コンデンサユニット
【課題】低インダクタンス化を図りながらも、電極板などの電極の発熱を効率良く放熱させることができるコンデンサユニットを提供する。
【解決手段】コンデンサユニット1は、複数のコンデンサ素子4をケース5に収納したものである。複数のコンデンサ素子4は、P電極板61およびN電極板62に接続されている。P電極板61とN電極板62とは、絶縁板63を挟んで重ねて配置されている。ケース5は、底壁50を有している。P電極板61、N電極板62および絶縁板63は、ケース5の内部において底壁50に沿って配置されている。ケース5の底壁50には、冷却器3が当接して設けられている。
【解決手段】コンデンサユニット1は、複数のコンデンサ素子4をケース5に収納したものである。複数のコンデンサ素子4は、P電極板61およびN電極板62に接続されている。P電極板61とN電極板62とは、絶縁板63を挟んで重ねて配置されている。ケース5は、底壁50を有している。P電極板61、N電極板62および絶縁板63は、ケース5の内部において底壁50に沿って配置されている。ケース5の底壁50には、冷却器3が当接して設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に利用されるコンデンサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンデンサとしては、通電時の発熱を放熱部品により放熱するように構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。その一例を図13に示した。
【0003】
同図に示したコンデンサ9は、コンデンサ素子90を収容した樹脂ケース91の外底面91Aに放熱部材92を固定したものである。樹脂ケース91の内底面91Bとコンデンサ素子90との間には、一対の電極板93,94が配置されている。一対の電極板93,94は、絶縁層95を介して積層されている。これらの電極板93,94は、本体部93A,94A、内部接続端子93B(94B)および外部接続端子93C(94C)を備えている。
【0004】
本体部93A,94Aは、コンデンサ素子90の下方に位置して、絶縁層95と接触する部分である。内部接続端子93B(94B)はコンデンサ素子90の電極96に接続される部分である。外部接続端子93C(94C)は、外部機器に接続される部分であり、ケース91から延出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−134612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載のコンデンサ9では、コンデンサ素子90の発熱、および電極板93,93における本体部93A,94Aや内部接続端子93B(94B)での発熱は、放熱部材92によって効率良く放熱することができる。
【0007】
その一方で、外部接続端子93C(94C)は、ケース91から外部に引き出され、放熱部材92との距離も遠いために放熱部材92による放熱効果を期待できない。また、外部接続端子93C(94C)は、外部機器が接続されるものであるため、外部機器の発熱の影響も受けかねず、その点においても効率良く放熱させるのが困難である。
【0008】
上記の問題を鑑みて、本発明は、低インダクタンス化を図りながらも、電極板などの電極の発熱を効率良く放熱させることができるコンデンサユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンデンサユニットは、複数のコンデンサ素子を、互いに結線してケースに収納したコンデンサユニットにおいて、前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の一方端子側に位置する端面を互いに接続する陽極板と、各コンデンサ素子の他方端子側に位置する端面を互いに接続する陰極板とにより接続され、前記陽極板と前記陰極板とは前記ケースの内底面に沿って、絶縁板を挟んで近接して重ねて配置され、前記ケースは、一方側が前記複数のコンデンサ素子を収納可能に開口され、他方端側が有底に仕上げられ、前記陽極板と前記陰極板はそれぞれ、ユニット外部の端子と接続される陽極リード、陰極リードと接続され、前記陽極リードと前記陰極リードはその一部が前記ケース内部よりケース外底面に突出して設けられ、前記陽極リードと前記陰極リードとを包囲するように、冷却器が前記ケースの外底面に当接して設けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、P電極板およびN電極板は各コンデンサ素子の端面を除く素子の一部を覆うように、絶縁板を挟んで近接して重ねて配置されるので、コンデンサユニットの低インダクタンス化を図ることができる。
【0011】
しかも、P電極板およびN電極板はケースの内底面に沿って配置され、冷却器がケースの外底面に当接して設けられている。すなわち、電極板と冷却器は、ケースの外底面および内底面(底壁)を挟んで対向配置されている。そのため、冷却器により、ケースの外底面および内底面を介して(底壁を介して)、電極板を効率よく冷却し、コンデンサユニットの発熱を抑制することができる。このような効果をより確実に得るためには、冷却器は、ケース底面全体を覆うように設けることが好ましい。
【0012】
好ましくは、前記複数のコンデンサ素子の各々は偏平状に成形され、前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の端面の長径方向が一致するように一列に整列して配置された複数のコンデンサ素子列を有し、各コンデンサ素子列を構成するコンデンサ素子の端面が互いに対向するように前記複数のコンデンサ素子列を前記ケースに並べて収納したことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、複数コンデンサ素子をケースにコンパクトに収納しながらも、コンデンサユニットの低インダクタンス化、温度上昇を抑制することができる。特に、コンデンサ素子列を構成する各コンデンサ素子が、端面の長径方向が一致するように一列に整列して配置されるので、ケースの高さを偏平状のコンデンサ素子の端面の短径方向の長さに近づけることができ、低インダクタンス、高効率な冷却構造を有し、かつ低背のコンデンサユニットを提供することができる。
【0014】
本発明に係るコンデンサは、前記陽極板および前記陰極板はコンデンサ素子列ごとに設けられるとともに、前記陽極リードおよび前記陰極リードはそれぞれ、前記陽極板および前記陰極板と接続される内部接続部と、ユニット外部の端子と接続される互いに離間して配置された外部接続部とを有し、前記外部接続部を包囲するように前記冷却器が設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、外部接続部を包囲するように冷却器が設けられているので、外部接続部は独立して冷却され、コンデンサユニットの温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0016】
好ましくは、前記複数のコンデンサ素子間に充填された樹脂により形成された樹脂部を有している。
【0017】
このような構成によれば、ケース内に収納された複数のコンデンサ素子の各々を確実に固定するとともに、各コンデンサ素子から冷却器に至る熱伝導性を高め、放熱効率を向上させることができる。
【0018】
冷却器は、たとえば水冷、油冷、または空冷方式を用いることができる。また、冷却器は、例えば流入口と排出口とが形成され、前記流入口から流入した冷却媒体を前記排出口に排出させる構成とされる。この場合、冷却器は、ケース底面全体を覆うように設けるのが好ましい。このような冷却器は簡易な構成により達成できるため、冷却器を採用することによるコストアップを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低インダクタンス化を図りながらも、電極板を効率よく冷却し、コンデンサユニットの発熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るコンデンサユニットを示す全体斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】内部電極を固定した複数のコンデンサ素子を、リード電極とともに示した斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】ケースに第2の電極を固定した状態の全体斜視図である。
【図6】図5に示したケースを裏面から見た全体斜視図である。
【図7】図3のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】内部電極の分解斜視図である。
【図9】図3の要部を拡大して示した断面図である。
【図10】(a)は図3のXa−Xa線に沿う断面図であり、(b)は図3のXb−Xb線に沿う断面図である。
【図11】冷却器の分解斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う部分に対応する冷却器の断面図である。
【図13】従来のコンデンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1および図2に示したように、コンデンサユニット1は、コンデンサ本体2および冷却器3を備えている。
【0023】
図2に示したように、コンデンサ本体2は、複数のコンデンサ素子4、ケース5、複数の内部電極6、および一対のリード電極7を含んでいる。
【0024】
図3および図4に示したように、複数のコンデンサ素子4は、4個を一纏まりとしてコンデンサ素子列として内部電極6により一体化されている。
【0025】
図2に示したように、複数のコンデンサ素子4は、整列状態でケース5に収容されているとともに、封止樹脂部10により封入されている。
【0026】
図4に示したように、各コンデンサ素子4は、端面の全体を覆うように陽極41および陰極42が形成されたものである。コンデンサ素子4としては、例えば金属化フィルムコンデンサ素子が挙げられている。
【0027】
金属化フィルムコンデンサは、例えば側縁に沿って所定幅の絶縁領域が形成された複数枚の金属化フィルムを、それぞれの絶縁領域が重ならないように重ねた状態で巻回し、巻回後に各金属化フィルムの側面により構成される端面に、陽極41および陰極42を設けたものである。
【0028】
また、金属化フィルムコンデンサは、複数枚の金属化フィルムを、それぞれの絶縁領域が重ならないように積層し、積層後に各金属化フィルムの側面により構成される端面に、電極を設けたものであってもよい。
【0029】
金属化フィルムは、例えば誘電体フィルムの片面に、所定幅の絶縁領域(非金属領域)が設けられるように金属(例えばアルミニウムあるいは亜鉛)を蒸着することで形成することができる。
【0030】
金属化フィルムは、金属を蒸着することに代えて、誘電体フィルムの片面に、金属箔(例えばアルミニウム箔、スズ箔あるいは銅箔)を貼り付けることにより形成してもよい。
【0031】
誘電体フィルムのための材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。
【0032】
陽極41および陰極42は、例えばメタリコン電極として形成される。メタリコン電極は、金属溶射法により形成することができる。この金属溶射法は、溶融した金属を圧縮空気で霧状にして品物の表面に吹き付ける鍍金方法である。
【0033】
陽極41および陰極42は、金属溶射法に代えて、公知の種々の成膜方法を採用して形成することもでき、必ずしもメタリコン電極である必要はない。
【0034】
もちろん、コンデンサユニット1では、コンデンサ素子4として、金属化フィルムコンデンサに限らず、公知の他のコンデンサを採用することもできる。
【0035】
図2、図5および図6に示したように、ケース5は、コンデンサ素子4および内部電極6を収容し、リード電極7を保持するものである。
【0036】
このケース5は、矩形状のベース50から延出する周壁51、複数の突出部52およびアーム部53を有しており、これらの部分51〜54が樹脂成型により一体的に形成されている。
【0037】
周壁51は、ベース50とともに、コンデンサ素子4や内部電極6を収容する空間を規定するものである。この周壁51は、ベース50の周縁から垂直または略垂直に延出している。
【0038】
複数の突出部52は、後述するリード電極7の第1外部接続部75,76を保持するものであり、また冷却器3の位置決めに利用されるものである。突出部52は、ベース50において、周壁とは反対側に突出している。
【0039】
アーム部53は、後述するリード電極7の第2外部接続部77,78を保持するものである。このアーム部53は、周壁51から側方に延出している。
【0040】
図3および図7に示したように、複数の内部電極6は、コンデンサ素子4の陽極41または陰極42と接続される一方で、リード電極7(陽極リード71および陰極リード72)と接続されるものである。
【0041】
図8および図9に示したように、各内部電極6は、陽極板61および陰極板62を含んでおり、陽極板61と陰極板62との間は絶縁板63を介在させることにより絶縁状態が確保されている。
【0042】
複数の内部電極6の各々は4つのコンデンサ素子4に接続されており、互いに離間して配置されて、内部電極6同士の絶縁状態が確保されている。各内部電極6は、他の内部電極6との絶縁状態が維持された状態で、コンデンサ素子4とケース5のベース50との間に位置するように、ケース5に収容されている(図2および図3参照)。
【0043】
陽極板61は、本体部64、素子接続部65およびリード電極接続部66を有している。
【0044】
本体部64は、長矩形状の形態を有する板状に形成されており、4個のコンデンサ素子4の側面を一連に覆っている(図3参照)。
【0045】
素子接続部65は、コンデンサ素子4の陽極41に接続される部分であり、基部65Aおよび複数の接続片65Bを有している。この素子接続部65は、本体部64の一方の側縁から垂直または略垂直に延出している。
【0046】
基部65Aは、本体部64の側縁に沿って延びている。複数の接続片65Bは、2つの接続片65Bを対として、4対の接続片65Bの対を含んでおり、合計で8個の接続片65Bからなる。
【0047】
各接続片65Bの対は、それぞれが対応する1つのコンデンサ素子4の陽極41に接続されている。各接続片65Bとコンデンサ素子4との接続は、例えばハンダなどの導体金属を用いて行われる。
【0048】
図8に示したように、リード電極接続部66は、リード電極7の陽極リード71に接続される部分であり、本体部64の他方の側縁から側方に延出している。このリード電極接続部66は、本体部64に対して素子接続部65の延出方向と垂直方向に延出しており、貫通孔66Aを有している。
【0049】
図8および図9に示したように、陰極板62は、基本的には陽極板61と同等な形態であり、本体部67、素子接続部68およびリード電極接続部69を有している。
【0050】
本体部67は、長矩形状の形態を有する板状に形成されており、絶縁板63を介して陽極板61の本体部64を覆っている。
【0051】
素子接続部68は、コンデンサ素子4に接続される部分であり、基部68Aおよび複数の接続片対68Bを有している。この素子接続部68は、本体部67の一方の側縁から垂直または略垂直に延出している。
【0052】
基部68Aは、本体部67の側縁に沿って延びている。複数の接続片68Bは、2つの接続片68Bを対として、4対の接続片68Bの対を含んでおり、合計で8個の接続片68Bからなる。
【0053】
各接続片68Bの対は、それぞれが対応する1つのコンデンサ素子4の陰極42に接続されている。各接続片68Bとコンデンサ素子4との接続は、例えばハンダなどの導体金属を用いて行われる。
【0054】
図8に示したように、リード電極接続部69は、後述するリード電極7の陰極リード72に接続される部分であり、本体部67の一方の側縁から側方に延出している。すなわち、リード電極接続部69は、素子接続部68と同一側縁から延出している。このリード電極接続部69は、本体部67に対して素子接続部68の延出方向と垂直方向に延出し、陽極板61のリード電極接続部66とは、本体部64,67の側縁に沿って位置ずれしており、貫通孔69Aが設けられている。
【0055】
図3、図10(a)および図10(b)に示したように、一対のリード電極7は、内部電極6を介して、コンデンサ素子4と外部機器との間の導通を図るためのものであり、内部電極6に接続されている。一対のリード電極7は、陽極リード71および陰極リード72を含んでおり、ケース5に固定されている。
【0056】
これらのリード71,72は、類似の形態を有しており、互いに略鏡像関係となっている。陽極リード71は、内部接続部73および複数の外部接続部75,77を有し、陰極リード72は、内部接続部74および複数の外部接続部76,78を有している。複数の外部接続部75,76,77,78は端部75B,76B,77B,78Bを除いて、ケース5に埋設されている(図2および図5参照)。
【0057】
図3および図4に示すように、内部接続部73,74は、内部電極6と接続される部分であり、内部電極6を横断するようにして配置されている。
【0058】
内部接続部73,74は、内部電極6のリード電極接続部66,69の貫通孔66A,69Aに対応する位置に貫通孔73A,74Aが形成されている。図7および図10に示すように、貫通孔73A,74Aには、ボルトB1が挿通されている。ボルトB1は、図面上には明確に現れていないが、ケース5のベース50にインサート成型されたものである。
【0059】
図2に示したように、内部電極6は、ボルトB1を貫通孔66A,69Aに挿通した状態でナットN1によって締結することにより、リード電極7、ひいてはケース5に固定される。内部電極6は、予め複数のコンデンサ素子4に固定されることから、コンデンサ素子4は内部電極6とともにケース5に固定される。このとき、内部電極6は、ケース5のベース50とコンデンサ素子4との間に位置する。
【0060】
このように、コンデンサユニット1では、コンデンサ素子4および内部電極6を、簡易にケース5に組み込むことができる。
【0061】
図3、図10(a)および図10(b)に示したように、複数の外部接続部75〜78は、第1外部接続部75,76および第2外部接続部77,78からなる。
【0062】
図2に示したように、第1外部接続部75,76は、ケース5の突出部52に対応した位置において、内部接続部73,74から延出している。第1外部接続部75,76は、内部接続部73,74から起立して延出する連結部75A,76Aと、この連結部75,76から内部電極6の陽極板61および陰極板62の表面と平行な平面方向に延びる端部75B,76Bを有している。
【0063】
連結部75A,76Aは、突出部52に埋設させている。一方、端部75B,76Bは、突出部52から露出している。端部75B,76Bは、コンデンサユニット1の端子を構成している。
【0064】
図4および図5から分かるように、第2外部接続部77,78は、ケース5のアーム部53に対応した位置において、内部接続部73,74から延出している。第2外部接続部77,78は、アーム部53の形状に倣って延出する連結部77A,78Aと、この連結部77A,78Aから平面方向に延びる端部77B,78Bを有している。
【0065】
連結部77A,78Aは、アーム部53に埋設させている。一方、端部77B,78Bは、アーム部53から露出している。端部77B,78Bは、コンデンサユニット1の端子を構成している。
【0066】
図2および図4に示したように、第1外部接続部75,76の端部75B,76Bおよび第2外部接続部77,78の端部77B,78Bには、貫通孔75Ba,76Ba,77Ba,78Baが形成されているとともに、貫通孔75Ba〜78Baに対応する部位に連結部材J1,J2が固定されている。
【0067】
連結部材J1,J2は、コンデンサユニット1を外部機器と接続するときに利用されるものであり、ケース5を形成しつつケース5にリード電極7を固定する際に突出部52(ケース5)にインサート成型されている。連結部材J1,J2は、アーム部53(ケース5)にインサート成型されている。連結部材J1,J2は、インサート成型することにより簡易かつ精度良く設けることができる。そのため、連結部材J1,J2を設けるようにすれば、外部機器に対するコンデンサユニット1の固定位置を精度良く規定できるようになる。
【0068】
図1および図2に示すように、冷却器3は、コンデンサ本体2を冷却するためのものであり、ケース5の突出部52を囲むようにケース5のベース50に接合されている。この冷却器3は、図11および図12に示すように、流路基板30およびカバー31を有している。
【0069】
図11および図12に示したように、流路基板30は、貫通孔32A、複数のプール33,34,35、流入口36および排出口37を有している。貫通孔32Aは、ケース5の突出部52が挿通される部分であり、突出部52(図1)に対応した形状を有している。複数のプール33〜35は、冷却媒体を流通させるものであり、ケース5の突出部52に隣接して設けられている(図2参照)。プール34は、連通路38を介して隣接するプール33,35と連通している。
【0070】
流入口36は、冷却器3の外部から冷却媒体を導入するためのものであり、連通路39Aを介してプール33に連通している。排出口37は、冷却媒体を冷却器3の外部に排出するためのものであり、連通路39Bを介してプール35に連通している。
【0071】
流路基板30では、複数のプール33,34,35が連通路38,39A,39Bを介して一連につながり、これらによって流路が形成されている。すなわち、冷却媒体は、流入口36から導入されて、複数のプール33〜35(流路)を移動して排出口37から排出される。
【0072】
ここで、冷却媒体としては、例えば水が使用される。もちろん、オイルなどの水以外の液体、空気などの気体を用いることもできる。
【0073】
カバー31は、複数のプール33〜35を閉鎖し、冷却媒体の外部への漏洩を防止するためのものである。このカバー31は、貫通孔32Bを有しており、複数のプール33〜35の上部開口を覆うようにして流路基板30に固定されている。貫通孔32Bは、ケース5の突出部52が挿通される部分であり、貫通孔32Bに対応した位置において、突出部52に対応した形状を有している。
【0074】
冷却器3は、貫通孔32A,32Bに突出部52を挿通することにより、ケース5(コンデンサ本体2)に対して位置決めされる。冷却器3はまた、ボルトなどを利用してケース5に密着した状態で、ケース5に対して位置決め固定されている。
【0075】
冷却器3は、ケース5の突出部52を囲んでいる。突出部52には複数の外部接続部75〜78が設けられているため、これらの外部接続部75〜78を効率良く冷却することができる。特に、複数のプール33〜35が突出部52(外部接続部75〜78)に隣接して設けられていることから、プール33〜35を移動する冷却媒体によって外部接続部75〜78を効率良く冷却することができる。
【0076】
冷却器3はさらに、ベースに密着しているため、ベース50に近接し配置された内部電極6の本体部64,67およびリード電極7の内部接続部73,74での発熱を、ベース50を介して冷却器3において吸収することができる。コンデンサ素子4での発熱もまた、本体部64,67や内部接続部73,74を介して、冷却器3において吸収することができる。
【0077】
また、冷却器3は、冷却媒体を流通させるものであるため、冷却媒体が随時入れ替えられる。そのため、冷却媒体の温度上昇を抑制することができ、冷却媒体の温度上昇に起因する冷却効率が低下を抑制し、効率良く外部接続部75〜78を冷却することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 コンデンサユニット
10 封止樹脂部
3 冷却器
32A (流路基板の)貫通孔(冷却器の貫通孔の一部)
32B (カバーの)貫通孔(冷却器の貫通孔の一部)
4 コンデンサ素子
40 (コンデンサ素子の)端面(一方端子側)
41 (コンデンサ素子の)端面(他方端子側)
5 ケース
50 (外底面および内底面を有する)ベース
52 突出部
61 P電極板
62 N電極板
63 絶縁板
73,74 内部接続部(接続端子)
75A,76A (第1外部接続部の)連結部(引出し端子部)
75B,76B (第1外部接続部の)端部(外部端子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に利用されるコンデンサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンデンサとしては、通電時の発熱を放熱部品により放熱するように構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。その一例を図13に示した。
【0003】
同図に示したコンデンサ9は、コンデンサ素子90を収容した樹脂ケース91の外底面91Aに放熱部材92を固定したものである。樹脂ケース91の内底面91Bとコンデンサ素子90との間には、一対の電極板93,94が配置されている。一対の電極板93,94は、絶縁層95を介して積層されている。これらの電極板93,94は、本体部93A,94A、内部接続端子93B(94B)および外部接続端子93C(94C)を備えている。
【0004】
本体部93A,94Aは、コンデンサ素子90の下方に位置して、絶縁層95と接触する部分である。内部接続端子93B(94B)はコンデンサ素子90の電極96に接続される部分である。外部接続端子93C(94C)は、外部機器に接続される部分であり、ケース91から延出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−134612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載のコンデンサ9では、コンデンサ素子90の発熱、および電極板93,93における本体部93A,94Aや内部接続端子93B(94B)での発熱は、放熱部材92によって効率良く放熱することができる。
【0007】
その一方で、外部接続端子93C(94C)は、ケース91から外部に引き出され、放熱部材92との距離も遠いために放熱部材92による放熱効果を期待できない。また、外部接続端子93C(94C)は、外部機器が接続されるものであるため、外部機器の発熱の影響も受けかねず、その点においても効率良く放熱させるのが困難である。
【0008】
上記の問題を鑑みて、本発明は、低インダクタンス化を図りながらも、電極板などの電極の発熱を効率良く放熱させることができるコンデンサユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンデンサユニットは、複数のコンデンサ素子を、互いに結線してケースに収納したコンデンサユニットにおいて、前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の一方端子側に位置する端面を互いに接続する陽極板と、各コンデンサ素子の他方端子側に位置する端面を互いに接続する陰極板とにより接続され、前記陽極板と前記陰極板とは前記ケースの内底面に沿って、絶縁板を挟んで近接して重ねて配置され、前記ケースは、一方側が前記複数のコンデンサ素子を収納可能に開口され、他方端側が有底に仕上げられ、前記陽極板と前記陰極板はそれぞれ、ユニット外部の端子と接続される陽極リード、陰極リードと接続され、前記陽極リードと前記陰極リードはその一部が前記ケース内部よりケース外底面に突出して設けられ、前記陽極リードと前記陰極リードとを包囲するように、冷却器が前記ケースの外底面に当接して設けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、P電極板およびN電極板は各コンデンサ素子の端面を除く素子の一部を覆うように、絶縁板を挟んで近接して重ねて配置されるので、コンデンサユニットの低インダクタンス化を図ることができる。
【0011】
しかも、P電極板およびN電極板はケースの内底面に沿って配置され、冷却器がケースの外底面に当接して設けられている。すなわち、電極板と冷却器は、ケースの外底面および内底面(底壁)を挟んで対向配置されている。そのため、冷却器により、ケースの外底面および内底面を介して(底壁を介して)、電極板を効率よく冷却し、コンデンサユニットの発熱を抑制することができる。このような効果をより確実に得るためには、冷却器は、ケース底面全体を覆うように設けることが好ましい。
【0012】
好ましくは、前記複数のコンデンサ素子の各々は偏平状に成形され、前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の端面の長径方向が一致するように一列に整列して配置された複数のコンデンサ素子列を有し、各コンデンサ素子列を構成するコンデンサ素子の端面が互いに対向するように前記複数のコンデンサ素子列を前記ケースに並べて収納したことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、複数コンデンサ素子をケースにコンパクトに収納しながらも、コンデンサユニットの低インダクタンス化、温度上昇を抑制することができる。特に、コンデンサ素子列を構成する各コンデンサ素子が、端面の長径方向が一致するように一列に整列して配置されるので、ケースの高さを偏平状のコンデンサ素子の端面の短径方向の長さに近づけることができ、低インダクタンス、高効率な冷却構造を有し、かつ低背のコンデンサユニットを提供することができる。
【0014】
本発明に係るコンデンサは、前記陽極板および前記陰極板はコンデンサ素子列ごとに設けられるとともに、前記陽極リードおよび前記陰極リードはそれぞれ、前記陽極板および前記陰極板と接続される内部接続部と、ユニット外部の端子と接続される互いに離間して配置された外部接続部とを有し、前記外部接続部を包囲するように前記冷却器が設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、外部接続部を包囲するように冷却器が設けられているので、外部接続部は独立して冷却され、コンデンサユニットの温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0016】
好ましくは、前記複数のコンデンサ素子間に充填された樹脂により形成された樹脂部を有している。
【0017】
このような構成によれば、ケース内に収納された複数のコンデンサ素子の各々を確実に固定するとともに、各コンデンサ素子から冷却器に至る熱伝導性を高め、放熱効率を向上させることができる。
【0018】
冷却器は、たとえば水冷、油冷、または空冷方式を用いることができる。また、冷却器は、例えば流入口と排出口とが形成され、前記流入口から流入した冷却媒体を前記排出口に排出させる構成とされる。この場合、冷却器は、ケース底面全体を覆うように設けるのが好ましい。このような冷却器は簡易な構成により達成できるため、冷却器を採用することによるコストアップを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低インダクタンス化を図りながらも、電極板を効率よく冷却し、コンデンサユニットの発熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るコンデンサユニットを示す全体斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】内部電極を固定した複数のコンデンサ素子を、リード電極とともに示した斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】ケースに第2の電極を固定した状態の全体斜視図である。
【図6】図5に示したケースを裏面から見た全体斜視図である。
【図7】図3のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】内部電極の分解斜視図である。
【図9】図3の要部を拡大して示した断面図である。
【図10】(a)は図3のXa−Xa線に沿う断面図であり、(b)は図3のXb−Xb線に沿う断面図である。
【図11】冷却器の分解斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う部分に対応する冷却器の断面図である。
【図13】従来のコンデンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1および図2に示したように、コンデンサユニット1は、コンデンサ本体2および冷却器3を備えている。
【0023】
図2に示したように、コンデンサ本体2は、複数のコンデンサ素子4、ケース5、複数の内部電極6、および一対のリード電極7を含んでいる。
【0024】
図3および図4に示したように、複数のコンデンサ素子4は、4個を一纏まりとしてコンデンサ素子列として内部電極6により一体化されている。
【0025】
図2に示したように、複数のコンデンサ素子4は、整列状態でケース5に収容されているとともに、封止樹脂部10により封入されている。
【0026】
図4に示したように、各コンデンサ素子4は、端面の全体を覆うように陽極41および陰極42が形成されたものである。コンデンサ素子4としては、例えば金属化フィルムコンデンサ素子が挙げられている。
【0027】
金属化フィルムコンデンサは、例えば側縁に沿って所定幅の絶縁領域が形成された複数枚の金属化フィルムを、それぞれの絶縁領域が重ならないように重ねた状態で巻回し、巻回後に各金属化フィルムの側面により構成される端面に、陽極41および陰極42を設けたものである。
【0028】
また、金属化フィルムコンデンサは、複数枚の金属化フィルムを、それぞれの絶縁領域が重ならないように積層し、積層後に各金属化フィルムの側面により構成される端面に、電極を設けたものであってもよい。
【0029】
金属化フィルムは、例えば誘電体フィルムの片面に、所定幅の絶縁領域(非金属領域)が設けられるように金属(例えばアルミニウムあるいは亜鉛)を蒸着することで形成することができる。
【0030】
金属化フィルムは、金属を蒸着することに代えて、誘電体フィルムの片面に、金属箔(例えばアルミニウム箔、スズ箔あるいは銅箔)を貼り付けることにより形成してもよい。
【0031】
誘電体フィルムのための材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。
【0032】
陽極41および陰極42は、例えばメタリコン電極として形成される。メタリコン電極は、金属溶射法により形成することができる。この金属溶射法は、溶融した金属を圧縮空気で霧状にして品物の表面に吹き付ける鍍金方法である。
【0033】
陽極41および陰極42は、金属溶射法に代えて、公知の種々の成膜方法を採用して形成することもでき、必ずしもメタリコン電極である必要はない。
【0034】
もちろん、コンデンサユニット1では、コンデンサ素子4として、金属化フィルムコンデンサに限らず、公知の他のコンデンサを採用することもできる。
【0035】
図2、図5および図6に示したように、ケース5は、コンデンサ素子4および内部電極6を収容し、リード電極7を保持するものである。
【0036】
このケース5は、矩形状のベース50から延出する周壁51、複数の突出部52およびアーム部53を有しており、これらの部分51〜54が樹脂成型により一体的に形成されている。
【0037】
周壁51は、ベース50とともに、コンデンサ素子4や内部電極6を収容する空間を規定するものである。この周壁51は、ベース50の周縁から垂直または略垂直に延出している。
【0038】
複数の突出部52は、後述するリード電極7の第1外部接続部75,76を保持するものであり、また冷却器3の位置決めに利用されるものである。突出部52は、ベース50において、周壁とは反対側に突出している。
【0039】
アーム部53は、後述するリード電極7の第2外部接続部77,78を保持するものである。このアーム部53は、周壁51から側方に延出している。
【0040】
図3および図7に示したように、複数の内部電極6は、コンデンサ素子4の陽極41または陰極42と接続される一方で、リード電極7(陽極リード71および陰極リード72)と接続されるものである。
【0041】
図8および図9に示したように、各内部電極6は、陽極板61および陰極板62を含んでおり、陽極板61と陰極板62との間は絶縁板63を介在させることにより絶縁状態が確保されている。
【0042】
複数の内部電極6の各々は4つのコンデンサ素子4に接続されており、互いに離間して配置されて、内部電極6同士の絶縁状態が確保されている。各内部電極6は、他の内部電極6との絶縁状態が維持された状態で、コンデンサ素子4とケース5のベース50との間に位置するように、ケース5に収容されている(図2および図3参照)。
【0043】
陽極板61は、本体部64、素子接続部65およびリード電極接続部66を有している。
【0044】
本体部64は、長矩形状の形態を有する板状に形成されており、4個のコンデンサ素子4の側面を一連に覆っている(図3参照)。
【0045】
素子接続部65は、コンデンサ素子4の陽極41に接続される部分であり、基部65Aおよび複数の接続片65Bを有している。この素子接続部65は、本体部64の一方の側縁から垂直または略垂直に延出している。
【0046】
基部65Aは、本体部64の側縁に沿って延びている。複数の接続片65Bは、2つの接続片65Bを対として、4対の接続片65Bの対を含んでおり、合計で8個の接続片65Bからなる。
【0047】
各接続片65Bの対は、それぞれが対応する1つのコンデンサ素子4の陽極41に接続されている。各接続片65Bとコンデンサ素子4との接続は、例えばハンダなどの導体金属を用いて行われる。
【0048】
図8に示したように、リード電極接続部66は、リード電極7の陽極リード71に接続される部分であり、本体部64の他方の側縁から側方に延出している。このリード電極接続部66は、本体部64に対して素子接続部65の延出方向と垂直方向に延出しており、貫通孔66Aを有している。
【0049】
図8および図9に示したように、陰極板62は、基本的には陽極板61と同等な形態であり、本体部67、素子接続部68およびリード電極接続部69を有している。
【0050】
本体部67は、長矩形状の形態を有する板状に形成されており、絶縁板63を介して陽極板61の本体部64を覆っている。
【0051】
素子接続部68は、コンデンサ素子4に接続される部分であり、基部68Aおよび複数の接続片対68Bを有している。この素子接続部68は、本体部67の一方の側縁から垂直または略垂直に延出している。
【0052】
基部68Aは、本体部67の側縁に沿って延びている。複数の接続片68Bは、2つの接続片68Bを対として、4対の接続片68Bの対を含んでおり、合計で8個の接続片68Bからなる。
【0053】
各接続片68Bの対は、それぞれが対応する1つのコンデンサ素子4の陰極42に接続されている。各接続片68Bとコンデンサ素子4との接続は、例えばハンダなどの導体金属を用いて行われる。
【0054】
図8に示したように、リード電極接続部69は、後述するリード電極7の陰極リード72に接続される部分であり、本体部67の一方の側縁から側方に延出している。すなわち、リード電極接続部69は、素子接続部68と同一側縁から延出している。このリード電極接続部69は、本体部67に対して素子接続部68の延出方向と垂直方向に延出し、陽極板61のリード電極接続部66とは、本体部64,67の側縁に沿って位置ずれしており、貫通孔69Aが設けられている。
【0055】
図3、図10(a)および図10(b)に示したように、一対のリード電極7は、内部電極6を介して、コンデンサ素子4と外部機器との間の導通を図るためのものであり、内部電極6に接続されている。一対のリード電極7は、陽極リード71および陰極リード72を含んでおり、ケース5に固定されている。
【0056】
これらのリード71,72は、類似の形態を有しており、互いに略鏡像関係となっている。陽極リード71は、内部接続部73および複数の外部接続部75,77を有し、陰極リード72は、内部接続部74および複数の外部接続部76,78を有している。複数の外部接続部75,76,77,78は端部75B,76B,77B,78Bを除いて、ケース5に埋設されている(図2および図5参照)。
【0057】
図3および図4に示すように、内部接続部73,74は、内部電極6と接続される部分であり、内部電極6を横断するようにして配置されている。
【0058】
内部接続部73,74は、内部電極6のリード電極接続部66,69の貫通孔66A,69Aに対応する位置に貫通孔73A,74Aが形成されている。図7および図10に示すように、貫通孔73A,74Aには、ボルトB1が挿通されている。ボルトB1は、図面上には明確に現れていないが、ケース5のベース50にインサート成型されたものである。
【0059】
図2に示したように、内部電極6は、ボルトB1を貫通孔66A,69Aに挿通した状態でナットN1によって締結することにより、リード電極7、ひいてはケース5に固定される。内部電極6は、予め複数のコンデンサ素子4に固定されることから、コンデンサ素子4は内部電極6とともにケース5に固定される。このとき、内部電極6は、ケース5のベース50とコンデンサ素子4との間に位置する。
【0060】
このように、コンデンサユニット1では、コンデンサ素子4および内部電極6を、簡易にケース5に組み込むことができる。
【0061】
図3、図10(a)および図10(b)に示したように、複数の外部接続部75〜78は、第1外部接続部75,76および第2外部接続部77,78からなる。
【0062】
図2に示したように、第1外部接続部75,76は、ケース5の突出部52に対応した位置において、内部接続部73,74から延出している。第1外部接続部75,76は、内部接続部73,74から起立して延出する連結部75A,76Aと、この連結部75,76から内部電極6の陽極板61および陰極板62の表面と平行な平面方向に延びる端部75B,76Bを有している。
【0063】
連結部75A,76Aは、突出部52に埋設させている。一方、端部75B,76Bは、突出部52から露出している。端部75B,76Bは、コンデンサユニット1の端子を構成している。
【0064】
図4および図5から分かるように、第2外部接続部77,78は、ケース5のアーム部53に対応した位置において、内部接続部73,74から延出している。第2外部接続部77,78は、アーム部53の形状に倣って延出する連結部77A,78Aと、この連結部77A,78Aから平面方向に延びる端部77B,78Bを有している。
【0065】
連結部77A,78Aは、アーム部53に埋設させている。一方、端部77B,78Bは、アーム部53から露出している。端部77B,78Bは、コンデンサユニット1の端子を構成している。
【0066】
図2および図4に示したように、第1外部接続部75,76の端部75B,76Bおよび第2外部接続部77,78の端部77B,78Bには、貫通孔75Ba,76Ba,77Ba,78Baが形成されているとともに、貫通孔75Ba〜78Baに対応する部位に連結部材J1,J2が固定されている。
【0067】
連結部材J1,J2は、コンデンサユニット1を外部機器と接続するときに利用されるものであり、ケース5を形成しつつケース5にリード電極7を固定する際に突出部52(ケース5)にインサート成型されている。連結部材J1,J2は、アーム部53(ケース5)にインサート成型されている。連結部材J1,J2は、インサート成型することにより簡易かつ精度良く設けることができる。そのため、連結部材J1,J2を設けるようにすれば、外部機器に対するコンデンサユニット1の固定位置を精度良く規定できるようになる。
【0068】
図1および図2に示すように、冷却器3は、コンデンサ本体2を冷却するためのものであり、ケース5の突出部52を囲むようにケース5のベース50に接合されている。この冷却器3は、図11および図12に示すように、流路基板30およびカバー31を有している。
【0069】
図11および図12に示したように、流路基板30は、貫通孔32A、複数のプール33,34,35、流入口36および排出口37を有している。貫通孔32Aは、ケース5の突出部52が挿通される部分であり、突出部52(図1)に対応した形状を有している。複数のプール33〜35は、冷却媒体を流通させるものであり、ケース5の突出部52に隣接して設けられている(図2参照)。プール34は、連通路38を介して隣接するプール33,35と連通している。
【0070】
流入口36は、冷却器3の外部から冷却媒体を導入するためのものであり、連通路39Aを介してプール33に連通している。排出口37は、冷却媒体を冷却器3の外部に排出するためのものであり、連通路39Bを介してプール35に連通している。
【0071】
流路基板30では、複数のプール33,34,35が連通路38,39A,39Bを介して一連につながり、これらによって流路が形成されている。すなわち、冷却媒体は、流入口36から導入されて、複数のプール33〜35(流路)を移動して排出口37から排出される。
【0072】
ここで、冷却媒体としては、例えば水が使用される。もちろん、オイルなどの水以外の液体、空気などの気体を用いることもできる。
【0073】
カバー31は、複数のプール33〜35を閉鎖し、冷却媒体の外部への漏洩を防止するためのものである。このカバー31は、貫通孔32Bを有しており、複数のプール33〜35の上部開口を覆うようにして流路基板30に固定されている。貫通孔32Bは、ケース5の突出部52が挿通される部分であり、貫通孔32Bに対応した位置において、突出部52に対応した形状を有している。
【0074】
冷却器3は、貫通孔32A,32Bに突出部52を挿通することにより、ケース5(コンデンサ本体2)に対して位置決めされる。冷却器3はまた、ボルトなどを利用してケース5に密着した状態で、ケース5に対して位置決め固定されている。
【0075】
冷却器3は、ケース5の突出部52を囲んでいる。突出部52には複数の外部接続部75〜78が設けられているため、これらの外部接続部75〜78を効率良く冷却することができる。特に、複数のプール33〜35が突出部52(外部接続部75〜78)に隣接して設けられていることから、プール33〜35を移動する冷却媒体によって外部接続部75〜78を効率良く冷却することができる。
【0076】
冷却器3はさらに、ベースに密着しているため、ベース50に近接し配置された内部電極6の本体部64,67およびリード電極7の内部接続部73,74での発熱を、ベース50を介して冷却器3において吸収することができる。コンデンサ素子4での発熱もまた、本体部64,67や内部接続部73,74を介して、冷却器3において吸収することができる。
【0077】
また、冷却器3は、冷却媒体を流通させるものであるため、冷却媒体が随時入れ替えられる。そのため、冷却媒体の温度上昇を抑制することができ、冷却媒体の温度上昇に起因する冷却効率が低下を抑制し、効率良く外部接続部75〜78を冷却することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 コンデンサユニット
10 封止樹脂部
3 冷却器
32A (流路基板の)貫通孔(冷却器の貫通孔の一部)
32B (カバーの)貫通孔(冷却器の貫通孔の一部)
4 コンデンサ素子
40 (コンデンサ素子の)端面(一方端子側)
41 (コンデンサ素子の)端面(他方端子側)
5 ケース
50 (外底面および内底面を有する)ベース
52 突出部
61 P電極板
62 N電極板
63 絶縁板
73,74 内部接続部(接続端子)
75A,76A (第1外部接続部の)連結部(引出し端子部)
75B,76B (第1外部接続部の)端部(外部端子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンデンサ素子を、互いに結線してケースに収納したコンデンサユニットにおいて、
前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の一方端子側に位置する端面を互いに接続する陽極板と、各コンデンサ素子の他方端子側に位置する端面を互いに接続する陰極板とにより接続され、
前記陽極板と前記陰極板とは前記ケースの内底面に沿って、絶縁板を挟んで近接して重ねて配置され、
前記ケースは、一方側が前記複数のコンデンサ素子を収納可能に開口され、他方端側が有底に仕上げられ、
前記陽極板と前記陰極板はそれぞれ、ユニット外部の端子と接続される陽極リード、陰極リードと接続され、
前記陽極リードと前記陰極リードはその一部が前記ケース内部よりケース外底面に突出して設けられ、
前記陽極リードと前記陰極リードとを包囲するように、冷却器が前記ケースの外底面に当接して設けられていることを特徴とするコンデンサユニット。
【請求項2】
前記複数のコンデンサ素子の各々は偏平状に成形され、
前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の端面の長径方向が一致するように一列に整列して配置された複数のコンデンサ素子列を有し、
各コンデンサ素子列を構成するコンデンサ素子の端面が互いに対向するように前記複数のコンデンサ素子列を前記ケースに並べて収納したことを特徴とする請求項1記載のコンデンサユニット。
【請求項3】
前記陽極板および前記陰極板はコンデンサ素子列ごとに設けられるとともに、
前記陽極リードおよび前記陰極リードはそれぞれ、前記陽極板および前記陰極板と接続される内部接続部と、ユニット外部の端子と接続される互いに離間して配置された外部接続部とを有し、
前記外部接続部を包囲するように前記冷却器が設けられていることを特徴とする請求項2記載のコンデンサユニット。
【請求項4】
前記複数のコンデンサ素子間に充填された樹脂により形成された樹脂部を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【請求項5】
前記冷却器には流入口と排出口とが形成され、前記流入口から流入した冷却媒体を前記排出口に排出させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【請求項6】
前記冷却器がケース底面全体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【請求項1】
複数のコンデンサ素子を、互いに結線してケースに収納したコンデンサユニットにおいて、
前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の一方端子側に位置する端面を互いに接続する陽極板と、各コンデンサ素子の他方端子側に位置する端面を互いに接続する陰極板とにより接続され、
前記陽極板と前記陰極板とは前記ケースの内底面に沿って、絶縁板を挟んで近接して重ねて配置され、
前記ケースは、一方側が前記複数のコンデンサ素子を収納可能に開口され、他方端側が有底に仕上げられ、
前記陽極板と前記陰極板はそれぞれ、ユニット外部の端子と接続される陽極リード、陰極リードと接続され、
前記陽極リードと前記陰極リードはその一部が前記ケース内部よりケース外底面に突出して設けられ、
前記陽極リードと前記陰極リードとを包囲するように、冷却器が前記ケースの外底面に当接して設けられていることを特徴とするコンデンサユニット。
【請求項2】
前記複数のコンデンサ素子の各々は偏平状に成形され、
前記複数のコンデンサ素子は、各コンデンサ素子の端面の長径方向が一致するように一列に整列して配置された複数のコンデンサ素子列を有し、
各コンデンサ素子列を構成するコンデンサ素子の端面が互いに対向するように前記複数のコンデンサ素子列を前記ケースに並べて収納したことを特徴とする請求項1記載のコンデンサユニット。
【請求項3】
前記陽極板および前記陰極板はコンデンサ素子列ごとに設けられるとともに、
前記陽極リードおよび前記陰極リードはそれぞれ、前記陽極板および前記陰極板と接続される内部接続部と、ユニット外部の端子と接続される互いに離間して配置された外部接続部とを有し、
前記外部接続部を包囲するように前記冷却器が設けられていることを特徴とする請求項2記載のコンデンサユニット。
【請求項4】
前記複数のコンデンサ素子間に充填された樹脂により形成された樹脂部を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【請求項5】
前記冷却器には流入口と排出口とが形成され、前記流入口から流入した冷却媒体を前記排出口に排出させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【請求項6】
前記冷却器がケース底面全体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−115279(P2013−115279A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261053(P2011−261053)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】
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