説明

グリシジル基を有するシロキサン化合物を含有する硬化性樹脂組成物

【課題】アルカリ現像が可能で、密着性と耐擦傷性に優れた硬化物が得られ、画像表示装置の画像表示面のハードコート材料として有用な硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)多価アルコールアクリレート化合物、(B)分子中にアクリル基又はメタアクリル基とカルボキシル基とを有する化合物、(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物及び(D)光ラジカル発生剤を含有する硬化性樹脂組成物。前記(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物は、一般式(1)で表わされる化合物又は一般式(2)で表わされる化合物、特に3−グリシドキシプロピル基を有するシロキサン化合物であることが好ましい。尚、一般式(1)及び(2)は本願明細書に記載の通りである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性及び密着性に優れた硬化物を形成できる硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。
耐擦傷性の向上には、画像表示面上にハードコート層を形成することが一般になされている。アクリレート化合物は光ラジカル発生剤を使用することにより、短時間で硬化が可能であり、ハードコート材料としては、多官能アクリレートを主成分とする硬化性組成物が使用されている。
多官能アクリレートのうち、特にジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とする硬化性組成物(例えば、特許文献1及び2を参照)は、表面硬度が高く、耐擦傷性に優れたハードコート層が得られるが、ガラス等との密着性が不十分であった。
ガラスとの密着性を改良したものとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を有するアクリレートを主成分とする硬化性組成物(例えば、特許文献3を参照)が知られているが、表面硬度が不十分であり、傷がつき易いという問題があった。
また、エポキシシクロヘキシル基を有するシロキサン化合物とラジカル硬化性アクリル樹脂を含有する硬化性組成物(例えば、特許文献4を参照)から耐擦傷性に優れたハードコート層が得られることが知られているが、ガラスとの密着性が不十分であった。
【0003】
一方、画像表示面のみにハードコート層を形成するためには、フォトレジストを用いることが好ましく、更に、環境や健康への影響を考慮すれば、アルカリ現像が可能なフォトレジストを用いることが好ましい。
アルカリ現像が可能で、ハードコート層に使用可能とされるフォトレジスト(例えば、特許文献5を参照)も知られているが、これら公知のフォトレジストは、耐擦傷性が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−48934号公報
【特許文献2】特開2011−12145号公報
【特許文献3】特開2000−191710号公報
【特許文献4】特開2003−292891号公報
【特許文献5】特開2008−216875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、アルカリ現像が可能で、密着性と耐擦傷性に優れた硬化物が得られ、画像表示装置の画像表示面のハードコート材料として有用な硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、多官能アクリレートと、アクリル基又はメタクリル基とカルボキシル基とを有する化合物とを含有する硬化性樹脂組成物に、グリシジル基を有するシロキサン化合物を配合することにより、アルカリ現像が可能で、耐擦傷性に優れ、ガラス等との密着性にも優れる硬化物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、(A)多価アルコールアクリレート化合物、(B)分子中にアクリル基又はメタアクリル基とカルボキシル基とを有する化合物、(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物及び(D)光ラジカル発生剤を含有する硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果は、アルカリ現像が可能で、密着性と耐擦傷性に優れた硬化物が得られ、画像表示装置の画像表示面のハードコート材料として有用な硬化性樹脂組成物を提供したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本発明では、アクリル基又はメタクリル基を有する化合物をアクリレート化合物という。
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)多価アルコールアクリレート化合物、(B)分子中にアクリル基又はメタクリル基とカルボキシル基とを有する化合物、(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物及び(D)光ラジカル発生剤を含有する。初めに、(A)成分である多価アルコールアクリレート化合物について説明する。
【0010】
前記多価アルコールアクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、イソプレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールジアクリレート、1.4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、イソプレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールジメタクリレート、1.4−シクロヘキサンジオールジメタクリレート、水添ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート等の2価アルコールのアクリレート化合物;
【0011】
グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールエタンジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス〔アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールエタンジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス〔メタクリロキシエチル〕イソシアヌレート等の3価アルコールのアクリレート化合物;
【0012】
エリスリトールトリアクリレート、エリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジグリセリントリアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エリスリトールトリメタクリレート、エリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジグリセリントリメタクリレート、ジグリセリンテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート等の4価アルコールのアクリレート化合物;
【0013】
トリグリセリンテトラアクリレート、トリグリセリンペンタアクリレート、トリグリセリンテトラメタクリレート、トリグリセリンペンタメタクリレート等の5価アルコールのアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の6価アルコールのアクリレート化合物等が挙げられる。
【0014】
本発明の(A)成分としては、耐擦傷性の低下が少ないことから、4〜6価アルコールのアクリレート化合物が好ましく、5〜6価アルコールのアクリレート化合物が更に好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが最も好ましい。
【0015】
次に、本発明の(B)成分である分子中にアクリル基又はメタクリル基とカルボキシル基とを有する化合物について説明する。
本発明において、分子中にアクリル基又はメタアクリル基とカルボキシル基とを有する化合物とは、1分子中に、少なくとも1つのアクリル基又はメタアクリル基と、少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物をいう。分子中にアクリル基又はメタアクリル基とカルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸系オリゴマーのグリシジル変性アクリート化合物、アクリル酸系オリゴマーのイソシアネート変性アクリレート化合物、酸ペンダン卜型エポキシアクリレー卜化合物等が挙げられるが、アルカリ現像性が良好で、硬化物の密着性も良好であることから、酸ペンダン卜型エポキシアクリレー卜化合物が好ましい。エポキシアクリレー卜化合物は、エポキシ化合物のエポキシ基にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られる化合物、即ち、エポシ基が(メタ)アクリル酸と開環反応し、(メタ)アクロイル基と水酸基が生成した化合物をいうが、本発明において、酸ペンダン卜型エポキシアクリレー卜化合物とは、エポキシアクリレー卜化合物と多価カルボン酸との酸性部分エステルをいう。
【0016】
本発明の(B)成分としては、硬化物の密着性に優れ、耐擦傷性の低下が少ないことから、下記一般式(3)で表わされる部分構造を有する化合物が好ましい。
【化1】

(式中、R4はアクリル基又はメタアクリル基を表わし、R5は二塩基酸から1つの水酸基を除いた残基を表わす。)
【0017】
前記一般式(3)において、R4はアクリル基又はメタアクリル基を表わし、R5は二塩基酸から1つの水酸基を除いた残基を表わす。二塩基酸から1つの水酸基を除いた残基の二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族飽和二塩基酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族二塩基酸;1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、1,3−シクロヘキシルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸等の脂環族二塩基酸等が挙げられる。
これらの二塩基酸の中では、原料の反応性が優れることから、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、3又は4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、3又は4−メチル−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、及び、3又は4−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸が好ましく、高い硬度を有する硬化物が得られることから、フタル酸、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、及び、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸が更に好ましい。
【0018】
前記一般式(3)で表わされる部分構造を有する化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物のグリシジルエーテルから合成される、酸ペンダント型のエポキシアクリレート化合物である。好ましいフェノール性水酸基を有する化合物としては、分子中に少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、例えば、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール、1,2−ナフタレンジオール、1,3−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、1,8−ナフタレンジオール、2,3−ナフタレンジオール、2,4−ナフタレンジオール、2,5−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、フェノールノボラック、ナフトールノボラック、ナフトール−フェノール共縮ノボラック、クレゾールノボラック、4−ヒドロキシスチレンオリゴマー、下記式(4)で表わされる化合物、下記一般式(5)で表わされるビスフェノール化合物等が挙げられ、これらの中でも、耐擦傷性の低下が少ないことから、下記一般式(5)で表わされるビスフェノール化合物が好ましい。
【化2】

(式中、R6は、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホン基、炭素数1〜15の2価の炭化水素基又は直接結合を表わす。)
【0019】
前記一般式(5)において、R6は、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホン基、炭素数1〜15の2価の炭化水素基又は直接結合を表わす。炭素数1〜15の2価の炭化水素基としては、メチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン、イソブチリデン、1−メチルプロピリデン、1−メチルペンチリデン、1−メチルオクチリデン、1−メチルデシリデン、フェニルメチレン、シクロヘキシリデン[下記式(6)]、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン[下記式(7)]、オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン−5−イリデン[下記式(8)]、9H―フルオレン−9−イリデン[下記式(9)]、インダン−1−イリデン[下記式(10)]、3−フェニルインダン−1−イリデン[下記式(11)]、フェニレンビス(イソプロピリデン)[下記式(12)]、下記式(13)で表わされる基等が挙げられる。
【化3】

【0020】
6としては、耐擦傷性の低下が少ないことから、芳香環を有する2価の炭化水素基が好ましく、9H―フルオレン−9−イリデン、インダン−1−イリデン、3−フェニルインダン−1−イリデン、及び、フェニレンビス(イソプロピリデン)が更に好ましい。
【0021】
本発明の硬化性樹脂組成物において、(B)成分の含有量があまりに少ない場合には、アルカリ現像性が不十分となり、またあまりに多い場合には、耐擦傷性が低下することから、(B)成分の含有量は、(A)成分と(C)成分の合計量100質量部に対して、1〜60質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることが更に好ましく、7〜18質量部であることが最も好ましい。
【0022】
前記一般式(3)で表わされる部分構造を有する化合物は、下記式(3a)で表わされる部分構造を有する化合物のエポキシ基に、アクリル酸又はメタクリル酸を反応させて、下記一般式(3b)で表わされる部分構造を有する化合物とし、下記一般式(3b)で表わされる部分構造を有する化合物の水酸基に二塩基酸又は二塩基酸無水物を反応させることにより得ることができる。下記一般式(3b)で表わされる部分構造を有する化合物と二塩基酸又は二塩基酸無水物との反応では、比較的温和な条件で反応が可能であることから二塩基酸無水物を使用することが好ましい。
【化4】

(式中、R4は前記一般式(3)と同義である。)
【0023】
前記一般式(3a)で表わされる部分構造を有する化合物とアクリル酸又はメタクリル酸との反応、及び前記一般式(3b)で表わされる部分構造を有する化合物と二塩基酸又は二塩基酸無水物との反応は、無触媒でもよいが、反応が円滑に進行することから、触媒を使用することが好ましい。反応触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン等の有機リン系触媒;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系触媒;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等の3級アミン系触媒等が挙げられ、有機リン系触媒を用いることが好ましい。反応触媒の添加量は、各原料の合計量の3質量%以下が好ましく、0.0001〜1質量%が更に好ましく、0.001〜0.1質量%が最も好ましい。反応温度は、通常50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
【0024】
次に、本発明の(C)成分であるグリシジル基を有するシロキサン化合物について説明する。
本発明において、グリシジル基を有するシロキサン化合物とは、1分子中に、少なくとも1つのグリシジル基と、少なくとも1つのシロキサン基(Si−O−Si)とを有する化合物をいう。グリシジル基は、直接ケイ素に結合してもよいし、グリシジル基を有する置換基がケイ素に結合してもよい。グリシジル基を有する置換基としては、例えば、下記の式(14)〜(21)等が挙げられる。ケイ素に結合するグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基としては、硬化物の密着性に優れることから、3,4−エポキシブチル基〔下記式(14)〕、3−グリシドキシプロピル基〔下記式(19)〕、及び2−グリシドキシカルボキシエチル基〔下記式(20)〕が好ましく、3−グリシドキシプロピル基が更に好ましい。
【化5】

【0025】
前記グリシジル基を有するシロキサン化合物としては、下記一般式(1)で表わされる化合物、下記一般式(2)で表わされる化合物、下記一般式(22)で表わされる化合物等が挙げられ、硬化物の密着性の点から、下記一般式(1)で表わされる化合物及び下記一般式(2)で表わされる化合物が好ましく、下記一般式(1)で表わされる化合物が更に好ましい。
【化6】

(式中、R1は同一でも異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、aは3〜6の数を表わす。)
【化7】

(式中、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R3は1分子中に2〜4個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物からビニル基を除いた残基を表わし、Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、bは2〜5の数を表わし、cは2〜4の数を表わす。)
【化8】

(式中、R7〜R11は同一でも異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、X1はメチル、グリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、dは0〜100の数を表わし、eは0〜100の数を表わす。但し、dが0又は1の場合には、X1はグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わす。)
【0026】
前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2級ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、エチルフェニル基、トリル基、クメニル基、キシリル基、プソイドクメニル基、メシチル基、t−ブチルフェニル基、フェネチル基等が挙げられる。R1としては、耐熱性の点から、メチル基、エチル基、及びフェニル基が好ましく、メチル基及びフェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わす。グリシジル基又はグリシジル基を有する置換基については、前記グリシジル基を有するシロキサン化合物で説明した通りである。aは3〜6の数を表わす。原料の工業的な入手の容易さから、aは、3〜5の数が好ましく、3〜4の数が更に好ましく、4の数が最も好ましい。
【0027】
前記一般式(2)において、R2は炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、前記一般式(1)のR1で例示した基が挙げられる。Gは前記一般式(1)と同様である。bは2〜5の数を表わす。原料の工業的な入手の容易さから、bは、2〜4の数が好ましく、2〜3の数が更に好ましく、3の数が最も好ましい。
【0028】
前記一般式(2)において、R3は1分子中に2〜4個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物からビニル基を除いた残基を表わす。2〜4個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物としては、2〜4個のビニル基を有する炭化水素化合物、2〜4個のビニル基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物、2〜3個のビニル基を有するイソシアヌレート等が挙げられる。このような化合物の具体例としては、下記一般式(23)〜(29)で表わされる化合物が挙げられ、耐熱性からは下記一般式(23)〜(25)で表わされる化合物が好ましく、工業的な入手の容易さからは下記一般式(27)で表わされる化合物が好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物のレジスト残渣が残りにくいことから、前記1分子中に2〜4個のビニル基を有する化合物のビニル基の数は、2個が好ましい。
【化9】

(式中、R12〜R14は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、fは1〜3の数を表わし、g及びhは各々独立して0〜6の数を表わす。)
【化10】

(式中、R15〜R17は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、jは0〜10の数を表わす。)
【化11】

(式中、R18は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、kは3又は4の数を表わす。)
【化12】

(式中、R19及びR20は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【化13】

(式中、mは1〜2の数を表わす。)
【化14】

(式中、nは1〜3の数を表わす。)
【化15】

(式中、R21は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、グリシジル基又はアリル基を表わす。)
【0029】
前記一般式(23)で表わされる化合物は、1分子中に2〜4個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(23)において、R12〜R14は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基としては、前記一般式(1)のR1で例示した基等が挙げられ、耐熱性が良好であることから、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基及びフェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。fは1〜3の数を表わし、g及びhは各々独立して0〜6の数を表わす。
【0030】
fが1の数である前記一般式(23)で表わされる化合物の中で、好ましい化合物としては、ジメチルジビニルシラン、ジエチルジビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジビニルジシロキサン等が挙げられ、これらの中でも、ジメチルジビニルシラン、ジエチルジビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン及び1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンが好ましく、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンが更に好ましい。
fが2の数である前記一般式(23)で表わされる化合物の中で、好ましい化合物としては、メチルトリビニルシラン、エチルトリビニルシラン、フェニルトリビニルシラン、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,3,5−トリビニルトリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニル−1,3,5−トリビニルトリシロキサン、トリス(ジメチルビニルシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルビニルシロキシ)フェニルシラン等が挙げられる。
fが3の数である一般式(23)で表わされる化合物の中で、好ましい化合物としては、テトラビニルシラン、テトラキス(ジメチルビニルシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0031】
前記一般式(24)で表わされる化合物は、1分子中に4個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(24)において、R15〜R17は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基としては、前記一般式(1)のR1で例示した基等が挙げられ、耐熱性が良好であることから、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基及びフェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。
jは0〜10の数を表わす。
前記一般式(24)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラビニルジシロキサン、1,3,3,5−テトラメチル−1,1,5,5−テトラビニルトリシロキサン、1,5−ジメチル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラビニルトリシロキサン等が挙げられる。
【0032】
前記一般式(25)で表わされる化合物は、1分子中に3〜4個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(25)において、R18は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基としては、前記一般式(1)のR1で例示した基等が挙げられ、耐熱性が良好であることから、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基及びフェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。
kは3又は4の数を表わし、工業的な入手の容易さから、4の数が好ましい。kが3の数である前記一般式(25)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6−トリエチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6−トリフェニル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4−ジメチル−6−フェニル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン等が挙げられる。
kが4の数である前記一般式(25)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラエチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラフェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロトリシロキサン2,4,6−トリメチル−8−フェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロトリシロキサン、2,4−ジメチル−6,8−ジフェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロトリシロキサン等が挙げられる。
【0033】
前記一般式(26)で表わされる化合物は、1分子中に2個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(26)において、R19及びR20は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基としては、前記一般式(1)のR1で例示した基等が挙げられ、耐熱性が良好であることから、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基及びフェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記一般式(26)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、1,2−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,2−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン等が挙げられ、1,2−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン及び1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼンが好ましく、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼンが更に好ましい。
【0034】
前記一般式(27)で表わされる化合物は、1分子中に2〜3個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(27)において、mは1〜2の数を表わす。
mが1の数である前記一般式(27)で表わされる化合物としては、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼンが挙げられる。
mが2の数である前記一般式(27)で表わされる化合物としては、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼンが挙げられる。
【0035】
前記一般式(28)で表わされる化合物は、1分子中に2〜4個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(28)において、nは1〜3の数を表わす。
nが1の数である前記一般式(28)で表わされる化合物としては、1,2−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサンが挙げられる。
nが2の数である前記一般式(28)で表わされる化合物としては、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,3,5−トリビニルシクロヘキサンが挙げられる。
nが3の数である前記一般式(28)で表わされる化合物としては、1,2,4,5−テトラビニルシクロヘキサンが挙げられる。
【0036】
前記一般式(29)で表わされる化合物は、1分子中に2〜3個のビニル基を有する化合物である。前記一般式(29)において、R21は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、グリシジル基又はアリル基を表わす。R21としては、メチル基、エチル基、グリシジル基及びアリル基が好ましい。
前記一般式(29)で表わされる化合物の中で、好ましい化合物としては、1,3−ジアリル−5−メチルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−エチルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレート1,3,5−トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0037】
前記一般式(2)において、cは2〜4の数を表わす。R3が1分子中に2個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物からビニル基を除いた残基の場合には、cは2の数を表わし、R3が1分子中に3個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物からビニル基を除いた残基の場合には、cは3の数を表わし、R3が1分子中に4個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物からビニル基を除いた残基の場合には、cは4の数を表わす。
【0038】
前記一般式(22)において、R7〜R11は同一でも異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基としては、前記一般式(1)のR1で例示した基が挙げられる。R7〜R11としては、耐熱性が良好であることから、メチル基、エチル基、プロピル基及びフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基及びフェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。dは0〜100の数を表わし、eは0〜100の数を表わす。(A)成分との相溶性の点からは、d+eが0〜100の数が好ましく、0〜30の数が更に好ましく、0〜10の数が最も好ましい。Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、X1はメチル基、グリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わすが、dが0又は1の場合には、X1はグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わす。グリシジル基又はグリシジル基を有する置換基は前記一般式(1)と同様である。
【0039】
本発明の硬化性樹脂組成物において、(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることが更に好ましく、2〜15質量部であることが最も好ましい。
【0040】
前記一般式(1)で表わされる化合物は、下記一般式(1a)で表わされる化合物のSiH基に、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物の炭素−炭素二重結合をヒドロシリル化反応させることにより得ることができる。
【化16】

(式中、R1及びaは前記一般式(1)と同義である。)
【0041】
前記SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、前記式(14)〜(21)を導入する場合には、下記式(14a)〜(21a)を使用すればよい。
【化17】

【0042】
下記一般式(1a)で表わされる化合物と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物とのヒドロシリル化反応は、白金系触媒を用いて反応させればよい。白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko触媒)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt[P(C6534、PtCl[P(C6533、Pt[P(C4934]、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OC6534)、Pt[P(OC4934)、ジカルボニルジクロロ白金等が挙げられる。パラジウム系触媒又はロジウム系触媒としては、例えば、前記白金系触媒の白金原子の換わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有する化合物が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ヒドロシリル化触媒としては、反応性の点から、白金系触媒が好ましく、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体及び白金−カルボニルビニルメチル錯体が更に好ましく、白金−カルボニルビニルメチル錯体が最も好ましい。また、触媒の添加量は反応性の点から、各原料の合計量の5質量%以下が好ましく、0.0001〜1質量%が更に好ましく、0.001〜0.1質量%が最も好ましい。ヒドロシリル化の反応条件は特に限定されず、前記触媒を使用して従来公知の条件で行なえばよいが、反応速度の点から、室温(25℃)〜130℃で行なうのが好ましく、反応時にトルエン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の従来公知の溶媒を使用してもよい。
【0043】
前記一般式(2)で表わされる化合物は、下記一般式(2a)で表わされる化合物の1つのSiH基に、2〜4個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物のビニル基をヒドロシリル化反応させた後、残りのSiH基にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物の炭素−炭素二重結合をヒドロシリル化反応させればよい。
【化18】

(式中、R2及びbは前記一般式(2)と同義である。)
【0044】
前記のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、前記式(14)〜(21)を導入する場合には、前記式(14a)〜(21a)を使用すればよい。ヒドロシリル化反応の条件は前記一般式(1)で表わされる化合物の場合と同様の条件でよい。
【0045】
前記一般式(22)で表わされる化合物は、下記一般式(22a)で表わされる化合物のSiH基に、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物の炭素−炭素二重結合をヒドロシリル化反応させればよい。
【化19】

(式中、R7〜R11、d及びeは前記一般式(3)と同義であり、X2はメチル又は水素原子を表わす。但し、dが0又は1の場合には、X2は水素原子を表わす。)
【0046】
前記SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、前記式(14)〜(21)を導入する場合には、前記式(14a)〜(21a)を使用すればよい。ヒドロシリル化反応の条件は前記一般式(1)で表わされる化合物の場合と同様の条件でよい。
【0047】
次に、本発明の(D)成分である光ラジカル発生剤について説明する。本発明において、光ラジカル発生剤とは、ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、電子線等の照射によりラジカルを発生させる化合物をいう。
【0048】
前記光ラジカル発生剤としては、例えば、アセトフェノン系光ラジカル発生剤、ベンジル系光ラジカル発生剤、ベンゾフェノン系光ラジカル発生剤、チオキサントン系光ラジカル発生剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤、オキシム系光ラジカル発生剤等が挙げられる。
【0049】
前記アセトフェノン系光ラジカル発生剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−ビニル−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのオリゴマー等が挙げられる。
【0050】
前記ベンジル系光ラジカル発生剤としては、例えば、ジフェニルジケトン(ベンジルともいう)、ビス(4−メトキシフェニル)ジケトン(アニシルともいう)等が挙げられる。
【0051】
前記ベンゾフェノン系光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0052】
前記チオキサントン系光ラジカル発生剤としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオオキサントン等が挙げられる。
【0053】
前記アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤としては、例えば、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル等のモノアシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤;ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤があげられる。
【0054】
前記オキシム系光ラジカル発生剤としては、例えば、1−{(4−フェニルチオ)フェニル}−1,2−ブタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−{(4−フェニルチオ)フェニル}−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−{(4−フェニルチオ)フェニル}−1−オクタノン−1−(O−アセチルオキシム)、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)フェニル}−1,2−プロパンジオン−2−(O−アセチルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル){4−(2−メトキシ)−1−メチルエトキシ}−2−メチルフェニル}メタノン(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0055】
前記光ラジカル発生剤としては、本発明の硬化性樹脂組成物の反応性が良好であることから、オキシム系光ラジカル発生剤が好ましく、1−{(4−フェニルチオ)フェニル}−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、及び、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)フェニル}−1,2−プロパンジオン−2−(O−アセチルオキシム)が更に好ましく、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)フェニル}−1,2−プロパンジオン−2−(O−アセチルオキシム)が最も好ましい。光ラジカル発生剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物において、(D)成分の含有量が、あまりに少ない場合には硬化が不十分となる場合があり、あまりに多い場合には、硬化物の物性に悪影響がでる場合があることから、(D)成分の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物100質量部(ただし、有機溶媒を除く)に対して0.3〜20質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましい。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物には、密着性が更に向上することから、更に、(E)リン酸アクリレート化合物を含有することが好ましい。本発明において、リン酸アクリレート化合物とは、分子中にアクリル基又はメタクリル基を有するリン酸化合物をいう。リン酸アクリレート化合物としては、密着性の向上効果が大きいことから、下記一般式(30)で表わされる化合物が好ましい。
【化20】

(式中、R23はアクリル基又はメタアクリル基を表わし、R24は炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、pは1〜3の数を表わす。)
【0058】
23はアクリル基又はメタアクリル基を表わし、R24は炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基等が挙げられる。R24としては、エチレン基、1−メチルエチレン基及び2−メチルエチレン基が好ましく、エチレン基が更に好ましい。pは1〜3の数を表わす。pとしては、密着性の向上効果が大きいことから、1又は2の数が好ましく、この場合、pが1の数の化合物とpが2の数の化合物と混合物でもよい。
【0059】
本発明の硬化性樹脂組成物において、(E)成分の含有量があまりに少ない場合には、密着性が向上せず、あまりに多い場合には、本発明の硬化性樹脂組成物の保存安定性や硬化物の耐水性等に悪影響がでることから、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.2〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることが更に好ましい。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(E)成分に加えて、必要に応じて、(F)有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物を溶解して、スピンコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スリットコート法等の各種の塗装方法に適した粘度となるよう配合される成分である。
【0061】
前記有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のグリコール誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサノール等の脂環式炭化水素及び石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0062】
前記(F)成分としては、(A)〜(E)成分を均一に溶解できるものであれば、特に限定されないが、耐擦傷性の低下が少ないことから、グリコール誘導体が好ましい。(F)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)〜(E)成分の合計量100質量部に対して、30〜300質量部が好ましい。
【0063】
また更に必要に応じて各種の添加剤、例えばタルク、硫酸バリウム、シリカ、クレー等の充填剤;アエロジル等のチキソトロピー付与剤;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン等の着色剤;シリコーン系、フッ素系のレベリング剤や消泡剤;ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤等を添加することが出来る。
【0064】
本発明の硬化性樹脂組成物は、対象材料に塗布した後、可視光線、紫外線、エックス線等の活エネルギー線により硬化される。塗布の方法としては、スピンコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スリットコート法等、公知の方法が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物の塗膜の厚さは、使用の目的により異なるが、画像表示装置の画像表示面のハードコート材料として使用する場合は、硬化後の膜厚が0.1〜30μmとなる厚さであることが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物が、(F)有機溶剤を含有する場合には、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布後に、プリベイクしてから、硬化することが好ましい。プリベイクは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間行われる。
【0065】
本発明の硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させる場合、紫外線等の活エネルギー線の光源としては、超高圧水銀灯、DeepUVランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマレーザー等が挙げられ、これらの光源は、光ラジカル発生剤や増感剤の感光波長に応じて適宜選択される。活性エネルギー線の照射エネルギーは、硬化性樹脂組成物の層の厚さや光ラジカル発生剤の種類や使用量により適宜選択される。
【0066】
本発明の硬化性樹脂組成物から得られる塗膜はフォトリソグラフィが可能であり、アルカリ現像が可能なネガ型フォトレジストとして使用することができる。ネガ型フォトレジストとして使用する場合は、本発明の硬化性樹脂組成物から形成された塗膜に活性エネルギー線を照射する場合に、フォトマスクで被覆して活性エネルギー線を選択的に照射した後、遮光した部分(未硬化部分)をアルカリ現像液に溶解・分散させて除去すること(現像という場合がある)により、パターニングされた硬化膜を形成することができる。アルカリ現像液は、アルカリ性化合物の水溶液に、必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を配合したものである。アルカリ現像液のアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ化合物;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1、5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等アミン又はアンモニウム化合物等が挙げられる。
【0067】
現像後、硬化膜の硬度が更に向上することから、ポストベークすることが好ましい。ポストベークは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて、160℃〜250℃で5分〜3時間行うことが好ましい。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物により得られる硬化膜は、透明性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐擦傷性に優れることから、半導体装置等の層間絶縁膜、平坦化膜、永久絶縁膜等の用途に有用である。これら以外に、本発明の硬化性樹脂組成物は、プラスチック部材のハードコート材料として有用であり、特に、照明カバー、装飾材等の照明部材、ヘッドランプ部品、インパネ部品等の自動車部材、自動車塗装等のハードコート材料として有用である。
【実施例】
【0069】
以下、実施例等により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、実施例中の「部」や「%」は質量基準によるものである。また質量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としてGPC(Gel Permeation Chromatography)分析を行った場合のポリスチレン換算の質量平均分子量を質量平均分子量とした。また、エポキシ当量は、JIS K−7236(エポキシ樹脂の求め方)に準拠して測定した。
【0070】
〔製造例1:シロキサン化合物C1の製造〕
温度計及び攪拌装置を備えたガラス製反応容器に、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン240g(1モル)、アリルグリシジルエーテル456g(4モル)、溶剤としてトルエン300g、触媒として白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)15mgを加えて、攪拌しながら50〜60℃で15時間反応させた。この反応液から溶媒を60℃で減圧留去し、下記のシロキサン化合物C1を得た。シロキサン化合物C1は、前記一般式(1)においてR1がメチル基、Gが3−グリシジルオキシプロピレン基、aが4の数である化合物である。
【化21】

【0071】
〔製造例2:シロキサン化合物C2の製造〕
製造例1において、アリルグリシジルエーテル456g(4モル)の代わりに、2,3−エポキシプロピルアクリレート512g(4モル)を使用し、重合防止剤としてp−メトキシフェノール0.05gを加えて反応した以外は、製造例1と同様の操作を行い、下記のシロキサン化合物C2を得た。シロキサン化合物C2は、前記一般式(1)においてR1がメチル基、Gが3−グリシジルカルボニルオキシプロピル基、aが4の数である化合物である。
【化22】

【0072】
〔製造例3:シロキサン化合物C3の製造〕
温度計及び攪拌装置を備えたガラス製反応容器に2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン240g(1モル)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビニルジシロキサン96g(0.5モル)、溶剤としてトルエン300g、触媒として白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)15mgを加えて、攪拌しながら50〜60℃で3時間反応させた。更に、アリルグリシジルエーテル342g(3モル)を加えて、攪拌しながら50〜60℃で15時間反応させた。この反応液から溶媒を60℃で減圧留去し、下記のシロキサン化合物C3を得た。シロキサン化合物C3は、前記一般式(2)においてR1がメチル基、aが4の数であり、R3が1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビニルジシロキサンからビニル基を除いた残基である化合物である。
【化23】

【0073】
〔製造例4:シロキサン化合物C4の製造〕
製造例3において、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビニルジシロキサン96g(0.5モル)の代わりに、1,4−ジビニルベンゼン65g(0.5モル)を使用し、重合防止剤としてp−メトキシフェノール0.05gを加えて反応した以外は、製造例3と同様の操作を行い、下記のシロキサン化合物C4を得た。シロキサン化合物C4は、前記一般式(2)においてR1がメチル、aが4の数であり、R3がジビニルベンゼンからビニル基を除いた残基(つまり、1,4−フェニレン基)である化合物である。
【化24】

【0074】
〔実施例1〜8及び比較例1〜9:本発明及び比較の硬化性樹脂組成物の製造及び評価〕
(A)成分として下記A1、A2、(B)成分として下記B1、B2、(C)成分として前記製造例1〜4で得られたC1〜C4又は下記C’1〜C’3、(D)成分として下記D1、(E)成分として下記E1、(F)成分として下記F1を用いて、下記〔表1〕に示す割合で配合後、ろ過して、実施例1〜8及び比較例1〜9の硬化性組成物を調製した。
【0075】
(A)成分
A1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
A2:ペンタエリスリトールトリアクリレート
(B)成分
B1:
【化25】

B2:
【化26】

(C’)成分(比較用)
C’1:
【化27】

C’2:
【化28】

C’3:フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、商品名:EPICLON N−730A、エポキシ当量:175)
(D)成分
D1:1−{4−(2−ヒドロキシエトキシフェニルチオ)フェニル}−1,2−プロパンジオン−2−(O−アセチルオキシム)
(E)成分
E1:2−メタクリロキシエチルホスフェートとビス(2−メタクリロキシエチル)ホスフェートの等モル混合物
(F)成分
F1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0076】
【表1】

【0077】
<付着性試験、耐擦傷性試験>
10cm四方のガラス基板又はITO蒸着ガラス基板(ITO基板)に、実施例1〜8及び比較例1〜9の硬化性組成物硬化性組成物を、溶媒揮発後の厚さが5μmになるようスピンコートにより塗布し、溶剤を揮発させた後、90℃で1分間プリベイクした。次に、高圧水銀灯により120mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を照射した後、230℃で30分間ポストベイクすることにより硬化させた。これらの試験片を用いて、下記に示す方法にて、付着性試験(耐熱付着性試験、耐湿付着性試験)及び耐擦傷性試験を行った。結果を〔表2〕に示す。
【0078】
1.付着性試験
JIS K5600−5−6(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法))に準拠し、硬化膜の基板への付着性を評価した。尚、カットの間隔は1mmとした。また、評価結果は0〜5の6段階であり、数字は小さい程、密着性に優れていることを示す。
【0079】
1−1.耐熱付着性試験
ガラス基板の試験片及びITO基板の試験片を、230℃の恒温槽で2時間加熱後、前記1の方法により、密着性を評価した。
【0080】
1−2.耐湿付着性試験
ガラス基板の試験片及びITO基板の試験片を、121℃、2気圧、相対湿度100%の高圧恒温恒湿槽に3時間入れた後、前記1の方法により、密着性を評価した。
【0081】
2.耐擦傷性試験
ガラス基板の試験片について、JIS K5600−5−4(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法))に準拠し、硬化膜の引っかき硬度を測定した。尚、評価結果は、6H、5H、4H、3H、2H、Hの順に耐擦傷性に優れていることを示す。
【0082】
<現像性試験>
10cm四方のガラス基板に、実施例1〜8、比較例1〜9の硬化性組成物を、溶媒揮発後の厚さが5μmになるようスピンコートにより塗布し、溶剤を揮発させた後、90℃で1分間プリベイクした。線幅20μm、25μm、30μm、35μm、40μmのラインアンドスペースが描かれたフォトマスク(ラインはそれぞれ10本ずつ)を設置し、高圧水銀灯により120mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を照射した後、2.38%テトラエチルアンモニウムヒドロキシドに30秒浸漬して現像した。現像後、純粋でリンスし、230℃で30分ポストベイクした。切断のないパターンが形成できた最小の線幅を解像度とした。結果を〔表2〕に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
上記〔表2〕の結果から明らかなように、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化被膜は、ガラス基板及びITO蒸着ガラス基に対する優れた密着性と、高い耐擦傷性とをかね備えていることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)多価アルコールアクリレート化合物、(B)分子中にアクリル基又はメタアクリル基とカルボキシル基とを有する化合物、(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物及び(D)光ラジカル発生剤を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物が、下記一般式(1)で表わされる化合物又は下記一般式(2)で表わされる化合物である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1は同一でも異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、aは3〜6の数を表わす。)
【化2】

(式中、R2は同一でも異なってもよい炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わし、R3は1分子中に2〜4個のビニル基を有し分子量が1000以下の化合物からビニル基を除いた残基を表わし、Gはグリシジル基又はグリシジル基を有する置換基を表わし、bは2〜5の数を表わし、cは2〜4の数を表わす。)
【請求項3】
前記(C)グリシジル基を有するシロキサン化合物が、3−グリシドキシプロピル基を有するシロキサン化合物である請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、(E)リン酸アクリレート化合物を含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−113968(P2013−113968A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258776(P2011−258776)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】