レベルに変化している。この入力計数率カウンター45が出力するハイ(H)レベルの信号は、パルスリセット再開信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、最初にリセット回路46がリセットパルスを出力してコンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0096】
以上に説明した第2実施形態の放射線分析装置によれば、リセットパルスの計数率によって放射線検出装置30へのリセットパルスの出力を制御することで、リセットダイオード34を流れる電流を制御することができる。通常は放射線検出装置30をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができる。一方、リセットパルスの発生頻度が許容量を超えた場合は、放射線検出装置30をコンティニュアスリセット方式でリセットすることでリセットダイオードの保護を優先することができる。従って、大量の放射線が入射されてリセットパルスの発生頻度が高くなると、リセットパルスを停止させることでリセットダイオード34の破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオード34の保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0097】
また、第2実施形態の放射線分析装置によれば、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替えた時点での放射線の入力計数率を基準として、その後の入力計数率の低下具合に応じてパルスリセット方式に復帰させることができる。
【0098】
第1実施形態又は第2実施形態の放射線分析装置としては、例えば、試料に電子線を照射して、この電子線により試料から発生された特性X線を放射線検出装置で検出するエネルギー分散型X線分析装置などが挙げられる。
【0099】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0100】
例えば、第2実施形態では、メモリー48に記憶された基準値に対する入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替えているが、より単純に、入力計数率のカウント値が所定の閾値を下回った場合にこの切り替えを行うように変形してもよい。
【0101】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0102】
1 放射線分析装置、10 X線管用高圧電源、20 X線管、30 放射線検出装置、31 半導体検出器、32 フィードバックコンデンサー、33 高圧電源回路、34 リセットダイオード、35 FET、36 プリアンプ、40 パルスハイトアナライザー、41 A/D変換回路、42 デジタルフィルター、43 波高値算出回路、44 イベント検出回路、45 入力計数率カウンター、46 リセット回路、47 リセット計数率カウンター、48 メモリー、50 データメモリー、60 コンピューター、100 放射線検出装置、101 半導体検出器、102 フィードバックコンデンサー、103 高圧電源回路、104 リセットダイオード、105 FET、106 プリアンプ、110 パルスハイトアナライザー
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線分析装置及び放射線検出装置のリセット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線分析装置は、試料にX線を照射して発生するX線のエネルギー(波長)や強度を分析する装置であり、例えば、試料を構成する元素の種類や含有量を調べるのに用いられる。特に、半導体検出器を用いてX線を検出するX線検出装置が搭載されたX線分析装置が広く利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
半導体検出器としては、シリコンドリフト型検出器(Silicon Drift Detector、SDD)が知られている(例えば特許文献2参照)。シリコンドリフト型検出器(SDD)は、入射したX線によってLiを拡散させたP型Siから発生した電子を、同心円状の電位勾配を持った電極構造により効率よくアノードに導くようにした検出器である。SDDでは、Siの不純物コントロールによって、熱ノイズの減少が図られている。SDDは、分解能がSSD(Solid−State Detector)と同程度で、計数率がSSDに比較して1桁以上高いという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−308632号公報
【特許文献2】特開2010−169659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、X線検出装置は入射するX線の量が増えると出力信号が飽和してしまうため、出力信号が飽和する前にX線検出装置をリセットする必要がある。図11を用いて、従来のX線検出装置のリセット方法について説明する。図11に示すように、高圧電源回路103により高圧の逆バイアスがかかった半導体検出器101にX線が入射すると、フィードバックコンデンサー102にチャージされた電流が、FET105とプリアンプ106により電気信号に変換される。フィードバックコンデンサー102にチャージされた電荷は、パルスハイトアナライザー110から出力されるリセットパルスによりリセットダイオード104を介してディスチャージされる。このリセット動作により、放射線検出装置100は出力信号を飽和させずに放射線の検出動作を継続することができる。このリセット方式は、パルスリセット方式と呼ばれ、リセットによるX線検出装置のゲイン変動が小さく、高い分解能の分析結果が得られるという利点がある。
【0006】
しかしながら、パルスリセット方式では、半導体検出器に一定量以上のX線が入射されるとリセットパルスの発生頻度が増加し、リセットダイオードを流れる電流が増加する。そのため、リセットダイオードが破壊されるおそれがあり、その結果として、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、大量の放射線が入射されてもリセットダイオードの破壊を防ぐことで、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がない放射線分析装置及び放射線検出装置のリセット方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる入力計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置である。
【0009】
本発明によれば、放射線の入力計数率によって放射線検出装置へのリセットパルスの出力を制御することで、放射線検出装置に含まれるリセット用のダイオード(リセットダイオード)を流れる電流を制御することができる。従って、本発明によれば、大量の放射線が入射されても、リセットパルスを停止させることでリセットダイオードの破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0010】
(2)この放射線分析装置において、
前記入力計数率カウンターは、
前記入力計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、通常は放射線検出装置をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができ、放射線検出装置に入射する放射線量が許容量を超えた場合は、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止することでリセットダイオードの保護を優先することができる。
【0012】
(3)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
所定時間あたりに前記放射線検出装置に出力される前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるリセット計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置である。
【0013】
本発明によれば、リセットパルスの計数率によって放射線検出装置へのリセットパルスの出力を制御することで、放射線検出装置に含まれるリセット用のダイオード(リセットダイオード)を流れる電流を制御することができる。従って、本発明によれば、大量の放射線が入射されてリセットパルスの発生頻度が高くなると、リセットパルスを停止させることでリセットダイオードの破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオードの保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0014】
(4)この放射線分析装置において、
前記リセット計数率カウンターは、
前記リセット計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、通常は放射線検出装置をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができ、リセットパルスの発生頻度が許容量を超えた場合は、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止することでリセットダイオードの保護を優先することができる。
【0016】
(5)この放射線分析装置は、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させる入力計数率カウンターをさらに含むようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止した後、放射線の入力計数率に応じて再開することができる。
【0018】
(6)この放射線分析装置において、
前記入力計数率カウンターは、
前記リセット回路が前記リセットパルスの出力を停止する時の前記入力計数率のカウント値を基準値として、当該基準値に対する前記入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させるようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、パルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを停止した時点での放射線の入力計数率を基準として、その後の入力計数率の低下具合に応じてパルスリセット方式による放射線検出装置のリセットを再開することができる。
【0020】
(7)この放射線分析装置において、
前記リセット回路は、
前記リセットパルスの出力を停止する時は、前記放射線検出装置に定電圧を出力し、
前記放射線検出装置は、
前記定電圧が入力された時は、コンティニュアスリセット方式により、前記コンデンサーにチャージされた電荷をディスチャージするようにしてもよい。
【0021】
(8)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法である。
【0022】
(9)本発明は、
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
所定時間あたりの前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の放射線分析装置の構成例を示す図。
【図2】第1実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置及びパルスハイトアナライザーの構成例を示す図。
【図3】第1実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図。
【図4】パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図5】コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図6】第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置及びパルスハイトアナライザーの構成例を示す図。
【図7】第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図。
【図8】パルスリセット方式が維持される場合の信号波形の概略図。
【図9】パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図10】コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図。
【図11】従来のX線検出装置のリセット方法について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0025】
以下では、本発明に係る放射線分析装置として、X線(放射線の一例)のエネルギーや強度を分析する装置(X線分析装置)を例に挙げて説明するが、本発明は、X線以外の放射線にも適用することができる。
【0026】
1.第1実施形態
(1)放射線分析装置
図1は、本実施形態の放射線分析装置の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の放射線分析装置1は、X線管用高圧電源10、X線管20、放射線検出装置30、パルスハイトアナライザー40、データメモリー50、コンピューター60を含んで構成されている。なお、本実施形態の放射線分析装置1は、これらの構成要素の一部を省略したり、新たな構成要素を付加した構成としてもよい。
【0027】
放射線分析装置1は、X線管用高圧電源10からX線管20を構成する金属ターゲットに電子を衝突させ、発生した1次X線を試料Sに照射する。このとき発生するX線のエネルギー分布は、ターゲットの材質に応じた特性X線が連続X線に重畳した分布となる。
【0028】
ここで、試料Sからは、様々なX線が発生し、これを放射線検出装置30で検出する。放射線検出装置30の出力信号は、階段波状になり、階段の各段の高さがX線のエネルギー(波長)に対応している。
【0029】
パルスハイトアナライザー40は、放射線検出装置30の出力に現れる階段波の各段の高さを表すデジタルデータを生成する。
【0030】
データメモリー50は、パルスハイトアナライザー40から階段波の各段の高さを表すデジタルデータを受け取る毎に、当該デジタルデータに対応付けられるメモリアドレスのデータに1を加算する。その結果、横軸にX線のエネルギー、縦軸に各エネルギーの有するX線の量を表すスペクトラム波形が生成され、コンピューター60でその内容を読み出すことにより定性分析、定量分析を行い表示する。
【0031】
図2は、放射線検出装置30及びパルスハイトアナライザー40の構成例を示す図である。
【0032】
放射線検出装置30は、半導体検出器31、フィードバックコンデンサー32、高圧電源回路33、リセットダイオード34、FET35、プリアンプ36を含んで構成されている。なお、本実施形態の放射線検出装置30は、これらの構成要素の一部を省略したり、新たな構成要素を付加した構成としてもよい。
【0033】
半導体検出器31は、X線を検出する検出器であり、例えば、試料に電子線やX線を照射することにより発生する特性X線(蛍光X線)等を検出する。
【0034】
半導体検出器31は、例えば、エネルギー分散型X線検出器であり、シリコンドリフト型検出器(Silicon Drift Detector、SDD)であってもよい。シリコンドリフト型検出器(SDD)は、例えば、入射したX線によってLiを拡散させたP型Siから発生した電子を、同心円状の電位勾配を持った電極構造により効率よくアノードに導くようにしたものである。SDDでは、Siの不純物コントロールによって、熱ノイズの減少が図られている。半導体検出器31は、例えば、真空容器(図示しない)に収容され、真空容器に設けられたX線入射窓から入射したX線を検出する。
【0035】
X線が半導体検出器31に入射すると、半導体検出器31にX線のエネルギーに応じた負の電荷が発生する。高圧電源回路33により高圧の逆バイアスをかけることで、半導体検出器31に発生した負の電荷が、FET35のゲート側とプリアンプ36の出力側との間に接続されたフィードバックコンデンサー32にチャージされる。
【0036】
フィードバックコンデンサー32にチャージされた電荷は、FET35とプリアンプ36により電気信号に変換される。これにより、プリアンプ36の出力には階段状の波形の信号が現れ、パルスハイトアナライザー40に供給される。このプリアンプ36の出力信号は、各段の高さが半導体検出器31により検出されたX線のエネルギー値と線形な関係にある。
【0037】
パルスハイトアナライザー40は、A/D変換回路41、デジタルフィルター42、波高値算出回路43、イベント検出回路44、入力計数率カウンター45、リセット回路46を含んで構成されている。なお、本実施形態のパルスハイトアナライザー40は、これらの構成要素の一部を省略したり、新たな構成要素を付加した構成としてもよい。
【0038】
放射線検出装置30の出力信号(プリアンプ36の出力信号)は、A/D変換回路41でディジタル信号に変換された後、デジタルフィルター42で帯域外のノイズを低減させることでS/Nが改善される。
【0039】
デジタルフィルター42の出力信号は、波高値算出回路43で、各段の高さに応じたディジタル値が順次算出される。この波高値算出回路43により算出される各ディジタル値は、半導体検出器31により順次検出されたX線のエネルギー値と線形な関係にあり、データメモリー50で各ディジタル値に応じたアドレスのデータに1が加算される。こうして、データメモリー50には、X線の種類毎に数のカウント値が保存される。
【0040】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生させる。すなわち、イベント検出回路44は、半導体検出器31によりX線が検出される毎に1つのパルスを出力する。このイベント検出回路44は、半導体検出器31により検出される複数の近接したX線の各々について1つずつのパルスを出力可能とするために、高い時間分解能を持っていることが望ましい。
【0041】
入力計数率カウンター45は、所定時間(以下、「判定時間」という)あたりのイベント検出回路44が出力するパルスの数をカウントする。すなわち、入力計数率カウンター45は、判定時間あたりに半導体検出器31により検出されるX線の入力頻度(以下、「入力計数率」という)をカウントする。そして、入力計数率カウンター45は、入力計数率のカウント値をあらかじめ設定した閾値と比較し、閾値以上の入力計数率を観測したときにリセット回路46にパルスリセット停止信号を出力する。なお、この閾値比較にヒステリシスを持たせてもよい。
【0042】
リセット回路46は、通常は、放射線検出装置30の出力信号(プリアンプ36の出力信号)の電圧が所定の閾値を超える毎に、放射線検出装置30のリセットダイオード34にリセットパルスを出力する。この閾値は、例えばA/D変換回路41の最大入力電圧よりも少し低い電圧に設定される。このリセットパルスにより、リセットダイオード34を介してフィードバックコンデンサー32に電流が注入され、フィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされることで、放射線検出装置30がリセットされる。
【0043】
また、リセット回路46は、パルスリセット停止信号を受け取ると、リセットダイオード34へのリセットパルスの出力を停止し、定電圧を出力する。これにより、半導体検出器31へのX線の入射によりFET35のゲート電位が上昇してもリセットダイオード34に電流が流れ、当該ゲート電位が一定となるように働く。この動作により、リセットパルス無しにフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされる。このリセット方式は、コンティニュアスリセット方式と呼ばれる。
【0044】
入力計数率カウンター45は、入力計数率のカウント値が閾値以下に低下するとパルスリセット停止信号の出力を止めるので、セット回路46は、パルスリセットの出力を再開する。
【0045】
このように、第1実施形態の放射線分析装置1は、半導体検出器31へのX線の入力計数率によってリセット回路46によるリセットパルスの出力を制御し、パルスリセット方式とコンティニュアスリセット方式の切り替えを行う。
【0046】
(2)放射線検出装置のリセット方法
図3は、第1実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図である。
【0047】
まず、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択する(S10)。
【0048】
次に、入力計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりに放射線検出装置1が検出する放射線の数、すなわち入力計数率のカウントを開始する(S20)。
【0049】
そして、判定時間が経過するまで(S30のN)入力計数率のカウントを継続し、判定時間が経過すると(S30のY)入力計数率のカウント値を閾値と比較する(S40)。
【0050】
入力計数率のカウント値が閾値以上であれば(S40のY)、放射線検出装置1のリセット方式としてコンティニュアスリセット方式を選択し(S50)、ステップS20以降の処理を再度行う。
【0051】
一方、入力計数率のカウント値が閾値未満であれば(S40のN)、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択し(S60)、ステップS20以降の処理を再度行う。
【0052】
図4は、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0053】
図4の例では、判定期間T1において、入力計数率カウンター45の出力信号はロー(L)レベルであり、パルスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0054】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生し、入力計数率カウンター45は、判定期間T1におけるイベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントする。
【0055】
図4の例では、判定期間T1における入力計数率のカウント値が所定の閾値以上になっており、判定期間T1の終了時に、入力計数率カウンター45の出力信号がロー(L)レベルからでハイ(H)レベルに変化している。この入力計数率カウンター45が出力するハイ(H)レベルの信号は、パルスリセット停止信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、リセット回路46によるリセットパルスの出力が停止され、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0056】
図5は、コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0057】
図5の例では、判定期間T1において、入力計数率カウンター45の出力信号はハイ(H)レベルであり、コンティニュアスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0058】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生し、入力計数率カウンター45は、判定期間T1におけるイベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントする。
【0059】
図5の例では、判定期間T1における入力計数率のカウント値が所定の閾値未満になっており、判定期間T1の終了時に、入力計数率カウンター45の出力信号がハイ(H)レベルからでロー(L)レベルに変化している。この入力計数率カウンター45が出力するロー(L)レベルの信号は、パルスリセット許可信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、最初にリセット回路46がリセットパルスを出力してコンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0060】
以上に説明した第1実施形態の放射線分析装置によれば、放射線検出装置30に入射する放射線の計数率によってリセットパルスの出力を制御することで、リセットダイオード34を流れる電流を制御することができる。通常は放射線検出装置30をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができる。一方、放射線検出装置30に入射する放射線量が許容量を超えた場合は、放射線検出装置30をコンティニュアスリセット方式でリセットすることでリセットダイオードの保護を優先することができる。従って、大量の放射線が入射されてもリセットダイオード34の破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオード34の保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0061】
2.第2実施形態
(1)放射線分析装置
第2実施形態の放射線分析装置の全体構成は、図1と同じであるため、その図示及び説明を省略する。
【0062】
図6は、第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置30及びパルスハイトアナライザー40の構成例を示す図である。
【0063】
第2実施形態における放射線検出装置30の構成は、図2と同じであるため、その説明を省略する。
【0064】
第2実施形態におけるパルスハイトアナライザー40は、A/D変換回路41、デジタルフィルター42、波高値算出回路43、イベント検出回路44、入力計数率カウンター45、リセット回路46に加えて、さらにリセット計数率カウンター47とメモリー48を含んで構成されている。A/D変換回路41、デジタルフィルター42、波高値算出回路43、イベント検出回路44の動作は、第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0065】
リセット計数率カウンター47は、判定時間あたりのリセット回路46が出力するリセットパルスの数(以下、「リセット計数率」という)をカウントする。そして、リセット計数率カウンター47は、リセット計数率のカウント値をあらかじめ設定した閾値と比較し、閾値以上のリセット計数率を観測したときにリセット回路46にパルスリセット停止信号を出力する。なお、この閾値比較にヒステリシスを持たせてもよい。
【0066】
入力計数率カウンター45は、判定時間毎に入力計数率をカウントし、リセット回路46がリセットパルスの出力を停止する時の入力計数率のカウント値を基準値としてメモリー48(記憶部)に記憶する。そして、入力計数率カウンター45は、リセット回路46がリセットパルスの出力を停止している期間において、メモリー48に記憶された基準値に対する入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、リセット回路46にリセットパルス再開信号を出力する。
【0067】
リセット回路46は、通常は、放射線検出装置30の出力信号(プリアンプ36の出力信号)の電圧が閾値を超える毎に、放射線検出装置30のリセットダイオード34にリセットパルスを出力する。すなわち、パルスリセット方式により、フィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされる。
【0068】
また、リセット回路46は、リセット計数率カウンター47からパルスリセット停止信号を受け取ると、リセットダイオード34へのリセットパルスの出力を停止し、定電圧を出力する。すなわち、コンティニュアスリセット方式により、リセットパルス無しにフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされる。
【0069】
さらに、リセット回路46は、コンティニュアスリセット方式によるリセット期間中に、入力計数率カウンター45からパルスリセット再開信号を受け取ると、コンティニュアスリセット方式によるリセット動作からパルスリセット方式によるリセット動作に切り替える。
【0070】
このように、第2実施形態の放射線分析装置1は、リセットパルスの計数率と半導体検出器31へのX線の入力計数率によってリセット回路46によるリセットパルスの出力を制御し、パルスリセット方式とコンティニュアスリセット方式の切り替えを行う。
【0071】
(2)放射線検出装置のリセット方法
図7は、第2実施形態の放射線分析装置における放射線検出装置のリセット方法を示すフローチャート図である。
【0072】
まず、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択する(S110)。
【0073】
次に、リセット計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりのリセットパルスの数、すなわちリセット計数率のカウントを開始する(S120)。
【0074】
次に、入力計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりに放射線検出装置1が検出する放射線の数、すなわち入力計数率のカウントを開始する(S130)。
【0075】
そして、判定時間が経過するまで(S140のN)リセット計数率と入力計数率のカウントを継続し、判定時間が経過すると(S140のY)リセット計数率のカウント値を閾値と比較する(S150)。
【0076】
リセット計数率のカウント値が閾値以上であれば(S150のY)、カウントした入力計数率を基準値(基準計数率)として記憶し(S160)、放射線検出装置1のリセット方式としてコンティニュアスリセット方式を選択する(S170)。
【0077】
一方、入力計数率のカウント値が閾値未満であれば(S150のN)、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を維持し、ステップS120以降の処理を再度行う。
【0078】
放射線検出装置1のリセット方式としてコンティニュアスリセット方式が選択された場合(S170)、入力計数率のカウント値を0にリセットし、判定時間あたりに放射線検出装置1が検出する放射線の数、すなわち入力計数率のカウントを開始する(S180)。
【0079】
そして、判定時間が経過するまで(S190のN)入力計数率のカウントを継続し、判定時間が経過すると(S190のY)入力計数率とステップS160で記憶された基準計数率との比(入力計数率/基準計数率)を閾値と比較する(S200)。
【0080】
入力計数率と基準計数率との比(入力計数率/基準計数率)が閾値以上であれば(S200のY)、放射線検出装置1のリセット方式としてパルスリセット方式を選択し(S210)、ステップS120以降の処理を再度行う。
【0081】
一方、入力計数率と基準計数率との比(入力計数率/基準計数率)が閾値未満であれば(S200のN)、ステップS180以降の処理を再度行う。
【0082】
図8は、パルスリセット方式が維持される場合の信号波形の概略図である。
【0083】
図8の例では、判定期間T1において、パルスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。なお、判定期間T1におけるプリアンプ36の出力波形は、図4の例と同じである。
【0084】
リセット計数率カウンター47は、判定期間T1においてリセット回路46が出力するリセットパルスの数をリセット計数率としてカウントする。
【0085】
図8の例では、判定期間T1におけるリセット計数率のカウント値が所定の閾値未満であり、リセット計数率カウンター47の出力信号はロー(L)レベルのままである。このリセット計数率カウンター47が出力するロー(L)レベルの信号は、パルスリセット許可信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2でも、リセット回路46からリセットパルスが出力され、パルスリセット方式が維持されている。
【0086】
なお、入力計数率カウンター45は、判定期間T1において、イベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントしており、図8の例では、判定期間T1における入力計数率は図4の例と同じであるが、第1実施形態と異なり、判定期間T1の終了後の判定期間T2でもパルスリセット方式が維持されている。
【0087】
図9は、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0088】
図9の例では、判定期間T1において、パルスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0089】
リセット計数率カウンター47は、判定期間T1においてリセット回路46が出力するリセットパルスの数をリセット計数率としてカウントする。
【0090】
図9の例では、判定期間T1におけるリセット計数率のカウント値が所定の閾値以上になっており、判定期間T1の終了時に、リセット計数率カウンター47の出力信号がロー(L)レベルからでハイ(H)レベルに変化している。このリセット計数率カウンター47が出力するハイ(H)レベルの信号は、パルスリセット停止信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、リセット回路46によるリセットパルスの出力が停止され、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0091】
なお、入力計数率カウンター45は、判定期間T1において、イベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントしており、この入力計数率のカウント値は基準値として記憶される。
【0092】
図10は、コンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる場合の信号波形の概略図である。
【0093】
図10の例では、判定期間T1において、コンティニュアスリセット方式が選択されている。そのため、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じてチャージされた電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力にはこれを反映した信号が現れている。
【0094】
イベント検出回路44は、プリアンプ36の出力電圧の上昇を検出してパルスを発生し、入力計数率カウンター45は、判定期間T1におけるイベント検出回路44の出力パルスの数を入力計数率としてカウントする。
【0095】
図10の例では、判定期間T1における入力計数率のカウント値と基準値との比が所定の閾値未満になっており、判定期間T1の終了時に、入力計数率カウンター45の出力信号がロー(L)レベルからでハイ(H)レベルに変化している。この入力計数率カウンター45が出力するハイ(H)レベルの信号は、パルスリセット再開信号であり、判定期間T1の直後の判定期間T2では、最初にリセット回路46がリセットパルスを出力してコンティニュアスリセット方式からパルスリセット方式に切り替わる。これにより、判定期間T2では、半導体検出器31にX線が入射する毎にフィードバックコンデンサー32にX線のエネルギーに応じた電荷がチャージされ、プリアンプ36の出力電圧は、所定の閾値電圧Vrstに達するまで階段状に上昇する。そして、プリアンプ36の出力電圧がVrstを超える毎に、リセット回路46がリセットパルスを出力する。このリセットパルスによりフィードバックコンデンサー32の電荷がディスチャージされ、プリアンプ36の出力電圧が所定の電圧まで低下する。
【0096】
以上に説明した第2実施形態の放射線分析装置によれば、リセットパルスの計数率によって放射線検出装置30へのリセットパルスの出力を制御することで、リセットダイオード34を流れる電流を制御することができる。通常は放射線検出装置30をパルスリセット方式でリセットすることで高い分解能の分析結果を得ることができる。一方、リセットパルスの発生頻度が許容量を超えた場合は、放射線検出装置30をコンティニュアスリセット方式でリセットすることでリセットダイオードの保護を優先することができる。従って、大量の放射線が入射されてリセットパルスの発生頻度が高くなると、リセットパルスを停止させることでリセットダイオード34の破壊を回避することができ、結果として、リセットダイオード34の保護を目的としてX線の入射量に制限を設ける必要がなくなる。
【0097】
また、第2実施形態の放射線分析装置によれば、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替えた時点での放射線の入力計数率を基準として、その後の入力計数率の低下具合に応じてパルスリセット方式に復帰させることができる。
【0098】
第1実施形態又は第2実施形態の放射線分析装置としては、例えば、試料に電子線を照射して、この電子線により試料から発生された特性X線を放射線検出装置で検出するエネルギー分散型X線分析装置などが挙げられる。
【0099】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0100】
例えば、第2実施形態では、メモリー48に記憶された基準値に対する入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、パルスリセット方式からコンティニュアスリセット方式に切り替えているが、より単純に、入力計数率のカウント値が所定の閾値を下回った場合にこの切り替えを行うように変形してもよい。
【0101】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0102】
1 放射線分析装置、10 X線管用高圧電源、20 X線管、30 放射線検出装置、31 半導体検出器、32 フィードバックコンデンサー、33 高圧電源回路、34 リセットダイオード、35 FET、36 プリアンプ、40 パルスハイトアナライザー、41 A/D変換回路、42 デジタルフィルター、43 波高値算出回路、44 イベント検出回路、45 入力計数率カウンター、46 リセット回路、47 リセット計数率カウンター、48 メモリー、50 データメモリー、60 コンピューター、100 放射線検出装置、101 半導体検出器、102 フィードバックコンデンサー、103 高圧電源回路、104 リセットダイオード、105 FET、106 プリアンプ、110 パルスハイトアナライザー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる入力計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記入力計数率カウンターは、
前記入力計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる、放射線分析装置。
【請求項3】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
所定時間あたりに前記放射線検出装置に出力される前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるリセット計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記リセット計数率カウンターは、
前記リセット計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる、放射線分析装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させる入力計数率カウンターをさらに含む、放射線分析装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記入力計数率カウンターは、
前記リセット回路が前記リセットパルスの出力を停止する時の前記入力計数率のカウント値を基準値として、当該基準値に対する前記入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させる、放射線分析装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記リセット回路は、
前記リセットパルスの出力を停止する時は、前記放射線検出装置に定電圧を出力し、
前記放射線検出装置は、
前記定電圧が入力された時は、コンティニュアスリセット方式により、前記コンデンサーにチャージされた電荷をディスチャージする、放射線分析装置。
【請求項8】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法。
【請求項9】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
所定時間あたりの前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法。
【請求項1】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる入力計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記入力計数率カウンターは、
前記入力計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる、放射線分析装置。
【請求項3】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置と、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを出力するリセット回路と、
所定時間あたりに前記放射線検出装置に出力される前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させるリセット計数率カウンターと、を含む、放射線分析装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記リセット計数率カウンターは、
前記リセット計数率のカウント値が所定の閾値を超えた場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を停止させる、放射線分析装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させる入力計数率カウンターをさらに含む、放射線分析装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記入力計数率カウンターは、
前記リセット回路が前記リセットパルスの出力を停止する時の前記入力計数率のカウント値を基準値として、当該基準値に対する前記入力計数率のカウント値の比率が所定の閾値を下回った場合に、前記リセット回路に前記リセットパルスの出力を再開させる、放射線分析装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記リセット回路は、
前記リセットパルスの出力を停止する時は、前記放射線検出装置に定電圧を出力し、
前記放射線検出装置は、
前記定電圧が入力された時は、コンティニュアスリセット方式により、前記コンデンサーにチャージされた電荷をディスチャージする、放射線分析装置。
【請求項8】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
前記放射線検出装置の出力信号に基づいて、所定時間あたりに前記放射線検出装置に入射する放射線の数である入力計数率をカウントし、当該入力計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法。
【請求項9】
入射した放射線に応じた電荷を発生させる検出器と、コンデンサーと、ダイオードと、を有し、前記検出器が発生させた電荷を前記コンデンサーにチャージすることにより、入射した放射線のエネルギーに応じた電圧レベルの信号を出力する放射線検出装置のリセット方法であって、
前記放射線検出装置の前記コンデンサーにチャージされた電荷を、前記ダイオードを介してディスチャージするためのリセットパルスを発生させるステップと、
所定時間あたりの前記リセットパルスの数であるリセット計数率をカウントし、当該リセット計数率のカウント値に基づいて、前記リセットパルスの発生を停止させるステップと、を含む、放射線検出装置のリセット方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−92500(P2013−92500A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236024(P2011−236024)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
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