説明

固体発光素子ランプ用電源装置、固体発光素子ランプ用支持具、及び固体発光素子ランプの点灯方法

【課題】蛍光ランプ用支持具に装着可能であると共に、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な固体発光素子ランプに対し、電源供給をして点灯させることが可能な固体発光素子ランプ用電源装置を提供する。
【解決手段】蛍光ランプ用支持具に装着可能であると共に、該蛍光ランプ用支持具内に具備される蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な固体発光素子ランプ21に対し電源供給する固体発光素子ランプ用電源装置11であって、固体発光素子ランプ21に供給すべき所定の電力値の電力を生成する生成部42と、生成部42において生成した電力を、蛍光ランプ用電源装置から固体発光素子ランプ21に電源供給する際の電力の電圧値以上の電圧値を有する電力に変換可能な点灯部43とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体発光素子ランプ用電源装置に関し、特に蛍光ランプ用支持具に装着可能であると共に蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な固体発光素子ランプに対し電源供給する固体発光素子ランプ用電源装置に関する。また、前記固体発光素子ランプ用電源装置を備えた固体発光素子ランプ用支持具に関する。併せて、前記固体発光素子ランプ用支持具を使用した、前記固体発光素子ランプの点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体発光素子、特に発光ダイオード(以下、LEDと記す)は、寿命が5年以上と非常に長い、又環境に有害な物質を含んでいない等の理由から、地球環境にやさしい新しい光源として注目を集めている。また、LEDは、発せられる光量を調整できる、所謂調光を行うことが容易であるという特徴も有しており、さらに100[lm/W]を超える発光効率を有する製品の販売も開始されていることから、蛍光ランプに換わる次世代の照明として活用され始めている。
【0003】
ここで、特許文献1には、LEDを使用したLEDランプが開示されている。このLEDランプは、蛍光ランプ用支持具に装着可能とされている。また、このLEDランプは、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯することが可能とされている。すなわち、前記LEDランプは、既に普及している蛍光ランプ用支持具をそのまま利用して点灯できるので、簡便にLEDランプを導入できる点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−277188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるLEDランプを既存の蛍光ランプ用支持具に装着し、使用した場合においては、問題が生じる場合がある。その問題とは、該LEDランプを装着した蛍光ランプ用支持具内の蛍光ランプ用電源装置が先に寿命に達してしまうことがあることである。蛍光ランプ用支持具内に備えられる蛍光ランプ用電源装置は、使用開始より約10年で寿命を迎えるといわれている。一方、LEDランプは、その内部構造等により寿命は異なるが、前記のように概して5年以上連続点灯可能な寿命を有しているといわれている。
【0006】
従って、使用開始から相当期間経過した蛍光ランプ用支持具に対し、LEDランプを装着し、使用を開始した場合は、LEDランプより蛍光ランプ用支持具内に備えられる蛍光ランプ用電源装置のほうが先に寿命に達してしまうことが生じる。この寿命に達した蛍光ランプ用電源装置は、経年劣化により、装着されるLEDランプを正常に点灯できないばかりか、それ自体が破損すること等もあり危険である。
【0007】
このような場合において、上記使用されていたLEDランプを継続して使用するためには、蛍光ランプ用支持具を新たなものに更新することが考えられる。しかしながら、LEDランプの中には、前記蛍光ランプ用電源装置のうち、特定の方式(例えば、インバータ式等)のものに対応しないものもあり、蛍光ランプ用支持具を交換してもLEDランプを正常に点灯できない場合があり問題である。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたものであり、蛍光ランプ用支持具に装着可能であると共に、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な固体発光素子ランプに対し、電源供給をして点灯させることが可能な固体発光素子ランプ用電源装置を提供することを目的とする。また、前記固体発光素子ランプ用電源装置を備え、前記固体発光素子ランプを装着可能、且つ、点灯可能な固体発光素子用支持具を提供することを目的とする。併せて、前記固体発光素子ランプ用支持具を使用した前記固体発光素子ランプの点灯方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の固体発光素子ランプ用電源装置は、蛍光ランプ用支持具に装着可能であると共に、該蛍光ランプ用支持具内に具備される蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な固体発光素子ランプに対し電源供給する固体発光素子ランプ用電源装置であって、前記固体発光素子ランプに電源供給すべき所定の電力値の電力を生成する生成部と、前記生成部において生成した電力を、前記蛍光ランプ用電源装置から前記固体発光素子ランプに電源供給する際の電力の電圧値と少なくとも同等の電圧値を有する電力に変換可能な点灯部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の固体発光素子ランプ用電源装置は、前記生成部が、商用電源から供給された電力を整流する整流部と、前記整流部で整流された電力から前記所定の電力値の電力を生成するために、該整流部で整流された電力をデューティ制御するデューティ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の固体発光素子ランプ用電源装置は、前記点灯部から前記固体発光素子ランプに電源供給される電力が、該固体発光素子ランプの点灯に供される電力のみであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の固体発光素子ランプ用支持具は、請求項1乃至3の何れか記載の固体発光素子ランプ用電源装置を備え、前記固体発光素子ランプを装着可能であり、該固体発光素子ランプには前記固体発光素子ランプ用電源装置より電源供給が可能であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の固体発光素子ランプ用支持具は、前記蛍光ランプ用電源装置が前記固体発光素子ランプ用電源装置に置き換えられた、前記蛍光ランプ用支持具により構成されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の固体発光素子ランプの点灯方法は、請求項4又は5に記載の固体発光素子ランプ用支持具に、前記蛍光ランプ用支持具に装着され、前記蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯されていた前記固体発光素子ランプを装着し、前記固体発光素子ランプ用電源より該固体発光素子ランプに電源供給し点灯させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の固体発光素子ランプ用電源装置は、固体発光素子ランプに電源供給すべき所定の電力値の電力を生成部で生成すると共に、前記生成部で生成した電力を、蛍光ランプ用電源装置から当該固体発光素子ランプに電源供給する際の電力の電圧値と少なくとも同等の電圧値を有する電力に変換可能な点灯部を有する。前記固体発光素子ランプは、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能なものである。そのため、当該固体発光素子ランプを点灯するためには、電源供給する電力の電圧値を蛍光ランプ用電源装置から電源供給される電力の電圧値と少なくとも同等にする必要がある。本固体発光素子ランプ用電源装置は、上記電圧値の条件を満たす電力を当該固体発光素子ランプに電源供給できるので、当該固体発光素子ランプを正常に点灯することができる。従って、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯していた固体発光素子ランプは、当該蛍光ランプ用電源装置が寿命に達する等により使用することが困難となった後であっても、本固体発光素子ランプ用電源装置を用いて正常に点灯することができるので、引き続き使用することができる。即ち、本固体発光素子ランプ用電源装置は、既存固体発光素子ランプの有効活用に寄与し、省資源化に貢献できるという効果を有する。
【0016】
請求項2に記載の固体発光素子ランプ用電源装置は、生成部が、商用電源から供給された電力を整流する整流部と、前記整流部で整流された電力をデューティ制御して、固体発光素子ランプに電源供給すべき所定の電力値を有する電力を生成するデューティ制御部とを備える。これにより、本固体発光素子ランプ用電源装置は、一般的な蛍光ランプ用電源装置と同様に、商用電源を使用して、固体発光素子ランプに電源供給する電力を生成することができる。このことから、本固体発光素子ランプ用電源装置は、既存の蛍光ランプ用電源装置との置き換えが容易である。
【0017】
請求項3に記載の固体発光素子ランプ用電源装置は、点灯部から固体発光素子ランプに供給する電力が、当該固体発光素素子ランプの点灯に供される電力のみであることを特徴としている。蛍光ランプ用電源装置は、蛍光ランプの点灯を開始させるために必要な電力を生成する機能を有してしているが、この電力は、固体発光素子ランプにおいて不要であるばかりか、固体発光素子ランプ等の故障の原因にもなり得る。固体発光素子ランプには、前記電力が供給された場合であってもその影響を除去する、或いは前記電力そのものを発生させないための構成が備えられているものもあるが、当該構成を備えていないものもある。本固体発光素子ランプ用電源装置においては、前記構成を備えていない固体発光素子ランプであっても、その点灯に必要な電力のみを電源供給するので、故障等を発生させること無く点灯させることができる。
【0018】
請求項4に記載の固体発光素子ランプ用支持具は、上記請求項1乃至3の何れかに記載の固体発光素子ランプ用電源装置を備えており、装着される固体発光素子ランプに当該固体発光素子ランプ用電源装置より電源供給を行う。上記のように、前記固体発光素子ランプ用電源装置は、蛍光ランプ用電源装置から電源供給される電力により点灯可能な固体発光素子ランプを正常に点灯させることが可能である。従って、前記固体発光素子ランプは、それが装着されていた蛍光ランプ用支持具内の蛍光ランプ用電源装置が、寿命に達する等により使用することが困難になった後であっても、本固体発光素子ランプ用支持具を使用することにより正常に点灯することができるので、引き続き使用することができる。即ち、本固体発光素子ランプ用支持具は、既存固体発光素子ランプの有効活用に寄与し、省資源化に貢献できるという効果を有する。
【0019】
請求項5に記載の固体発光素子ランプ用支持具は、蛍光ランプ用電源装置が固体発光素子用電源装置に置き換えられた蛍光ランプ用支持具によりにより構成される。即ち、本固体発光素子ランプ用支持具は、既に固体発光素子ランプが装着されていた蛍光ランプ用支持具を利用して構成することができるので、既存設備の有効活用を図ることができるという効果を有する。
【0020】
請求項6の固体発光素子ランプの点灯方法は、蛍光ランプ用支持具に装着され、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯していた固体発光素子ランプを、固体発光素子ランプ用支持具に装着し、固体発光素子ランプ用電源装置により当該固体発光素子ランプに電源供給し点灯させるものである。本固体発光素子ランプの点灯方法は、蛍光ランプ用支持具に装着され使用されてきた固体発光素子ランプを引き続き使用できるので、既存固体発光素子ランプの有効活用に寄与し、省資源化に貢献できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態の固体発光素子ランプ用支持具、及び固体発光素子ランプ用電源装置の斜視図。
【図2】図1においてA方向から見た固体発光素子ランプ用支持具、及び固体発光素子ランプ用電源装置の説明図。
【図3】固体発光素子ランプの説明図。
【図4】固体発光素子ランプ用電源装置の機能ブロック図。
【図5】固体発光素子ランプ用電源装置の回路例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の説明を、図面を参照しつつ行う。本発明の固体発光素子ランプ用支持具1は、本体部2、口金部3を備え、固体発光素子ランプ21を保持可能であると共に、本体部2内に具備する本発明の固体発光素子ランプ用電源装置11より固体発光素子ランプ21に電源供給し、固体発光素子ランプ21を点灯可能なものである。
【0023】
固体発光素子ランプ用支持具1は、図外の蛍光ランプ用支持具に装着可能な固体発光素子ランプ21を装着可能であることから、蛍光ランプ用支持具と同様の機構を有している。即ち、本体部2、口金部3の構成、機能等は、蛍光ランプ用支持具と同様である。本実施の形態においては、固体発光素子ランプ21を直管型蛍光ランプ用支持具に装着可能なものであるとして示しているため、固体発光素子ランプ用支持具1における本体部2、口金部3は、直管型蛍光ランプ用支持具におけるそれらに対応する部分と同様のものである。なお、固体発光素子ランプ21が、環形型蛍光ランプ用支持具等に装着可能なものである場合には、当然に固体発光素子ランプ用支持具1の本体部2、口金部3は、環形型蛍光ランプ用支持具等におけるそれらに対応する部分と同様に構成される。
【0024】
固体発光素子ランプ用支持具1が、蛍光ランプ用支持具と異なる点は、図外の蛍光ランプ用電源装置が、固体発光素子ランプ用電源装置11に変更されることにある。固体発光素子ランプ用電源装置11は、固体発光素子ランプ21に電源供給し、固体発光素子ランプ21を点灯させることが可能なものである。
【0025】
ここで、固体発光素子ランプ21は、蛍光ランプ用支持具に装着可能な構成であると共に、当該蛍光ランプ用支持具に具備される蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯することが可能なものである。蛍光ランプ用電源装置としては、一般にグロースタータ式、ラピッドスタート式、インバータ式が挙げられる。固体発光素子ランプ21は、これらのうち1つ、又は2つ以上の方式の蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて、点灯することが可能である。
【0026】
具体的に、固体発光素子ランプ21は、図3に示すように、直管型蛍光ランプ用支持具に装着可能なものである場合において、直管部22、端子ピン23とにより構成され、直管部22の内部には、駆動回路24、固体発光素子25などが備えられる。直管部22の長手方向の長さは、図外の直管型蛍光ランプの直管部の長手方向の長さと同一の寸法とされる。また、端子ピン23は、直管型蛍光ランプの端子ピンと同一寸法、同一構成である。これにより、固体発光素子ランプ21は、直管型蛍光ランプ用支持具に装着することが可能となっている。
【0027】
駆動回路24は、端子ピン23を介して電源供給された電力を固体発光素子25の点灯に適した電力に変換する役割を担っている。固体発光素子ランプ21は、上記のように蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯させることが可能であるが、蛍光ランプ用電源装置からは、交流電力が電源供給される。一方で、固体発光素子25として通常使用されるLEDは、直流電力を電源供給する必要がある。そこで、駆動回路24において電源供給された交流電力を直流電力に変換している。これにより、固体発光素子ランプ21は、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受け、点灯することが可能となっている。
【0028】
上記のように構成される固体発光素子ランプ21に電源供給し、点灯させることができる固体発光素子ランプ用電源装置11は、図4に示すように、生成部42、及び点灯部43を備えている。固体発光素子ランプ用電源装置11は、商用電源41から交流電力を入力することが可能であり、一般的な蛍光ランプ用電源装置と同様に、商用電源41を利用して、固体発光素子ランプ21に電源供給する電力を生成できる。
【0029】
生成部42は、整流部42a、デューティ制御部42bを具備し、商用電源41から供給される交流電力を、整流部42aにより整流する。整流部42aにおいて整流された電力は、固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力値に応じて、デューティ制御部42bにおいてデューティ制御される。ここで、固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力値とは、固体発光素子ランプ21から得たい光量により設定することができる。上記のように、固体発光素子25としては、LEDを使用することが一般的であるが、LEDの特徴の一つは、電源供給する電力値に応じて、調光を行うことができることにある。従って、固体発光素子ランプ21から得たい光量に応じて、固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力値は、決定される。なお、固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力値は、予めデューティ制御部42b内の図外の記憶装置に記憶させておいてよい。また、固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力値は、図外の切り替えスイッチをデューティ制御部42bに設け、当該切り替えスイッチの状態に基づき決定してよい。その他、固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力値は、図外のリモコンからデューティ制御部42bに指示を与え決定する等としてもよい。
【0030】
点灯部43は、デューティ制御部42bにおいて、デューティ制御された電力の電圧値を変換する機能を有し、当該電力を固体発光素子ランプ21に電源供給する。固体発光素子ランプ21は、上記のように蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯することが可能なものである。従って、固体発光素子ランプ21を点灯させるためには、少なくとも蛍光ランプ用電源装置から固体発光素子ランプ21に電源供給し点灯させる際の電力の電圧値と、同等の電圧値を有する電力を固体発光素子ランプ21に電源供給することが必要である。
【0031】
更に、上記のように固体発光素子ランプ21を調光する場合において、蛍光ランプ用電源装置を使用していた際より、多くの電力を固体発光素子ランプ21に電源供給する際には、点灯部43より固体発光素子ランプ21に電源供給する電力の電圧値を、蛍光ランプ用電源装置から固体発光素子ランプ21に電源供給する際の電力の電圧値より高くする必要がある。これは、固体発光素子ランプ21を構成する固体発光素子25は、所定の電流電圧特性を有しており、それに電源供給する電力を増加させることを目的とし、固体発光素子25に流す電流を増加させるためには、固体発光素子25に印加する電圧も増加させなければならないためである。従って、点灯部43は、デューティ制御部42bにおいて、デューティ制御された電力の電圧値を、蛍光ランプ用電源装置から固体発光素子ランプ21に電源供給する際の電力の電圧値より高く変換する機能を有することが望ましい。
【0032】
固体発光素子ランプ用電源装置11は、図5のような回路構成により実現することができる。なお、図5に示す回路構成は一例であり、上記説明した機能を実現できるものであれば、これに限定されるものではない。
【0033】
固体発光素子ランプ用電源装置11は、接続点51、接続点52により、商用電源41
と接続される。また、固体発光素子ランプ用電源装置11は、接続点53、接続点54により、固体発光素子ランプ21と接続される。固体発光素子ランプ用電源装置11の生成部42のうち、整流部42aは、ヒューズ61、フィルター62、平滑回路63により構成される。ヒューズ61は、固体発光素子ランプ用電源装置11自身、及び固体発光素子ランプ21を異常電力等から保護するためのものである。フィルター62は、商用電源41へ伝導しようとするデューティ制御部42b等からのノイズをカットするものである。平滑回路63は、所謂ダイオードブリッジ回路等であり、商用電源41から供給される交流電力を整流する役割を担う。
【0034】
デューティ制御部42bは、インダクタ64、ダイオード65、コンデンサ66、抵抗67、68、69、71、電界効果トランジスタ(以下、FETと記す)70、74、75、過電流検出部72、及び制御用IC73により構成される。このうち、インダクタ64、ダイオード65、コンデンサ66、抵抗67、68、69、及びFET70は、力率改善回路、及び高調波対策回路を構成するものである。制御用IC73は、内部に具備される図外の記憶装置に固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力等が記憶されており、それに応じて、FET74、75を動作させ、整流部42aからの電力をデューティ制御する。また、抵抗71、過電流検出部72は、過電流が生じたときにそれを検出し、制御用IC73にその旨通知する。当該通知を受けた制御用IC73は、過電流の発生を抑えるようFET74、FET75を動作させる。
【0035】
点灯部43は、インダクタ76、コンデンサ77、コンデンサ78により構成される。これらは、LC共振回路を構成し、デューティ制御部42bからの電力を、固体発光素子ランプ21を点灯し、又調光可能な電圧値を有する高周波電力(例えば、70[kHz]程度の電力)に変換する。以上のような回路構成にて、固体発光素子ランプ用電源装置11は、実現することができる。なお、上記説明した回路構成においては、固体発光素子ランプ21に対し、高周波電力を電源供給する構成となっている。固体発光素子ランプ21は、一般に、駆動回路24に交流電力を直流電力に変換する機能を有している。従って、上記高周波電力を電源供給することで、固体発光素子ランプ21は、点灯することが可能である。
【0036】
ここで、蛍光ランプ用電源装置は、蛍光ランプの点灯を開始させるために必要な電力を生成する機能を有しているが、これらの電力は、固体発光素子ランプ21において不要であるばかりか、固体発光素子ランプ21に供給された場合に、固体発光素子ランプ21等を故障させる原因となる場合もある。固体発光素子ランプ21の中には、前記電力が供給された場合であっても、その影響を除去する、或いは当該電力そのものを発生させないための構成を駆動回路24内に備えるタイプのものもあるが、当該構成を備えていないタイプのものもある。当該構成を備えていない固体発光素子ランプ21は、特定方式の蛍光ランプ用電源装置で点灯できないタイプ、或いは蛍光ランプ用電源装置に対し改造を加える等により、前記電力が発生しないようにする必要があるタイプであることが多い。
【0037】
一方、固体発光素子ランプ用電源装置11において、点灯部43から固体発光素子ランプ21に電源供給される電力は、固体発光素子ランプ21を点灯するための電力であり、固体発光素子ランプ21を点灯するために不要な電力は含まれない。そのため、固体発光素子ランプ21が蛍光ランプの点灯を開始させるための電力の影響を除去する、或いは前記電力を発生させないための構成を有しているか否かに関わらず、固体発光素子ランプ用電源装置11は、固体発光素子ランプ21に対し、その点灯に必要な電力のみを電源供給し、故障等発生させることなく点灯させることが可能である。即ち、固体発光素子ランプ用電源装置11は、それ自身を改造等する必要なく、多様なタイプの固体発光素子ランプ21を点灯することができる。このことは、導入済みの固体発光素子ランプ21の有効活用につながる。
【0038】
さらに、固体発光素子ランプ用電源装置11は、上記に基づき、仮に蛍光ランプが誤って接続されたとしても、当該蛍光ランプは点灯しない。従って、固体発光素子ランプ用電源装置11には、固体発光素子ランプ21と、蛍光ランプとの誤使用を防止できるという効果もある。
【0039】
以上のように構成される固体発光素子ランプ用電源装置11を備える固体発光素子ランプ用支持具1においては、蛍光ランプ用の支持具に装着可能であり、蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な、固体発光素子ランプ21を装着可能であると共に、それに電源供給し、正常に点灯させることができる。
【0040】
固体発光素子ランプ21は、長寿命であるため、既存の蛍光ランプ用支持具に装着し、使用した場合に、当該蛍光ランプ用支持具内の蛍光ランプ用電源装置のほうが先に寿命に達してしまう場合がある。このような場合においても、固体発光素子ランプ用支持具1を使用することにより、当該固体発光素子ランプ21を引き続き使用することができる。そのため、固体発光素子ランプ用支持具1は、既存固体発光素子ランプ21の有効活用を図ることに寄与するものであると言える。
【0041】
さらに、固体発光素子ランプ用支持具1は、既存の蛍光ランプ用支持具内の蛍光ランプ用電源装置を、固体発光素子ランプ用電源装置11に置き換えることによっても構成することができる。これは、固体発光素子ランプ用支持具1の、固体発光素子ランプ用電源装置11以外の構成(本体部2等)が、蛍光ランプ用支持具と同様であるためである。このように、既存の蛍光ランプ用支持具内の蛍光ランプ用電源装置を、固体発光素子ランプ用電源装置11に置き換えることにより、固体発光素子ランプ用支持具1を実現することは、既存設備の有効活用、並びに省資源化につながり、メリットがある。
【0042】
また、固体発光素子ランプ用支持具1は、固体発光素子ランプ用電源装置11において固体発光素子ランプ21に電源供給すべき電力を設定できるので、固体発光素子ランプ21を調光することができる。固体発光素子ランプ21をグロースター式の蛍光ランプ用電源装置を備える蛍光ランプ用支持具等において使用する場合は、固体発光素子ランプ21に電源供給する電力を制御することができず、そのため固体発光素子ランプ21を調光することは困難であった。一方、固体発光素子ランプ用支持具1を使用した場合には、固体発光素子ランプ21を調光することができる。このことから、固体発光素子ランプ用支持具1は、グロースター式の蛍光ランプ用電源装置を備える蛍光ランプ用支持具等において使用する際に発揮されていなかった、固体発光素子ランプ21の有する機能を引き出すことができるものであると言える。また、このことに基づけば、蛍光ランプ用支持具内の蛍光ランプ用電源装置が寿命に達する前であっても、固体発光素子ランプ21を点灯させるために、蛍光ランプ用支持具に換えて、固体発光素子ランプ用支持具1を使用することにも、多大なメリットがあると言える。
【0043】
なお、本実施の形態で示した固体発光素子ランプ用支持具1、並びに固体発光素子ランプ用電源装置11の構成は、本発明に係る固体発光素子ランプ用支持具、並び固体発光素子ランプ用電源装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0044】
たとえば、本発明の固体発光素子ランプ用電源装置は、商用電源から供給される電力が直接供給されるタイプの固体発光素子ランプに電源供給し、それを点灯させることも可能である。前記タイプの固体発光素子ランプは、商用電源における電力異常の影響を受けやすいとされている。このような固体発光素子ランプに対し、本発明の固体発光素子ランプ用電源装置により電源供給することは、該固体発光素子ランプを商用電源における電力異常の影響を受けにくいものとすることができるという効果を発揮する。
【0045】
勿論、本発明の固体発光素子ランプ用支持具は、上記商用電源から供給される電力が直接供給されるタイプの固体発光素子ランプが装着される支持具としても実現可能である。
【0046】
また、本発明の固体発光素子ランプ用電源装置の点灯部内に、交流電力を直流電力する変換部を設けてもよい。即ち、図5に示す回路例のように点灯部を構成した場合には、それより交流電力が出力されることになるが、当該回路例に示す回路の出力側に、変換部を設けてもよい。また、図5に示す回路構成以外であっても、当該回路構成の出力側に、変換部を設けてよい。固体発光素子ランプは、一般に上記のとおり駆動回路に交流電力を直流電力に変換する機能を有しているが、当該変換された直流電力には、リップル成分が多く含まれる場合が多い。したがって、上記変換部により、交流電力をリップル成分の少ない直流電力に変換した上で、固体発光素子ランプに電源供給することは、固体発光素子ランプのちらつきを低減ことにつながる。なお、変換部は、例えば、ダイオードブリッジ回路、及び整流コンデンサにより構成できる。
【0047】
また、固体発光素子としては、LEDを取り上げたが、エレクトロルミネッセンスを採用してもよい。エレクトロルミネッセンスも、LED同様注目を集める環境にやさしい新たな光源として注目されている。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る固体発光素子ランプ用支持具、及び固体発光素子ランプ用電源装置は、蛍光ランプ用支持具、及び蛍光ランプ用電源装置で点灯可能な固体発光素子ランプを点灯させる支持具、及び電源装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 固体発光素子ランプ用支持具
11 固体発光素子ランプ用電源装置
21 固体発光素子ランプ
25 固体発光素子
41 商用電源
42 生成部
42a 整流部
42b デューティ制御部
43 点灯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ランプ用支持具に装着可能であると共に、該蛍光ランプ用支持具内に具備される蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯可能な固体発光素子ランプに対し電源供給する固体発光素子ランプ用電源装置であって、
前記固体発光素子ランプに電源供給すべき所定の電力値の電力を生成する生成部と、
前記生成部において生成した電力を、前記蛍光ランプ用電源装置から前記固体発光素子ランプに電源供給する際の電力の電圧値と少なくとも同等の電圧値を有する電力に変換可能な点灯部と、を備えることを特徴とする固体発光素子ランプ用電源装置。
【請求項2】
前記生成部が、
商用電源から供給された電力を整流する整流部と、
前記整流部で整流された電力から前記所定の電力値の電力を生成するために、該整流部で整流された電力をデューティ制御するデューティ制御部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の固体発光素子ランプ用電源装置。
【請求項3】
前記点灯部から前記固体発光素子ランプに電源供給される電力が、該固体発光素子ランプの点灯に供される電力のみであることを特徴とする請求項1又は2記載の固体発光素子ランプ用電源装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか記載の固体発光素子ランプ用電源装置を備え、
前記固体発光素子ランプを装着可能であり、該固体発光素子ランプには前記固体発光素子ランプ用電源装置より電源供給が可能であることを特徴とする固体発光素子ランプ用支持具。
【請求項5】
前記蛍光ランプ用電源装置が、前記固体発光素子ランプ用電源装置に置き換えられた前記蛍光ランプ用支持具により構成されることを特徴とする請求項4記載の固体発光素子ランプ用支持具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の固体発光素子ランプ用支持具に、前記蛍光ランプ用支持具に装着され前記蛍光ランプ用電源装置から電源供給を受けて点灯されていた前記固体発光素子ランプを装着し、前記固体発光素子ランプ用電源より該固体発光素子ランプに電源供給し点灯させることを特徴とする固体発光素子ランプの点灯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−40273(P2011−40273A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186473(P2009−186473)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】