情報提示装置
【課題】情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できる情報提示装置を提供すること。
【解決手段】ステアリングホイール27のリム部29の周方向に沿って形成された溝に、運転者の手に接触可能な環状のリング部37が嵌め込まれており、このリング部37は、駆動部41の提示用モータ25の回転によって、リム部29の周方向に沿って回転可能とされている。従って、駆動部41によってリング部37を回転させることにより、このリング部37の回転状態を運転者の手に伝えて、運転者に容易に且つ確実に支援情報を伝達することができる。
【解決手段】ステアリングホイール27のリム部29の周方向に沿って形成された溝に、運転者の手に接触可能な環状のリング部37が嵌め込まれており、このリング部37は、駆動部41の提示用モータ25の回転によって、リム部29の周方向に沿って回転可能とされている。従って、駆動部41によってリング部37を回転させることにより、このリング部37の回転状態を運転者の手に伝えて、運転者に容易に且つ確実に支援情報を伝達することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に、ハンドル(ステアリングホイール)を介して、車両の運転に必要な支援情報を伝えることができる情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールを利用して、車両の運転に必要な支援情報を提示する技術として、下記特許文献1の技術が開示されている。
この技術は、複数のモータ及び(モータの駆動によって外側に膨張する)弾性体をステアリングホイールのリム部に配置し、このモータや弾性体を用いて、ステアリングホイールを持つ手に刺激を与えるものであり、例えば刺激をステアリングホイールの長手方向に沿って刺激を与えたり、ステアリングホイールの全体に刺激を与えることができる。
【0003】
また、これとは別に、下記特許文献2の技術も開示されている。
この技術は、ステアリングホイールのリム部の左右に、複数のロッドを立設して面状に配置するとともに、各ロッドを駆動するモータ等を配置し、例えば車両のふらつき状態に応じて、振動させるロッドをリム部の左右方向に切り換えて、運転者に情報を伝えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−1094号公報
【特許文献2】特開2008−14984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、モータ及弾性体からなる情報提示手段が、それぞれ独立しているため、構造が複雑になるとともに駆動制御も複雑になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載される技術では、情報を提示する範囲(即ちロッドである情報提示手段を配置する範囲)を広げる場合には、ロッドとその駆動部であるモータが、それだけ必要になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できる情報提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両のステアリングホイールのリム部に、皮膚に対して接触した感覚を伝える触力覚提示手段を配置し、該触力覚提示手段を駆動して、運転者に対して運転を支援する支援情報を伝える情報提示装置において、前記触力覚提示手段は、前記ステアリングホイールのリム部の周方向に沿って形成された溝と、前記リム部の周方向に沿って回転可能なように前記溝に嵌め込まれるとともに、前記運転者の手に接触可能なように前記リム部の表面に露出する部分を有する環状のリング部と、前記リング部を前記周方向に回転移動させる駆動部と、を備え、前記駆動部の動作を制御して前記リング部を作動させることにより、前記支援情報を前記運転者に伝えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、ステアリングホイールのリム部の周方向に沿って形成された溝に、運転者の手に接触可能な環状のリング部が嵌め込まれており、このリング部は、駆動部によってリム部の周方向に沿って回転可能とされている。従って、駆動部によってリング部を回転させることにより、このリング部の回転状態を運転者の手に伝えて、運転者に支援情報を伝達することができる。
【0010】
つまり、本発明では、運転者の手に伝える内容を、ステアリングホイールの例えば回転方向と回転量に絞り、知覚(解釈)のバラツキが少ない触力覚を用いることにより、運転者に対してより確実に分かりやすく支援情報を伝えることができる。
【0011】
特に、本発明では、上述の様にリム部に沿って配置された環状のリング部を回動させるという構成により、情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できるという顕著な効果を奏する。
【0012】
ここで、「支援情報」とは、運転を好適に行うことができるように運転者に与えられる情報(例えば「ステアリングホイールをどちら側に回せ」や「運転が危険な状態にある」等の情報)である。
【0013】
また、「触力覚」とは、運転者の手がある対象物(ここではリング部)に接触する感覚であり、この手に接触した感覚を付与することにより、運転者に所定の支援情報を付与することができる。
【0014】
(2)請求項2の発明では、前記リング部を、少なくとも前記リム部の外周側を含むように配置したことを特徴とする。
ここで、リム部の外周側とは、環状のリム部が存在する平面における径方向外側を示している。この位置にリング部の露出部分が存在する場合には、運転者がリム部を握った状態でも、過度にリング部を押圧しないので(従ってリング部が容易に回転できるので)、運転中でも運転者にリング部による触力覚を好適に与えることができる。
【0015】
(3)請求項3の発明では、前記リング部の前記リム部の表面に露出する部分に、凹部及び凸部の少なくとも一方を設けたことを特徴とする。
リング部の表面に、凹凸を設けることにより、運転者に対して一層好適に触力覚を付与することができる。
【0016】
(4)請求項4の発明では、前記情報提示装置によって提示される支援情報は、操舵方向、操舵量、切り返しのタイミング、警告のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。
【0017】
ここでは、情報提示装置によって提示される支援情報を例示している。つまり、リング部の回転によって、ステアリングホイールの回転方向を示す操舵方向、ステアリングホイールの回転量を示す操舵量、ステアリングホイールの切り返しのタイミング、危険な運転状態等の警告の支援情報を伝えることができる。
【0018】
(5)請求項5の発明は、前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態は、前記ステアリングホイールの、連続回転、断続回転、振動のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。
【0019】
ここでは、情報提示装置によって提示される支援情報の提示状態を例示している。なお、振動とは、回転方向を頻繁に左右に(回転方向を逆転させて)変更すること、例えば 10Hz以上の高速で回転方向を変更することを示している。
【0020】
(6)請求項6の発明では、前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態の態様は、前記ステアリングホイールの、回転方向、回転量、回転速度、振動の周期のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。
【0021】
ここでは、情報提示装置によって提示される支援情報の提示状態の態様(即ち、連続回転、断続回転、振動の各提示状態の場合に、その提示状態の内容(パラメータ)である態様)を例示している。
【0022】
(7)請求項7の発明では、前記車両に搭載されて自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する検出装置からの情報に基づいて、自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する車両状態検出手段と、前記車両状態に基づいて前記支援情報を生成する支援情報生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
ここでは、車両状態検出手段と支援情報生成手段とを備えた情報提示装置を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態における情報提示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の情報提示装置を示す斜視図である。
【図3】(a)は情報提示装置を示す正面図、(b)は情報提示装置の要部である駆動部分を示す(図3(a)のX方向から見た)斜視図である。
【図4】(a)はステアリングホイールのリム部の一部を示す斜視図、(b)はリム部の一部を側面から見た状態を示す説明図、(c)はリム部を周方向に対して垂直方向に破断した状態を示す(図4(a)のY−Y断面を示す)斜視図、(d)はリム部等の内部をボールチェーンの経路に沿って破断した状態を示す(図4(b)のZ−Z断面を含む)断面図である。
【図5】第1実施形態の車線逸脱警報(1)における制御内容を示すフローチャートである。
【図6】(a)は車両のセンターライン寄り走行を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図7】第2実施形態の車線逸脱警報(2)の制御内容を示し、(a)は車両のセンターライン超え走行を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図8】第3実施形態の制御内容を示し、(a)はナビゲーションによる経路案内を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図9】第4実施形態の駐車支援(1)の制御内容を示し、(a)は並列駐車による駐車支援による案内を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図10】第5実施形態の駐車支援(2)の制御内容を示し、(a)は並列駐車による切り返しを含む駐車支援による案内を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図11】第6実施形態におけるステアリングホイールの内部を模式的に示す斜視図である。
【図12】(a)は第7実施形態におけるステアリングホイールの内部を模式的に示す説明図、(b)はそのステアリングホイールの側面図である。
【図13】リム部を周方向に対して垂直に破断し、リング部の配置の範囲を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
a)まず、本実施形態の情報提示装置を用いた情報提示システムの構成について、図1に基づいて説明する。
【0026】
図1に示す様に、本情報提示システム1は、自車両の周囲や自車両自身の状態を検出する各種のセンサ類(車両内外センサ)3と、そのセンサ類3からの情報を入手して必要な情報を運転者に提示する情報提示装置5を備えている。
【0027】
前記センサ類3としては、例えば周囲を撮像するカメラ7、先行車両の位置や速度等を検知するレーザーレーダ9、自車両の速度を検出する車速センサ11、操舵角を検出する操舵角センサ13、シフト位置を検出するシフト位置センサ15、ナビゲーション装置16などを備えている。
【0028】
また、前記情報提示装置5は、制御部17と触力覚提示装置19を備えている。
このうち、制御部17は、機能的に、センサ類3からの信号に基づいて、自車両の周囲や自車両の状態を検出する車両状態検出部21と、車両状態検出部21によって検出された各種の情報から運転を支援するため支援情報を生成する支援情報生成部23とを備えている。なお、この制御部17は、いわゆるコンピュータシステムとして構成されており、周知のCPU、RAM、ROM、I/O、バスライン等から構成されている。
【0029】
一方、触力覚提示装置19は、支援情報生成部23によって生成された支援情報に基づいて触力覚提示装置19自身を作動させる提示用モータ25を備えている。
b)次に、本実施形態の要部である触力覚提示装置19について、図2〜図4に基づいて説明する。
【0030】
図2に示す様に、触力覚提示装置19は、運転者の手に接触して移動(回動)することによって、運転者に所定の支援情報を伝える装置であり、ステアリングホイール27と一体に構成されている。
【0031】
ステアリングホイール27は、運転者の手で車両を操縦(操舵)する操舵装置であり、運転者の手によって回される環状のリム部(把持部)29と、中央の平板状の基台31と、基台31とリム部29とを接続する一対のスポーク33a、33bとを備えている。
【0032】
なお、このステアリングホイール27は、ダッシュボード(インパネ部材)35側から延びて基台31の中心に接続されたステアリングシャフト(図示せず)に接続されることにより、左右に回転可能となっている。
【0033】
一方、触力覚提示装置19は、以下に述べる様に、リム部29の周方向に沿って回転可能に取り付けられたリング部37と、リング部37を回転させるボールチェーン39(図3参照)と、ボールチェーン39を駆動する駆動部41と、ボールチェーン39をリム部29側に案内する一対の案内用支柱43a、43bなどを備えている。
【0034】
具体的には、図3(a)に示す様に、本実施形態では、スポーク33a、33bとは別に、基台31とリム部29とを接続するように、ボールチェーン39を内部に収容して案内する一対の案内用支柱43a、43bが、(同図正面から見て)左右方向に延びるように設けられている。
【0035】
このボールチェーン39は、環状とされており、リム部29の内部の略半分(案内用支柱43a、43bの接続部分より同図上部)と両案内用支柱43a、43bの内部と基台31の縁部側とを結ぶ様に配置されている。
【0036】
また、基台31の表面の縁部(同図上端側)には、ボールチェーン39を矢印A、Bの方向に回動させるために、駆動部41が設けられている。この駆動部41は、提示用モータ25と、提示用モータ25の回転を減速する減速機45と、減速機45により(基台31に垂直に)回転する第1のかさ歯車47と、第1のかさ歯車47にかみ合って(基台31に平行に)回転する第2のかさ歯車49とからなる。
【0037】
なお、提示用モータ25及び減速機45に沿って、ボールチェーン39を案内する筒状部51が配置されている。
更に、図3(b)に示す様に、第2のかさ歯車49の円柱状の回転軸53には、その表面に、ボールチェーン39が嵌り込む半球状の凹部55が周方向に複数形成されている。
【0038】
従って、筒状部51から延びるボールチェーン39は、この回転軸53を巻くようにして、各ボール39aが各凹部55に嵌り込んだ状態で、案内用支柱43b内の直線状の空孔である案内経路57に配置されるとともに、リム部29内に配置される。
【0039】
以下、各構成について更に詳しく説明する。
図4(a)、(c)に示す様に、リム部29は、スポーク33a、33bに固定された円環状の例えばアルミニウム合金からなる芯金59と、芯金59の外周側(径方向外側:図4(c)右側)に回動可能に取り付けられた円環状の例えば硬質プラスチックからなるリング部37と、芯金59及びリング部37の側面側(径方向と垂直方向)を覆うとともに芯金59の内周側(径方向内側)を覆う例えばウレタンからなるカバー部材63とから構成されている。なお、カバー部材63は上カバー部材65と下カバー部材67が接合されて一体となっている。
【0040】
これにより、リム部29の外周側には、上カバー部材65の下面と下カバー部材67の上面と芯金59の外周面とで囲まれて、リング部37が周方向に移動可能に嵌め込まれた(断面が略コ状の)環状の溝69が形成されている。
【0041】
また、図4(c)、(d)に示す様に、芯金59の外周面には周方向に沿って、ボールチェーン39が摺動可能な細溝71が形成されるとともに、リング部37の内周面には周方向に沿ってボールチェーン39の各ボール39aが嵌り込む半球状の凹部73が等間隔に多数配列されている。従って、この細溝71と凹部73とによって、リム部29内には、周方向に沿ってボールチェーン39が配置される環状の内部空間75が形成されている。なお、前記細溝71は、ボールチェーン39が配置される箇所のみに半円状に形成されている。
【0042】
更に、芯金59及びカバー部材63には、それらを径方向に貫いて、案内用支柱43a、43bの案内経路57と連通するように、内部空間75から径方向内側に分岐してボールチェーン39を案内する分岐経路77が形成されている。
【0043】
なお、図4(b)に示す様に、リング部37の外周面には、運転者の手で接触したことがよく分かるように、凹部79及び凸部81が周方向に沿って順次配列されている。
c)次に、触力覚提示装置19の基本的な動作について説明する。
【0044】
前記図3に示す様に、触力覚提示装置19を作動させる場合には、まず、提示用モータ25を、所望のステアリングホイール27の回転方向に対応した所定方向に回転させる。
この回転は、減速機45によって減速されて第1のかさ歯車47が回転し、それによって、第2のかさ歯車49が回転する。
【0045】
例えば第2のかさ歯車49が矢印C方向に回転する場合を考えると、第2のかさ歯車49が回転すると、その回転軸53も同方向に回転し、回転軸53の凹部55に嵌め込まれたボール39aも同方向に移動する。
【0046】
それにより、ボールチェーン39は、一方の案内用支柱43bから他方の案内用支柱43a側に移動させられることになるので、結果として、ボールチェーン39全体は、矢印A方向に沿って移動することになる。
【0047】
また、上述の様に、ボールチェーン39の各ボール39aは、リング部37の各凹部73に嵌り込んでいるので(即ち噛み合って一体となって移動する構成であるので)、この様にボールチェーン39が矢印A方向に移動すると、このボールチェーン39に噛み合っているリング部37も同方向(図3(a)の右回転方向)に移動する。
【0048】
よって、リング部37に接触している手を介して、運転者に(リング部37が右方向に回動していることによる)支援情報を伝えることができる。
d)次に、触力覚提示装置19によって支援情報を伝達するための制御処理について、図5及び図6に基づいて説明する。
【0049】
本制御処理は、車線逸脱警報(1)に関するものである。詳しくは、以下に述べる様に、車両がセンターラインに寄り過ぎた場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報を提示する(即ち操舵する方向を提示し且つ警報を発する)ものである。
【0050】
まず、図5のフローチャートに示す様に、ステップ(S)100にて、車両情報を取得したか否かを判定する。例えばカメラ7によって路面を含む自車両の前方の画像を得たか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されると待機する。
【0051】
ステップ100では、運転支援の必要があるか否かを判定する。例えば、カメラ画像によって、自車両がセンターラインに近づき過ぎているか否か(従ってそのことを警告すべきか否か)を判定する。ここで肯定判断されるとステップ120に進み、一方否定判断されると前記ステップ100に戻る。
【0052】
ステップ120では、例えば図6(a)に示す様に、自車両がセンターラインに近づき過ぎており、そのことを運転者に報知することが必要であるので、その報知方法(即ち触力覚提示方法)を選択して決定する。
【0053】
例えば2車線道路を走行中に車両がセンターラインに近づき過ぎていた場合には、車両を左側に案内(ガイド)する必要があるので、図6(b)に示す様に、ステアリングホイール27の左回転を促すような支援情報を選択する。
【0054】
具体的には、リング部37を左回転させるような支援情報を選択する。詳しくは、リング部37を、例えば図6(c)に示す様に、断続回転モードにて断続的に回転させるような制御(即ち、所定量回転させてから所定時間停止させる動作を繰り返す制御)を選択する。なお、図6(c)の縦軸の回転量とは、回転開始点からの回転位置(角度)を示している(以下同様)。
【0055】
続くステップ130では、ステップ120で決定した支援情報を運転者に提示するように、触力覚提示装置19を制御する。
具体的には、ステアリングホイール27の左回転を促すために、リング部37を断続的に左回転させるように、提示用モータ25の動作を制御し、一旦本処理を終了する。
【0056】
e)この様に、本実施形態では、ステアリングホイール27のリム部29の周方向に沿って掘られた溝69に、運転者の手に接触可能な環状のリング部37が嵌め込まれており、このリング部37は、駆動部41によってリム部29の周方向に沿って回転可能とされている。従って、駆動部41によってリング部37を回転させることにより、このリング部37の回転状態を運転者の手に伝えて、運転者に容易に且つ確実に支援情報(ここでは、操舵すべき方向の情報及びそれによる警報)を伝達することができる。
【0057】
つまり、本実施形態では、運転者の手に伝える内容を、ステアリングホイール27の回転方向と回転量に絞り、知覚(解釈)のバラツキが少ない触力覚を用いることにより、運転者に対してより確実に分かりやすく支援情報を伝えることができる。
【0058】
特に、本実施形態では、上述の様にリム部29に沿って配置された環状のリング部37を回動させるという構成により、情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できるという顕著な効果を奏する。
【0059】
また、本実施形態では、リング部37の露出する外周面が、リム部29が存在する平面における径方向外側に向くように配置している。従って、運転者がリム部29を握った状態でも、過度にリング部37を押圧しないので(従ってリング部37が容易に回転できるので)、運転中でも運転者にリング部37による触力覚を好適に与えることができる。
【0060】
更に、本実施形態では、リング部37の露出する部分に、凹部79及び凸部81を設けているので、運転者に対して一層好適に触力覚を付与することができる。
なお、本実施形態では、センターラインに近接した場合を例に挙げたが、複数の車線が有る場合の車線間を区分するラインや、道路の歩道側の側端のライン又はガードレール等に近づいた場合に、同様に支援情報を提示してもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0061】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図7に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0062】
本実施形態における制御処理は、車線逸脱警報(2)に関するものである。詳しくは、車両がセンターラインを超えた場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報を提示する(警報を発する)ものである。
【0063】
具体的には、図7(a)に示す様に、車両がセンターラインを超えた場合には、そのことを強く警告するために、図7(b)、(c)に示す様に、リング部37を、高速振動モードで高速で往復動させることにより振動(例えば10Hzで振動)させる。
【0064】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、運転者に対して強い警告を与えることができるという利点がある。
なお、これとは別に、車両がセンターラインを超えた場合には、リング部37を、所定の回転方向(元の車線に戻す方向:ここでは左回転)に連続して回転させたり、断続的に回転させてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、センターラインを超えた場合を例に挙げたが、道路の歩道側の側端のライン又はガードレール等を超えた場合に、同様に警報を発してもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0066】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図8に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0067】
本実施形態における制御処理は、ナビゲーションの経路案内に関するものである。詳しくは、ナビゲーション情報に基づいて、車両を所定方向に案内する場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報(進行方向の情報)を提示するものである。
【0068】
具体的には、図8(a)に示す様に、例えば交差点で車両を右方向に案内する場合には、図8(b)、(c)に示す様に、リング部37を、断続回転モードで断続的に右回転させる。
【0069】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、運転方向を確実に提示することができるという利点がある。
なお、これとは別に、リング部37を案内方向に連続的に回転させてもよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0070】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図9に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0071】
本実施形態における制御処理は、例えば特開2006−7875号公報等に記載の駐車支援(1)に関するものである。詳しくは、並列駐車の駐車支援の際に、車両を所定方向に案内する場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報(ステアリングホイール27の操作方向)を提示するものである。
【0072】
具体的には、図9(a)に示す様に、車両を後進(バック)で駐車位置に案内する場合には、図9(b)、(c)に示す様に、通常の駐車支援制御の様に、車両を目的とする駐車位置に案内するように、リング部37を、連続回転モードで連続的に回転(この場合には右回転)させる。
【0073】
つまり、車両を目的とする駐車位置に案内するために算出された駐車支援の制御量、即ち車両をどの方向にどの程度走行させるかを指示する制御量(具体的にはステアリングホイール27の操舵方向や操舵角)に応じて、ステアリングホイール27を回転させる必要がある期間にわたって、連続的にステアリングホイール27を回転させるようにリング部37を回転させる。
【0074】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、ステアリングホイール27の回転方向(操舵方向)及び回転量(操舵量)を確実に提示することができるという利点がある。しかも、運転者は、リング部37が回転する間は、その回転方向に沿ってステアリングホイール27を回せばよいので、運転が非常に容易になるという顕著な効果を奏する。
【0075】
なお、連続回転モードではなく、断続回転モードを採用することもできる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0076】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図10に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0077】
本実施形態における制御処理は、駐車支援(2)に関するものである。詳しくは、並列駐車の駐車支援の際(特に切り返しが必要なとき)に、車両を所定方向に案内する場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報(ステアリングホイール27の操作方法)を提示するものである。
【0078】
具体的には、図10(a)に示す様に、ステアリングホイール27の右回転で車両を後進(バック)させた後に、ステアリングホイール27を左回転に切り換えして車両を前進させる場合には、その切り返しのタイミングで、図10(b)、(c)に示す様に、リング部37を、断続回転モードで断続的に左回転させる。
【0079】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、切り返しのタイミングを確実に提示することができるという利点がある。しかも、運転者は、切り返しが指示されるまでは、リング部37の回転に沿って、ステアリングホイール27を回せばよいので、運転が非常に容易になるという顕著な効果を奏する。
【0080】
なお、これとは別に、リング部37を切り返し方向に連続的に回転させてもよい。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0081】
本実施形態は、制御処理は前記第1実施形態と同様であり、装置構成が異なるので、装置構成について、図11に基づいて説明する。
図11にステアリングホイール91の内部構造を模式的に示す様に、ステアリングホイール91の内部(リム部92内)において前記第1実施形態と同じ位置に、リング部93が配置されている。
【0082】
本実施形態では、このリング部93の上面にリング部93の周方向に沿って環状に歯車(ラック)95が形成されており、このラック95と噛み合うように、径方向に延びる円柱状の歯車(ピニオン)97が配置されている。また、ピニオン97は提示用モータ99の回転軸101に取り付けられている。
【0083】
従って、本実施形態では、支援情報を提示する場合には、提示用モータ99を回転させてピニオン97を回転させ、このピニオン97と噛み合うラック95を回転させることにより、リング部93を回転させる。
【0084】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、リング部93を回転させる構成を簡易化してコンパクトにできるという利点がある。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0085】
本実施形態は、制御処理は前記第1実施形態と同様であり、装置構成が異なるので、装置構成について、図12に基づいて説明する。
図12(a)にステアリングホイール111の内部構造を模式的に示す様に、ステアリングホイール111の内部(リム部112内)において前記第1実施形態と同じ位置に、リング部113が配置されている。
【0086】
本実施形態では、このリング部113の内周面に周方向に沿って環状に歯車(ラック)115が形成されており(図12(b)参照)、このラック115と噛み合うように、リム部117の形成面と垂直方向に延びる円柱状の歯車(ピニオン)119が配置され、更に、このピニオン119に隣接してピニオン119と噛み合って同方向に配列された減速歯車121が配置されている。また、減速歯車121は提示用モータ123の回転軸125に取り付けられている。
【0087】
従って、本実施形態では、支援情報を提示する場合には、提示用モータ123を回転させて減速歯車121を回転させ、この減速歯車121と噛み合うピニオン119を回転させ、更にピニオン119と噛み合うラック115を回転させることにより、リング部113を回転させる。
【0088】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、リング部93を回転させる構成を簡易化してコンパクトにできるという利点がある。
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施できる。
【0089】
(1)例えば、第1、第3、第4、第5実施形態では、リング部を連続的又は断続的に回転させる場合には、所定の回転方向に一定の回転速度で回転させるように制御したが、回転速度を例えば徐々に増加させたり又はサインカーブ等の様に非線形に変化させてもよい。また、一方向に回転させるのでなく、高速で往復動させることにより、振動させてもよい。
【0090】
(2)また、リング部を取り付ける位置は、運転者がステアリングホイールのリム部を掴んでいる場合には、手の内側に接触してリング部の回転を伝えることができる位置で、且つ、リム部を握り締める場合に邪魔になりにくい位置であればよい。
【0091】
具体的には、図13に示す様に、リム部をその周方向と垂直に破断した場合に、リム部の軸中心を通りリム部の形成面と平行な平面Pに対して、運転者側(同図上方)に90°その反対側に180°の合計270°の範囲(斜線の範囲)に、リング部の外周面(外部に露出する表面)が存在すればよい。
【符号の説明】
【0092】
1…情報提示システム
3…センサ類
5…情報提示装置
7…制御部
19…触力角提示装置
22…車両状態検出部
23…支援情報検出部
25、99、123…提示用モータ
27、91、111…ステアリングホイール
29、92、112…リム部
37、93、113…リング部
39…ボールチェーン
41…駆動部
69…溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に、ハンドル(ステアリングホイール)を介して、車両の運転に必要な支援情報を伝えることができる情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールを利用して、車両の運転に必要な支援情報を提示する技術として、下記特許文献1の技術が開示されている。
この技術は、複数のモータ及び(モータの駆動によって外側に膨張する)弾性体をステアリングホイールのリム部に配置し、このモータや弾性体を用いて、ステアリングホイールを持つ手に刺激を与えるものであり、例えば刺激をステアリングホイールの長手方向に沿って刺激を与えたり、ステアリングホイールの全体に刺激を与えることができる。
【0003】
また、これとは別に、下記特許文献2の技術も開示されている。
この技術は、ステアリングホイールのリム部の左右に、複数のロッドを立設して面状に配置するとともに、各ロッドを駆動するモータ等を配置し、例えば車両のふらつき状態に応じて、振動させるロッドをリム部の左右方向に切り換えて、運転者に情報を伝えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−1094号公報
【特許文献2】特開2008−14984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、モータ及弾性体からなる情報提示手段が、それぞれ独立しているため、構造が複雑になるとともに駆動制御も複雑になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載される技術では、情報を提示する範囲(即ちロッドである情報提示手段を配置する範囲)を広げる場合には、ロッドとその駆動部であるモータが、それだけ必要になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できる情報提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両のステアリングホイールのリム部に、皮膚に対して接触した感覚を伝える触力覚提示手段を配置し、該触力覚提示手段を駆動して、運転者に対して運転を支援する支援情報を伝える情報提示装置において、前記触力覚提示手段は、前記ステアリングホイールのリム部の周方向に沿って形成された溝と、前記リム部の周方向に沿って回転可能なように前記溝に嵌め込まれるとともに、前記運転者の手に接触可能なように前記リム部の表面に露出する部分を有する環状のリング部と、前記リング部を前記周方向に回転移動させる駆動部と、を備え、前記駆動部の動作を制御して前記リング部を作動させることにより、前記支援情報を前記運転者に伝えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、ステアリングホイールのリム部の周方向に沿って形成された溝に、運転者の手に接触可能な環状のリング部が嵌め込まれており、このリング部は、駆動部によってリム部の周方向に沿って回転可能とされている。従って、駆動部によってリング部を回転させることにより、このリング部の回転状態を運転者の手に伝えて、運転者に支援情報を伝達することができる。
【0010】
つまり、本発明では、運転者の手に伝える内容を、ステアリングホイールの例えば回転方向と回転量に絞り、知覚(解釈)のバラツキが少ない触力覚を用いることにより、運転者に対してより確実に分かりやすく支援情報を伝えることができる。
【0011】
特に、本発明では、上述の様にリム部に沿って配置された環状のリング部を回動させるという構成により、情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できるという顕著な効果を奏する。
【0012】
ここで、「支援情報」とは、運転を好適に行うことができるように運転者に与えられる情報(例えば「ステアリングホイールをどちら側に回せ」や「運転が危険な状態にある」等の情報)である。
【0013】
また、「触力覚」とは、運転者の手がある対象物(ここではリング部)に接触する感覚であり、この手に接触した感覚を付与することにより、運転者に所定の支援情報を付与することができる。
【0014】
(2)請求項2の発明では、前記リング部を、少なくとも前記リム部の外周側を含むように配置したことを特徴とする。
ここで、リム部の外周側とは、環状のリム部が存在する平面における径方向外側を示している。この位置にリング部の露出部分が存在する場合には、運転者がリム部を握った状態でも、過度にリング部を押圧しないので(従ってリング部が容易に回転できるので)、運転中でも運転者にリング部による触力覚を好適に与えることができる。
【0015】
(3)請求項3の発明では、前記リング部の前記リム部の表面に露出する部分に、凹部及び凸部の少なくとも一方を設けたことを特徴とする。
リング部の表面に、凹凸を設けることにより、運転者に対して一層好適に触力覚を付与することができる。
【0016】
(4)請求項4の発明では、前記情報提示装置によって提示される支援情報は、操舵方向、操舵量、切り返しのタイミング、警告のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。
【0017】
ここでは、情報提示装置によって提示される支援情報を例示している。つまり、リング部の回転によって、ステアリングホイールの回転方向を示す操舵方向、ステアリングホイールの回転量を示す操舵量、ステアリングホイールの切り返しのタイミング、危険な運転状態等の警告の支援情報を伝えることができる。
【0018】
(5)請求項5の発明は、前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態は、前記ステアリングホイールの、連続回転、断続回転、振動のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。
【0019】
ここでは、情報提示装置によって提示される支援情報の提示状態を例示している。なお、振動とは、回転方向を頻繁に左右に(回転方向を逆転させて)変更すること、例えば 10Hz以上の高速で回転方向を変更することを示している。
【0020】
(6)請求項6の発明では、前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態の態様は、前記ステアリングホイールの、回転方向、回転量、回転速度、振動の周期のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。
【0021】
ここでは、情報提示装置によって提示される支援情報の提示状態の態様(即ち、連続回転、断続回転、振動の各提示状態の場合に、その提示状態の内容(パラメータ)である態様)を例示している。
【0022】
(7)請求項7の発明では、前記車両に搭載されて自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する検出装置からの情報に基づいて、自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する車両状態検出手段と、前記車両状態に基づいて前記支援情報を生成する支援情報生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
ここでは、車両状態検出手段と支援情報生成手段とを備えた情報提示装置を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態における情報提示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の情報提示装置を示す斜視図である。
【図3】(a)は情報提示装置を示す正面図、(b)は情報提示装置の要部である駆動部分を示す(図3(a)のX方向から見た)斜視図である。
【図4】(a)はステアリングホイールのリム部の一部を示す斜視図、(b)はリム部の一部を側面から見た状態を示す説明図、(c)はリム部を周方向に対して垂直方向に破断した状態を示す(図4(a)のY−Y断面を示す)斜視図、(d)はリム部等の内部をボールチェーンの経路に沿って破断した状態を示す(図4(b)のZ−Z断面を含む)断面図である。
【図5】第1実施形態の車線逸脱警報(1)における制御内容を示すフローチャートである。
【図6】(a)は車両のセンターライン寄り走行を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図7】第2実施形態の車線逸脱警報(2)の制御内容を示し、(a)は車両のセンターライン超え走行を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図8】第3実施形態の制御内容を示し、(a)はナビゲーションによる経路案内を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図9】第4実施形態の駐車支援(1)の制御内容を示し、(a)は並列駐車による駐車支援による案内を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図10】第5実施形態の駐車支援(2)の制御内容を示し、(a)は並列駐車による切り返しを含む駐車支援による案内を示す説明図、(b)はリング部の回転方向等を示す説明図、(c)はリング部の駆動状態(時間と回転量の関係)を示すグラフである。
【図11】第6実施形態におけるステアリングホイールの内部を模式的に示す斜視図である。
【図12】(a)は第7実施形態におけるステアリングホイールの内部を模式的に示す説明図、(b)はそのステアリングホイールの側面図である。
【図13】リム部を周方向に対して垂直に破断し、リング部の配置の範囲を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
a)まず、本実施形態の情報提示装置を用いた情報提示システムの構成について、図1に基づいて説明する。
【0026】
図1に示す様に、本情報提示システム1は、自車両の周囲や自車両自身の状態を検出する各種のセンサ類(車両内外センサ)3と、そのセンサ類3からの情報を入手して必要な情報を運転者に提示する情報提示装置5を備えている。
【0027】
前記センサ類3としては、例えば周囲を撮像するカメラ7、先行車両の位置や速度等を検知するレーザーレーダ9、自車両の速度を検出する車速センサ11、操舵角を検出する操舵角センサ13、シフト位置を検出するシフト位置センサ15、ナビゲーション装置16などを備えている。
【0028】
また、前記情報提示装置5は、制御部17と触力覚提示装置19を備えている。
このうち、制御部17は、機能的に、センサ類3からの信号に基づいて、自車両の周囲や自車両の状態を検出する車両状態検出部21と、車両状態検出部21によって検出された各種の情報から運転を支援するため支援情報を生成する支援情報生成部23とを備えている。なお、この制御部17は、いわゆるコンピュータシステムとして構成されており、周知のCPU、RAM、ROM、I/O、バスライン等から構成されている。
【0029】
一方、触力覚提示装置19は、支援情報生成部23によって生成された支援情報に基づいて触力覚提示装置19自身を作動させる提示用モータ25を備えている。
b)次に、本実施形態の要部である触力覚提示装置19について、図2〜図4に基づいて説明する。
【0030】
図2に示す様に、触力覚提示装置19は、運転者の手に接触して移動(回動)することによって、運転者に所定の支援情報を伝える装置であり、ステアリングホイール27と一体に構成されている。
【0031】
ステアリングホイール27は、運転者の手で車両を操縦(操舵)する操舵装置であり、運転者の手によって回される環状のリム部(把持部)29と、中央の平板状の基台31と、基台31とリム部29とを接続する一対のスポーク33a、33bとを備えている。
【0032】
なお、このステアリングホイール27は、ダッシュボード(インパネ部材)35側から延びて基台31の中心に接続されたステアリングシャフト(図示せず)に接続されることにより、左右に回転可能となっている。
【0033】
一方、触力覚提示装置19は、以下に述べる様に、リム部29の周方向に沿って回転可能に取り付けられたリング部37と、リング部37を回転させるボールチェーン39(図3参照)と、ボールチェーン39を駆動する駆動部41と、ボールチェーン39をリム部29側に案内する一対の案内用支柱43a、43bなどを備えている。
【0034】
具体的には、図3(a)に示す様に、本実施形態では、スポーク33a、33bとは別に、基台31とリム部29とを接続するように、ボールチェーン39を内部に収容して案内する一対の案内用支柱43a、43bが、(同図正面から見て)左右方向に延びるように設けられている。
【0035】
このボールチェーン39は、環状とされており、リム部29の内部の略半分(案内用支柱43a、43bの接続部分より同図上部)と両案内用支柱43a、43bの内部と基台31の縁部側とを結ぶ様に配置されている。
【0036】
また、基台31の表面の縁部(同図上端側)には、ボールチェーン39を矢印A、Bの方向に回動させるために、駆動部41が設けられている。この駆動部41は、提示用モータ25と、提示用モータ25の回転を減速する減速機45と、減速機45により(基台31に垂直に)回転する第1のかさ歯車47と、第1のかさ歯車47にかみ合って(基台31に平行に)回転する第2のかさ歯車49とからなる。
【0037】
なお、提示用モータ25及び減速機45に沿って、ボールチェーン39を案内する筒状部51が配置されている。
更に、図3(b)に示す様に、第2のかさ歯車49の円柱状の回転軸53には、その表面に、ボールチェーン39が嵌り込む半球状の凹部55が周方向に複数形成されている。
【0038】
従って、筒状部51から延びるボールチェーン39は、この回転軸53を巻くようにして、各ボール39aが各凹部55に嵌り込んだ状態で、案内用支柱43b内の直線状の空孔である案内経路57に配置されるとともに、リム部29内に配置される。
【0039】
以下、各構成について更に詳しく説明する。
図4(a)、(c)に示す様に、リム部29は、スポーク33a、33bに固定された円環状の例えばアルミニウム合金からなる芯金59と、芯金59の外周側(径方向外側:図4(c)右側)に回動可能に取り付けられた円環状の例えば硬質プラスチックからなるリング部37と、芯金59及びリング部37の側面側(径方向と垂直方向)を覆うとともに芯金59の内周側(径方向内側)を覆う例えばウレタンからなるカバー部材63とから構成されている。なお、カバー部材63は上カバー部材65と下カバー部材67が接合されて一体となっている。
【0040】
これにより、リム部29の外周側には、上カバー部材65の下面と下カバー部材67の上面と芯金59の外周面とで囲まれて、リング部37が周方向に移動可能に嵌め込まれた(断面が略コ状の)環状の溝69が形成されている。
【0041】
また、図4(c)、(d)に示す様に、芯金59の外周面には周方向に沿って、ボールチェーン39が摺動可能な細溝71が形成されるとともに、リング部37の内周面には周方向に沿ってボールチェーン39の各ボール39aが嵌り込む半球状の凹部73が等間隔に多数配列されている。従って、この細溝71と凹部73とによって、リム部29内には、周方向に沿ってボールチェーン39が配置される環状の内部空間75が形成されている。なお、前記細溝71は、ボールチェーン39が配置される箇所のみに半円状に形成されている。
【0042】
更に、芯金59及びカバー部材63には、それらを径方向に貫いて、案内用支柱43a、43bの案内経路57と連通するように、内部空間75から径方向内側に分岐してボールチェーン39を案内する分岐経路77が形成されている。
【0043】
なお、図4(b)に示す様に、リング部37の外周面には、運転者の手で接触したことがよく分かるように、凹部79及び凸部81が周方向に沿って順次配列されている。
c)次に、触力覚提示装置19の基本的な動作について説明する。
【0044】
前記図3に示す様に、触力覚提示装置19を作動させる場合には、まず、提示用モータ25を、所望のステアリングホイール27の回転方向に対応した所定方向に回転させる。
この回転は、減速機45によって減速されて第1のかさ歯車47が回転し、それによって、第2のかさ歯車49が回転する。
【0045】
例えば第2のかさ歯車49が矢印C方向に回転する場合を考えると、第2のかさ歯車49が回転すると、その回転軸53も同方向に回転し、回転軸53の凹部55に嵌め込まれたボール39aも同方向に移動する。
【0046】
それにより、ボールチェーン39は、一方の案内用支柱43bから他方の案内用支柱43a側に移動させられることになるので、結果として、ボールチェーン39全体は、矢印A方向に沿って移動することになる。
【0047】
また、上述の様に、ボールチェーン39の各ボール39aは、リング部37の各凹部73に嵌り込んでいるので(即ち噛み合って一体となって移動する構成であるので)、この様にボールチェーン39が矢印A方向に移動すると、このボールチェーン39に噛み合っているリング部37も同方向(図3(a)の右回転方向)に移動する。
【0048】
よって、リング部37に接触している手を介して、運転者に(リング部37が右方向に回動していることによる)支援情報を伝えることができる。
d)次に、触力覚提示装置19によって支援情報を伝達するための制御処理について、図5及び図6に基づいて説明する。
【0049】
本制御処理は、車線逸脱警報(1)に関するものである。詳しくは、以下に述べる様に、車両がセンターラインに寄り過ぎた場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報を提示する(即ち操舵する方向を提示し且つ警報を発する)ものである。
【0050】
まず、図5のフローチャートに示す様に、ステップ(S)100にて、車両情報を取得したか否かを判定する。例えばカメラ7によって路面を含む自車両の前方の画像を得たか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されると待機する。
【0051】
ステップ100では、運転支援の必要があるか否かを判定する。例えば、カメラ画像によって、自車両がセンターラインに近づき過ぎているか否か(従ってそのことを警告すべきか否か)を判定する。ここで肯定判断されるとステップ120に進み、一方否定判断されると前記ステップ100に戻る。
【0052】
ステップ120では、例えば図6(a)に示す様に、自車両がセンターラインに近づき過ぎており、そのことを運転者に報知することが必要であるので、その報知方法(即ち触力覚提示方法)を選択して決定する。
【0053】
例えば2車線道路を走行中に車両がセンターラインに近づき過ぎていた場合には、車両を左側に案内(ガイド)する必要があるので、図6(b)に示す様に、ステアリングホイール27の左回転を促すような支援情報を選択する。
【0054】
具体的には、リング部37を左回転させるような支援情報を選択する。詳しくは、リング部37を、例えば図6(c)に示す様に、断続回転モードにて断続的に回転させるような制御(即ち、所定量回転させてから所定時間停止させる動作を繰り返す制御)を選択する。なお、図6(c)の縦軸の回転量とは、回転開始点からの回転位置(角度)を示している(以下同様)。
【0055】
続くステップ130では、ステップ120で決定した支援情報を運転者に提示するように、触力覚提示装置19を制御する。
具体的には、ステアリングホイール27の左回転を促すために、リング部37を断続的に左回転させるように、提示用モータ25の動作を制御し、一旦本処理を終了する。
【0056】
e)この様に、本実施形態では、ステアリングホイール27のリム部29の周方向に沿って掘られた溝69に、運転者の手に接触可能な環状のリング部37が嵌め込まれており、このリング部37は、駆動部41によってリム部29の周方向に沿って回転可能とされている。従って、駆動部41によってリング部37を回転させることにより、このリング部37の回転状態を運転者の手に伝えて、運転者に容易に且つ確実に支援情報(ここでは、操舵すべき方向の情報及びそれによる警報)を伝達することができる。
【0057】
つまり、本実施形態では、運転者の手に伝える内容を、ステアリングホイール27の回転方向と回転量に絞り、知覚(解釈)のバラツキが少ない触力覚を用いることにより、運転者に対してより確実に分かりやすく支援情報を伝えることができる。
【0058】
特に、本実施形態では、上述の様にリム部29に沿って配置された環状のリング部37を回動させるという構成により、情報提示範囲を容易に拡大できるとともに、構造を簡易化して低コストを実現できるという顕著な効果を奏する。
【0059】
また、本実施形態では、リング部37の露出する外周面が、リム部29が存在する平面における径方向外側に向くように配置している。従って、運転者がリム部29を握った状態でも、過度にリング部37を押圧しないので(従ってリング部37が容易に回転できるので)、運転中でも運転者にリング部37による触力覚を好適に与えることができる。
【0060】
更に、本実施形態では、リング部37の露出する部分に、凹部79及び凸部81を設けているので、運転者に対して一層好適に触力覚を付与することができる。
なお、本実施形態では、センターラインに近接した場合を例に挙げたが、複数の車線が有る場合の車線間を区分するラインや、道路の歩道側の側端のライン又はガードレール等に近づいた場合に、同様に支援情報を提示してもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0061】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図7に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0062】
本実施形態における制御処理は、車線逸脱警報(2)に関するものである。詳しくは、車両がセンターラインを超えた場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報を提示する(警報を発する)ものである。
【0063】
具体的には、図7(a)に示す様に、車両がセンターラインを超えた場合には、そのことを強く警告するために、図7(b)、(c)に示す様に、リング部37を、高速振動モードで高速で往復動させることにより振動(例えば10Hzで振動)させる。
【0064】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、運転者に対して強い警告を与えることができるという利点がある。
なお、これとは別に、車両がセンターラインを超えた場合には、リング部37を、所定の回転方向(元の車線に戻す方向:ここでは左回転)に連続して回転させたり、断続的に回転させてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、センターラインを超えた場合を例に挙げたが、道路の歩道側の側端のライン又はガードレール等を超えた場合に、同様に警報を発してもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0066】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図8に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0067】
本実施形態における制御処理は、ナビゲーションの経路案内に関するものである。詳しくは、ナビゲーション情報に基づいて、車両を所定方向に案内する場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報(進行方向の情報)を提示するものである。
【0068】
具体的には、図8(a)に示す様に、例えば交差点で車両を右方向に案内する場合には、図8(b)、(c)に示す様に、リング部37を、断続回転モードで断続的に右回転させる。
【0069】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、運転方向を確実に提示することができるという利点がある。
なお、これとは別に、リング部37を案内方向に連続的に回転させてもよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0070】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図9に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0071】
本実施形態における制御処理は、例えば特開2006−7875号公報等に記載の駐車支援(1)に関するものである。詳しくは、並列駐車の駐車支援の際に、車両を所定方向に案内する場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報(ステアリングホイール27の操作方向)を提示するものである。
【0072】
具体的には、図9(a)に示す様に、車両を後進(バック)で駐車位置に案内する場合には、図9(b)、(c)に示す様に、通常の駐車支援制御の様に、車両を目的とする駐車位置に案内するように、リング部37を、連続回転モードで連続的に回転(この場合には右回転)させる。
【0073】
つまり、車両を目的とする駐車位置に案内するために算出された駐車支援の制御量、即ち車両をどの方向にどの程度走行させるかを指示する制御量(具体的にはステアリングホイール27の操舵方向や操舵角)に応じて、ステアリングホイール27を回転させる必要がある期間にわたって、連続的にステアリングホイール27を回転させるようにリング部37を回転させる。
【0074】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、ステアリングホイール27の回転方向(操舵方向)及び回転量(操舵量)を確実に提示することができるという利点がある。しかも、運転者は、リング部37が回転する間は、その回転方向に沿ってステアリングホイール27を回せばよいので、運転が非常に容易になるという顕著な効果を奏する。
【0075】
なお、連続回転モードではなく、断続回転モードを採用することもできる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0076】
本実施形態は、装置構成は第1実施形態と同様であり、制御内容のみが異なるので、制御内容について、図10に基づいて説明する。なお、装置構成は同じ番号を用いて説明する。
【0077】
本実施形態における制御処理は、駐車支援(2)に関するものである。詳しくは、並列駐車の駐車支援の際(特に切り返しが必要なとき)に、車両を所定方向に案内する場合に、ステアリングホイール27を介して、運転者に支援情報(ステアリングホイール27の操作方法)を提示するものである。
【0078】
具体的には、図10(a)に示す様に、ステアリングホイール27の右回転で車両を後進(バック)させた後に、ステアリングホイール27を左回転に切り換えして車両を前進させる場合には、その切り返しのタイミングで、図10(b)、(c)に示す様に、リング部37を、断続回転モードで断続的に左回転させる。
【0079】
これによって、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、切り返しのタイミングを確実に提示することができるという利点がある。しかも、運転者は、切り返しが指示されるまでは、リング部37の回転に沿って、ステアリングホイール27を回せばよいので、運転が非常に容易になるという顕著な効果を奏する。
【0080】
なお、これとは別に、リング部37を切り返し方向に連続的に回転させてもよい。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0081】
本実施形態は、制御処理は前記第1実施形態と同様であり、装置構成が異なるので、装置構成について、図11に基づいて説明する。
図11にステアリングホイール91の内部構造を模式的に示す様に、ステアリングホイール91の内部(リム部92内)において前記第1実施形態と同じ位置に、リング部93が配置されている。
【0082】
本実施形態では、このリング部93の上面にリング部93の周方向に沿って環状に歯車(ラック)95が形成されており、このラック95と噛み合うように、径方向に延びる円柱状の歯車(ピニオン)97が配置されている。また、ピニオン97は提示用モータ99の回転軸101に取り付けられている。
【0083】
従って、本実施形態では、支援情報を提示する場合には、提示用モータ99を回転させてピニオン97を回転させ、このピニオン97と噛み合うラック95を回転させることにより、リング部93を回転させる。
【0084】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、リング部93を回転させる構成を簡易化してコンパクトにできるという利点がある。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0085】
本実施形態は、制御処理は前記第1実施形態と同様であり、装置構成が異なるので、装置構成について、図12に基づいて説明する。
図12(a)にステアリングホイール111の内部構造を模式的に示す様に、ステアリングホイール111の内部(リム部112内)において前記第1実施形態と同じ位置に、リング部113が配置されている。
【0086】
本実施形態では、このリング部113の内周面に周方向に沿って環状に歯車(ラック)115が形成されており(図12(b)参照)、このラック115と噛み合うように、リム部117の形成面と垂直方向に延びる円柱状の歯車(ピニオン)119が配置され、更に、このピニオン119に隣接してピニオン119と噛み合って同方向に配列された減速歯車121が配置されている。また、減速歯車121は提示用モータ123の回転軸125に取り付けられている。
【0087】
従って、本実施形態では、支援情報を提示する場合には、提示用モータ123を回転させて減速歯車121を回転させ、この減速歯車121と噛み合うピニオン119を回転させ、更にピニオン119と噛み合うラック115を回転させることにより、リング部113を回転させる。
【0088】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、リング部93を回転させる構成を簡易化してコンパクトにできるという利点がある。
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施できる。
【0089】
(1)例えば、第1、第3、第4、第5実施形態では、リング部を連続的又は断続的に回転させる場合には、所定の回転方向に一定の回転速度で回転させるように制御したが、回転速度を例えば徐々に増加させたり又はサインカーブ等の様に非線形に変化させてもよい。また、一方向に回転させるのでなく、高速で往復動させることにより、振動させてもよい。
【0090】
(2)また、リング部を取り付ける位置は、運転者がステアリングホイールのリム部を掴んでいる場合には、手の内側に接触してリング部の回転を伝えることができる位置で、且つ、リム部を握り締める場合に邪魔になりにくい位置であればよい。
【0091】
具体的には、図13に示す様に、リム部をその周方向と垂直に破断した場合に、リム部の軸中心を通りリム部の形成面と平行な平面Pに対して、運転者側(同図上方)に90°その反対側に180°の合計270°の範囲(斜線の範囲)に、リング部の外周面(外部に露出する表面)が存在すればよい。
【符号の説明】
【0092】
1…情報提示システム
3…センサ類
5…情報提示装置
7…制御部
19…触力角提示装置
22…車両状態検出部
23…支援情報検出部
25、99、123…提示用モータ
27、91、111…ステアリングホイール
29、92、112…リム部
37、93、113…リング部
39…ボールチェーン
41…駆動部
69…溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールのリム部に、皮膚に対して接触した感覚を伝える触力覚提示手段を配置し、該触力覚提示手段を駆動して、運転者に対して運転を支援する支援情報を伝える情報提示装置において、
前記触力覚提示手段は、
前記ステアリングホイールのリム部の周方向に沿って形成された溝と、
前記リム部の周方向に沿って回転可能なように前記溝に嵌め込まれるとともに、前記運転者の手に接触可能なように前記リム部の表面に露出する部分を有する環状のリング部と、
前記リング部を前記周方向に回転移動させる駆動部と、
を備え、
前記駆動部の動作を制御して前記リング部を作動させることにより、前記支援情報を前記運転者に伝えることを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
前記リング部を、少なくとも前記リム部の外周側を含むように配置したことを特徴とする請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記リング部の前記リム部の表面に露出する部分に、凹部及び凸部の少なくとも一方を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記情報提示装置によって提示される支援情報は、操舵方向、操舵量、切り返しのタイミング、警告のうち、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態は、前記ステアリングホイールの、連続回転、断続回転、振動のうち、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態の態様は、前記ステアリングホイールの、回転方向、回転量、回転速度、振動の周期のうち、少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の情報提示装置。
【請求項7】
前記車両に搭載されて自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する検出装置からの情報に基づいて、自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する車両状態検出手段と、
前記車両状態に基づいて前記支援情報を生成する支援情報生成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項1】
車両のステアリングホイールのリム部に、皮膚に対して接触した感覚を伝える触力覚提示手段を配置し、該触力覚提示手段を駆動して、運転者に対して運転を支援する支援情報を伝える情報提示装置において、
前記触力覚提示手段は、
前記ステアリングホイールのリム部の周方向に沿って形成された溝と、
前記リム部の周方向に沿って回転可能なように前記溝に嵌め込まれるとともに、前記運転者の手に接触可能なように前記リム部の表面に露出する部分を有する環状のリング部と、
前記リング部を前記周方向に回転移動させる駆動部と、
を備え、
前記駆動部の動作を制御して前記リング部を作動させることにより、前記支援情報を前記運転者に伝えることを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
前記リング部を、少なくとも前記リム部の外周側を含むように配置したことを特徴とする請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記リング部の前記リム部の表面に露出する部分に、凹部及び凸部の少なくとも一方を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記情報提示装置によって提示される支援情報は、操舵方向、操舵量、切り返しのタイミング、警告のうち、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態は、前記ステアリングホイールの、連続回転、断続回転、振動のうち、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
前記ステアリングホイールによって提示される支援情報の提示状態の態様は、前記ステアリングホイールの、回転方向、回転量、回転速度、振動の周期のうち、少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の情報提示装置。
【請求項7】
前記車両に搭載されて自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する検出装置からの情報に基づいて、自車両の周囲及び/又は自車両自身の状態を検出する車両状態検出手段と、
前記車両状態に基づいて前記支援情報を生成する支援情報生成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報提示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−107455(P2013−107455A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252866(P2011−252866)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]