埋設型ガス栓
【課題】部品点数を少なくして製造費を低減することができ、しかも容易に設置することができる床下埋設型ガス栓を提供する。
【解決手段】床板Fの下側にプラグ部22を有するガス栓本体2が設けられ、このガス栓本体2に、解除レバー46が回転可能に設けられるとともに、操作ボタン44が上下方向へ移動可能に設けられ、操作ボタン4を下方へ押して解除レバー46を反時計方向へ回転させることにより、プラグ部22に接続されたソケットSを取り外すように構成された床下埋設型ガス栓において、操作ボタン44の上に副操作ボタン5を載置する。
【解決手段】床板Fの下側にプラグ部22を有するガス栓本体2が設けられ、このガス栓本体2に、解除レバー46が回転可能に設けられるとともに、操作ボタン44が上下方向へ移動可能に設けられ、操作ボタン4を下方へ押して解除レバー46を反時計方向へ回転させることにより、プラグ部22に接続されたソケットSを取り外すように構成された床下埋設型ガス栓において、操作ボタン44の上に副操作ボタン5を載置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁板を含む壁の構成部材又は床板を含む床の構成部材に設けられる埋設型ガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、埋設型ガス栓の一つとして床下埋設型ガス栓がある。床下埋設型ガス栓は、ガス栓本体を有している。ガス栓本体は、プラグ部を有しており、このプラグ部を上方に向けた状態で床板の下側に配置されている。床板には、プラグ部と対向する貫通孔が形成されている。この貫通孔からソケットが挿入され、プラグ部に接続される。
【0003】
ガス栓本体には、取外し部材が設けられている。取外し部材は、プラグ部にソケットが接続されていない状態では取外し位置に位置しており、プラグ部ソケットが接続されるとソケットによって取外し位置から取付位置まで移動させられる。
【0004】
ガス栓本体には、貫通孔を介して手動操作される操作部材が設けられている。操作部材を下方へ押すと、取外し部材が取付位置から取外し位置まで移動させられ、それによってソケットのプラグ部に対する接続状態が解除される。したがって、ソケットをプラグ部から取り外すことができる。
【0005】
ところで、床板の上面から操作部材までの距離は、ガス栓本体の取付位置によって定まるものであり、ガス栓本体の取付位置は、ガス栓本体に接続されるガス管の位置等に応じて変化する。ガス栓本体の取付位置が通常の取付位置に対して下側であると、操作部材が床板の上面から下方へ大きく離間する。この結果、操作部材の押し下げ操作が困難になる。逆に、ガス栓本体の取付位置が通常の取付位置より上側であると、操作部材が床板の貫通孔及びその近傍を覆う化粧板に突き当ってしまい、化粧板を床板に取り付けることができなくなるおそれがある。
【0006】
このような不都合を解消するために、下記特許文献1に記載のものにおいては、ガス栓本体に長手方向を上下方向に向けたねじ部材を設け、このねじ部材に操作部材を螺合させている。したがって、操作部材は、ねじ部材に対して正逆方向へ適宜に回転させることによって上下方向へ位置調節することができ、それによってガス栓本体の取付位置の変化を吸収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−205015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載の床下埋設型ガス栓においては、位置調節のためのねじ部材を必要とし、その分だけ部品点数が増える。このため、ガス栓の製造費が高くなるという問題があった。また、操作部材をねじ部材に対して回転させる必要がある。この場合、操作部材の周囲が開放されているならば、操作部材の回転を容易に行うことができるが、操作部材は床板に形成された貫通孔内に配置されている。しかも、貫通孔はできる限り小さく形成されている。このため、操作部材を回転させ難く、操作部材の位置調節に多くの手間を要するという問題があった。このような問題は、壁板に対して室外側に配置される埋設型ガス栓も同様である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、前記の問題を解決するために、壁板又は床板に対して室外側に配置されるガス栓本体と、前記ガス栓本体を、前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段と、前記ガス栓本体に具備され、前記壁板又は前記床板に形成された貫通孔に室内側から挿入されたソケットが着脱可能に接続されるプラグ部と、前記プラグ部に接続された前記ソケットを接続解除する為の取外し部材と、前記取外し部材を解除操作する為に、前記ガス栓本体に室内外方向へ移動可能に設けられた操作部材とを有し、前記プラグ部に前記ソケットが接続されると、前記取外し部材が取外し位置から取付位置に変位し、これに伴い前記操作部材が室外側から室内側へ向かって押込み位置から初期位置に変位し、前記プラグ部に前記ソケットが接続された状態で、前記操作部材が室外側へ向かって前記初期位置から前記押込み位置に押込み操作されると、前記取外し部材が前記取付位置から前記取外し位置に変位し、これに伴い前記ソケットが前記プラグ部から接続解除される埋設型ガス栓であって、前記操作部材に対し前記貫通孔を通して室内から着脱着可能に装着される副操作部材を有することを特徴としている。
この場合、前記副操作部材の室外側を向く面に位置決め凹部が形成され、この位置決め凹部に前記操作部材の室内側の端部が室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合されていることが望ましい。
前記副操作部材は、複数用いられていてもよく、その場合には、複数の副操作部材が室内外方向に順次配置され、各副操作部材の室内側を向く面には、当該副操作部材に対して室内側に隣接する他の副操作部材の前記位置決め凹部に室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合する突出部が設けられていることが望ましい。
前記突出部が前記位置決め凹部に嵌合する前記操作部材の上端部と水平方向において同一位置に配置されていることが望ましい。
前記壁板又は前記床板の室内に臨む面には、前記壁板又は前記床板の前記貫通孔及びその近傍部分を覆う化粧板が着脱可能に設けられ、前記化粧板には、前記副操作部材を室内外方向へ移動可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能にガイドするガイド部が設けられていることが望ましい。
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記連結部の先端部が前記副操作部材に連結されていることが望ましい。
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記ガス栓本体には、これと別体である支持部材が取り付けられ、この支持部材に前記操作部材が室内外方向へ移動可能に設けられ、前記連結部の先端部が前記支持部材に連結されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
前記特徴構成を有するこの発明によれば、操作部材に副操作部材が設けられているので、ソケットをプラグから取り外す際には、副操作部材を室外側へ押すことになる。ここで、副操作部材の室外側の面の位置は、ガス栓本体の設置位置に応じて変化するが、ガス栓本体の設置位置が所定の位置より室外側である場合には副操作部材として高さが高い(室内外方向における寸法が大きい)副操作部材を用い、ガス栓本体の設置位置が所定の位置より室内側である場合には副操作部材として高さが低い(室内外方向における寸法が小さい)副操作部材を用いる。これにより、副操作部材の室内側の面を操作しやすい位置に位置させることができる。しかも、副操作部材は、操作部材に接触させるだけであるから、ねじ部材を用いた場合のような回転操作が不要である。したがって、ガス栓の設置に要する手間を軽減することができる。また、ねじ部材が不要であるから、その分だけガス栓の製造費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、この発明の第1実施の形態を、蓋体を閉じた状態で示す縦断面図である。
【図2】図2は、同実施の形態を、蓋体を開いた状態で示す縦断面図である。
【図3】図3は、同実施の形態を、プラグ部にソケットを接続した状態で示す図2と同様の断面図である。
【図4】図4は、同実施の形態を、蓋体を閉じた状態で示す平面図である。
【図5】図5は、同実施の形態を、蓋体を開いた状態で示す平面図である。
【図6】図6は、同実施の形態を、化粧板を削除した状態で示す平面図である。
【図7】図7は、同実施の形態を、化粧板及び取付板を削除した状態で示す平面図である。
【図8】図8は、同実施の形態を、化粧板、取付板及び外しユニットを削除した状態で示す平面図である。
【図9】図9は、同実施の形態の分解斜視図である。
【図10】図10は、同実施の形態において用いられている外しユニット及び副操作ボタンを示す分解斜視図である。
【図11】図11は、同実施の形態において用いられている外しユニットを示す平面図である。
【図12】図12は、同外しユニットの側面図である。
【図13】図13は、同外しユニットの底面図である。
【図14】図14は、図11のX−X線に沿う断面図である。
【図15】図15は、操作ボタンを初期位置に移動させた状態で示す図14と同様の断面図である。
【図16】図16は、同実施の形態において用いられている副操作ボタンを示す平面図である。
【図17】図17、同副操作ボタンの側面図である。
【図18】図18は、同副操作ボタンの底面図である。
【図19】図19は、図16のX−X線に沿う断面図である。
【図20】図20は、同実施の形態において用いられている取付板を床板の上面に固定する工程を示す斜視図である。
【図21】図21は、同実施の形態において用いられている化粧板を床板に取付板を介して取り付ける工程を示す斜視図である。
【図22】図22は、この発明の第2実施の形態を示す図2と同様の縦断面図である。
【図23】図23は、この発明の第3実施の形態を示す図2と同様の縦断面図である。
【図24】図24は、この発明の第4実施の形態を示す図1と同様の断面図である。
【図25】図25は、同実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【図26】図26は、同第4実施の形態において用いられているキャップを示す平面図である。
【図27】図27は、図26のX矢視図である。
【図28】図28は、図26のY矢視図である。
【図29】図29は、図26のZ−Z線に沿う断面図である。
【図30】図30は、同第4実施の形態において用いられている副操作ボタンを示す平面図である。
【図31】図31は、図30のX矢視図である。
【図32】図32は、同副操作ボタンをキャップが取り付けられた状態で示す平面図である。
【図33】図33は、図32のX−X線に沿う断面図である。
【図34】図34は、この発明の第1〜第3実施の形態において用いられている支持部材の変形例をキャップが取り付けられた状態で示す平面図である。
【図35】図35は、図34のX矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図21は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態は、この発明を床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)に適用したものである。そこで、まず床下埋設型ガス栓が設置される建物の床部の構造を簡単に説明すると、図1〜図3に示すように、水平に配置された根太(図示せず;床の構成部材)の上には、床板Fが載置固定されている。床板Fの適宜の箇所には、床板Fを上下方向(室内外方向)に貫通する貫通孔Faが形成されている。貫通孔Faは、断面円形であるが、断面正方形等の非円形であってもよい。
【0013】
次に、この発明に係る床下埋設型ガス栓について説明する。この実施の形態の床下埋設型ガス栓1は、特に図1〜図3及び図9に示すように、ガス栓本体2、カバー3、外しユニット4、副操作ボタン(副操作部材)5、取付板6、及び化粧板7を有している。
【0014】
ガス栓本体2は、特に図1〜図3、図8及び図9に示すように、ガス管接続部21及びプラグ部22を有している。ガス栓本体2の内部には、ガス管接続部21の先端面からプラグ部22の先端面まで延びるガス通路23(図9参照)が形成されている。ガス管接続部21には、一次側(供給側)のガス管(図示せず)が螺合その他の接続手段によって接続されている。このガス管からガス通路23にガスが供給される。一方、プラグ部22は、日本工業規格(JIS S2120)で定められた形状寸法を有しており、その先端面を上側(室内I側)に向けて設けられている。プラグ部22には、ソケットSが着脱可能に装着される。
【0015】
ガス栓本体2の内部には、開閉弁(図示せず)が設けられている。この開閉弁は、ソケットSがプラグ部22に接続されると、ガス通路23を開く。この結果、一次側のガス管からガス通路23に流入したガスが、ソケットS及び二次側のガス管(図示せず)を介してガス器具(図示せず)に供給される。開閉弁は、ソケットSがプラグ部22から取り外されると、ガス通路23を自動的に閉じる。
【0016】
カバー3は、特に図1〜図3及び図9に示すように、有底円筒状をなしており、その底部を下側(室外O側)に、その開口部を上側に位置させた状態で配置されている。カバー3の上端部は、貫通孔Faの下端部に挿脱可能に挿入されている。カバー3の上端部が貫通孔Faに挿入されることなく、カバー3全体が床板Fより下側に配置されることもある。
【0017】
カバー3の外周面には、二つの平坦部31が周方向に180°離れて形成されている。この二つの平坦部31が形成されることにより、カバー3は、実際には平面略視長円状になっている。平坦部31には、木ねじ(図示せず)がカバー3の内側から挿通されており、その木ねじを根太にねじ込んで締め付けることにより、平坦部31が根太の側面に押圧固定され、ひいてはカバー3が根太に固定されている。
【0018】
カバー3の内部には、ガス栓本体2が収容されている。ガス栓本体2は、カバー3にビスその他の固定手段(図示せず)によって固定されている。この結果、ガス栓本体2が根太にカバー3を介して支持されている。前記のように、ガス栓本体2は、一次側のガス管に接続され、そのガス管によっても支持されている。ガス管の支持強度が高い場合には、必ずしもカバー3を根太に固定する必要がない。逆に、カバー3を根太に固定する場合には、一次側のガス管として剛性の低いものを採用してもよい。例えば、フレキシブルガス管を一次側のガス管として採用してもよい。なお、ガス栓本体2をガス管によって支持させるとともに、カバー3を根太に固定する場合において、根太と平坦部31との間に大きな間隔がある場合には、根太にスペーサを固定し、このスペーサに平坦部31を固定すればよい。
【0019】
ガス栓本体2がカバー3の内部に収容され、かつカバー3の上端部が貫通孔Faに挿入されていることから明らかなように、ガス栓本体2のプラグ部22は、上方から見たとき、貫通孔Fa内に位置するように配置されている。しかも、このガス栓1においては、プラグ部22の先端部(上端部)がカバー3から上方に突出し、貫通孔Faの下端部に入り込んでいる。プラグ部22の先端部は、カバー3の上端より下側に位置させ、貫通孔Faに入り込まないようにしてもよい。カバー3の下端部には、切欠き部32が形成されている。この切欠き部32を通ってガス管接続部21がカバー3の外部に突出させられている。
【0020】
前記外しユニット4は、特に図9及び図10に示すように、ユニット本体41を有している。ユニット本体41は、カバー3の内部に収容されており、ガス栓本体2にビスB1,B1によって固定されている。ユニット本体41の水平方向の一端部(図1〜図3において右端部;図9において左端部)には、筒部42が形成されている。この筒部42は、その軸線を上下方向に向けて配置されている。筒部42の内部には、プラグ部22がその軸線を筒部42の軸線と一致させた状態で挿入されている。筒部42には、プラグ部22に接続されるソケットSが挿入される。そこで、筒部42は、その上端開口部からソケットSを挿脱することができるよう、ソケットSの最大外径より大きい内径を有している。
【0021】
特に図11、図14及び図15に示すように、ユニット本体41の水平方向の他端部には、ガイド孔43が形成されている。ガイド孔43は、断面略長方形状をなしており、ユニット本体41の他端部を上下方向に貫通している。ガイド孔43には、操作ボタン(操作部材)44が上下方向へは移動可能に、水平方向へは移動不能に挿入されている。しかも、ガイド孔43が非円形であるので、操作ボタン44は、ガイド孔43に回転不能に挿入され、それによって操作ボタン44の水平面内における回転が阻止され、操作ボタン44の姿勢が一定に維持されている。
【0022】
操作ボタン44は、図1、図2及び図14に示す押込み位置と、図3及び図15に示す初期位置との間を上下方向(室内外方向)へ移動可能である。操作ボタン44の押込み位置は、操作ボタン44の上端部に形成された頭部44aがユニット本体41の上面に突き当たることによって定められている。一方、操作ボタン44の初期位置は、ユニット本体41と操作ボタン43との間に設けられた係止機構45によって定められている。
【0023】
すなわち、操作ボタン44は、図10に示すように、略直方体の箱状をなしており、水平方向の一側部及び他側部が開放されている。図1〜図3、図14及び図15に示すように、操作ボタン44の底面の中央部には、係止片45aが形成されている。この係止片45aは、上方へ向かうにしたがって操作ボタン44の内側から外側へ向かうにように傾斜させられており、その上端部は、係止片45aに外力が作用しない自然状態では、操作ボタン44の開放部を通って外部に突出させられる。しかし、操作ボタン44がガイド孔43に挿入されているため、係止片45aの上端部は、係止片45a自体の弾性によってガイド孔43の内周面に押し付けられている。したがって、係止片45aの上端部は、操作ボタン44の上下方向への移動に伴ってガイド孔43の内周面を上下方向へ摺動する。ガイド孔43の内周面のうち、係止片44aの上端部が摺動する部分には、係止凹部45bが形成されている。図3及び図15に示すように、係止凹部45bの上端面に係止片45aの上端部が突き当たると、操作ボタン44が上方へ移動することができなくなる。このときの操作ボタン44の位置が初期位置である。
【0024】
ガイド孔43の内周面には、係合凹部45cが形成されている。この係合凹部45cは、係止凹部45bに隣接してその真下に配置されている。操作ボタン44が初期位置から下方へ移動して押込み位置に達すると、係止片45aの上端部が係合凹部45cに入り込む。すると、係合凹部45cの傾斜した底面と係止片45a自体の弾性とにより、係止片45aの上端部が下方へ付勢され、操作ボタン44の頭部44aがユニット本体41の上面に押し付けられる。これにより、操作ボタン44が押込み位置にガタ無く保持される。
【0025】
ユニット本体41の下端部には、解除レバー(取外し部材)46の中間部が水平な軸47,47を介して上下方向へ回転可能(揺動可能)に設けられている。解除レバー46の一端部は、ガイド孔42の下端部に臨んで位置しており、他端部は、筒部42の内部に入り込んでいる。
【0026】
解除レバー46は、コイルばね48により、図14及び図15において時計方向へ回転付勢されている。この回転付勢力により、解除レバー46の一端部が操作ボタン44の下端面に押し付けられている。したがって、解除レバー46は、操作ボタン44の上下方向への移動に追随して回転させられる。この場合、解除レバー46は、操作ボタン44が下方へ移動すると、コイルばね48の付勢力に抗して反時計方向へ回転させられ、操作ボタン44が上方へ移動すると、コイルばね48によって時計方向へ回転させられる。そして、解除レバー46は、図3及び図15に示すように、操作ボタン44が初期位置しているときには取付位置に位置し、図1、図2及び図14に示すように、操作ボタン44が押込み位置に位置しているときには取外し位置に位置する。
【0027】
ここで、プラグ部22にソケットSが接続されていない非接続状態になっているものとする。非接続状態では、図1及び図2に示すように、操作ボタン44が押込み位置に位置するとともに、解除レバー46が取外し位置に位置している。プラグ部22にソケットSを外挿すると、ソケットSが解除レバー46の他端部を下方へ押し、解除レバー46を取外し位置から時計方向へ回転させるとともに、操作ボタン44を押込み位置から上方へ移動させる。図3に示すように、ソケットSがプラグ部22に所定の接続位置まで外挿されると、ソケットSがプラグ部22に接続される。また、ソケットSの接続位置までの外挿により、解除レバー46が取外し位置から取付位置まで回転させられるとともに、操作ボタン44が押込み位置から初期位置まで移動させられる。
【0028】
逆に、ソケットSがプラグ部22に接続された状態において、操作ボタン44を初期位置から取外し位置まで移動させると、解除レバー46が取付位置から取外し位置まで回転し、ソケットSを上方へ押す。すると、ソケットSのプラグ部22への接続状態が解除され、ソケットSがプラグ部22から取り外される。なお、ソケットSのプラグ部22への接続構造は、周知であるのでその詳細な説明は省略する。また、ソケットSをプラグ部22から取り外すための構造は、前記の構造に限定されるものでなく、周知の他の構造を採用してもよい。
【0029】
図1〜図3に示すように、操作ボタン44の頭部44aの上面には、副操作ボタン5が載置されている。副操作ボタン5は、操作ボタン44と一緒に上下方向へ移動する。そこで、操作ボタン44が初期位置しているときの副操作ボタン5の位置も初期位置と称し、操作ボタン44が取外し位置に位置しているときの副操作ボタン5の位置も取外し位置と称する。
【0030】
特に図16〜図19に示すように、副操作ボタン5の下面には、位置決め凹部51が形成されている。この位置決め凹部51は、頭部44aと同一の平面視形状を有している。つまり、位置決め凹部51は、平面視略長方形状をなしている。位置決め凹部51には、頭部44aが上下方向へは着脱可能に、水平方向へは移動不能に挿入されている。勿論、頭部44aは、位置決め凹部51に回転不能に挿入されている。位置決め凹部51に頭部44aが挿入されることにより、副操作ボタン5の操作ボタン44に対する水平方向の位置決め、及び水平面内における回転姿勢決めがなされている。位置決め凹部51は、その平面視形状を必ずしも頭部44aと同一にする必要がなく、頭部44aが位置決め凹部51に上下方向へは着脱可能に、水平方向へは移動不能に、かつ回転不能に挿入されるものであれば、頭部44aと異なる平面視形状にしてもよい。位置決め凹部51の深さは、頭部44aの上下方向の厚さ(上下方向の寸法)より浅くなっている。したがって、位置決め凹部51に頭部44aを挿入すると、位置決め凹部51の底面だけが頭部44aの上面に接触し、副操作ボタン5の他の部分がユニット本体41及び頭部44aの各上面に接触することはない。
【0031】
副操作ボタン5の上面には、突出部52が形成されている。この突出部52は、頭部44aと同一の平面視形状を有している。しかも、突出部52は、頭部44aと水平方向において同一位置に配置されている。したがって、副操作ボタン5の突出部52を他の副操作ボタン、例えば他の副操作ボタン5の位置決め凹部51に挿入することにより、副操作ボタン5の上に他の副操作ボタン5を重ねることができる。突出部52は、他の副操作ボタンの位置決め凹部に挿脱可能に、かつ水平方向へ移動不能に嵌合することができる限り、頭部44aと異なる平面視形状に形成してもよく、さらに頭部44aと水平方向において異なる位置に配置してもよい。
【0032】
図1〜図3に示すように、床板Fの上面には、取付板6が載置されている。取付板6は、特に図9に示すように、金属製の薄い板材からなるものであり、略長方形の枠状に形成されている。取付板6は、貫通孔Faを覆うように配置されている。しかも、平面視において取付板6の内側にプラグ部22及び副操作ボタン5が位置するように、取付板6が配置されている。取付板6は、これを上下に貫通してカバー3に螺合されたビスB2,B2を締め付けることにより、床板Fの上面に押圧固定されている。
【0033】
取付板6には、化粧板7が着脱可能に取り付けられている。化粧板7は、平面視略正方形の枠状をなしており、取付板6を覆って室内から見えないようにすることができるだけの大きさ及び形状を有している。化粧板7の中央部には、窓孔71が形成されている。この窓孔71は、平面視したときに窓孔71の内側にプラグ部22及び副操作ボタン5が位置するのみならず、その内部を通してソケットSをプラグ部22に接続することができ、さらに指を挿入して副操作ボタン5を初期位置から取外し位置まで押し下げることができるように、その形状及び大きさ並びに水平方向の位置が定められている。
【0034】
なお、図5に示すように、窓孔71の図5における上下方向の幅は、同方向における副操作ボタン5の寸法より小さくなっている。したがって、化粧板7が取付板6に取り付けられた状態では、副操作ボタン5を図5の上側へ取り外すことができない。取付板6の内側の図6における上下方向の寸法は、副操作ボタン5が上下方向へ通り抜けることができるような寸法に設定されている。したがって、化粧板7を取り外すことにより、副操作ボタン5を室内I側に取り外すことができ、さらに他の副操作ボタンを室内I側から取付板6内を通して頭部44aに載置することができる。
【0035】
窓孔71には、蓋体72が装着されている。蓋体72は、図1に示す閉位置と図2に示す開位置との間を変位可能である。蓋体72は、閉位置に位置しているときには、窓孔71全体を閉じる。その一方、蓋体72は、開位置に位置しているときには、窓孔71の一端部(図2において左端部)に移動するととともに、上下に起立した状態になり、蓋体72自体が存在する部分を除いて窓孔71を開く。
【0036】
化粧板7には、その下面から下方に延びるガイド部73が形成されている。このガイド部73は略筒状をなしており、上下の両端部が開放されている。ガイド部73には、副操作ボタン5が上下方向へは移動可能、かつ水平方向へ移動不能、かつ回転不能に挿入されている。これにより、副操作ボタン5がガタなく上下方向へ移動することができるようになっている。勿論、ガイド部73が上方へ開放されているので、窓孔71からガイド部73内に指を挿入して副操作ボタン5を押し下げることができる。
【0037】
前記構成の床下埋設型ガス栓1を設置する方法の一例について家屋の施工手順にしたがって説明する。ガス栓1の設置は、家屋の根太が設けられ、その下側の空間に鉄その他の剛性を有する一次側ガス管の配管された後に行われる。ガス栓1の設置に際しては、一次側ガス管の先端部(下流側の端部)の外周面にテーパ雄ねじ部を予め形成しておく。また、ガス栓本体2にカバー3を予め取り付けておく。
【0038】
このように準備した後、まず一次側ガス管のテーパ雄ねじ部を、ガス栓本体2のガス管接続部21に開口するガス通路23に螺合固定する。これにより、ガス栓本体2を一次側ガス管に支持させる。その後、カバー3を根太に固定する。カバー3の根太への固定は、ガス栓本体2のガス管への螺合固定前に行ってもよい。ここまでの作業は、根太に床板Fが載置固定される前に行われる。
【0039】
根太に床板Fが載置された後、床板Fには、図20に示すように、貫通孔Faが形成される。次に、取付板6にビスB2を挿通してカバー3に螺合させる。そして、ビスB2を締め付けることにより、取付板6を床板Fの上面に押圧固定する。その後、操作ボタン44の頭部44aに副操作ボタン5を載置する。副操作ボタン5の頭部44aへの載置は、取付板6の床板Fへの固定の前に行ってもよい。なお、図21には、副操作ボタン5が省略されている。次に、化粧板7を取付板6に取り付ける。これにより、ガス栓1の設置が完了する。
【0040】
ガス栓1のプラグ部22にソケットSを接続する場合には、まず蓋体72を開く。次に、ソケットSを室内I側から窓孔71を通して筒部42に挿入し、プラグ部22に外挿する。ソケットSをプラグ部22に対して所定の接続位置まで外挿すると、ソケットSがプラグ部22に室内側へ抜き取り不能に接続される。このとき、ソケットSのプラグ部22への外挿に伴って副操作ボタン5が操作ボタン44と共に押込み位置から初期位置まで上方へ移動させられ、解除レバー46が取外し位置から取付位置まで回転させられている。
【0041】
ソケットSをプラグ部22から取り外す場合には、窓孔71からガイド部73内に指を挿入し、副操作ボタン5及び操作ボタン44を下方へ押す。副操作ボタン5及び操作ボタン44を初期位置から押込み位置まで押すと、解除レバー46が取付位置から取外し位置まで回転させられ、それによってソケットSがプラグ部22から取り外される。その後、ソケットSを窓孔71から室内側へ引き出す。そして、蓋体72を閉位置に戻す。
【0042】
前記構成の床下埋設型ガス栓1においては、副操作ボタン5が操作ボタン44の上に載置されているだけであるから、副操作ボタン5の上下方向の位置を調節するための位置調節ボルトが不要である。したがって、その分だけガス栓1の部品点数を減らすことができ、ガス栓1の製造費を低減することができる。しかも、副操作ボタン5を操作ボタン44に載置するだけであり、位置調節ボルトを副操作ボタン5に対して相対回転させる必要が全くない。したがって、ガス栓1の設置費用を低減することができる。
【0043】
また、ガス栓本体2の上下方向の取付位置(床板Fの上面からのガス栓本体2までの距離)に対応して、副操作ボタン5と異なる高さ(上下方向の厚さ)を有する他の副操作ボタンを用いることにより、副操作ボタンの上面を、化粧板7に突き当たらない範囲において指での操作に適した位置に位置させることができる。
【0044】
例えば、図22は、ガス栓本体2の取付位置が前記第1実施の形態の取付位置より高い場合の実施の形態(第2実施の形態)を示すものである。この第2実施の形態の床下埋設型ガス栓1Aにおいては、前記実施の形態の副操作ボタン5に代えて副操作ボタン5Aが採用されている。この副操作ボタン5Aは、その高さが副操作ボタン5の高さより低い点を除き、副操作ボタン5と同一に構成されている。したがって、副操作ボタン5Aは操作ボタン44の頭部44aに載置することができる。そして、高さの低い副操作ボタン5Aを用いることにより、ガス栓本体2が上側に設置された分を吸収し、副操作ボタン5Aの上面を、化粧板7に突き当たらず、しかも指で操作し易い位置に位置させることができる。なお、ガス栓1Aは、副操作ボタン5に代えて副操作ボタン5Aが用いられている点を除き、前記実施の形態のガス栓1と同様に構成されているので、同様な部分に同一符号を付してその説明を省略する。この点は、次に述べる実施の形態についても同様である。
【0045】
図23は、ガス栓本体2の取付位置が前記実施の形態の取付位置より低い場合の実施の形態(第3実施の形態)を示すものである。この第3実施の形態の床下埋設型ガス栓1Bにおいては、第1実施の形態において用いられている副操作ボタン5と、第2実施の形態において用いられている副操作ボタン5Aが同時に用いられている。すなわち、副操作ボタン5の突出部52の上面に副操作ボタン5Aの位置決め凹部51の底面が載置されている。したがって、このガス栓1Bによれば、副操作ボタン5Aの上面が指によって押圧操作されることになり、第1の実施の形態に対し、指による操作面の位置を、副操作ボタン5の高さの分だけ高くすることができる。よって、ガス栓本体2の取付位置が低い場合であっても操作ボタン5Aの操作性を良好なものにすることができる。なお、副操作ボタン5Aを操作ボタン44の上に載置し、副操作ボタン5Aの上に副操作ボタン5を載置してもよい。さらに、操作ボタン44の上に三つ以上の副操作ボタンを順次載置してもよい。
【0046】
図24〜図33は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態の床下埋設型ガス栓1Cにおいては、副操作ボタン5に代えて副操作ボタン(副操作部材)5Bが用いられるとともに、キャップ8が新たに採用されている。
【0047】
副操作ボタン5Bには、特に図30〜図33に示すように、板部53が形成されている。板部53は、平面視略三角形状をなしており、副操作ボタン5Bのプラグ部22側を向く側面に配置されている。板部53には、これを上下方向に貫通する貫通孔54が形成されている。その他の構成は、副操作ボタン5と同様である。
【0048】
キャップ8は、特に図26〜図29に示すように、比較的硬質ではあるが弾性変形可能である硬質ゴムその他の樹脂からなるものであり、被覆部81及び連結部82を有している。
【0049】
被覆部81は、円形の平板状に形成されている。図24に示すように、被覆部81の外径は、プラグ部22の外径と同等かそれより若干大径になっている。被覆部81の一方の面(図27〜図29において下面)には、嵌合突起81aが形成されている。この嵌合突起81aは、断面円形をなしており、その軸線を被覆部81の軸線と一致させて配置されている。嵌合突起81aの外径は、プラグ部22の内径より僅かに大径になっている。したがって、嵌合突起81aは、プラグ部22の内部にその先端開口部から圧入することができる。そして、嵌合突起81aがプラグ部22の内周に圧入されることにより、被覆部81がプラグ部22に所定の大きさの力で着脱可能に取り付けられている。しかも、被覆部81は、その軸線をプラグ部22の軸線と一致させた状態でプラグ部22に取り付けられる。したがって、被覆部81をプラグ部22に装着すると、プラグ部22の先端面が被覆部81によって覆われる。
【0050】
嵌合突起81aが形成された被覆部81の一方の面には、環状凹部81bが形成されている。環状凹部81bは、嵌合突起81aを囲むように形成されており、内周部が嵌合突起81aに接するように配置されている。環状凹部81bは、プラグ部22の先端面のうちの、テーパ部22aの小径側の端部及び当該端部の内側に続く平面部22bと同一の断面形状を有している。したがって、被覆部81の一方の面がプラグ部22に接するまで嵌合突起81aをプラグ部22に挿入すると、環状凹部81bの底面がテーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bに密に接触する。これにより、テーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bにゴミ等が付着することが防止される。ここで、テーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bは、プラグ部22にソケットSを接続したときにソケットSにパッキン等のシール部材を介して接触する部分である。したがって、ガス栓1Cの不使用時には被覆部81をプラグ部22に装着しておくことにより、ソケットSをプラグ部22に接続したときに、それらの接触面間にゴミ等が介在することを防止することができる。よって、プラグ部22とソケットSとを気密に接続することができる。
【0051】
被覆部81の他方の面(図27〜図29において上面)には、把持突出部81cが形成されている。把持突出部81cは、被覆部81をプラグ22から取り外す際に用いられるものであり、窓孔71から指を差し込んで把持突出部81cを把持し、把持突出部81cを上方へ持ち上げることにより、把持部81がプラグ部22から取り外される。ここで、窓孔71から指を差し込む距離は、把持突出部81cの突出量の分だけ短くすることができ、その分だけ被覆部81のプラグ部22からの取り外しを容易に行うことができる。したがって、把持突出部81cは、化粧板7の上面からプラグ部22までの距離が長い場合に形成すると便利である。逆に、化粧板7の上面からプラグ部22までの距離が短い場合には、把持突出部81cは必ずしも形成する必要がない。把持突出部81cを形成しない場合には、被覆部81の外周面を指で把持して上方へ持ち上げることにより、被覆部81をプラグ部22から取り外すことができる。
【0052】
被覆部81の外周面の一側部には、連結部82の基端部が被覆部81と一体に形成されている。連結部82は、被覆部81と別体に形成し、その一端部(基端部)を接着その他の手段によって固着してもよい。連結部82の先端部は、被覆部81から離間するように被覆部81の径方向へ向かって延びている。連結部82は、必ずしも被覆部81の径方向へ延ばすことなく、径方向に対して傾斜した方向に延ばしてもよい。連結部82は、上記のように弾性を有する樹脂によって構成され、しかも細長く形成されているので、弾性変形可能である。連結部82は、変形可能であれば、弾性的に変形可能である必要はない。例えば、紐状体のように変形可能で、かつその変形された状態を維持するようなものによって連結部82を構成してもよい。
【0053】
連結部82の先端部には、一対の抜け止め突起82aが形成されている。一対の抜け止め突起82aは、連結部82の周方向へ180°離れて配置されている。抜け止め突起82aは、連結部82の先端から基端側へ向かうにしたがって連結部82から離間するように傾斜させられている。したがって、一対の抜け止め突起82a,82aの間隔は、連結部82の先端から基端側へ向かうにしたがって大きくなっており、抜け止め突起82aの先端において最も大きくなっている。一対の抜け止め突起82a,82aの先端部(連結部82の基端側の端部)における外側の間隔は、副操作ボタン5Bの貫通孔54の内径より大きくなっている。しかし、一対の抜け止め突起82a、82aは、それらの先端部が互いに接近するように弾性変形することによって貫通孔54を通り抜け可能であり、図33に示すように、貫通孔54を通り抜けた後には弾性的に復帰変形する。これによって、連結部82が貫通孔54に対して抜け止め状態で挿通され、キャップ8が副操作ボタン5Bに連結部82を介して取り付けられている。
【0054】
キャップ8は、副操作ボタン5Aが副操作ボタン5Bに代えて又は副操作ボタン5Bと共に用いられる場合には、副操作ボタン5Aに取り付けてもよい。あるいは、キャップ8を操作ボタン5に取り付けてもよい。
【0055】
上記構成のガス栓1Cの不使用時には、蓋体72によって窓孔71を閉じておくとともに、被覆部81でプラグ部22の先端部を覆っておく。ガス栓1Cを使用する場合には、まず蓋体72を回動変位させて窓孔71を開く。次に、被覆部81をプラグ部22から取り外す。ここで、連結部82が副操作ボタン5Bに抜け止め状態で取り付けられているので、被覆部81をプラグ部22から取り外した後にキャップ8が紛失するような事態を未然に防止することができる。その後、プラグ部22にソケットSを接続する。このとき、プラグ部22のソケットSと接触する先端部、つまりテーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bにゴミ等が介在することが無いので、プラグ部22とソケットSとを気密に接続することができる。なお、プラグ部22から取り外した被覆部81は、ソケットSのプラグ部22への接続の邪魔にならないよう、図25に示すように、副操作ボタン5Bとガイド部73との間に挟み込んでおく。ガス栓1Cの使用が終了したら、ソケットSをプラグ部22から取り外す。次に、プラグ部22に被覆部81を取り付ける。その後、蓋体72によって窓孔71を閉じる。
【0056】
図34及び図35は、前記ユニット本体41に代えて用いられるユニット本体(支持部材)41Aを示している。ユニット本体41Aには、これを上下に貫通する貫通孔41aが形成されている。この貫通孔41aは、ガイド孔43に近接して配置されている。ユニット本体41Aの他の構成は、ユニット本体41と同様である。
【0057】
ユニット本体41Aには、キャップ8が取り付けられている。すなわち、貫通孔41aには、キャップ8の連結部82の先端部が一対の突起82a,82aによって抜け止め状態で挿通されている。これにより、キャップ8がユニット本体41Aに取り付けられている。
【0058】
なお、この発明は、前記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用可能である。
例えば、前記の実施の形態においては、埋設型ガス栓1が床板Fの下側に配置され、根太を介して床板Fに固定されているが、床板Fに直接固定してもよい。また、この発明に係る埋設型ガス栓1は、壁板(図示せず)の室外側に配置してもよい。その場合には、ガス栓本体2のプラグ部22が水平な室内外方向の内側に向けた状態で、ガス栓本体2が壁板に直接設けられ、あるいは壁板が支持される桟木等の壁板を含む壁の構成部材に設けられる。勿論、操作ボタン44及び副操作ボタン5Aは、室内外方向へ移動させられる。
また、前記の実施の形態においては、ガス栓本体2が根太及び/又は一次側ガス管に支持されているが、床板を取付板6と床板Fより下側に配置された一対の挟持片とによって床板Fを挟持することにより、ガス栓本体2を床板に固定するものであってもよい。その場合には、ガス栓本体2の取付位置が床板Fの厚さに応じて変化することになる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、壁板の内面からガス栓本体までの水平方向の距離、あるいは床板の上面からガス栓本体までの上下方向の距離が、ガス栓の設置箇所に応じて変わるような埋設型ガス栓に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
I 室内
F 床板
Fa 貫通孔
O 室外
S ソケット
1 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
1A 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
1B 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
1C 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
2 ガス栓本体
5 副操作ボタン(副操作部材)
5A 副操作ボタン(副操作部材)
5B 副操作ボタン(副操作部材)
7 化粧板
8 キャップ
22 プラグ部
41 ユニット本体
41A ユニット本体(支持部材)
44 操作ボタン(操作部材)
46 解除レバー(取外し部材)
51 位置決め凹部
52 突出部
73 ガイド部
81 被覆部
82 連結部
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁板を含む壁の構成部材又は床板を含む床の構成部材に設けられる埋設型ガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、埋設型ガス栓の一つとして床下埋設型ガス栓がある。床下埋設型ガス栓は、ガス栓本体を有している。ガス栓本体は、プラグ部を有しており、このプラグ部を上方に向けた状態で床板の下側に配置されている。床板には、プラグ部と対向する貫通孔が形成されている。この貫通孔からソケットが挿入され、プラグ部に接続される。
【0003】
ガス栓本体には、取外し部材が設けられている。取外し部材は、プラグ部にソケットが接続されていない状態では取外し位置に位置しており、プラグ部ソケットが接続されるとソケットによって取外し位置から取付位置まで移動させられる。
【0004】
ガス栓本体には、貫通孔を介して手動操作される操作部材が設けられている。操作部材を下方へ押すと、取外し部材が取付位置から取外し位置まで移動させられ、それによってソケットのプラグ部に対する接続状態が解除される。したがって、ソケットをプラグ部から取り外すことができる。
【0005】
ところで、床板の上面から操作部材までの距離は、ガス栓本体の取付位置によって定まるものであり、ガス栓本体の取付位置は、ガス栓本体に接続されるガス管の位置等に応じて変化する。ガス栓本体の取付位置が通常の取付位置に対して下側であると、操作部材が床板の上面から下方へ大きく離間する。この結果、操作部材の押し下げ操作が困難になる。逆に、ガス栓本体の取付位置が通常の取付位置より上側であると、操作部材が床板の貫通孔及びその近傍を覆う化粧板に突き当ってしまい、化粧板を床板に取り付けることができなくなるおそれがある。
【0006】
このような不都合を解消するために、下記特許文献1に記載のものにおいては、ガス栓本体に長手方向を上下方向に向けたねじ部材を設け、このねじ部材に操作部材を螺合させている。したがって、操作部材は、ねじ部材に対して正逆方向へ適宜に回転させることによって上下方向へ位置調節することができ、それによってガス栓本体の取付位置の変化を吸収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−205015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載の床下埋設型ガス栓においては、位置調節のためのねじ部材を必要とし、その分だけ部品点数が増える。このため、ガス栓の製造費が高くなるという問題があった。また、操作部材をねじ部材に対して回転させる必要がある。この場合、操作部材の周囲が開放されているならば、操作部材の回転を容易に行うことができるが、操作部材は床板に形成された貫通孔内に配置されている。しかも、貫通孔はできる限り小さく形成されている。このため、操作部材を回転させ難く、操作部材の位置調節に多くの手間を要するという問題があった。このような問題は、壁板に対して室外側に配置される埋設型ガス栓も同様である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、前記の問題を解決するために、壁板又は床板に対して室外側に配置されるガス栓本体と、前記ガス栓本体を、前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段と、前記ガス栓本体に具備され、前記壁板又は前記床板に形成された貫通孔に室内側から挿入されたソケットが着脱可能に接続されるプラグ部と、前記プラグ部に接続された前記ソケットを接続解除する為の取外し部材と、前記取外し部材を解除操作する為に、前記ガス栓本体に室内外方向へ移動可能に設けられた操作部材とを有し、前記プラグ部に前記ソケットが接続されると、前記取外し部材が取外し位置から取付位置に変位し、これに伴い前記操作部材が室外側から室内側へ向かって押込み位置から初期位置に変位し、前記プラグ部に前記ソケットが接続された状態で、前記操作部材が室外側へ向かって前記初期位置から前記押込み位置に押込み操作されると、前記取外し部材が前記取付位置から前記取外し位置に変位し、これに伴い前記ソケットが前記プラグ部から接続解除される埋設型ガス栓であって、前記操作部材に対し前記貫通孔を通して室内から着脱着可能に装着される副操作部材を有することを特徴としている。
この場合、前記副操作部材の室外側を向く面に位置決め凹部が形成され、この位置決め凹部に前記操作部材の室内側の端部が室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合されていることが望ましい。
前記副操作部材は、複数用いられていてもよく、その場合には、複数の副操作部材が室内外方向に順次配置され、各副操作部材の室内側を向く面には、当該副操作部材に対して室内側に隣接する他の副操作部材の前記位置決め凹部に室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合する突出部が設けられていることが望ましい。
前記突出部が前記位置決め凹部に嵌合する前記操作部材の上端部と水平方向において同一位置に配置されていることが望ましい。
前記壁板又は前記床板の室内に臨む面には、前記壁板又は前記床板の前記貫通孔及びその近傍部分を覆う化粧板が着脱可能に設けられ、前記化粧板には、前記副操作部材を室内外方向へ移動可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能にガイドするガイド部が設けられていることが望ましい。
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記連結部の先端部が前記副操作部材に連結されていることが望ましい。
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記ガス栓本体には、これと別体である支持部材が取り付けられ、この支持部材に前記操作部材が室内外方向へ移動可能に設けられ、前記連結部の先端部が前記支持部材に連結されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
前記特徴構成を有するこの発明によれば、操作部材に副操作部材が設けられているので、ソケットをプラグから取り外す際には、副操作部材を室外側へ押すことになる。ここで、副操作部材の室外側の面の位置は、ガス栓本体の設置位置に応じて変化するが、ガス栓本体の設置位置が所定の位置より室外側である場合には副操作部材として高さが高い(室内外方向における寸法が大きい)副操作部材を用い、ガス栓本体の設置位置が所定の位置より室内側である場合には副操作部材として高さが低い(室内外方向における寸法が小さい)副操作部材を用いる。これにより、副操作部材の室内側の面を操作しやすい位置に位置させることができる。しかも、副操作部材は、操作部材に接触させるだけであるから、ねじ部材を用いた場合のような回転操作が不要である。したがって、ガス栓の設置に要する手間を軽減することができる。また、ねじ部材が不要であるから、その分だけガス栓の製造費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、この発明の第1実施の形態を、蓋体を閉じた状態で示す縦断面図である。
【図2】図2は、同実施の形態を、蓋体を開いた状態で示す縦断面図である。
【図3】図3は、同実施の形態を、プラグ部にソケットを接続した状態で示す図2と同様の断面図である。
【図4】図4は、同実施の形態を、蓋体を閉じた状態で示す平面図である。
【図5】図5は、同実施の形態を、蓋体を開いた状態で示す平面図である。
【図6】図6は、同実施の形態を、化粧板を削除した状態で示す平面図である。
【図7】図7は、同実施の形態を、化粧板及び取付板を削除した状態で示す平面図である。
【図8】図8は、同実施の形態を、化粧板、取付板及び外しユニットを削除した状態で示す平面図である。
【図9】図9は、同実施の形態の分解斜視図である。
【図10】図10は、同実施の形態において用いられている外しユニット及び副操作ボタンを示す分解斜視図である。
【図11】図11は、同実施の形態において用いられている外しユニットを示す平面図である。
【図12】図12は、同外しユニットの側面図である。
【図13】図13は、同外しユニットの底面図である。
【図14】図14は、図11のX−X線に沿う断面図である。
【図15】図15は、操作ボタンを初期位置に移動させた状態で示す図14と同様の断面図である。
【図16】図16は、同実施の形態において用いられている副操作ボタンを示す平面図である。
【図17】図17、同副操作ボタンの側面図である。
【図18】図18は、同副操作ボタンの底面図である。
【図19】図19は、図16のX−X線に沿う断面図である。
【図20】図20は、同実施の形態において用いられている取付板を床板の上面に固定する工程を示す斜視図である。
【図21】図21は、同実施の形態において用いられている化粧板を床板に取付板を介して取り付ける工程を示す斜視図である。
【図22】図22は、この発明の第2実施の形態を示す図2と同様の縦断面図である。
【図23】図23は、この発明の第3実施の形態を示す図2と同様の縦断面図である。
【図24】図24は、この発明の第4実施の形態を示す図1と同様の断面図である。
【図25】図25は、同実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【図26】図26は、同第4実施の形態において用いられているキャップを示す平面図である。
【図27】図27は、図26のX矢視図である。
【図28】図28は、図26のY矢視図である。
【図29】図29は、図26のZ−Z線に沿う断面図である。
【図30】図30は、同第4実施の形態において用いられている副操作ボタンを示す平面図である。
【図31】図31は、図30のX矢視図である。
【図32】図32は、同副操作ボタンをキャップが取り付けられた状態で示す平面図である。
【図33】図33は、図32のX−X線に沿う断面図である。
【図34】図34は、この発明の第1〜第3実施の形態において用いられている支持部材の変形例をキャップが取り付けられた状態で示す平面図である。
【図35】図35は、図34のX矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図21は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態は、この発明を床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)に適用したものである。そこで、まず床下埋設型ガス栓が設置される建物の床部の構造を簡単に説明すると、図1〜図3に示すように、水平に配置された根太(図示せず;床の構成部材)の上には、床板Fが載置固定されている。床板Fの適宜の箇所には、床板Fを上下方向(室内外方向)に貫通する貫通孔Faが形成されている。貫通孔Faは、断面円形であるが、断面正方形等の非円形であってもよい。
【0013】
次に、この発明に係る床下埋設型ガス栓について説明する。この実施の形態の床下埋設型ガス栓1は、特に図1〜図3及び図9に示すように、ガス栓本体2、カバー3、外しユニット4、副操作ボタン(副操作部材)5、取付板6、及び化粧板7を有している。
【0014】
ガス栓本体2は、特に図1〜図3、図8及び図9に示すように、ガス管接続部21及びプラグ部22を有している。ガス栓本体2の内部には、ガス管接続部21の先端面からプラグ部22の先端面まで延びるガス通路23(図9参照)が形成されている。ガス管接続部21には、一次側(供給側)のガス管(図示せず)が螺合その他の接続手段によって接続されている。このガス管からガス通路23にガスが供給される。一方、プラグ部22は、日本工業規格(JIS S2120)で定められた形状寸法を有しており、その先端面を上側(室内I側)に向けて設けられている。プラグ部22には、ソケットSが着脱可能に装着される。
【0015】
ガス栓本体2の内部には、開閉弁(図示せず)が設けられている。この開閉弁は、ソケットSがプラグ部22に接続されると、ガス通路23を開く。この結果、一次側のガス管からガス通路23に流入したガスが、ソケットS及び二次側のガス管(図示せず)を介してガス器具(図示せず)に供給される。開閉弁は、ソケットSがプラグ部22から取り外されると、ガス通路23を自動的に閉じる。
【0016】
カバー3は、特に図1〜図3及び図9に示すように、有底円筒状をなしており、その底部を下側(室外O側)に、その開口部を上側に位置させた状態で配置されている。カバー3の上端部は、貫通孔Faの下端部に挿脱可能に挿入されている。カバー3の上端部が貫通孔Faに挿入されることなく、カバー3全体が床板Fより下側に配置されることもある。
【0017】
カバー3の外周面には、二つの平坦部31が周方向に180°離れて形成されている。この二つの平坦部31が形成されることにより、カバー3は、実際には平面略視長円状になっている。平坦部31には、木ねじ(図示せず)がカバー3の内側から挿通されており、その木ねじを根太にねじ込んで締め付けることにより、平坦部31が根太の側面に押圧固定され、ひいてはカバー3が根太に固定されている。
【0018】
カバー3の内部には、ガス栓本体2が収容されている。ガス栓本体2は、カバー3にビスその他の固定手段(図示せず)によって固定されている。この結果、ガス栓本体2が根太にカバー3を介して支持されている。前記のように、ガス栓本体2は、一次側のガス管に接続され、そのガス管によっても支持されている。ガス管の支持強度が高い場合には、必ずしもカバー3を根太に固定する必要がない。逆に、カバー3を根太に固定する場合には、一次側のガス管として剛性の低いものを採用してもよい。例えば、フレキシブルガス管を一次側のガス管として採用してもよい。なお、ガス栓本体2をガス管によって支持させるとともに、カバー3を根太に固定する場合において、根太と平坦部31との間に大きな間隔がある場合には、根太にスペーサを固定し、このスペーサに平坦部31を固定すればよい。
【0019】
ガス栓本体2がカバー3の内部に収容され、かつカバー3の上端部が貫通孔Faに挿入されていることから明らかなように、ガス栓本体2のプラグ部22は、上方から見たとき、貫通孔Fa内に位置するように配置されている。しかも、このガス栓1においては、プラグ部22の先端部(上端部)がカバー3から上方に突出し、貫通孔Faの下端部に入り込んでいる。プラグ部22の先端部は、カバー3の上端より下側に位置させ、貫通孔Faに入り込まないようにしてもよい。カバー3の下端部には、切欠き部32が形成されている。この切欠き部32を通ってガス管接続部21がカバー3の外部に突出させられている。
【0020】
前記外しユニット4は、特に図9及び図10に示すように、ユニット本体41を有している。ユニット本体41は、カバー3の内部に収容されており、ガス栓本体2にビスB1,B1によって固定されている。ユニット本体41の水平方向の一端部(図1〜図3において右端部;図9において左端部)には、筒部42が形成されている。この筒部42は、その軸線を上下方向に向けて配置されている。筒部42の内部には、プラグ部22がその軸線を筒部42の軸線と一致させた状態で挿入されている。筒部42には、プラグ部22に接続されるソケットSが挿入される。そこで、筒部42は、その上端開口部からソケットSを挿脱することができるよう、ソケットSの最大外径より大きい内径を有している。
【0021】
特に図11、図14及び図15に示すように、ユニット本体41の水平方向の他端部には、ガイド孔43が形成されている。ガイド孔43は、断面略長方形状をなしており、ユニット本体41の他端部を上下方向に貫通している。ガイド孔43には、操作ボタン(操作部材)44が上下方向へは移動可能に、水平方向へは移動不能に挿入されている。しかも、ガイド孔43が非円形であるので、操作ボタン44は、ガイド孔43に回転不能に挿入され、それによって操作ボタン44の水平面内における回転が阻止され、操作ボタン44の姿勢が一定に維持されている。
【0022】
操作ボタン44は、図1、図2及び図14に示す押込み位置と、図3及び図15に示す初期位置との間を上下方向(室内外方向)へ移動可能である。操作ボタン44の押込み位置は、操作ボタン44の上端部に形成された頭部44aがユニット本体41の上面に突き当たることによって定められている。一方、操作ボタン44の初期位置は、ユニット本体41と操作ボタン43との間に設けられた係止機構45によって定められている。
【0023】
すなわち、操作ボタン44は、図10に示すように、略直方体の箱状をなしており、水平方向の一側部及び他側部が開放されている。図1〜図3、図14及び図15に示すように、操作ボタン44の底面の中央部には、係止片45aが形成されている。この係止片45aは、上方へ向かうにしたがって操作ボタン44の内側から外側へ向かうにように傾斜させられており、その上端部は、係止片45aに外力が作用しない自然状態では、操作ボタン44の開放部を通って外部に突出させられる。しかし、操作ボタン44がガイド孔43に挿入されているため、係止片45aの上端部は、係止片45a自体の弾性によってガイド孔43の内周面に押し付けられている。したがって、係止片45aの上端部は、操作ボタン44の上下方向への移動に伴ってガイド孔43の内周面を上下方向へ摺動する。ガイド孔43の内周面のうち、係止片44aの上端部が摺動する部分には、係止凹部45bが形成されている。図3及び図15に示すように、係止凹部45bの上端面に係止片45aの上端部が突き当たると、操作ボタン44が上方へ移動することができなくなる。このときの操作ボタン44の位置が初期位置である。
【0024】
ガイド孔43の内周面には、係合凹部45cが形成されている。この係合凹部45cは、係止凹部45bに隣接してその真下に配置されている。操作ボタン44が初期位置から下方へ移動して押込み位置に達すると、係止片45aの上端部が係合凹部45cに入り込む。すると、係合凹部45cの傾斜した底面と係止片45a自体の弾性とにより、係止片45aの上端部が下方へ付勢され、操作ボタン44の頭部44aがユニット本体41の上面に押し付けられる。これにより、操作ボタン44が押込み位置にガタ無く保持される。
【0025】
ユニット本体41の下端部には、解除レバー(取外し部材)46の中間部が水平な軸47,47を介して上下方向へ回転可能(揺動可能)に設けられている。解除レバー46の一端部は、ガイド孔42の下端部に臨んで位置しており、他端部は、筒部42の内部に入り込んでいる。
【0026】
解除レバー46は、コイルばね48により、図14及び図15において時計方向へ回転付勢されている。この回転付勢力により、解除レバー46の一端部が操作ボタン44の下端面に押し付けられている。したがって、解除レバー46は、操作ボタン44の上下方向への移動に追随して回転させられる。この場合、解除レバー46は、操作ボタン44が下方へ移動すると、コイルばね48の付勢力に抗して反時計方向へ回転させられ、操作ボタン44が上方へ移動すると、コイルばね48によって時計方向へ回転させられる。そして、解除レバー46は、図3及び図15に示すように、操作ボタン44が初期位置しているときには取付位置に位置し、図1、図2及び図14に示すように、操作ボタン44が押込み位置に位置しているときには取外し位置に位置する。
【0027】
ここで、プラグ部22にソケットSが接続されていない非接続状態になっているものとする。非接続状態では、図1及び図2に示すように、操作ボタン44が押込み位置に位置するとともに、解除レバー46が取外し位置に位置している。プラグ部22にソケットSを外挿すると、ソケットSが解除レバー46の他端部を下方へ押し、解除レバー46を取外し位置から時計方向へ回転させるとともに、操作ボタン44を押込み位置から上方へ移動させる。図3に示すように、ソケットSがプラグ部22に所定の接続位置まで外挿されると、ソケットSがプラグ部22に接続される。また、ソケットSの接続位置までの外挿により、解除レバー46が取外し位置から取付位置まで回転させられるとともに、操作ボタン44が押込み位置から初期位置まで移動させられる。
【0028】
逆に、ソケットSがプラグ部22に接続された状態において、操作ボタン44を初期位置から取外し位置まで移動させると、解除レバー46が取付位置から取外し位置まで回転し、ソケットSを上方へ押す。すると、ソケットSのプラグ部22への接続状態が解除され、ソケットSがプラグ部22から取り外される。なお、ソケットSのプラグ部22への接続構造は、周知であるのでその詳細な説明は省略する。また、ソケットSをプラグ部22から取り外すための構造は、前記の構造に限定されるものでなく、周知の他の構造を採用してもよい。
【0029】
図1〜図3に示すように、操作ボタン44の頭部44aの上面には、副操作ボタン5が載置されている。副操作ボタン5は、操作ボタン44と一緒に上下方向へ移動する。そこで、操作ボタン44が初期位置しているときの副操作ボタン5の位置も初期位置と称し、操作ボタン44が取外し位置に位置しているときの副操作ボタン5の位置も取外し位置と称する。
【0030】
特に図16〜図19に示すように、副操作ボタン5の下面には、位置決め凹部51が形成されている。この位置決め凹部51は、頭部44aと同一の平面視形状を有している。つまり、位置決め凹部51は、平面視略長方形状をなしている。位置決め凹部51には、頭部44aが上下方向へは着脱可能に、水平方向へは移動不能に挿入されている。勿論、頭部44aは、位置決め凹部51に回転不能に挿入されている。位置決め凹部51に頭部44aが挿入されることにより、副操作ボタン5の操作ボタン44に対する水平方向の位置決め、及び水平面内における回転姿勢決めがなされている。位置決め凹部51は、その平面視形状を必ずしも頭部44aと同一にする必要がなく、頭部44aが位置決め凹部51に上下方向へは着脱可能に、水平方向へは移動不能に、かつ回転不能に挿入されるものであれば、頭部44aと異なる平面視形状にしてもよい。位置決め凹部51の深さは、頭部44aの上下方向の厚さ(上下方向の寸法)より浅くなっている。したがって、位置決め凹部51に頭部44aを挿入すると、位置決め凹部51の底面だけが頭部44aの上面に接触し、副操作ボタン5の他の部分がユニット本体41及び頭部44aの各上面に接触することはない。
【0031】
副操作ボタン5の上面には、突出部52が形成されている。この突出部52は、頭部44aと同一の平面視形状を有している。しかも、突出部52は、頭部44aと水平方向において同一位置に配置されている。したがって、副操作ボタン5の突出部52を他の副操作ボタン、例えば他の副操作ボタン5の位置決め凹部51に挿入することにより、副操作ボタン5の上に他の副操作ボタン5を重ねることができる。突出部52は、他の副操作ボタンの位置決め凹部に挿脱可能に、かつ水平方向へ移動不能に嵌合することができる限り、頭部44aと異なる平面視形状に形成してもよく、さらに頭部44aと水平方向において異なる位置に配置してもよい。
【0032】
図1〜図3に示すように、床板Fの上面には、取付板6が載置されている。取付板6は、特に図9に示すように、金属製の薄い板材からなるものであり、略長方形の枠状に形成されている。取付板6は、貫通孔Faを覆うように配置されている。しかも、平面視において取付板6の内側にプラグ部22及び副操作ボタン5が位置するように、取付板6が配置されている。取付板6は、これを上下に貫通してカバー3に螺合されたビスB2,B2を締め付けることにより、床板Fの上面に押圧固定されている。
【0033】
取付板6には、化粧板7が着脱可能に取り付けられている。化粧板7は、平面視略正方形の枠状をなしており、取付板6を覆って室内から見えないようにすることができるだけの大きさ及び形状を有している。化粧板7の中央部には、窓孔71が形成されている。この窓孔71は、平面視したときに窓孔71の内側にプラグ部22及び副操作ボタン5が位置するのみならず、その内部を通してソケットSをプラグ部22に接続することができ、さらに指を挿入して副操作ボタン5を初期位置から取外し位置まで押し下げることができるように、その形状及び大きさ並びに水平方向の位置が定められている。
【0034】
なお、図5に示すように、窓孔71の図5における上下方向の幅は、同方向における副操作ボタン5の寸法より小さくなっている。したがって、化粧板7が取付板6に取り付けられた状態では、副操作ボタン5を図5の上側へ取り外すことができない。取付板6の内側の図6における上下方向の寸法は、副操作ボタン5が上下方向へ通り抜けることができるような寸法に設定されている。したがって、化粧板7を取り外すことにより、副操作ボタン5を室内I側に取り外すことができ、さらに他の副操作ボタンを室内I側から取付板6内を通して頭部44aに載置することができる。
【0035】
窓孔71には、蓋体72が装着されている。蓋体72は、図1に示す閉位置と図2に示す開位置との間を変位可能である。蓋体72は、閉位置に位置しているときには、窓孔71全体を閉じる。その一方、蓋体72は、開位置に位置しているときには、窓孔71の一端部(図2において左端部)に移動するととともに、上下に起立した状態になり、蓋体72自体が存在する部分を除いて窓孔71を開く。
【0036】
化粧板7には、その下面から下方に延びるガイド部73が形成されている。このガイド部73は略筒状をなしており、上下の両端部が開放されている。ガイド部73には、副操作ボタン5が上下方向へは移動可能、かつ水平方向へ移動不能、かつ回転不能に挿入されている。これにより、副操作ボタン5がガタなく上下方向へ移動することができるようになっている。勿論、ガイド部73が上方へ開放されているので、窓孔71からガイド部73内に指を挿入して副操作ボタン5を押し下げることができる。
【0037】
前記構成の床下埋設型ガス栓1を設置する方法の一例について家屋の施工手順にしたがって説明する。ガス栓1の設置は、家屋の根太が設けられ、その下側の空間に鉄その他の剛性を有する一次側ガス管の配管された後に行われる。ガス栓1の設置に際しては、一次側ガス管の先端部(下流側の端部)の外周面にテーパ雄ねじ部を予め形成しておく。また、ガス栓本体2にカバー3を予め取り付けておく。
【0038】
このように準備した後、まず一次側ガス管のテーパ雄ねじ部を、ガス栓本体2のガス管接続部21に開口するガス通路23に螺合固定する。これにより、ガス栓本体2を一次側ガス管に支持させる。その後、カバー3を根太に固定する。カバー3の根太への固定は、ガス栓本体2のガス管への螺合固定前に行ってもよい。ここまでの作業は、根太に床板Fが載置固定される前に行われる。
【0039】
根太に床板Fが載置された後、床板Fには、図20に示すように、貫通孔Faが形成される。次に、取付板6にビスB2を挿通してカバー3に螺合させる。そして、ビスB2を締め付けることにより、取付板6を床板Fの上面に押圧固定する。その後、操作ボタン44の頭部44aに副操作ボタン5を載置する。副操作ボタン5の頭部44aへの載置は、取付板6の床板Fへの固定の前に行ってもよい。なお、図21には、副操作ボタン5が省略されている。次に、化粧板7を取付板6に取り付ける。これにより、ガス栓1の設置が完了する。
【0040】
ガス栓1のプラグ部22にソケットSを接続する場合には、まず蓋体72を開く。次に、ソケットSを室内I側から窓孔71を通して筒部42に挿入し、プラグ部22に外挿する。ソケットSをプラグ部22に対して所定の接続位置まで外挿すると、ソケットSがプラグ部22に室内側へ抜き取り不能に接続される。このとき、ソケットSのプラグ部22への外挿に伴って副操作ボタン5が操作ボタン44と共に押込み位置から初期位置まで上方へ移動させられ、解除レバー46が取外し位置から取付位置まで回転させられている。
【0041】
ソケットSをプラグ部22から取り外す場合には、窓孔71からガイド部73内に指を挿入し、副操作ボタン5及び操作ボタン44を下方へ押す。副操作ボタン5及び操作ボタン44を初期位置から押込み位置まで押すと、解除レバー46が取付位置から取外し位置まで回転させられ、それによってソケットSがプラグ部22から取り外される。その後、ソケットSを窓孔71から室内側へ引き出す。そして、蓋体72を閉位置に戻す。
【0042】
前記構成の床下埋設型ガス栓1においては、副操作ボタン5が操作ボタン44の上に載置されているだけであるから、副操作ボタン5の上下方向の位置を調節するための位置調節ボルトが不要である。したがって、その分だけガス栓1の部品点数を減らすことができ、ガス栓1の製造費を低減することができる。しかも、副操作ボタン5を操作ボタン44に載置するだけであり、位置調節ボルトを副操作ボタン5に対して相対回転させる必要が全くない。したがって、ガス栓1の設置費用を低減することができる。
【0043】
また、ガス栓本体2の上下方向の取付位置(床板Fの上面からのガス栓本体2までの距離)に対応して、副操作ボタン5と異なる高さ(上下方向の厚さ)を有する他の副操作ボタンを用いることにより、副操作ボタンの上面を、化粧板7に突き当たらない範囲において指での操作に適した位置に位置させることができる。
【0044】
例えば、図22は、ガス栓本体2の取付位置が前記第1実施の形態の取付位置より高い場合の実施の形態(第2実施の形態)を示すものである。この第2実施の形態の床下埋設型ガス栓1Aにおいては、前記実施の形態の副操作ボタン5に代えて副操作ボタン5Aが採用されている。この副操作ボタン5Aは、その高さが副操作ボタン5の高さより低い点を除き、副操作ボタン5と同一に構成されている。したがって、副操作ボタン5Aは操作ボタン44の頭部44aに載置することができる。そして、高さの低い副操作ボタン5Aを用いることにより、ガス栓本体2が上側に設置された分を吸収し、副操作ボタン5Aの上面を、化粧板7に突き当たらず、しかも指で操作し易い位置に位置させることができる。なお、ガス栓1Aは、副操作ボタン5に代えて副操作ボタン5Aが用いられている点を除き、前記実施の形態のガス栓1と同様に構成されているので、同様な部分に同一符号を付してその説明を省略する。この点は、次に述べる実施の形態についても同様である。
【0045】
図23は、ガス栓本体2の取付位置が前記実施の形態の取付位置より低い場合の実施の形態(第3実施の形態)を示すものである。この第3実施の形態の床下埋設型ガス栓1Bにおいては、第1実施の形態において用いられている副操作ボタン5と、第2実施の形態において用いられている副操作ボタン5Aが同時に用いられている。すなわち、副操作ボタン5の突出部52の上面に副操作ボタン5Aの位置決め凹部51の底面が載置されている。したがって、このガス栓1Bによれば、副操作ボタン5Aの上面が指によって押圧操作されることになり、第1の実施の形態に対し、指による操作面の位置を、副操作ボタン5の高さの分だけ高くすることができる。よって、ガス栓本体2の取付位置が低い場合であっても操作ボタン5Aの操作性を良好なものにすることができる。なお、副操作ボタン5Aを操作ボタン44の上に載置し、副操作ボタン5Aの上に副操作ボタン5を載置してもよい。さらに、操作ボタン44の上に三つ以上の副操作ボタンを順次載置してもよい。
【0046】
図24〜図33は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態の床下埋設型ガス栓1Cにおいては、副操作ボタン5に代えて副操作ボタン(副操作部材)5Bが用いられるとともに、キャップ8が新たに採用されている。
【0047】
副操作ボタン5Bには、特に図30〜図33に示すように、板部53が形成されている。板部53は、平面視略三角形状をなしており、副操作ボタン5Bのプラグ部22側を向く側面に配置されている。板部53には、これを上下方向に貫通する貫通孔54が形成されている。その他の構成は、副操作ボタン5と同様である。
【0048】
キャップ8は、特に図26〜図29に示すように、比較的硬質ではあるが弾性変形可能である硬質ゴムその他の樹脂からなるものであり、被覆部81及び連結部82を有している。
【0049】
被覆部81は、円形の平板状に形成されている。図24に示すように、被覆部81の外径は、プラグ部22の外径と同等かそれより若干大径になっている。被覆部81の一方の面(図27〜図29において下面)には、嵌合突起81aが形成されている。この嵌合突起81aは、断面円形をなしており、その軸線を被覆部81の軸線と一致させて配置されている。嵌合突起81aの外径は、プラグ部22の内径より僅かに大径になっている。したがって、嵌合突起81aは、プラグ部22の内部にその先端開口部から圧入することができる。そして、嵌合突起81aがプラグ部22の内周に圧入されることにより、被覆部81がプラグ部22に所定の大きさの力で着脱可能に取り付けられている。しかも、被覆部81は、その軸線をプラグ部22の軸線と一致させた状態でプラグ部22に取り付けられる。したがって、被覆部81をプラグ部22に装着すると、プラグ部22の先端面が被覆部81によって覆われる。
【0050】
嵌合突起81aが形成された被覆部81の一方の面には、環状凹部81bが形成されている。環状凹部81bは、嵌合突起81aを囲むように形成されており、内周部が嵌合突起81aに接するように配置されている。環状凹部81bは、プラグ部22の先端面のうちの、テーパ部22aの小径側の端部及び当該端部の内側に続く平面部22bと同一の断面形状を有している。したがって、被覆部81の一方の面がプラグ部22に接するまで嵌合突起81aをプラグ部22に挿入すると、環状凹部81bの底面がテーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bに密に接触する。これにより、テーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bにゴミ等が付着することが防止される。ここで、テーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bは、プラグ部22にソケットSを接続したときにソケットSにパッキン等のシール部材を介して接触する部分である。したがって、ガス栓1Cの不使用時には被覆部81をプラグ部22に装着しておくことにより、ソケットSをプラグ部22に接続したときに、それらの接触面間にゴミ等が介在することを防止することができる。よって、プラグ部22とソケットSとを気密に接続することができる。
【0051】
被覆部81の他方の面(図27〜図29において上面)には、把持突出部81cが形成されている。把持突出部81cは、被覆部81をプラグ22から取り外す際に用いられるものであり、窓孔71から指を差し込んで把持突出部81cを把持し、把持突出部81cを上方へ持ち上げることにより、把持部81がプラグ部22から取り外される。ここで、窓孔71から指を差し込む距離は、把持突出部81cの突出量の分だけ短くすることができ、その分だけ被覆部81のプラグ部22からの取り外しを容易に行うことができる。したがって、把持突出部81cは、化粧板7の上面からプラグ部22までの距離が長い場合に形成すると便利である。逆に、化粧板7の上面からプラグ部22までの距離が短い場合には、把持突出部81cは必ずしも形成する必要がない。把持突出部81cを形成しない場合には、被覆部81の外周面を指で把持して上方へ持ち上げることにより、被覆部81をプラグ部22から取り外すことができる。
【0052】
被覆部81の外周面の一側部には、連結部82の基端部が被覆部81と一体に形成されている。連結部82は、被覆部81と別体に形成し、その一端部(基端部)を接着その他の手段によって固着してもよい。連結部82の先端部は、被覆部81から離間するように被覆部81の径方向へ向かって延びている。連結部82は、必ずしも被覆部81の径方向へ延ばすことなく、径方向に対して傾斜した方向に延ばしてもよい。連結部82は、上記のように弾性を有する樹脂によって構成され、しかも細長く形成されているので、弾性変形可能である。連結部82は、変形可能であれば、弾性的に変形可能である必要はない。例えば、紐状体のように変形可能で、かつその変形された状態を維持するようなものによって連結部82を構成してもよい。
【0053】
連結部82の先端部には、一対の抜け止め突起82aが形成されている。一対の抜け止め突起82aは、連結部82の周方向へ180°離れて配置されている。抜け止め突起82aは、連結部82の先端から基端側へ向かうにしたがって連結部82から離間するように傾斜させられている。したがって、一対の抜け止め突起82a,82aの間隔は、連結部82の先端から基端側へ向かうにしたがって大きくなっており、抜け止め突起82aの先端において最も大きくなっている。一対の抜け止め突起82a,82aの先端部(連結部82の基端側の端部)における外側の間隔は、副操作ボタン5Bの貫通孔54の内径より大きくなっている。しかし、一対の抜け止め突起82a、82aは、それらの先端部が互いに接近するように弾性変形することによって貫通孔54を通り抜け可能であり、図33に示すように、貫通孔54を通り抜けた後には弾性的に復帰変形する。これによって、連結部82が貫通孔54に対して抜け止め状態で挿通され、キャップ8が副操作ボタン5Bに連結部82を介して取り付けられている。
【0054】
キャップ8は、副操作ボタン5Aが副操作ボタン5Bに代えて又は副操作ボタン5Bと共に用いられる場合には、副操作ボタン5Aに取り付けてもよい。あるいは、キャップ8を操作ボタン5に取り付けてもよい。
【0055】
上記構成のガス栓1Cの不使用時には、蓋体72によって窓孔71を閉じておくとともに、被覆部81でプラグ部22の先端部を覆っておく。ガス栓1Cを使用する場合には、まず蓋体72を回動変位させて窓孔71を開く。次に、被覆部81をプラグ部22から取り外す。ここで、連結部82が副操作ボタン5Bに抜け止め状態で取り付けられているので、被覆部81をプラグ部22から取り外した後にキャップ8が紛失するような事態を未然に防止することができる。その後、プラグ部22にソケットSを接続する。このとき、プラグ部22のソケットSと接触する先端部、つまりテーパ部22aの小径側の端部及び平面部22bにゴミ等が介在することが無いので、プラグ部22とソケットSとを気密に接続することができる。なお、プラグ部22から取り外した被覆部81は、ソケットSのプラグ部22への接続の邪魔にならないよう、図25に示すように、副操作ボタン5Bとガイド部73との間に挟み込んでおく。ガス栓1Cの使用が終了したら、ソケットSをプラグ部22から取り外す。次に、プラグ部22に被覆部81を取り付ける。その後、蓋体72によって窓孔71を閉じる。
【0056】
図34及び図35は、前記ユニット本体41に代えて用いられるユニット本体(支持部材)41Aを示している。ユニット本体41Aには、これを上下に貫通する貫通孔41aが形成されている。この貫通孔41aは、ガイド孔43に近接して配置されている。ユニット本体41Aの他の構成は、ユニット本体41と同様である。
【0057】
ユニット本体41Aには、キャップ8が取り付けられている。すなわち、貫通孔41aには、キャップ8の連結部82の先端部が一対の突起82a,82aによって抜け止め状態で挿通されている。これにより、キャップ8がユニット本体41Aに取り付けられている。
【0058】
なお、この発明は、前記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用可能である。
例えば、前記の実施の形態においては、埋設型ガス栓1が床板Fの下側に配置され、根太を介して床板Fに固定されているが、床板Fに直接固定してもよい。また、この発明に係る埋設型ガス栓1は、壁板(図示せず)の室外側に配置してもよい。その場合には、ガス栓本体2のプラグ部22が水平な室内外方向の内側に向けた状態で、ガス栓本体2が壁板に直接設けられ、あるいは壁板が支持される桟木等の壁板を含む壁の構成部材に設けられる。勿論、操作ボタン44及び副操作ボタン5Aは、室内外方向へ移動させられる。
また、前記の実施の形態においては、ガス栓本体2が根太及び/又は一次側ガス管に支持されているが、床板を取付板6と床板Fより下側に配置された一対の挟持片とによって床板Fを挟持することにより、ガス栓本体2を床板に固定するものであってもよい。その場合には、ガス栓本体2の取付位置が床板Fの厚さに応じて変化することになる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、壁板の内面からガス栓本体までの水平方向の距離、あるいは床板の上面からガス栓本体までの上下方向の距離が、ガス栓の設置箇所に応じて変わるような埋設型ガス栓に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
I 室内
F 床板
Fa 貫通孔
O 室外
S ソケット
1 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
1A 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
1B 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
1C 床下埋設型ガス栓(埋設型ガス栓)
2 ガス栓本体
5 副操作ボタン(副操作部材)
5A 副操作ボタン(副操作部材)
5B 副操作ボタン(副操作部材)
7 化粧板
8 キャップ
22 プラグ部
41 ユニット本体
41A ユニット本体(支持部材)
44 操作ボタン(操作部材)
46 解除レバー(取外し部材)
51 位置決め凹部
52 突出部
73 ガイド部
81 被覆部
82 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁板又は床板に対して室外側に配置されるガス栓本体と、前記ガス栓本体を、前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段と、前記ガス栓本体に具備され、前記壁板又は前記床板に形成された貫通孔に室内側から挿入されたソケットが着脱可能に接続されるプラグ部と、前記プラグ部に接続された前記ソケットを接続解除する為の取外し部材と、前記取外し部材を解除操作する為に、前記ガス栓本体に室内外方向へ移動可能に設けられた操作部材とを有し、
前記プラグ部に前記ソケットが接続されると、前記取外し部材が取外し位置から取付位置に変位し、これに伴い前記操作部材が室外側から室内側へ向かって押込み位置から初期位置に変位し、
前記プラグ部に前記ソケットが接続された状態で、前記操作部材が室外側へ向かって前記初期位置から前記押込み位置に押込み操作されると、前記取外し部材が前記取付位置から前記取外し位置に変位し、これに伴い前記ソケットが前記プラグ部から接続解除される埋設型ガス栓であって、
前記操作部材に対し前記貫通孔を通して室内から着脱着可能に装着される副操作部材を有することを特徴とする埋設型ガス栓。
【請求項2】
前記副操作部材の室外側を向く面に位置決め凹部が形成され、この位置決め凹部に前記操作部材の室内側の端部が室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の埋設型ガス栓。
【請求項3】
前記副操作部材が、複数用いられ、複数の副操作部材が室内外方向に順次配置され、各副操作部材の室内側を向く面には、当該副操作部材に対して室内側に隣接する他の副操作部材の前記位置決め凹部に室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合する突出部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の埋設型ガス栓。
【請求項4】
前記突出部が前記位置決め凹部に嵌合する前記操作部材の上端部と水平方向において同一位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の埋設型ガス栓。
【請求項5】
前記壁板又は前記床板の室内に臨む面には、前記壁板又は前記床板の前記貫通孔及びその近傍部分を覆う化粧板が着脱可能に設けられ、前記化粧板には、前記副操作部材を室内外方向へ移動可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能にガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の埋設型ガス栓。
【請求項6】
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記連結部の先端部が前記副操作部材に連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の埋設型ガス栓。
【請求項7】
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記ガス栓本体には、これと別体である支持部材が取り付けられ、この支持部材に前記操作部材が室内外方向へ移動可能に設けられ、前記連結部の先端部が前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の埋設型ガス栓。
【請求項1】
壁板又は床板に対して室外側に配置されるガス栓本体と、前記ガス栓本体を、前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段と、前記ガス栓本体に具備され、前記壁板又は前記床板に形成された貫通孔に室内側から挿入されたソケットが着脱可能に接続されるプラグ部と、前記プラグ部に接続された前記ソケットを接続解除する為の取外し部材と、前記取外し部材を解除操作する為に、前記ガス栓本体に室内外方向へ移動可能に設けられた操作部材とを有し、
前記プラグ部に前記ソケットが接続されると、前記取外し部材が取外し位置から取付位置に変位し、これに伴い前記操作部材が室外側から室内側へ向かって押込み位置から初期位置に変位し、
前記プラグ部に前記ソケットが接続された状態で、前記操作部材が室外側へ向かって前記初期位置から前記押込み位置に押込み操作されると、前記取外し部材が前記取付位置から前記取外し位置に変位し、これに伴い前記ソケットが前記プラグ部から接続解除される埋設型ガス栓であって、
前記操作部材に対し前記貫通孔を通して室内から着脱着可能に装着される副操作部材を有することを特徴とする埋設型ガス栓。
【請求項2】
前記副操作部材の室外側を向く面に位置決め凹部が形成され、この位置決め凹部に前記操作部材の室内側の端部が室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の埋設型ガス栓。
【請求項3】
前記副操作部材が、複数用いられ、複数の副操作部材が室内外方向に順次配置され、各副操作部材の室内側を向く面には、当該副操作部材に対して室内側に隣接する他の副操作部材の前記位置決め凹部に室内外方向へ着脱可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能に嵌合する突出部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の埋設型ガス栓。
【請求項4】
前記突出部が前記位置決め凹部に嵌合する前記操作部材の上端部と水平方向において同一位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の埋設型ガス栓。
【請求項5】
前記壁板又は前記床板の室内に臨む面には、前記壁板又は前記床板の前記貫通孔及びその近傍部分を覆う化粧板が着脱可能に設けられ、前記化粧板には、前記副操作部材を室内外方向へ移動可能に、かつ室内外方向と直交する方向へ移動不能にガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の埋設型ガス栓。
【請求項6】
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記連結部の先端部が前記副操作部材に連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の埋設型ガス栓。
【請求項7】
キャップをさらに備え、前記キャップが、前記プラグ部にその先端面を覆った状態で着脱可能に取り付けられる被覆部と、この被覆部に基端部が連結された変形可能な細長い連結部とを有し、前記ガス栓本体には、これと別体である支持部材が取り付けられ、この支持部材に前記操作部材が室内外方向へ移動可能に設けられ、前記連結部の先端部が前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の埋設型ガス栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2013−53745(P2013−53745A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154581(P2012−154581)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]