説明

抗インスリン様増殖因子I受容体抗体の使用

本発明は、特定の障害の治療のため、抗IGF−IR抗体、特にヒト抗IGF−IR抗体を、好ましくは別の療法剤の投与と組み合わせて、被験者に投与することを含む療法に関する。本発明は、さらに、これらの抗体を含む薬剤組成物、並びに治療のため、抗体およびその組成物を用いる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は、抗インスリン様増殖因子I受容体(IGF−IR)抗体の使用、および該抗体を含有する組成物に関する。
【0002】
インスリン様増殖因子(IGF−I)は、血漿において高濃度で循環する7.5kDのポリペプチドであり、そして大部分の組織で検出可能である。IGF−Iは細胞分化および細胞増殖を刺激し、そして増殖を維持するため、大部分の哺乳動物細胞種に必要とされる。これらの細胞種には、とりわけ、ヒト二倍体線維芽細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、Tリンパ球、神経細胞、骨髄細胞、軟骨細胞、骨芽細胞および骨髄幹細胞が含まれる。
【0003】
IGF−Iが刺激する細胞増殖または分化につながる伝達経路の第一の段階は、IGF−I受容体へのIGF−IまたはIGF−II(または生理学的濃度を越えるインスリン)の結合である。IGF−I受容体(IGF−IR)は、2種のサブユニット:アルファ・サブユニット(完全に細胞外であり、そしてリガンド結合において機能する、130〜135kDタンパク質)およびベータ・サブユニット(95kD膜貫通タンパク質、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む)で構成される。IGF−IRは、まず、一本鎖プロ受容体ポリペプチドとして合成され、グリコシル化、タンパク質分解的切断、および共有結合によってプロセシングされ、2つのアルファ−サブユニットおよび2つのベータ−サブユニットを含む、成熟460kDへテロ四量体に組み立てられる。ベータ・サブユニット(単数または複数)は、リガンドに活性化されるチロシンキナーゼ活性を所持する。この活性は、ベータ・サブユニットの自己リン酸化およびIGF−IR基質のリン酸化を伴う、シグナル伝達経路が仲介するリガンド作用に関連付けられる。
【0004】
in vitroおよびin vivoで腫瘍細胞を維持する際にIGF−Iおよび/またはIGF−IRが役割を果たすというかなりの証拠がある。IGF−IRレベルは、肺(Kaiserら, J. Cancer Res. Clin. Oncol. 119:665−668, 1993;Moodyら, Life Sciences 52:1161−1173, 1993;Macauleyら, Cancer Res. , 50:2511−2517, 1990)、乳房(Pollakら, Cancer Lett. 38:223−230, 1987;Foekensら, Cancer Res. 49:7002−7009, 1989;Cullenら, Cancer Res. 49:7002−7009, 1990;Arteagaら, J. Clin. Invest. 84:1418−1423, 1989)、前立腺および結腸(Remaole−Bennetら, J. Clin. Endocrinol. Metab. 75:609−616, 1992;Guoら, Gastroenterol. 102:1101−1108, 1992)の腫瘍中で上昇する。さらに、IGF−Iは、ヒト神経膠腫の自己分泌刺激因子であるようであり(Sandberg−Nordqvistら, Cancer Res. 53:2475−2478, 1993)、一方、IGF−Iは、IGF−IRを過剰発現する線維肉腫の増殖を刺激した(Butlerら, Cancer Res. 58:3021−27, 1998)。さらに、IGF−Iが「高めの正常」レベルである個体は、IGF−Iレベルが「低めの正常」範囲である個体と比較して、一般的な癌のリスクが増加する(Rosenら, Trends Endocrinol. Metab. 10:136−41, 1999)。多様なヒト腫瘍の増殖において、IGF−I/IGF−I受容体の相互作用が果たす役割の概説には、Macaulay, Br. J. Cancer, 65:311−320, 1992を参照されたい。
【0005】
哺乳動物を含む、多様な動物種の寿命を増加させるには、カロリー制限が最も有効でそして再現性のある介入である。これはまた、実験発癌モデルにおいて、最も強力で、広く作用する癌防止措置でもある。その有益な効果の多くの根底にある、重要な生物学的機構は、インスリン様増殖因子−1経路である(Hurstingら, Annu. Rev. Med. 54:131−52, 2003)。
【0006】
IGF−Iおよび/またはIGF−IRが過剰発現されている際に、IGF−IおよびIGF−IRが、癌および他の増殖障害などの障害において有する役割を考慮して、IGF−IまたはIGF−IIのIGF−IRへの結合を遮断する、IGF−IRに対する抗体が産生されてきている。こうした抗体は、例えば、WO 02/05359、2002年7月11日公表に記載されている。これらの刊行物の本文は、記載されるすべての配列を含めて、本明細書に援用される。ヒトにおける相当する疾患を治療するため、こうした抗親和性ヒト抗IGF−IR抗体を使用することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、哺乳動物における、多発性骨髄腫、液性腫瘍(liquid tumor)、肝臓癌、胸腺障害、T細胞仲介自己免疫疾患、内分泌(endocronological)障害、虚血、および神経変性障害からなる群より選択される障害の治療法または防止法であって、前記哺乳動物に、前記障害を治療するのに有効な、ある量のヒト抗IGF−IR抗体を投与することを含む、前記方法に関する。1つの態様において、該方法は、前記哺乳動物に、前記抗体と組み合わせて、コルチコステロイド、制吐剤、癌ワクチン、鎮痛剤、抗血管(anti−vascular)剤、および抗増殖剤からなる群より選択される剤を投与することを含む。
【0008】
液性腫瘍は、好ましくは、急性リンパ性白血病(ALL)または慢性骨髄性(milogenic)白血病(CML)である。肝臓癌は、好ましくは、ヘパトーム、肝細胞癌腫、肝内胆管癌、血管肉腫(angiosarcomas)、血管肉腫(hemangiosarcomas)、または肝芽腫である。胸腺障害は、好ましくは、胸腺腫または甲状腺炎である。T細胞仲介自己免疫疾患は、好ましくは、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫甲状腺炎、またはベーチェット病である。内分泌障害は、好ましくは、II型糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、副腎皮質機能亢進症、および副腎皮質機能低下症である。虚血は、好ましくは、心虚血後(post−cardiac ischemia)である。神経変性障害は、好ましくは、アルツハイマー病である。
【0009】
該抗体と組み合わせて抗増殖剤を投与する場合、該剤は、好ましくは、ファルネシル・タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、αvβ3阻害剤、αvβ5阻害剤、p53阻害剤、およびPDGFR阻害剤からなる群より選択される。
【0010】
該抗体と組み合わせて抗血管剤を投与する場合、該剤は、好ましくは、ベバシズマブ、またはrhuMAb−VEGFからなる群より選択される。
該抗体と組み合わせて制吐剤を投与する場合、該剤は、好ましくは、オンダンセトロン塩酸、グラニセトロン塩酸、メトクロプラミド(metroclopramide)、ドンペリドン、ハロペリドール、シクリジン、ロラゼパム、プロクロルペラジン、デキサメタゾン、レボメプロマジン、またはトロピセトロンからなる群より選択される。
【0011】
該抗体と組み合わせてワクチンを投与する場合、該ワクチンは、好ましくは、GM−CSF DNAおよび細胞に基づくワクチン、樹状細胞ワクチン、組換えウイルスワクチン、熱ショックタンパク質(HSP)ワクチン、同種または自己の腫瘍ワクチンから選択される。1つの態様において、ワクチンはペプチド、DNA、または細胞に基づく。
【0012】
該抗体と組み合わせて鎮痛剤を投与する場合、該剤は、好ましくは、イブプロフェン、ナプロキセン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、またはオキシコドン塩酸から選択される。
【0013】
好ましい態様において、哺乳動物はヒトである。
1つの態様において、IGF−IRに結合する抗体は、以下の特性:
8x10−9以下のKdの、ヒトIGF−IRに対する結合親和性;
100nM未満のIC50の、ヒトIGF−IRおよびIGF−1間の結合阻害を有し;そして
VH DP−35、VIV−4/4.35、VH DP−47、またはVH DP−71遺伝子のものに対応するヒトFR1、FR2、およびFR3アミノ酸配列、あるいはその保存的置換または体細胞突然変異を含む、重鎖アミノ酸配列を含み、FR配列がCDR1、CDR2、およびCDR3配列に連結され、そして該抗体がまた、その軽鎖中に、A27、A30、またはO12遺伝子由来のCDR領域も含む。
【0014】
あるいは、抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、および6.1.1からなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する抗体と、結合に関して競合する。例えば、抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、および6.1.1からなる群より選択される抗体の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する抗体が結合するエピトープに結合可能である。
【0015】
別の態様において、本発明は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、および6.1.1からなる群より選択される抗体の、CDR−1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む重鎖、並びにCDR1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むか、あるいは保存的変化であって、非極性残基の他の非極性残基による置き換え、極性荷電残基の他の極性非荷電残基による置き換え、極性荷電残基の他の極性荷電残基による置き換え、および構造的に類似の残基による置換からなる群より選択される、前記保存的変化;並びに非保存的置換であって、極性非荷電残基に対する極性荷電残基の置換および極性残基に対する非極性残基の置換からなる群より選択される、前記非保存的置換、付加、並びに欠失からなる群より選択される、前記CDR配列からの変化を有する配列を含む、抗体を用いて、実施される。
【0016】
好ましい態様において、該抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1からなる群より選択される抗体の、CDR−1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む重鎖、並びにCDR1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。別の態様において、該抗体は、ヒト遺伝子DP−47由来の重鎖アミノ酸配列およびヒト遺伝子A30由来の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0017】
本発明はまた、哺乳動物における障害の治療のための薬剤組成物であって、前記障害を治療するのに有効な、ある量のヒト抗IGF−IR抗体、および薬学的に許容しうるキャリアーを含み、前記障害が、多発性骨髄腫、液性腫瘍、肝臓癌、胸腺障害、T細胞仲介自己免疫疾患、内分泌障害、虚血、および神経変性障害からなる群より選択される、前記薬剤組成物にも関する。1つの態様において、本発明は、前記抗体と組み合わせて、前記障害を治療するのに有効な、ある量のコルチコステロイド、制吐剤、癌ワクチン、鎮痛剤、抗血管剤、または抗増殖剤もまた含む、併用薬剤組成物に関する。
【0018】
本発明はまた、哺乳動物における障害を治療するのに有効な、前記障害の治療のための組成物調製における、ある量のヒト抗IGF−IR抗体の使用であって、前記障害が、多発性骨髄腫、液性腫瘍、肝臓癌、胸腺障害、T細胞仲介自己免疫疾患、内分泌障害、虚血、および神経変性障害からなる群より選択される、前記使用にも関する。
【0019】
発明の詳細な説明
本明細書に引用される、すべての特許、特許出願、および他の参考文献は、完全に本明細書に援用される。
【0020】
抗体はまた、限定されるわけではないが、WO 02/053596に記載されるものなどの異なる抗IGF−IR抗体、およびやはりIGF−IRを遮断可能な他の剤を含む、異常なIGF−IR活性を治療するのに有用な他の剤とともに使用することも可能である。
【0021】
本明細書に記載する共同(併用)治療は、治療の個々の構成要素を同時に、連続して、または別個に投薬することによって達成可能である。
抗体を投与して、最初の疾患を治療するかまたは防止することも可能であるし、あるいは再発を治療するかまたは防止することも可能である。抗体を使用して、初期疾患または進行した疾患を治療することも可能である。
【0022】
用語「治療する」は、本明細書において、別に示さない限り、こうした用語が適用される障害または状態、あるいはこうした障害または状態の1以上の症状の進行を逆転させるか、軽減するか、阻害するか、あるはこれらを防止することを意味する。用語「治療」は、本明細書において、別に示さない限り、「治療する」がすぐ上に定義されるような、治療する行為を指す。
【0023】
本明細書で別に定義しない限り、本発明と組み合わせて用いる科学的用語および技術的用語は、一般の当業者に通常理解される意味を持たなければならない。一般的に、本明細書に記載する細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質化学および核酸化学、並びにハイブリダイゼーションと組み合わせて用いる術語、並びにこれらの技術は、周知であり、そして当該技術分野において一般的に用いられるものである。
【0024】
以下の用語は、別に示さない限り、以下の意味を有することを理解しなければならない:
「抗体」は、損なわれていない(intact)免疫グロブリン、または特異的結合に関して、損なわれていない抗体と競合する、その抗原結合部分を指す。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって、あるいは損なわれていない抗体の酵素的切断または化学的切断によって、産生可能である。抗原結合部分には、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、dAb、および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ディアボディ(diabodies)、並びに少なくとも、ポリペプチドへの特異的抗原結合を与えるのに十分な免疫グロブリン部分を含有するポリペプチドが含まれる。
【0025】
免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって連結された、比較的保存されるフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を示す。各対の2つの鎖由来のCDRは、フレームワーク領域によって並列され、特異的エピトープへの結合が可能になる。N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖はどちらも、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4ドメインを含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, メリーランド州ベセスダ(1987および1991))、またはChothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901−917(1987);Chothiaら Nature 342:878−883(1989)の定義にしたがう。
【0026】
「単離抗体」は、(1)天然状態で付随する他の天然会合抗体を含む、天然会合構成要素と会合していないか、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含まないか、(3)異なる種由来の細胞によって発現されるか、または(4)天然に存在しない、抗体である。単離抗体の例には、IGF−IRを用いてアフィニティー精製された抗IGF−IR抗体、in vitroでハイブリドーマまたは他の細胞株によって合成された抗IGF−IR抗体、およびトランスジェニックマウス由来のヒト抗IGF−IR抗体が含まれる。
【0027】
用語「キメラ抗体」は、1つの抗体由来の1以上の領域および1以上の他の抗体由来の1以上の領域を含有する抗体を指す。好ましい態様において、1以上のCDRがヒト抗IGF−IR抗体由来である。より好ましい態様において、すべてのCDRがヒト抗IGF−IR抗体由来である。別の好ましい態様において、1より多いヒト抗IGF−IR抗体由来のCDRを、キメラ抗体中で混合し、そしてマッチさせる。さらに、フレームワーク領域は、1つの同一抗IGF−IR抗体由来、ヒト抗体などの1以上の異なる抗体由来、またはヒト化抗体由来であることも可能である。
【0028】
用語「エピトープ」には、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合可能なタンパク質決定基いずれかが含まれる。エピトープ性決定基は、通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的活性表面群からなり、そして通常、特定の3次元構造特性とともに、特定の荷電特性を有する。解離定数が1μM以下、好ましくは100nM以下、そして最も好ましくは10nM以下のとき、抗体は抗原に特異的に結合するという。
【0029】
ポリペプチドに適用した際、用語「実質的同一性」は、デフォルトギャップ荷重を用い、プログラムGAPまたはBESTFITによるなどで、2つのペプチド配列を最適に並列させた際、これらの配列が、少なくとも75%または80%の配列同一性、好ましくは、少なくとも90%または95%の配列同一性、さらにより好ましくは、少なくとも98%または99%の配列同一性を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基位は、保存的アミノ酸置換によって異なる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の化学的特性(例えば荷電または疎水性)を持つ側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させないであろう。2以上のアミノ酸配列が、保存的置換によって互いに異なる場合、配列同一性パーセントまたは類似性の度合いを上方に調整して、置換の保存性を修正することも可能である。この調整を行う手段は、当業者に周知である。例えば、本明細書に援用される、Pearson, Methods Mol. Biol. 24:307−31(1994)を参照されたい。類似の化学的特性を持つ側鎖を有するアミノ酸群の例には、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;2)脂肪族−ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン;並びに6)イオウ含有側鎖:システインおよびメチオニンが含まれる。好ましい保存的アミノ酸置換群は:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、およびアスパラギン−グルタミンである。
【0030】
抗体または免疫グロブリン分子の断片または類似体(analog)は、一般の当業者によって、容易に調製可能である。断片または類似体の好ましいアミノ末端およびカルボキシ末端は、機能ドメインの境界線近くに存在する。公的な、または私有の(proprietary)配列データベースに、ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列データを比較することによって、構造ドメインおよび機能ドメインを同定可能である。好ましくは、コンピュータ化比較法を用いて、構造および/または機能が知られる他のタンパク質に存在する配列モチーフまたは予測されるタンパク質コンホメーションドメインを同定する。既知の3次元構造にフォールディングするタンパク質配列を同定する方法が知られる。Bowieら Science 253:164(1991)。したがって、前述の例によって、当業者が、本発明にしたがって、構造ドメインおよび機能ドメインを定義するのに使用可能な、配列モチーフおよび構造コンホメーションを認識することも可能であることが立証される。
【0031】
好ましいアミノ酸置換は:(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させ、(2)酸化に対する感受性を減少させ、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を改変し、(4)結合親和性を改変し、そして(4)こうした類似体の他の物理化学的特性または機能的特性を与えるかまたは修飾するものである。類似体は、天然存在ペプチド配列以外の配列の多様な突然変異を含むことも可能である。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)を、天然存在配列(好ましくは、ポリペプチドの分子間接触を形成するドメイン(単数または複数)外部の部分)で行うことも可能である。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造特性を実質的に変化させてはならない(例えば置換アミノ酸は、親配列に存在するらせんを壊すか、または親配列を特徴付ける、他の種類の二次構造を破壊する傾向があってはならない)。
【0032】
用語、患者には、ヒトおよび獣医学的被験者が含まれる。
ヒト抗体は、マウスまたはラットの可変領域および/または定常領域を所持する抗体に関連する特定の問題を回避する。したがって、1つの態様において、本発明は、ヒト化抗IGF−IR抗体を提供する。より好ましいのは、完全ヒト抗ヒトIGF−IR抗体である。完全ヒト抗IGF−IR抗体は、マウスまたはマウス誘導体化モノクローナル抗体(Mab)に固有な免疫原性およびアレルギー性反応を最小限にし、そしてしたがって投与した抗体の有効性および安全性を増加させると期待される。完全ヒト抗体の使用は、炎症および癌などの、反復抗体投与が必要である可能性もある、慢性および再発性ヒト疾患の治療に実質的な利点を提供すると期待されることも可能である。別の態様において、本発明は、補体に結合しない抗IGF−IR抗体を提供する。
【0033】
本発明の別の側面において、抗IGF−IR抗体は、高親和性でIGF−IRに結合する。1つの態様において、抗IGF−IR抗体は、1x10−8M以下のKでIGF−IRに結合する。より好ましい態様において、該抗体は、1x10−9M以下のKでIGF−IRに結合する。さらにより好ましい態様において、該抗体は、5x10−10M以下のKでIGF−IRに結合する。別の好ましい態様において、該抗体は、1x10−10M以下のKでIGF−IRに結合する。別の好ましい態様において、該抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1から選択される抗体と実質的に同じKでIGF−IRに結合する。別の好ましい態様において、該抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3または6.1.1から選択される抗体由来の1以上のCDRを含む抗体と実質的に同じKでIGF−IRに結合する。
【0034】
本発明はまた、ヒト抗IGF−IR抗体と同じ抗原またはエピトープに結合する抗IGF−IR抗体も使用する。さらに、本発明は、ヒト抗IGF−IR抗体と交差競合する抗IGF−IR抗体を使用することも可能である。好ましい態様において、ヒト抗IGF−IR抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3または6.1.1である。別の好ましい態様において、ヒト抗IGF−IRは、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3または6.1.1から選択される抗体由来の1以上のCDRを含む。
【0035】
本発明はまた、ヒトκ遺伝子にコードされる可変配列を含む抗IGF−IR抗体を用いて実施することも可能である。好ましい態様において、可変配列は、Vκ A27、A30またはO12遺伝子ファミリーいずれかにコードされる。好ましい態様において、可変配列は、ヒトVκ A30遺伝子ファミリーにコードされる。より好ましい態様において、軽鎖は、生殖系列Vκ A27、A30またはO12から10以下のアミノ酸配列置換、好ましくは6以下のアミノ酸置換、そしてより好ましくは3以下のアミノ酸置換を含有する。好ましい態様において、アミノ酸置換は保存的置換である。
【0036】
好ましい態様において、抗IGF−IR抗体のVLは、生殖系列アミノ酸配列に比較して、抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1のVLのいずれか1以上と同じアミノ酸置換を含有する。
【0037】
別の好ましい態様において、軽鎖は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3または6.1.1のVLのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。別の非常に好ましい態様において、軽鎖は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1の軽鎖のCDR領域と同じアミノ酸配列を含む。別の好ましい態様において、軽鎖は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1の軽鎖の少なくとも1つのCDR領域由来のアミノ酸配列を含む。
【0038】
本発明はまた、ヒト重鎖またはヒト重鎖由来の配列を含む、抗IGF−IR抗体またはその部分を用いて実行することも可能である。1つの態様において、重鎖アミノ酸配列は、ヒトV DP−35、DP−47、DP−70、DP−71またはVIV−4/4.35遺伝子ファミリー由来である。好ましい態様において、重鎖アミノ酸配列は、ヒトV DP−47遺伝子ファミリー由来である。より好ましい態様において、重鎖は、生殖系列V DP−35、DP−47、DP−70、DP−71またはVIV−4/4.35から8以下のアミノ酸変化、より好ましくは6以下のアミノ酸変化、そしてさらにより好ましくは3以下のアミノ酸変化を含む。
【0039】
好ましい態様において、抗IGF−IR抗体のVHは、生殖系列アミノ酸配列に比較して、抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1のVHのいずれか1以上と同じアミノ酸置換を含有する。別の態様において、アミノ酸置換は、抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.17.3、4.9.2、または6.1.1のVHのいずれか1以上に見られるのと同じ位で行われるが、同じアミノ酸を用いるよりも、保存的アミノ酸置換が行われる。
【0040】
別の好ましい態様において、重鎖は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1のVHのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。別の非常に好ましい態様において、重鎖は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3、または6.1.1の重鎖のCDR領域と同じアミノ酸配列を含む。別の好ましい態様において、重鎖は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3または6.1.1の重鎖の少なくとも1つのCDR領域由来のアミノ酸配列を含む。別の好ましい態様において、重鎖は、異なる重鎖由来のCDR由来のアミノ酸を含む。より好ましい態様において、異なる重鎖由来のCDRは、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3または6.1.1から得られる。
【0041】
別の態様において、本発明は、IGF−IのIGF−IRへの結合またはIGF−IIのIGF−IRへの結合を阻害する、抗IGF−IR抗体を使用する。好ましい態様において、IGF−IRはヒトのものである。別の好ましい態様において、抗IGF−IR抗体は、ヒト抗体である。別の態様において、該抗体またはその部分は、100nM以下のIC50で、IGF−IRおよびIGF−I間の結合を阻害する。好ましい態様において、IC50は10nM以下である。より好ましい態様において、IC50は5nM以下である。IC50は、当該技術分野に知られる方法いずれによっても測定可能である。典型的には、IC50は、ELISAまたはRIAによって測定可能である。好ましい態様において、IC50はRIAによって測定される。
【0042】
別の態様において、本発明は、IGF−Iの存在下で、IGF−IRの活性化を防止する、抗IGF−IR抗体を使用する。本発明の別の側面において、該抗体は、該抗体で処理した細胞からのIGF−IRの下方制御を引き起こす。好ましい態様において、該抗体は、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、または6.1.1から選択されるか、あるいはその重鎖、軽鎖または抗原結合領域を含む。
【0043】
ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座のある程度またはすべてを含む非ヒト動物を、IGF−IR抗原で免疫することによって産生可能である。好ましい態様において、非ヒト動物は、XENOMOUSETMであり、これは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の巨大断片を含み、そしてマウス抗体産生が不全である、操作されたマウス系統である。例えば、Greenら Nature Genetics 7:13−21(1994)、並びに米国特許第5,916,771号、第5,939,598号、第5,985,615号、第5,998,209号、第6,075,181号、第6,091,001号、第6,114,598号および第6,130,364号を参照されたい。また、WO 91/10741、1991年7月25日公表、WO 94/02602、1994年2月3日公表、WO 96/34096およびWO 96/33735、どちらも1996年10月31日公表、WO 98/16654、1998年4月23日公表、WO 98/24893、1998年6月11日公表、WO 98/50433、1998年11月12日公表、WO 99/45031、1999年9月10日公表、WO 99/53049、1999年10月21日公表、WO 00 09560、2000年2月24日公表およびWO 00/037504、2000年6月29日公表も参照されたい。XENOMOUSETMは、全ヒト抗体の成人様ヒト・レパートリーを産生し、そして抗原特異的ヒトMabを生成する。第二世代XENOMOUSETMは、ヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座の、メガベースサイズの生殖系列配置YAC断片を導入することを通じて、ヒト抗体レパートリーのおよそ80%を含有する。その開示が本明細書に援用される、Mendezら Nature Genetics 15:146−156(1997)、GreenおよびJakobovits J. Exp. Med. 188:483−495(1998)を参照されたい。
【0044】
IGF−IR抗原をアジュバントとともに投与して、免疫反応を刺激することも可能である。こうしたアジュバントには、完全または不完全フロイントのアジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)またはISCOM(免疫刺激複合体)が含まれる。こうしたアジュバントは、限局性沈着中に隔離することによって、ポリペプチドが迅速に分散するのを防止することも可能であるし、または宿主を刺激して、マクロファージの走化性因子および免疫系の他の構成要素を分泌させる物質を含有することも可能である。好ましくは、ポリペプチドを投与する場合、免疫スケジュールは、数週間に渡って展開される、ポリペプチドの2以上の投与を伴うであろう。
【0045】
軽鎖の可変領域をコードする核酸分子は、A30、A27またはO12 Vκ遺伝子由来であることも可能である。好ましい態様において、軽鎖は、A30 Vκ遺伝子由来である。さらにより好ましい態様において、軽鎖をコードする核酸分子は、生殖系列A30 Vκ遺伝子から10以下のアミノ酸変化、好ましくは6以下のアミノ酸変化、そしてさらにより好ましくは3以下のアミノ酸変化を含有する。
【0046】
1つの態様において、抗体は、突然変異前の抗IGF−IR抗体に比較して、突然変異した抗IGF−IR抗体のVH領域またはVL領域いずれにおいても、10以下のアミノ酸変化を含有する。より好ましい態様において、突然変異した抗IGF−IR抗体のVH領域またはVL領域いずれにおいても、5以下のアミノ酸変化、より好ましくは3以下のアミノ酸変化がある。別の態様において、定常ドメインには、15以下のアミノ酸変化、より好ましくは10以下のアミノ酸変化、さらにより好ましくは5以下のアミノ酸変化がある。
【0047】
配列番号2、6、10、14、18および22は、6つの抗IGF−IR κ軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を提供する。配列番号4、8、12、16、20および24は、6つの抗IGF−IR重鎖の可変領域のアミノ酸配列を提供する。配列番号26は、抗IGF−IR抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3および6.1.1の軽鎖の定常領域のアミノ酸配列を示し、そして配列番号25は、該領域をコードする核酸配列を示す。配列番号28は、抗IGF−IR抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、4.17.3および6.1.1の重鎖の定常領域のアミノ酸配列を示し、そして配列番号27は、該領域をコードする核酸配列を示す。配列番号30、32、34、36および44は、それぞれ、生殖系列重鎖DP−35、DP−47、DP−70、DP−71およびVIV−4のアミノ酸配列を提供する。配列番号33は、生殖系列重鎖DP−70のヌクレオチド配列を提供する。配列番号38、40および42は、6つの抗IGF−IR κ軽鎖が由来する、3つの生殖系列κ軽鎖のアミノ酸配列を提供する。
【0048】
別の好ましい態様において、本発明は、加齢の防止における抗IGF−1Rの使用に関する。
別の態様において、本発明は、IGF−IRの活性化を必要とする哺乳動物を治療するための薬剤組成物であって、療法的に有効な量の本発明の活性化抗体および薬学的に許容しうるキャリアーを含む、前記薬剤組成物に関する。活性化抗体を含む薬剤組成物を用いて、十分なIGF−IまたはIGF−IIを欠く動物を治療することも可能である。
【0049】
被験者に投与するのに適した薬剤組成物中に、抗IGF−IR抗体を取り込むことも可能である。典型的には、薬剤組成物は、抗体および薬学的に許容しうるキャリアーを含む。本明細書において、「薬学的に許容しうるキャリアー」には、生理学的に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に許容しうるキャリアーの例には、1以上の水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等とともに、これらの組み合わせが含まれる。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムが含まれることが好ましいであろう。抗体または抗体部分の有効期間または有効性を増進する、湿潤剤などの薬学的に許容しうる物質、あるいは湿潤剤または乳化剤、保存剤または緩衝剤などの少量の補助物質が含まれることも可能である。
【0050】
薬剤組成物は、多様な型であることも可能である。これらには、例えば、液体、半固体および固体投薬型、例えば液性溶液(例えば注射可能溶液および注入可能溶液)、分散物または懸濁物、錠剤、ピル、粉末、リポソームおよび座薬が含まれる。好ましい型は、意図される投与様式および療法適用に応じる。典型的な好ましい組成物は、他の抗体でのヒトの受動免疫に用いられるものと類似の組成などの、注射可能溶液または注入可能溶液の形である。好ましい投与様式は、非経口(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋内)である。好ましい態様において、静脈内注入または静脈内注射によって、抗体を投与する。別の好ましい態様において、筋内注射または皮下注射によって、抗体を投与する。
【0051】
療法組成物は、典型的には、製造および保存の条件下で、無菌であり、そして安定でなければならない。溶液、マイクロエマルジョン、分散物、リポソーム、または高濃度の薬剤に適した他の秩序だった構造として、組成物を配合することも可能である。必要に応じて、上に列挙する成分の1つまたは組み合わせを含む、適切な溶媒中に、必要な量の抗IGF−IR抗体を取り込み、その後、ろ過滅菌することによって、無菌注射可能溶液を調製することも可能である。一般的に、基本的な分散媒体および上に列挙するうち必要な他の成分を含有する無菌ビヒクル中に、活性化合物を取り込むことによって、分散物を調製する。無菌注射可能溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これによって、先に無菌ろ過した溶液由来のさらなる望ましい成分いずれかを加えた、活性成分の粉末が生じる。レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散物の場合は必要な粒子サイズを維持することによって、そして界面活性剤を使用することによって、溶液の適切な流動性を維持することも可能である。組成物中に、吸収を遅延させる剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことによって、注射可能組成物の吸収持続をもたらすことも可能である。
【0052】
当該技術分野に知られる多様な方法によって抗体を投与することも可能であるが、多くの療法適用には、好ましい投与経路/投与様式は、腹腔内、皮下、筋内、静脈内または注入である。当業者に理解されるであろうように、投与経路および/または投与様式は、望ましい結果に応じて多様であろう。1つの態様において、単回用量として抗体を投与することも可能であるし、または多数回用量として投与することも可能である。
【0053】
特定の態様において、迅速な放出に対して活性化合物を防御するであろうキャリアーを伴って、活性化合物を調製することも可能であり、例えば移植物、経皮パッチ、およびμカプセル化した搬送系を含む、徐放配合物がある。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル類、およびポリ乳酸などの、生物分解性、生体適合性ポリマーが使用可能である。こうした配合物を調製するための多くの方法が特許されるか、または当業者に一般的に知られる。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson監修, Marcel Dekker,Inc., ニューヨーク, 1978を参照されたい。
【0054】
特定の態様において、抗体を、例えば不活性希釈剤または吸収可能食用キャリアーとともに、経口投与することも可能である。化合物(および望ましい場合、他の成分)を、硬または軟ゼラチンカプセル中に封入するか、錠剤中に圧縮するか、または被験者の食餌中に直接取り込むこともまた可能である。経口療法投与のため、摂取可能錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップ、ウェーファー等の形で、賦形剤とともに化合物を取り込んで、そして用いることも可能である。非経口投与以外で本発明の化合物を投与するには、化合物を、その不活性化を防止する物質でコーティングするか、またはこうした物質とともに同時投与する必要がある可能性もある。
【0055】
補助的活性化合物もまた、組成物中に取り込むことも可能である。1つの態様において、抗IGF−IR抗体を、制吐剤、癌ワクチン、鎮痛剤、抗血管剤、および抗増殖剤などの、1以上のさらなる療法剤と同時配合し、そして/または同時投与する。
【0056】
薬剤組成物は、本発明の抗体または抗体部分の「療法的有効量」または「予防的有効量」を含むことも可能である。「療法的有効量」は、必要な投薬量および投薬期間で、望ましい療法的結果を達成するのに有効な量を指す。抗体または抗体部分の療法的有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、並びに抗体または抗体部分が、個体において望ましい反応を誘発する能力などの要因にしたがって多様である可能性もある。療法的有効量はまた、抗体または抗体部分のいかなる毒性または有害な効果よりも、療法的に有益な効果が上回るものである。「予防的有効量」は、必要な投薬量および投薬期間で、望ましい予防的結果を達成するのに有効な量を指す。典型的には、予防的用量は、疾患以前または疾患の初期段階にある被験者で用いられるため、予防的有効量は、療法的有効量より少ないであろう。
【0057】
投薬措置を調整して、最適な望ましい反応(例えば療法反応または予防反応)を提供することも可能である。例えば、単一の巨丸剤(bolus)を投与することも可能であるし、長期に渡って数回の分割用量を投与することも可能であるし、あるいは療法状況の要求によって指示されるように、用量を比例して減少させるかまたは増加させることも可能である。抗体を含むか、または抗体および1以上のさらなる療法剤を含む併用療法を含む、薬剤組成物を、単回用量または多数の用量用に配合することも可能である。投薬量の投与および均一性を容易にするため、非経口組成物を、投薬単位型で配合することが特に好適である。本明細書において、投薬単位型は、治療しようとする哺乳動物被験者用の、単回投薬量として適した、物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な薬剤キャリアーと組み合わせて、望ましい療法効果を生じると計算された、あらかじめ決定された量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位型の規格は、(a)活性化合物のユニークな特性および達成しようとする特定の療法効果または予防効果、および(b)治療のためこうした活性化合物を製剤する業に固有の、個体における感受性の限界によって決定され、そしてこれらに直接依存する。特に有用な配合物は、20mMクエン酸ナトリウム、pH5.5、140mM NaCl、および0.2mg/mlポリソルベート80の緩衝液中、5mg/mlの抗IGF−IR抗体である。
【0058】
本発明の抗体または抗体部分の療法的有効量または予防的有効量の典型的な限定されない範囲は、0.1〜100mg/kg、より好ましくは0.5〜50mg/kg、より好ましくは1〜20mg/kg、そしてさらにより好ましくは1〜10mg/kgである。投薬値は、軽減しようとする状態の種類および重症度に応じて多様であることも可能であることに注目すべきである。特定の被験者いずれに関しても、個体の必要性にしたがって、そして組成物を投与するかまたはその投与を監督する個人の専門的判断にしたがって、長期に渡って、特定の投薬措置を調整すべきであること、および本明細書に示す投薬範囲が例示のみであり、そして請求する組成物の範囲または実施を限定することを意図しないことが、さらに理解されるものとする。1つの態様において、抗体またはその抗原結合部分の療法的有効量または予防的有効量を、1以上のさらなる療法剤とともに投与する。
【0059】
本発明の方法で使用する抗体は、標識されていることも可能である。これは、検出可能マーカーの取り込み、例えば放射標識アミノ酸の取り込み、または標識されたアビジン(例えば光学法または比色法によって検出可能な蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出可能なビオチニル部分のポリペプチドへの付着によって行われることも可能である。特定の状況において、標識またはマーカーは療法性であることも可能である。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する多様な方法が当該技術分野に知られており、そして使用可能である。ポリペプチドに対する標識の例には、限定されるわけではないが、以下のものが含まれる:放射性同位体または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド、リン光体)、酵素標識(例えば、セイヨウワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光体、ビオチニル基、第二のレポーターによって認識される、あらかじめ決定されたポリペプチド・エピトープ(例えばロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの態様において、多様な長さのスペーサーアームによって標識を付着させて、潜在的な立体障害を減少させる。
【0060】
本発明で使用する抗体は、好ましくは、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する細胞に由来する。こうした「ヒト」抗体を産生するための、トランスジェニックマウスの使用が当該技術分野に知られる。1つのこうした方法が、Mendezら Nature Genetics 15:146−156(1997)、GreenおよびJakobovits J. Exp. Med. 188:483−495(1998)、並びに米国特許出願08/759,620(1996年12月3日出願)に記載される。ヒト抗体を得るためのこうしたマウスの使用が、米国特許出願07/466,008(1990年1月12日出願)、07/610,515(1990年11月8日出願)、07/919,297(1992年7月24日出願)、07/922,649(1992年7月30日出願)、08/031,801(1993年3月15日出願)、08/112,848(1993年8月27日出願)、08/234,145(1994年4月28日出願)、08/376,279(1995年1月20日出願)、08/430,938(1995年4月27日出願)、08/464,584(1995年6月5日出願)、08/464,582(1995年6月5日出願)、08/463,191(1995年6月5日出願)、08/462,837(1995年6月5日出願)、08/486,853(1995年6月5日出願)、08/486,857(1995年6月5日出願)、08/486,859(1995年6月5日出願)、08/462,513(1995年6月5日出願)、08/724,752(1996年10月2日出願)、および08/759,620(1996年12月3日出願)にも記載される。また、Mendezら Nature Genetics 15:146−156(1997)、並びにGreenおよびJakobovits J. Exp. Med. 188:483−495(1998)も参照されたい。また、欧州特許EP 0 463 151(1996年6月12日特許公表)、国際特許出願WO 94/02602(1994年2月3日公表)、国際特許出願WO 96/34096(1996年10月31日公表)、およびWO 98/24893(1998年6月11日公表)もまた参照されたい。
【0061】
上述のように、本発明は、抗体断片(本明細書において、「抗体」の定義に含まれる)の使用を含む。損なわれていないタンパク質の切断によって、例えばプロテアーゼまたは化学的切断によって、Fv、F(ab’)およびFabなどの抗体断片を調製することも可能である。あるいは、一部切除(truncated)遺伝子を設計する。例えば、F(ab’)断片の部分をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域の後に、翻訳停止コドンをコードするDNA配列を含み、一部切除分子を生じるであろう。
【0062】
1つのアプローチにおいて、重鎖および軽鎖J領域をコードするコンセンサス配列を用い、プライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを設計して、以後、ヒトC領域セグメントにV領域セグメントを連結するのに有用な制限部位をJ領域に導入することも可能である。部位特異的突然変異誘発によって、C領域cDNAを修飾して、ヒト配列と類似の位に制限部位を配置することも可能である。
【0063】
本発明で使用する抗体を得る際に使用する発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソーム等が含まれる。好適なベクターは、通常、VH配列またはVL配列いずれかを容易に挿入し、そして発現することが可能であるように操作された、適切な制限部位とともに、機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードするものである。こうしたベクターにおいて、スプライシングは、通常、挿入されたJ領域のスプライス・ドナー部位、およびヒトC領域に先行するスプライス・アクセプター部位間で起こり、そしてまた、ヒトCHエクソン内に存在するスプライス領域でも起こる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域下流の天然染色体部位で起こる。生じるキメラ抗体を、レトロウイルスLTR、例えばSV−40初期プロモーター(Okayamaら Mol. Cell. Bio. 3:280(1983))、ラウス肉腫ウイルスLTR(Gormanら P.N.A.S. 79:6777(1982))、およびモロニーネズミ白血病ウイルスLTR(Grosschedlら Cell 41:885(1985));天然Igプロモーター等を含む、強力なプロモーターいずれかに連結することも可能である。
【0064】
本発明で使用するために生成される抗体は、最初に特定の望ましいアイソタイプを所持する必要はない。むしろ、生成される抗体がいずれのアイソタイプを所持することも可能であり、そして慣用的技術を用いて、その後、アイソタイプスイッチングすることも可能である。これらには、直接組換え技術(例えば米国特許4,816,397を参照されたい)、および細胞−細胞融合技術(例えば米国特許出願08/730,639(1996年10月11日出願))が含まれる。
【0065】
上述のように、多様な療法使用のため、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgMへのアイソタイプスイッチングによって、本発明の抗体のエフェクター機能を変化させることも可能である。さらに、殺細胞のための補体への依存は、例えば、二重特異性、免疫毒素、または放射標識の使用を通じて回避することも可能である。
【0066】
(i)2つの抗体:IGF−IRへの特異性を持つ一方および第二の分子に対する特異性を持つ他方、(ii)IGF−IRに特異的な一つの鎖および第二の分子に特異的な第二の鎖を有する単一抗体、または(iii)IGF−IRおよび他の分子に対する特異性を有する一本鎖抗体を含む、二重特異性抗体を生成することも可能である。周知の技術、例えばFangerら Immunol Methods 4:72−81(1994)、WrightおよびHarris、上記、並びにTrauneckerら Int. J. Cancer (Suppl.) 7:51−52(1992)を用いて、こうした二重特異性抗体を生成することも可能である。
【0067】
本発明で使用するための抗体には、また、「カッパボディ(kappabodies)」(Illら “Design and construction of a hybrid immunoglobulin domain with properties of both heavy and light chain variable regions” Protein Eng 10:949−57(1997))、「ミニボディ(minibodies)」(Martinら “The affinity−selection of a minibody polypeptide inhibitor of human interleukin−6” EMBO J 13:5303−9(1994))、「ディアボディ」(Holligerら “‘Diabodies’:small bivalent and bispecific antibody fragments” PNAS USA 90:6444−6448(1993))、および「ジャヌシン(janusins)」(Trauneckerら “Bispecific single chain molecules(Janusins) target cytotoxic lymphocytes on HIV infected cells” EMBO J 10:3655−3659(1991)およびTrauneckerら “Janusin:new molecular design for bispecific reagents” Int J Cancer Suppl 7:51−52(1992))が含まれ、これらを調製することもまた可能である。
【0068】
使用する抗体を慣用的技術によって修飾して、免疫毒素として作用するようにすることも可能である。例えばVitetta Immunol Today 14:252(1993)を参照されたい。また、米国特許5,194,594も参照されたい。周知の技術を用いて、放射標識抗体を調製することも可能である。例えばJunghansら Cancer Chemotherapy and Biotherapy中 655−686(第二版, Chafner and Longo監修, Lippincott Raven(1996))を参照されたい。また、米国特許第4,681,581号、第4,735,210号、第5,101,827号、第5,102,990号(RE 35,500)、第5,648,471号、および第5,697,902号も参照されたい。
【0069】
本発明の実施に有用な特定の抗体には、抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、および4.17.3をさらに記載する、WO 02/053596に記載されるものが含まれる。この公表された出願に開示されるように、これらの抗体を産生するハイブリドーマは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC), 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209に、以下の寄託番号で、2000年12月12日に寄託されている。
【0070】
【表1】

【0071】
これらの抗体は、ヒト・カッパ軽鎖を含む完全ヒトIgG2またはIgG4重鎖いずれかである。特に、本発明は、これらの抗体のアミノ酸配列を有する抗体の使用に関する。
本発明で使用する抗体は、好ましくは、固相または溶液相いずれかで測定した際、非常に高い親和性を所持し、典型的には約10−9〜約10−11MのKを所持する。
【0072】
本発明で使用する抗体を、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株で発現させることも可能である。特定の抗体のcDNAまたはゲノムクローンをコードする配列を、適切な哺乳動物または非哺乳動物宿主細胞の形質転換に用いることも可能である。形質転換は、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入する、既知の方法いずれによることも可能であり、こうした方法は、例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号、および第4,959,455号に例示されるように、ウイルスにおいて(またはウイルスベクターに)ポリヌクレオチドをパッケージングし、そして宿主細胞にウイルス(またはベクター)を形質導入することを含むか、または当該技術分野に知られるトランスフェクション法による。哺乳動物細胞に異種ポリヌクレオチドを導入する方法は、当該技術分野に周知であり、そして限定されるわけではないが、デキストラン仲介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒子衝撃、ポリヌクレオチド(単数または複数)のリポソーム、ペプチドコンジュゲート、デンドリマー中の被包、およびDNAの核への直接マイクロインジェクションを含む。
【0073】
発現宿主として入手可能な哺乳動物細胞株が当該技術分野に周知であり、そしてこれらにはアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株が含まれ、限定されるわけではないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、およびヒト肝細胞癌腫細胞(例えばHepG2)が含まれる。非哺乳動物細胞もまた使用可能であり、これらには細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および植物細胞が含まれる。非ヒトグリコシル化から生じる、免疫原性、薬物動態学、および/またはエフェクター機能いずれかの変化を防止するため、グリコシル化を除去する、抗体CH2ドメインの部位特異的突然変異誘発が好ましい可能性もある。グルタミンシンターゼ発現系が、欧州特許216 846、256 055および323 997、並びに欧州特許出願89303964.4に関連して、完全にまたは部分的に論じられる。
【0074】
本発明で使用するための抗体は、目的の免疫グロブリン重鎖配列および軽鎖配列に関してトランスジェニックである哺乳動物または植物を生成し、そしてそこから回収可能な型で抗体を産生することによって、トランスジェニック的に産生されることもまた可能である。トランスジェニック抗体を、ヤギ、ウシ、または他の哺乳動物のミルク中で産生し、そしてそこから回収することも可能である。例えば米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号、および第5,741,957号を参照されたい。
【0075】
抗体を、さらなる剤を伴い、または伴わず、1回投与することも可能であるが、より好ましくは複数回投与する。抗体を毎日3回から6ヶ月ごとに1回投与することも可能である。投与は、毎日3回、毎日2回、毎日1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、毎週1回、2週ごとに1回、毎月1回、2ヶ月ごとに1回、3ヶ月ごとに1回、そして6ヶ月ごとに1回などのスケジュールであることも可能である。抗体を、経口、粘膜、頬側、鼻内、吸入可能、静脈内、皮下、筋内、非経口、腫瘍内または局所経路を介して投与することも可能である。
【0076】
特定の態様において、エアロゾル型または吸入可能型で抗体を投与することも可能である。液体に溶解または懸濁されていない、細分割固体粒子の形のドライ・エアロゾルもまた、本発明の実施に有用である。本発明の薬剤組成物を、例えば、米国特許第4,624,251号、1986年11月25日発行;第3,703,173号、1972年11月21日発行;第3,561,444号、1971年2月9日発行および第4,635,627号、1971年1月13日発行に記載されるものなどの噴霧器を用いて、エアロゾルスプレーの形で投与することも可能である。
【0077】
Hubbard, R.C.ら(Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)86:680−684, 1989)は、アルファ・アンチトリプシン不全の治療のため、肺上皮表面を介した、比較的大きいタンパク質、アルファ・サブ・1−アンチトリプシン(AAt)の投与を開示する。AAtは、45,000ダルトンの分子量の一本鎖ポリペプチドであり、好中球エラスターゼの阻害剤として機能するが、この分子をエアロゾル型でヒツジに投与した。エアロゾル化AAtは、哺乳動物組織中で、完全に機能性であり、そして損なわれないままであり、そして肺、リンパ組織および血液組織中にAAtが存在することによって立証されるように、肺胞上皮を渡って拡散した。
【0078】
抗体を腫瘍部位から離れた部位に投与することも可能である。抗体を、ミニポンプを介して連続投与することもまた可能である。抗体を1回、少なくとも2回、または状態が治療されるか、緩和されるか、または治癒するまで、少なくともある期間に渡って投与することも可能である。一般的に、抗体によって、腫瘍または癌が増殖を停止するか、あるいは重量または体積が減少するならば、腫瘍が存在する限り、抗体が投与されるであろう。抗体は、一般的に、上述のような薬剤組成物の一部として投与されるであろう。抗体の投薬量は、一般的に、0.1〜100mg/kg、より好ましくは0.5〜50mg/kg、より好ましくは1〜20mg/kg、そしてさらにより好ましくは1〜10mg/kgの範囲であろう。当該技術分野に知られる方法いずれかによって、抗体の血清濃度を測定することも可能である。抗体はまた、癌または腫瘍が発生するのを防止するため、予防的に投与されることも可能である。これは、「高めの正常」レベルのIGF−Iを有する患者において、特に有用である可能性もあり、これはこれらの患者が一般的な癌を発展させるリスクがより高いことが示されているためである。Rosenら、上記を参照されたい。
【0079】
抗体とさらなる療法剤の同時投与(併用療法)は、抗IGF−IR抗体およびさらなる療法剤を含む薬剤組成物を投与すること、並びに一方は抗IGF−IR抗体を含み、そして他方(単数または複数)はさらなる療法剤(単数または複数)を含む、2以上の別個の薬剤組成物を投与することを含む。さらに、同時投与療法または併用療法は、一般的に、抗体およびさらなる療法剤が、互いに同時に投与されることを意味するが、該療法は、抗体およびさらなる療法剤が異なる時点で投与される例もまた、含む。例えば、抗体を3日ごとに1回投与し、一方、さらなる療法剤を毎日1回投与することも可能である。あるいは、さらなる療法剤で障害を治療する前に、またはこうした治療に続いて、抗体を投与することも可能である。同様に、抗IGF−IR抗体の投与は、他の療法、例えば放射療法、化学療法、光力学的療法、手術または他の免疫療法の前に、またはこれらに続いて、行うことも可能である。
【0080】
本明細書に引用するすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が、具体的にそして個々に、本明細書に援用されると示されるかのように、本明細書に援用される。前述の発明は、理解を明確にすることを目的とする例示および例として、ある程度詳細に記載されているが、本発明の解説を考慮して、付随する請求項の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変化および修飾を行いうることが、一般の当業者には容易に明らかであろう。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
in vivoでのIGF−IRに対する本発明の抗体の影響
我々は、公表される方法(V.A. Pollackら, “Inhibition of epidermal growth factor receptor−associated tyrosine phosphorylation in human carcinomas with CP−358,774:Dynamics of receptor inhibition in situ and antitumor effects in athymic mice,” J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:739−748(1999))にしたがって、無胸腺マウスにおいて腫瘍を誘導した。簡潔には、IGF−IRでトランスフェクションしたNIH−3T3細胞(5x10)を、0.2mlのMatrigel調製を用いて、3〜4週齢の無胸腺(nu/nu)マウスに皮下注射した。次いで、確立された(すなわちおよそ400mm)腫瘍が形成された後、本発明の抗体をマウスに腹腔内注射した。
【0082】
24時間後、腫瘍を抽出し、ホモジナイズし、そしてIGF−IRレベルを測定した。IGF−IRレベルを測定するため、ブロッキング緩衝液中で、SC−713抗体を最終濃度4μg/mlに希釈し、そしてReacti−Bindヤギ抗ウサギ(GAR)コーティングプレート(Pierce)の各ウェルに100μl添加した。プレートを振盪しながら室温で1時間インキュベーションし、そして次いで、洗浄緩衝液でプレートを5回洗浄した。次いで、上述のように調製した腫瘍試料の重量を測定し、そして溶解緩衝液中(1ml/100mg)でホモジナイズした。12.5μlの腫瘍抽出物を、溶解緩衝液で最終体積100μlに希釈し、そして96ウェルプレートの各ウェルにこれを添加した。プレートを振盪しながら室温で1〜2時間インキュベーションし、そして次いで、洗浄緩衝液でプレートを5回洗浄した。次いで、ブロッキング緩衝液中のビオチン化抗IGF−IR抗体100μlを各ウェルに添加し、そして振盪しながら室温で30分間インキュベーションした。次いで、洗浄緩衝液でプレートを5回洗浄した。ブロッキング緩衝液中で希釈した100μlのストレプトアビジン−HRPを各ウェルに添加し、振盪しながら室温で30分間インキュベーションすることによって、抗IGF−IR抗体で探査した(probed)プレートを標識(develop)した。ウェルあたり100μlのTMBマイクロウェル基質を添加してプレートを発色させ、そして100μlの0.9M HSOを添加して発色を停止させた。次いで、OD450nmを測定することによって、シグナルを定量化した。総タンパク質に対して、シグナルを規準化した。
【0083】
本発明の抗体、特に2.13.2および4.9.2を腹腔内注射すると、IGF−IRホスホチロシン(リン酸化IGF−IR)および総IGF−IRタンパク質両方の減少によって測定されるように、IGF−IR活性の阻害が生じることが観察された(図4)。さらに、この阻害は、注射した抗体の用量に反応性であった(図4)。これらのデータによって、本発明の抗体が、in vitroで観察されたのと類似の方式で、in vivoでIGF−IRを標的とすることが可能であることが立証される。
【0084】
(実施例2)
3T3/IGF−IR細胞腫瘍の増殖阻害(TGI)
本発明の抗IGF−IR抗体が、腫瘍増殖を阻害するよう機能するかどうかを試験した。上述のように腫瘍を誘導し(実施例1)、そして確立された触診可能な腫瘍が形成されたら(すなわち250mm、6〜9日以内)、単回腹腔内注射によって、0.20ml用量の抗体でマウスを処置した。Vernierノギスによって、3日ごとに2つの直径に渡って腫瘍サイズを測定し、そしてGeranら, “Protocols for screening chemical agents and natural products against animal tumors and other biological systems,” Cancer Chemother. Rep. 3:1−104に確立された方法を用い、公式(長さx[幅])/2を用いて、体積を計算した。
【0085】
本発明の抗体を用いてこの解析を行うと、抗体2.13.2単独での単回処置によって、IGF−IRトランスフェクションNIH−3T3細胞誘導腫瘍の増殖が阻害されることが見出された(図5)。
【0086】
図の詳細な説明
図1A〜1Cは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図1Aは、互いに対する、そして生殖系列Vκ A30配列(配列番号39)に対する、抗体2.12.1(配列番号1)、2.13.2(配列番号5)、2.14.3(配列番号9)および4.9.2(配列番号13)の軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列の並列を示す。図1Bは、生殖系列Vκ O12配列(配列番号41)に対する、抗体4.17.3(配列番号17)のVLのヌクレオチド配列の並列を示す。図1Cは、生殖系列Vκ A27配列(配列番号37)に対する、抗体6.1.1(配列番号21)のVLのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、各抗体由来のVLのCDR領域も示す。図1A〜1Cのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号53〜55に示す。
【0087】
図2A〜2Dは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の重鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図2Aは、生殖系列VH DP−35配列(配列番号29)に対する、抗体2.12.1(配列番号3)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。図2Bは、生殖系列VIV−4/4.35配列(配列番号43)に対する、抗体2.14.3(配列番号11)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。図2C−1および2C−2は、互いに対する、そして生殖系列VH DP−47配列(配列番号31)に対する、抗体2.13.2(配列番号7)、4.9.2(配列番号15)および抗体6.1.1(配列番号23)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。図2Dは、生殖系列VH DP−71配列(配列番号35)に対する、抗体4.17.3(配列番号19)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、抗体のCDR領域も示す。図2A〜2Dのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号56〜59に示す。
【0088】
図3Aは、生殖系列配列に比較した、2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖の異なる領域における突然変異の数を示す。図3A〜Dは、抗体2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖由来のアミノ酸配列と、それらが由来する生殖系列配列との並列を示す。図3Bは、抗体2.13.2の重鎖のアミノ酸配列(配列番号45)と生殖系列配列DP−47(3−23)/D6−19/JH6の重鎖のアミノ酸配列(配列番号46)の並列を示す。図3Cは、抗体2.13.2の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号47)と生殖系列配列A30/Jk2の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号48)の並列を示す。図3Dは、抗体2.12.1の重鎖のアミノ酸配列(配列番号49)と生殖系列配列DP−35(3−11)/D3−3/JH6の重鎖のアミノ酸配列(配列番号50)の並列を示す。図3Eは、抗体2.12.1の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号51)と生殖系列配列A30/Jk1の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号52)の並列を示す。図3B〜Eでは、シグナル配列を斜体で示し、CDRを下線で示し、定常ドメインを太字で示し、フレームワーク(FR)突然変異をアミノ酸残基上部のプラス記号(「+」)で強調し、そしてCDR突然変異をアミノ酸残基上部のアスタリスクで強調する。
【0089】
図4は、抗IGF−IR抗体2.13.2および4.9.2が、3T3−IGF−IR腫瘍において、IGF−IRホスホチロシンシグナルを減少させることを示す。
図5は、抗IGF−IR抗体2.13.2が、in vivoで3T3−IGF−IR腫瘍増殖を阻害することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1−1】図1A〜1Cは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図1Aは、互いに対する、そして生殖系列Vκ A30配列(配列番号39)に対する、抗体2.12.1(配列番号1)、2.13.2(配列番号5)、2.14.3(配列番号9)および4.9.2(配列番号13)の軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、各抗体由来のVLのCDR領域も示す。図1A〜1Cのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号53〜55に示す。
【図1−2】図1A〜1Cは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図1Bは、生殖系列Vκ O12配列(配列番号41)に対する、抗体4.17.3(配列番号17)のVLのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、各抗体由来のVLのCDR領域も示す。図1A〜1Cのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号53〜55に示す。
【図1−3】図1A〜1Cは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図1Cは、生殖系列Vκ A27配列(配列番号37)に対する、抗体6.1.1(配列番号21)のVLのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、各抗体由来のVLのCDR領域も示す。図1A〜1Cのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号53〜55に示す。
【図2−1】図2A〜2Dは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の重鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図2Aは、生殖系列VH DP−35配列(配列番号29)に対する、抗体2.12.1(配列番号3)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、抗体のCDR領域も示す。図2A〜2Dのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号56〜59に示す。
【図2−2】図2A〜2Dは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の重鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図2Bは、生殖系列VIV−4/4.35配列(配列番号43)に対する、抗体2.14.3(配列番号11)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、抗体のCDR領域も示す。図2A〜2Dのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号56〜59に示す。
【図2−3】図2A〜2Dは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の重鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図2C−1および2C−2は、互いに対する、そして生殖系列VH DP−47配列(配列番号31)に対する、抗体2.13.2(配列番号7)、4.9.2(配列番号15)および抗体6.1.1(配列番号23)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、抗体のCDR領域も示す。図2A〜2Dのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号56〜59に示す。
【図2−4】図2A〜2Dは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の重鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図2C−1および2C−2は、互いに対する、そして生殖系列VH DP−47配列(配列番号31)に対する、抗体2.13.2(配列番号7)、4.9.2(配列番号15)および抗体6.1.1(配列番号23)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、抗体のCDR領域も示す。図2A〜2Dのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号56〜59に示す。
【図2−5】図2A〜2Dは、互いに対する、そして生殖系列配列に対する、6つのヒト抗IGF−IR抗体由来の重鎖可変領域のヌクレオチド配列の並列を示す。図2Dは、生殖系列VH DP−71配列(配列番号35)に対する、抗体4.17.3(配列番号19)のVHのヌクレオチド配列の並列を示す。該並列はまた、抗体のCDR領域も示す。図2A〜2Dのコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号56〜59に示す。
【図3−1】図3Aは、生殖系列配列に比較した、2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖の異なる領域における突然変異の数を示す。図3A〜Dは、抗体2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖由来のアミノ酸配列と、それらが由来する生殖系列配列との並列を示す。
【図3−2】図3A〜Dは、抗体2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖由来のアミノ酸配列と、それらが由来する生殖系列配列との並列を示す。図3Bは、抗体2.13.2の重鎖のアミノ酸配列(配列番号45)と生殖系列配列DP−47(3−23)/D6−19/JH6の重鎖のアミノ酸配列(配列番号46)の並列を示す。図3B〜Eでは、シグナル配列を斜体で示し、CDRを下線で示し、定常ドメインを太字で示し、フレームワーク(FR)突然変異をアミノ酸残基上部のプラス記号(「+」)で強調し、そしてCDR突然変異をアミノ酸残基上部のアスタリスクで強調する。
【図3−3】図3A〜Dは、抗体2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖由来のアミノ酸配列と、それらが由来する生殖系列配列との並列を示す。図3Cは、抗体2.13.2の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号47)と生殖系列配列A30/Jk2の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号48)の並列を示す。図3B〜Eでは、シグナル配列を斜体で示し、CDRを下線で示し、定常ドメインを太字で示し、フレームワーク(FR)突然変異をアミノ酸残基上部のプラス記号(「+」)で強調し、そしてCDR突然変異をアミノ酸残基上部のアスタリスクで強調する。
【図3−4】図3A〜Dは、抗体2.13.2および2.12.1の重鎖および軽鎖由来のアミノ酸配列と、それらが由来する生殖系列配列との並列を示す。図3Dは、抗体2.12.1の重鎖のアミノ酸配列(配列番号49)と生殖系列配列DP−35(3−11)/D3−3/JH6の重鎖のアミノ酸配列(配列番号50)の並列を示す。図3B〜Eでは、シグナル配列を斜体で示し、CDRを下線で示し、定常ドメインを太字で示し、フレームワーク(FR)突然変異をアミノ酸残基上部のプラス記号(「+」)で強調し、そしてCDR突然変異をアミノ酸残基上部のアスタリスクで強調する。
【図3−5】図3Eは、抗体2.12.1の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号51)と生殖系列配列A30/Jk1の軽鎖のアミノ酸配列(配列番号52)の並列を示す。図3B〜Eでは、シグナル配列を斜体で示し、CDRを下線で示し、定常ドメインを太字で示し、フレームワーク(FR)突然変異をアミノ酸残基上部のプラス記号(「+」)で強調し、そしてCDR突然変異をアミノ酸残基上部のアスタリスクで強調する。
【図4】図4は、抗IGF−IR抗体2.13.2および4.9.2が、3T3−IGF−IR腫瘍において、IGF−IRホスホチロシンシグナルを減少させることを示す。
【図5】図5は、抗IGF−IR抗体2.13.2が、in vivoで3T3−IGF−IR腫瘍増殖を阻害することを示す。
【配列表】





































【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における、多発性骨髄腫、液性腫瘍(liquid tumor)、肝臓癌、胸腺障害、T細胞仲介自己免疫疾患、内分泌(endocronological)障害、虚血、および神経変性障害からなる群より選択される障害の治療法または防止法であって、前記哺乳動物に、前記障害を治療するのに有効な、ある量のヒト抗IGF−IR抗体を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記液性腫瘍が、急性リンパ性白血病(ALL)および慢性骨髄性(milogenic)白血病(CML)からなる群より選択され;前記肝臓癌が、ヘパトーム、肝細胞癌腫、肝内胆管癌、血管肉腫(angiosarcomas)、血管肉腫(hemangiosarcomas)、肝芽腫からなる群より選択され;前記胸腺障害が、胸腺腫および甲状腺炎からなる群より選択され、前記T細胞仲介自己免疫疾患が、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫甲状腺炎、ベーチェット病からなる群より選択され、前記内分泌障害が、II型糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、副腎皮質機能亢進症、および副腎皮質機能低下症からなる群より選択され;前記虚血が、心虚血後(post cardiac ischemia)であり、そして前記神経変性障害がアルツハイマー病である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記哺乳動物に、前記抗体と組み合わせて、コルチコステロイド、制吐剤、癌ワクチン、鎮痛剤、抗血管(anti−vascular)剤、および抗増殖剤からなる群より選択される剤を投与することを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記抗体と組み合わせてワクチンを投与することを含み、前記ワクチンがGM−CSF DNAおよび細胞に基づくワクチン、樹状細胞ワクチン、組換えウイルスワクチン、熱ショックタンパク質(HSP)ワクチン、同種または自己の腫瘍ワクチンから選択される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記抗体と組み合わせて鎮痛剤を投与することを含み、前記剤が、イブプロフェン、ナプロキセン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、またはオキシコドン塩酸から選択される、請求項1の方法。
【請求項6】
前記抗体と組み合わせて抗血管剤を投与することを含み、前記剤が、ベバシズマブ、またはrhuMAb−VEGFからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項7】
前記抗体と組み合わせて抗増殖剤を投与することを含み、前記剤が、ファルネシル・タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、αvβ3阻害剤、αvβ5阻害剤、p53阻害剤、およびPDGFR阻害剤からなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項8】
IGF−IRに結合する抗体が、以下の特性:
8x10−9以下のKdの、ヒトIGF−IRに対する結合親和性;
100nM未満のIC50の、ヒトIGF−IRおよびIGF−1間の結合阻害を有し;そして
VH DP−35、VIV−4/4.35、VH DP−47、またはVH DP−71遺伝子のものに対応するヒトFR1、FR2、およびFR3アミノ酸配列、あるいはその保存的置換または体細胞突然変異を含む、重鎖アミノ酸配列を含み、FR配列がCDR1、CDR2、およびCDR3配列に連結され、そして該抗体がまた、その軽鎖中に、A27、A30、またはO12遺伝子由来のCDR領域も含む、請求項1の方法。
【請求項9】
前記抗体が、2.12.1、2.13.2、2.14.3、4.9.2、4.17.3、および6.1.1からなる群より選択される抗体の、重鎖および軽鎖アミノ酸配列を有する抗体と、IGF−IRとの結合に関して競合する、請求項1の方法。
【請求項10】
前記抗体が、2.12.1、2.13.2、2.14.3、4.9.2、4.17.3、および6.1.1からなる群より選択される抗体の、CDR−1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む重鎖、並びにCDR−1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むか、あるいは保存的変化であって、非極性残基の他の非極性残基による置き換え、極性荷電残基の他の極性非荷電残基による置き換え、極性荷電残基の他の極性荷電残基による置き換え、および構造的に類似の残基による置換からなる群より選択される、前記保存的変化;並びに非保存的置換であって、極性非荷電残基に対する極性荷電残基の置換および極性残基に対する非極性残基の置換からなる群より選択される、前記非保存的置換、付加、並びに欠失からなる群より選択される、前記CDR配列からの変化を有する配列を含む、請求項1の方法。
【請求項11】
前記抗体が、2.12.1、2.13.2、2.14.3、4.9.2、4.17.3、および6.1.1からなる群より選択される抗体の、CDR−1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む重鎖、並びにCDR1、CDR−2、およびCDR−3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項11の方法。
【請求項12】
前記抗体が、ヒト遺伝子DP−47由来の重鎖アミノ酸配列およびヒト遺伝子A30由来の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体からなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項13】
哺乳動物における障害の治療または防止のための薬剤組成物であって、前記障害を治療するのに有効な、ある量のヒト抗IGF−IR抗体、および薬学的に許容しうるキャリアーを含み、前記障害が、多発性骨髄腫、液性腫瘍、肝臓癌、胸腺障害、T細胞仲介自己免疫疾患、内分泌障害、虚血、および神経変性障害からなる群より選択される、前記薬剤組成物。
【請求項14】
哺乳動物における障害を治療するのに有効な、前記障害の治療または防止のための組成物調製における、ある量のヒト抗IGF−IR抗体の使用であって、前記障害が、多発性骨髄腫、液性腫瘍、肝臓癌、胸腺障害、T細胞仲介自己免疫疾患、内分泌障害、虚血、および神経変性障害からなる群より選択される、前記使用。
【請求項15】
哺乳動物における、加齢の治療法または防止法であって、前記哺乳動物に、前記治療または防止に有効な、ある量の抗IGF−IR抗体を投与することを含む、前記方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−517581(P2006−517581A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502430(P2006−502430)
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000366
【国際公開番号】WO2004/071529
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】