説明

光学素子の成形装置及び成形方法

【課題】本発明は、各ステージのプレート温度が、隣接するステージのプレート温度に影響を受けないようにプレート温度を均一にして、光学素子を歩留まり良く製造する光学素子の成形装置及び成形方法を提供する。
【解決手段】上型と下型の間に成形素材が置かれた成形型50を、加熱、プレス成形及び冷却の各ステージ3,4,5へ順次搬送して光学素子を成形する光学素子の成形装置であって、成形型50に対して、それぞれ加熱、プレス成形及び冷却の各プロセスを行う上下一対の加熱プレート3b、プレスプレート4b及び冷却プレート5bの複数組のプレートを有してなり、各プレートがヒータブロックと該ヒータブロックの成形型搭載面に設けられた均熱板とで構成され、均熱板が、成形型の搬送方向と直交する縁部近号に、該縁部に沿って形成されたスリットを有する光学素子の成形装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を連続的に製造可能な成形装置及び成形方法に係り、特に、成形素材を冷却する冷却プレート内での温度分布の発生を抑制し、所定の温度に安定して保持できる光学素子の成形装置及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学素子用の成形型内に成形素材を収容し、加熱軟化させてプレス成形するという、光学素子を高精度に成形する方法が一般化してきた。そのような状況の中、製造コストを低減するために、成形型を各処理ステージに搬送し、複数の光学素子を連続的に成形する光学素子の成形装置が提案されている。
【0003】
これら光学素子の成形装置において、成形素材の加熱軟化時には、成形素材を加工するのに十分な高温まで加熱し、プレス時にはその加熱状態を維持しながらプレスし、プレス後は、成形素材を冷却して固化させ光学素子を得る。そのため、成形装置における各処理ステージでは、個々のステージが所定の温度に管理されている。
【0004】
各処理ステージは、一般に、内部にカートリッジヒータを設けた上下一対のプレートで構成されている。この上下一対のプレートは、通常、四角い平板状のプレート内部に複数本の棒状のカートリッジヒータを水平方向に所定の間隔に配置して構成されている。ところが、このように配置したときのプレート温度は、プレート周辺部では温度が低下しやすく、プレート中央部はヒータに囲まれて温度が上昇しやすい。したがって、プレートにおける加熱状態が場所により異なる温度分布が生じてしまう。このようにプレート内で温度分布が生じると、そのプレート上にある成形型、ひいては成形素材を成形する成形面の温度にまで影響を与えてしまう。
【0005】
そこで、プレート上の温度分布を改善するために、超硬合金の表面を所定の合金薄膜で被覆した特定の大きさからなる均熱板をプレート上に設けたり(特許文献1参照)、プレート表面の成形に対応する周辺部分と内側部分との温度差を所定範囲に保持するために内側と外側のカートリッジヒータの出力を制御する温度制御手段を設けたり(特許文献2参照)、する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−259240号公報
【特許文献2】特開2008−69019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の成形型を搬送移動させながら順次処理を行っていく成形装置においては、まず、成形型が装置内に取入れられ、初めの加熱ステージでは徐々に成形素材を昇温させていき、加熱の最終部分で最高温度に到達させる。次に、この最高温度を維持しながらプレス成形を行って成形素材に光学素子形状を付与する。そして、最後に、冷却ステージで成形素材の温度を徐々に下げて成形素材を冷却、固化させる。
【0008】
しかしながら、このような成形操作を行うにあたっては、装置全体の温度勾配は、成形型の取入れ口側から徐々に高くなり、プレス成形処理を行うプレスステージを頂点として、成形型の取出し口側に向かって徐々に低くなる。
【0009】
したがって、各ステージは隣接するステージの温度に影響されて、所定の温度よりも高温あるいは低温になってしまい、同一プレート内で温度差が生じてしまう。このように同一プレート内で温度差ができると、そのプレート上にある成形型にも温度分布が生じ、これが成形素材の成形にまで影響を及ぼしてしまう。
【0010】
例えば、冷却ステージにおいて、隣接するステージがプレスステージであった場合、その冷却ステージのプレスステージ側の温度が高く、その逆側の温度が低くなってしまうため、冷却プレート上にある成形型内部に温度分布が発生し成形素材の冷却を一様に行えず、場所によって冷却速度が変わってしまう。そのため、所望の形状が得られなくなり歩留まりが低下するという問題があった。このような問題は特に、製造する光学素子の直径が大きくなり、プレートに対する成形型の接触面の割合が大きくなると顕在化してくる。
【0011】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、光学素子の製造にあたって、各ステージのプレート温度が、隣接するステージのプレート温度に影響を受けないようにプレート温度を均一にして、光学素子を歩留まり良く製造する光学素子の成形装置及び成形方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光学素子の成形装置は、上型と下型の間に成形素材が置かれた成形型を、チャンバー内に設けた加熱、プレス成形及び冷却の各ステージへ順次搬送して光学素子を成形する光学素子の成形装置であって、前記加熱、プレス成形及び冷却の各ステージにおいて前記成形型を搭載し、搭載された前記成形型に対して、それぞれ加熱、プレス成形及び冷却の各プロセスを行う上下一対の加熱プレート、プレスプレート及び冷却プレートの複数組のプレートと、前記各プレートの前記成形型の搭載面表面に設置された均熱板と、前記各組における一対のプレートを接近又は離間させて前記加熱、プレス成形及び冷却のプロセスを行わせる駆動手段と、前記各プロセス及び前記成形型の搬送を制御する制御手段と、を備えるとともに、前記各プレートが、ヒータブロックと該ヒータブロックの前記成形型の搭載面側に設けられた均熱板とから構成されており、前記均熱板が、前記成形型の搬送方向と直交する縁部近傍に、該縁部に沿って形成されたスリットを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の光学素子の成形方法は、本発明の光学素子の成形装置を用い、前記成形型に成形素材を収容し、前記成形型を加熱して該成形型内の成形素材を軟化させる加熱工程と、軟化した成形素材を、プレスプレートを用いて前記成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス工程と、プレス工程後、前記成形型を冷却し、光学素子形状を付与した成形素材を固化させる冷却工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学素子の成形装置及び成形方法によれば、光学素子の製造にあたって、プレート内で生じる温度分布を抑制でき、光学素子の形状精度を高め、光学素子を安定して歩留まり良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態である光学素子の成形装置の概略構成図である。
【図2】図1の成形装置に用いる冷却プレートの(a)側面透視図及び(b)平面透視図である。
【図3】図1の成形装置に用いる他の冷却プレートの(a)側面透視図及び(b)ヒータブロックの平面透視図である。
【図4】本発明の加熱ステージ及び冷却ステージを複数個設けた実施形態である光学素子の成形装置の概略構成図である。
【図5】実施例1の第3の冷却プレート(下)の温度分布を示した図である。
【図6】比較例1の第3の冷却プレート(下)の温度分布を示した図である。
【図7】実施例2の第3の冷却プレート(下)の温度分布を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である光学素子の成形方法に用いる成形装置の概略構成図である(チャンバー2のみ断面で示している)。
【0017】
本実施形態における光学素子の成形装置1は、光学素子を成形するための成形室となるチャンバー2と、該チャンバー2の内部に設けた成形素材を収容した成形型50を加熱して成形素材を軟化させる加熱ステージ3と、加熱軟化した成形素材をプレス成形するプレスステージ4と、プレス成形による光学素子形状が付与された成形素材を冷却する冷却ステージ5と、を有する。
【0018】
ここで、成形室であるチャンバー2は、その内部において、光学素子の成形操作を行う場を提供する。このチャンバー2には、光学素子の成形型50を内部に取り入れる取入れ口と、光学素子の成形が終了した後、成形型50を取り出す取出し口が設けられ、この取入れ口及び取出し口には、それぞれ取入れシャッター6及び取出しシャッター7が設けられている。必要に応じて、これらシャッターの開閉により、成形型50をチャンバー2から出し入れでき、チャンバー2内の雰囲気が維持されるようになっている。また、この取入れ口及び取出し口には、そのチャンバー2外部にそれぞれ成形型50を載置できる成形型載置台8及び9が設けられている。
【0019】
このチャンバー2の内部には、光学素子を成形するための加熱ステージ3、プレスステージ4及び冷却ステージ5が設けられており、これらの各ステージにより成形操作を行う。実際には、成形素材を収容した成形型50が、取入れ口からチャンバー2内に取り入れられ、上記の各ステージにおいて所定の処理を施されながら順番に移動し、所定の処理が終了したら成形型50は、取出し口からチャンバー2の外部に取出される。
【0020】
このチャンバー2の内部において、成形型50は成形素材を軟化し、変形を容易にするもので高温に加熱されるため、成形型50が酸化されないように、チャンバー内部の雰囲気を窒素等の不活性ガス雰囲気とできる。この不活性ガス雰囲気とするには、チャンバー2を密閉構造として内部雰囲気の置換により達成できるが、半密閉構造として、不活性ガスを常時チャンバー2内に供給して、チャンバー内を陽圧にしながら外部の空気が流入しないようにして不活性ガス雰囲気を維持してもよい。上記した取入れシャッター6及び取出しシャッター7は、チャンバー2内部を簡便な構成で半密閉状態とするのに効果的である。なお、これらチャンバー2及びシャッター6,7は、ステンレス、合金鋼等の素材で形成するもので、高温下におけるガス、不純物が析出しない素材が好ましい。
【0021】
次に、本発明の成形操作を行う各ステージについて説明する。なお、各ステージの説明にあたって用いる成形型50は、一般に、光学素子の上側の光学面を形成する上型と、下側の光学面を形成する下型とで構成される一組の成形型であり、さらに上型及び下型の位置合わせを行う胴型を有する。胴型は、プレス時に、上型及び下型の光軸を同軸上に規制する中空円筒形状の内胴と、内胴の外周に設けられ上型及び下型間の距離を規制する中空円筒形状の外胴と、いう構成が好ましい。
【0022】
また、この成形型50は、超硬合金やセラミックス等の素材からなり、上型及び下型は、成形する光学素子の面形状を転写するための成形面をそれぞれ有しているが、ここで形成される光学素子形状は、両凸、両凹、平凸、平凹、凸メニスカス、凹メニスカス形状のいずれのレンズ形状を成形する成形型であってもよい。なお、外胴を用いる場合には、高温での耐久性、耐食性、高い機械的強度を持つ材質が好ましく、更には高い熱膨張係数を持つ材質が好ましく、具体的にはSUS等のステンレス製が好ましい。
【0023】
本発明の加熱ステージ3は、上記説明した成形型50の内部に収容された成形素材を軟化させるもので、その内部にヒータ3aが埋め込まれた上下一対の加熱プレート3bから構成される。この加熱プレート3bは、上下一対の加熱プレート3bを成形型50の上型、下型にそれぞれ接触させ、上型及び下型を加熱でき、さらに成形型内部に収容されている成形素材をも加熱できる。
【0024】
より具体的には、加熱ステージ3において、上側の加熱プレート3bは、加熱プレート3b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板3cを介してシャフト3dと接続され、このシャフト3dは図示しないシリンダーによって加熱プレート3bを上下移動可能としている。このように、加熱プレート3bを上下移動させて、この上側の加熱プレート3bと成形型50の上型との接触・非接触を制御でき、所望のタイミングで上型と成形素材を加熱できる。
【0025】
また、下側の加熱プレート3bは、チャンバー2に固定する際に、上側と同様にそのまま熱が伝わらないように断熱板3cを介して底板に固定されている。この下側の加熱プレート3bは、その上に搭載された成形型50の下型と接触させて、下型と成形素材を加熱できる。
【0026】
本発明のプレスステージ4は、上下のプレスプレート4b間の距離を狭めて成形型50の上型と下型との距離を狭め、成形型50内に収容された成形素材を軟化状態のまま押圧して変形させ、上型及び下型の成形面形状を成形素材に付与する。そのため、その内部にヒータ4aが埋め込まれた上下一対のプレスプレート4bから構成され、このプレスは前段階の加熱温度を維持しながら行われる。
【0027】
より具体的には、このプレスステージ4において、上側のプレスプレート4bは、プレスプレート4b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板4cを介してシャフト4dと接続され、このシャフト4dは図示しないシリンダーによってプレスプレート4bを上下移動可能としている。このようにプレスプレート4bを上下移動させ上下のプレスプレート4b間の距離を調節して、成形型50によりプレス成形できる。このときプレス成形において所定の圧力がかけられるため、成形素材に高精度に光学素子形状を付与できる。
【0028】
また、下側のプレスプレート4bは、上記加熱プレート3bと同様に、チャンバー2に固定する際にそのまま熱が伝わらないように断熱板4cを介して底板に固定されている。この下側のプレスプレート4bは、その上に搭載された成形型50の下型と接触させて成形温度を維持し、かつ、成形型50を確実に保持するため安定してプレス操作できる。
【0029】
本発明の冷却ステージ5は、成形型50を冷却して光学素子形状が付与された成形素材を冷却、固化するために、その内部に、ヒータ5aが埋め込まれた上下一対の冷却プレート5bから構成される。この冷却プレート5bは、上下一対の冷却プレート5bを成形型の上型、下型にそれぞれ接触させ、上型及び下型を冷却でき、さらに成形型内部に収容されている成形素材をも冷却できる。
【0030】
より具体的には、この冷却ステージ5において、上側の冷却プレート5bは、冷却プレート5b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板5cを介してシャフト5dと接続され、このシャフト5dは図示しないシリンダーによって冷却プレート5bを上下移動可能としている。このように、冷却プレート5bを上下移動可能として、この上側の冷却プレート5bと成形型50の上型との接触・非接触を制御でき、所望のタイミングで成形型50と成形素材を冷却できる。
【0031】
また、下側の冷却プレート5bは、上記加熱プレート3bと同様に、チャンバー2に固定する際にそのまま熱が伝わらないように断熱板5cを介して底板に固定されている。この下側の冷却プレート5bは、その上に搭載された成形型50の下型と接触させて下型と成形素材を冷却できる。
【0032】
なお、ここでの成形素材の固化は、その素材のガラス転移点以下、より好ましくは歪点以下に冷却すればよく、十分に冷却されると成形素材の光学素子形状は安定し、変形が抑制される。したがって、ここで冷却とは、光学素子形状を安定して付与できるように成形素材を固化する温度まで下げる意味であり、その温度は、プレスプレートよりも50〜150℃程度低いだけで、依然として高温であるため、この冷却プレート5bにもその内部にヒータ5aが埋め込まれている。
【0033】
また、これら各ステージの上側の加熱プレート3b、プレスプレート4b及び冷却プレート5bは、上記したように断熱板を介してシャフトに固定されており、このシャフトがシリンダーに接続されているが、ここでシリンダーは、各プレートを上下動させられればよく、例えば、電動サーボシリンダー、油圧シリンダー、電動油圧シリンダー等のシリンダーが用いられる。
【0034】
上記した、加熱プレート3b、プレスプレート4b、冷却プレート5bは、その成形型との接触面(成形型の搭載面)が水平面と平行になっており、特に、プレスプレート4bにおいては、プレスプレート4bの成形型との接触面が傾いていた場合、成形型50の上型及び下型の中心軸が一致しなくなり、このとき製造される光学素子が、その光軸が一致せず不良品となってしまう。したがって、これら各ステージにおけるプレートの平行度や平面度の管理は厳密に行われる。
【0035】
これらの各ステージにおけるプレートは、ステンレス、超硬合金、合金鋼等の素材の内部にカートリッジヒータを挿入し、固定したヒータブロックと該ヒータブロックの成形型搭載面側に設けられた均熱板とから構成されており、カートリッジヒータの加熱によりプレートの温度を上昇させ、所望の温度に維持できる。
【0036】
ここで、図1の光学素子の成形装置1において、冷却プレート5bの成形型入口側にはプレスプレート4bが隣接しており、このプレスプレート4bは冷却プレート5bよりも高温であるため、入口側は加熱され易い。一方、冷却プレート5bの成形型出口側には加熱源はなく、成形型出口があるだけなので、加熱されにくい。したがって、一般に、冷却プレートにおいては、プレスプレート側から出口側に向かって温度が低くなっていきやすい。これは後述するような冷却プレートを複数個設け、段階的に光学素子を冷却する場合にも程度の差はあるものの同様である。そこで、本発明はこのような外部の熱的影響によるプレートの温度分布の解消について検討して成し得たものである。
【0037】
本発明に用いる冷却プレート5bの側面透視図を図2(a)に、平面透視図を図2(b)に例示したが、本発明に用いる冷却プレート5bは、他のプレートと同様に、水平方向に所定の間隔で埋設された複数本のカートリッジヒータ5aを内部に有するヒータブロック5b−1と該ヒータブロック5b−1の成形型搭載面側に設置された均熱板5b−2とで構成される。この冷却プレート5bにおける均熱板5b−2は、平面的に見た外形はヒータブロック5b−1と同様の形状を有しているが、その成形型の搬送方向と直交する縁部近傍に、該縁部に沿って形成されたスリット5b−3を有する点に特徴を有している(図2)。
【0038】
このようなスリット5b−3を縁部近傍に設けると、スリットの設けられた縁部の外側より伝わる熱を一旦このスリットで切り、プレート内部の温度が外側からの熱により影響を受けにくくして、スリットの外側と内側とで伝熱の影響をコントロールできる。
【0039】
すなわち、冷却プレート5bにおいては隣接するプレスプレート4bが、冷却プレート5bに対して高温で、その反対方向は、装置出口であり何の加熱手段もないものであって冷却プレート5bに対して低温で、その両者の温度がそれぞれ冷却プレート5bに影響を与え、従来のようにスリットが設けられていない場合、冷却プレート5bに温度分布が生じ易くなっていた。しかし、冷却プレートを本実施形態の冷却プレート5bとすれば、安定したプレート温度に保持が容易となる。
【0040】
このスリット5b−3は、隣接するプレートの温度の影響が大きいため、成形型の搬送方向に直交する縁部の近傍に、該縁部に沿って形成される形状が好ましい。したがって、スリット5b−3が設けられる縁部は、成形プレート4bと隣接する側、出口と隣接する側の縁部であり、このように1つのプレートにおいて該当する縁部近傍にスリットを設けると、外部の温度による影響を抑制でき好ましい。
【0041】
また、スリット5b−3は、冷却ヒータブロック5b−1の内部に配設されているヒータカートリッジ5aと平面上で重ならない縁部近傍に設けられている。これは、冷却プレート5bの中央部分の温度を安定にするためであり、重なってしまうと、その部分の加熱エネルギーがロスしてしまい好ましくない。
【0042】
また、スリット5b−3は、成形型の搬送方向の長さに対して、均熱板5b−2の縁部から5〜20%の位置に設ければよく、その場合、外部の熱的影響を排除しながら、冷却プレート5bの成形型の加熱に使用する中央部分の面積を十分に確保でき、成形型の加熱が安定化する。
【0043】
なお、図3には、冷却プレート5bのバリエーションを示したものであるが、この図において、図3(a)には冷却プレート5bの側面透視図を、図3(b)には冷却ヒータブロック5b−11の平面透視図を示した。ちなみに、冷却プレート5bの平面透視図は図2(b)と透視部分が若干異なるが、ほぼ同様の図となってしまうため、理解を容易にするために図3(b)においては均熱板5b−2をはぶいて冷却ヒータブロック5b−11を抜き出した図とした。
【0044】
図3で示した冷却プレート5bは、基本的には図2で示した冷却プレートと同様の構成、形状であるが、冷却ヒータブロック5b−11の形状のみが異なる。ここで使用する冷却ヒータブロック5b−11は、スリット5b−3が設けられる外周側の側面に切り欠き部5b−12を有し、隣接するプレートの熱的影響をより受けにくくした形状である。この図3の形状の冷却プレート5bとすれば、温度分布の抑制をより効果的にできる。
【0045】
上記は、冷却プレート5bを例に説明したが、加熱プレート3b、プレスプレート4bにスリットを設け、各プレートにおいて、外部から熱的影響を受けないようにしてもよい。
【0046】
また、各プレートにおける均熱板は、超硬合金、ステンレス等の公知の耐熱性があり、硬度が高く熱伝導が良い材料が用いられる。均熱板の表面には、コーティング処理により酸化防止膜を設けておくと寿命が延び好ましく、このコーティング処理に用いる材料としては、具体的にはCrN,TiN,TiAlNやOS−A(株式会社オンワード技研製、商品名)等が挙げられる。
【0047】
そして、各ステージの断熱板3c,4c,5cは、セラミックス、ステンレス、ダイス鋼、ハイス鋼等の公知の断熱板を用いればよく、硬度が高くプレス成形時の圧力等によっても変形しにくく、ずれの発生が少ないセラミックスが好ましい。ステンレス、ダイス鋼、ハイス鋼など金属系材料を用いる場合は、コーティング処理により酸化防止膜を設けておくと寿命が延び好ましく、このコーティング処理に用いる材料としては、具体的にはCrN、TiN、TiAlN等が挙げられる。
【0048】
以上説明した加熱ステージ3、プレスステージ4、冷却ステージ5は、それぞれ所定の処理が行われる場(ステージ)を形成し、各ステージによる処理を順次円滑にできるように、成形型50は、搬送手段(図示せず)により所定のタイミングで各ステージに移動される。この搬送手段の動作のタイミングは制御手段によって制御されている。
【0049】
より具体的には、加熱プレート3b、プレスプレート4b、冷却プレート5bによる処理は、成形型50を順次上記の順序で各プレート上へと搬送移動させながら所定の処理を行う。このとき、成形型50が次のステージに移動すると、処理の終わったステージは空くため、さらに、そこに別の成形素材を収容した成形型50を搬送し、連続的に複数個の光学素子の成形操作を行うのが効率的である。
【0050】
この処理を行うための上記搬送手段は、図示していないが、例えば、ロボットアーム等により、成形型載置台8から加熱プレート3bへ、加熱プレート3bからプレスプレート4bへ、プレスプレート4bから冷却プレート5bへ、冷却プレート5bから成形型載置台9へ、と成形型50を移動させる。搬送手段は、通常、ステンレス又はメッキした鉄部材が用いられるが、成形型が接する部分には、成形型とそれら部材の擦れによる粉塵の発生を防止するため、TiN等によるコーティングを施しておくと好ましい。
【0051】
なお、この制御手段は、成形型の移動、加熱・プレス成形・冷却の各ステージにおける上下一対のプレートの温度や、上下移動のタイミング等をも制御し、一連の成形操作を円滑に、かつ、連続的に動作できるように制御している。このとき、取入れシャッター6及び取出しシャッター7の開閉の制御や、チャンバー2内の雰囲気が不活性ガスで満たされるように、窒素の供給量やタイミング等の制御も、この制御手段による制御が好ましい。
【0052】
すなわち、この光学素子の成形装置1は、1以上のポジションで温度を上げ下げしながら所定の処理を行う、成形型の搬送による光学素子の成形装置である。
【0053】
次に、この光学素子の成形装置1を用いた光学素子の成形方法について説明する。
【0054】
まず、取入れ口側の成形型載置台8に成形型50を載置し、この成形型50の内部に成形素材を収容する。取入れシャッター6を開けて取入れ口を開口させ、この成形型50を搬送手段により加熱プレート3b上に搬送する。搬送されると、成形型50の下型は下側の加熱プレート3bに接触するため加熱プレート3bと同じ温度まで昇温される。これと同時に、上型には上方向から上側の加熱プレート3bを接触させて同様に加熱する。
【0055】
このように上型及び下型が加熱されると、その内部に収容されている成形素材も加熱され、この成形素材は屈伏点以上に加熱されると変形が容易となる。一般に、加熱温度は、軟化点まで温度を上げるとレンズ表面が白濁するので屈伏点(At)から軟化点の間の温度に設定する。このとき、昇温速度は0.5〜2.5℃/sec程度が好ましい。
【0056】
このようにして加熱ステージ3で十分に加熱された成形型50及び成形素材は、搬送手段により、下側のプレスプレート4b上に搬送され載置される。
【0057】
プレスプレート4bも加熱プレート3bと同程度の温度に加熱されており、成形素材を軟化状態に維持する。さらに、上側のプレスプレート4bを下降させてプレスプレート4b間の距離を狭めて上型と下型との距離を狭め、成形型50の内部に収容された成形素材に圧力をかけて変形する。
【0058】
このプレス工程では、上記したように成形型50の上下から圧力をかけて成形素材のプレス成形し、これにより成形素材には上型及び下型の光学形成面が転写され、光学素子形状が付与される。
【0059】
また、このプレス工程におけるプレスは、加熱温度が前段の加熱ステージで加熱した温度と同程度の温度でなされ、プレス時の圧力はレンズ成形体の単位面積当たり0.8〜13.5N/mmが好ましく、例えば1.5〜5N/mmが特に好ましい。
【0060】
そして、このようなプレス工程の押切りが完了した成形型50は、搬送手段によりプレスプレート4bから冷却プレート5bへと搬送される。この搬送手段は、上記した搬送手段と同様のものである。
【0061】
次に、冷却プレート5bにより成形型50を冷却するが、これは、上記加熱工程と同様に、下型は下側の冷却プレート5bで、上型は上側の冷却プレート5bを下降させて接触させて冷却する。これにより成形素材を冷却して、固化させる。この冷却は、成形素材のガラス転移点(Tg)以下の温度となるまで冷却するのが好ましく、成形素材の歪点以下の温度にまで冷却するのがより好ましい。このとき、降温速度は0.1〜2.5℃/secが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0℃/secである。
【0062】
なお、上記した加熱工程及び冷却工程は、それぞれ段階的に温度を変化させるのが好ましい。例えば、加熱工程を1以上の加熱ステージを設け、段階的に成形素材の温度を上昇させて、プレス成形ステージの直前の加熱ステージにおいて、成形温度にまでもっていく。また、冷却工程においても1以上の冷却ステージを設けて、段階的に成形素材の温度を下降させて、200℃以下の温度になるようにする。このように、加熱及び冷却を段階的にすると、成形素材の急激な温度変化を抑制し、歪が生じたり、面ワレ等が生じたりする等の光学素子の特性の悪化を抑制できる。ここで面ワレとは、光学素子が成形型から離型する際に、一部だけが先に離型し、その後に残りが離型した場合に、曲率が不連続な光学面が形成されて非球面形状精度が悪化する不良を生じる離型異常のことをいう。
【0063】
このような、加熱工程及び冷却工程を実施するために、それぞれ複数の加熱ステージ及び冷却ステージを用いた光学素子の成形装置の一例を図4に示した。この図4に示した光学素子の成形装置11は、チャンバー12、第1の加熱ステージ13、第2の加熱ステージ14、プレス成形ステージ15、第1の冷却ステージ16、第2の冷却ステージ17、第3の冷却ステージ18、第4の冷却ステージ19を有する装置構成となっており、チャンバー12には光学素子の成形装置1と同様に、成形型50の取入れ口とそれを開閉可能とする取入れシャッター20、取出し口とそれを開閉可能とする取出しシャッター21、それら取入れ口及び取出し口の外側には成形型載置台22及び23が設けられている。
【0064】
この光学素子の成形装置11は、加熱ステージを2つ、冷却ステージを4つ設けて、段階的に加熱及び冷却を行う構成とした以外は、図1の光学素子の成形装置1の構成と同様である。
【0065】
このとき、例えば、第1の加熱ステージ13では、成形素材をガラス屈伏点付近の温度にまで、第2の加熱ステージ14では屈伏点+20〜70℃の温度にまで加熱、プレスステージ15では第2の加熱ステージの温度を維持しながら、成形型による成形操作によって光学素子形状を付与し、第1の冷却ステージ16では成形素材のガラス転移点+30℃程度まで冷却し、第2の冷却ステージ17では、さらにガラス転移点+10℃程度にまで冷却し、第3の冷却ステージ18では、さらにガラス転移点以下にまで冷却する。
【0066】
ここで、第4の冷却ステージ19は、用いるプレートを、他のステージにおけるヒータの代わりに冷却水が循環するように配管を設けた水冷プレートとして、効率的に冷却できるようになっている。
【0067】
ここで加熱及び冷却を段階的に行う際に、均熱板にスリットを設けて一番効果が大きいのは、隣接するプレートの温度差が一番大きいプレートであり、図4の装置構成では、第3の冷却プレートが一番効果の大きいプレートと考えられる。したがって、第3の冷却プレートにスリットを設けることが好ましく、さらに、他のプレートにおいてもスリットを設けてもよい。
【0068】
そして、冷却して得られたプレス済の成形素材は、その後、光学素子形状とするために、余肉部を切削して光学素子形状とする等の後処理を施して最終的な製品とされる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0070】
(実施例1)
図4の光学素子の成形装置11を用いて、光学素子の成形を以下のとおり行った。
【0071】
ここで用いた光学素子の成形装置11は、加熱プレート、プレスプレート及び冷却プレートとして、ステンレス製の100×78×34mmの直方体で内部に500Wのカートリッジヒータを4本有するプレートを用い、断熱板として、SUS304製の140×78×10mmの板状体を2枚重ね合わせたものを用いた。ここで、第3の冷却プレートは図3に示した切り欠きが設けられているヒータブロック5b−11に均熱板5b−2を積層して構成されるプレートを使用し、光学素子を得た。このとき、切り欠きの大きさは、他のプレートが隣接する両側面において、片側について82×7×24mm分だけ切削されたものを用いた。
【0072】
また、各プレートの均熱板としてタングステンカーバイドからなる超硬合金製の100×78×10mmの板に、OS−A膜のコーティングを施したものを用いた。なお、第3の冷却プレート18bの成形型搭載面に設けた均熱板には、図2(b)のように平面的に見た時に、第2の冷却プレート17b側及び第4の冷却プレート19b側の両縁部から、それぞれ5mm内側のところに、長さ70mm、幅2mmのスリットが設けられている。
【0073】
また、上側のプレートを上下移動させるシリンダーは、エアシリンダーを用い、シャフト径40mmのシャフトが上側のプレートと接続、固定されている。チャンバーはSS400製の440×592×240mmの箱状で、このチャンバーの下板としては440×592×20mmのものを用いた。
【0074】
また、加熱ステージ13、14、プレスステージ15、冷却ステージ16〜19は、それぞれ所定の処理が行われる場(ステージ)を形成し、各ステージによる処理を順次円滑に行えるように、成形型50は、搬送手段(図示せず)により所定のタイミングで各ステージに移送し搭載されるように制御手段によって制御されている。搬送手段としてはステンレス製のロボットアームを用い、成形型と接する部分には、TiNコート処理を施し、粉塵等の発生を防止したものとしている。
【0075】
また、成形型50は、上型、下型並びに内胴及び外胴を有する胴型で構成され、上型、下型及び内胴はタングステンカーバイドからなる超硬合金製で、外胴はSUSからなり、プレス成形により、直径15mmの凸状の光学素子が得られるものを用いた。
【0076】
この成形型50の下型成形面に直径15mmの断面楕円状のランタン系ガラスからなる成形素材を収容した。なお、この成形素材の歪点は580℃、ガラス転移点(Tg)は616℃、屈伏点(At)は662℃である。
【0077】
成形素材を収容した成形型50を、搬送手段により第1の加熱プレート13b上に搬送し載置すると同時に上側の第1の加熱プレート13bを下降させて上型に接触させ、成形型50及び成形素材を120秒間加熱し、次いで、第2の加熱プレート14b上に搬送し載置すると同時に上側の第2の加熱プレート14bを下降させて上型に接触させ、成形型50及び成形素材を120秒間加熱して成形素材を軟化状態とした。なお、第1の加熱プレート13bは660℃、第2の加熱プレート14bは700℃に設定した。
【0078】
次に、成形型50をプレスプレート15b上に搬送し載置して、上側のプレスプレート15bを下降させ、図示しないエアシリンダーによりシャフト15dを介して成形素材に8.5N/mmの圧力をかけて、120秒間プレスを行った。このとき、プレスプレート15bの温度は720℃であった。
【0079】
プレス後、成形型50を第1の冷却プレート16b上に搬送し載置すると同時に上側の冷却プレート16bを下降させて上型に接触させ、120秒間冷却し、次いで、成形型50を第2の冷却プレート17b上に搬送し裁置すると同時に上側の第2の冷却プレート17bを下降させて上型に接触させ、120秒間冷却し、次いで、成形型50を第3の冷却プレート18b上に搬送し載置すると同時に上側の第3の冷却プレート18bを下降させて上型に接触させ、120秒間冷却し、さらに、成形型50を第4の冷却プレート19b上に搬送し載置すると同時に上側の第4の冷却プレート19bを下降させて上型に接触させ、120秒間冷却した。このとき、第1の冷却プレート16bは645℃、第2の冷却プレート17bは630℃、第3の冷却プレート18bは575℃、第4の冷却プレート19bは20℃(冷却水温度)に設定した。
【0080】
成形素材を室温になるまで冷却し、十分に冷却したところで、成形型から取り出し、光学素子を得た。
【0081】
(比較例1)
従来用いられている通り、第3の冷却ステージ18において、100×78×34mmの直方体で内部に1kWのカートリッジヒータを3本有するプレートを用い、スリットが設けられていない均熱板及び切り欠きが設けられていないヒータブロックで構成された冷却プレート18bを用いた以外は実施例1と同様の操作により光学素子を得た。
【0082】
(試験例1)
同一の光学素子を製造するための2個の成形型を用いて連続的に、実施例1及び比較例1の成形操作を同一条件の元に、各々1つの成形型につきそれぞれ5ショット成形操作を行った。得られた10個の光学素子の形状を調べたところ、表1の結果が得られた。
【表1】

レンズ形状(μm):実施例1及び比較例1で得られた10個の光学素子のレンズ形状を調べた結果における、レンズ形状の値域の幅に着目し、本試験例のレンズ形状とした。レンズ形状は、搬送方向に対して左右方向をX方向(PV−X)、搬送方向をY方向(PV−Y)として調べた。
【0083】
(試験例2)
実施例1及び比較例1の成形操作を同一条件としたときの第3の冷却プレート18bにおける均熱板の温度分布を測定した。第3の冷却プレートは、隣接するプレートが高温の第2の冷却プレート17bと低温の第4の冷却プレート19bという、外部の熱的影響を受けやすい位置に配置されている。このとき得られた温度分布について、表2、図5及び6に示した。なお、表2の温度は、第3の冷却プレート18上の成形型の搭載位置における、17側縁部、18中央部、19側縁部、のそれぞれの温度を示した。
【0084】
【表2】

温度(℃):実施例1及び比較例1の得られた温度の値域の幅に着目し、値域の幅が少なくなると温度分布が良好であり、そのとき得られる光学素子の品質も向上し、安定した製品が得られることがわかった。
【0085】
(実施例2)
冷却プレート18bとして、実施例1と同様にステンレス製の100×78×34mmの直方体で内部に500Wのカートリッジヒータを4本有するプレートであるが、この例では図2に示したような切り欠きのないヒータブロック5b−1に均熱板5b−2を積層して構成されるプレートを使用した。それ以外は実施例1と同一の条件として光学素子を得た。
【0086】
(試験例3)
実施例2について、第3の冷却プレートの温度分布を上記試験例2と同一の方法により調べたところ、図7に示すような温度分布が得られた。
【0087】
これらの結果から、均熱板にスリットを設けた場合に、設定温度よりも下がっているが温度分布が改善されており、得られる光学素子形状も安定することがわかった。
【0088】
以上に示したように、本発明の光学素子の成形装置及び成形方法により、成形装置の均熱板の温度分布の値域の幅が小さくでき、それにより、生産性の向上と光学素子の変形を抑制し、歩留まり向上させることができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の光学素子の成形装置は、成形型を順次移動させながらプレス成形により連続的に光学素子を製造する際に用いられる。
【符号の説明】
【0090】
1…光学素子の成形装置、2…チャンバー、3…加熱ステージ、4…プレスステージ、5…冷却ステージ、6…取入れシャッター、7…取出しシャッター、8,9…成形型載置台、50…成形型、3a,4a,5a…ヒータ、3b…加熱プレート、4b…プレスプレート、5b…冷却プレート、3c,4c,5c…断熱板、3d,4d,5d…シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と下型の間に成形素材が置かれた成形型を、チャンバー内に設けた加熱、プレス成形及び冷却の各ステージへ順次搬送して光学素子を成形する光学素子の成形装置であって、
前記加熱、プレス成形及び冷却の各ステージにおいて前記成形型を搭載し、搭載された前記成形型に対して、それぞれ加熱、プレス成形及び冷却の各プロセスを行う上下一対の加熱プレート、プレスプレート及び冷却プレートの複数組のプレートと、前記各組における一対のプレートを接近又は離間させて前記加熱、プレス成形及び冷却のプロセスを行わせる駆動手段と、前記各プロセス及び前記成形型の搬送を制御する制御手段と、を備えるとともに、
前記各プレートが、ヒータブロックと該ヒータブロックの前記成形型の搭載面側に設けられた均熱板とから構成されており、前記均熱板が、前記成形型の搬送方向と直交する縁部近傍に、該縁部に沿って形成されたスリットを有することを特徴とする光学素子の成形装置。
【請求項2】
前記スリットが設けられている均熱板が、前記冷却プレートに設けられた均熱板である請求項1記載の光学素子の成形装置。
【請求項3】
前記スリットが、前記均熱板の端面から前記各プレートの内部に配設されているヒータカートリッジと平面上で重ならないように設けられている請求項1又は2記載の光学素子の成形装置。
【請求項4】
前記スリットが、前記成形型の搬送方向の長さに対して、前記均熱板の端面から5〜20%の位置に設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
【請求項5】
前記スリットが設けられた均熱板を有するプレートが、他のプレートと隣接する側面から前記スリットの位置まで、切り欠き部が設けられている請求項1乃至4のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の光学素子の成形装置を用い、前記成形型に成形素材を収容し、前記成形型を加熱して該成形型内の成形素材を軟化させる加熱工程と、軟化した成形素材を、プレス手段を用いて前記成形型により加圧して光学素子形状を付与するプレス工程と、プレス工程後、前記成形型を冷却し、光学素子形状を付与した成形素材を固化させる冷却工程と、を有することを特徴とする光学素子の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112592(P2013−112592A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262253(P2011−262253)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)