説明

ソール構造およびこれを含む履物物品

【課題】ソール構造およびこれを含む履物物品を提供する。
【解決手段】ソール構造は隆起トラクション要素211〜217を含み、隆起トラクション要素211〜217は、周縁セグメントおよび付随する横断セグメントを含んでもよく、周縁セグメントは、ソール構造の正中側エッジまたは体側エッジと近接し、かつ概ねこれとアライメントしてもよい。横断セグメントは、付随する周縁セグメントから伸びてソール構造を横切ってもよく、かつ、高さが横断セグメントの長さにわたって減少していてもよい。ソール構造は複数の隆起トラクション要素211〜217を含んでいてもよく、この複数の隆起トラクション要素211〜217は1つまたは複数の屈曲ゾーン201〜204によって分離されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソール構造およびこれを含む履物物品に関する。
【背景技術】
【0002】
「アウトソール」は、靴のソール構造の最下部を記述するためにしばしば用いられる用語である。アウトソールまたはアウトソールのさまざまなパーツは、靴の装用者が立っているとき、または装用者が歩くかもしくはそのほか地面に対して動いているときに、地面に接触するのが典型的である。スポーツおよび他の活動において、人の足は広範な動きを経験し、および/または種々の身体の動きの間にその人の重量を支える。1つの種類の動きの間にサポートを提供するかまたはそのほかパフォーマンスを高めるよう設計されたソール構造は、靴装用者が行いうる別の種類の動きに対して理想的でない可能性もある。例えば、いくつかの種類のアウトソール要素は、靴装用者が歩行するかまたはそのほかさまざまな種類の表面を行き来する際に、トラクションの増大に役立つ可能性がある。しかし、これと同じ種類の推進効果を必要としない他の活動を行う際にも、同じ靴が装用される可能性がある。こうした他の活動の間は、歩行時に経験される動きとは異なる身体の動きの間に装用者の足を安定させることがより望ましい可能性がある。
【0003】
ゴルフは、異なる種類の動きおよび体位を人の足が繰り返し経験する活動の1例である。ゴルファーは長時間を歩行に費やすことがある。その歩行の大部分が、平坦でない表面および/または滑りやすい表面上で行われることもある。したがって、そのような表面上を移動する際は、トラクションを増すようなアウトソール要素を含むことが望ましい可能性がある。しかし、ゴルファーがクラブをスイングする様式はゴルフの重要な局面である。ゴルフのスイングの間は、適切な足の配置およびサポートが重要である。歩行の動きとスイングの動きとには違いがあるため、ゴルフコース歩行時にトラクションを増加するソール構造は、ゴルフクラブのスイング時に装用者の足を安定させるための最良の構造ではない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ソール構造およびこれを含む履物物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、後述の詳細な説明においてさらに説明される、選択されたいくつかの概念を、簡素化した形式で紹介するために提供される。この概要は、本発明の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではない。
【0006】
少なくともいくつかの態様において、ソール構造は隆起トラクション要素を含む。隆起トラクション要素は、周縁セグメントおよび付随する横断セグメントを含んでいてもよい。周縁セグメントは、ソール構造の正中側エッジまたは体側側エッジと近接しかつ概ねこれとアライメントしていてもよい。横断セグメントは、付随する周縁セグメントから伸びてソール構造を横切っていてもよく、かつ、高さが横断セグメントの長さにわたって減少していてもよい。ソール構造は複数の隆起トラクション要素を含んでいてもよく、この複数の隆起トラクション要素は1つまたは複数の屈曲ゾーンによって分離されていてもよい。
【0007】
いくつかの態様において、ソール構造は追加の種類のトラクション要素を含んでいてもよく、そのいくつかまたは全部は、1つまたは複数の隆起トラクション要素により少なくとも部分的に規定されるソール構造の領域内に位置していてもよい。特定の態様において、これら追加の種類のトラクション要素は、タブトラクション要素、スタッドトラクション要素、および/または凹型トラクション要素クラスターのうち1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0008】
より具体的には、本発明は以下を提供する:
[1]
ソール構造のフォアフット領域を実質的に横切って伸びており、かつ、該ソール構造の隣接領域より可撓性が高い該ソール構造の領域を形成する、屈曲ゾーンと、
該フォアフット領域において該ソール構造のエッジと近接する周縁セグメントと、該周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている付随する横断セグメントとを各々が含み、該屈曲ゾーンによって分離されている、第一および第二の隆起トラクション要素と
を含む該ソール構造を備える、履物物品;
[2]
前記周縁セグメントの各々が、前記履物物品の装用時に装用者の足の外周の近傍または外側になる位置に位置決めされる、[1]の履物物品;
[3]
第一および第二の隆起トラクション要素が前記ソール構造の体側側に位置し、前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、[1]の履物物品;
[4]
第一および第二の隆起トラクション要素が前記ソール構造の正中側に位置し、前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、[1]の履物物品;
[5]
第一の隆起トラクション要素が前記ソール構造の正中側に位置し、第二の隆起トラクション要素が該ソール構造の体側側に位置し、前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を長軸方向に実質的に横切って伸びている長軸屈曲ゾーンである、[1]の履物物品;
[6]
前記フォアフット領域において前記ソール構造のエッジと近接する周縁セグメントと、該周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている付随する横断セグメントとを含む、第三の隆起トラクション要素と、
該フォアフット領域を実質的に横切って伸びており、かつ第二の屈曲ゾーンに隣接する該ソール構造の領域より可撓性が高い該ソール構造の領域を形成する、第二の屈曲ゾーンと
をさらに備え、第二および第三の隆起トラクション要素が第二の屈曲ゾーンにより分離されている、[1]の履物物品;
[7]
第一、第二、および第三の隆起トラクション要素が前記ソール構造の体側側に位置し、
前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンであり、かつ
第二の屈曲ゾーンもまた、該フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、[6]の履物物品;
[8]
第一の隆起トラクション要素が前記ソール構造の正中側に位置し、
第二および第三の隆起トラクション要素が該ソール構造の体側側に位置し、
前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を長軸方向に実質的に横切って伸びている長軸屈曲ゾーンであり、かつ
第二の屈曲ゾーンが、該フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、[6]の履物物品;
[9]
前記横断セグメントの各々がその付随する周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、該横断セグメントの高さが該横断セグメントの長さ方向に沿って減少する、[1]の履物物品;
[10]
前記横断セグメントの各々がその付随する周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、該横断セグメントの高さが該横断セグメントの長さ方向に沿って減少する、[7]の履物物品;
[11]
前記横断セグメントの各々がその付随する周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、該横断セグメントの高さが該横断セグメントの長さ方向に沿って減少する、[8]の履物物品;
[12]
第一の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第一の領域の境界となり、
第二の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第二の領域の境界となり、
第一および第二の領域の各々が追加のトラクション要素を含む、[1]の履物物品;
[13]
前記追加のトラクション要素の少なくとも一部がタブトラクション要素であり、
該タブトラクション要素の各々の長さ軸に沿った長さが、幅軸を横切る幅より長く、
該タブトラクション要素の各々の該長さ軸が、前記アウトソールを横切る正中−体側方向に向けられている、[12]の履物物品;
[14]
前記タブトラクション要素の各々が、正中側から体側側へ向かう方向への装用者の足が横揺れすることに適応するよう位置決めされた傾斜端を含む、[13]の履物物品;
[15]
追加のトラクション要素のうち少なくとも1つが凹型トラクション要素クラスターである、[12]の履物物品;
[16]
フォアフット領域においてソール構造の正中側または体側側エッジの一方と近接する第一の周縁セグメントを含み、第一の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている第一の横断セグメントを含み、第一の横断セグメントが、該正中側または体側側エッジのもう一方に到達することなく第一の自由端で終結する、第一の隆起トラクション要素と、
該フォアフット領域において該ソール構造の該正中側または体側側エッジの該一方と近接しかつ第一の周縁セグメントより前方に位置する第二の周縁セグメントを含み、第二の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている第二の横断セグメントを含み、第二の横断セグメントが、該正中側または体側側エッジのもう一方に到達することなく第二の自由端で終結する、第二の隆起トラクション要素と
を含む該ソール構造を備える、履物物品;
[17]
第一および第二の周縁セグメントの各々が、前記履物物品の装用時に装用者の足の外周の近傍または外側になる位置に位置決めされる、[16]の履物物品;
[18]
前記ソール構造が、第一および第二の隆起トラクション要素を分離する横断屈曲ゾーンを含む、[16]の履物物品;
[19]
第一および第二の周縁セグメントの各々が、前記フォアフット領域において前記ソール構造の前記体側側エッジに近接している、[16]の履物物品;
[20]
前記ソール構造が第三の隆起トラクション要素を含み、第三の隆起トラクション要素が、前記フォアフット領域において該ソール構造の前記正中側エッジと近接する第三の周縁セグメントと、第三の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている第三の横断セグメントとを含み、第三の横断セグメントが、前記体側側エッジに到達することなく第三の自由端で終結する、[19]の履物物品;
[21]
前記ソール構造が、第三の隆起トラクション要素と第一および第二の隆起トラクション要素とを分離する長軸屈曲ゾーンを含む、[20]の履物物品;
[22]
前記ソール構造が、第一および第二の隆起トラクション要素を分離する横断屈曲ゾーンを含む、[21]の履物物品;
[23]
前記ソール構造が第三の隆起トラクション要素を含み、第三の隆起トラクション要素が、ヒンドフット領域において該ソール構造のエッジと近接する第三の周縁セグメントを有し、第三の隆起トラクション要素が、第三の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びており第三の自由端で終結する追加のセグメントを含む、[16]の履物物品;
[24]
第一の横断セグメントが第一の周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、第一の横断セグメントの高さが第一の横断セグメントの長さに沿って減少し、かつ
第二の横断セグメントが第二の周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、第二の横断セグメントの高さが第二の横断セグメントの長さに沿って減少する、[16]の履物物品;
[25]
第一の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第一の領域の境界となり、
第二の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第二の領域の境界となり、
第一および第二の領域の各々が追加のトラクション要素を含む、[16]の履物物品;
[26]
前記追加のトラクション要素の少なくとも一部がタブトラクション要素であり、
該タブトラクション要素の各々の長さ軸に沿った長さが、幅軸を横切る幅より長く、
該タブトラクション要素の各々の該長さ軸が、前記アウトソールを横切る正中−体側方向に向けられている、[25]の履物物品;ならびに
[27]
前記追加のトラクション要素のうち少なくとも1つが凹型トラクション要素クラスターである、[25]の履物物品。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ソール構造およびこれを含む履物物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
同様の要素に同様の符番が付された添付の図面に、いくつかの態様を限定としてではなく例示として示す。
【0011】
【図1】いくつかの態様に基づく履物物品の体側側の側面図である。
【図2】図1の靴の正中側底面斜視図である。
【図3】図1の靴のソール構造の前部を示す拡大正中側底面斜視図である。
【図4】図1の靴のソール構造の後部を示す拡大正中側底面斜視図である。
【図5A】図3に示した位置の断面図である。
【図5B】図1の靴のソール構造の凹型トラクション要素クラスターの拡大平面図である。
【図6】別の態様に基づく履物物品の体側側の側面図である。
【図7】図6の靴の正中側底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
図1は、いくつかの態様に基づく靴101の体側側の側面図である。靴101はゴルファーによる装用を意図した靴であってもよい。これらの態様はまた、他の運動競技および運動競技でない活動で使用するための履物も含みうる。靴101はソール構造102を含む。以下に、ソール構造102のさまざまな具体的特徴を説明するが、この説明は、特定の態様に基づく特徴の例を提供するにすぎない。
【0013】
ソール構造102は、アウトソール103およびミッドソール104を含む。ソール構造102のこれらおよび他の構成部品については詳細を後述する。他の態様において、ソール構造はアウトソールのみを含んでいてもよく、または別の様式で別個のミッドソールを欠いていてもよい。さらに他の態様において、ソール構造は支持プレートおよび/または他の構成部品を含んでいてもよい。靴101はアッパー105も含む。さまざまな態様に基づくソール構造を持つ靴は、さまざまな種類のアッパーを含んでいてもよい。そのようなアッパーの詳細は、本明細書に開示するソール構造の理解に関係しないため、図1においてアッパー105は一般的なものとして破線で示されている。アウトソール103の要素106、107、および108についても後述する。
【0014】
図2は、アウトソール103の詳細を示す、靴101の正中側底面斜視図である。ソール構造102および他の態様に基づくソール構造における、特定の領域の位置は、ヒトの足の解剖学的構造への参照を用いて説明されることがある。具体的には、説明されるソール構造のさまざまな領域は、そのソール構造を含む靴を装用している人の足の骨を用いて同定されることがある。この様式による同定は、装用している足に対して靴のサイズが適切であることを前提とする。
【0015】
ソール構造のアウトソールまたは他の構成部品を参照する際、「フォアフット(forefoot)」領域は概ね、靴装用者の足の中足骨および指節骨の下または近くに横たわっており、そして装用者の足指を越えて靴の最前部まで伸びていてもよい。フォアフット領域は、装用者の足の正中側または体側側の周縁エッジを越えて伸びていてもよい。「ミッドフット(midfoot)」領域は概ね、靴装用者の足の立方骨、舟状骨、正中側楔状骨、中間楔状骨、および体側側楔状骨の下または近くに横たわる。ミッドフット領域も、装用者の足の正中側または体側側の周縁エッジを越えて伸びていてもよい。ソール構造の「ヒンドフット(hindfoot)」領域は、ミッドフット領域から装用者の踵骨(かかとの骨)の下/近くに伸びており、靴の最後部まで伸びていてもよく、かつ、装用者の足の正中側または体側側の周縁エッジを越えて伸びていてもよい。前述の領域のうち1つまたは複数が重複していてもよく、そして、特定の解剖学的領域への参照により構成部品が説明される場合、その構成部品がその解剖学的領域全体をカバーしている必要はない。例えば、そして図6との関連で詳しく後述するように、いくつかの態様に基づくアウトソールのフォアフット領域は、ミッドソールの一部を露出させる開口部を含んでいてもよい。
【0016】
図2に戻ると、アウトソール103は靴101の底面全体をカバーしている。図6および図7との関連で例を説明する他の態様において、アウトソールは底面全体をカバーしていなくてもよく、かつ、ミッドソールまたは他の靴構成部品を露出させる開口部を含んでいてもよい。アウトソール103は、複数の屈曲ゾーン201、202、203、および204を含む。これら屈曲ゾーンの各々は、アウトソール103の隣接領域より可撓性が高いアウトソール103の領域を備える。アウトソール103の態様において、屈曲ゾーン201〜204は、アウトソール103の材料が薄くされており、かつトラクション要素が存在しない領域である。他の態様において、屈曲ゾーンは、他の何らかの様式で形成され、かつ/またはトラクション要素を含んでいてもよい。
【0017】
フォアフットの屈曲ゾーン201は、アウトソール103を正中−体側方向に横切って伸びている。ゾーン201の一部は、第一指節間関節の下および第二近位指節間関節の下に概ね位置する。フォアフットの屈曲ゾーン202もアウトソール103を正中−体側方向に横切って伸びているが、母指球により近い。ゾーン202は、近位指節骨の近位端の下に概ね位置する。長軸方向の屈曲ゾーン203は、フォアフット領域およびミッドフット領域において前後方向に伸び、それから正中側に向かって曲がる。屈曲ゾーン203は、第一指節骨および第一中足骨遠位端を第二指節骨および第二中足骨遠位端から隔てている空間の下に概ね位置する。ヒンドフットの屈曲ゾーン204はアウトソール103の後部から、体側側と正中側との概ね中心でかつ踵骨の下に伸びており、そして体側側に向かって曲がる。
【0018】
アウトソール103は、屈曲ゾーンに加えて、さまざまな種類の複数のトラクション要素を含む。これらトラクション要素は、アウトソール103の1つまたは複数の基底面から外方向に伸びている。アウトソール103(またはその一部)が地面に接触する際、トラクション要素は、トラクションを増して靴装用者の足の安定性を高めるよう、草、砂、または他の地面物質を貫通してもよい。詳しく後述するように、異なる種類のトラクション要素は、異なる条件下でトラクションおよび足の安定性を増すように構成される。アウトソール103は、隆起トラクション要素、タブトラクション要素、スタッドトラクション要素、および凹型トラクション要素クラスターを含む。図2にはこれらトラクション要素のすべてが描かれているが、符番がつけられているのは隆起トラクション要素211、212、213、214、215、216、および217のみである。過剰な数の指示線および参照記号を含めることによって図2が混乱することを避けるため、他の種類のトラクション要素(および隆起トラクション要素211〜217のさらなる詳細)は図3および図4に示す。
【0019】
アウトソール103の態様において、隆起トラクション要素211〜217の各々は、概ね連続的で、外方向に伸び、アウトソール3の基底面から延長している突起である。例えば、隆起トラクション要素214〜216はそれぞれ滑らかな基底面224〜226から外方向に伸びている。隆起トラクション要素211〜213および217はそれぞれ溝のある基底面221〜223および227から外方向に伸びている。隆起トラクション要素211〜217の各々も複数のセグメントを含む。いくつかのセグメントは他のセグメントの端部に接合する。他のセグメントは自由端で終わる。
【0020】
図3はアウトソール103の前部を示す拡大正中側底面斜視図である。隆起トラクション要素211は、アウトソール3の体側側外エッジの一部に近くかつこれと概ね平行である周縁セグメント301を含む。隆起トラクション要素211は横断セグメント302も含む。体側側端が周縁セグメント301の前端部に接合する横断セグメント302は、周縁セグメント301から角度をつけてアウトソール103の正中側に向かって伸びている。セグメント301および302はそれぞれ自由端304および303で終わる。セグメント301の正中側およびセグメント302の後方側が部分的に境界となる内部領域は、6つのタブトラクション要素346を含む。タブトラクション要素については後述する。隆起トラクション要素212は、アウトソール103の体側側エッジの別の部分に近くかつこれと概ね平行である周縁セグメント308、周縁セグメント308から角度をつけてアウトソール103の正中側に向かって伸びている横断セグメント309、ならびに自由端310および311を含む。セグメント308の正中側およびセグメント309の前方側が部分的に境界となる内部領域は、9つのタブトラクション要素346を含む。
【0021】
隆起トラクション要素214および215はそれぞれ隆起トラクション要素211および212に似ているが、アウトソール103の正中側に位置している。隆起トラクション要素214は、アウトソール103の正中側エッジの一部に近くかつこれと概ね平行である周縁セグメント315を含む。横断セグメント316が、周縁セグメント315から角度をつけてアウトソール103の体側側に向かって伸びている。セグメント316および315はそれぞれ自由端317および318で終わる。セグメント315の体側側およびセグメント317の後方側が部分的に境界となる内部領域には、5つのスタッドトラクション要素347がある。スタッドトラクション要素については後述する。
【0022】
隆起トラクション要素215は、アウトソール102の正中側エッジの別の部分に近くかつこれと概ね平行である周縁セグメント322、周縁セグメント322から角度をつけてアウトソール103の体側側に向かって伸びている横断セグメント323、ならびに自由端324および325を含む。セグメント322の体側側およびセグメント323の前方側が部分的に境界となる内部領域には、凹型トラクション要素クラスター350がある。凹型トラクション要素クラスターについては後述する。
【0023】
隆起トラクション要素213および216の各々は第二の横断セグメントを含む。例えば、隆起トラクション要素213は、アウトソール103の体側側エッジの一部に近くかつこれと概ね平行である周縁セグメント338を含む。第一の横断セグメント339は、セグメント338の一部から角度をつけてアウトソール103の正中側に向かって伸び、自由端341で終わる。第二の横断セグメント340は、周縁セグメント338の異なる部分から角度をつけてアウトソール103の正中側に向かって伸び、自由端342で終わる。セグメント339の後方側、セグメント338の正中側、およびセグメント340の前方側が部分的に境界となる内部領域には、15個のタブトラクション要素346がある。隆起トラクション要素216は、アウトソール103の正中側エッジの一部に近くかつこれと概ね平行である周縁セグメント329、周縁セグメント329から角度をつけてアウトソール103の体側側に向かって伸びている第一の横断セグメント330、周縁セグメント329から角度をつけてアウトソール103の体側側に向かって伸びている第二の横断セグメント331、ならびに自由端332および333を含む。セグメント330の後方側、セグメント329の体側側、およびセグメント331の前方側が部分的に境界となる内部領域には、凹型トラクション要素クラスター360がある。
【0024】
図4はアウトソール103の後部を示す拡大正中側底面斜視図である。アウトソール103のヒンドフット領域にある隆起トラクション要素217は、2つの周縁セグメントを含む。第一の周縁セグメント402はヒンドフット領域のアウトソール103の正中側エッジの第一の部分に近くかつこれと概ね平行であり、自由端404を含む。第二の周縁セグメント401はヒンドフット領域のアウトソール103の正中側エッジの第二の部分に近くかつこれと概ね平行であり、セグメント402に接続している。横断セグメント403はセグメント401の異なる部分から角度をつけてアウトソール103の体側側に向かって伸び、自由端405で終わる。セグメント401〜403が部分的に境界となる内部領域には、17個のタブトラクション要素346がある。
【0025】
周縁セグメント301、308、338、315、322、329、および401の各々は、装用者の足の外周の近くかまたはすぐ外側に位置する。詳しく後述するように、このことは、ゴルフスイングの間に装用者の足を安定させるのに役立つ。例えば、アウトソール103の態様において、周縁セグメント338は、第五中足骨の遠位側半分の体側側に位置する。周縁セグメント308および301は、第五、第四、および第三足指の体側側に位置する。アウトソール103の態様において、周縁セグメント301、308、338、315、322、329、および401の各々は、アウトソール103の外エッジよりやや内側にある。他の態様において、1つまたは複数の周縁セグメントは、アウトソールの外エッジと面一であっても(またはその一部を形成していても)よい。
【0026】
横断セグメント302、309、339、340、316、323、330、331、および403の各々は、アウトソール103の内部に向かって、セグメントの長さに沿って高さが漸減する。アウトソール103の態様において、この高さ減少は、比較的線形の漸減の形式を取る。このことは図5Aにより明瞭に示されている。図5Aは図3に示した位置の断面図である。図5Aにおいてタブ要素346は破線で示されている。図5Aに示すように、横断セグメント339は、周縁セグメント338との接合部における最大高さから自由端341における最小高さまでテーパーしている。横断セグメント302、309、340、316、323、330、331、および403も同様の様式でテーパーしているが、長さがさまざまである。
【0027】
アウトソール103の態様において、そして図5Aにも示されているように、隆起トラクション要素213の周縁セグメント338は断面が概ね三角形である。周縁セグメント301、308、315、322、329、および401も断面が同様の三角形である。横断セグメント302、309、339、346、316、323、330、331、および403、ならびに周縁セグメント402も断面が三角形である。しかし、セグメント302、309、339、346、316、323、330、331、403、および402の各々の断面は、それらを伸ばしている付随する周縁セグメントの断面より狭くてもよい(例えば、横断セグメント339および340は、付随する周縁セグメント338より断面が狭くてもよく、かつ/または側壁の傾斜が大きくてもよい)。隆起トラクション要素211〜217の断面が三角形であることにより、それら隆起トラクション要素が地面を貫通するのがより容易になる。さまざまな態様に基づく隆起トラクション要素は、他の種類の三角形断面を持っていてもよい。例えば、隆起トラクション要素は、断面が直角三角形であっても、または他の種類の非二等辺三角形であってもよい。隆起トラクション要素の断面は三角形でなくてもよい。断面はまた、隆起トラクション要素のセグメントの長さに沿ってさまざまであってもよい。
【0028】
屈曲ゾーン201〜204によりもたらされる可撓性を妨げないよう、隆起トラクション要素211〜217のセグメントは、屈曲ゾーン201〜204のいずれもまたがない。
【0029】
アウトソール3は、隆起トラクション要素に加えて、多数のタブトラクション要素346を含む。アウトソール103の態様において、そして図3に示されているように、隆起トラクション要素211が部分的に境界となる領域にはタブトラクション要素346が6個あり、隆起トラクション要素212が部分的に境界となる領域にはタブトラクション要素346が9個あり、隆起トラクション要素213が部分的に境界となる領域にはタブトラクション要素346が15個ある。図4に示されているように、隆起トラクション要素217が部分的に境界となる領域にはタブトラクション要素346が17個ある。
【0030】
個々のタブトラクション要素346は大きさおよび形状がいくらか異なっていてもよいが、各々は、長さ軸に沿った平均の長さが、幅軸に沿った幅より長い。隆起トラクション要素211〜213が部分的に境界となる領域内にあるフォアフットのタブトラクション要素346の長さ軸は、概ね、アウトソール103を正中−体側方向に横切って伸びている。隆起トラクション要素217が部分的に境界となる領域内にあるヒンドフットおよびミッドフットのタブトラクション要素346の長さ軸も、アウトソール103を正中−体側方向に横切って伸びているが、アウトソール103の長軸に対して、より斜めの角度に配置される。隆起トラクション要素217が部分的に境界となる領域内にあるこれらのタブトラクション要素346は、靴101の装用者がゴルフクラブをスイングする際に足のねじれる動きを打ち消すことを助けるよう、概ね正中側後方から体側側前方の方向に伸びる。
【0031】
タブトラクション要素はまた、丸みがあるかまたはその他傾斜した少なくとも1つの端部を持っていてもよい。図5Aに最も明瞭に示されているように、タブトラクション要素346は形状が波頭に似ている。フォアフットのタブトラクション要素の丸み側501は、アウトソール103の正中側を向いている。詳しく後述するように、傾斜側501は、正中側から体側側への足の横揺れを促進する。これらフォアフットのタブトラクション要素346の直線側502は、体側側を向いている。スペース503はタブトラクション要素を隔てている。図4に示されているように、ヒンドフットおよびミッドフットのタブトラクション要素346の丸み側は、アウトソール103の体側側を向いている。
【0032】
アウトソール103はさらに、多数のスタッドトラクション要素347を含む。アウトソール103の態様において、隆起トラクション要素214が部分的に境界となる領域に5つのスタッドトラクション要素347がある。横断セグメント331の後ろにさらに5つのスタッドトラクション要素347があり、横断セグメント340の後ろにも8つのスタッドトラクション要素347がある。タブトラクション要素346と異なり、スタッドトラクション要素347の各々は長さが幅とほぼ同じである。
【0033】
アウトソール103は、3つの凹型トラクション要素クラスター(または「クラスター」)350、360、および410も含む。クラスターは、取り外し可能な状態で取り付けられていてもよく、または、ソール構造に永久的に組み込まれていても(例えばアウトソールの中に成形されていても)よい。図5Bはクラスター360の拡大平面図である。クラスター360は多腕状のクリート561を含む。クリート561は、中心525から外向きの放射状に広がる4つのアーム511〜514を含む。正中側後部アーム512は上向きにカーブしており、平らなピーク516を含む。正中側前部アーム513は上向きにカーブしており、平らなピーク517を含む。同様に、体側側後部アーム511および体側側前部アーム514も上向きにカーブしており、それぞれ平らなピーク515および518を含む。アーム511および513が形成する線は、アーム512および514が形成する線よりいくらか長い。
【0034】
クラスター360は、ブレードクリート562、563、564、および565も含む。体側側ブレードクリート562は、エッジピーク527まで上向きに勾配している湾曲内面526を含む。後部ブレードクリート563は、エッジピーク529まで上向きに勾配している湾曲内面528を含む。正中側ブレードクリート564は、エッジピーク531まで上向きに勾配している湾曲内面530を含む。前部ブレードクリート565は、エッジピーク533まで上向きに勾配している湾曲内面532を含む。
【0035】
以上の説明ならびに図3および図5Bから理解されるように、アーム511〜514ならびに表面526、528、530、および532の上向き勾配表面は、ボウル形状構造に近い。ピーク527、515、529、516、531、517、533、および518はそのボウルのリムに近い。多腕状クリートのピークの間の空間にブレードクリートがあることは、トラクションおよび足の安定性を高めるのに役立つ。クラスター360がボウル状の構成であることにより、装用者の重量に由来する力をより均一に分配させることができ、したがってゴルフ場のグリーンおよび他の表面に与える損傷が軽減する。クラスター360の形状は、利用可能なアウトソールエリアを、従来の丸いクリート要素より効率的に利用することを可能にする。
【0036】
クラスター350および410はクラスター360と同様である。各々が、クラスター360と同様の構成で、4本腕のクリートおよび4つのブレードクリートを含む。クラスター350および410のサイズはクラスター360のサイズといくらか異なり、クラスター410の向きはクラスター350および360の向きと異なる。具体的には、クラスター350および360の、より長い線を形成するアームペア(例えば、クラスター360のアーム511および513)は、前方−正中側から後方−体側側の方向に向けられている。逆に、クラスター410の、より長い線を形成するアームペアは、前方−体側側から後方−正中側の方向に向けられている。クラスター360の場合と同様に、クラスター350および410の形状は、利用可能なアウトソールエリアのより効率的な利用を可能にする。
【0037】
アウトソール103などのアウトソールは、ゴルフのプレイ時にいくつかの利点をもたらせる。バックスイング時、プレーヤーは典型的に、リード側の足を体側側から正中側に横揺れさせ、トレール側の足を正中側から体側側に横揺れさせる。ダウンスイング時およびフォロースルー時は、トレール側の足が体側側から正中側に横揺れし、リード側の足が正中側から体側側に横揺れする。周縁セグメント301、308、および338は、体側側への足の横揺れの抑止に役立つ。このことは、バックスイングの頂点でトレール側の足を安定させ、かつ、ダウンスイング時およびフォロースルー時にリード側の足を安定させることに役立つ可能性がある。周縁セグメント315、322、329、402、および401は、正中側への足の横揺れの抑止に役立つ。このことは、バックスイングの頂点でリード側の足を安定させ、かつ、ダウンスイングの早期にトレール側の足を安定させることに役立つ可能性がある。
【0038】
バックスイングの頂点時およびフォロースルーの完結時に足の横揺れを抑止することは有益である可能性があるが、スイングの動きにおけるこれら2点の間で足の横揺れを妨げることは望ましくない可能性もある。横断セグメントの高さが内側に向かって減少していることは、適切なときにはプレーヤーの足が快適に横揺れすることを可能にし、一方で、周縁セグメントの強化および剛化に役立つ。屈曲ゾーン203および204も、足の横揺れを促進するとともに、足が横揺れする際の快適性を増加させる。
【0039】
スイングはゴルフプレイの非常に重要な部分であるが、ゴルファーは歩行に長時間を費やすこともある。いくつかのケースにおいて、ゴルファーは、滑りやすい可能性がある表面上の歩行を求められることもある(例えば、濡れた芝生、砂、傾斜および丘など)。タブトラクション要素346は、歩行中に、推進性のトラクションを装用者に提供する。タブトラクション要素346の傾斜エッジ501も、スイング時に足の有益な横揺れを促進できる。スタッドトラクション要素347は、提供する推進性のトラクションがタブトラクション要素346より少ない可能性があるが、断面がより小さく、地面の貫通を容易にする。屈曲ゾーン201および202は、歩行中の足の自然な屈曲を可能にし、一方で、快適性を増加させる。
【0040】
図1を再度概説すると、アウトソール103は、装用者の足の体側側の一部の上に伸びる壁107および108をさらに含む。壁107は第五足指の外側に概ね隣接した位置にある。壁108は第五中足骨-指節骨関節の外側に概ね隣接した位置にある。壁107および108は、スイング時の体側側の動きの抑止に役立つさらなるサポートを提供する。足指キャップ106は足指の保護を提供する。
【0041】
アウトソール103は、運動用履物のアウトソールに一般的に用いられるさまざまな材料のうち任意のもので作られていてもよい。そのような材料としては、合成ゴム、「グリーン」ゴム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などがある。いくつかの態様において、トラクション要素のいくつかまたは全部に高硬度の材料が用いられてもよく、アウトソールの他のパーツに低硬度の材料が用いられてもよい。図1にも示されているように、アウトソール103はミッドソール104に結合されている。ミッドソール104(図1)は、圧縮エチレン酢酸ビニル(EVA)フォーム(「Phylon」としても知られる)、発泡TPU、またはその他の材料で形成されていてもよい。
【0042】
他の態様としては、アウトソール103の態様に対する多数の追加のバリエーションなどがある。隆起トラクション要素の数、位置、および配置がさまざまであってもよい。例えば、いくつかの態様において、隆起トラクション要素が体側側または正中側にのみ含まれていてもよい。隆起トラクション要素の構成もさまざまであってよい。例えば、隆起トラクション要素の周縁エッジがカーブしていてもよい。例として、隆起トラクション要素は鋸歯状のエッジを持っていてもよく、または、セグメントに埋め込まれた中間ボスもしくはスタッドを含んでいるなどしてもよい。タブトラクション要素および/またはスタッドトラクション要素および/または凹型トラクション要素クラスターの形状、配置、および数もさまざまであってよい。他の種類のトラクション要素が含まれていてもよい。1つまたは複数の屈曲ゾーンが省かれていてもよい。
【0043】
図6は別の態様に基づく靴601の体側側の側面図である。靴601も、ゴルファーによる装用を意図した靴であってもよく、そしてアウトソール603およびミッドソール604を持つソール構造602を含む。靴601もアッパー605を含み、これは図1に関連して示したのと同様の理由で、一般的なものとして破線を用いて示されている。いくつかの態様において、図1の靴101は男性用の靴であってもよく、図6の靴601は女性用の靴であってもよい。
【0044】
図7は、アウトソール603の詳細を示した靴601の正中側底面斜視図である。アウトソール103と異なり、アウトソール603は靴601の底面全体を覆わない。著しい点として、アウトソール603は、フォアフットを長軸方向に通って伸び、正中側に曲がり、そしてアーク領域へと広がるスロット701を含む。ミッドソール604はスロット701により露出されている。スロット701はソール構造602に屈曲ゾーンを作り出す。ソール構造602は、ソール構造602を正中−体側方向に横切って伸びそして第一指節間関節および第二近位指節間関節の下に概ね位置する部分を含む屈曲ゾーン702(アウトソール603内に部分的に形成されている)も含む。屈曲ゾーン703(アウトソール603内に部分的に形成されている)も、ソール構造602を正中−体側方向に横切って伸び、そして近位指節骨の近位端の下に概ね位置する。屈曲ゾーン702および703は、アウトソール603の材料が薄くされかつトラクション要素が存在しない領域を含む。
【0045】
アウトソール603は、隆起トラクション要素704、705、706、および707を含む。隆起トラクション要素704は、周縁セグメント708、横断セグメント709および710、ならびに自由端711および712を含む。隆起トラクション要素705は、周縁セグメント715、横断セグメント716および717、ならびに自由端718および719を含む。隆起トラクション要素706は、周縁セグメント722、横断セグメント723、ならびに自由端724および725を含む。隆起トラクション要素707は、周縁セグメント731、横断セグメント732、ならびに自由端733および734を含む。周縁セグメント708、715、および722は、フォアフット領域において、装用者の足の外周の近くかまたはすぐ外側に位置する。周縁セグメント731は、ヒンドフット領域において、装用者の足の外周の近くかまたはすぐ外側に位置する。横断セグメント709、710、716、717、723、および732の各々は、アウトソール603を横切って伸びており、かつ、アウトソール603の内部に向かってセグメントの長さに沿って高さが漸減している。隆起トラクション要素704〜707のさまざまなセグメントは、アウトソール103の隆起トラクション要素の断面と同様の三角形断面を持つ。
【0046】
隆起トラクション要素704〜707は、アウトソール103の隆起トラクション要素211〜213と同様の様式で、正中側から体側側への足の横揺れを抑止するように機能する。トラクション要素704〜707の横断セグメントが内向きにテーパーしている構成は、適切なときには装用者の足が快適に横揺れすることを可能にし、一方で、周縁セグメントの強化および剛化にも役立つ。
【0047】
アウトソール603は複数のタブトラクション要素740をさらに含む。アウトソール103のタブトラクション要素346と同様、タブトラクション要素740は、歩行中に、推進性のトラクションを装用者に提供する。タブトラクション要素740の面取り端741も、スイング時に足の有益な横揺れを促進できる。アウトソール603の態様において、タブトラクション要素はより平らであり、そして少なくともいくつかのケースにおいて、長さ対幅の比がアウトソール103のタブトラクション要素346の長さ対幅の比より概ね大きい。アウトソール603はまた、アウトソール103のスタッドトラクション要素347と同様のスタッドトラクション要素745も含む。
【0048】
アウトソール603は、アウトソール103のクラスター350、360、および410のような凹型トラクション要素クラスターを含まない。代わりに、アウトソール603は5つの6本腕クリート750、751、752、753、および754を含む。これらのクリート750〜754は、任意の望ましい構成または構造を持っていてもよく、かつ、取り外し可能な状態で取り付けられているかまたはソール構造に永久的に組み込まれていてもよい。
【0049】
図6に戻ると、アウトソール603は、装用者の足の体側側の一部の上に伸びる壁607をさらに含む。壁607は概ねミッドフット領域に位置し、スイング時の体側側の動きの抑止に役立つさらなるサポートを提供する。足指キャップ606は足指の保護を提供する。
【0050】
アウトソール103と同様、アウトソール603は、運動用履物のアウトソールに一般的に用いられるさまざまな材料のうち任意のもので作られていてもよい(例えば、合成ゴム、「グリーン」ゴム、TPUなど)。アウトソール103の場合と同様に、トラクション要素のいくつかまたは全部に高硬度の材料が用いられてもよく、アウトソールの他のパーツに低硬度の材料が用いられてもよい。アウトソール603はミッドソール604に結合されていてもよく、ミッドソール604は圧縮EVA、発泡TPU、またはその他の材料で形成されていてもよい。他の態様としては、アウトソール603の態様に対する多数の追加のバリエーションなどがあり、これには、アウトソール103に関連して説明したようなバリエーションも含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0051】
以上の態様の説明は、例示および説明の目的で呈示したものである。以上の説明は、網羅的であること、または、態様を本明細書において明示的に説明または言及したとおりの厳密な形態に限定することを意図しない。前述の教示に照らした修正およびバリエーションが可能であり、または、さまざまな態様の実際から修正およびバリエーションが得られうる。本明細書で扱った態様は、当業者がこれらおよび他の態様を、企図される具体的な使用に適したさまざまな修正とともに利用できるよう、さまざまな態様およびそれらの実際的な適用の原理および性質を説明する目的で選択および説明したものである。前述の態様の特徴の置換は、いかなるものもすべて、本発明の範囲内である。特許請求の範囲において、特許請求される物品の装用者と相対的にまたは特許請求される物品の装用中に行われうる活動と相対的に物理的要素の特性への参照がなされるが、物品を実際に装用することまたは参照される活動を行うことは、特許請求の範囲を満たすうえで必要ではない。
【符号の説明】
【0052】
101:靴
102:ソール構造
103:アウトソール
104:ミッドソール
105:アッパー
106:足指キャップ
107:壁
108:壁
201:屈曲ゾーン
202:屈曲ゾーン
203:屈曲ゾーン
204:屈曲ゾーン
211:隆起トラクション要素
212:隆起トラクション要素
213:隆起トラクション要素
214:隆起トラクション要素
215:隆起トラクション要素
216:隆起トラクション要素
217:隆起トラクション要素
221:溝のある基底面
222:溝のある基底面
223:溝のある基底面
224:滑らかな基底面
225:滑らかな基底面
226:滑らかな基底面
227:溝のある基底面
301:周縁セグメント
302:横断セグメント
303:自由端
304:自由端
308:周縁セグメント
309:横断セグメント
310:自由端
311:自由端
315:周縁セグメント
316:横断セグメント
317:自由端
318:自由端
322:周縁セグメント
323:横断セグメント
324:自由端
325:自由端
329:周縁セグメント
330:横断セグメント
331:横断セグメント
332:自由端
333:自由端
338:周縁セグメント
339:横断セグメント
340:横断セグメント
341:自由端
342:自由端
346:タブトラクション要素
347:スタッドトラクション要素
350:凹型トラクション要素クラスター
360:凹型トラクション要素クラスター
401:周縁セグメント
402:周縁セグメント
403:横断セグメント
404:自由端
405:自由端
410:クラスター
501:傾斜側
502:直線側
503:スペース
511:体側側後部アーム
512:正中側後部アーム
513:正中側前部アーム
514:体側側前部アーム
515:平らなピーク
516:平らなピーク
517:平らなピーク
518:平らなピーク
525:中心
526:湾曲内面
527:エッジピーク
528:湾曲内面
529:エッジピーク
530:湾曲内面
531:エッジピーク
532:湾曲内面
533:エッジピーク
561:多腕状のクリート
562:体側側ブレードクリート
563:後部ブレードクリート
564:正中側ブレードクリート
565:前部ブレードクリート
601:靴
602:ソール構造
603:アウトソール
604:ミッドソール
605:アッパー
606:足指キャップ
607:壁
701:スロット
702:屈曲ゾーン
703:屈曲ゾーン
704:隆起トラクション要素
705:隆起トラクション要素
706:隆起トラクション要素
707:隆起トラクション要素
708:周縁セグメント
709:横断セグメント
710:横断セグメント
711:自由端
712:自由端
715:周縁セグメント
716:横断セグメント
717:横断セグメント
718:自由端
719:自由端
722:周縁セグメント
723:横断セグメント
724:自由端
725:自由端
731:周縁セグメント
732:横断セグメント
733:自由端
734:自由端
740:タブトラクション要素
741:面取り端
745:スタッドトラクション要素
750:6本腕クリート
751:6本腕クリート
752:6本腕クリート
753:6本腕クリート
754:6本腕クリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソール構造のフォアフット領域を実質的に横切って伸びており、かつ、該ソール構造の隣接領域より可撓性が高い該ソール構造の領域を形成する、屈曲ゾーンと、
該フォアフット領域において該ソール構造のエッジと近接する周縁セグメントと、該周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている付随する横断セグメントとを各々が含み、該屈曲ゾーンによって分離されている、第一および第二の隆起トラクション要素と
を含む該ソール構造を備える、履物物品。
【請求項2】
前記周縁セグメントの各々が、前記履物物品の装用時に装用者の足の外周の近傍または外側になる位置に位置決めされる、請求項1記載の履物物品。
【請求項3】
第一および第二の隆起トラクション要素が前記ソール構造の体側側に位置し、前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、請求項1記載の履物物品。
【請求項4】
第一および第二の隆起トラクション要素が前記ソール構造の正中側に位置し、前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、請求項1記載の履物物品。
【請求項5】
第一の隆起トラクション要素が前記ソール構造の正中側に位置し、第二の隆起トラクション要素が該ソール構造の体側側に位置し、前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を長軸方向に実質的に横切って伸びている長軸屈曲ゾーンである、請求項1記載の履物物品。
【請求項6】
前記フォアフット領域において前記ソール構造のエッジと近接する周縁セグメントと、該周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている付随する横断セグメントとを含む、第三の隆起トラクション要素と、
該フォアフット領域を実質的に横切って伸びており、かつ第二の屈曲ゾーンに隣接する該ソール構造の領域より可撓性が高い該ソール構造の領域を形成する、第二の屈曲ゾーンと
をさらに備え、第二および第三の隆起トラクション要素が第二の屈曲ゾーンにより分離されている、請求項1記載の履物物品。
【請求項7】
第一、第二、および第三の隆起トラクション要素が前記ソール構造の体側側に位置し、
前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンであり、かつ
第二の屈曲ゾーンもまた、該フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、請求項6記載の履物物品。
【請求項8】
第一の隆起トラクション要素が前記ソール構造の正中側に位置し、
第二および第三の隆起トラクション要素が該ソール構造の体側側に位置し、
前記屈曲ゾーンが、前記フォアフット領域を長軸方向に実質的に横切って伸びている長軸屈曲ゾーンであり、かつ
第二の屈曲ゾーンが、該フォアフット領域を正中−体側方向に実質的に横切って伸びている横断屈曲ゾーンである、請求項6記載の履物物品。
【請求項9】
前記横断セグメントの各々がその付随する周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、該横断セグメントの高さが該横断セグメントの長さ方向に沿って減少する、請求項1記載の履物物品。
【請求項10】
前記横断セグメントの各々がその付随する周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、該横断セグメントの高さが該横断セグメントの長さ方向に沿って減少する、請求項7記載の履物物品。
【請求項11】
前記横断セグメントの各々がその付随する周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、該横断セグメントの高さが該横断セグメントの長さ方向に沿って減少する、請求項8記載の履物物品。
【請求項12】
第一の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第一の領域の境界となり、
第二の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第二の領域の境界となり、
第一および第二の領域の各々が追加のトラクション要素を含む、請求項1記載の履物物品。
【請求項13】
前記追加のトラクション要素の少なくとも一部がタブトラクション要素であり、
該タブトラクション要素の各々の長さ軸に沿った長さが、幅軸を横切る幅より長く、
該タブトラクション要素の各々の該長さ軸が、前記アウトソールを横切る正中−体側方向に向けられている、請求項12記載の履物物品。
【請求項14】
前記タブトラクション要素の各々が、正中側から体側側へ向かう方向への装用者の足が横揺れすることに適応するよう位置決めされた傾斜端を含む、請求項13記載の履物物品。
【請求項15】
追加のトラクション要素のうち少なくとも1つが凹型トラクション要素クラスターである、請求項12記載の履物物品。
【請求項16】
フォアフット領域においてソール構造の正中側または体側側エッジの一方と近接する第一の周縁セグメントを含み、第一の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている第一の横断セグメントを含み、第一の横断セグメントが、該正中側または体側側エッジのもう一方に到達することなく第一の自由端で終結する、第一の隆起トラクション要素と、
該フォアフット領域において該ソール構造の該正中側または体側側エッジの該一方と近接しかつ第一の周縁セグメントより前方に位置する第二の周縁セグメントを含み、第二の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている第二の横断セグメントを含み、第二の横断セグメントが、該正中側または体側側エッジのもう一方に到達することなく第二の自由端で終結する、第二の隆起トラクション要素と
を含む該ソール構造を備える、履物物品。
【請求項17】
第一および第二の周縁セグメントの各々が、前記履物物品の装用時に装用者の足の外周の近傍または外側になる位置に位置決めされる、請求項16記載の履物物品。
【請求項18】
前記ソール構造が、第一および第二の隆起トラクション要素を分離する横断屈曲ゾーンを含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項19】
第一および第二の周縁セグメントの各々が、前記フォアフット領域において前記ソール構造の前記体側側エッジに近接している、請求項16記載の履物物品。
【請求項20】
前記ソール構造が第三の隆起トラクション要素を含み、第三の隆起トラクション要素が、前記フォアフット領域において該ソール構造の前記正中側エッジと近接する第三の周縁セグメントと、第三の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びている第三の横断セグメントとを含み、第三の横断セグメントが、前記体側側エッジに到達することなく第三の自由端で終結する、請求項19記載の履物物品。
【請求項21】
前記ソール構造が、第三の隆起トラクション要素と第一および第二の隆起トラクション要素とを分離する長軸屈曲ゾーンを含む、請求項20記載の履物物品。
【請求項22】
前記ソール構造が、第一および第二の隆起トラクション要素を分離する横断屈曲ゾーンを含む、請求項21記載の履物物品。
【請求項23】
前記ソール構造が第三の隆起トラクション要素を含み、第三の隆起トラクション要素が、ヒンドフット領域において該ソール構造のエッジと近接する第三の周縁セグメントを有し、第三の隆起トラクション要素が、第三の周縁セグメントから離れるようにかつ角度をつけて伸びており第三の自由端で終結する追加のセグメントを含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項24】
第一の横断セグメントが第一の周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、第一の横断セグメントの高さが第一の横断セグメントの長さに沿って減少し、かつ
第二の横断セグメントが第二の周縁セグメントから離れるように伸びるにしたがって、第二の横断セグメントの高さが第二の横断セグメントの長さに沿って減少する、請求項16記載の履物物品。
【請求項25】
第一の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第一の領域の境界となり、
第二の隆起トラクション要素が少なくとも部分的に該アウトソールの第二の領域の境界となり、
第一および第二の領域の各々が追加のトラクション要素を含む、請求項16記載の履物物品。
【請求項26】
前記追加のトラクション要素の少なくとも一部がタブトラクション要素であり、
該タブトラクション要素の各々の長さ軸に沿った長さが、幅軸を横切る幅より長く、
該タブトラクション要素の各々の該長さ軸が、前記アウトソールを横切る正中−体側方向に向けられている、請求項25記載の履物物品。
【請求項27】
前記追加のトラクション要素のうち少なくとも1つが凹型トラクション要素クラスターである、請求項25記載の履物物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196429(P2012−196429A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−23057(P2012−23057)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】