クッション要素、履物、インソール、変形可能な充填物、及び包被
変形可能な充填物(12)と、変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素。包被は、少なくとも1つの流路(837)を形成するために配置される。使用時には、物理的負荷によって引き起こされる変形可能な充填物の圧力が増大する結果、少なくとも変形可能な充填物のうちの一部分が、少なくとも1つの流路に流れ込む。変形可能な充填物は、固形物を含み、相互にその固形物を滑りやすい状態にするための潤滑液を更に含む。少なくとも1つの流路の寸法は、緩衝作用中に、固形物が少なくとも1つの流路に入り込まないように調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形可能な充填物と、変形可能な充填物を包み込む包被を有する履物のためのクッション要素に関する。本発明は、クッション要素を有するインソールに関する。更に、本発明は、クッション要素及び/又はインソールを有する履物に関する。更に、本発明は、変形可能な充填物に関する。また、本発明は、包被に関する。
【背景技術】
【0002】
履物のクッションは、履物のユーザの足に対する物理的な負荷を減らすために重要である。例えば、走っている時は、その負荷は比較的高いだけでなく、歩いている時も、ユーザはかなりの負荷を感じるものである。従って、多くの履物には、その負荷の一部を吸収する、例えば、分散することが出来るクッションが備わっている。公知のクッションソールは、一般にEVA材料と呼ばれるエチレンビニールアセテートによって形成される。
【0003】
別の公知のクッションソールが、流体力学的パッドに関する米国特許番号5,704,137に示されている。物理的な負荷の結果、流体力学パッド内部の流体は、漏斗に押し出されて、その結果、負荷の一部が分散される。同時に、流体の流れは、流体力学パッドの外形を変化させるので、ユーザのかかとに対するシートが形成される。しかし、このようなシートの形成が、クッション作用に貢献する訳ではない。その代わり、むしろ、シートの形成は、続いて起こる負荷の吸収を妨げる。
【0004】
これら及びその他の公知のクッションソールは有用であるが、依然、理想的ではない。実際、怪我をしがちなアスリートのようなユーザや、いくぶん脆弱な体形の普通のユーザでも、依然、十分なクッション性能を持った靴を探し出すのには苦労している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、本発明の目的は、履物の為の改良されたクッション要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それ故、本発明は、変形可能な充填物と、変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素であって、包被は少なくとも1つの流路を形成するように配置され、使用時には、変形可能な充填物の少なくとも一部が物理的衝撃のような物理的負荷によって生じる変形可能な充填物の増大した圧力の結果として、少なくとも1つの流路に流れ込み、変形可能な充填物は固形物を含み、固形物を相互に滑りやすい状態に保つ潤滑液をさらに含み、少なくとも1つの流路は緩衝作用中に、少なくとも1つの流路に固形物が入り込まないような寸法で形成されるクッション要素を提供する。増大した圧力の結果、潤滑液は、使用時には、少なくとも1つの流路に流れ込む。これによって、少なくとも1つの流路の外部の固形物の濃度が増大して、少なくとも1つの流路の外部の変形可能な充填物の粘度が増大する。そのような粘度の増大は、より高いエネルギー分散につながる。その為、物理的負荷を分散することによってクッション作用を達成することが出来るので、クッション性能が改善される。公知の履物に関して問題を感じていないユーザも、クッション要素が提供するさらなる快適さの利益を受けることが出来ることは明らかである。
【0007】
より強い負荷は、少なくとも1つの流路を通した潤滑液のより勢いのある流出となり、それ故に、少なくとも1つの流路の外部の変形可能な充填物の粘度の増大になることは理解できる。このようにして、1つ及び同じクッション要素が、体重が異なるユーザに使用出来る。より体重のあるユーザにとって、その潤滑液のより多い量が変形可能な充填物から流出して、その結果、粘度の増大につながり、従って、体重のあるユーザに好ましいような、より効果的なクッション性能につながる。
【0008】
本発明者は、包被内部の変形可能な充填物の組成の変化、つまり、変形可能な充填物の粘度の低い部分とより粘度の高い部分への可逆的な分離が、クッション性能の改善を可能にすることを認識した。そのようなクッション作用を、インソールの実質的な重量増加、つまり履物の実質的な重量増加を伴わないで達成することが出来る。EVAのような付加的なクッション材料が、履物のクッション性能を増加するために追加されると、実質的な重量増加となる可能性がある。
【0009】
好ましくは、使用時には固形物を含む変形可能な充填物は、粘弾性的な挙動をする。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つの流路は、緩衝作用中に、少なくとも1つの流路に固形物が入り込むのを妨げる寸法で形成される。このようにして、クッション作用は更に改善される。
【0011】
一実施形態において、固形物は実質的に球形をしている。このようにして、変形可能な充填物全体に含まれる固形物の均一流体特性が達成可能となる。
【0012】
一実施形態において、固形物の直径は、少なくとも0.1ミリメートル及び/又は最大2ミリメートルである。2ミリメートル以上の直径を有する固形物をユーザは感じるかもしれない。これは、心地よいものではないだろう。
【0013】
一実施形態において、固形物は、少なくとも部分的に、テフロン(登録商標)で形成されると都合が良い。使用時には、変形可能な充填物が変形されつつある時、固形物は相互に滑りあう。テフロン(登録商標)は固形物の摩擦係数に影響して、変形可能な充填物の流動特性は、固形物中のテフロン(登録商標)の量を調整することによって、調整することが出来るという利点がある。一実施形態において、固形物は、少なくとも部分的に、ポリエチレンによって形成される場合に、商業的に魅力ある改良型が達成される。
【0014】
一実施形態において、固形物と潤滑液の体積比は、1から10の範囲であり、好ましくは、1.5から5の間の範囲にある。このようにして、少なくとも1つの流路を流れる比較的少量の潤滑液のために、粘度の比較的急激な増加を得ることが出来る。
【0015】
一実施形態において、使用時には、物理的負荷によって引き起こされた変形可能な充填物への圧力の為に、変形可能な充填物に含まれる潤滑液の体積の少なくとも10%、最大で20%によって形成されるように潤滑液の粘度が調整され、及び少なくとも1つの流路の寸法が決定される。いかなる理論によっても縛られないで、少なくとも1つの流路の粘度と寸法をそのような配置することは、当業者には公知のハーゲンボアズイユ(Hagen-Poisseuille)の式を使用して実施することが可能である。
【0016】
【0017】
一実施形態において、流路の総数は3から12の範囲にあり、好ましくは6前後である。すべての流路を収容するためのクッション要素内のスペースは非常に小さいので、あまりにも多くの流路を有することは問題になる。このことは、クッション要素をインソールの中に置くように寸法を決める場合には特に重要である。しかし、あまりにも少ない流路を有する場合には、流路は、比較的大きな直径を有する必要がある。ところが、比較的大きい直径の場合、クッション要素内に収容することが問題になる場合がある。このことは、クッション要素をインソールの中に設置するように寸法を決める場合には、特に重要である。
【0018】
固形物のヤング率に関して、なんら重大な制限は予測されない。比較的軟らかい固形物は、クッション性能を促進するので、この比較的軟らかい固形物は有益であることは本発明者によって認識される。しかし、固い固形物も使うことが可能である。
【0019】
一実施形態において、潤滑液の粘度は、0.001から1.5Pa・s、好ましくは、0.075Pa・s前後である。
【0020】
好ましくは、固形物は、粒状媒質を形成する。状況に応じて、固形物はコロイド粒子である。
【0021】
固形物を相互に滑りやすくする潤滑液を含む変形可能な充填物は、予期しない利益を提供する。本発明者は、多くのユーザが、最良のクッションのために必要である以上に軟らかいクッション要素を選択する傾向にあることに気付いていた。その様な選択は、ユーザの手や指でクッション要素を触ることでしばしば成されることである。しかし、手や指でクッション要素に及ぼされる力は、通常、使用時にはクッション要素に及ぼされる力よりもずっと小さい。僅かなユーザしかこのことを理解していない。本実施形態のクッション要素は、ランニング中などに物理的負荷によって引き起こされる比較的大きな力によって変形された時のクッション性能が改善されるという特性を有しており、手や指で加えられるような比較的小さい力で変形した時には、比較的軟らかい感じを与える。その結果、ユーザは、あまりにも柔らかいインソールを選択する傾向があるにも拘わらず、正しい選択をすることが出来る。これは、固形物と潤滑液を含んだ変形可能な充填物によって実現される。比較的小さい力で変形された場合、潤滑液は、固形物の間を流れて、その結果、ユーザは、比較的軟らかいクッション要素を経験する。しかし、比較的大きい力で変形された場合、固形物は相互に作用して、その結果、変形可能な充填物全体が効果的に物理的負荷を分散して及び/又は物理的負荷を蓄積する。本実施形態が、変形可能な充填物の粘弾性挙動と組み合わされる又は使用時には、変形可能な充填物が粘性的に挙動して、包被が弾性的に挙動した場合、変形可能な充填物は、使用時には、比較的小さい力に対して、優位に粘性的挙動する一方、物理的負荷の間に加えられる比較的大きな力に対して、変形可能な充填物や包被の粘弾性的な挙動が発生する可能性がある。
【0022】
一実施形態においては、包被は、弾性的に可変な容積を有する。その結果、包被が取り囲む容積は、使用時に変化する可能性がある。少なくとも1つの流路が、回復性のある部材と流体結合している場合、弾性的に可変な容積が実現される。弾性的に可変な容積によって、物理的負荷の一部分は、包被に弾性的に蓄積されて、その結果、クッション性能は改善される。
【0023】
一実施形態において、包被は、包被のその他の部分と比較して剛性を低くした少なくとも1つの変形可能な部分を有しており、物理的負荷によって引き起こされた変形可能な充填物の増大した圧力が少なくとも1つの変形可能な部分に掛る結果、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張りを実質的には可逆的に生じることによって、少なくとも1つの流路を生じるように包被が設けられている。一般的に、本発明者は、本発明とは別の観点に於いて、変形可能な充填物と、その変形可能な充填物を包囲している包被を有した履物のためのクッション要素であって、前記包被は、包被の他の部分と比較して剛性を低くした少なくとも1つの変形可能な部分を有しており、また、クッション要素は、物理的負荷によって引き起こされた、少なくとも1つの変形可能な部分に対する変形可能な充填物の圧力の増大による結果、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張りを実質的には可逆的に、生じるように配置されたクッション要素を提供することの価値を認識していた。この観点によれば、変形可能な充填物は、固形物と潤滑液を含むことも可能であるし、含まないことも可能であることは明らかである。実施形態に於いて、さらに一般的な観点では、3つの利点のうちの1つ以上が実現可能である。第一に、出っ張りを形成する場合、弾性エネルギーが、変形可能な部分に蓄積される。第二に、実質的には可逆的な作用として、変形可能な部分によって、物理的負荷が分散され/又は弾性的に蓄積された後に、クッション要素が、その元の形状に回復される。第三に、圧力の結果、使用時の潤滑液は、出っ張りに流れ込み、その結果、少なくとも物理的負荷のエネルギーの一部が分散される。そのような分散によって、クッション性能は改善される。本実施形態に於いては、好ましくは、少なくとも1つの流路の外部(及び包被の内部)の変形可能な充填物に分散された弾性エネルギーは、変形可能な部分の弾性エネルギーの蓄積と、及び少なくとも1つの流路内部のエネルギー分散よりも優位である。しかし、本発明とは別の観点では、この事情は異なるだろう。例えば、本発明の別の観点では、少なくとも1つの流路内部のエネルギー分散の方が優位になる可能性もある。
【0024】
弾性的可変体積は、例えば、包被が少なくとも1つの変形可能な部分を有している場合、実現され得る。
【0025】
回復性のある部材あるいは少なくとも1つの変形可能な部分と、変形可能な充填物との組み合わせで、クッション要素の粘弾性な挙動が実現可能となる。
【0026】
使用時に出っ張りを生じることは、実質的には可逆的である。これは、使用時には、少なくとも1つの変形可能な部分が壊れたり、その他重大な不可逆的に曲がることなしに、出っ張りを繰り返し生じたりすることが可能であるという意味である。また、クッション要素は、物理的負荷が取り除かれた後に、出っ張りが消失するように設置されるという意味である。そのような消失は、例えば、少なくとも1つの変形可能な部分に蓄積された弾性エネルギーのために起こる。この場合、出っ張りを消失させるための時間は、物理的負荷のエネルギーは、通常、少なくとも1つの変形可能な部分に蓄積された弾性エネルギーよりも大きいので、出っ張りを生じるための時間よりも長いということが本発明者によって認識された。しかしながら、使用時には、連続負荷が非常に頻繁に起こるので、出っ張りは部分的に消失するだけである。
【0027】
少なくとも1つの変形可能な部分は、包被の残りの部分に比較して剛性を低くする。この現象は、残りの部分よりも剛性の低い材料で形成された変形可能な部分によって実現される。別に又は付加的に、このことは、異なる形状を有する変形可能な部分、例えば、包被の残りの部分よりも薄い変形可能な部分によって達成される。
【0028】
本発明者は、包被の形状の変化、つまり、1つ以上の出っ張りの発現手段によりクッション作用が可能となる値を認識している。そのようなクッション作用は、例えば、実質的な履物の重量の増加を伴わないで、実現可能である。履物のクッション性能を増加させるために、EVAのような付加的クッション材料を加えると、そのような実質的な重量の増加が起こる。
【0029】
一実施形態において、変形可能な充填物の分散は、使用時には、生じる出っ張りの影響によって、時間とともに変化する。このことは、漏斗の寸法が変化しない米国特許番号5,704,137では異なる。それ故に、本実施形態のクッション要素では、出っ張りが生じる場合に、次第に分散も強化されるという意味に於いて、米国特許番号5,704,137以上の付加的な利点を提供できる。例えば、出っ張りはより長くなり、その結果、出っ張りへの変形可能な充填物の流路もより長くなり、それ故、分散は増進され、クッション作用は改善される。好ましくは、クッション要素は、変形可能な充填物の圧力の為に、変形可能な充填物の出っ張りの中への流れを有するように配置される。この様に、出っ張りは生じる。好ましくは、変形可能な部分の大きさは、変形可能な充填物の出っ張り内への流れの方向に対して直角な出っ張りの寸法よりも長い、変形可能な充填物の出っ張りへの流れの方向に沿った出っ張り寸法を有するようになっている。出っ張りのそのような形状は、物理的負荷の分散を増進する。
【0030】
一実施形態において、包被の残りの部分は、少なくとも1つの変形可能な部分を規定するために、少なくとも1つの開口部から成る支持部材を具備する。好ましくは、支持部材は、包被の少なくとも1つの変形可能な部分と比較してそれ以上の高い剛性を有する。好ましくは、支持部材は、包被の残りの部分の動きを規制する。支持部材は、包被の少なくとも1つの変形可能な部分と比較して、より高い剛性を有すること及び/又は支持部材が包被の残りの部分の動きを規制している場合、少なくとも1つの変形可能な部分は、包被の残りの部分に比較して低い剛性を有する状態が実現される。支持部材は、使用時に、クッション要素への尖った物体が原因となる物理的損傷からの防御を形成する。
【0031】
好ましくは、支持部材は、変形可能な充填物を包囲する。
【0032】
一実施形態において、支持部材は、開口部から延展し、少なくとも1つの出っ張りを受けるように配置される少なくとも1つの漏斗を有する。変形可能な充填物の流れの方向に沿った出っ張りの寸法は、変形可能な充填物の流れ方向に対して直角な出っ張りの寸法よりもずっと大きいということを漏斗は保証する。それ故、漏斗の最大長さと最大幅の比は、好ましくは1よりも大きく、より好ましくは5よりも大きく、特に10よりも大きいのが好ましい。
【0033】
一実施形態において、漏斗は、出っ張りのサイズを限定するための制限を有する。この様に、漏斗の縦方向の出っ張りのサイズを制限することが出来る。この制限は、変形可能な部分があまりにも変形した場合に容認可能な変形可能な部分の回復性を保持するために特に役に立つ。それ故に、漏斗の寸法、つまり、漏斗の幅と漏斗の長さ、及び、材料の特性、とりわけ、ヤング率と重大な不可逆的に曲がりが発生する臨界歪みが、物理的負荷によって実質的には可逆的に引き起こされた少なくとも1つの変形可能な部分に対する変形可能な充填物の圧力増加のために、クッション要素が、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張りを生じるように配置されるべく選択される位置に、クッション要素を設置することが出来ることは明らかである。
【0034】
一実施形態において、この制限は漏斗の閉端壁によって形成される。このようにして、例えば、使用時にクッション要素に鋭い物体が衝撃を与えた結果による物理的損傷に対する包被の保護がさらに改善される。
【0035】
一実施形態において、少なくとも1つの変形可能な部分は回復力のある材料で成る。好ましくは、回復力のある材料とは、弾性材料であり、さらに好ましくは、回復力のある材料とは、非弾性材料である。非弾性材料は、変形した時、エネルギーを分散させるが、非可逆的な変形を生じることはない。
【0036】
一実施形態において、少なくとも1つの変形可能な部分は、複数の相互に類似した変形可能な部分のうちの1つである。好ましくは、出っ張りは、複数の相互に類似した出っ張りのうちの1つである。好ましくは、クッション要素は、物理的負荷によって引き起こされた複数の変形可能な部分に対する、変形可能な充填物の圧力の増加が原因で、実質的には可逆的に各々の変形可能な部分から複数の出っ張りを生じるように配置されている。複数の出っ張りに於ける、出っ張り量の増大は、クッション要素のクッション能力を増加させる。例えば、出っ張りの量及び/変形可能な部分の量は、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000及び/又は少なくとも10000である。すべての出っ張りは、クッション要素に取り付けられなければならないので、出っ張り量を増加することは、出っ張りのサイズを小さくすることになる。概して、変形可能な充填物はより小さい開口を流れる時、より多くのエネルギーを分散させることが出来るので、小さい出っ張りほど物理的負荷の分散を増進することが出来る。変形されていない時、好ましくは、変形可能な部分の1つの表面積は、10mm2より小さく、更に好ましくは、1mm2よりも小さい。
【0037】
クッション要素は、変形可能な充填物を有する。そのようなクッション要素と変形可能な充填物の組み合わせに価値があることは明らかである。しかし、変形可能な充填物を除いたクッション要素も、そのような変形可能な充填物も同様に価値あると考えられる。
【0038】
一実施形態において、変形可能な充填物及び/又は潤滑液は、少なくとも部分的には、粘弾性の液体と粘弾性の固体のうちの少なくとも1つによって形成されている。そのような液体や固体は、使用されると、粘弾性的に挙動する。
【0039】
粘弾性的挙動は、分散(粘性挙動による)と弾性的蓄積(弾性挙動による)の両方によるクッション作用の利点を提供する。通常、物理的負荷が生じる時、弾性挙動は、粘性挙動に先行する。粘弾性固体は、物理的負荷によって変形された後に、それ自身で、元の形状を実質的に保持出来るという特別な利点を有する。
【0040】
一実施形態において、変形可能な充填物及び/又は潤滑液は、少なくとも部分的に、剪断濃厚化液体によって形成される。好ましくは、剪断濃厚化液体は、物理的負荷が加わっている時に、せん断率や温度の様な、出っ張りの内部やその近くに存在する条件下で効果的な粘性の増加を示す。剪断濃厚化の挙動は、物理的負荷エネルギーの分散を効果的に増強する。
【0041】
好ましくは、変形可能な充填物は、ガスよりもむしろ、溶液と固体を含む。
【0042】
本発明のもう一つの目的は、改良されたクッションを有するインソールを提供することである。
【0043】
それに加えて、本発明は、クッション要素を有したインソールを提供する。
【0044】
好ましくは、クッション要素は、インソールとは分離することが可能である。例えば、クッション要素は、新しいクッション要素を取り付けることが出来るインソールの一部である。
【0045】
改良されたクッションを有した履物を提供することは、本発明のもう一つの目的である。
【0046】
それに加えて、本発明は、クッション要素及び/又はインソールを備えた、運動靴のような履物を提供する。
【0047】
好ましくは、クッション要素及び/又はインソールは、履物から分離可能である。例えば、クッション要素及び/又はインソールは履物の取り換え可能な一部である。このようにして、履物は新しいクッション要素及び/又は新しいインソールを設けることが出来る。
【0048】
履物の改良されたクッション要素に使用する変形可能な充填物を提供することが本発明の別の目的である。
【0049】
それに加え、本発明は、請求項1乃至23の1つに係る変形可能な充填物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下、これに限る訳ではないが、本発明を、添付した図面を参考にして記述する。
【図1】靴の側面図を示す。
【図2A】図1に示したクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図2B】図2Aに示したクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図3A】図1に示した断面で切ったクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図3B】図3Aで示した断面で切ったクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図4A】本発明の実施形態によるインソールの概略を示す。
【図4B】図4Aに示した図4Aのインソールの断面を図示する。
【図5A】本発明の第二の実施形態によるインソールの透視図を示す。
【図5B】図5Aのインソールの上面図を示す。
【図5C】図5Bに示した断面における第二の実施形態による変形していない状態のクッション要素の概略を示す。
【図5D】図5Bに示した断面における第二の実施形態による第一の変形状態のクッション要素の概略を示す。
【図5E】図5Bに示した断面における第二の実施形態による第二の変形状態のクッション要素の概略を示す。
【図5F】変形していない状態での第二の実施形態によるクッション要素の変形例を示す。
【図6】本発明による第三実施形態によるクッション要素を示す。
【図7A】図6に示した断面における変形していない状態のクッション要素を示す。
【図7B】図6に示した断面における変形した状態のクッション要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例外的な言及がない限り、すべての図面を通して、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0052】
図1は、履物の例である靴2の側面図を示す。靴2は、本発明の第一実施形態によるクッション要素を有する。図1の側面図は、クッション要素を表示していないが、クッション要素は参照番号4として、図2A、2B、3A、3Bに図示する。この靴は、ランニングに適用される運動靴であってもよい。これらの靴にとって、良好なクッションは重要である。しかし、靴2はまた、日常に使う靴でも、ハイキングなどのアウトドアに使う靴などの別のタイプの靴であってもよい。これらのタイプの靴にとっても、緩衝作用を増すこと、例えば、履き心地を良くすることは有益である。
【0053】
靴2には、ソール6が付属する。クッション要素4は、ソール6と一体であっても良い。ソール6とクッション要素4の外側部品は、EVA(エチレンビニールアセテート)などの同じ材料を含んでもよく、それらは1つの部材から形成されても良い。しかし、この例ではクッション要素4は、靴2から分離することが可能である。一般的に、クッション要素4は、靴2の分離可能な部品として供給しても良い。
【0054】
この例では、クッション要素4は、靴2の分離可能な後部部品を形成する。多くの人は、走っている時や歩いている時に最初に踵から地面に着く傾向にあるので、クッション要素4の後部位置は有利であると考えることが出来る。しかし、比較的早い速度で走っている場合、多くの人は、最初に足の前方で地面に着く傾向にある。従って、クッション要素が、靴2の前方部の部品の一部を形成することも有利であると考えることが出来る。従って、一般的に、クッション要素は、使用時に、踵の下及び/又はユーザの足の親指の付け根のふくらみの下に位置させてもよいことが明らかである。一般的に、クッション要素は、ユーザの足のソールの略全体に渡って延展するように設置することが可能である。
【0055】
クッション作用とは、歩いている時及び/又は走っている時に足で着地した時、ユーザの足がクッション要素4に及ぼす物理的ショックなどの物理的負荷を消失させること及び/又は弾性的に蓄積することを含んでもよい。そのような蓄積は、少なくとも物理的負荷の一部を、クッション要素4に弾性的に蓄積することによって達成してもよい。
【0056】
第一の実施形態におけるクッション要素4は、図2A、2B、3A、3Bに図示されている。図2Aは、図1に示したA−A’断面におけるクッション要素4を有した靴2を図示する。図2Bは、図2Aに示したB−B’断面におけるクッション要素4を有する靴2を図示する。図2A,2Bは、変形していない状態のクッション要素を図示する。物理的負荷が分散されず及び/又は弾性的に蓄積されない場合に、そのような変形されない状態が示される。
【0057】
図3Aは、図1に示したA−A’断面におけるクッション要素4を有する靴2を図示する。図3Bは、図3Aで示したC−C’断面におけるクッション要素4を有する靴2を図示する。図3A、3Bは、変形した状態のクッション要素を示す。そのような変形された状態は、クッション作用をしている時に示される。
【0058】
図2A、2Bを参照すると、クッション要素4は、包被10と変形可能な充填物12を有する。物理的負荷を分散することは、変形可能な充填物12を変形することによって達成してもよい。包被10は、変形可能な充填物12を取り囲んでもよい。この例に於いて、クッション要素4は、変形可能な充填物12を具備する。変形可能な充填物12は、少なくとも部分的に、剪断濃厚化液体によって形成してもよい。別に又はそれに加えて、変形可能な充填物は、少なくとも部分的に、粘弾性流体と粘弾性個体のどちらかによって形成してもよい。
【0059】
変形可能な充填物12は、固形物を含有してもよい。固形物は、広義に解釈されるものである。この用語は、様々の種類の粒体を含む。固形物は比較的軟らかくても、比較的固くても良い。粘弾性体は固形物と考えられるが、その中に粘性流体を含有するカプセルも固形物と考えられる。一般的に、固形物の平均濃度は、潤滑流体の濃度に一致、言い換えると、等しい。この方法で、固形物の沈殿や沈着を防止してもよい。
【0060】
包被10は、少なくとも1つの変形可能な部分14を有する。実施例に於いては、少なくとも1つの変形可能な部分14は、相互に類似した複数の変形可能な部分14のうちの1つである。使用時、変形可能部品14の剛性は、包被10の残りの部分と比較して低い。第一の実施形態に於いて、この低い剛性は、包被10の残りの部分16の運動を制限することによって達成される。本実施例では、包被10の残りの部分に含まれる支持部材18の存在によって、制限が実施される。ここで、支持部材18は、変形可能な充填物12を取り囲んでいる。
【0061】
第一の実施形態において、支持部材18と、包被10の内側部分19は相互に取り付けられている。支持部材19と包被10の内側部分19は、一つの材料から形成しても良い。支持部材18に取り付けてある内側部分19の複数の部分は、包被の残りの部分の一部であることは明らかである。しかし、あるいは、支持部材18と包被10の内側部分19は、包被10の分割可能部分であっても良い。一般的に、包被10の内側部分19は、比較的均一な組成と厚みで形成してもよい。
【0062】
クッション要素4は、少なくとも1つの変形可能な部分に、実質的には可逆的に、出っ張りが生じるように配置されており、出っ張りは、少なくとも1つの変形可能な部分に、変形可能な充填物12の圧力が、物理的負荷によって増大した結果により生じる。第一の実施形態において、クッション要素4は、物理的負荷によって、変形可能な充填物12の圧力が、複数の変形可能な部分14に対して増大した結果、各々の変形可能な部分14から、複数の出っ張り20が生じるように配置されている。
【0063】
支持部材18は、少なくとも1つの変形可能な部分14を規定するための少なくとも1つの開口を含む。その結果、開口は、少なくとも1つの変形可能な部分14に存在する。これは、クッション要素4が、物理的負荷によって、変形可能な充填物12の圧力が少なくとも1つの変形可な能部分14に対して増大した結果、クッション要素4が、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張り20を実質的には可逆的に生じるように配設するための一つの方法である。
【0064】
第一の実施形態において、支持部材18は、開口22から伸び、少なくとも1つの出っ張り20を受けるように設置された少なくとも1つの漏斗24を有する。少なくとも1つの開口22は、複数の開口22のうちの1つであっても良い。少なくとも1つの漏斗24は、複数の類似の漏斗24のうちの1つであっても良い。漏斗24は、出っ張り22を誘導するために設けられても良い。
【0065】
漏斗24は、出っ張りの大きさを限定するための制限を有しても良い。本実施例では、そのような制限は、漏斗24を閉鎖する漏斗の閉端壁26によって形成される。本実施例では、閉端壁26は、支持部材18によって形成される。一般的に、漏斗24と開口22は、支持部材18内部の空洞によって形成される。
【0066】
図2A、3Aの断面に於いて、漏斗は、略円形の形状を有する。一般的に、これらの断面で、漏斗は、長方形、楕円形などの形状、あるいは、水路状の形状又は溝形状などの細長い形状を有していても良い。
【0067】
図2A、2B、3A、3Bでは、クッション要素4は、靴2に設置された分離可能な要素と記述される。本発明の第一の実施形態に於けるインソールは、クッション要素4を有する。クッション要素4は、インソールから分離してもよいが、インソールと一体になっていても良い。使用時、インソールは、ユーザの足底の後部及び/又は前部を支持してもよい。使用時のインソールは、実質足底全体を覆っている。図4Aは、本発明の第一の実施形態によるインソール30の概略を示す。図4Bは、図4Aのインソール30が図4Aに示すD−D’断面であることを示す。図4A、4Bのインソール30は、足底の後部を支持する第一のクッション要素4Aを有しており、足底の前部を支持するクッション要素4Bを有する。しかし、第一のクッション要素4Aと第二のクッション要素4Bのうちの1つが欠けていても良い。一般的に、クッション要素4は、略インソール全体に沿って延展しても良い。その結果、使用時に、クッション要素4は、足底略全体に沿って延展して、履き心地を最大化する。
【0068】
図5Aは、本発明の第二の実施形態のインソールの透視図を示す。図5Bは、第二の実施形態のインソールの上面図を示す。第二の実施形態のインソールは、本発明の第二の実施形態のクッション要素を具備しても良い。インソールは、さらに、防御カバー32を有しても良い。図5Cは、第二の実施形態のクッション要素4を、図5Bに示したE−E’断面に於いて、変形していない状態での概略を示す。図5Dは、第二の実施形態のクッション要素4を、図5Bに示したE−E’断面に於いて、第一の変形状態での概略を示す。図5Eは、第二の実施形態のクッション要素4を、図5Bに示したE−E’断面に於いて、第二の変形状態での概略を示す。クッション要素4は、包被10と、複数の変形可能な部分14と、支持部材18を有する包被10の残りの部分を有しても良い。クッション作用中に、残りの部分16は、複数の変形可能な部分14より高い剛性を有して良い。実施例では、緩衝作用中に、包被10の内側部分19は、支持部材18の内側表面に接する。包被10の内側部分19と支持部材18の内側表面との間の摩擦の結果、包被10の残りの部分の運動は制限され、包被10の残りの部分16の剛性は、支持部材18の内部表面に接しない変形可能な部分14よりも低い。摩擦は、物理的負荷の結果、変形可能な充填物12の圧力によって引き起こされる可能性がある。あるいは、またはそれに加えて、そのような摩擦は、支持部材18の内部表面33に塗布されたノリなどの接着剤によって発生してもよい。
【0069】
図5Dの第一の変形状態と、図5Eの第二の変形状態に於いて、流路37は、出っ張り20の形状で形成されている。出っ張り20は、出っ張り20内に流れ込む潤滑液36の結果、膨張する。本実施例の場合、流路37は、固形物が流路37に入り込むのを防止する寸法で形成されている。妨害するようなこの防止は、例えば、固形物34の直径を流路37の直径Dよりも大きくなるように選択することにより達成される。
【0070】
しかし、第二の実施形態の変形として、流路37は、変形可能な部分14を欠いても良い。クッション要素4のそのような変形は、変形していない状態で、図5Fに示されている。包被10は、流路37を形成するように設計されている。使用時には、変形可能充填物の少なくとも一部、本実施例では、潤滑液36の少なくとも一部が、物理的負荷によって発生した変形可能充填物12の増大した圧力によって流路37に流れ込む。本実施例では、流路37は、ピストン38で表現されている回復力のある部材と流体結合する。ピストン38のスプリングプランジャの動きは、スプリング(図示せず)によって制限されている。好ましくは弾性体であり回復力のある部材が、流路37の端部に位置しても良い。
【0071】
【0072】
臨界体積分率Φmは、例えば、略均一サイズの球状粒子の場合、0.64から0.74の範囲である。固体粒子の非均一な大きさの分布及び/又は非球状粒子の場合、Φmは、この範囲外、特に、この範囲以上であることが可能である。
【0073】
第二の変形状態は、緩衝作用中、第一の変形状態よりも後に到達する。あるいは、第一の変形状態は、次の物理的負荷を分散する及び/又は蓄積するために、の後、その緩衝作用の回復中に到達してもよい。
【0074】
第二の実施形態のクッション要素4とその変形は、固形物34を含有する変形可能充填物12を有する。通常、そのような変形可能充填物12は、粒状媒質と呼ばれる。第二の実施形態の変形可能充填物12とその変形は、さらに潤滑液36を具備する。使用時には、潤滑液は、固形物34を滑りやすい状態に保つ。変形可能充填物は、緩衝作用中に、粘弾性挙動を有するように配置される。潤滑液の粘度と、固形物の弾性特性、固形物の形状、固形物の大きさ、固形物と潤滑液の体積比を調整することによってこれは達成されてもよい。
【0075】
潤滑液は、水及び/又はグリセロールを含んでもよい。これらの溶液は、お互いに混合可能であり、その結果得た混合液の粘度及び/又は濃度は、水とグリセロールの混合比を変化させることによって、適正範囲(つまり、水の粘度及び/又は濃度とグリセロールの粘度の間に於いて)を調整することが可能である。
【0076】
本実施例に於いて、固形物は、略球状であり、0.1ミリメートルと2ミリメートルの範囲の直径を有してもよい。固形物は、テフロン(登録商標)を含んでもよい。
【0077】
第二の実施形態とその変形、及び、場合によっては第一の実施形態に於いても、使用時には、一つの物理的負荷の結果によって圧力が増大するために、潤滑液の少なくとも10%、最大で20%が変形可能な充填物から、流路37aに流れ込んでもよい。これを達成するように、流路37の大きさを適合させてもよい。加えて、潤滑液の粘度が適合されてもよい。一般的に、流路37の総数と、その各々の長さが、そのような適合が成された時に、選択される。
【0078】
一実施例において、潤滑液の粘度は、75mPa・sに等しく、流路の総数は6に等しく、流路37の各々の長さLは10cmであってもよく、流路37それぞれは、互いに分離し、流路の断面(円形)の直径は4ミリメートルに等しくてもよい。しかし、その他の組み合わせやオプションも可能であることは明らかである。その様な組み合わせに関して、流路37への変形可能な充填物の少なくとも一部の流れの方向に対して直角な流路37の1つの断面Acの断面積Ac(図3A)の二乗Ac2を、潤滑液の粘度ηと流路37のなかのその1つの長さL(図3B)の積で割った値は、0.001cm3/(Pa・s)から10cm3/(Pa・s)の範囲にあってもよく、好ましくは0.02cm3/(Pa・s)前後の値であってもよい。これは、ハーゲン・ボアズイユの式に基づく。この式に於いて、物理的負荷は、約0.5秒かかると仮定してもよい。更に、物理的負荷が掛っている間、約40N/cm2(歩いている時)から約80N/cm2(走っている時)の範囲の圧力が変形可能な充填物に働いていると仮定してもよい。流路37が円形断面を有する場合に、断面積Acは、πR2と等しくてもよい。あるいは、断面積Acは、流路37が長方形の断面を有する場合には、流路37の幅掛ける高さに等しくてもよい。
【0079】
本実施例またそのような他の組み合わせで、有効な効果が得られる。典型的には、1つの物理的負荷の結果、その物理的負荷が持続する間、少なくとも10%、最大で20%の潤滑液の体積が流路に押し出される。
【0080】
図6は、本発明の第三の実施形態のクッション要素4を示す。図6のクッション要素4は、靴2のソール6と一体である。図6は更に、クッション要素4に含まれる支持部材18を有する包被10を示す。クッション要素4は、更に、変形可能な充填物12を有していても良い。
【0081】
図7Aは、図6に示すF−F’断面のクッション要素4を示す。図7Aは、変形していない状態のクッション要素を示し、図7Bは、変形した状態のクッション要素4を示す。図7A、7Bを参照すると、支持部材18は、漏斗24と開口22を形成する。第三の実施形態のクッション要素は、変形した状態の出っ張りが、実質的には可逆的に生じるように配置される。そのような出っ張りは、包被10の変形可能な部分14に働く変形可能な充填物12の圧力の結果である。次々に、物理的負荷によって圧力が生成され、その結果、出っ張り形成が物理的負荷によって引き起こされる。
【0082】
上記の実施形態に於いて、少なくとも1つの変形可能な部分は、回復力のある材質で成る。回復力のある材料は、ゴムを含んでいて良い。回復力のある材料のヤング率は、適切な弾性が得られるように決めてもよい。適切な回復力は2つの連続する物理的負荷の間に於いて、少なくとも1つの流路に流れ込んだ潤滑液の実質的な部分を、少なくとも1つの流路の中に押し返すのに十分な大きさである。特に、第二の実施形態のクッション要素と、その変形のために、適切な弾性が、物理的負荷によって生成された変形可能な充填物の増大された圧力の結果、潤滑液の十分な流れを可能とするならば、その適切な弾性は十分小さい。固形物を含む変形可能な充填物の粘度の大幅な増加が流路37の外で得られるなら、その流れは十分だと考えられる。従って、明らかなことであるが、上記の実施例に於いては、包被10の内部及び流路37の外部に於いて、変形可能な充填物の中に粘性的に分散されるエネルギーは、変形可能な部分に蓄積されたエネルギーよりずっと大きく及び/又は流路37の中に分散されるエネルギーよりもずっと大きい。支持部材は、ナイロン、EVA、及び/又はプラスチック材料を含んでも良い。
【0083】
上記の実施形態に於けるクッション要素は、次のように働く。物理的負荷が、クッション要素4、4Aまたは4Bに加わった時、変形可能な充填物12の中に圧力が生じる。その結果、包被10の変形可能な部分14は、外に押し出されて、その結果、出っ張り20が生成される。出っ張りの形成中に、変形可能な充填物12は、出っ張り20に流れ込むことが出来る。変形可能な充填物12が固形物を含む場合には、これらの固形物もその出っ張りに流れ込む。しかし、少なくとも固形物の一部又はすべての固形物の大きさは、潤滑液だけが出っ張り20の中に流れ込むように、開口の大きさに対して選定される。好ましくは、変形可能な充填物の流れ方向での出っ張りの寸法は、変形可能な充填物12の流れ方向に対して直角な出っ張りの寸法よりもはるかに大きい。変形可能な充填物12の流れ方向の漏斗24の寸法が、変形可能な充填物12の流れ方向に対して直角な出っ張りの寸法よりずっと大きいことによって、これを達成することが出来る。一般的に、これは、変形可能な部分14の大きさ、例えば、変形していない状態の変形可能な部分14の面積を十分小さく選定することによって、達成することが出来る。
【0084】
物理的負荷が分散され及び/又は弾性的に蓄積された後、変形可能な部分14の弾性的性格は、変形可能な充填物12を押し返すことが出来、その結果、出っ張りは、少なくとも、部分的に消失する。第一の実施形態におけるクッション要素の閉端壁26の利点は、閉端壁と出っ張りの間の漏斗の中でガス圧力が発生するということである。ガス圧力の発生は分散を加速するだけでなく、クッション動作の後、変形可能な充填物12を押し返すのに役立つ。出っ張りが、少なくとも部分的に、消失した後、変形可能な充填物は、それに続く物理的負荷を分散することが出来る。
【0085】
上記の実施例に於いて、固形物のヤング率は、マイクロインデンターによって、除荷―負荷中に決定してもよい。そのようなマイクロインデンターを使った方法は、当業者には知られており、詳しい説明は豊富にされていると考えられる。潤滑液の粘度と、粘弾性溶液の粘弾性特性は、cone-plate型のレオメータで測ってもよい。好ましくは、せん断率や温度などの測定条件は、緩衝作用中に起こるものと同じであることは当業者には自明のことであろう。潤滑液の粘度と、粘弾性溶液の粘弾性特性は、cone-plate型のレオメータに於いて、温度25度、せん断率1s−1の条件に於いて決定出来る。
【0086】
本発明は、ここに記述した実施形態に限定されず、当業者の常識に於いて、付属のクレームの範囲内と考えられる変形は可能である。同様に、運動学的な逆位は、本質的に開示されており、本発明の範囲内であると考えられる。「好ましくは」、「さらに好ましくは」、「特に」、「典型的には」、「特別には」などの表現の使用は、本発明を限定する意図で使用されるのではない。「a(1つの))」又は「an(1つの)」の不定冠詞は、複数を含むものではない。具体的に又は明確に記述またはクレームされてはいない特徴は、本特許範囲から逸脱しないで、付加的に、本発明の構造に含まれるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形可能な充填物と、変形可能な充填物を包み込む包被を有する履物のためのクッション要素に関する。本発明は、クッション要素を有するインソールに関する。更に、本発明は、クッション要素及び/又はインソールを有する履物に関する。更に、本発明は、変形可能な充填物に関する。また、本発明は、包被に関する。
【背景技術】
【0002】
履物のクッションは、履物のユーザの足に対する物理的な負荷を減らすために重要である。例えば、走っている時は、その負荷は比較的高いだけでなく、歩いている時も、ユーザはかなりの負荷を感じるものである。従って、多くの履物には、その負荷の一部を吸収する、例えば、分散することが出来るクッションが備わっている。公知のクッションソールは、一般にEVA材料と呼ばれるエチレンビニールアセテートによって形成される。
【0003】
別の公知のクッションソールが、流体力学的パッドに関する米国特許番号5,704,137に示されている。物理的な負荷の結果、流体力学パッド内部の流体は、漏斗に押し出されて、その結果、負荷の一部が分散される。同時に、流体の流れは、流体力学パッドの外形を変化させるので、ユーザのかかとに対するシートが形成される。しかし、このようなシートの形成が、クッション作用に貢献する訳ではない。その代わり、むしろ、シートの形成は、続いて起こる負荷の吸収を妨げる。
【0004】
これら及びその他の公知のクッションソールは有用であるが、依然、理想的ではない。実際、怪我をしがちなアスリートのようなユーザや、いくぶん脆弱な体形の普通のユーザでも、依然、十分なクッション性能を持った靴を探し出すのには苦労している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、本発明の目的は、履物の為の改良されたクッション要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それ故、本発明は、変形可能な充填物と、変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素であって、包被は少なくとも1つの流路を形成するように配置され、使用時には、変形可能な充填物の少なくとも一部が物理的衝撃のような物理的負荷によって生じる変形可能な充填物の増大した圧力の結果として、少なくとも1つの流路に流れ込み、変形可能な充填物は固形物を含み、固形物を相互に滑りやすい状態に保つ潤滑液をさらに含み、少なくとも1つの流路は緩衝作用中に、少なくとも1つの流路に固形物が入り込まないような寸法で形成されるクッション要素を提供する。増大した圧力の結果、潤滑液は、使用時には、少なくとも1つの流路に流れ込む。これによって、少なくとも1つの流路の外部の固形物の濃度が増大して、少なくとも1つの流路の外部の変形可能な充填物の粘度が増大する。そのような粘度の増大は、より高いエネルギー分散につながる。その為、物理的負荷を分散することによってクッション作用を達成することが出来るので、クッション性能が改善される。公知の履物に関して問題を感じていないユーザも、クッション要素が提供するさらなる快適さの利益を受けることが出来ることは明らかである。
【0007】
より強い負荷は、少なくとも1つの流路を通した潤滑液のより勢いのある流出となり、それ故に、少なくとも1つの流路の外部の変形可能な充填物の粘度の増大になることは理解できる。このようにして、1つ及び同じクッション要素が、体重が異なるユーザに使用出来る。より体重のあるユーザにとって、その潤滑液のより多い量が変形可能な充填物から流出して、その結果、粘度の増大につながり、従って、体重のあるユーザに好ましいような、より効果的なクッション性能につながる。
【0008】
本発明者は、包被内部の変形可能な充填物の組成の変化、つまり、変形可能な充填物の粘度の低い部分とより粘度の高い部分への可逆的な分離が、クッション性能の改善を可能にすることを認識した。そのようなクッション作用を、インソールの実質的な重量増加、つまり履物の実質的な重量増加を伴わないで達成することが出来る。EVAのような付加的なクッション材料が、履物のクッション性能を増加するために追加されると、実質的な重量増加となる可能性がある。
【0009】
好ましくは、使用時には固形物を含む変形可能な充填物は、粘弾性的な挙動をする。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つの流路は、緩衝作用中に、少なくとも1つの流路に固形物が入り込むのを妨げる寸法で形成される。このようにして、クッション作用は更に改善される。
【0011】
一実施形態において、固形物は実質的に球形をしている。このようにして、変形可能な充填物全体に含まれる固形物の均一流体特性が達成可能となる。
【0012】
一実施形態において、固形物の直径は、少なくとも0.1ミリメートル及び/又は最大2ミリメートルである。2ミリメートル以上の直径を有する固形物をユーザは感じるかもしれない。これは、心地よいものではないだろう。
【0013】
一実施形態において、固形物は、少なくとも部分的に、テフロン(登録商標)で形成されると都合が良い。使用時には、変形可能な充填物が変形されつつある時、固形物は相互に滑りあう。テフロン(登録商標)は固形物の摩擦係数に影響して、変形可能な充填物の流動特性は、固形物中のテフロン(登録商標)の量を調整することによって、調整することが出来るという利点がある。一実施形態において、固形物は、少なくとも部分的に、ポリエチレンによって形成される場合に、商業的に魅力ある改良型が達成される。
【0014】
一実施形態において、固形物と潤滑液の体積比は、1から10の範囲であり、好ましくは、1.5から5の間の範囲にある。このようにして、少なくとも1つの流路を流れる比較的少量の潤滑液のために、粘度の比較的急激な増加を得ることが出来る。
【0015】
一実施形態において、使用時には、物理的負荷によって引き起こされた変形可能な充填物への圧力の為に、変形可能な充填物に含まれる潤滑液の体積の少なくとも10%、最大で20%によって形成されるように潤滑液の粘度が調整され、及び少なくとも1つの流路の寸法が決定される。いかなる理論によっても縛られないで、少なくとも1つの流路の粘度と寸法をそのような配置することは、当業者には公知のハーゲンボアズイユ(Hagen-Poisseuille)の式を使用して実施することが可能である。
【0016】
【0017】
一実施形態において、流路の総数は3から12の範囲にあり、好ましくは6前後である。すべての流路を収容するためのクッション要素内のスペースは非常に小さいので、あまりにも多くの流路を有することは問題になる。このことは、クッション要素をインソールの中に置くように寸法を決める場合には特に重要である。しかし、あまりにも少ない流路を有する場合には、流路は、比較的大きな直径を有する必要がある。ところが、比較的大きい直径の場合、クッション要素内に収容することが問題になる場合がある。このことは、クッション要素をインソールの中に設置するように寸法を決める場合には、特に重要である。
【0018】
固形物のヤング率に関して、なんら重大な制限は予測されない。比較的軟らかい固形物は、クッション性能を促進するので、この比較的軟らかい固形物は有益であることは本発明者によって認識される。しかし、固い固形物も使うことが可能である。
【0019】
一実施形態において、潤滑液の粘度は、0.001から1.5Pa・s、好ましくは、0.075Pa・s前後である。
【0020】
好ましくは、固形物は、粒状媒質を形成する。状況に応じて、固形物はコロイド粒子である。
【0021】
固形物を相互に滑りやすくする潤滑液を含む変形可能な充填物は、予期しない利益を提供する。本発明者は、多くのユーザが、最良のクッションのために必要である以上に軟らかいクッション要素を選択する傾向にあることに気付いていた。その様な選択は、ユーザの手や指でクッション要素を触ることでしばしば成されることである。しかし、手や指でクッション要素に及ぼされる力は、通常、使用時にはクッション要素に及ぼされる力よりもずっと小さい。僅かなユーザしかこのことを理解していない。本実施形態のクッション要素は、ランニング中などに物理的負荷によって引き起こされる比較的大きな力によって変形された時のクッション性能が改善されるという特性を有しており、手や指で加えられるような比較的小さい力で変形した時には、比較的軟らかい感じを与える。その結果、ユーザは、あまりにも柔らかいインソールを選択する傾向があるにも拘わらず、正しい選択をすることが出来る。これは、固形物と潤滑液を含んだ変形可能な充填物によって実現される。比較的小さい力で変形された場合、潤滑液は、固形物の間を流れて、その結果、ユーザは、比較的軟らかいクッション要素を経験する。しかし、比較的大きい力で変形された場合、固形物は相互に作用して、その結果、変形可能な充填物全体が効果的に物理的負荷を分散して及び/又は物理的負荷を蓄積する。本実施形態が、変形可能な充填物の粘弾性挙動と組み合わされる又は使用時には、変形可能な充填物が粘性的に挙動して、包被が弾性的に挙動した場合、変形可能な充填物は、使用時には、比較的小さい力に対して、優位に粘性的挙動する一方、物理的負荷の間に加えられる比較的大きな力に対して、変形可能な充填物や包被の粘弾性的な挙動が発生する可能性がある。
【0022】
一実施形態においては、包被は、弾性的に可変な容積を有する。その結果、包被が取り囲む容積は、使用時に変化する可能性がある。少なくとも1つの流路が、回復性のある部材と流体結合している場合、弾性的に可変な容積が実現される。弾性的に可変な容積によって、物理的負荷の一部分は、包被に弾性的に蓄積されて、その結果、クッション性能は改善される。
【0023】
一実施形態において、包被は、包被のその他の部分と比較して剛性を低くした少なくとも1つの変形可能な部分を有しており、物理的負荷によって引き起こされた変形可能な充填物の増大した圧力が少なくとも1つの変形可能な部分に掛る結果、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張りを実質的には可逆的に生じることによって、少なくとも1つの流路を生じるように包被が設けられている。一般的に、本発明者は、本発明とは別の観点に於いて、変形可能な充填物と、その変形可能な充填物を包囲している包被を有した履物のためのクッション要素であって、前記包被は、包被の他の部分と比較して剛性を低くした少なくとも1つの変形可能な部分を有しており、また、クッション要素は、物理的負荷によって引き起こされた、少なくとも1つの変形可能な部分に対する変形可能な充填物の圧力の増大による結果、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張りを実質的には可逆的に、生じるように配置されたクッション要素を提供することの価値を認識していた。この観点によれば、変形可能な充填物は、固形物と潤滑液を含むことも可能であるし、含まないことも可能であることは明らかである。実施形態に於いて、さらに一般的な観点では、3つの利点のうちの1つ以上が実現可能である。第一に、出っ張りを形成する場合、弾性エネルギーが、変形可能な部分に蓄積される。第二に、実質的には可逆的な作用として、変形可能な部分によって、物理的負荷が分散され/又は弾性的に蓄積された後に、クッション要素が、その元の形状に回復される。第三に、圧力の結果、使用時の潤滑液は、出っ張りに流れ込み、その結果、少なくとも物理的負荷のエネルギーの一部が分散される。そのような分散によって、クッション性能は改善される。本実施形態に於いては、好ましくは、少なくとも1つの流路の外部(及び包被の内部)の変形可能な充填物に分散された弾性エネルギーは、変形可能な部分の弾性エネルギーの蓄積と、及び少なくとも1つの流路内部のエネルギー分散よりも優位である。しかし、本発明とは別の観点では、この事情は異なるだろう。例えば、本発明の別の観点では、少なくとも1つの流路内部のエネルギー分散の方が優位になる可能性もある。
【0024】
弾性的可変体積は、例えば、包被が少なくとも1つの変形可能な部分を有している場合、実現され得る。
【0025】
回復性のある部材あるいは少なくとも1つの変形可能な部分と、変形可能な充填物との組み合わせで、クッション要素の粘弾性な挙動が実現可能となる。
【0026】
使用時に出っ張りを生じることは、実質的には可逆的である。これは、使用時には、少なくとも1つの変形可能な部分が壊れたり、その他重大な不可逆的に曲がることなしに、出っ張りを繰り返し生じたりすることが可能であるという意味である。また、クッション要素は、物理的負荷が取り除かれた後に、出っ張りが消失するように設置されるという意味である。そのような消失は、例えば、少なくとも1つの変形可能な部分に蓄積された弾性エネルギーのために起こる。この場合、出っ張りを消失させるための時間は、物理的負荷のエネルギーは、通常、少なくとも1つの変形可能な部分に蓄積された弾性エネルギーよりも大きいので、出っ張りを生じるための時間よりも長いということが本発明者によって認識された。しかしながら、使用時には、連続負荷が非常に頻繁に起こるので、出っ張りは部分的に消失するだけである。
【0027】
少なくとも1つの変形可能な部分は、包被の残りの部分に比較して剛性を低くする。この現象は、残りの部分よりも剛性の低い材料で形成された変形可能な部分によって実現される。別に又は付加的に、このことは、異なる形状を有する変形可能な部分、例えば、包被の残りの部分よりも薄い変形可能な部分によって達成される。
【0028】
本発明者は、包被の形状の変化、つまり、1つ以上の出っ張りの発現手段によりクッション作用が可能となる値を認識している。そのようなクッション作用は、例えば、実質的な履物の重量の増加を伴わないで、実現可能である。履物のクッション性能を増加させるために、EVAのような付加的クッション材料を加えると、そのような実質的な重量の増加が起こる。
【0029】
一実施形態において、変形可能な充填物の分散は、使用時には、生じる出っ張りの影響によって、時間とともに変化する。このことは、漏斗の寸法が変化しない米国特許番号5,704,137では異なる。それ故に、本実施形態のクッション要素では、出っ張りが生じる場合に、次第に分散も強化されるという意味に於いて、米国特許番号5,704,137以上の付加的な利点を提供できる。例えば、出っ張りはより長くなり、その結果、出っ張りへの変形可能な充填物の流路もより長くなり、それ故、分散は増進され、クッション作用は改善される。好ましくは、クッション要素は、変形可能な充填物の圧力の為に、変形可能な充填物の出っ張りの中への流れを有するように配置される。この様に、出っ張りは生じる。好ましくは、変形可能な部分の大きさは、変形可能な充填物の出っ張り内への流れの方向に対して直角な出っ張りの寸法よりも長い、変形可能な充填物の出っ張りへの流れの方向に沿った出っ張り寸法を有するようになっている。出っ張りのそのような形状は、物理的負荷の分散を増進する。
【0030】
一実施形態において、包被の残りの部分は、少なくとも1つの変形可能な部分を規定するために、少なくとも1つの開口部から成る支持部材を具備する。好ましくは、支持部材は、包被の少なくとも1つの変形可能な部分と比較してそれ以上の高い剛性を有する。好ましくは、支持部材は、包被の残りの部分の動きを規制する。支持部材は、包被の少なくとも1つの変形可能な部分と比較して、より高い剛性を有すること及び/又は支持部材が包被の残りの部分の動きを規制している場合、少なくとも1つの変形可能な部分は、包被の残りの部分に比較して低い剛性を有する状態が実現される。支持部材は、使用時に、クッション要素への尖った物体が原因となる物理的損傷からの防御を形成する。
【0031】
好ましくは、支持部材は、変形可能な充填物を包囲する。
【0032】
一実施形態において、支持部材は、開口部から延展し、少なくとも1つの出っ張りを受けるように配置される少なくとも1つの漏斗を有する。変形可能な充填物の流れの方向に沿った出っ張りの寸法は、変形可能な充填物の流れ方向に対して直角な出っ張りの寸法よりもずっと大きいということを漏斗は保証する。それ故、漏斗の最大長さと最大幅の比は、好ましくは1よりも大きく、より好ましくは5よりも大きく、特に10よりも大きいのが好ましい。
【0033】
一実施形態において、漏斗は、出っ張りのサイズを限定するための制限を有する。この様に、漏斗の縦方向の出っ張りのサイズを制限することが出来る。この制限は、変形可能な部分があまりにも変形した場合に容認可能な変形可能な部分の回復性を保持するために特に役に立つ。それ故に、漏斗の寸法、つまり、漏斗の幅と漏斗の長さ、及び、材料の特性、とりわけ、ヤング率と重大な不可逆的に曲がりが発生する臨界歪みが、物理的負荷によって実質的には可逆的に引き起こされた少なくとも1つの変形可能な部分に対する変形可能な充填物の圧力増加のために、クッション要素が、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張りを生じるように配置されるべく選択される位置に、クッション要素を設置することが出来ることは明らかである。
【0034】
一実施形態において、この制限は漏斗の閉端壁によって形成される。このようにして、例えば、使用時にクッション要素に鋭い物体が衝撃を与えた結果による物理的損傷に対する包被の保護がさらに改善される。
【0035】
一実施形態において、少なくとも1つの変形可能な部分は回復力のある材料で成る。好ましくは、回復力のある材料とは、弾性材料であり、さらに好ましくは、回復力のある材料とは、非弾性材料である。非弾性材料は、変形した時、エネルギーを分散させるが、非可逆的な変形を生じることはない。
【0036】
一実施形態において、少なくとも1つの変形可能な部分は、複数の相互に類似した変形可能な部分のうちの1つである。好ましくは、出っ張りは、複数の相互に類似した出っ張りのうちの1つである。好ましくは、クッション要素は、物理的負荷によって引き起こされた複数の変形可能な部分に対する、変形可能な充填物の圧力の増加が原因で、実質的には可逆的に各々の変形可能な部分から複数の出っ張りを生じるように配置されている。複数の出っ張りに於ける、出っ張り量の増大は、クッション要素のクッション能力を増加させる。例えば、出っ張りの量及び/変形可能な部分の量は、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000及び/又は少なくとも10000である。すべての出っ張りは、クッション要素に取り付けられなければならないので、出っ張り量を増加することは、出っ張りのサイズを小さくすることになる。概して、変形可能な充填物はより小さい開口を流れる時、より多くのエネルギーを分散させることが出来るので、小さい出っ張りほど物理的負荷の分散を増進することが出来る。変形されていない時、好ましくは、変形可能な部分の1つの表面積は、10mm2より小さく、更に好ましくは、1mm2よりも小さい。
【0037】
クッション要素は、変形可能な充填物を有する。そのようなクッション要素と変形可能な充填物の組み合わせに価値があることは明らかである。しかし、変形可能な充填物を除いたクッション要素も、そのような変形可能な充填物も同様に価値あると考えられる。
【0038】
一実施形態において、変形可能な充填物及び/又は潤滑液は、少なくとも部分的には、粘弾性の液体と粘弾性の固体のうちの少なくとも1つによって形成されている。そのような液体や固体は、使用されると、粘弾性的に挙動する。
【0039】
粘弾性的挙動は、分散(粘性挙動による)と弾性的蓄積(弾性挙動による)の両方によるクッション作用の利点を提供する。通常、物理的負荷が生じる時、弾性挙動は、粘性挙動に先行する。粘弾性固体は、物理的負荷によって変形された後に、それ自身で、元の形状を実質的に保持出来るという特別な利点を有する。
【0040】
一実施形態において、変形可能な充填物及び/又は潤滑液は、少なくとも部分的に、剪断濃厚化液体によって形成される。好ましくは、剪断濃厚化液体は、物理的負荷が加わっている時に、せん断率や温度の様な、出っ張りの内部やその近くに存在する条件下で効果的な粘性の増加を示す。剪断濃厚化の挙動は、物理的負荷エネルギーの分散を効果的に増強する。
【0041】
好ましくは、変形可能な充填物は、ガスよりもむしろ、溶液と固体を含む。
【0042】
本発明のもう一つの目的は、改良されたクッションを有するインソールを提供することである。
【0043】
それに加えて、本発明は、クッション要素を有したインソールを提供する。
【0044】
好ましくは、クッション要素は、インソールとは分離することが可能である。例えば、クッション要素は、新しいクッション要素を取り付けることが出来るインソールの一部である。
【0045】
改良されたクッションを有した履物を提供することは、本発明のもう一つの目的である。
【0046】
それに加えて、本発明は、クッション要素及び/又はインソールを備えた、運動靴のような履物を提供する。
【0047】
好ましくは、クッション要素及び/又はインソールは、履物から分離可能である。例えば、クッション要素及び/又はインソールは履物の取り換え可能な一部である。このようにして、履物は新しいクッション要素及び/又は新しいインソールを設けることが出来る。
【0048】
履物の改良されたクッション要素に使用する変形可能な充填物を提供することが本発明の別の目的である。
【0049】
それに加え、本発明は、請求項1乃至23の1つに係る変形可能な充填物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下、これに限る訳ではないが、本発明を、添付した図面を参考にして記述する。
【図1】靴の側面図を示す。
【図2A】図1に示したクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図2B】図2Aに示したクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図3A】図1に示した断面で切ったクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図3B】図3Aで示した断面で切ったクッション要素を有する靴の断面を示す。
【図4A】本発明の実施形態によるインソールの概略を示す。
【図4B】図4Aに示した図4Aのインソールの断面を図示する。
【図5A】本発明の第二の実施形態によるインソールの透視図を示す。
【図5B】図5Aのインソールの上面図を示す。
【図5C】図5Bに示した断面における第二の実施形態による変形していない状態のクッション要素の概略を示す。
【図5D】図5Bに示した断面における第二の実施形態による第一の変形状態のクッション要素の概略を示す。
【図5E】図5Bに示した断面における第二の実施形態による第二の変形状態のクッション要素の概略を示す。
【図5F】変形していない状態での第二の実施形態によるクッション要素の変形例を示す。
【図6】本発明による第三実施形態によるクッション要素を示す。
【図7A】図6に示した断面における変形していない状態のクッション要素を示す。
【図7B】図6に示した断面における変形した状態のクッション要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例外的な言及がない限り、すべての図面を通して、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0052】
図1は、履物の例である靴2の側面図を示す。靴2は、本発明の第一実施形態によるクッション要素を有する。図1の側面図は、クッション要素を表示していないが、クッション要素は参照番号4として、図2A、2B、3A、3Bに図示する。この靴は、ランニングに適用される運動靴であってもよい。これらの靴にとって、良好なクッションは重要である。しかし、靴2はまた、日常に使う靴でも、ハイキングなどのアウトドアに使う靴などの別のタイプの靴であってもよい。これらのタイプの靴にとっても、緩衝作用を増すこと、例えば、履き心地を良くすることは有益である。
【0053】
靴2には、ソール6が付属する。クッション要素4は、ソール6と一体であっても良い。ソール6とクッション要素4の外側部品は、EVA(エチレンビニールアセテート)などの同じ材料を含んでもよく、それらは1つの部材から形成されても良い。しかし、この例ではクッション要素4は、靴2から分離することが可能である。一般的に、クッション要素4は、靴2の分離可能な部品として供給しても良い。
【0054】
この例では、クッション要素4は、靴2の分離可能な後部部品を形成する。多くの人は、走っている時や歩いている時に最初に踵から地面に着く傾向にあるので、クッション要素4の後部位置は有利であると考えることが出来る。しかし、比較的早い速度で走っている場合、多くの人は、最初に足の前方で地面に着く傾向にある。従って、クッション要素が、靴2の前方部の部品の一部を形成することも有利であると考えることが出来る。従って、一般的に、クッション要素は、使用時に、踵の下及び/又はユーザの足の親指の付け根のふくらみの下に位置させてもよいことが明らかである。一般的に、クッション要素は、ユーザの足のソールの略全体に渡って延展するように設置することが可能である。
【0055】
クッション作用とは、歩いている時及び/又は走っている時に足で着地した時、ユーザの足がクッション要素4に及ぼす物理的ショックなどの物理的負荷を消失させること及び/又は弾性的に蓄積することを含んでもよい。そのような蓄積は、少なくとも物理的負荷の一部を、クッション要素4に弾性的に蓄積することによって達成してもよい。
【0056】
第一の実施形態におけるクッション要素4は、図2A、2B、3A、3Bに図示されている。図2Aは、図1に示したA−A’断面におけるクッション要素4を有した靴2を図示する。図2Bは、図2Aに示したB−B’断面におけるクッション要素4を有する靴2を図示する。図2A,2Bは、変形していない状態のクッション要素を図示する。物理的負荷が分散されず及び/又は弾性的に蓄積されない場合に、そのような変形されない状態が示される。
【0057】
図3Aは、図1に示したA−A’断面におけるクッション要素4を有する靴2を図示する。図3Bは、図3Aで示したC−C’断面におけるクッション要素4を有する靴2を図示する。図3A、3Bは、変形した状態のクッション要素を示す。そのような変形された状態は、クッション作用をしている時に示される。
【0058】
図2A、2Bを参照すると、クッション要素4は、包被10と変形可能な充填物12を有する。物理的負荷を分散することは、変形可能な充填物12を変形することによって達成してもよい。包被10は、変形可能な充填物12を取り囲んでもよい。この例に於いて、クッション要素4は、変形可能な充填物12を具備する。変形可能な充填物12は、少なくとも部分的に、剪断濃厚化液体によって形成してもよい。別に又はそれに加えて、変形可能な充填物は、少なくとも部分的に、粘弾性流体と粘弾性個体のどちらかによって形成してもよい。
【0059】
変形可能な充填物12は、固形物を含有してもよい。固形物は、広義に解釈されるものである。この用語は、様々の種類の粒体を含む。固形物は比較的軟らかくても、比較的固くても良い。粘弾性体は固形物と考えられるが、その中に粘性流体を含有するカプセルも固形物と考えられる。一般的に、固形物の平均濃度は、潤滑流体の濃度に一致、言い換えると、等しい。この方法で、固形物の沈殿や沈着を防止してもよい。
【0060】
包被10は、少なくとも1つの変形可能な部分14を有する。実施例に於いては、少なくとも1つの変形可能な部分14は、相互に類似した複数の変形可能な部分14のうちの1つである。使用時、変形可能部品14の剛性は、包被10の残りの部分と比較して低い。第一の実施形態に於いて、この低い剛性は、包被10の残りの部分16の運動を制限することによって達成される。本実施例では、包被10の残りの部分に含まれる支持部材18の存在によって、制限が実施される。ここで、支持部材18は、変形可能な充填物12を取り囲んでいる。
【0061】
第一の実施形態において、支持部材18と、包被10の内側部分19は相互に取り付けられている。支持部材19と包被10の内側部分19は、一つの材料から形成しても良い。支持部材18に取り付けてある内側部分19の複数の部分は、包被の残りの部分の一部であることは明らかである。しかし、あるいは、支持部材18と包被10の内側部分19は、包被10の分割可能部分であっても良い。一般的に、包被10の内側部分19は、比較的均一な組成と厚みで形成してもよい。
【0062】
クッション要素4は、少なくとも1つの変形可能な部分に、実質的には可逆的に、出っ張りが生じるように配置されており、出っ張りは、少なくとも1つの変形可能な部分に、変形可能な充填物12の圧力が、物理的負荷によって増大した結果により生じる。第一の実施形態において、クッション要素4は、物理的負荷によって、変形可能な充填物12の圧力が、複数の変形可能な部分14に対して増大した結果、各々の変形可能な部分14から、複数の出っ張り20が生じるように配置されている。
【0063】
支持部材18は、少なくとも1つの変形可能な部分14を規定するための少なくとも1つの開口を含む。その結果、開口は、少なくとも1つの変形可能な部分14に存在する。これは、クッション要素4が、物理的負荷によって、変形可能な充填物12の圧力が少なくとも1つの変形可な能部分14に対して増大した結果、クッション要素4が、少なくとも1つの変形可能な部分に出っ張り20を実質的には可逆的に生じるように配設するための一つの方法である。
【0064】
第一の実施形態において、支持部材18は、開口22から伸び、少なくとも1つの出っ張り20を受けるように設置された少なくとも1つの漏斗24を有する。少なくとも1つの開口22は、複数の開口22のうちの1つであっても良い。少なくとも1つの漏斗24は、複数の類似の漏斗24のうちの1つであっても良い。漏斗24は、出っ張り22を誘導するために設けられても良い。
【0065】
漏斗24は、出っ張りの大きさを限定するための制限を有しても良い。本実施例では、そのような制限は、漏斗24を閉鎖する漏斗の閉端壁26によって形成される。本実施例では、閉端壁26は、支持部材18によって形成される。一般的に、漏斗24と開口22は、支持部材18内部の空洞によって形成される。
【0066】
図2A、3Aの断面に於いて、漏斗は、略円形の形状を有する。一般的に、これらの断面で、漏斗は、長方形、楕円形などの形状、あるいは、水路状の形状又は溝形状などの細長い形状を有していても良い。
【0067】
図2A、2B、3A、3Bでは、クッション要素4は、靴2に設置された分離可能な要素と記述される。本発明の第一の実施形態に於けるインソールは、クッション要素4を有する。クッション要素4は、インソールから分離してもよいが、インソールと一体になっていても良い。使用時、インソールは、ユーザの足底の後部及び/又は前部を支持してもよい。使用時のインソールは、実質足底全体を覆っている。図4Aは、本発明の第一の実施形態によるインソール30の概略を示す。図4Bは、図4Aのインソール30が図4Aに示すD−D’断面であることを示す。図4A、4Bのインソール30は、足底の後部を支持する第一のクッション要素4Aを有しており、足底の前部を支持するクッション要素4Bを有する。しかし、第一のクッション要素4Aと第二のクッション要素4Bのうちの1つが欠けていても良い。一般的に、クッション要素4は、略インソール全体に沿って延展しても良い。その結果、使用時に、クッション要素4は、足底略全体に沿って延展して、履き心地を最大化する。
【0068】
図5Aは、本発明の第二の実施形態のインソールの透視図を示す。図5Bは、第二の実施形態のインソールの上面図を示す。第二の実施形態のインソールは、本発明の第二の実施形態のクッション要素を具備しても良い。インソールは、さらに、防御カバー32を有しても良い。図5Cは、第二の実施形態のクッション要素4を、図5Bに示したE−E’断面に於いて、変形していない状態での概略を示す。図5Dは、第二の実施形態のクッション要素4を、図5Bに示したE−E’断面に於いて、第一の変形状態での概略を示す。図5Eは、第二の実施形態のクッション要素4を、図5Bに示したE−E’断面に於いて、第二の変形状態での概略を示す。クッション要素4は、包被10と、複数の変形可能な部分14と、支持部材18を有する包被10の残りの部分を有しても良い。クッション作用中に、残りの部分16は、複数の変形可能な部分14より高い剛性を有して良い。実施例では、緩衝作用中に、包被10の内側部分19は、支持部材18の内側表面に接する。包被10の内側部分19と支持部材18の内側表面との間の摩擦の結果、包被10の残りの部分の運動は制限され、包被10の残りの部分16の剛性は、支持部材18の内部表面に接しない変形可能な部分14よりも低い。摩擦は、物理的負荷の結果、変形可能な充填物12の圧力によって引き起こされる可能性がある。あるいは、またはそれに加えて、そのような摩擦は、支持部材18の内部表面33に塗布されたノリなどの接着剤によって発生してもよい。
【0069】
図5Dの第一の変形状態と、図5Eの第二の変形状態に於いて、流路37は、出っ張り20の形状で形成されている。出っ張り20は、出っ張り20内に流れ込む潤滑液36の結果、膨張する。本実施例の場合、流路37は、固形物が流路37に入り込むのを防止する寸法で形成されている。妨害するようなこの防止は、例えば、固形物34の直径を流路37の直径Dよりも大きくなるように選択することにより達成される。
【0070】
しかし、第二の実施形態の変形として、流路37は、変形可能な部分14を欠いても良い。クッション要素4のそのような変形は、変形していない状態で、図5Fに示されている。包被10は、流路37を形成するように設計されている。使用時には、変形可能充填物の少なくとも一部、本実施例では、潤滑液36の少なくとも一部が、物理的負荷によって発生した変形可能充填物12の増大した圧力によって流路37に流れ込む。本実施例では、流路37は、ピストン38で表現されている回復力のある部材と流体結合する。ピストン38のスプリングプランジャの動きは、スプリング(図示せず)によって制限されている。好ましくは弾性体であり回復力のある部材が、流路37の端部に位置しても良い。
【0071】
【0072】
臨界体積分率Φmは、例えば、略均一サイズの球状粒子の場合、0.64から0.74の範囲である。固体粒子の非均一な大きさの分布及び/又は非球状粒子の場合、Φmは、この範囲外、特に、この範囲以上であることが可能である。
【0073】
第二の変形状態は、緩衝作用中、第一の変形状態よりも後に到達する。あるいは、第一の変形状態は、次の物理的負荷を分散する及び/又は蓄積するために、の後、その緩衝作用の回復中に到達してもよい。
【0074】
第二の実施形態のクッション要素4とその変形は、固形物34を含有する変形可能充填物12を有する。通常、そのような変形可能充填物12は、粒状媒質と呼ばれる。第二の実施形態の変形可能充填物12とその変形は、さらに潤滑液36を具備する。使用時には、潤滑液は、固形物34を滑りやすい状態に保つ。変形可能充填物は、緩衝作用中に、粘弾性挙動を有するように配置される。潤滑液の粘度と、固形物の弾性特性、固形物の形状、固形物の大きさ、固形物と潤滑液の体積比を調整することによってこれは達成されてもよい。
【0075】
潤滑液は、水及び/又はグリセロールを含んでもよい。これらの溶液は、お互いに混合可能であり、その結果得た混合液の粘度及び/又は濃度は、水とグリセロールの混合比を変化させることによって、適正範囲(つまり、水の粘度及び/又は濃度とグリセロールの粘度の間に於いて)を調整することが可能である。
【0076】
本実施例に於いて、固形物は、略球状であり、0.1ミリメートルと2ミリメートルの範囲の直径を有してもよい。固形物は、テフロン(登録商標)を含んでもよい。
【0077】
第二の実施形態とその変形、及び、場合によっては第一の実施形態に於いても、使用時には、一つの物理的負荷の結果によって圧力が増大するために、潤滑液の少なくとも10%、最大で20%が変形可能な充填物から、流路37aに流れ込んでもよい。これを達成するように、流路37の大きさを適合させてもよい。加えて、潤滑液の粘度が適合されてもよい。一般的に、流路37の総数と、その各々の長さが、そのような適合が成された時に、選択される。
【0078】
一実施例において、潤滑液の粘度は、75mPa・sに等しく、流路の総数は6に等しく、流路37の各々の長さLは10cmであってもよく、流路37それぞれは、互いに分離し、流路の断面(円形)の直径は4ミリメートルに等しくてもよい。しかし、その他の組み合わせやオプションも可能であることは明らかである。その様な組み合わせに関して、流路37への変形可能な充填物の少なくとも一部の流れの方向に対して直角な流路37の1つの断面Acの断面積Ac(図3A)の二乗Ac2を、潤滑液の粘度ηと流路37のなかのその1つの長さL(図3B)の積で割った値は、0.001cm3/(Pa・s)から10cm3/(Pa・s)の範囲にあってもよく、好ましくは0.02cm3/(Pa・s)前後の値であってもよい。これは、ハーゲン・ボアズイユの式に基づく。この式に於いて、物理的負荷は、約0.5秒かかると仮定してもよい。更に、物理的負荷が掛っている間、約40N/cm2(歩いている時)から約80N/cm2(走っている時)の範囲の圧力が変形可能な充填物に働いていると仮定してもよい。流路37が円形断面を有する場合に、断面積Acは、πR2と等しくてもよい。あるいは、断面積Acは、流路37が長方形の断面を有する場合には、流路37の幅掛ける高さに等しくてもよい。
【0079】
本実施例またそのような他の組み合わせで、有効な効果が得られる。典型的には、1つの物理的負荷の結果、その物理的負荷が持続する間、少なくとも10%、最大で20%の潤滑液の体積が流路に押し出される。
【0080】
図6は、本発明の第三の実施形態のクッション要素4を示す。図6のクッション要素4は、靴2のソール6と一体である。図6は更に、クッション要素4に含まれる支持部材18を有する包被10を示す。クッション要素4は、更に、変形可能な充填物12を有していても良い。
【0081】
図7Aは、図6に示すF−F’断面のクッション要素4を示す。図7Aは、変形していない状態のクッション要素を示し、図7Bは、変形した状態のクッション要素4を示す。図7A、7Bを参照すると、支持部材18は、漏斗24と開口22を形成する。第三の実施形態のクッション要素は、変形した状態の出っ張りが、実質的には可逆的に生じるように配置される。そのような出っ張りは、包被10の変形可能な部分14に働く変形可能な充填物12の圧力の結果である。次々に、物理的負荷によって圧力が生成され、その結果、出っ張り形成が物理的負荷によって引き起こされる。
【0082】
上記の実施形態に於いて、少なくとも1つの変形可能な部分は、回復力のある材質で成る。回復力のある材料は、ゴムを含んでいて良い。回復力のある材料のヤング率は、適切な弾性が得られるように決めてもよい。適切な回復力は2つの連続する物理的負荷の間に於いて、少なくとも1つの流路に流れ込んだ潤滑液の実質的な部分を、少なくとも1つの流路の中に押し返すのに十分な大きさである。特に、第二の実施形態のクッション要素と、その変形のために、適切な弾性が、物理的負荷によって生成された変形可能な充填物の増大された圧力の結果、潤滑液の十分な流れを可能とするならば、その適切な弾性は十分小さい。固形物を含む変形可能な充填物の粘度の大幅な増加が流路37の外で得られるなら、その流れは十分だと考えられる。従って、明らかなことであるが、上記の実施例に於いては、包被10の内部及び流路37の外部に於いて、変形可能な充填物の中に粘性的に分散されるエネルギーは、変形可能な部分に蓄積されたエネルギーよりずっと大きく及び/又は流路37の中に分散されるエネルギーよりもずっと大きい。支持部材は、ナイロン、EVA、及び/又はプラスチック材料を含んでも良い。
【0083】
上記の実施形態に於けるクッション要素は、次のように働く。物理的負荷が、クッション要素4、4Aまたは4Bに加わった時、変形可能な充填物12の中に圧力が生じる。その結果、包被10の変形可能な部分14は、外に押し出されて、その結果、出っ張り20が生成される。出っ張りの形成中に、変形可能な充填物12は、出っ張り20に流れ込むことが出来る。変形可能な充填物12が固形物を含む場合には、これらの固形物もその出っ張りに流れ込む。しかし、少なくとも固形物の一部又はすべての固形物の大きさは、潤滑液だけが出っ張り20の中に流れ込むように、開口の大きさに対して選定される。好ましくは、変形可能な充填物の流れ方向での出っ張りの寸法は、変形可能な充填物12の流れ方向に対して直角な出っ張りの寸法よりもはるかに大きい。変形可能な充填物12の流れ方向の漏斗24の寸法が、変形可能な充填物12の流れ方向に対して直角な出っ張りの寸法よりずっと大きいことによって、これを達成することが出来る。一般的に、これは、変形可能な部分14の大きさ、例えば、変形していない状態の変形可能な部分14の面積を十分小さく選定することによって、達成することが出来る。
【0084】
物理的負荷が分散され及び/又は弾性的に蓄積された後、変形可能な部分14の弾性的性格は、変形可能な充填物12を押し返すことが出来、その結果、出っ張りは、少なくとも、部分的に消失する。第一の実施形態におけるクッション要素の閉端壁26の利点は、閉端壁と出っ張りの間の漏斗の中でガス圧力が発生するということである。ガス圧力の発生は分散を加速するだけでなく、クッション動作の後、変形可能な充填物12を押し返すのに役立つ。出っ張りが、少なくとも部分的に、消失した後、変形可能な充填物は、それに続く物理的負荷を分散することが出来る。
【0085】
上記の実施例に於いて、固形物のヤング率は、マイクロインデンターによって、除荷―負荷中に決定してもよい。そのようなマイクロインデンターを使った方法は、当業者には知られており、詳しい説明は豊富にされていると考えられる。潤滑液の粘度と、粘弾性溶液の粘弾性特性は、cone-plate型のレオメータで測ってもよい。好ましくは、せん断率や温度などの測定条件は、緩衝作用中に起こるものと同じであることは当業者には自明のことであろう。潤滑液の粘度と、粘弾性溶液の粘弾性特性は、cone-plate型のレオメータに於いて、温度25度、せん断率1s−1の条件に於いて決定出来る。
【0086】
本発明は、ここに記述した実施形態に限定されず、当業者の常識に於いて、付属のクレームの範囲内と考えられる変形は可能である。同様に、運動学的な逆位は、本質的に開示されており、本発明の範囲内であると考えられる。「好ましくは」、「さらに好ましくは」、「特に」、「典型的には」、「特別には」などの表現の使用は、本発明を限定する意図で使用されるのではない。「a(1つの))」又は「an(1つの)」の不定冠詞は、複数を含むものではない。具体的に又は明確に記述またはクレームされてはいない特徴は、本特許範囲から逸脱しないで、付加的に、本発明の構造に含まれるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な充填物と、前記変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素であって、前記包被は、少なくとも1つの流路を形成するために配置され、使用時には、前記変形可能な充填物の少なくとも一部が物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力の結果、少なくとも1つの流路に流れ込み、前記変形可能な充填物は固形物を含み、固形物を相互に滑りするための潤滑液をさらに含み、少なくとも1つの流路は緩衝作用中に、前記少なくとも1つの流路に前記固形物が入り込まないような寸法であるクッション要素。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流路は、緩衝作用中に、前記少なくとも1つの流路に前記固形物が入り込むのを阻害する寸法で形成される請求項1に記載のクッション要素。
【請求項3】
前記固形物は、実質的に球状である請求項1又は2に記載のクッション要素。
【請求項4】
前記固形物の直径は、0.1ミリメートルから2ミリメートルの間の範囲である請求項1乃至3の一つに記載のクッション要素。
【請求項5】
前記固形物は、少なくとも部分的に、テフロン(登録商標)で形成される請求項1乃至4の一つに記載のクッション要素。
【請求項6】
前記固形物と前記潤滑液の体積比は、1から10の間の範囲であり、好ましくは1.5から5の間の範囲である請求項1乃至5の一つに記載のクッション要素。
【請求項7】
使用時には、前記物理的負荷により生じる前記変形可能な充填物の圧力の結果として、前記少なくとも1つの流路に流れ込む前記変形可能な充填物の少なくとも一部が、前記変形可能な充填物の潤滑液の体積の少なくとも10%及び/又は最大で20%によって形成されることを達成するように、前記潤滑液の粘度を調整し、且つ、前記少なくとも1つの流路の寸法をさらに決定する請求項1乃至6の一つに記載のクッション要素。
【請求項8】
【請求項9】
前記流路の総数は、3から12の範囲にあり、好ましくは6前後である請求項1乃至8の一つに記載のクッション要素。
【請求項10】
前記包被は弾性的に可変する容積を有する請求項1乃至9の一つに記載のクッション要素。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流路は、回復性のある部材と流体結合する請求項10に記載のクッション要素。
【請求項12】
前記包被は、前記包被の残りの部分と比較して低い剛性を有する少なくとも1つの変形可能な部分を有し、前記物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力が前記少なくとも1つの変形可能な部分に掛る結果、前記少なくとも1つの変形可能な部分に、実質的には可逆的に、出っ張りを生じることによって、前記少なくとも1つの流路を形成するように前記包被が設けられる請求項10に記載のクッション要素。
【請求項13】
前記変形可能な充填物の前記出っ張りの中への流れの方向に対して直角な前記出っ張りの寸法よりも大きい、前記変形可能な充填物の前記出っ張りの中への流れの方向に於ける前記出っ張りの寸法を有するように、前記変形可能な部分の大きさを調整する請求項12に記載のクッション要素。
【請求項14】
前記包被の残りの部分は、前記少なくとも1つの変形可能な部分を規定するための少なくとも1つの開口を含む支持部材を有する請求項12又は13に記載のクッション要素。
【請求項15】
前記支持部材は、前記開口から延展し、前記少なくとも1つの出っ張りを受けるように配置された少なくとも1つの漏斗を有する請求項14に記載のクッション要素。
【請求項16】
前記漏斗は、前記出っ張りの大きさを限定するために配置された制限を有することを特徴とする請求項15に記載のクッション要素。
【請求項17】
前記制限は、前記漏斗の閉端壁によって形成される請求項16に記載のクッション要素。
【請求項18】
前記少なくとも1つの変形可能な部分は、弾性材料を含む請求項12乃至17の一つに記載のクッション要素。
【請求項19】
前記少なくとも1つの変形可能な部分は、複数の相互に類似した変形可能な部分のうちの1つであり、前記出っ張りは、複数の相互に類似した出っ張りのうちの1つであり、前記物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力が前記複数の変形可能な部分に加えられた結果、各々の前記変形可能な部分から、実質的には可逆的に、前記複数の出っ張りを生じるように、前記クッション要素が配置される請求項12乃至18の一つに記載のクッション要素。
【請求項20】
前記変形可能な充填物及び/又は潤滑液は、少なくとも部分的に、粘弾性溶液と粘弾性固体の内の少なくとも1つによって形成されることを特徴とする請求項1乃至19の一つに記載のクッション要素。
【請求項21】
前記変形可能な充填物及び/又は前記潤滑液は、少なくとも部分的に、剪断濃厚化液体によって形成される請求項1乃至20の一つに記載のクッション要素。
【請求項22】
変形可能な充填物と、前記変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素であって、前記包被は前記包被の残りの部分に比べて低い剛性を有する少なくとも1つの変形可能な部分を有し、物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力が、少なくとも1つの変形可能な部分に加わる結果、前記クッション要素は、前記少なくとも1つの変形可能な部分に於いて、実質的には可逆的に、出っ張りを生じるように配置されていることを特徴とするクッション要素。
【請求項23】
物理的衝撃を吸収するために配置された請求項1乃至22の1つに記載のクッション要素。
【請求項24】
請求項1乃至23の1つに記載のクッション要素を具備するインソール。
【請求項25】
請求項1乃至23の1つに記載のクッション要素を有し、及び/又は請求項24に記載のインソールを有する運動靴などの履物。
【請求項26】
請求項1乃至23の1つに規定された変形可能な充填物。
【請求項27】
請求項1乃至23の1つに規定された包被。
【請求項1】
変形可能な充填物と、前記変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素であって、前記包被は、少なくとも1つの流路を形成するために配置され、使用時には、前記変形可能な充填物の少なくとも一部が物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力の結果、少なくとも1つの流路に流れ込み、前記変形可能な充填物は固形物を含み、固形物を相互に滑りするための潤滑液をさらに含み、少なくとも1つの流路は緩衝作用中に、前記少なくとも1つの流路に前記固形物が入り込まないような寸法であるクッション要素。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流路は、緩衝作用中に、前記少なくとも1つの流路に前記固形物が入り込むのを阻害する寸法で形成される請求項1に記載のクッション要素。
【請求項3】
前記固形物は、実質的に球状である請求項1又は2に記載のクッション要素。
【請求項4】
前記固形物の直径は、0.1ミリメートルから2ミリメートルの間の範囲である請求項1乃至3の一つに記載のクッション要素。
【請求項5】
前記固形物は、少なくとも部分的に、テフロン(登録商標)で形成される請求項1乃至4の一つに記載のクッション要素。
【請求項6】
前記固形物と前記潤滑液の体積比は、1から10の間の範囲であり、好ましくは1.5から5の間の範囲である請求項1乃至5の一つに記載のクッション要素。
【請求項7】
使用時には、前記物理的負荷により生じる前記変形可能な充填物の圧力の結果として、前記少なくとも1つの流路に流れ込む前記変形可能な充填物の少なくとも一部が、前記変形可能な充填物の潤滑液の体積の少なくとも10%及び/又は最大で20%によって形成されることを達成するように、前記潤滑液の粘度を調整し、且つ、前記少なくとも1つの流路の寸法をさらに決定する請求項1乃至6の一つに記載のクッション要素。
【請求項8】
【請求項9】
前記流路の総数は、3から12の範囲にあり、好ましくは6前後である請求項1乃至8の一つに記載のクッション要素。
【請求項10】
前記包被は弾性的に可変する容積を有する請求項1乃至9の一つに記載のクッション要素。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流路は、回復性のある部材と流体結合する請求項10に記載のクッション要素。
【請求項12】
前記包被は、前記包被の残りの部分と比較して低い剛性を有する少なくとも1つの変形可能な部分を有し、前記物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力が前記少なくとも1つの変形可能な部分に掛る結果、前記少なくとも1つの変形可能な部分に、実質的には可逆的に、出っ張りを生じることによって、前記少なくとも1つの流路を形成するように前記包被が設けられる請求項10に記載のクッション要素。
【請求項13】
前記変形可能な充填物の前記出っ張りの中への流れの方向に対して直角な前記出っ張りの寸法よりも大きい、前記変形可能な充填物の前記出っ張りの中への流れの方向に於ける前記出っ張りの寸法を有するように、前記変形可能な部分の大きさを調整する請求項12に記載のクッション要素。
【請求項14】
前記包被の残りの部分は、前記少なくとも1つの変形可能な部分を規定するための少なくとも1つの開口を含む支持部材を有する請求項12又は13に記載のクッション要素。
【請求項15】
前記支持部材は、前記開口から延展し、前記少なくとも1つの出っ張りを受けるように配置された少なくとも1つの漏斗を有する請求項14に記載のクッション要素。
【請求項16】
前記漏斗は、前記出っ張りの大きさを限定するために配置された制限を有することを特徴とする請求項15に記載のクッション要素。
【請求項17】
前記制限は、前記漏斗の閉端壁によって形成される請求項16に記載のクッション要素。
【請求項18】
前記少なくとも1つの変形可能な部分は、弾性材料を含む請求項12乃至17の一つに記載のクッション要素。
【請求項19】
前記少なくとも1つの変形可能な部分は、複数の相互に類似した変形可能な部分のうちの1つであり、前記出っ張りは、複数の相互に類似した出っ張りのうちの1つであり、前記物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力が前記複数の変形可能な部分に加えられた結果、各々の前記変形可能な部分から、実質的には可逆的に、前記複数の出っ張りを生じるように、前記クッション要素が配置される請求項12乃至18の一つに記載のクッション要素。
【請求項20】
前記変形可能な充填物及び/又は潤滑液は、少なくとも部分的に、粘弾性溶液と粘弾性固体の内の少なくとも1つによって形成されることを特徴とする請求項1乃至19の一つに記載のクッション要素。
【請求項21】
前記変形可能な充填物及び/又は前記潤滑液は、少なくとも部分的に、剪断濃厚化液体によって形成される請求項1乃至20の一つに記載のクッション要素。
【請求項22】
変形可能な充填物と、前記変形可能な充填物を取り囲む包被を有する履物のためのクッション要素であって、前記包被は前記包被の残りの部分に比べて低い剛性を有する少なくとも1つの変形可能な部分を有し、物理的負荷によって引き起こされた前記変形可能な充填物の増大した圧力が、少なくとも1つの変形可能な部分に加わる結果、前記クッション要素は、前記少なくとも1つの変形可能な部分に於いて、実質的には可逆的に、出っ張りを生じるように配置されていることを特徴とするクッション要素。
【請求項23】
物理的衝撃を吸収するために配置された請求項1乃至22の1つに記載のクッション要素。
【請求項24】
請求項1乃至23の1つに記載のクッション要素を具備するインソール。
【請求項25】
請求項1乃至23の1つに記載のクッション要素を有し、及び/又は請求項24に記載のインソールを有する運動靴などの履物。
【請求項26】
請求項1乃至23の1つに規定された変形可能な充填物。
【請求項27】
請求項1乃至23の1つに規定された包被。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2013−502304(P2013−502304A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527836(P2012−527836)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/NL2010/000124
【国際公開番号】WO2012/018252
【国際公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/NL2010/000124
【国際公開番号】WO2012/018252
【国際公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
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