説明

共焦点蛍光顕微鏡法及び装置

新規な改良共焦点蛍光顕微鏡について開示する。新規顕微鏡は、既存の顕微鏡共焦点撮像装置に比して顕著な利点を有する。従前の共焦点撮像装置と同様、本発明は、従来の広視野及び共焦点蛍光撮像装置に比して利点を有する。ただし、本発明は、部品が簡単で、例えばピンホール又はスリットのような物理的空間フィルタを必要としないため、コスト及び複雑さの面での共焦点技術の欠点も解消し、大幅に節約できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学顕微鏡法の分野、具体的には、共焦点蛍光顕微鏡法の分野並びに共焦点蛍光顕微鏡法による蛍光標識標的の画像取得法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大半の蛍光顕微鏡は、蛍光画像情報の取得及び処理方法に基づいて以下の上位群のいずれかに分類できる。
【0003】
広視野型顕微鏡。これらの顕微鏡では、通常の顕微鏡におけるように従来の広視野法を使用し、蛍光発光を収集することによって、標的を撮像する。一般に、適当な(1以上の)波長の励起光を蛍光染色又は蛍光標識試料に照射し、発光を用いて画像を得るが、励起光と発光を分離するため光学フィルタ及び/又はダイクロイックミラーが用いられる。
【0004】
構造光顕微鏡。これは、顕微鏡の光軸方向の空間分解能を向上させる改良型顕微鏡である。この機能によって、撮像標本の光学的切片効果(optical sectioning)が得られる。構造光照射装置の主要部品は一次元光学格子である。格子パターンを、標本に組織的に投影し、対物レンズの焦点面内で試料上を移動させる。発光を収集・蓄積して、画像を形成する。かかる「構造光」画像は、格子上の異なる位置で取得した標本の3つの画像の処理後に得られる。
【0005】
通常、格子の投影像は、対物レンズの焦点面内で物体の強度に強い空間変調を生じるが、焦点面の上下領域の強度変調は著しく低減する。発光を収集する際に、画像処理アルゴリズムは、格子で規定される主像面の上下からの弱い信号を除去する。したがって、得られる像には、迷光又は焦点ずれデータがない。さらに、構造光照射デバイスでは、ホスト広視野型顕微鏡の照射源を利用するので、顕微鏡のすべての蛍光能力が保持される。
【0006】
True共焦点顕微鏡。共焦点顕微鏡は、撮像に専用光学系を使用する。最も単純なシステムでは、関連するフルオロフォアの励起波長で動作するレーザーを試料上の1点に集束させると同時に、照射点からの蛍光発光を小面積検出器に結像させる。試料の他のすべての領域からの放射光は検出器の前に配置された小さなピンホールで除去され、検出器は照射スポットからの発光を送信する。励起スポット及び検出器は、試料をラスターパターンで走査し、完全な像を形成する。速度及びスループットを改善・最適化する様々な方法は当業者に周知である。
【0007】
線共焦点顕微鏡。これは共焦点顕微鏡の変形であり、蛍光励起源がレーザービームであるが、ビームを一点ではなく試料上の細い線に集束させる。次いで、蛍光発光は、空間フィルタとして作用するスリットを通して光学検出器に結像させる。試料の他の領域から放射された光は焦点がずれたままであり、スリットでブロックされる。二次元像を形成するため、試料上で線を走査すると同時にラインカメラを読取る。このシステムは、適当な光学配置を用いることによって複数のレーザー及び複数のカメラを同時に使用できるように拡張できる。
【0008】
しかし、かかる線共焦点顕微鏡は通例複雑で高価であり、多くの用途には実用的でない。共焦点及び線共焦点顕微鏡の利点と他のシステムの単純さ及び経済性とを併せもつ顕微鏡に対する切実なニーズが存在している。
【特許文献1】米国特許第4826299号明細書
【非特許文献1】CMOS Imagers:From Phototransduction to Image Processing,Orly Yadid−Pecht and Ralph Etienne−Cummings(Editors),Springer(Publisher),1st editon(May 31,2004)
【非特許文献2】Application Note MTD/PS−0259 Shutter Operations for CCD and CMOS Image sensors
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、新規な改良共焦点蛍光顕微鏡について開示する。新規顕微鏡は、既存の顕微鏡共焦点撮像装置に比して顕著な利点を有する。従前の共焦点撮像装置と同様、本発明は、従来の広視野及び共焦点蛍光撮像装置に比して利点を有する。ただし、本発明は、部品が簡単で、例えばピンホール又はスリットのような物理的空間フィルタを必要としないため、コスト及び複雑さの面での共焦点技術の欠点も解消し、大幅に節約できる。システムは、さらに、底の薄い96、386及び1536ウェルプレートを始めとする様々なマイクロウェルプレート、顕微鏡スライドと適合しており、様々な蛍光染料に対応できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このシステムは、対応する蛍光又は蛍光染色又は標識された標的にアライメントされた異なる励起波長で動作する1以上の、さらに好ましくは2以上の光源(好ましくはレーザー)を備える。各標的からの蛍光発光は、バンドパス光学フィルタを用いて濾波され、放射データは、1以上の撮像デバイス、好ましくは2以上の撮像デバイスで集められる。システムは、上述の従来の広視野蛍光顕微鏡に比べ、画質の改善及び感度の向上を始めとする幾つかの顕著な利点を呈する。さらに具体的には、通常の蛍光顕微鏡法では、材料の焦点面の上下の蛍光を発するので、不都合なバックグラウンド蛍光を生じる。従来の広視野蛍光顕微鏡では、こうしたバックグラウンドは効果的に抑制されず、そのためかかる顕微鏡では、標的細胞物質からの比較的小さな信号が大きなバックグラウンド信号の「上に載」り、バックグラウンド信号によって影響される。例えば、生物試料を収容したマイクロタイタープレートを広視野蛍光顕微鏡で撮像すると、ウェルプレートの透明プラスチックの底及び細胞物質上の培地からのバックグラウンド信号が、通常、細胞物質の信号よりも実質的に大きくなってしまう。かかる像の解析は、普通、バックグラウンドを推計して差し引くことによって行われる。
【0011】
しかし、こうした推計は、以下の問題を生じる。
(1)バックグラウンドの結果、信号における統計的雑音が増大する。かかるバックグラウンド蛍光は、像における雑音の通例90%超をなし、バックグラウンド雑音の寄与度を推計して補正しなければならないので、特徴の識別能力が低減する。さらに、こうした推計は幾つかの仮定を伴うため、解析及び解釈が複雑になり、システムの感度が低下する。
(2)バックグラウンドの推計及び除去には、計算に費用と時間がかかる。典型的には、かかるシステムでは解析時間の約50%がバックグラウンドの推計に費やされる。バックグラウンドが不規則で高いコントラスト構造を有する場合(例えば、高蛍光性粒子が培地中を漂っているアッセイ)、バックグラウンドの正確なモデルを構築できないので、像のかなりの部分は解析が困難であると思われる。
【0012】
共焦点撮像顕微鏡を用いると、焦点面からの蛍光信号に対してバックグラウンド蛍光が20〜100倍抑制され、正確な像が得られる。しかし、共焦点顕微鏡は、操作及び使用が複雑で費用がかかる。本発明のシステムでは、蛍光発光の検出用にランダムアクセスが可能な1以上の検出器を備える簡素化された検出サブシステムの導入によってシステムのコスト及び複雑さが低減する。検出器は、好ましくは低コストのCMOS光学センサであり、室温でセンサを動作する場合にも暗電流による寄与を無視できる程度に抑制する。ただし、適当なCCDカメラのような他の画素ベースの検出器も使用できる。好適な検出デバイスは、CMOS Imagers:From Phototransduction to Image Processing,Orly Yadid−Pecht and Ralph Etienne−Cummings(Editors),Springer(Publisher),1st editon(May 31,2004)に記載されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0013】
好ましい実施形態では、検出器は、さらに、光検出に用いる検出器の瞬間領域を制限するためにローリングシャッタ手段を備える。この領域の大きさ(例えば線共焦点撮像の場合のローリングシャッタの幅)は、典型的には、検出器と光学的に共役した照射領域と同じ又はそれ以下である。
【0014】
さらに、本システムは励起光を与えるため1以上、好ましくは2以上の光源を用いる。フィルタ付又はフィルタなしのランプのような発光できる光源であればどのような光源であっても使用できる。かかる光源は、当業者には明らかであろう。かかる照射用に好ましい光源としては、高輝度の狭帯域光源、さらに好ましくはレーザーが挙げられる。
【0015】
好ましい実施形態では、励起光は、標的上に一点ではなく直線の形態で集束され、直線を標的表面上で走査する。上述の通り、線共焦点撮像装置は当技術分野で公知であり、好ましいシステムでは、複雑さとコストを増すことなく従来の直線システムの利点が得られる。結像標的上の直線形の照射領域は、当技術分野で公知の任意の手段で生じさせることができるが、好ましくはパウエルレンズで生じさせる。
【0016】
他の好ましい実施形態では、直線形成手段は、ローリングシャッタモードで動作するCMOS検出器と対をなし、安価で単純で使用の簡単な線共焦点スキャナを与える。
【0017】
検出器は、さらに、励起光の除去に使用できる狭帯域レーザー線に特有のフィルタを備えていてもよい。この種のフィルタは、フルオロフォアの発光スペクトルに合わせて調整された光学帯域幅をもつ他のフィルタと併用できる。ある好ましい組合せでは、RugateノッチフィルタをSchott Verilリニア可変フィルタと直列に使用する。光学検出器の前のリニアフィルタの位置を適宜制御することによって、同じ励起レーザーを用いて複数のフルオロフォアを撮像できる。
【0018】
また、柔軟性があるため、複数のモードでの動作が可能なハイブリッド顕微鏡を製作できる。かかるハイブリッドデバイスの好ましい実施形態では、一方の動作モードでは、ハイブリッド顕微鏡は、本発明の方法で動作する線共焦点顕微鏡であり、第2の動作モードでは、ハイブリッド顕微鏡は、顕微鏡の視野全体を照射するように照射系を調整した場合に標準広視野顕微鏡として動作する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上述の本発明の共焦点撮像システムは、図1に概略が示されており、上述の通り、蛍光(又は蛍光染色若しくは蛍光標識した)標的を励起する1以上の光源及び蛍光発光を検出する1以上の検出器を備える。システムは、共焦点及び広視野顕微鏡に一般にみられる他の部品を備えていてもよい。以下、これらの部品及び他の部品についてさらに詳しく説明する。多数の部品について、複数の実施形態が可能である。一般に、好ましい実施形態は、標的の用途に応じて異なる。本明細書の目的に関して、好ましい標的の用途は、様々なフルオロフォアを撮像できる高スループット細胞スクリーニングである。
【0020】
部品の説明
レーザー光源
光源は、上述の通り、励起波長の光を標的に届けることができる光源であればどのようなものでもよいが、好ましくは1以上の励起レーザーがシステム内に組み込まれる。好ましい実施形態では、近IR乃至近UVの光学スペクトルをカバーする4個以上のレーザーが存在する。これらの個々のレーザーに由来する光は、適当な直径、方向及び平行度の自由空間ビームとして光を発振するか、或いは光ファイバ光送出システムを介して光学列の残り部分に結合することができる。他の好ましい実施形態では、光は、所定のビーム径(その達成には常法を用いることができる)を使用するか、又は光ファイバ(理想的には単一モード偏光保存ファイバを用いる)を介して、平行度の高い平行ビームとして送られる。好ましい実施形態では、各励起レーザーは、M2<1.2、RMS雑音1Hz〜10MHz<0.5%及び所定の偏光状態で、TEM00モードで動作する。実用的な数のレーザーを使用できる。
【0021】
レーザー選択モジュール
励起レーザー光は、レーザー選択モジュール(2)に送られる。このモジュールでは、レーザーのうちの1つからの光を選択し、それをビーム整形モジュール(3)内に向ける。他のレーザーからの光はブロックされる。レーザー選択モジュールの可能な実施形態としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
(1)分散プリズムと各レーザーの光学シャッター。所望のレーザーは、1つを除くすべてのシャッターを閉じることによって選択される。
(2)反射格子と各レーザーの光学シャッター。所望のレーザーは、1つを除くすべてのシャッターを閉じることによって選択される。
(3)ダイクロイックミラーのスタックと各レーザーの光学シャッター。所望のレーザーは、レーザーに対し1つを除くすべてのシャッターを閉じることによって選択される。
(4)光ファイバスイッチ。
(5)回転ミラーベースのビーム偏光器。回転ミラーは、選択されたレーザーからの光をビーム整形モジュールに向けるために使用することができる。この場合、すべてのレーザービームは、(i)ミラーの回転軸に垂直な同じ光学平面内にあるようにアライメントされ、(ii)ミラーに集束しミラーの回転軸上に位置する点に当たる。所望のレーザーは、ガルバノメーターのような機械式アクチュエータを用いて鏡の回転角を調節することによってビーム整形モジュールに向けられる。これは、単純で安価であるため好ましい実施形態であり、出力レーザービームの方向のドリフトを動的に補正する機能を備える。
【0022】
ビーム整形モジュール
励起レーザー光は、好ましくは、ビーム整形装置(3)によって適切に整形される。ビーム整形装置の可能な実施形態としては、特に限定されないが、レーザービームエキスパンダが挙げられる。好ましい実施形態では、ビームエキスパンダが使用され、その光学素子は、レーザーを切り替えたときにビームエキスパンダの焦点の調節を最小限で済むように色収差が補正される。レーザービームの直径は、対物レンズ(7)の後瞳の直径に等しくなるように優先的に拡大される。他の実施形態では、使用されるビームエキスパンダのタイプは、特定の用途に依存し、ビーム整形器なしのレーザービームエキスパンダ及び色収差なしの鏡ベースのビームエキスパンダが後に続くアナモルフィックプリズムを備えていてもよい。
【0023】
直線形成モジュール
線共焦点モードでの動作の場合、励起レーザー光は、平行レーザー光ビームを一方向のみに発散する集束ビームに変換する直線形成素子(4)を通過する。出力ビームの完全発散角Δθは、次式で与えられる。
【0024】
Δθ=2×arctan(D/(2×f)) (1)
式中、fは、対物レンズ(7)の焦点距離であり、Dは、図1の平面に垂直な方向の標的(8)上の撮像領域の線寸法である。
【0025】
線形成素子の好ましい実施形態としては、特に限定されないが、パウエルレンズ(米国特許第4826299号明細書に記載されており、その内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)が挙げられる。第2の円錐柱面の形状は、好ましくは、範囲Δθで10%以内の均一な照射と、対物レンズ(7)を通して80%超のレーザ光透過率の両方が得られるように指定される。
【0026】
シリンドリカルレンズ、回折格子及びホログラフィック素子のような代替線形成素子も使用できる。
【0027】
走査モジュール
走査モジュールは、顕微鏡の視野を横切る形で対物レンズの焦点面において励起光の走査を行う。
【0028】
励起レーザー光は、好ましくは、図1の平面内の軸を中心に傾けることができる鏡(5)によって反射される。傾斜角は、アクチュエータ(6)によって設定される。鏡(5)は、適宜、対物レンズ(7)の後部を中心とする、又はその後部から軸方向にオフセットされた幅の狭い鏡を備えていてもよい。これは、好ましい実施形態であり、以下のように好ましい幾何学的形状及び反射特性を有する。
幅:対物レンズの後部アパーチャの直径の約1/10倍。
長さ:対物レンズの後部アパーチャの直径の約1.6倍。
光学的に平坦。
300nm〜800nmでの反射率が高い。
【0029】
鏡のこれらの特定の特性には、以下の重要な幾つかの利点がある。
(1)すべての励起波長に対し単一の鏡を使用することが可能になる。これによって、マルチバンドダイクロイックミラーに関して、システムを様々なレーザーに適合させる適応性が大幅に高まる。
(2)最も広い点で対物レンズの後部アパーチャを使用する。これにより、達成可能な最も低い回折レベルが得られ、さらにこれにより、試料のレーザー照射の線の幅は達成可能な最も狭い幅となる。
【0030】
達成可能な視野は、単純な1傾斜鏡戦略で可能であるため大きい。2つの鏡を用いることによって、ビームの方向を変更するのとビームを平行移動するのとを同時に行える。
【0031】
システムは、さらに、オプションのダイクロイックミラーとともに使用することもできる。ダイクロイックミラーは、すべての励起レーザーからの放射線が効率的に反射され、蛍光発光に対応する波長範囲内の光が効率的に透過されるような設計となっている。Rugate技術に基づくマルチバンドミラーは、好ましい実施形態である。
【0032】
走査アクチュエータ
アクチュエータ(6)の実施形態としては、特に限定されないが、角度位置を検出するための積分センサを備えるガルバノメーターが挙げられる。ガルバノメーターは、適当にチューニングされたサーボシステムで駆動される。ベアリングシステムは、磨耗を効果的に排除するためのフレクシャー及びベアリングの摩擦の問題に基づいている。これは、好ましい実施形態である。
【0033】
顕微鏡対物レンズ
励起レーザー光は、好ましくは、対物レンズ(7)を通過する。この実施形態では、対物レンズは、
・所望の視野での幾何収差及び色収差について補正度が高い。
・適当な視野の平坦さを有する。
・近UV乃至近IRまでの光を透過する。
・最良の実用的な光学分解能を得て、実用的な量の蛍光発光を集めるために実用上最高の開口数をもつ。
・試料支持材(8)の光学的厚さの試料毎の変動により持ち込まれる球面収差の補正に対する措置を含む。
・対物レンズが支持材と接触する危険を冒すことなく厚さ最大1.5mmまでの試料支持材(8)を通して試料を撮像できるように1.2mm以上の作動距離を有する。
【0034】
好ましい実施形態としては、球面収差カラーをもつPlan−Fluor対物レンズが挙げられる。好ましい実施形態に関して、対物レンズは、15倍〜30倍の範囲の倍率及び6.7mm〜13.3mmの範囲の焦点距離を有する。
【0035】
好ましい動作については、励起レーザー光は、試料を支える固体透明光学材料(8)を透過する。この支持材の厚さ、曲率及び光学特性は、試料毎に異なっていてよい。励起レーザー光は、試料(9)上に入射する。システムが適切に集束される場合、試料は、レーザ光の線を照射される。試料中の蛍光材料は、光の線の照射の結果として蛍光を発する。好ましい実施形態では、照射の線が一様である距離は0.8mmを超える。
【0036】
蛍光が支持材(8)を通過し、対物レンズ(7)により集められる。
【0037】
蛍光は、鏡の実施形態に応じて、鏡(5)を通過するか、又は鏡(5)のそばを通る。鏡(5)が、ダイクロイックミラーである場合、レーザー照射の有意な除去にはこの鏡が関わる。この除去によって、光学フィルタ(11)及び(14)の遮断要件が低減される。
【0038】
蛍光は、オプションのダイクロイックミラー(10)を通過する。この鏡は、オートフォーカスシステム(図に示されていない)からのビームを光学経路内に挿入するために使用される。
【0039】
レーザー線阻止フィルタ
蛍光は、蛍光を効率的に透過し、励起レーザーの波長をブロックする適当な光学フィルタ(11)を通過する。フィルタは、フィルタからの反射がカメラ(16)の視野の外にあるように図1の平面に垂直な軸を中心に適宜傾斜される。
【0040】
複数のフィルタが使用される場合、アクチュエータ(12)をフィルタ変更に使用することができる。アクチュエータ(12)の好ましい実施形態としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
・高速リニアスライダー。これは、フィルタ(11)が3〜6個のフィルタのうちの1つである場合に好ましい実施形態である。
・2状態高速(<25msec)アクチュエータ。これは、フィルタ(11)が2個のフィルタのうちの1つである場合に好ましい実施形態である。
・アクチュエータなし。このオプションは、単一フィルタ(11)がある場合、又はすべての光学濾波がエミッションフィルタ(14)で実現される場合に適用される。
【0041】
フィルタ(11)の好ましい実施形態としては、特に限定されないが、Rugateノッチフィルタが挙げられる。複数のRugateフィルタをシステム内に取り付けることができる。これらのフィルタはそれぞれ、励起レーザー波長に対応する多数の狭く、反射率の高い帯域を有することがある。システムに取り付けられたフィルタのうちに、システム内に取り付けられたすべての励起レーザーにより放射される光を効率的に反射する1以上のフィルタがある。他の好ましい実施形態としては、以下のものが挙げられる。
・単一帯域Rugateフィルタのセット。
・多波長Rugateノッチフィルタ。システムに搭載されているすべての励起レーザーの波長に対応する複数の狭く反射率の高い帯域。
・異なる種類のフィルタの組合せ。かかる組合せは当業者に公知である。
・フィルタなし。このオプションは、すべての光学濾波がフィルタ(14)で実現される場合に適用可能である。
【0042】
好ましい実施形態では、フィルタ(11)は蛍光発光をビグネッティングしない。
【0043】
チューブレンズ
蛍光は、結像レンズ(13)を通過する。
【0044】
好ましい実施形態では、
・レンズの幾何学歪みは、カメラ(16)で撮像される領域にわたって非常に低い(<.2%)。
・レンズは、他のすべての幾何収差及び色収差について補正される。
・高品質中望遠写真レンズが好適である可能性が高い。
【0045】
エミッションフィルタ
蛍光は、オプションのアクチュエータ(15)によって制御される好適な光学フィルタ(14)を通過する。このフィルタは、蛍光を透過し、他の波長の光を減衰する。
【0046】
フィルタ(14)の可能な実施形態としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
・リニア可変フィルタ、例えば、Schott Verilフィルタ。一定の光学パスバンドの直線は、線形の照射領域に平行に向き付けられる。これは、好ましい実施形態である。このフィルタは、移動する励起ビームと同期して移動し、画像収集時に一定の光学帯域幅を与えることができる。
・標準色素特有蛍光フィルタ。
・フィルタなし。このオプションは、すべての光学濾波がレーザー線阻止フィルタ(11)で実現される場合に適用可能である。
【0047】
好ましい実施形態では、フィルタ(14)は蛍光発光をビグネッティングしない。
【0048】
光学検出器
上述の通り、好ましい検出器は、蛍光を検出し、結像することができるCMOS及びCCD検出器を備える。本発明の好ましい実施形態では、検出器は、画素の独立したリセット及び読出しが可能である(ランダムアクセス機能)。
【0049】
好ましい実施形態では、蛍光発光は、ローリングシャッタ(フォーカルプレーンシャッタとも呼ばれる。)を備えるCMOS検出器(16)上に集束される。このタイプのカメラの動作の説明については、Eastman Kodak Companyが出版している「Application Note MTD/PS−0259 Shutter Operations for CCD and CMOS Image sensors」参照(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)。
【0050】
直線走査モードでは、レーザーは、CMOS検出器の行に平行に向き付けられた一様に照射される直線に集束される。この直線がCMOSカメラのローリングシャッタ上に結像される試料の領域の中心に来るようにする制御メカニズムが適所に備えられる(上で説明されている)。この直線は、ローリングシャッタがカメラを横断する際の移動する。こうして、その照射光の線によって発生する蛍光発光がセンサに集められる。
【0051】
好ましくは実施形態では、フィルタ(14)は蛍光発光をビグネッティングしない。
【0052】
本発明の撮像装置は、基本的には、2つのモード、つまり、後述のような、逐次及び同時多波長撮像で動作することができる。
【0053】
好ましいシステムの動作
一般的な動作では、1以上の蛍光マーカーを含む1以上の標的が、以下のように撮像装置で撮像される。
(1)とにかく部分的に蛍光マーカーの吸収帯と重なる発光スペクトルをもつ1以上の光源からの電磁放射線は、標的に向けられ、ビーム整形光学系は、点、直線、円及び長方形の形状をもつ被写体上の照射域の形状を制御するために使用される。標的は、照射光学系を通して照射され、撮像領域全体又は一部をカバーする照射域を形成する。
(2)次いで、蛍光発光は、照射系と同じ又は異なっている可能性のある光収集系を用いて照射域内に位置する蛍光マーカーから集められ、蛍光発光は、ロングパス、バンドパス、又はライナー可変光学フィルタを用いて濾波される。
(3)画素の独立のリセット及び読出し(ランダムアクセス機能)を行える二次元画素ベース受光器(検出器)のうちの1以上が、撮像領域と光学的に共役な位置に配置され、光学検出器内の検出領域の形状及び大きさは、光学的に共役な照射域の像に等しいか、それよりも小さくなるように調節される。受光器の検出領域に送られる蛍光発光は、検出領域内に配置された画素から信号を読出すことによって検出される。(i)迷光及び平面外蛍光のような照射領域の外側で受けた光信号を除去し、(ii)対処しないと全画像収集時間において累積するであろう熱雑音のような固有検出雑音を低減するために検出器の検出領域外に位置する光学検出器の画素がリセットされる。
(4)照射域は、ビーム走査系を用いて被写体の撮像領域内で走査され、受光器の検出領域は、光学検出器の画素へのランダムアクセスを用いて照射域との光学的共役を維持するように移動される。
(5)被写体の撮像領域の像は、撮像領域の全域に照射域を走査している間に得られる受光器の検出領域からの信号(部分像)から形成され、前述の段階は、複数の光源での逐次的画像収集のため繰り返される。
【0054】
逐次的撮像モードにおける撮像装置の動作
逐次モードでは、蛍光像は、「一度に1つのフルオロフォア」アプローチを用いて次々に収集される。
【0055】
逐次モードでは、本発明の撮像システムは、以下のように動作する。
【0056】
標的(9)は、X−Yステージを用いて撮像位置に移動される。次いで、所望の光源からの励起放射線は、標的上に集束され、蛍光発光を発する。
【0057】
次に、対物レンズ(7)の位置は、手動及び/又はオートフォーカスシステムを用いて、最適なピントが合うように調節される。
【0058】
検出器(16)は作動され、露光を開始する。重要な収集パラメータは、ローリングシャッタの幅及びローリングシャッタがカメラを「横切る」速度である。
【0059】
ローリングシャッタがカメラ(16)を横切ると、鏡(5)の傾斜は、励起レーザー光の線の位置がローリングシャッタ領域の真ん中に残るように調節される。フィルタ(14)がリニア可変フィルタである場合、このフィルタの位置は、さらに、フィルタの位置がカメラのローリングシャッタと同期するように露光時に変更されなければならない。
【0060】
同時多波長撮像モードにおける撮像装置の動作
同時多波長撮像モードでは、撮像システムは、複数の蛍光像を同時に取り込むように構成される。
【0061】
同時多波長共焦点顕微鏡の設計に関する主要な問題の1つは、顕微鏡対物レンズに対する色収差補正の範囲が限られていることである。これは、次のことを意味する。
(1)照射光学経路の場合−照射領域(点又は直線)は、対物レンズの色収差補正のスペクトル範囲内にある励起線に関して焦点が合い、補正されたスペクトル範囲(典型的にはUV範囲)の外にある励起波長に対する照射領域は焦点がずれている。
(2)放射光学経路の場合−補正範囲内で光を放射する蛍光標的の像は、焦点が合っているが、補正から遠いスペクトル範囲内にある放射をもつ蛍光標的の像は、焦点がずれている。
【0062】
これらの問題は、当技術分野において周知である。
【0063】
複数のレーザー又は他の光源を使用する同時撮像及び波長のサブグループ化を行うことが提案されている。これらのサブグループは、励起波長の各サブグループに対する顕微鏡対物レンズの色収差が許容範囲内に収まるように選択される。
【0064】
好ましい実施形態では、システムは、670、638、532、488、405及び374nmの励起波長で蛍光撮像することを必要とする。約300nm(670nm〜357nm)の全波長範囲は、典型的な顕微鏡対物レンズの補正されたスペクトル範囲よりもかなり広く、したがって、これらすべての波長の同時の「焦点が合う」撮像は可能でない。しかし、これらの波長は、以下のような複数のサブグループにまとめることができる。
・赤色グループ(670nm及び638nm、32nm範囲)。
・青色−緑色グループ(532nm及び488nm、44nm範囲)。
・UVグループ(405及び375nm、30nm範囲)。
【0065】
各サブグループ内の励起波長のスペクトル範囲は、かなり狭く(<40nm)、サブグループ波長の同時の「焦点が合う」撮像は可能になる。かかるシステム内の多数の光学検出器は、サブグループ内の波長の数に等しくなければならない。
【0066】
図2は、3つのサブグループを使用する2つの波長の同時撮像に対するこのアプローチを実証するシステムの光学構成を示している。
【0067】
システムでは、それぞれ2つの波長からなる3つのサブグループに分けられた6つのレーザー励起源を用いている。各サブグループ内のレーザーのレーザービームは、以下の方法のいずれかを用いて光学的に合併される。
・偏光ビームコンバイナ、
・ダイクロイックビームコンバイナ、
・光ファイバビームコンバイナ。
【0068】
システムは、以下のように動作する。
(1)レーザー選択ミラー又は他の好適な技術に基づく光学スイッチは、選択されたサブグループからの集合ビームを光学系内に結合する。
(2)集合ビームは、ビーム形成光学系(ビームエキスパンダ及びパウエルレンズ)を通り、走査ミラーから反射され、顕微鏡対物レンズを通り、標本上に集束される。
(3)励起光は、走査ミラーを移動することによって標本の全域に走査される。
(4)励起された蛍光発光は、顕微鏡対物レンズで集められる。
(5)蛍光標的の像は、チューブレンズで形成される。
(6)蛍光発光は、ダイクロイックミラーによる2つのチャネルによって分割される。
(7)各チャネルにおける蛍光発光は、エミッションフィルタを通る。レーザー線阻止フィルタをそこに追加して、信号対雑音比を改善できる。
(8)各チャネルにおける蛍光像は、CMOSカメラのような光学検出器によって取り込まれる。
(9)検出器は両方とも、走査ミラーで同期される。
(10)各検出器は、本特許出願の他の部分で説明されている方法(「ローリングシャッタ」モード)で像を集める。
(11)同じ手順を各サブグループについて繰り返す。
(12)システムの以下の調節は、各サブグループの撮像の前に実行されなければならない。
(a)ビーム形成光学系は、サブグループ中心波長について調節しなければならない。
(b)顕微鏡対物レンズ焦点位置は、サブグループ中心波長について調節しなければならない。
(c)適当なダイクロイックミラーは、光学経路内に挿入されなければならない。
(d)適当なエミッションフィルタは、各撮像チャネル内に取り付けられなければならない。
【0069】
本発明の技術的思想及び範囲から逸脱せずに、本明細書に開示した発明に数多くの修正及び変更を加えることができることは明らかであろう。本明細書に記載された特定の実施形態は、もっぱら例示を目的としたものであり、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の好ましい装置の概略図。
【図2】本発明の多波長装置の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の励起放射用光源及び蛍光標的からの蛍光発光を検出する1以上の検出器を備える蛍光標的の共焦点蛍光顕微鏡走査用の装置であって、上記1以上の検出器手段が蛍光発光のランダムアクセス読出しが可能であることを改良点とする装置。
【請求項2】
前記1以上の光源が、レーザー、レーザーダイオード、発光ダイオード、ランプ及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記光源が2以上のレーザーを含む、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記複数のレーザの発光波長が異なる、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記1以上の検出器手段が、二次元画素の独立したリセット及び読出しが可能な1以上の二次元画素ベース受光器を備える、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記1以上の検出器がCMOS検出器を備える、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記1以上の光源が、撮像すべき領域の実質的に全体を照射する手段を備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記1以上の光源が、標的上の一点を照射する手段を備え、撮像すべき領域の全域に点照射を走査する手段をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記1以上の光源が、標的の直線部分を照射する線形成手段を含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記線形成手段が、パウエルレンズ、シリンドリカルレンズ、回折格子、ホログラフィック素子及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記線形成手段が、1以上のビーム偏向素子によって標的の全域を移動する光の線を標的上に生じる、請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記放射が2以上の光源から発せられ、1以上の光源からの放射線が、光シャッターを備える分散プリズム、光シャッターを備える反射格子、光シャッターを備えるダイクロイックミラー、光ファイバスイッチ及び回転ミラーからなる群から選択される光学選択素子による標的の照射と結合している、請求項2記載の装置。
【請求項13】
前記ビーム偏向素子が、1以上のガルバノメーターを備える、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記検出器が、ローリングシャッタ手段を備えたCMOS検出器である、請求項11記載の装置。
【請求項15】
前記ローリングシャッタが、標的上の直線の像の幅以下の幅を有する、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記ローリングシャッタが、標的上の直線と光学的に共役している、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記蛍光発光の読出しが、照射領域の走査と同期される、請求項14記載の装置。
【請求項18】
前記蛍光標的が1以上の蛍光マーカーを含む、請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記標的が、顕微鏡スライド又はマイクロタイタープレート上にある、請求項1記載の装置。
【請求項20】
さらに、励起光を照射系に結合するとともに標的上で照射領域を走査するため、対物レンズの後部の中心に配置された鏡を備える、請求項8記載の装置。
【請求項21】
さらに、蛍光標的の発光波長の光を効率的に透過し、蛍光標的の励起波長の光を反射又は減衰する1以上の光学フィルタを検出器手段の前に備える、請求項11記載の装置。
【請求項22】
前記1以上のフィルタがリニア可変フィルタである、請求項21記載の装置。
【請求項23】
蛍光標的の励起波長に相当する波長の光で標的を走査し、光が標的を横断する際の蛍光発光データを収集することによって蛍光標的の画像を得る方法であって、請求項1記載の共焦点撮像装置で画像を得ることを改良点とする方法。
【請求項24】
前記光源が1以上のレーザーを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記1以上の検出器手段が、画素の独立したリセット及び読出しが可能な1以上の二次元画素ベース受光器を備える、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記1以上の検出器がCMOS検出器を備える、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記CMOS検出器がさらにローリングシャッタ手段を備える、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記ローリングシャッタが、標的上の直線の像の幅以下の幅を有する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記ローリングシャッタが、標的上の直線と光学的に共役している、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記1以上の光源が、撮像すべき領域の実質的に全体を照射する手段を備える、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記1以上の光源が、標的上の一点を照射する手段を備え、撮像すべき領域の全域に点照射を走査する手段をさらに備える、請求項23記載の方法。
【請求項32】
前記1以上の光源が、線形成手段を含む、請求項23記載の方法。
【請求項33】
前記線形成手段が、パウエルレンズ、シリンドリカルレンズ、回折格子、ホログラフィック素子及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
さらに、蛍光標的の発光波長の光を効率的に透過し、蛍光標的の励起波長の光を反射又は減衰する1以上の光学フィルタを検出器手段の前に備える、請求項23記載の方法。
【請求項35】
前記1以上のフィルタがリニア可変フィルタである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記1以上のフィルタが、標的を横断する励起光の動きを追って移動する、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記標的が、顕微鏡スライド又はマイクロタイタープレート上にある、請求項23記載の方法。
【請求項38】
1以上の蛍光マーカーで標識された1以上の標的を含む被写体の撮像方法であって、
(a)蛍光マーカーの吸収帯と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有する1以上の光源から電磁放射線を放射する段階と、
(b)被写体の撮像領域全体又は一部をカバーする照射域を形成する照射光学系を通して被写体を照射する段階と、
(c)照射系と同一又は異なる光収集系を用いて、照射域内に位置する蛍光マーカーからの蛍光発光を収集する段階と、
(d)撮像領域と光学的に共役な位置での画素の独立したリセット及び読出しが可能な1以上の二次元画素ベース検出器を配置する段階と、
(e)光学検出器内の検出領域の形状及び大きさを、光学的に共役な照射域の像と同一又はそれ以下に調節する段階と、
(f)検出領域内に位置する画素からの信号を読取ることによって検出器の検出領域に届いた蛍光発光を検出する段階と、
(g)検出器の検出領域外に位置し、照射域と光学的に共役していない検出器の画素をリセットする段階と、
(h)ビーム走査系を用いて被写体の撮像領域内の照射域を走査する段階と、
(i)検出器の検出領域を移動し、光学検出器の画素へのランダムアクセスを用いて照射域との光学的共役を維持する段階と、
(j)撮像領域上での照射域の走査時に得られる受光器の検出領域からの信号(部分像)から被写体の撮像領域の像を形成する段階と、
(k)複数の光源での逐次的画像収集のため複数の光源について段階(a)から当該方法を繰り返す段階と
を含んでなる方法。
【請求項39】
さらに、点、直線、円又は矩形の形状を有し得る被写体上の照射域の形状を制御するためビーム整形光学系を用いることを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
さらに、1以上の蛍光マーカーを含み、
ロングパス、バンドパス又はリニア可変光学フィルタを用いて蛍光発光を濾波することを含む、請求項38記載の被写体の撮像方法。
【請求項41】
前記1以上の光源が、レーザー、レーザーダイオード、発光ダイオード、ランプ及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項42】
1以上の検出器手段が、CMOS検出器及びCCD検出器からなる群から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項43】
前記標的が顕微鏡スライド又はマイクロタイタープレート上にある、請求項37記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−507719(P2008−507719A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522050(P2007−522050)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002067
【国際公開番号】WO2006/008637
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(500055382)ジーイー・ヘルスケア・ナイアガラ・インク (2)
【Fターム(参考)】