埋設されたICタグの位置特定方法
【課題】構造物に埋設されたICタグの二次元的な位置を容易に特定する。
【解決手段】構造物に埋設されたICタグの、前記構造物の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法であって、前記ICタグからの信号を受信可能な指向性を有する受信部を、第1の移動として、前記表面の法線方向を除く第1方向に直線移動、または、回転移動させて前記信号を受信する第1受信ステップと、前記受信部を、第2の移動として、前記表面の法線方向及び前記第1方向を除く第2方向に直線移動、または、前記回転移動の軸と異なる軸を中心とする回転移動をさせて前記信号を受信する第2受信ステップと、前記第1受信ステップにて受信した前記信号と、前記第2受信ステップにて受信した前記信号とに基づいて、前記ICタグの位置を特定する位置特定ステップと、を有する。
【解決手段】構造物に埋設されたICタグの、前記構造物の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法であって、前記ICタグからの信号を受信可能な指向性を有する受信部を、第1の移動として、前記表面の法線方向を除く第1方向に直線移動、または、回転移動させて前記信号を受信する第1受信ステップと、前記受信部を、第2の移動として、前記表面の法線方向及び前記第1方向を除く第2方向に直線移動、または、前記回転移動の軸と異なる軸を中心とする回転移動をさせて前記信号を受信する第2受信ステップと、前記第1受信ステップにて受信した前記信号と、前記第2受信ステップにて受信した前記信号とに基づいて、前記ICタグの位置を特定する位置特定ステップと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に埋設されたICタグの位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物に埋設されたICタグの位置特定方法としては、例えば、構造物をなすコンクリート内部に埋設された配管のコンクリート表面からの距離(被り厚)を算出して位置を、RFICタグ(以下、ICタグという)を用いて特定する方法が知られている。具体的には、埋設されている配管には、予め互いに間隔を隔てた位置に2つのICタグが備えられており、コンクリート表面に配置した、送受信機であるリーダーから送信した電波を2つのICタグがリーダーに向けて反射した電波に基づいて被り厚を算出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような位置の特定方法では、被り厚を知ることはできるが、たとえば、構造物の表面をなす二次元の平面において、ICタグがどの位置に埋設されているかを知ることはできなかった。また、上記の位置特定方法では、2つのICタグにて反射された電波に基づいて算出するので、演算する必要があり装置が複雑になるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造物に埋設されたICタグの二次元的な位置を容易に特定することが可能な、埋設されたICタグの位置特定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の埋設されたICタグの位置特定方法は、構造物に埋設されたICタグの、前記構造物の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法であって、
前記ICタグからの信号を受信可能な指向性を有する受信部を、第1の移動として、前記表面の法線方向を除く第1方向に直線移動、または、回転移動させて前記信号を受信する第1受信ステップと、
前記受信部を、第2の移動として、前記表面の法線方向及び前記第1方向を除く第2方向に直線移動、または、前記回転移動の軸と異なる軸を中心とする回転移動をさせて前記信号を受信する第2受信ステップと、
前記第1受信ステップにて受信した前記信号と、前記第2受信ステップにて受信した前記信号とに基づいて、前記ICタグの位置を特定する位置特定ステップと、
を有することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法である。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、指向性を有する受信部の第1の移動と、第2の移動にてそれぞれICタグの信号を受信することにより、ICタグからの信号が受信された位置または姿勢により、ICタグの位置または方向をそれぞれ特定することが可能である。すなわち、第1受信ステップと、第2受信ステップにて、一次元の位置または方向の情報がそれぞれ取得される。このため、2つの一次元の情報に基づいて、二次元的な位置を容易に特定することが可能である。
【0007】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々受信した前記信号の強度に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することが望ましい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、第1受信ステップ及び第2受信ステップにて各々受信した信号の強度に基づいて、受信部の位置に対するICタグが存在する位置または方向を特定するので、ICタグの二次元的な位置をより容易に特定することが可能である。
【0008】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々前記信号を受信した受信範囲に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することとしてもよい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、第1受信ステップ及び第2受信ステップにて各々信号を受信した受信範囲に基づいて、受信部の位置に対するICタグが存在する位置または方向を特定するので、ICタグの二次元的な位置をより容易に特定することが可能である。
【0009】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動と前記第2の移動は、いずれも前記直線移動であることが望ましい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、第1の移動と第2の移動にて、いずれも受信部を直線移動するだけでICタグの二次元的な位置を容易に且つより正確に特定することが可能である。
【0010】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り前記第1方向と直交する方向に沿う軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である第1方向に沿う軸上を移動する直線移動により、第1方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、第1方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、特定された位置を通り第1方向と直交する軸外の点を通り、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置を通り第1方向と直交する軸外の点に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定されるので、第1の移動と第2の移動とにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0011】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記第1方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である第1方向に沿う軸上を移動する直線移動により、第1方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、第1方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、第1方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置における第1方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、既知であるICタグの表面からの距離となる位置にICタグが存在することになる。このため、第2の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0012】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、第1方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグに近い位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、既知であるICタグの表面からの距離となる位置が、ICタグに近い位置となる。このため、第1の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、第1方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、第1方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、第1方向と直交する軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置における第1方向と直交する軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このときも、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、第2の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0013】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と平行な軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である、表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、所定方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、既知であるICタグの表面からの距離となる位置がICタグに近い位置であることになる。このため、第1の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、所定方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、所定方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、特定された位置を通り、所定の方向と直交する軸外の点を通り、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置を通り所定の方向と直交する軸外の点に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定されるので、第1の移動と第2の移動とにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0014】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り、前記所定方向と平行な軸上を移動する前記直線移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である、表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、所定方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、第1の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、所定方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、所定方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、所定方向と直交する軸上を移動する直線移動により、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0015】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動と前記第2の移動は、前記表面上の互いに異なる位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動と第2の移動は、表面の互いに異なる位置における、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動なので、いずれも表面がなす二次元空間上にて、受信部の位置に対するICタグの方向を特定することが可能である。このため、表面上の異なる2点から2方向が特定されることにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0016】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、前記第2の移動は、特定された方向に沿う軸上を移動する前記直線移動であることとしてもよい。
この場合には、表面上の所定の位置における、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、表面上の所定の位置に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定される。このため、第2の移動にて、特定されて方向に沿う軸上を直線移動することにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0017】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、前記第2の移動は、特定された方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、表面上の所定の位置における、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、表面上の所定の位置に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定される。このため、第2の移動にて、特定された方向と直交する軸を中心とする回転移動することにより、特定された方向と直交する軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、第2の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0018】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記構造物は、セメント組成物であることが望ましい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、セメント組成物は電磁波の吸収率が高いので、指向性を有する受光部は、ICタグに最も近いとき、すなわち、セメント組成物の距離が短い場合と、ICタグから遠いとき、すなわちセメント組成物の距離が長いときの受信される信号の強度の差が強調される。このため、ICタグが存在する位置または方向がより特定しやすくなるので、より正確にICタグの位置を特定することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構造物に埋設されたICタグの二次元的な位置を容易に特定することが可能な埋設されたICタグの位置特定方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る埋設されたICタグの位置特定方法の一実施例を示すイメージ図である。
【図2】第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。
【図4】埋設されたICタグの位置特定方法の手順を説明する図である。
【図5】第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。
【図7】第3実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図8】第4実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図9】第5実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図及び矢視図である。
【図10】第6実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図11】ICタグの位置特定方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法は、たとえば、構造物としての床や壁等に埋設されて、埋設された位置を視認できないICタグの、床や壁の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法である。ここでは、構造物としての床に埋設されたICタグの位置を特定する方法を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る埋設されたICタグの位置特定方法の一実施例を示すイメージ図である。
図1に示すように、ICタグ15は、セメント組成物としてのコンクリート製の床スラブ18の下に埋設されている。
【0023】
本実施形態のICタグ15は、読取装置10からの電波により動作するRFタグであり、読取装置10からの電波を反射して反射波を返すように構成されている。
【0024】
読取装置10は、指向性を有しICタグ15からの信号を受信可能な受信部としてのアンテナ11と、アンテナ11とケーブル12にて接続されアンテナ11にて受信した信号の強度を検出して表示する制御部としての制御PC14と、で構成されている。
【0025】
そして、アンテナ11は、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面からの距離が変化することなく、固定距離Hの間隔を隔てて移動可能に設けられている。制御PC14は、アンテナ11を直線移動または回転移動させつつアンテナ11から周期的に電波を発信しICタグ15にて反射される信号の強度(RSSI)を検出するように構成されている。
【0026】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図3は、第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。図3における2つのグラフ1、グラフ2は、アンテナ11がX方向またはY軸方向に直線移動したときの信号の強度をICタグ15の位置に対応させて示している。図4は、埋設されたICタグの位置特定方法の手順を説明する図である。
【0027】
第1実施形態の埋設されたICタグ15の位置特定方法に用いるアンテナ11は、図2に示すように、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面18aからの距離を一定に保ちつつ水平移動可能に設けられている。そして、図3に示すように、矩形状をなす床スラブ18に対し、直交するX軸方向と、Y軸方向を設定し、まず、第1の移動として、第1方向としてのX軸方向にアンテナ11を直線移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第1受信ステップS1)。このとき、X軸のY軸方向の位置は任意の位置とする。
【0028】
制御PC14には、アンテナ11からの逐次信号が受信され、アンテナ11が直線移動したX軸上において、埋設されているICタグ15に最も近い位置にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、図3のグラフ1のようなデータが取得され、最も高い強度の信号が受信された位置が、X軸上において、ICタグ15に最も近い位置としてX座標が特定される。
【0029】
次に、特定されたX座標を通る第2方向としてのY軸上を、第2の移動としてアンテナ11を直線移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第2受信ステップS2)。このときも、X軸上と同様に、図3のグラフ2のようなデータが取得され、アンテナ11が直線移動したY軸上において、埋設されているICタグ15に最も近い位置にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、最も高い強度の信号が受信された位置が、Y軸上において、ICタグ15に最も近い位置としてY座標が特定される。そして、X軸上にて最も高い強度の信号が受信された位置であるX座標と、Y軸上にて最も高い強度の信号が受信された位置であるY座標とにて、ICタグ15が埋設されている位置が特定される(位置特定ステップS3)。
【0030】
第1実施形態の埋設されたICタグ15の位置特定方法によれば、指向性を有するアンテナ11のX軸方向の直線移動と、Y軸方向の直線移動とにてそれぞれICタグ15の信号を受信することにより、ICタグ15からの信号が受信された位置により、X軸上及びY軸上におけるICタグ15に最も近い位置をそれぞれ特定することが可能である。このため、X軸上におけるICタグ15に最も近い位置をX座標とし、Y軸上におけるICタグ15に最も近い位置をY座標として、埋設されているICタグ15の二次元的な位置を容易に特定することが可能である。
【0031】
また、X軸方向の直線移動にて信号を受信した位置にて、X軸と直交するY軸方向に、アンテナ11を移動することにより、アンテナ11の直線移動だけでICタグ15の二次元的な位置を容易に且つより正確に特定することが可能である。
【0032】
また、ICタグ15が埋設されている位置を、受信した信号の強度が最も高い位置として特定するので、数値を測定する必要はなく、他の位置における信号の強度との比較により特定することが可能である。このため、制御が容易であるとともに短時間にてICタグ15が埋設されている位置を特定することが可能である。
【0033】
また、X軸とY軸とは直交しているので、アンテナ11の直線移動だけでICタグ15の二次元的な位置を容易に且つより正確に特定することが可能である。
【0034】
また、本実施形態にてICタグ15が埋設されているコンクリートは、電磁波の吸収率が高いので、指向性を有するアンテナ11は、ICタグ15に最も近いとき、より具体的には、アンテナ11とICタグ15との間に存在するコンクリートの距離が短い場合と、長い場合との受信される信号の強度の差が強調される。このため、ICタグ15が存在する位置がより特定しやすくなるので、より正確にICタグ15の位置を特定することが可能である。
【0035】
第1実施形態では、X軸とY軸とをいずれも床スラブ18の表面18aと平行に設定した例について説明したが、必ずしも表面18aと平行である必要はなく、表面18aの法線方向でなければ構わない。また、X軸とY軸とは必ずしも直交していなくとも良い。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態の場合には、埋設されているICタグ15の床スラブ18の表面18aからの距離が既知、すなわち予めわかっていることが前提となる。
図5は、第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図6は、第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。
【0037】
第2実施形態のICタグ15の位置特定方法に用いるアンテナ11は、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面18aからの距離を一定に保ちつつ所定方向に水平移動、及び、床スラブ18の表面18aからの距離を同じくして前記所定方向に沿う回転軸を中心として回転移動可能に設けられている。
【0038】
そして、図5、図6に示すように、床スラブ18に対して第1方向をX1軸として設定し、まず、第1の移動として、X1軸方向にアンテナ11を直線移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第1受信ステップS1)。
【0039】
制御PC14には、第1実施形態と同様に、アンテナ11からの信号が逐次受信され、アンテナ11が直線移動したX1軸上において、埋設されているICタグ15に最も近い位置にて最も高い強度の信号が受信され、X1軸上において、ICタグ15に最も近い位置としてX1座標が特定される。
【0040】
次に、特定されたX1座標上にアンテナ11を配置し、第2の移動としてアンテナ11を、X1軸を中心として回転移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第2受信ステップS2)。このとき、アンテナ11が回転移動したX1軸を中心とした放射状の周方向において、埋設されているICタグ15に向かう方向にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、最も高い強度の信号が受信された方向が、X1軸を中心とする周方向において、ICタグ15が埋設されている方向となる。そして、予めわかっているICタグ15の床スラブ18の表面18aからの距離に基づいて、アンテナ11を回転移動して特定された方向において床スラブ18の表面18aからの距離が、予めわかっている距離となる位置を特定する。このとき特定された位置がY1座標となる。具体的には、X1軸を中心として回転移動させて最も高い強度の信号が受信された方向と鉛直方向とのなす角と、アンテナ11と床スラブ18の表面18aとの距離Hと床スラブ18の表面18aと埋設されているICタグとの距離Dとを合わせた距離(H+D)とに基づいて、表面18aにおけるY1座標が特定される。
【0041】
そして、X1軸上にて最も高い強度の信号が受信された位置であるX1座標と、X1軸を中心とする周方向とアンテナ11とICタグとの鉛直方向の距離(H+D)とによって特定されたY1座標とにて、ICタグ15が埋設されている位置が特定される(位置特定ステップS3)。
【0042】
第2実施形態の埋設されているICタグ15の位置特定方法によれば、指向性を有するアンテナ11のX1軸方向の直線移動と、X1軸を中心とする回転移動とにてそれぞれICタグ15の信号を受信することにより、ICタグ15からの信号が受信された位置及び方向により、X1軸上におけるICタグ15に最も近い位置、及びX1軸を中心とする周方向におけるICタグ15が設けられている方向をそれぞれ特定することが可能である。このため、X1軸上におけるICタグ15に最も近い位置をX1座標とし、X1軸を中心とする周方向とアンテナ11とICタグとの鉛直方向の距離(H+D)とによって特定された位置をY1座標として、埋設されているICタグ15の二次元的な位置を容易に特定することが可能である。すなわち、X1軸方向の直線移動にて最も強度が高い信号を受信した位置にて、X1軸方向に沿う軸を中心としてアンテナ11を回転移動ことによりICタグ15の二次元的な位置を容易に特定することが可能である。
【0043】
第2実施形態においては、X1軸方向に直線移動した後に、X1軸を中心に回転移動させる例について説明したが、X1軸を中心に回転移動した後に、X1軸と直交する軸上を直線移動しても良い。
【0044】
また、第2実施形態における直線移動の方向及び回転移動の軸は、表面18aの法線方向を除く方向であれば構わない。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態のICタグ15の位置特定方法に用いるアンテナ11は、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面18aと直交し互いに間隔を隔てた2つの軸(法線方向の軸)Z1、Z2を中心として回転移動可能に設けられている。
【0046】
図7は、第3実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
図7に示すように、床スラブ18に任意の位置に表面18aと直交する鉛直方向をZ1軸として設定し、まず、第1の移動として、Z1軸を中心としてアンテナ11を回転移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第1受信ステップS1)。
【0047】
制御PC14には、第1及び第2実施形態と同様に、アンテナ11からの信号が逐次受信され、アンテナ11が回転移動したZ1軸を中心とした放射状の周方向において、ICタグ15が埋設されている方向にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、最も高い強度の信号が受信された方向が、Z1軸を中心とする周方向において、ICタグ15が埋設されている方向となる。このとき特定される方向は、アンテナ11と同じ高さの水平面内における方向である。
【0048】
次に、Z1軸とは異なる位置に、表面18aと直交する鉛直方向をZ2軸として設定し、第2の移動として、Z2軸を中心としてアンテナ11を回転移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第2受信ステップS2)。このとき、アンテナ11が回転移動したZ1軸を中心とした放射状の周方向において、ICタグ15が埋設されている方向にて最も高い強度の信号が受信される。このとき特定される方向は、アンテナ11と同じ高さの水平面内における方向である。
【0049】
そして、Z1軸を中心とした放射状の周方向において、最も高い強度の信号が受信された方向と、Z2軸を中心とした放射状の周方向において、最も高い強度の信号が受信された方向とが交差する位置から降ろした垂線と床スラブ18の表面18aとが交差する位置がICタグ15が埋設されている位置Aとして特定される(位置特定ステップ)。
【0050】
第3実施形態の埋設されているICタグ15の位置特定方法によれば、指向性を有するアンテナ11の、床スラブ18の表面18aの法線方向に沿うZ1軸を中心とする回転移動と、表面18aの法線方向に沿うZ2軸を中心とする回転移動にてそれぞれICタグ15の信号を受信することにより、ICタグ15からの信号が受信された方向により、アンテナ11と同じ高さの水平面内の2点においてICタグ15が設けられている方向をそれぞれ特定することが可能である。このため、Z1軸を設定した位置に対するICタグ15が設けられている方向と、Z2軸を設定した位置に対するICタグ15が設けられている方向との交点を、ICタグ15が埋設されている位置として、埋設されているICタグ15の二次元的な位置Aを容易に特定することが可能である。
【0051】
<その他の実施形態>
図8は、第4実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図9は、第5実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図10は、第6実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。 上記実施形態においては、床スラブ18の表面18a上の互いに異なる2方向(X軸、Y軸)の直線移動によりICタグ15の位置を特定する方法、床スラブ18の表面18aの法線方向を除く所定方向の直線移動と所定方向に沿う回転軸を中心とした回転移動とによりICタグ15の位置を特定する方法、床スラブ18の表面18aの互いに異なる2点における表面18aの法線方向に沿う軸を中心とする回転移動によりICタグ15の位置を特定する方法について説明したがこれに限るものではない。
【0052】
例えば、図8に示すように、床スラブ18の表面18aの法線方向を除く所定のX2軸方向の直線移動と、表面18aの所定の位置における法線方向(Z3軸)に沿う回転軸を中心とした回転移動とによりICタグ15の位置(X2座標、Y2座標)を特定してもよい。図8では、X2軸を床スラブ18の表面の18aと平行に設定した例を示している。
【0053】
また、ICタグ15が埋設されている床スラブ18の表面18aからの距離Dが予めわかっている場合には、図9に示すように、床スラブ18の表面18aの法線方向を除き、互いに直交する2つのX3軸、Y3軸を中心とした回転移動によりICタグ15の位置(X3座標、Y3座標)を特定してもよい。図9では、X3軸及びY3軸を床スラブ18の表面18aと平行な水平面内に設定した例を示している。
【0054】
また、ICタグ15が埋設されている床スラブ18の表面18aからの距離Dが予めわかっている場合には、図10に示すように、床スラブ18の表面18aの法線方向を除く所定方向に沿うX4軸を中心とした回転移動と、床スラブ18の表面18a上の所定の位置における法線方向のZ4軸を中心とした回転移動とによりICタグ15の位置を特定することも可能である。図10では、X4軸を床スラブ18の表面18aと平行に設定した例を示している。
【0055】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0056】
図11は、ICタグの位置特定方法の変形例を示す図である。
上記実施形態においては、アンテナ11を直線移動または回転移動させつつ受信した信号の強度(RSSI)が最も高い位置をICタグに近い位置として特定したが、これに限るものではない。例えば図11に示すように、アンテナ11を直線移動または回転移動させつつ信号が受信された受信範囲を特定し、特定された受信範囲の中心位置をICタグに近い位置として特定してもよい。
【0057】
上記実施形態においては、構造物を床スラブ18としたが、これに限らず、各種建物の壁や天井などであっても構わない。
【符号の説明】
【0058】
10 読取装置
11 アンテナ
12 ケーブル
14 制御PC
15 ICタグ
18 床スラブ
18a 表面
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に埋設されたICタグの位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物に埋設されたICタグの位置特定方法としては、例えば、構造物をなすコンクリート内部に埋設された配管のコンクリート表面からの距離(被り厚)を算出して位置を、RFICタグ(以下、ICタグという)を用いて特定する方法が知られている。具体的には、埋設されている配管には、予め互いに間隔を隔てた位置に2つのICタグが備えられており、コンクリート表面に配置した、送受信機であるリーダーから送信した電波を2つのICタグがリーダーに向けて反射した電波に基づいて被り厚を算出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような位置の特定方法では、被り厚を知ることはできるが、たとえば、構造物の表面をなす二次元の平面において、ICタグがどの位置に埋設されているかを知ることはできなかった。また、上記の位置特定方法では、2つのICタグにて反射された電波に基づいて算出するので、演算する必要があり装置が複雑になるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造物に埋設されたICタグの二次元的な位置を容易に特定することが可能な、埋設されたICタグの位置特定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の埋設されたICタグの位置特定方法は、構造物に埋設されたICタグの、前記構造物の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法であって、
前記ICタグからの信号を受信可能な指向性を有する受信部を、第1の移動として、前記表面の法線方向を除く第1方向に直線移動、または、回転移動させて前記信号を受信する第1受信ステップと、
前記受信部を、第2の移動として、前記表面の法線方向及び前記第1方向を除く第2方向に直線移動、または、前記回転移動の軸と異なる軸を中心とする回転移動をさせて前記信号を受信する第2受信ステップと、
前記第1受信ステップにて受信した前記信号と、前記第2受信ステップにて受信した前記信号とに基づいて、前記ICタグの位置を特定する位置特定ステップと、
を有することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法である。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、指向性を有する受信部の第1の移動と、第2の移動にてそれぞれICタグの信号を受信することにより、ICタグからの信号が受信された位置または姿勢により、ICタグの位置または方向をそれぞれ特定することが可能である。すなわち、第1受信ステップと、第2受信ステップにて、一次元の位置または方向の情報がそれぞれ取得される。このため、2つの一次元の情報に基づいて、二次元的な位置を容易に特定することが可能である。
【0007】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々受信した前記信号の強度に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することが望ましい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、第1受信ステップ及び第2受信ステップにて各々受信した信号の強度に基づいて、受信部の位置に対するICタグが存在する位置または方向を特定するので、ICタグの二次元的な位置をより容易に特定することが可能である。
【0008】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々前記信号を受信した受信範囲に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することとしてもよい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、第1受信ステップ及び第2受信ステップにて各々信号を受信した受信範囲に基づいて、受信部の位置に対するICタグが存在する位置または方向を特定するので、ICタグの二次元的な位置をより容易に特定することが可能である。
【0009】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動と前記第2の移動は、いずれも前記直線移動であることが望ましい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、第1の移動と第2の移動にて、いずれも受信部を直線移動するだけでICタグの二次元的な位置を容易に且つより正確に特定することが可能である。
【0010】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り前記第1方向と直交する方向に沿う軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である第1方向に沿う軸上を移動する直線移動により、第1方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、第1方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、特定された位置を通り第1方向と直交する軸外の点を通り、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置を通り第1方向と直交する軸外の点に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定されるので、第1の移動と第2の移動とにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0011】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記第1方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である第1方向に沿う軸上を移動する直線移動により、第1方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、第1方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、第1方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置における第1方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、既知であるICタグの表面からの距離となる位置にICタグが存在することになる。このため、第2の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0012】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、第1方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグに近い位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、既知であるICタグの表面からの距離となる位置が、ICタグに近い位置となる。このため、第1の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、第1方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、第1方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、第1方向と直交する軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置における第1方向と直交する軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このときも、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、第2の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0013】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と平行な軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である、表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、所定方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、既知であるICタグの表面からの距離となる位置がICタグに近い位置であることになる。このため、第1の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、所定方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、所定方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、特定された位置を通り、所定の方向と直交する軸外の点を通り、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、特定された位置を通り所定の方向と直交する軸外の点に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定されるので、第1の移動と第2の移動とにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0014】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り、前記所定方向と平行な軸上を移動する前記直線移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動である、表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、所定方向に沿う軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、第1の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、所定方向に沿う軸上におけるICタグに近い位置が特定される。このとき、ICタグは、特定された位置を通り、所定方向と直交する軸上に配置されていることになる。このため、第2の移動にて、所定方向と直交する軸上を移動する直線移動により、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0015】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動と前記第2の移動は、前記表面上の互いに異なる位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、第1の移動と第2の移動は、表面の互いに異なる位置における、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動なので、いずれも表面がなす二次元空間上にて、受信部の位置に対するICタグの方向を特定することが可能である。このため、表面上の異なる2点から2方向が特定されることにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0016】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、前記第2の移動は、特定された方向に沿う軸上を移動する前記直線移動であることとしてもよい。
この場合には、表面上の所定の位置における、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、表面上の所定の位置に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定される。このため、第2の移動にて、特定されて方向に沿う軸上を直線移動することにより、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0017】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、前記第2の移動は、特定された方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることとしてもよい。
この場合には、表面上の所定の位置における、表面の法線方向に沿う軸を中心とする回転移動することにより、表面上の所定の位置に対する、ICタグが存在する表面上の方向が特定される。このため、第2の移動にて、特定された方向と直交する軸を中心とする回転移動することにより、特定された方向と直交する軸を中心とする、ICタグが存在する方向が特定される。このとき、特定される方向だけではICタグの位置は特定できないが、特定される方向は軸から離れるに従って表面からの距離が遠くなるので、第2の移動にて特定された方向と、既に知り得ているICタグの表面からの距離とに基づいて、ICタグの二次元的な位置を特定することが可能である。
【0018】
かかる埋設されたICタグの位置特定方法であって、前記構造物は、セメント組成物であることが望ましい。
このような埋設されたICタグの位置特定方法によれば、セメント組成物は電磁波の吸収率が高いので、指向性を有する受光部は、ICタグに最も近いとき、すなわち、セメント組成物の距離が短い場合と、ICタグから遠いとき、すなわちセメント組成物の距離が長いときの受信される信号の強度の差が強調される。このため、ICタグが存在する位置または方向がより特定しやすくなるので、より正確にICタグの位置を特定することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構造物に埋設されたICタグの二次元的な位置を容易に特定することが可能な埋設されたICタグの位置特定方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る埋設されたICタグの位置特定方法の一実施例を示すイメージ図である。
【図2】第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。
【図4】埋設されたICタグの位置特定方法の手順を説明する図である。
【図5】第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。
【図7】第3実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図8】第4実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図9】第5実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図及び矢視図である。
【図10】第6実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
【図11】ICタグの位置特定方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法は、たとえば、構造物としての床や壁等に埋設されて、埋設された位置を視認できないICタグの、床や壁の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法である。ここでは、構造物としての床に埋設されたICタグの位置を特定する方法を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る埋設されたICタグの位置特定方法の一実施例を示すイメージ図である。
図1に示すように、ICタグ15は、セメント組成物としてのコンクリート製の床スラブ18の下に埋設されている。
【0023】
本実施形態のICタグ15は、読取装置10からの電波により動作するRFタグであり、読取装置10からの電波を反射して反射波を返すように構成されている。
【0024】
読取装置10は、指向性を有しICタグ15からの信号を受信可能な受信部としてのアンテナ11と、アンテナ11とケーブル12にて接続されアンテナ11にて受信した信号の強度を検出して表示する制御部としての制御PC14と、で構成されている。
【0025】
そして、アンテナ11は、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面からの距離が変化することなく、固定距離Hの間隔を隔てて移動可能に設けられている。制御PC14は、アンテナ11を直線移動または回転移動させつつアンテナ11から周期的に電波を発信しICタグ15にて反射される信号の強度(RSSI)を検出するように構成されている。
【0026】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図3は、第1実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。図3における2つのグラフ1、グラフ2は、アンテナ11がX方向またはY軸方向に直線移動したときの信号の強度をICタグ15の位置に対応させて示している。図4は、埋設されたICタグの位置特定方法の手順を説明する図である。
【0027】
第1実施形態の埋設されたICタグ15の位置特定方法に用いるアンテナ11は、図2に示すように、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面18aからの距離を一定に保ちつつ水平移動可能に設けられている。そして、図3に示すように、矩形状をなす床スラブ18に対し、直交するX軸方向と、Y軸方向を設定し、まず、第1の移動として、第1方向としてのX軸方向にアンテナ11を直線移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第1受信ステップS1)。このとき、X軸のY軸方向の位置は任意の位置とする。
【0028】
制御PC14には、アンテナ11からの逐次信号が受信され、アンテナ11が直線移動したX軸上において、埋設されているICタグ15に最も近い位置にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、図3のグラフ1のようなデータが取得され、最も高い強度の信号が受信された位置が、X軸上において、ICタグ15に最も近い位置としてX座標が特定される。
【0029】
次に、特定されたX座標を通る第2方向としてのY軸上を、第2の移動としてアンテナ11を直線移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第2受信ステップS2)。このときも、X軸上と同様に、図3のグラフ2のようなデータが取得され、アンテナ11が直線移動したY軸上において、埋設されているICタグ15に最も近い位置にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、最も高い強度の信号が受信された位置が、Y軸上において、ICタグ15に最も近い位置としてY座標が特定される。そして、X軸上にて最も高い強度の信号が受信された位置であるX座標と、Y軸上にて最も高い強度の信号が受信された位置であるY座標とにて、ICタグ15が埋設されている位置が特定される(位置特定ステップS3)。
【0030】
第1実施形態の埋設されたICタグ15の位置特定方法によれば、指向性を有するアンテナ11のX軸方向の直線移動と、Y軸方向の直線移動とにてそれぞれICタグ15の信号を受信することにより、ICタグ15からの信号が受信された位置により、X軸上及びY軸上におけるICタグ15に最も近い位置をそれぞれ特定することが可能である。このため、X軸上におけるICタグ15に最も近い位置をX座標とし、Y軸上におけるICタグ15に最も近い位置をY座標として、埋設されているICタグ15の二次元的な位置を容易に特定することが可能である。
【0031】
また、X軸方向の直線移動にて信号を受信した位置にて、X軸と直交するY軸方向に、アンテナ11を移動することにより、アンテナ11の直線移動だけでICタグ15の二次元的な位置を容易に且つより正確に特定することが可能である。
【0032】
また、ICタグ15が埋設されている位置を、受信した信号の強度が最も高い位置として特定するので、数値を測定する必要はなく、他の位置における信号の強度との比較により特定することが可能である。このため、制御が容易であるとともに短時間にてICタグ15が埋設されている位置を特定することが可能である。
【0033】
また、X軸とY軸とは直交しているので、アンテナ11の直線移動だけでICタグ15の二次元的な位置を容易に且つより正確に特定することが可能である。
【0034】
また、本実施形態にてICタグ15が埋設されているコンクリートは、電磁波の吸収率が高いので、指向性を有するアンテナ11は、ICタグ15に最も近いとき、より具体的には、アンテナ11とICタグ15との間に存在するコンクリートの距離が短い場合と、長い場合との受信される信号の強度の差が強調される。このため、ICタグ15が存在する位置がより特定しやすくなるので、より正確にICタグ15の位置を特定することが可能である。
【0035】
第1実施形態では、X軸とY軸とをいずれも床スラブ18の表面18aと平行に設定した例について説明したが、必ずしも表面18aと平行である必要はなく、表面18aの法線方向でなければ構わない。また、X軸とY軸とは必ずしも直交していなくとも良い。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態の場合には、埋設されているICタグ15の床スラブ18の表面18aからの距離が既知、すなわち予めわかっていることが前提となる。
図5は、第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図6は、第2実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す平面図である。
【0037】
第2実施形態のICタグ15の位置特定方法に用いるアンテナ11は、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面18aからの距離を一定に保ちつつ所定方向に水平移動、及び、床スラブ18の表面18aからの距離を同じくして前記所定方向に沿う回転軸を中心として回転移動可能に設けられている。
【0038】
そして、図5、図6に示すように、床スラブ18に対して第1方向をX1軸として設定し、まず、第1の移動として、X1軸方向にアンテナ11を直線移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第1受信ステップS1)。
【0039】
制御PC14には、第1実施形態と同様に、アンテナ11からの信号が逐次受信され、アンテナ11が直線移動したX1軸上において、埋設されているICタグ15に最も近い位置にて最も高い強度の信号が受信され、X1軸上において、ICタグ15に最も近い位置としてX1座標が特定される。
【0040】
次に、特定されたX1座標上にアンテナ11を配置し、第2の移動としてアンテナ11を、X1軸を中心として回転移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第2受信ステップS2)。このとき、アンテナ11が回転移動したX1軸を中心とした放射状の周方向において、埋設されているICタグ15に向かう方向にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、最も高い強度の信号が受信された方向が、X1軸を中心とする周方向において、ICタグ15が埋設されている方向となる。そして、予めわかっているICタグ15の床スラブ18の表面18aからの距離に基づいて、アンテナ11を回転移動して特定された方向において床スラブ18の表面18aからの距離が、予めわかっている距離となる位置を特定する。このとき特定された位置がY1座標となる。具体的には、X1軸を中心として回転移動させて最も高い強度の信号が受信された方向と鉛直方向とのなす角と、アンテナ11と床スラブ18の表面18aとの距離Hと床スラブ18の表面18aと埋設されているICタグとの距離Dとを合わせた距離(H+D)とに基づいて、表面18aにおけるY1座標が特定される。
【0041】
そして、X1軸上にて最も高い強度の信号が受信された位置であるX1座標と、X1軸を中心とする周方向とアンテナ11とICタグとの鉛直方向の距離(H+D)とによって特定されたY1座標とにて、ICタグ15が埋設されている位置が特定される(位置特定ステップS3)。
【0042】
第2実施形態の埋設されているICタグ15の位置特定方法によれば、指向性を有するアンテナ11のX1軸方向の直線移動と、X1軸を中心とする回転移動とにてそれぞれICタグ15の信号を受信することにより、ICタグ15からの信号が受信された位置及び方向により、X1軸上におけるICタグ15に最も近い位置、及びX1軸を中心とする周方向におけるICタグ15が設けられている方向をそれぞれ特定することが可能である。このため、X1軸上におけるICタグ15に最も近い位置をX1座標とし、X1軸を中心とする周方向とアンテナ11とICタグとの鉛直方向の距離(H+D)とによって特定された位置をY1座標として、埋設されているICタグ15の二次元的な位置を容易に特定することが可能である。すなわち、X1軸方向の直線移動にて最も強度が高い信号を受信した位置にて、X1軸方向に沿う軸を中心としてアンテナ11を回転移動ことによりICタグ15の二次元的な位置を容易に特定することが可能である。
【0043】
第2実施形態においては、X1軸方向に直線移動した後に、X1軸を中心に回転移動させる例について説明したが、X1軸を中心に回転移動した後に、X1軸と直交する軸上を直線移動しても良い。
【0044】
また、第2実施形態における直線移動の方向及び回転移動の軸は、表面18aの法線方向を除く方向であれば構わない。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態のICタグ15の位置特定方法に用いるアンテナ11は、ICタグ15の特定対象となる床スラブ18の表面18aと直交し互いに間隔を隔てた2つの軸(法線方向の軸)Z1、Z2を中心として回転移動可能に設けられている。
【0046】
図7は、第3実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。
図7に示すように、床スラブ18に任意の位置に表面18aと直交する鉛直方向をZ1軸として設定し、まず、第1の移動として、Z1軸を中心としてアンテナ11を回転移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第1受信ステップS1)。
【0047】
制御PC14には、第1及び第2実施形態と同様に、アンテナ11からの信号が逐次受信され、アンテナ11が回転移動したZ1軸を中心とした放射状の周方向において、ICタグ15が埋設されている方向にて最も高い強度の信号が受信される。このとき、最も高い強度の信号が受信された方向が、Z1軸を中心とする周方向において、ICタグ15が埋設されている方向となる。このとき特定される方向は、アンテナ11と同じ高さの水平面内における方向である。
【0048】
次に、Z1軸とは異なる位置に、表面18aと直交する鉛直方向をZ2軸として設定し、第2の移動として、Z2軸を中心としてアンテナ11を回転移動させつつ受信した信号の強度を記録する(第2受信ステップS2)。このとき、アンテナ11が回転移動したZ1軸を中心とした放射状の周方向において、ICタグ15が埋設されている方向にて最も高い強度の信号が受信される。このとき特定される方向は、アンテナ11と同じ高さの水平面内における方向である。
【0049】
そして、Z1軸を中心とした放射状の周方向において、最も高い強度の信号が受信された方向と、Z2軸を中心とした放射状の周方向において、最も高い強度の信号が受信された方向とが交差する位置から降ろした垂線と床スラブ18の表面18aとが交差する位置がICタグ15が埋設されている位置Aとして特定される(位置特定ステップ)。
【0050】
第3実施形態の埋設されているICタグ15の位置特定方法によれば、指向性を有するアンテナ11の、床スラブ18の表面18aの法線方向に沿うZ1軸を中心とする回転移動と、表面18aの法線方向に沿うZ2軸を中心とする回転移動にてそれぞれICタグ15の信号を受信することにより、ICタグ15からの信号が受信された方向により、アンテナ11と同じ高さの水平面内の2点においてICタグ15が設けられている方向をそれぞれ特定することが可能である。このため、Z1軸を設定した位置に対するICタグ15が設けられている方向と、Z2軸を設定した位置に対するICタグ15が設けられている方向との交点を、ICタグ15が埋設されている位置として、埋設されているICタグ15の二次元的な位置Aを容易に特定することが可能である。
【0051】
<その他の実施形態>
図8は、第4実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図9は、第5実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。図10は、第6実施形態の埋設されたICタグの位置特定方法の概念を示す斜視図である。 上記実施形態においては、床スラブ18の表面18a上の互いに異なる2方向(X軸、Y軸)の直線移動によりICタグ15の位置を特定する方法、床スラブ18の表面18aの法線方向を除く所定方向の直線移動と所定方向に沿う回転軸を中心とした回転移動とによりICタグ15の位置を特定する方法、床スラブ18の表面18aの互いに異なる2点における表面18aの法線方向に沿う軸を中心とする回転移動によりICタグ15の位置を特定する方法について説明したがこれに限るものではない。
【0052】
例えば、図8に示すように、床スラブ18の表面18aの法線方向を除く所定のX2軸方向の直線移動と、表面18aの所定の位置における法線方向(Z3軸)に沿う回転軸を中心とした回転移動とによりICタグ15の位置(X2座標、Y2座標)を特定してもよい。図8では、X2軸を床スラブ18の表面の18aと平行に設定した例を示している。
【0053】
また、ICタグ15が埋設されている床スラブ18の表面18aからの距離Dが予めわかっている場合には、図9に示すように、床スラブ18の表面18aの法線方向を除き、互いに直交する2つのX3軸、Y3軸を中心とした回転移動によりICタグ15の位置(X3座標、Y3座標)を特定してもよい。図9では、X3軸及びY3軸を床スラブ18の表面18aと平行な水平面内に設定した例を示している。
【0054】
また、ICタグ15が埋設されている床スラブ18の表面18aからの距離Dが予めわかっている場合には、図10に示すように、床スラブ18の表面18aの法線方向を除く所定方向に沿うX4軸を中心とした回転移動と、床スラブ18の表面18a上の所定の位置における法線方向のZ4軸を中心とした回転移動とによりICタグ15の位置を特定することも可能である。図10では、X4軸を床スラブ18の表面18aと平行に設定した例を示している。
【0055】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0056】
図11は、ICタグの位置特定方法の変形例を示す図である。
上記実施形態においては、アンテナ11を直線移動または回転移動させつつ受信した信号の強度(RSSI)が最も高い位置をICタグに近い位置として特定したが、これに限るものではない。例えば図11に示すように、アンテナ11を直線移動または回転移動させつつ信号が受信された受信範囲を特定し、特定された受信範囲の中心位置をICタグに近い位置として特定してもよい。
【0057】
上記実施形態においては、構造物を床スラブ18としたが、これに限らず、各種建物の壁や天井などであっても構わない。
【符号の説明】
【0058】
10 読取装置
11 アンテナ
12 ケーブル
14 制御PC
15 ICタグ
18 床スラブ
18a 表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に埋設されたICタグの、前記構造物の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法であって、
前記ICタグからの信号を受信可能な指向性を有する受信部を、第1の移動として、前記表面の法線方向を除く第1方向に直線移動、または、回転移動させて前記信号を受信する第1受信ステップと、
前記受信部を、第2の移動として、前記表面の法線方向及び前記第1方向を除く第2方向に直線移動、または、前記回転移動の軸と異なる軸を中心とする回転移動をさせて前記信号を受信する第2受信ステップと、
前記第1受信ステップにて受信した前記信号と、前記第2受信ステップにて受信した前記信号とに基づいて、前記ICタグの位置を特定する位置特定ステップと、
を有することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々受信した前記信号の強度に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々前記信号を受信した受信範囲に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動と前記第2の移動は、いずれも前記直線移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り前記第1方向と直交する方向に沿う軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記第1方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と平行な軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り、前記所定方向と平行な軸上を移動する前記直線移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動と前記第2の移動は、前記表面上の互いに異なる位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、
前記第2の移動は、特定された方向に沿う軸上を移動する前記直線移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、
前記第2の移動は、特定された方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記構造物は、セメント組成物であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項1】
構造物に埋設されたICタグの、前記構造物の表面における二次元的な位置を特定する位置特定方法であって、
前記ICタグからの信号を受信可能な指向性を有する受信部を、第1の移動として、前記表面の法線方向を除く第1方向に直線移動、または、回転移動させて前記信号を受信する第1受信ステップと、
前記受信部を、第2の移動として、前記表面の法線方向及び前記第1方向を除く第2方向に直線移動、または、前記回転移動の軸と異なる軸を中心とする回転移動をさせて前記信号を受信する第2受信ステップと、
前記第1受信ステップにて受信した前記信号と、前記第2受信ステップにて受信した前記信号とに基づいて、前記ICタグの位置を特定する位置特定ステップと、
を有することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々受信した前記信号の強度に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1受信ステップ及び前記第2受信ステップにて各々前記信号を受信した受信範囲に基づいて、前記受信部の位置に対する前記ICタグが存在する位置または方向を特定することを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動と前記第2の移動は、いずれも前記直線移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り前記第1方向と直交する方向に沿う軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は前記直線移動であり、当該直線移動にて、前記第1方向に沿う軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記第1方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記表面の法線方向を除く所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置における、前記所定方向と平行な軸外の点を通り、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記所定方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定方向と直交する軸上における前記ICタグに近い位置が特定され、
前記第2の移動は、特定された前記ICタグに近い位置を通り、前記所定方向と平行な軸上を移動する前記直線移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動と前記第2の移動は、前記表面上の互いに異なる位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、
前記第2の移動は、特定された方向に沿う軸上を移動する前記直線移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項12】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記ICタグの前記表面からの距離が既知であり、
前記第1の移動は、前記表面上の所定の位置における、前記表面の法線方向に沿う軸を中心とする前記回転移動であり、当該回転移動にて、前記所定の位置に対する前記ICタグが存在する方向が特定され、
前記第2の移動は、特定された方向と直交する軸を中心とする前記回転移動であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の埋設されたICタグの位置特定方法であって、
前記構造物は、セメント組成物であることを特徴とする埋設されたICタグの位置特定方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図11】
【図2】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図11】
【図2】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−44653(P2013−44653A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182837(P2011−182837)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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