説明

地震予知情報提供システム

【課題】 S波が到達する前のP波の観測段階における地震予知情報を、携帯電話やパソコン等の情報端末機器に文字情報にて知らせることができる、地震予知情報提供システムを得る。
【解決手段】 気象庁又は日本気象協会が発表する地震発生の予想震源地や予想震度の地震予知情報を地震予知情報配信会社が受け、予想震源地情報より最優先配信地域の特定と、予想震度情報より周辺地域における次配信地域及び配信順位の特定を行い、該情報に基づき地震予知情報配信契約者の情報端末機器に地震予知情報配信用の特定発信番号にて順次発信を行う地震予知情報配信手段と、前記情報端末機器において、特定発信番号の番号情報により当該情報端末機器のメモリに蓄積された地震警報メッセージデータベースを参照し、該当する地震警報メッセージを文字情報として当該情報端末機器のディスプレイに表示を行う地震予知情報表示手段にて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単に地震が発生するかしないかの地震予知情報をユーザーの携帯電話又はパソコン等に文字情報にて迅速に知らせることができる、地震予知情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模な地震の発生による被害は人命や財産を著しく奪うものであり、該地震による被害を最小限に食い止めるべく、警戒対象地域内の住人に対する迅速且つ確実な地震予知情報の提供が必要である。このため、気象庁又は財団法人日本気象協会(以後単に日本気象協会と言う)が発表する地震予知情報を基に国や地方自治体等が連携して協議を行い、地震予知情報を同報無線等により警戒対象地域内の住人に警報発令するシステムが構築されている。
【0003】
また、民間サービスとして、日本気象協会が発表する地震発生日時や場所及び震度等の地震発生情報を、メール配信契約者の携帯電話にメール配信するアラートサービスが、バリュークリックジャパン(株)より提供されている。
【0004】
また、特開2004−184164号公報の「地震警報システム」においては、複数の無線基地局にP波(プライマリ波)を観測するための地震計を設置し、観測したP波の振幅値と閾値とを比較して地震発生情報の送信の是非を判定し、是と判定された場合には他の無線基地局に地震発生情報を送信し、当該無線基地局の通信可能領域内の携帯電話に対して地震発生情報を送信し、当該地震発生情報を受信した携帯電話は緊急時用の着信音にてユーザーに地震発生を警告するシステムについて記載している。
【特許文献1】特開2004−184164
【非特許文献1】バリュークリックジャパン(株)ホームページ内 プレスリリース〔平成16年1月13日〕
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記地震予知情報を同報無線等により警戒対象地域内の住人に通報するシステムにおいては、気象庁又は日本気象協会が発表した地震予知情報を基に国や地方自治体等が協議を行い、発表すべきと判断された場合にのみ同報無線等により通報するシステムであるため、地震の主要振動であるS波(セカンダリ波)が到達するまでの時間が短くなり、十分な避難行動が取れなくなる可能性があるといった問題点があった。
【0006】
また、上記地震発生情報の携帯電話へのアラートサービスは、既に発生した地震の発生日時や場所及び震度等の情報であるため、予知情報としては何の役にも立たないものであった。
【0007】
更に、上記特開2004−184164号公報の「地震警報システム」においては、複数の無線基地局に地震計を設置し、該地震計から得られるデータの解析や判定等を制御装置により行い、通報すべきと判定した場合に無線基地局の通信可能領域内の携帯電話に対して地震発生情報を送信するシステムであるため、システム構築に多額の費用が発生してしまうという問題点があった。また、自前で地震発生情報を提供するため、誤判定を行った場合には社会的に大問題となる可能性があるといった問題点があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決するために成されたものであり、地震が発生する前に十分な避難行動を取ることで被害を最小限に抑えるべく、気象庁又は日本気象協会が発表するS波が到達する前のP波の観測段階における地震発生の予知情報を、地震予知情報配信契約者の携帯電話又はパソコン等の情報端末機器に文字情報にて迅速に知らせることができる、地震予知情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の地震予知情報提供システムにおいては、気象庁又は日本気象協会が発表する地震発生の予想震源地や予想震度の地震予知情報を地震予知情報配信会社が受け、該地震予知情報内の予想震源地情報より地震予知情報の最優先配信地域の特定と、予想震度情報より前記最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位の特定を行い、該最優先配信地域情報及び最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位情報に基づき、地震予知情報配信契約者の携帯電話やパソコン等の情報端末機器に地震予知情報配信用の特定発信番号にて順次発信を行う地震予知情報配信手段と、前記地震予知情報配信契約者の携帯電話やパソコン等の情報端末機器において、地震予知情報配信用の特定発信番号の番号情報により当該携帯電話やパソコン等の情報端末機器のメモリに蓄積された地震警報メッセージデータベースを参照し、該当する地震警報メッセージを文字情報として当該携帯電話やパソコン等の情報端末機器のディスプレイに表示を行う地震予知情報表示手段にて構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の地震予知情報提供システムによれば、気象庁又は日本気象協会が発表するS波が到達する前のP波の観測段階における地震発生の予知情報を、地震予知情報配信契約者の携帯電話又はパソコン等の情報端末機器に文字情報として迅速に知ることができるという効果を奏する。このため、被害を最小限に抑えるべく、地震が発生する前に十分な避難行動を取ることができるという絶大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
【0012】
図1は本発明の地震予知情報提供システムを構築するための概略システム構築図であり、気象庁又は日本気象協会2が発表する地震発生の予想震源地や予想震度の地震予知情報をインターネット又は専用回線3を経由して地震予知情報配信会社1が受ける。また、該地震予知情報は、首相官邸や国の防災所轄関係省庁及び全国都道府県の防災担当部署にも並行して配信されるものである。
【0013】
地震予知情報配信会社1は、上記地震予知情報内の予想震源地情報より地震予知情報の最優先配信地域の特定と、予想震度情報より前記最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位の特定を行う。該最優先配信地域とは、震源地が内陸部である場合には当該震源地の都道府県であり、震源地が海底である場合には当該震源地に最も近く揺れが一番大きいと判定された都道府県となる。また、次配信地域とは前記最優先配信地域の周囲にある都道府県であり、その範囲は予想震度により異なるものである。
【0014】
次に、上記最優先配信地域情報及び最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位情報に基づき、地震予知情報配信契約者の携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器に地震予知情報配信用の特定発信番号にて順次発信を行う。また、最優先配信地域に対してはより迅速な情報提供を図るため、並行して気象庁又は日本気象協会2より直接地震予知情報配信会社1の当該地域サーバに情報を提供する。
【0015】
上記発信は、地震予知情報配信会社1よりインターネット又は専用回線3や公衆網又は携帯網4を経由して行われる。より正確には、携帯電話8の場合には携帯網4を経由し、契約者宅5内のパソコン7の場合にはインターネット又は専用回線3や公衆網又は携帯網4の何れかを経由する。また、契約者宅5内にLモード電話機6が設置されている場合には公衆網4を経由する。更には、人が多く集まる施設や交通機関及び道路等にメッセージ表示盤9を設置し、インターネット又は専用回線3や公衆網又は携帯網4を経由して地震予知情報を配信しても構わない。なお、契約者宅5とは個人や法人など如何なる形態のものであっても構わない。
【0016】
また、上記地震予知情報配信契約者の携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器において、地震予知情報配信用の特定発信番号の番号情報により当該携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器のメモリに蓄積された地震警報メッセージデータベースを参照し、該当する地震警報メッセージを文字情報として当該携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器のディスプレイに表示を行う。なお、携帯電話8において、文字情報の表示の他に特殊な音の着信音による警告や、特殊な振動パターンのバイブレーションによる警告を行っても構わない。
【実施例】
【0017】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0018】
図5は本発明の地震予知情報提供システムにおける地震予知情報配信の概略フローチャートであり、地震予知情報提供の手順を示すものである。地震予知情報配信会社1が地震予知情報配信契約者に地震予知情報提供を行う場合、前記地震予知情報配信会社1は、ステップS1として気象庁又は日本気象協会2が発表する地震発生の予想震源地や予想震度の地震予知情報をインターネット又は専用回線3を経由して取得する。
【0019】
地震予知情報配信会社1は、ステップS2として上記地震予知情報内の予想震源地情報より地震予知情報の最優先配信地域の特定と、予想震度情報より前記最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位の特定を行い、直ちに該当地域内の地震予知情報配信契約者に配信を行う。
【0020】
図6は地震予知情報配信の優先順位を示す地域割当て図であり、上記最優先配信地域とは、予想震源地が内陸部である場合には当該予想震源地の都道府県であり、予想震源地が海底である場合には当該予想震源地に最も近く揺れが一番大きいと判定された都道府県となる。例えば予想震源地が東京都である場合の最優先配信地域は東京都となり、図6の中央部の直近地域a1となる。また、次配信地域とは前記最優先配信地域の周囲にある都道府県であり、その範囲は予想震度により異なるものである。例えば中規模地震の場合、次配信地域である周辺地域a2は千葉県、埼玉県、神奈川県となり、圏内地域a3は茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、静岡県となる可能性が想定される。また、大規模地震の場合、次配信地域である周辺地域a2は千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、静岡県となり、圏内地域a3は更にその周囲の福島県、新潟県、長野県、岐阜県、愛知県等となる可能性が想定される。そして、地震予知情報配信の優先順位は、直近地域a1、周辺地域a2、圏内地域a3の順となり、最後にそれ以外のその他の地域a4となる。
【0021】
上記優先順位に基づき、ステップS3として直近地域a1の地震予知情報配信契約者に地震予知情報の配信を行い、次にステップS4として周辺地域a2の地震予知情報配信契約者に地震予知情報の配信を行い、次にステップS5として圏内地域a3の地震予知情報配信契約者に地震予知情報の配信を行い、最後にその他の地域a4の地震予知情報配信契約者に地震予知情報の配信を行う。
【0022】
上記地震予知情報の配信は、地震予知情報配信用の特定発信番号にて発信を行い、地震予知情報配信契約者の携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器に発信番号通知を行うだけである。該方法によれば、より短時間に大勢の地震予知情報配信契約者に地震予知情報を提供することが可能となる。
【0023】
図2は本発明の地震予知情報提供システムにおける地震予知情報発信番号の第一実施例図であり、特定発信番号として「0110」を使用し、続いて3桁の地域情報番号を付けたものである。前記地域情報番号として例えば北海道「001」、青森「002」‥東京「013」‥沖縄「047」のようにする。該地域情報番号の下2桁はJIS X0401で規定される都道府県コードが好適である。なお、前記特定発信番号としての「0110」や3桁の地域情報番号は一実施例であり、これに限定するものではない。
【0024】
ここで、例えば東京で地震発生が予知された場合、上述の手順により最初に東京都に住む地震予知情報配信契約者の携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器に対して「0110013」が発信される。地震予知情報配信契約者の携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器には、「0110」が地震予知情報発信番号であることと、これに続く3桁の地域情報番号を判断できる地震予知情報表示プログラムを内蔵しておくことにより、音声通話やメール配信に拠らずにダイレクトに地震警報メッセージを文字情報として当該携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器のディスプレイに表示を行うことができる。
【0025】
図4は本発明の地震予知情報提供システムによる携帯電話のディスプレイ表示例であり、上記方法により地震警報メッセージを文字情報として携帯電話8のディスプレイ10に表示したものである。上記例のように携帯電話8が「0110013」を着信すると、図中□□□地域の箇所が東京都地域となり、当該携帯電話8に予め内蔵されている地震警報メッセージを文字情報としてディスプレイ10に表示する。なお、着信音やバイブレーションを特殊なものに設定すると、より確実に情報を受信することができる。従って、同報無線等による警報発令より先に地震予知情報が取得できるため、地震が発生する前に十分な避難行動を取ることができる。更に、地震予知の詳細情報は気象庁又は日本気象協会2や地震予知情報配信会社1のホームページで見ることもできる。
【0026】
また、図3は本発明の地震予知情報提供システムにおける地震予知情報発信番号の第二実施例図であり、特定発信番号として「034334」を使用し、続く4桁の番号として、上2桁に地震予知情報を意味する「21」と下2桁に地域情報番号を付けたものである。前記地域情報番号として例えば北海道「01」、青森「02」‥東京「13」‥沖縄「47」のようにする。該地域情報番号はJIS X0401で規定される都道府県コードが好適である。なお、前記特定発信番号としての「034334」や「21」及び2桁の地域情報番号は一実施例であり、これに限定するものではない。
【0027】
上記第二実施例は、地震予知情報配信契約者の携帯電話8やパソコン7等の情報端末機器に、第一実施例で示した「0110」が地震予知情報発信番号であることと、これに続く3桁の地域情報番号を判断できる地震予知情報表示プログラムが内蔵されていない場合に有効な方法である。この場合、携帯電話8のナンバーディスプレイ機能を利用して、例えば「0343342113」を着信すると通常の発信者氏名に代えて「東京都地域地震発生」のような地震警報メッセージを表示するように設定登録することにより文字情報として地震警報メッセージがディスプレイ10に表示される。なお、着信音やバイブレーションを特殊なものに設定すると、より確実に情報を受信することができる。従って、第一実施例と同様に同報無線等による警報発令より先に地震予知情報が取得できるため、地震が発生する前に十分な避難行動を取ることができる。更に、地震予知の詳細情報は気象庁又は日本気象協会2や地震予知情報配信会社1のホームページで見ることもできる。
【0028】
なお、上述の地震予知情報は明日配信されるとも数年後に配信されるとも分らないものである。従って、地震予知情報以外に台風,大雨,大雪,暴風,雷,竜巻等の大きな災害をもたらす危険性のある気象情報を通年配信できるようにすれば、地震予知情報配信契約者に対するサービス向上となり好適となる。この場合、気象情報発信番号として「0110」に続く3桁の番号を「000」として全国共通にし、また、「03433421」に続く4桁の番号を「2100」として全国共通にし、何れかの電話番号にダイヤルすることにより、台風,大雨,大雪,暴風,雷,竜巻等の大きな災害をもたらす危険性のある気象情報をいつでも聴くことができるようにする。なお、前記「000」や「2100」において、下2桁の地域情報番号を「00」としたものであるが、一実施例であり限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の地震予知情報提供システムを構築するための概略システム構築図である。
【図2】本発明の地震予知情報提供システムにおける地震予知情報発信番号の第一実施例図である。
【図3】本発明の地震予知情報提供システムにおける地震予知情報発信番号の第二実施例図である。
【図4】本発明の地震予知情報提供システムによる携帯電話のディスプレイ表示例である。
【図5】本発明の地震予知情報提供システムにおける地震予知情報配信の概略フローチャートである。
【図6】地震予知情報配信の優先順位を示す地域割当て図である。
【図7】災害情報発信番号の実施例図である。
【符号の説明】
【0030】
1 地震予知情報配信会社
2 気象庁又は日本気象協会
3 インターネット又は専用回線
4 公衆網又は携帯網
5 契約者宅
6 Lモード電話機
7 パソコン
8 携帯電話
9 メッセージ表示盤
10 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象庁又は日本気象協会が発表する地震発生の予想震源地や予想震度の地震予知情報を地震予知情報配信会社が受け、該地震予知情報内の予想震源地情報より地震予知情報の最優先配信地域の特定と、予想震度情報より前記最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位の特定を行い、該最優先配信地域情報及び最優先配信地域外の周辺地域における次配信地域及び配信順位情報に基づき、地震予知情報配信契約者の携帯電話やパソコン等の情報端末機器に地震予知情報発信用の特殊発信番号にて順次発信を行う地震予知情報発信手段と、前記地震予知情報配信契約者の携帯電話やパソコン等の情報端末機器において、地震予知情報発信用の特殊発信番号の番号情報により当該携帯電話やパソコン等の情報端末機器のメモリに蓄積された地震警報メッセージデータベースを参照し、該当する地震警報メッセージを文字情報として当該携帯電話やパソコン等の情報端末機器のディスプレイに表示を行う地震予知情報表示手段にて構成することを特徴とした、地震予知情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−260497(P2006−260497A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113846(P2005−113846)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(301007098)株式会社クリエイティブ ドゥ (4)
【Fターム(参考)】