埋設型ガス栓
【課題】床板と床スラブとの間隔が各種に異なる場合や、内壁と外壁との間隔が各種に異なる場合であっても一つのガス栓で対応することができる埋設型ガス栓を提供する。
【解決手段】ガス管接続部31をガス栓本体3と別体に形成する。ガス管接続部31をその中間部において直角に屈曲させる。ガス管接続部31の基端部31bを水平に配置し、その軸線を中心としてガス栓本体3に回転可能に設ける。
【解決手段】ガス管接続部31をガス栓本体3と別体に形成する。ガス管接続部31をその中間部において直角に屈曲させる。ガス管接続部31の基端部31bを水平に配置し、その軸線を中心としてガス栓本体3に回転可能に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁板又は床板に形成された貫通孔内に設置される埋設型ガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、埋設型ガス栓は、下記特許文献1に記載されているように、ガス栓本体と固定手段とを有している。ガス栓本体は、内壁(壁板)に形成された貫通孔内に設置される。固定手段は、ガス栓本体を内壁に固定する。
【0003】
ガス栓本体は、一次側ガス管が接続されるガス管接続部、ソケットが着脱可能に接続されるプラグ部とを有している。ガス栓本体の内部には、ガス管接続部とプラグ部とを連通させるガス通路が形成されている。一次側ガス管からガス管接続部に供給されたガスは、ガス通路を通ってプラグ部からソケットに流入する。そして、ソケットに接続された二次側ガス管を介してガス機器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−127470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の埋設型ガス栓をガス管接続部の向きで大別すると、3種類の埋設型ガス栓がある。ガス管接続部が内壁と直交する方向に向かって外側へ延びているもの、内壁に対して斜め方向に延びるもの、及び内壁と平行に延びるものの3種類である。この3種類の埋設型ガス栓は、内壁の厚さや内壁と外壁との間隔に応じて適宜に使い分けられている。
【0006】
ガス管接続部の向きが異なる3種類の埋設型ガス栓を製造すると、その分だけガス栓の種類が増え、その結果製造費及び管理費が嵩むという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記の問題を解決するために、壁板又は床板に形成された貫通孔内に設けられるガス栓本体と、ガス栓本体を前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段とを備え、前記ガス栓本体が、一次側ガス管が接続されるガス管接続部と、ソケットが着脱可能に接続されるプラグ部とを有し、前記ガス栓本体の内部には、前記ガス管接続部から前記プラグ部までを連通するガス通路が形成され、前記ソケットが室内側から前記貫通孔に挿入されて前記プラグに接続可能とされた埋設型ガス栓であって、前記ガス管接続部は、前記ガス栓本体の主体部とは別体に形成されるとともに、前記一次側ガス管が接続される先端部の向きを変えることができるよう、基端部が前記ガス栓本体の主体部に対して回転可能に接続されていることを特徴としている。
この場合、前記ガス管接続部の基端部が、前記壁板又は前記床板に沿う方向に延びる軸線を中心として回転可能であることが望ましい。
前記貫通孔が、その軸線方向を前記壁板又は前記床板と直交する方向に向けて設けられ、前記プラグ部が、その軸線方向を前記貫通孔の軸線方向に向けて設けられ、前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部の軸線と直交する軸線を中心として回転可能であることが望ましい。
前記固定手段が、前記壁板を含む前記壁の構成部材又は前記床板を含む前記床の構成部材に固定されたケーシングを有し、前記ケーシングは、一端部に開口部を有して容器状に形成され、その開口部を室内側に向けた状態で前記貫通孔内に配置され、前記ガス栓本体が、前記ケーシング内に収容固定され、前記ケーシングには、前記ガス管接続部の先端部が挿入される切欠き部が形成され、前記切欠き部は、前記ガス管接続部の先端部がその基端部を中心として回転すること許容するように形成されていることが望ましい。
前記ソケットを前記プラグ部から取り外すための取外し機構の押し釦が、前記プラグ部に隣接してその側方に前記プラグ部に沿って移動可能に設けられ、前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部から前記押し釦に向かう方向へ延び、しかも前記押し釦に対し室外側に隣接するように配置されていることが望ましい。
前記貫通孔の室内側の開口部及びその周囲の壁板又は床板を覆う化粧板をさらに備え、前記化粧板の前記貫通孔と対向する箇所には、窓孔が設けられ、前記窓孔には、蓋体が、前記窓孔を塞ぐ閉位置と、前記ケーシングの周壁部に沿って位置して前記窓孔を開く開位置との間を移動可能に設けられ、前記開位置に位置している前記蓋体と前記ガス管接続部の基端部との間に、前記ガス管接続部の回転域が配置されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
前記特徴構成を有するこの発明によれば、ガス管接続部を適宜の位置に回転させることにより、一次側ガス管が接続されるガス管接続部の先端部の向きを所望の向きに調節することができる。したがって、ガス管接続部の向きの違いに対応して各種の埋設型ガス栓を製造する必要がなく、一つの埋設型ガス栓だけで足りる。よって、埋設型ガス栓の製造費及び管理費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の第1の実施の形態を床板に取り付けた状態で示す断面図である。
【図2】図2は、同実施の形態を、化粧板を省略し、かつ一部を切り欠いた状態で示す図3のX矢視図である。
【図3】図3は、図2のX−X線に沿う断面図である。
【図4】図4は、図2のY矢視図である。
【図5】図5は、同実施の形態の分解斜視図である。
【図6】図6は、同実施の形態において用いられている外しユニットの分解斜視図である。
【図7】図7は、同実施の形態の埋設型ガス栓を床板に取り付けるための初期工程を示す斜視図である。
【図8】図8は、同実施の形態の埋設型ガス栓を床板に取り付けるための中間工程を示す斜視図である。
【図9】図9は、同実施の形態の埋設型ガス栓を床板に取り付けるための最終工程を示す斜視図である。
【図10】図10は、同実施の形態を、図1に示す態様と異なる第2の態様で床板に取り付けた状態で示す断面図である。
【図11】図11は、同実施の形態を、図1に示す態様と異なる第3の態様で床板に取り付けた状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態である埋設型ガス栓1を床板Fに設けたものである。床板Fには、当該床板Fを上下に貫通する断面円形の貫通孔Faが形成されている。この貫通孔Fa内にガス栓1の大部分が挿入されている。なお、床板Fは、地面又は床スラブSに対して所定距離だけ上方に配置されている。
【0011】
図1〜図5に示すように、ガス栓1は、ケーシング2を有している。ケーシング2は、概略有底円筒の容器状に形成されており、その開口部を室内I側に向けた状態で、つまり上方に向けた状態で配置されている。ケーシング2は、断面四角形等の非円形の断面形状にしてもよい。ケーシング2の外径は、貫通孔Faより小径に設定されている。ケーシング2は、その軸線を貫通孔Faの軸線と一致させた状態で貫通孔Faに挿入されている。ケーシング2の軸線は、必ずしも貫通孔Faの軸線と一致させる必要がなく、貫通孔Faの軸線に対して水平方向に離間させて平行に配置してもよい。
【0012】
ケーシング2は、後述する取付板5により床板Fに固定されている。固定状態においては、ケーシング2の下端面が床板Faの下端面とほぼ同一平面上に位置させられている。ケーシング2の下端面は、必ずしも床板Faの下端面と同一平面上に位置させる必要がない。ケーシング2の下端面と床板Faの下端面との関係は、床板Faの厚さに応じて変わる。すなわち、床板Faの厚さが比較的薄い場合には、ケーシング2の下端面が床板Faの下端面より下側に位置し、床板Faの厚さが比較的厚い場合には、ケーシング2の下端面が床板Faの下端面より上側に位置する。
【0013】
ケーシング2の外周面には、平坦部21が形成されている。この平坦部21に挿通された木ねじ(図示せず)を、床板Fを支持する根太(図示せず;床板を含む床の構成部材)にねじ込んで締め付けることにより、平坦部21を根太の左右いずれかの側面に押し付け、ケーシング2を根太に固定することも可能である。ケーシング2を根太に固定する場合には、後述する取付板5によるケーシング2の床板Fへの固定が不要である。
【0014】
ケーシング2の内部には、ガス栓本体3が収容されている。ガス栓本体3は、ケーシング2の底部にビスB1によって固定されている。ガス栓本体3は、ガス管接続部31及びプラグ部32を有しており、ガス管接続部31及びプラグ部32を除く部分が主体部である。図3に示すように、ガス栓本体3の内部には、ガス通路33が形成されている。このガス通路33の上流側の端部は、ガス管接続部31の上流側の端面(図3において下端面)に開口している。ガス通路33の下流側端部は、プラグ部32の下流側の端面(図3において上端面)に開口している。
【0015】
ガス管接続部31は、その内部にガス通路33が形成されることにより、管状をなしている。ガス管接続部31の上流側の端部は、ケーシング2に形成された切欠き部22を通ってケーシング2の外部に突出している。ガス管接続部31の上流側の端部(図2及び図3において下端部)の内周面には、テーパ雌ねじ部31aが形成されている。このテーパ雌ねじ部31aには、図1に示すように、継手Cが螺合固定されている。この継手Cには、フレキシブルガス管からなる一次側ガス管Gが接続されている。したがって、ガス管接続部31の内部、つまりガス通路33の上流側の端部には、一次側ガス管Gから継手Cを介してガスが供給される。
【0016】
プラグ部32は、日本工業規格の迅速継手(JIS S 2120)で定められた形状及び寸法を有しており、その軸線を上下方向に向けて配置されている。つまり、プラグ部32は、貫通孔Faと平行に配置されている。図3に示すように、プラグ部32は、ガス管接続部31の基端部31bより室内I側に配置されている。この結果、ガス管接続部31の基端部31bの上側には、当該基端部31bとプラグ部32とによって四角形の空間が区画されている。
【0017】
プラグ部32には、ソケット(図示せず)が着脱可能に接続される。ソケットは、二次側ガス管を介してガス機器(いずれも図示せず)に接続されている。したがって、ソケットをプラグ部32に接続すると、一次側ガス管からガス通路33に流入したガスがソケット及び二次側ガス管を介してガス機器に供給される。
【0018】
ガス通路33の内部には、主弁34及び副弁35が設けられている。主弁34及び副弁35は、プラグ部32にソケットを接続すると図3に示す閉位置から開位置まで移動してガス通路33を自動的に開く。その一方、プラグ部32からソケットを取り外すと、開位置から閉位置まで移動してガス通路33を自動的に閉じる。また、ガス通路33の内部には、過流出防止弁機構36が設けられている。この過流出防止弁機構36は、主弁34より上流側に配置されており、ガス通路33内を流れるガスの流量が所定の流量を越えると、ガス通路33を自動的に閉じる。過流出防止弁機構36は、主弁34が開位置から閉位置に移動すると、自動的にリセットされて、ガス通路33を開く。主弁34、副弁35及び過流出防止弁機構36は、周知のものであり、この発明との関連性も低いので、それらの詳細な構成についてはその説明を省略する。
【0019】
図3〜図5に示すように、ガス栓本体3には、外しユニット(取外し機構)4が設けられている。外しユニット4は、プラグ部32に接続されたソケットをプラグ部32から取り外すためのものであり、ユニット本体41を有している。ユニット本体41は、ガス栓本体3にビスB2によって固定されている。
【0020】
ユニット本体41の水平方向の一端部(図6において左端部)には、筒部41aが形成されている。筒部41aは、断面円形をなしており、その軸線をプラグ部32の軸線と一致させて配置されている。しかも、筒部41aは、プラグ部32より大径に設定されており、その内部にプラグ部32が挿入されている。したがって、プラグ部32にソケットを接続する際には、筒部41aの内周面とプラグ部32の外周面との間にソケットが挿入される。
【0021】
ユニット本体41の水平方向の他端部(図3において左端部であり、図6において右端部)は、基端部31bとプラグ部32とによって区画される空間に配置されており、当該他端部には、ガイド孔41bが形成されている。ガイド孔41bは、ユニット本体41を上下方向に貫通している。ガイド孔41aには、押し釦42が上下方向へ移動可能に挿入されている。
【0022】
ユニット本体41の水平方向の中間部には、揺動部材43の中間部が水平な軸線を中心として上下方向へ揺動可能に設けられている。揺動部材43の一端部(図6において右端部)は、ばね44によって押し釦42の下端面に押し付けられている。揺動部材43の他端部は、プラグ部32の外周面と対向するように配置されている。プラグ部32にソケットを接続すると、揺動部材43の他端部がソケットによって下方へ押され、揺動部材43の一端部が押し釦42を上方へ移動させる。ソケットがプラグ部32に接続された状態において、押し釦42を下方へ押すと、揺動部材43の一端部が下方へ移動し、その他端部が上方へ移動する。すると、ソケットがプラグ部32から外れる。なお、このような取外し構造は、周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0023】
図4及び図8に示すように、床板Fの上面には、取付板5が木ねじT1によって固定されている。取付板5は、略長方形の枠状をなしており、貫通孔Fa及びその周囲の床板を覆うように配置されている。図1、図4及び図7に示すように、取付板5にはビスB3が挿通されている。このビスB3をケーシング2に螺合させて締め付けることにより、ケーシング2が取付板5に固定され、ひいては床板Fに固定されている。これから明らかなように、取付板5、これを床板Fに固定する木ねじT1、及び取付板5にケーシング2を固定するビスB3によって固定手段が構成されている。なお、固定手段としては、各種のものが周知であり、それらの周知の固定手段を用いてもよい。
【0024】
取付板5には、化粧板6が着脱可能に装着されている。化粧板6は、取付板5が上方から目視されないように取付板5を覆っている。化粧板6には、窓孔61が形成されている。この窓孔61には、開閉蓋(蓋体)62が図1に示す閉位置と図3に示す開位置との間を移動可能に設けられている。開閉蓋62を閉位置に移動すると、開閉蓋62が窓孔61に嵌り込む。この結果、窓孔61が開閉蓋62によって閉じられる。開閉蓋62を開位置に移動すると、図3に示すように、上下に起立した状態になる。しかも、窓孔61の一端部にほぼ接する。この結果、開閉蓋62は、ケーシング2の周壁部の内周面に沿って位置する。しかも、ガス管接続部31の基端部31bの前方に位置する。開閉窓62が開位置に位置すると、窓孔61が開かれる。窓孔61が開かれた状態では、ソケットを窓孔61からケーシング2内に挿入し、プラグ部32に接続することができる。また、窓孔61から指を挿入して押し釦42を下方へ押し、ソケットをプラグ部32から取り外すことができる。
【0025】
前記ガス管接続部31は、ガス栓本体3の主体部と別体に形成されており、いずれも管体からなる上流側部分31A及び下流側部分31Bを有している。
【0026】
上流側部分31Aの上流側の開口部(図3において下端側の開口部)には、前記テーパ雌ねじ孔31aが形成されている。前記のように、テーパ雌ねじ孔31aには、管継手Cが螺合固定されており、管継手Cには、一次側ガス管Gが接続されている。上流側部分31Aの下流側の端部(図3において上端部)には、下流側部分31Bの上流側端部(図3において下端部)がビスB4によって固定されている。これにより、ガス管接続部31全体が一体化され、全体として管状に形成されている。
【0027】
下流側部分31Bは、その中間部においてほぼ直角に屈曲されている。これにより、下流側部分31Bが、下流側(図3において上側)の基端部31bと、上流側の部分(図3において下側の部分)とに区分されている。上流側の部分には、前記のように上流側部分31Aが固定されている。この結果、下流側部分31Bのうちの上流側の部分と上流側部分31Aとにより、ガス管接続部31の先端部31cが構成されている。
【0028】
一方、下流側部分31Bの基端部31bは、その軸線を水平方向に向けて配置されている。特にこの実施の形態では、基端部31bの軸線がプラグ部32の軸線と直交させられている。基端部31bには、ガス栓本体3に形成された突出部37が基端部31bの軸線を中心として回転可能に挿入されている。これにより、下流側部分31B、ひいてはガス管接続部31が、ガス栓本体3に水平な軸線(基端部31bの軸線)を中心として回転可能に連結されている。ガス管接続部31は、少なくとも上流側部分31Aが下方を向く図2に示す垂直位置と、上流側部分31Aが図2の左方を向く水平位置(図11参照)との間を回転可能である。
【0029】
ここで、ケーシング2の切欠き部22は、ガス管接続部31が垂直位置と水平位置との間を回転することを許容するだけの大きさを有している。したがって、ガス管接続部31の回転がケーシング31によって阻害されることがない。また、ガス管接続31の先端部31cの回転域、つまり先端部31cが回転するときに通過する領域は、ガス管接続部31の基端部31bと開位置に位置している開閉蓋42との間に配置されている。したがって、ガス管接続部31の先端部31cが基端部31bを中心として回転するとき、先端部31cが開閉蓋42に突き当たることがない。
【0030】
ガス栓1は、例えば次のようにして床板Fに取り付けることができる。まず、図7に示すように、床板Fに貫通孔Faを形成する。このとき、床板Fの下側には、ガス管接続部31の一次側ガス管Gが接続された状態で予め配置しておく。あるいは、貫通孔Faの形成後、貫通孔Faから一次側ガス管Gを室内Iに引き込み、ガス管Gをガス管接続部31に継手Cを介して接続する。その後、ガス管G及びガス栓1を貫通孔Fa内に挿入してもよい。
【0031】
次に、取付板5にビスB3を挿通してケーシング2に螺合させる。そして、ビスB3を締め付けることにより、ケーシング2を取付板5に固定する。その後、図8に示すように、取付板5を床板Fの上面に木ねじT1によって押圧固定する。これにより、ケーシング2を床板Fに取付板5を介して固定する。その後、取付板5に化粧板6を装着してガス栓1の床板Fへの取付けが完了する。
【0032】
前記構成の埋設型ガス栓1においては、ガス管接続部31がその中間部において直角に屈曲され、その基端部31bが水平な軸線と中心として回転可能であるから、ガス管接続部31の先端部31cの向きを変えることができる。例えば、図1に示すように、床板Fと床スラブSとの間隔が広い場合には、ガス管接続部31を垂直位置に回転させて、その先端部31cを下方に向けることができる。ガス管接続部31の先端部31cを下方に向けた場合には、ガス管接続部31に接続される一次側ガス管Gを床スラブSに沿って配設することができる。
【0033】
また、図10は、床板Fと床スラブSとの間隔が図1に示す実施の形態より狭い場合の実施の形態を示すものであり、ガス管接続部31が垂直位置と水平位置との間の中間位置である傾斜位置に位置させられている。つまり、ガス管接続部31の先端部31cが上下方向及び水平方向に対してほぼ45°だけ傾斜させられている。ガス管接続部31の先端部31cを傾斜させた場合には、ガス管接続部31及びそれに螺合固定された継手Cの上下方向の長さを傾斜角度の分だけ短くし、それによって床板Fと床スラブSとの間隔が狭い場合に対応することができる。なお、図10に示す実施の形態は、床板Fと床スラブSとの間隔が異なる点を除き、図1〜図9に示す実施の形態と同一の構成を有している。
【0034】
図11は、床板Fの厚さが図1に示す実施の形態の床板Fより薄い場合の実施の形態を示すものであり、ガス管接続部31が水平位置に位置させられ、その先端部31cが水平方向に向けられている。したがって、ガス管Gは、図1〜図9又は図10に示す実施の形態のように継手Cの近傍において屈曲させる必要がなく、水平方向へ真っ直ぐに延びた状態でガス管接続部31に接続することができ、ガス管G、継手C及びガス管接続部31を一つの水平面内に配置することができる。よって、床板Fと床スラブSとの間隔が狭い場合に対応することができる。なお、図11に示す実施の形態は、床板Fの厚さが異なる点、及び床板Fと床スラブSとの間隔が異なる点を除き、図1〜図9に示す実施の形態と同一の構成を有している。また、この実施の形態では、ガス栓1全体が貫通孔Fa内に収容されることなく、室内I側の一部だけが貫通孔Faに収容されている。これから明らかなように、この発明において、「貫通孔内にガス栓が設けられる」とは、ガス栓全体が貫通孔に収容される場合と、一部だけが収容される場合との両者を含むものである。
【0035】
このように、埋設型ガス栓1によれば、ガス管接続部31がガス栓本体3に対して回転可能であるから、床板Fと床スラブSとの間隔が異なる各種の使用の態様、及び床板Fの厚さが異なる各種の使用の態様に対し、一つのガス栓1だけで対応することができ、使用の態様に応じてガス管接続部の向きが異なる各種の埋設型ガス栓を使い分ける必要がない。したがって、埋設型ガス栓1の製造費及び管理費を低減することができる。
【0036】
また、ケーシング2にガス管接続部31の先端部31cの回転を許容する切欠き部22が形成されているので、ケーシング2を大型化することなく、ガス管接続部31の回転角度を大きくすることができる。これは、ガス管接続部31の先端部31cの回転域を、開位置に位置している開閉蓋62と基端部31bとの間に配置したことにもよる。すなわち、仮に開位置に位置している開閉蓋62を前記実施の形態に対しケーシング2の周方向へ90°離れた位置に設定すると、先端部31cが水平になるように回転させたときに、先端部31cが開閉蓋62に突き当たるため、ガス管接続部31の回転角度を小さくしなければならなくなる。この点、前記の実施の形態のように、ガス管接続部31の先端部31cの回転域を、開位置に位置している開閉蓋62と基端部31bとの間に配置すると、先端部31cが開閉蓋62に突き当たることがない。したがって、ガス管接続部31の回転角度を大きくすることができる。
【0037】
さらに、押し釦42の下側(室外O側)にガス管接続部31の基端部31bを配置しているから、換言すれば、基端部31bとプラグ部32とによって区画される空間に押し釦42を配置しているから、ガス栓1に無駄な空間の存在を排除することができ、その結果ガス栓1を小型化することができる。
【0038】
なお、この発明は、前記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、前記の実施の形態においては、ガス栓1が床板Fを上下に貫通するFa内に配置されているが、ガス栓1を内壁等の壁板に設けることも可能である。その場合には、壁板に水平方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内にガス栓1を配置する。勿論、ガス栓1は、そのプラグ部32の軸線を貫通孔の軸線と一致ないしは平行にした状態で貫通孔内に配置される。そして、ガス栓1は、壁板に直接固定され、あるいは壁板を支持する桟木等の壁板を含む壁の構成部材に固定される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明に係る埋設型ガス栓は、床板と床スラブとの間隔や、内壁と外壁との間隔が異なる各種の使用の態様に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
B3 ビス(固定手段)
F 床板
Fa 貫通孔
G 一次側ガス管
T1 木ねじ(固定手段)
1 埋設型ガス栓
2 ケーシング
3 ガス栓本体
4 外しユニット(取外し機構)
5 取付板(固定手段)
6 化粧板
22 切欠き部
31 ガス管接続部
31b 基端部
31c 先端部
32 プラグ部
33 ガス通路
42 押し釦
61 窓孔
62 開閉蓋(蓋体)
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁板又は床板に形成された貫通孔内に設置される埋設型ガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、埋設型ガス栓は、下記特許文献1に記載されているように、ガス栓本体と固定手段とを有している。ガス栓本体は、内壁(壁板)に形成された貫通孔内に設置される。固定手段は、ガス栓本体を内壁に固定する。
【0003】
ガス栓本体は、一次側ガス管が接続されるガス管接続部、ソケットが着脱可能に接続されるプラグ部とを有している。ガス栓本体の内部には、ガス管接続部とプラグ部とを連通させるガス通路が形成されている。一次側ガス管からガス管接続部に供給されたガスは、ガス通路を通ってプラグ部からソケットに流入する。そして、ソケットに接続された二次側ガス管を介してガス機器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−127470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の埋設型ガス栓をガス管接続部の向きで大別すると、3種類の埋設型ガス栓がある。ガス管接続部が内壁と直交する方向に向かって外側へ延びているもの、内壁に対して斜め方向に延びるもの、及び内壁と平行に延びるものの3種類である。この3種類の埋設型ガス栓は、内壁の厚さや内壁と外壁との間隔に応じて適宜に使い分けられている。
【0006】
ガス管接続部の向きが異なる3種類の埋設型ガス栓を製造すると、その分だけガス栓の種類が増え、その結果製造費及び管理費が嵩むという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記の問題を解決するために、壁板又は床板に形成された貫通孔内に設けられるガス栓本体と、ガス栓本体を前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段とを備え、前記ガス栓本体が、一次側ガス管が接続されるガス管接続部と、ソケットが着脱可能に接続されるプラグ部とを有し、前記ガス栓本体の内部には、前記ガス管接続部から前記プラグ部までを連通するガス通路が形成され、前記ソケットが室内側から前記貫通孔に挿入されて前記プラグに接続可能とされた埋設型ガス栓であって、前記ガス管接続部は、前記ガス栓本体の主体部とは別体に形成されるとともに、前記一次側ガス管が接続される先端部の向きを変えることができるよう、基端部が前記ガス栓本体の主体部に対して回転可能に接続されていることを特徴としている。
この場合、前記ガス管接続部の基端部が、前記壁板又は前記床板に沿う方向に延びる軸線を中心として回転可能であることが望ましい。
前記貫通孔が、その軸線方向を前記壁板又は前記床板と直交する方向に向けて設けられ、前記プラグ部が、その軸線方向を前記貫通孔の軸線方向に向けて設けられ、前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部の軸線と直交する軸線を中心として回転可能であることが望ましい。
前記固定手段が、前記壁板を含む前記壁の構成部材又は前記床板を含む前記床の構成部材に固定されたケーシングを有し、前記ケーシングは、一端部に開口部を有して容器状に形成され、その開口部を室内側に向けた状態で前記貫通孔内に配置され、前記ガス栓本体が、前記ケーシング内に収容固定され、前記ケーシングには、前記ガス管接続部の先端部が挿入される切欠き部が形成され、前記切欠き部は、前記ガス管接続部の先端部がその基端部を中心として回転すること許容するように形成されていることが望ましい。
前記ソケットを前記プラグ部から取り外すための取外し機構の押し釦が、前記プラグ部に隣接してその側方に前記プラグ部に沿って移動可能に設けられ、前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部から前記押し釦に向かう方向へ延び、しかも前記押し釦に対し室外側に隣接するように配置されていることが望ましい。
前記貫通孔の室内側の開口部及びその周囲の壁板又は床板を覆う化粧板をさらに備え、前記化粧板の前記貫通孔と対向する箇所には、窓孔が設けられ、前記窓孔には、蓋体が、前記窓孔を塞ぐ閉位置と、前記ケーシングの周壁部に沿って位置して前記窓孔を開く開位置との間を移動可能に設けられ、前記開位置に位置している前記蓋体と前記ガス管接続部の基端部との間に、前記ガス管接続部の回転域が配置されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
前記特徴構成を有するこの発明によれば、ガス管接続部を適宜の位置に回転させることにより、一次側ガス管が接続されるガス管接続部の先端部の向きを所望の向きに調節することができる。したがって、ガス管接続部の向きの違いに対応して各種の埋設型ガス栓を製造する必要がなく、一つの埋設型ガス栓だけで足りる。よって、埋設型ガス栓の製造費及び管理費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の第1の実施の形態を床板に取り付けた状態で示す断面図である。
【図2】図2は、同実施の形態を、化粧板を省略し、かつ一部を切り欠いた状態で示す図3のX矢視図である。
【図3】図3は、図2のX−X線に沿う断面図である。
【図4】図4は、図2のY矢視図である。
【図5】図5は、同実施の形態の分解斜視図である。
【図6】図6は、同実施の形態において用いられている外しユニットの分解斜視図である。
【図7】図7は、同実施の形態の埋設型ガス栓を床板に取り付けるための初期工程を示す斜視図である。
【図8】図8は、同実施の形態の埋設型ガス栓を床板に取り付けるための中間工程を示す斜視図である。
【図9】図9は、同実施の形態の埋設型ガス栓を床板に取り付けるための最終工程を示す斜視図である。
【図10】図10は、同実施の形態を、図1に示す態様と異なる第2の態様で床板に取り付けた状態で示す断面図である。
【図11】図11は、同実施の形態を、図1に示す態様と異なる第3の態様で床板に取り付けた状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態である埋設型ガス栓1を床板Fに設けたものである。床板Fには、当該床板Fを上下に貫通する断面円形の貫通孔Faが形成されている。この貫通孔Fa内にガス栓1の大部分が挿入されている。なお、床板Fは、地面又は床スラブSに対して所定距離だけ上方に配置されている。
【0011】
図1〜図5に示すように、ガス栓1は、ケーシング2を有している。ケーシング2は、概略有底円筒の容器状に形成されており、その開口部を室内I側に向けた状態で、つまり上方に向けた状態で配置されている。ケーシング2は、断面四角形等の非円形の断面形状にしてもよい。ケーシング2の外径は、貫通孔Faより小径に設定されている。ケーシング2は、その軸線を貫通孔Faの軸線と一致させた状態で貫通孔Faに挿入されている。ケーシング2の軸線は、必ずしも貫通孔Faの軸線と一致させる必要がなく、貫通孔Faの軸線に対して水平方向に離間させて平行に配置してもよい。
【0012】
ケーシング2は、後述する取付板5により床板Fに固定されている。固定状態においては、ケーシング2の下端面が床板Faの下端面とほぼ同一平面上に位置させられている。ケーシング2の下端面は、必ずしも床板Faの下端面と同一平面上に位置させる必要がない。ケーシング2の下端面と床板Faの下端面との関係は、床板Faの厚さに応じて変わる。すなわち、床板Faの厚さが比較的薄い場合には、ケーシング2の下端面が床板Faの下端面より下側に位置し、床板Faの厚さが比較的厚い場合には、ケーシング2の下端面が床板Faの下端面より上側に位置する。
【0013】
ケーシング2の外周面には、平坦部21が形成されている。この平坦部21に挿通された木ねじ(図示せず)を、床板Fを支持する根太(図示せず;床板を含む床の構成部材)にねじ込んで締め付けることにより、平坦部21を根太の左右いずれかの側面に押し付け、ケーシング2を根太に固定することも可能である。ケーシング2を根太に固定する場合には、後述する取付板5によるケーシング2の床板Fへの固定が不要である。
【0014】
ケーシング2の内部には、ガス栓本体3が収容されている。ガス栓本体3は、ケーシング2の底部にビスB1によって固定されている。ガス栓本体3は、ガス管接続部31及びプラグ部32を有しており、ガス管接続部31及びプラグ部32を除く部分が主体部である。図3に示すように、ガス栓本体3の内部には、ガス通路33が形成されている。このガス通路33の上流側の端部は、ガス管接続部31の上流側の端面(図3において下端面)に開口している。ガス通路33の下流側端部は、プラグ部32の下流側の端面(図3において上端面)に開口している。
【0015】
ガス管接続部31は、その内部にガス通路33が形成されることにより、管状をなしている。ガス管接続部31の上流側の端部は、ケーシング2に形成された切欠き部22を通ってケーシング2の外部に突出している。ガス管接続部31の上流側の端部(図2及び図3において下端部)の内周面には、テーパ雌ねじ部31aが形成されている。このテーパ雌ねじ部31aには、図1に示すように、継手Cが螺合固定されている。この継手Cには、フレキシブルガス管からなる一次側ガス管Gが接続されている。したがって、ガス管接続部31の内部、つまりガス通路33の上流側の端部には、一次側ガス管Gから継手Cを介してガスが供給される。
【0016】
プラグ部32は、日本工業規格の迅速継手(JIS S 2120)で定められた形状及び寸法を有しており、その軸線を上下方向に向けて配置されている。つまり、プラグ部32は、貫通孔Faと平行に配置されている。図3に示すように、プラグ部32は、ガス管接続部31の基端部31bより室内I側に配置されている。この結果、ガス管接続部31の基端部31bの上側には、当該基端部31bとプラグ部32とによって四角形の空間が区画されている。
【0017】
プラグ部32には、ソケット(図示せず)が着脱可能に接続される。ソケットは、二次側ガス管を介してガス機器(いずれも図示せず)に接続されている。したがって、ソケットをプラグ部32に接続すると、一次側ガス管からガス通路33に流入したガスがソケット及び二次側ガス管を介してガス機器に供給される。
【0018】
ガス通路33の内部には、主弁34及び副弁35が設けられている。主弁34及び副弁35は、プラグ部32にソケットを接続すると図3に示す閉位置から開位置まで移動してガス通路33を自動的に開く。その一方、プラグ部32からソケットを取り外すと、開位置から閉位置まで移動してガス通路33を自動的に閉じる。また、ガス通路33の内部には、過流出防止弁機構36が設けられている。この過流出防止弁機構36は、主弁34より上流側に配置されており、ガス通路33内を流れるガスの流量が所定の流量を越えると、ガス通路33を自動的に閉じる。過流出防止弁機構36は、主弁34が開位置から閉位置に移動すると、自動的にリセットされて、ガス通路33を開く。主弁34、副弁35及び過流出防止弁機構36は、周知のものであり、この発明との関連性も低いので、それらの詳細な構成についてはその説明を省略する。
【0019】
図3〜図5に示すように、ガス栓本体3には、外しユニット(取外し機構)4が設けられている。外しユニット4は、プラグ部32に接続されたソケットをプラグ部32から取り外すためのものであり、ユニット本体41を有している。ユニット本体41は、ガス栓本体3にビスB2によって固定されている。
【0020】
ユニット本体41の水平方向の一端部(図6において左端部)には、筒部41aが形成されている。筒部41aは、断面円形をなしており、その軸線をプラグ部32の軸線と一致させて配置されている。しかも、筒部41aは、プラグ部32より大径に設定されており、その内部にプラグ部32が挿入されている。したがって、プラグ部32にソケットを接続する際には、筒部41aの内周面とプラグ部32の外周面との間にソケットが挿入される。
【0021】
ユニット本体41の水平方向の他端部(図3において左端部であり、図6において右端部)は、基端部31bとプラグ部32とによって区画される空間に配置されており、当該他端部には、ガイド孔41bが形成されている。ガイド孔41bは、ユニット本体41を上下方向に貫通している。ガイド孔41aには、押し釦42が上下方向へ移動可能に挿入されている。
【0022】
ユニット本体41の水平方向の中間部には、揺動部材43の中間部が水平な軸線を中心として上下方向へ揺動可能に設けられている。揺動部材43の一端部(図6において右端部)は、ばね44によって押し釦42の下端面に押し付けられている。揺動部材43の他端部は、プラグ部32の外周面と対向するように配置されている。プラグ部32にソケットを接続すると、揺動部材43の他端部がソケットによって下方へ押され、揺動部材43の一端部が押し釦42を上方へ移動させる。ソケットがプラグ部32に接続された状態において、押し釦42を下方へ押すと、揺動部材43の一端部が下方へ移動し、その他端部が上方へ移動する。すると、ソケットがプラグ部32から外れる。なお、このような取外し構造は、周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0023】
図4及び図8に示すように、床板Fの上面には、取付板5が木ねじT1によって固定されている。取付板5は、略長方形の枠状をなしており、貫通孔Fa及びその周囲の床板を覆うように配置されている。図1、図4及び図7に示すように、取付板5にはビスB3が挿通されている。このビスB3をケーシング2に螺合させて締め付けることにより、ケーシング2が取付板5に固定され、ひいては床板Fに固定されている。これから明らかなように、取付板5、これを床板Fに固定する木ねじT1、及び取付板5にケーシング2を固定するビスB3によって固定手段が構成されている。なお、固定手段としては、各種のものが周知であり、それらの周知の固定手段を用いてもよい。
【0024】
取付板5には、化粧板6が着脱可能に装着されている。化粧板6は、取付板5が上方から目視されないように取付板5を覆っている。化粧板6には、窓孔61が形成されている。この窓孔61には、開閉蓋(蓋体)62が図1に示す閉位置と図3に示す開位置との間を移動可能に設けられている。開閉蓋62を閉位置に移動すると、開閉蓋62が窓孔61に嵌り込む。この結果、窓孔61が開閉蓋62によって閉じられる。開閉蓋62を開位置に移動すると、図3に示すように、上下に起立した状態になる。しかも、窓孔61の一端部にほぼ接する。この結果、開閉蓋62は、ケーシング2の周壁部の内周面に沿って位置する。しかも、ガス管接続部31の基端部31bの前方に位置する。開閉窓62が開位置に位置すると、窓孔61が開かれる。窓孔61が開かれた状態では、ソケットを窓孔61からケーシング2内に挿入し、プラグ部32に接続することができる。また、窓孔61から指を挿入して押し釦42を下方へ押し、ソケットをプラグ部32から取り外すことができる。
【0025】
前記ガス管接続部31は、ガス栓本体3の主体部と別体に形成されており、いずれも管体からなる上流側部分31A及び下流側部分31Bを有している。
【0026】
上流側部分31Aの上流側の開口部(図3において下端側の開口部)には、前記テーパ雌ねじ孔31aが形成されている。前記のように、テーパ雌ねじ孔31aには、管継手Cが螺合固定されており、管継手Cには、一次側ガス管Gが接続されている。上流側部分31Aの下流側の端部(図3において上端部)には、下流側部分31Bの上流側端部(図3において下端部)がビスB4によって固定されている。これにより、ガス管接続部31全体が一体化され、全体として管状に形成されている。
【0027】
下流側部分31Bは、その中間部においてほぼ直角に屈曲されている。これにより、下流側部分31Bが、下流側(図3において上側)の基端部31bと、上流側の部分(図3において下側の部分)とに区分されている。上流側の部分には、前記のように上流側部分31Aが固定されている。この結果、下流側部分31Bのうちの上流側の部分と上流側部分31Aとにより、ガス管接続部31の先端部31cが構成されている。
【0028】
一方、下流側部分31Bの基端部31bは、その軸線を水平方向に向けて配置されている。特にこの実施の形態では、基端部31bの軸線がプラグ部32の軸線と直交させられている。基端部31bには、ガス栓本体3に形成された突出部37が基端部31bの軸線を中心として回転可能に挿入されている。これにより、下流側部分31B、ひいてはガス管接続部31が、ガス栓本体3に水平な軸線(基端部31bの軸線)を中心として回転可能に連結されている。ガス管接続部31は、少なくとも上流側部分31Aが下方を向く図2に示す垂直位置と、上流側部分31Aが図2の左方を向く水平位置(図11参照)との間を回転可能である。
【0029】
ここで、ケーシング2の切欠き部22は、ガス管接続部31が垂直位置と水平位置との間を回転することを許容するだけの大きさを有している。したがって、ガス管接続部31の回転がケーシング31によって阻害されることがない。また、ガス管接続31の先端部31cの回転域、つまり先端部31cが回転するときに通過する領域は、ガス管接続部31の基端部31bと開位置に位置している開閉蓋42との間に配置されている。したがって、ガス管接続部31の先端部31cが基端部31bを中心として回転するとき、先端部31cが開閉蓋42に突き当たることがない。
【0030】
ガス栓1は、例えば次のようにして床板Fに取り付けることができる。まず、図7に示すように、床板Fに貫通孔Faを形成する。このとき、床板Fの下側には、ガス管接続部31の一次側ガス管Gが接続された状態で予め配置しておく。あるいは、貫通孔Faの形成後、貫通孔Faから一次側ガス管Gを室内Iに引き込み、ガス管Gをガス管接続部31に継手Cを介して接続する。その後、ガス管G及びガス栓1を貫通孔Fa内に挿入してもよい。
【0031】
次に、取付板5にビスB3を挿通してケーシング2に螺合させる。そして、ビスB3を締め付けることにより、ケーシング2を取付板5に固定する。その後、図8に示すように、取付板5を床板Fの上面に木ねじT1によって押圧固定する。これにより、ケーシング2を床板Fに取付板5を介して固定する。その後、取付板5に化粧板6を装着してガス栓1の床板Fへの取付けが完了する。
【0032】
前記構成の埋設型ガス栓1においては、ガス管接続部31がその中間部において直角に屈曲され、その基端部31bが水平な軸線と中心として回転可能であるから、ガス管接続部31の先端部31cの向きを変えることができる。例えば、図1に示すように、床板Fと床スラブSとの間隔が広い場合には、ガス管接続部31を垂直位置に回転させて、その先端部31cを下方に向けることができる。ガス管接続部31の先端部31cを下方に向けた場合には、ガス管接続部31に接続される一次側ガス管Gを床スラブSに沿って配設することができる。
【0033】
また、図10は、床板Fと床スラブSとの間隔が図1に示す実施の形態より狭い場合の実施の形態を示すものであり、ガス管接続部31が垂直位置と水平位置との間の中間位置である傾斜位置に位置させられている。つまり、ガス管接続部31の先端部31cが上下方向及び水平方向に対してほぼ45°だけ傾斜させられている。ガス管接続部31の先端部31cを傾斜させた場合には、ガス管接続部31及びそれに螺合固定された継手Cの上下方向の長さを傾斜角度の分だけ短くし、それによって床板Fと床スラブSとの間隔が狭い場合に対応することができる。なお、図10に示す実施の形態は、床板Fと床スラブSとの間隔が異なる点を除き、図1〜図9に示す実施の形態と同一の構成を有している。
【0034】
図11は、床板Fの厚さが図1に示す実施の形態の床板Fより薄い場合の実施の形態を示すものであり、ガス管接続部31が水平位置に位置させられ、その先端部31cが水平方向に向けられている。したがって、ガス管Gは、図1〜図9又は図10に示す実施の形態のように継手Cの近傍において屈曲させる必要がなく、水平方向へ真っ直ぐに延びた状態でガス管接続部31に接続することができ、ガス管G、継手C及びガス管接続部31を一つの水平面内に配置することができる。よって、床板Fと床スラブSとの間隔が狭い場合に対応することができる。なお、図11に示す実施の形態は、床板Fの厚さが異なる点、及び床板Fと床スラブSとの間隔が異なる点を除き、図1〜図9に示す実施の形態と同一の構成を有している。また、この実施の形態では、ガス栓1全体が貫通孔Fa内に収容されることなく、室内I側の一部だけが貫通孔Faに収容されている。これから明らかなように、この発明において、「貫通孔内にガス栓が設けられる」とは、ガス栓全体が貫通孔に収容される場合と、一部だけが収容される場合との両者を含むものである。
【0035】
このように、埋設型ガス栓1によれば、ガス管接続部31がガス栓本体3に対して回転可能であるから、床板Fと床スラブSとの間隔が異なる各種の使用の態様、及び床板Fの厚さが異なる各種の使用の態様に対し、一つのガス栓1だけで対応することができ、使用の態様に応じてガス管接続部の向きが異なる各種の埋設型ガス栓を使い分ける必要がない。したがって、埋設型ガス栓1の製造費及び管理費を低減することができる。
【0036】
また、ケーシング2にガス管接続部31の先端部31cの回転を許容する切欠き部22が形成されているので、ケーシング2を大型化することなく、ガス管接続部31の回転角度を大きくすることができる。これは、ガス管接続部31の先端部31cの回転域を、開位置に位置している開閉蓋62と基端部31bとの間に配置したことにもよる。すなわち、仮に開位置に位置している開閉蓋62を前記実施の形態に対しケーシング2の周方向へ90°離れた位置に設定すると、先端部31cが水平になるように回転させたときに、先端部31cが開閉蓋62に突き当たるため、ガス管接続部31の回転角度を小さくしなければならなくなる。この点、前記の実施の形態のように、ガス管接続部31の先端部31cの回転域を、開位置に位置している開閉蓋62と基端部31bとの間に配置すると、先端部31cが開閉蓋62に突き当たることがない。したがって、ガス管接続部31の回転角度を大きくすることができる。
【0037】
さらに、押し釦42の下側(室外O側)にガス管接続部31の基端部31bを配置しているから、換言すれば、基端部31bとプラグ部32とによって区画される空間に押し釦42を配置しているから、ガス栓1に無駄な空間の存在を排除することができ、その結果ガス栓1を小型化することができる。
【0038】
なお、この発明は、前記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、前記の実施の形態においては、ガス栓1が床板Fを上下に貫通するFa内に配置されているが、ガス栓1を内壁等の壁板に設けることも可能である。その場合には、壁板に水平方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内にガス栓1を配置する。勿論、ガス栓1は、そのプラグ部32の軸線を貫通孔の軸線と一致ないしは平行にした状態で貫通孔内に配置される。そして、ガス栓1は、壁板に直接固定され、あるいは壁板を支持する桟木等の壁板を含む壁の構成部材に固定される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明に係る埋設型ガス栓は、床板と床スラブとの間隔や、内壁と外壁との間隔が異なる各種の使用の態様に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
B3 ビス(固定手段)
F 床板
Fa 貫通孔
G 一次側ガス管
T1 木ねじ(固定手段)
1 埋設型ガス栓
2 ケーシング
3 ガス栓本体
4 外しユニット(取外し機構)
5 取付板(固定手段)
6 化粧板
22 切欠き部
31 ガス管接続部
31b 基端部
31c 先端部
32 プラグ部
33 ガス通路
42 押し釦
61 窓孔
62 開閉蓋(蓋体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁板又は床板に形成された貫通孔内に設けられるガス栓本体と、ガス栓本体を前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段とを備え、
前記ガス栓本体が、一次側ガス管が接続されるガス管接続部と、ソケットが着脱可能に接続されるプラグ部とを有し、
前記ガス栓本体の内部には、前記ガス管接続部から前記プラグ部までを連通するガス通路が形成され、
前記ソケットが室内側から前記貫通孔に挿入されて前記プラグに接続可能とされた埋設型ガス栓であって、
前記ガス管接続部は、前記ガス栓本体の主体部とは別体に形成されるとともに、前記一次側ガス管が接続される先端部の向きを変えることができるよう、基端部が前記ガス栓本体の主体部に対して回転可能に接続されていることを特徴とする埋設型ガス栓。
【請求項2】
前記ガス管接続部の基端部が、前記壁板又は前記床板に沿う方向に延びる軸線を中心として回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の埋設型ガス栓。
【請求項3】
前記貫通孔が、その軸線方向を前記壁板又は前記床板と直交する方向に向けて設けられ、
前記プラグ部が、その軸線方向を前記貫通孔の軸線方向に向けて設けられ、前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部の軸線と直交する軸線を中心として回転可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設型ガス栓。
【請求項4】
前記固定手段が、前記壁板を含む前記壁の構成部材又は前記床板を含む前記床の構成部材に固定されたケーシングを有し、
前記ケーシングは、一端部に開口部を有して容器状に形成され、その開口部を室内側に向けた状態で前記貫通孔内に配置され、
前記ガス栓本体が、前記ケーシング内に収容固定され、
前記ケーシングには、前記ガス管接続部の先端部が挿入される切欠き部が形成され、
前記切欠き部は、前記ガス管接続部の先端部がその基端部を中心として回転すること許容するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の埋設型ガス栓。
【請求項5】
前記ソケットを前記プラグ部から取り外すための取外し機構の押し釦が、前記プラグ部に隣接してその側方に前記プラグ部に沿って移動可能に設けられ、
前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部から前記押し釦に向かう方向へ延び、しかも前記押し釦に対し室外側に隣接するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の埋設型ガス栓。
【請求項6】
前記貫通孔の室内側の開口部及びその周囲の壁板又は床板を覆う化粧板をさらに備え、
前記化粧板の前記貫通孔と対向する箇所には、窓孔が設けられ、
前記窓孔には、蓋体が、前記窓孔を塞ぐ閉位置と、前記ケーシングの周壁部に沿って位置して前記窓孔を開く開位置との間を移動可能に設けられ、
前記開位置に位置している前記蓋体と前記ガス管接続部の基端部との間に、前記ガス管接続部の回転域が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の埋設型ガス栓。
【請求項1】
壁板又は床板に形成された貫通孔内に設けられるガス栓本体と、ガス栓本体を前記壁板を含む壁の構成部材又は前記床板を含む床の構成部材に固定する固定手段とを備え、
前記ガス栓本体が、一次側ガス管が接続されるガス管接続部と、ソケットが着脱可能に接続されるプラグ部とを有し、
前記ガス栓本体の内部には、前記ガス管接続部から前記プラグ部までを連通するガス通路が形成され、
前記ソケットが室内側から前記貫通孔に挿入されて前記プラグに接続可能とされた埋設型ガス栓であって、
前記ガス管接続部は、前記ガス栓本体の主体部とは別体に形成されるとともに、前記一次側ガス管が接続される先端部の向きを変えることができるよう、基端部が前記ガス栓本体の主体部に対して回転可能に接続されていることを特徴とする埋設型ガス栓。
【請求項2】
前記ガス管接続部の基端部が、前記壁板又は前記床板に沿う方向に延びる軸線を中心として回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の埋設型ガス栓。
【請求項3】
前記貫通孔が、その軸線方向を前記壁板又は前記床板と直交する方向に向けて設けられ、
前記プラグ部が、その軸線方向を前記貫通孔の軸線方向に向けて設けられ、前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部の軸線と直交する軸線を中心として回転可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設型ガス栓。
【請求項4】
前記固定手段が、前記壁板を含む前記壁の構成部材又は前記床板を含む前記床の構成部材に固定されたケーシングを有し、
前記ケーシングは、一端部に開口部を有して容器状に形成され、その開口部を室内側に向けた状態で前記貫通孔内に配置され、
前記ガス栓本体が、前記ケーシング内に収容固定され、
前記ケーシングには、前記ガス管接続部の先端部が挿入される切欠き部が形成され、
前記切欠き部は、前記ガス管接続部の先端部がその基端部を中心として回転すること許容するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の埋設型ガス栓。
【請求項5】
前記ソケットを前記プラグ部から取り外すための取外し機構の押し釦が、前記プラグ部に隣接してその側方に前記プラグ部に沿って移動可能に設けられ、
前記ガス管接続部の基端部が、前記プラグ部から前記押し釦に向かう方向へ延び、しかも前記押し釦に対し室外側に隣接するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の埋設型ガス栓。
【請求項6】
前記貫通孔の室内側の開口部及びその周囲の壁板又は床板を覆う化粧板をさらに備え、
前記化粧板の前記貫通孔と対向する箇所には、窓孔が設けられ、
前記窓孔には、蓋体が、前記窓孔を塞ぐ閉位置と、前記ケーシングの周壁部に沿って位置して前記窓孔を開く開位置との間を移動可能に設けられ、
前記開位置に位置している前記蓋体と前記ガス管接続部の基端部との間に、前記ガス管接続部の回転域が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の埋設型ガス栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−36565(P2013−36565A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174039(P2011−174039)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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